【発明の詳細な説明】
HIVおよび他のレトロウイルス病を治療するのに有用な置換テトロン酸
発明の背景発明の分野
本発明は、HIVプロテアーゼ酵素を阻害するのに有用な、新規の置換テトロ
ン酸タイプの化合物、2,4-(3H,5H)フランジオンよりなる。化合物は、A
IDSまたはAIDS関連疾病を患う患者の治療に有用となり得る。化合物は、
アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含むいずれものレトロウイルスのさらなる複
製を阻止する試行に用いることができる。情報の開示
1994年9月7日出願のPCT/US94/09533号。
発明者ドラク,レスター(Dolak,Lester)ら、「HIV-プロテアーゼを阻害す
るのに有用なテトロン酸(A tetronic acid useful for the inhibition of HIV
-protease.)」、1993年3月4日に公開されたWO 93/04055号。
武田薬品工業株式会社(Takeda Chemical)に譲渡された;テラオ・シンジ(T
erao,Shinji)ら、「活性酸素種をスキャベンジするのに有用なヒドロキシブテ
ノリド誘導体(Hydroxybutenolide Derivatives useful for scavenging active
oxygen species.)」、1988年3月16日に公開されたEP 0,259,70
7-A2号。
武田薬品工業株式会社に譲渡された、1993年2月23日に公開された日本
国特許出願第05043568-A号(特開平2-202268号)は、炎症疾患を
治療するのに用いるテトロン酸を開示している。
レーセ,ケイ(Rehse,K.)ら、「3,5-二置換テトロン酸の抗凝集活性(Antic
oagulant Activity of 3,5-Disubstituted Tetronic Acids)」、アーカイ
ブス・オブ・ファーマシー(Arch.Pharm.)(ワインハイム(Weinheim)第311
巻、986-992頁(1978年))。
レーセ,ケイ(Rehse,K.)およびバーゲンネヒト,ヨット(Wagenknecht,J.)
「抗凝集剤3-(1-アリールプロピル)-テトロン酸の質量分析的研究(Mass Spe
ctrometric Investigation of Anticoagulant 3-(1-Arylpropyl)-tetronic
Acids)」、アーカイブス・オブ・ファーマシー(Arch.Pharm.)(ワインハイム
(Weinheim))第312巻、164-168頁(1979年)。
レーセ,ケイ(Rehse,K.)ら、「連続限外濾過により測定した薬剤の蛋白質結
合性III:抗凝集剤テトロン酸の蛋白質結合性(Protein Binding of Drugs D
etermined by Continuous Ultrafiltration,III:Protein Binding of Anti
coagulant Tetronic Acids)」、アーカイブス・オブ・ファーマシー(Arch.Ph
arm.)(ワインハイム(Weinheim))第315巻、052-056(1982年)。
日本臓器製薬株式会社(Nippon Zoki Pharmaceutical)に譲渡されたEP0,
534,907-A1号(特開平3-276543号)は、自己免疫疾患を治療する
ための2-(5H)-フラノンを開示している。
ジャーナル・オブ・シンセティック・アンド・オーガニック・ケミストリー・
イン・ジャパン(J.Synthetic Org.Chem.Japan)第44巻、2号、127頁-
(1986年)、
ベケマンス,ジェイ(Vekemans,J.)「(S)-5-ヒドロキシメチル-2(5H)-フ
ラノンの効率的な合成(An Efficient Synthesis of (S)-5-Hydroxy-methy
l-2(5H)-Furanone)」、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)
第28巻、20号、2299-2300頁(1987年)、
ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)第46巻、
2299頁-(1981年)、
ヨウジ,シロクラ(Yoji,Shirokura);1992年8月3日に公開された特開
平4-211676号「血管拡張神経薬として有用なテトロン酸(A tetronic aci
d useful as a vasodilator)」、
ロッゴ,ビイ・イー(Roggo,B.E.)ら、「3-アルカノイル-5-ヒドロキシメ
チルテトロン酸相同物およびレジストマイシン:HIV-1プロテアーゼの新た
な阻害剤I、発酵、単離および生物活性(3-Alkanoyl-5-Hydroxymethyl
Tetronic Acid Homologues and Resistomycin:New Inhibitors of HIV-1 Pro
tease,I.Fermentation,Isolation and Biological Activity)」、ジャーナル・
オブ・アンチバイオティクス(J.of Antibiotics)第47巻、2号、136-1
42頁(1994年2月)。
ロッゴ,ビイ・イー(Roggo,B.E.)ら、「3-アルカノイル-5-ヒドロキシメ
チルテトロン酸。類似体およびレジストマイシン:HIV-1プロテアーゼの新
たな阻害剤II、構造決定(3-Alkanoyl-5-Hydroxymethyl Tetronic Acid
Homologues and Resistomycin:New Inhibitors of HIV-1 Protease,II
.Structure Determination)」、ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(J.o
f Antibiotics)第47巻、2号、143-147頁(1994年2月)。
ラング,マルク(Lang,Marc)およびローセル,ヨハネス(Roesel,Johannes)、
「HIV-1プロテアーゼ阻害剤:AIDS治療における開発、現状および潜在
的な役割(HIV-1 Protease Inhibitors:Development,Status and Poten
tial Role in the Treatment of AIDS)」、アーカイブス・オブ・ファー
マシー(Archives of Pharmacy)第326巻、921-924頁(1993年)。H
IV-1プロテアーゼ阻害剤として可能性があると考えられる未開示のテトロン
酸-タイプの化合物。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)、第98巻:119144p(19
83年)20頁、3-アリールアルキル-5-フェニルテトロン酸の抗凝集活性。1
0種のテトロン酸誘導体。1の化合物の登録番号は、80936-00-1、CA
インデックス名、2(5H)-フラノン,3-(1-(4-クロロフェニル)エチル)-4-
ヒドロキシ-5-メチル-(9CI)である。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第90巻:185907a(
1979年)575頁、抗凝集剤3-(1-アリールプロピル)テトロン酸の質量分
析的研究。テトロン酸誘導体。1の化合物の登録番号は、69354-72-9、
CAインデックス名、2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-メチル-3-(1-フ
ェニルプロピル)-(9CI)である。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第90巻:114925u
(1979年)28頁、3-5-二置換テトロン酸の抗凝集活性。テトロン酸誘導体
。1の化合物の登録番号は、69354-71-8、CAインデックス名、2(5
H)-フラノン,3-(1-(4-クロロフェニル)プロピル)-4-ヒドロキシ-5-メチル
-(9CI)である。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第55巻、16687欄、
段落fは、3-(1-アミノエチル)-5-メチルテトロン酸を開示している。登録番
号89910-36-1。CAインデックス名、吉草酸,2-(1-アミノエチル)-4
-ヒドロキシ-3-オキソ,.ガンマ.-ラクトン(6CI,7CI)。
フェル,エス・シー・エム(Fell,S.C.M.)ら「4-置換テトロン酸の合成:マ
ルチコラン酸(Synthesis of 4-Substituted Tetronic Acids:Multi-colani
c Acid.)」、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー・アンド・ケミカ
ル・コミューニケイションズ(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.)第2巻、81-2
頁(1979年)。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第34巻、脂環式化合物(
1963年)、2378欄、段落fは、ベンジルテトロン酸エチルおよびベンジ
ルテトロン酸メチルを開示している。登録番号91910-33-7。CAインデ
ックス名、吉草酸,2-エチル-4-ヒドロキシ-3-オキソ-5-フェニル,.ガンマ.-
ラクトン(7CI)。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第118巻:45729r(
1993年)457頁、テルペンを含有する血管拡張神経薬、登録番号1452
98-30-2、-29-9、-28-8、-27-7。CAインデックス名、2(5H)-
フラノン,3-(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)-4-ヒドロキシ-5-(3-
メチル-2-ブテニル)-(9CI);2(5H)-フラノン,3-(3,7-ジメチル-2,6
-オクタジエニル)-4-メトキシ-5-(3-メチル-2-ブテニル)-(9CI);1,3-
ペンタンジオン,1-(4-(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)-2,5-ジヒド
ロ-3-メトキシ-2-(3-メチル-2-ブテニル)-5-オキソ-2-フラニル)-4-メチ
ル-2-(3-メチル-2-ブテニル)-(9CI);1,3-ペンタンジオン,1-(4-(3,
7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)-2,5-ジヒドロ-3-ヒ
ドロキシ-2-(3-メチル-2-ブテニル)-5-オキソ-2-フラニル)-4-メチル-2-
(3-メチル-2-ブテニル)-(9CI)。
シビ,エム・ピイ(Sibi,M.P.)ら「3-アシルテトロン酸から3-アルキルテ
トロン酸の簡便な合成(A Convenient Synthesis of 3-alkyltetronic acids
from 3-acyltetronic acids.)」、シンセティック・コミューニケイションズ(Sy
nthetic Communications)第22巻、6号、809-816頁(1992年)。3-
アルキルテトロン酸を高収率で供する、3-アシルテトロン酸の還元的脱酸化。
CAインデックス名、2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-メチル-3-(2-メ
チルプロピル)-,(S)-(9CI);2(5H)-フラノン,3-ブチル-4-ヒドロキシ-
5-メチル,(S)-(9CI);2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-メチル-3-プ
ロピル-,(S)-(9CI);2(5H)-フラノン,3-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチ
ル,(S)-(9CI)。
アライ,ケイ(Arai,K.)ら「ペニシリウム・イタリカム・ウェーマーの代謝物:
天然発生の4-イリデン-アシルテトロン酸、イタリシン(italicinic)酸およびイ
タリン酸を含む新たな代謝物の単離および構造(Metabolites of Penicillium it
alicum Wehmer:Isolation and Structures of New Metabolites Including Natu
rally Occurring 4-ylidene-acyltetronic Acids,Italicinic Acid and Italici
c Acid.)」ケミカル・ファーマシューティカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.)
第37巻、12号、3229-3235頁(1989年)。細菌から4種の代謝物
の単離。CAインデックス名、2-フラン酢酸,2,5-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-
4-(4-メチルオクチル)-5-オキソ-(9CI);2-フラン酢酸,2,5-ジヒドロ-
3-ヒドロキシ-4-(4-メチルオクチル)-5-オキソ-(9CI);登録番号126
228-72-6。
ワカバヤシ,エス(Wakabayashi,S.)「光学的に活性なリトセノリド・シイの
合成(Synthesis of Optically Active Litsenolide C.)」ザ・ケミカル・ソ
サイエティー・オブ・ジャパン(The Chemical Society of Japan.)ケミストリ
ー・レターズ(Chemistry Letters)(5)(1987年)875-878頁。CAイン
デックス名、2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-メチル-3-テトラ
デシル-(R)-(9CI);登録番号111722-91-9。
ブック,ジェイ(Buck,J.)「天然4-オキシフラン-2-オンへの合成入口とし
ての4-エチリデンテトロン酸 O-メチルエーテルおよびその誘導体の指向的メ
タレーション(Directed Metallations of 4-Ethylidenetetronic Acid O-Methyl
Ether and its Derivatives as a Synthetic Entry to Natural 4-Oxyfuran-2-
ones.)」ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー・パーキン・トランザクショ
ンズ1(J.Chem.Soc.Perkin Trans 1)第11巻、2399-2405頁(19
85年)。
ファンバーゲネン,べイ・エス(Vanwagenen,B.S.)「天然のアメリカの食品
および医薬植物(Native American Food and Medicinal Plants.)」テトラ
ヘドロン(Tetrahedron)第42巻、4号、1117-22頁。CAインデックス
名、2(5H)-フラノン,3-ヘキサデシル-4-ヒドロキシ-5-メチル-(9CI);
2(5H)-フラノン,3-テトラデシル-4-ヒドロキシ-5-メチル-(9CI)。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第97巻:109463g(
1982年)、ビニル・カーバニオン。登録番号82495-62-3、CAイン
デックス名、2(5H)-フラノン,3-(1-ヒドロキシプロピル)-4-メトキシ-5-
(1-メチルエチル)-(9CI)。
アンダーソン,ジェイ・アール(Anderson,J.R.)「高等真菌類の代謝物...(
Metabolites of Higher Fungi...)」ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエ
ティー・パーキン・トランザクションズ1(J.Chem.Soc.,Perkin Trans 1)第
1巻、215-221頁。CAインデックス名、2(5H)-フラノン,3-エチル-
4-ヒドロキシ-5-プロピル-(9CI)。CA登録番号818608-84-6。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第87巻:184299e(
1977年)。「2,6-ジドデシル-3,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゾキノンの
オゾン分解による3,5-ジドデシルテトロン酸の合成(Synthesis of 3,5-didod
ecyltetronic acid by ozonolysis of 2,6-didodecyl-3,5-dihydroxy-1,4-benzo
quinone)」。登録番号64580-85-4、CAインデックス名、2(5H)-フ
ラノン,3,5-ジドデシル-4-ヒドロキシ-(9CI)。
ダモン,アール・イー(Damon,R.E.)ら「2-アルキルテトロン酸の一般的な
合成(A general synthesis of 2-alkyltetronic acids.)」テトラヘドロン・レ
ターズ(Tetrahedron Letters)第32巻、2749-2752頁。CAインデッ
クス名、3-フラン酢酸,5-ブチル-2,5-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ,
メチルエステル(9CI),2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-メチル-3-(2-
メチルプロピル)-(9CI);2(5H)-フラノン,3-エチル-4-ヒドロキシ-5-
メチル-(9CI);2(5H)-フラノン,4-ヒドロキシ-5-メチル-3-(2-プロペ
ニル)-(9CI);
ガジェオン,ジェイ・エイ(Gudgeon,J.A.)ら「ペニシリウム・マルチカラーの
新規なテトロン酸代謝物であるマルチコラニック、マルチコリックおよびマルチ
コロジック・アシスの構造および生合成(The Structures and Bio-synthesis
of Multicolanic,Multicolic,and Multicolosic Acis,Novel Tetronic A
cid Metabolites of Penicillium Multicolor.)」バイオオーガニック・ケミ
ストリー(Bioorganic Chemistry)第8巻、311-322頁(1979年)。C
Aインデックス名、2-フラン酢酸,2,5-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-(5-ヒド
ロキシペンチル)-5-オキソ-(9CI)。
ガジェオン,ジェイ・エイ(Gudgeon,J.A.)ら「ペニシリウム・マルチカラーか
らの新たなテトロン酸であるマルチコリックおよびマルチコロジック・アシッズ
の構造および生合成の解明における単一および二重標識炭素-13-酢酸の使用(
Use of singly and doubly labeled carbon-13-acetate in the elucidation o
f the structures and biosynthesis of multicolic and multicolosic acids,n
ew tetronic acids from Penicillium multicolor.)」、ジャーナル・オブ・ケミ
カル・ソサイエティー・アンド・ケミカル・コミューニケイションズ(J.Chem.So
c.,Chem.Commun.)第16巻、636-8頁(1974年)。
スドー,アール(Sudo,R.)ら「カロリン酸の合成(Synthesis of Carolic A
cid)」、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)第32
巻、6号、1844-6頁。CA67(5):21426s。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)登録番号6232-63-9、
CAインデックス名、2,4-(3H,5H)-フランジオン,3-(2-イミノエチル)-
5-メチル-(8CI,9CI)。
ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)第63巻、13064欄、
段落「a」(1965年)、登録番号4697-28-3、CAインデックス名、2-
フラン酢酸,4-ヘプチル-2,5-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-.アルファ.-(3-メチ
ル-2-ブテニリデン)-5-オキソ-.(9CI)。
発明者マツモト,コーイチ(Matsumoto,Koichi)らの1990年4月25日に
公開された欧州特許第0,365,329 A2号。「嫌気性細菌に対して活性な抗
生物質、それらの産生および使用、ならびに同一物を産生するエンテロバクター
株(Antibiotics active against Anaerobic Bacteria,their production and u
se,and strains of Enterobacter producing the same)」。
発明者テラオ,シンジ(Terao,Shinji)の1986年11月26日に公開され
た欧州特許第0,202,589 A2号;「アスコルビン酸誘導体、その産生およ
び使用(Ascorbic acid derivatives,production and use)」。
発明者トレイバー,ラッチオ(Treiber,Lazsio)らの1992年4月15日に
公開された欧州特許第0,480,624 A1号;「HIVプロテアーゼを阻害
する新規のジペプチド等量式(A novel dipeptide isostere inhibits HIV p
rotease)」。
前記の全ての刊行物は出典明示して本明細書の一部とみなす。科学的および歴史的な背景
AIDSは、細胞性免疫応答の低下によって主に引き起こされる重篤な免疫不
全症によって特徴付けられる疾患である(ゴットリーブ(Gottlieb)ら、ニューイ
ングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(N.Engl.J.Med.)第305巻:
1425-1431頁(1981年);マシュー(Masur)ら、ニューイングランド
・ジャーナル・オブ・メディシン(N.Engl.J.Med.)第305巻:1431-1
438頁(1981年))。免疫不全状態は、ヘルパーT細胞としても知られてい
るT4リンパ球の減少、正常なT4<+>:T8<+>細胞比の逆転、リンパ球減少
、および、しばしばニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)によ
り引
き起こされる日和見感染によって特徴付けられる。また、ある種の患者では、リ
ンパ腫またはカポシ肉腫の発生率が上昇する。該疾患は通常死に至る。
大多数の科学者がAIDSを引き起こすと考えているウイルスは、1983年
に最初に同定され、以来幾つかの名称によって記載されてきている。それは3番
目に知られたヒトT-リンパ球親和性ウイルス(HLTV-III)であり、免疫系細
胞の中で複製できる能力を有し、それによって顕著なT4<+>T-細胞(またはC
D4<+>細胞)の破壊を引き起こす(例えば、ガロ(Gallo)ら、サイエンス(Scie
nce)第224巻:500-503頁(1984年)、およびポポビック(Popovic)
ら、サイエンス(Science)第224巻:497-500頁(1984年)参照)。こ
のレトロウイルスは、リンパ節疾患-関連ウイルス(LAV)またはAIDS-関連
ウイルス(ARV)および、さらに最近は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)として
知られてきた。
2種の異なったAIDSウイルス、HIV-1およびHIV-2が記載されてい
る。HIV-1は、パリのパスツール研究所においてモンターニュ(Montagnier)
および彼の共同研究者によって1983年に最初に同定されたウイルスであり(
モンターニュ(Montagnier)ら、アナレ・ド・ウィロギィ(Ann.de Viologie)第
135E巻:1号、119-134頁(1984年))、一方、HIV-2は、19
86年にモンターニュおよび彼の共同研究者によってさらに最近単離された(ガ
イアデール(Guyader)、ネイチャー(Nature)第326巻:662-669頁(19
87年))。さらなる異なったAIDSウイルスも存在し得る。本明細書で用いる
HIVとは、遺伝学的な点におけるこれら全てのウイルスを示すことを意味する
。
レトロウイルスとは、エンベロープにより包まれたRNAウイルスである(ヘ
イワード(Hayward)およびニール(Neel)、カル・トップ・マイクロバイオル・
イムノル(Curr.Top.Microbiol.Immunol.)第91巻:217-276頁(19
81年)参照)。ウイルス粒子は、外側の膜エンベロープによって囲まれたリボヌ
クレオ蛋白質コアよりなる。ウイルスエンベロープ糖蛋白質は、外側のエンベロ
ープから突出している。ウイルスゲノムは、2種の同一の一本鎖RNA分子より
な
る(ハセルチン(Haseltine)およびウォン-ストール(Wong-Stall)、サイエンテ
ィフィック・アメリカン(Scientific American)第259巻:52-62頁(198
8年))。
米国特許第4,724,232号は、3-アジド-3-デオキシチミジンを用いた
AIDS感染ヒトの治療方法を特許請求している。1987年3月20日に、ニ
ューモシスティス・カリニ肺炎の初期病徴発現を最近患っているAIDS患者を
治療し、該ウイルスに感染して末梢血液中のCD4リンパ球の絶対数が200/
mm3未満の患者を治療するために、FDAはこの化合物、すなわちジドブジン(
AZT)の使用を認可した。AZTはウイルスの逆転写酵素の公知の阻害剤であ
る。
逆転写酵素(RT)は、ウイルスRNAから二本鎖DNAへの転換を触媒するレ
トロウイルスに特有の酵素である。AZT、または伸長できなくする他のいずれ
かの異常デオキシヌクレオシド三リン酸による転写過程間のいずれかの時点にお
ける遮断によって、ウイルス複製に対する劇的な結果が生ずると予想されるが、
かかる治療は未だに完成していない。
AIDS治療へのもう1つのアプローチは、HIVが優先的に結合するようで
あるT4細胞上の主要な受容体、いわゆるCD-4分子に焦点を合わせている。
多様な性質を有する表面蛋白質であるこの分子はAIDS治療における介在点と
して標的にされている(フィッシャー(Fisher))ら、ネイチャー(Nature)第31
巻:76-78(1988年);ハッセイ(Hussey)ら、ネイチャー(Nature)第3
31巻:78-81頁(1988年);およびディーン(Deen)ら、ネイチャー(Na
ture)第331巻:82-84頁(1988年)。
本発明は、AIDSにおける異なった治療標的、HIV-融合ポリペプチド前
駆体のプロセシングに必須のウイルス・プロテアーゼ(またはプロテイナーゼ)の
阻害に関する。HIVおよび幾つかの他のレトロウイルスにおいて、gag(群
特異的抗原)およびgag/pol(ポリメラーゼ)融合ポリペプチドの蛋白質加水
分解的な成熟(感染性ウイルス粒子の生成に欠くことができないプロセシング)が
、ウイルスゲノムのpol領域によりコードされているプロテアー
ゼ自体によって媒介されることが示されている(ヨシナカ(Yoshinaka)ら、プロ
シーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユーエ
スエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第82巻;1618-1622頁(198
5年);ヨシナカ(Yoshinaka)ら、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virol.
)第55巻:870-873頁(1985年);ヨシナカ(Yoshinaka)ら、ジャーナ
ル・オブ・バイロロジー(J.Virol.)第57巻:826-832頁(1986年))
。
99個のアミノ酸のみからなるプロテアーゼ(またはプロテイナーゼ)酵素は、
知られているうちで最小の酵素の範囲に入る(ナット(Nutt)ら、プロシーディン
グズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユーエスエイ(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻:7129-7133頁(1988年))。パ
ール(Pearl)およびテイラー(Taylor)、ネイチャー(Nature)第329巻:35
1-354頁(1987年)。該酵素の3次元構造および機構は知られている(パー
ル(Pearl)およびテイラー(Taylor)、ネイチャー(Nature)第329巻:351
-354頁(1987年))。有効なHIVプロテアーゼは、細菌で発現され(例え
ば、ダルケ(Darke)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.
Biol.Chem.)第264巻:2307-2312頁(1989年))、化学的に合成
されている(シュナイダー(Schneider)およびケント(Kent)、セル(Cell)第5
4巻:363-368頁(1988年);およびナット(Nutt)ら、プロシーディン
グズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユーエスエイ(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻:7129-7133頁(1988年))。前
掲の全ての刊行物は出典明示して本明細書の一部とみなす。
本発明は、HIVプロテアーゼ酵素を阻害するのに有用な新規のテトロン酸タ
イプの化合物よりなる。該化合物は、AIDSまたはAIDS関連疾患を患った
個人を治療するのに有用となり得る。該化合物を試行的に用いて、アスパルチル
・プロテアーゼ酵素を含有するいずれかのレトロウイルス、またはHIVのごと
きヒトレトロウイルスのさらなる複製を阻害し、あるいは、特に、アスパルチル
・プロテアーゼ酵素を含有するヒトレトロウイルスに感染した患者を包含する、
ヒト細胞系を治療することができる。
発明の概要
本発明は、新規の化合物よりなる。該化合物は、AIDSの治療に用いること
ができる。該化合物を含有する組成物および処方も記載する。医薬の製法、なら
びに化合物を用いてAIDSを治療する方法を記載する。また、化合物を製造す
る方法も記載する。
医薬組成物は、医薬上許容される担体および有効量の式Iで示される化合物よ
りなる。上記で示される化合物を用いて、有効量の上記で示される化合物をそれ
を要する患者に投与することよりなる、全てのHIV変異体によって引き起こさ
れるAIDSおよび疾病を治療する薬剤を調製する。上記で示される新規の化合
物、および記載した種々のサブグループによって示される全ての変形である。新
規の医薬組成物は、実質的に本明細書で記載する。治療方法に新たに用いる物質
または組成物は、実質的に本明細書で記載する。AIDSまたは、HIVの変異
体によって引き起こされる疾患を治療する方法に用いる物質または組成物、該物
質または組成物は上記で示される化合物よりなり、該方法は有効量の該物質また
は該組成物をそれを要する患者投与することよりなる。
発明のさらなる説明定義
本発明の化合物は、2種の方法:記述的な命名により、および種々の化学基を
有する構造を参照することにより確認される。以下の用語も用いることができ、
以下に定義する。
所望により置換されていてもよい 「所望により置換されていてもよい」なる
語は、ハロゲン、低級アルキル、モノ-もしくはジ-(低級アルキル)-置換低級ア
ルキル、(低級アルキル)チオ、ハロゲン-置換低級アルキル、アミノ-置換低級ア
ルキル、モノ-もしくはジ-(低級アルキル)-置換アミノ、低級アルケニル、低級
アルキニル、ハロゲン、低級アルコキシ、アリールオキシ、アリール(低級アル
キル)、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、モノ-およびジ(低級アルキル)アミノ、ま
たはニトロ等で置換された基を意味する。
挿入語(Cn-Cm)または(Cn-m)とは、0〜8個の炭素を含有する化合物および
その異性体型を包含する(C1-C8)または(Cn-Cm)化合物のようなものである。
C0なる語は、炭素原子を有しないか、またはその特定の位置に炭素基を有しな
いことを意味する。
アルキル 挿入語(Cn-Cm)とは、0〜8個の炭素原子を有する化合物および
その異性体型が包含される(C1-C8)の化合物である。種々の炭素基は、脂肪族
炭化水素基であって、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル
、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキ
シル、イソヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチルおよびn-オクチルならびにそ
れらの異性体型のごとき、分岐または非分岐の形態が包含される。
低級アルキル 「低級アルキル」なる語は、1〜6個の炭素原子を有する分岐
または非分岐の飽和炭化水素基をいう。代表的なかかる基は、メチル、エチル、
n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル
、n-ペンチル、イソペンチル、ヘキシル等である。
( 低級アルキル)チオ 「(低級アルキル)チオ」なる語は、硫黄原子を介して親
分子基に結合した、前記に定義した低級アルキル基をいう。典型的な(低級アル
キル)チオ基には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソ-プロピルチオ
等が包含される。
アルコキシ R1が(C1-C8)アルキルである場合に-OR1によって表されるア
ルコキシは、酸素によって分子の残余に結合したアルキル基をいい、メトキシ、
エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-
ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、n-ヘキソキシ、イ
ソヘキソキシ、n-ヘプトキシ、イソヘプトキシおよびn-オクトキシ等のごとき
分岐または非分岐型が包含される。
低級アルコキシ 「低級アルコキシ」なる語は、酸素原子を介して親分子基に
結合した、前記に定義したアルキル基をいう。代表的なかかる基には、メトキシ
、エトキシ、ブトキシ、ペントキシ等が包含される。
アルケニル アルケニルとは、少なくとも1個の二重結合を有する脂肪族非飽
和炭化水素の基をいい、エテニル、(-CH=CH2)、1-メチル-1-エテニル、1
-プロペニル、(-CH2-CH=CH2)、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニ
ル、3-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、1-ペンテニル、アリル、3-ペンテ
ニル、4-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、
3-メチル-アリル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセ
ニル、1-メチル-4-ヘキセニル、3-メチル-1-ヘキセニル、3-メチル-2-ヘ
キセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、1
-メチル-4-ヘプテニル、3-メチル-1-ヘプテニル、3-メチル-2-ヘプテニル
、1-オクテニル、2-オクテニルまたは3-オクテニル等のごとき分岐および非
分岐型の双方が包含される。
アルキニル アルキニルとは、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有す
る一価の分岐または非分岐の炭化水素基をいい、例えば、エチニル、プロピニル
等である。
シクロアルキル (C3-C10)シクロアルキルとは、飽和環状炭化水素基をいい
シクロプロピル、2-メチルシクロプロピル、2,2-ジメチルシクロプロピル、
2,3-ジエチルシクロプロピル、2-ブチルシクロプロピル、シクロブチル、2-
メチルシクロブチル、3-プロピルシクロブチル、シクロペンチル、2,2-ジメ
チルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよび
シクロデシル等のごとき、アルキル-置換シクロアルキルを包含することができ
る。
ヘテロアルキル 「ヘテロアルキル」とは、1〜3個の非-隣接炭素原子が、
窒素、硫黄および酸素のごときヘテロ原子のみによって置換された前記アルキル
をいう。
アリール アリールとは、1〜3個のヒドロキシ、C1-C3アルコキシ、C1-
C3アルキル、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロまたはブロモ基で、所望
により置換されていてもよいか、または置換された、6〜12個の炭素原子ベー
スの構造、1または2個が縮合するか、または非縮合の芳香族環をいう。
「アリール」の例は:フェニル、m-メチルフェニル、p-トリフルオロメチルフ
ェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、(o-、m-、p-)トリル、(o-、m-、p-)
エチルフェニル、2-エチル-トリル、4-エチル-o-トリル、5-エチル-m-トリ
ル、(o-、m-またはp-)プロピルフェニル、2-プロピル-(o-、m-またはp-)
-トリル、4-イソプロピル-2,6-キシリル、3-プロビル-4-エチルフェニル、
(2,3,4-、2,3,6-もしくは2,4,5-)トリメチルフェニル、(o-、m-もし
くは
p-)フルオロフェニル、(o-、m-もしくはp-トリフルオロメチル)フェニル、
4-フルオロ-2,5-キシリル、(2,4-、2,5-、2,6-、3,4-もしくは3,5
-)ジフルオロフェニル、(o-、m-もしくはp-)クロロフェニル、2-クロロ-p-
トリル、(3-、4-、5-もしくは6-)クロロ-o-トリル、4-クロロ-2-プロピ
ルフェニル、2-イソプロピル-4-クロロフェニル、4-クロロ-3-フルオロフェ
ニル、(3-もしくは4-)クロロ-2-フルオロフェニル、(o-、m-もしくはp-)
トリフルオロフェニル、(o-、m-、p-)エトキシフェニル、(4-もしくは5-)
クロロ-2-メトキシ-フェニルおよび2,4-ジクロロ(5-もしくは6-)メチルフ
ェニル他である。これらの各基は、適当に置換することができる。
アルキルアリール アルキルアリールとは、前記した6〜12個の炭素原子で
置換された、1〜8個の炭素原子のアルキル鎖およびその異性体型をいう。
複素環 複素環の例には:(2-、3-もしくは4-)ピリジル、イミダゾリル、
インドリル、Nin-ホルミル-インドリル、Nin-C2-C5アルキル-C(O)-インド
リル、(1,2,4)-トリアゾリル、(2-、4-、5-)ピリミジニル、(2-、3-)チ
エニル、ピペリジニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピ
ラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニ
ル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニ
ル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾ
リジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、キノリニル、イソキノリニル
、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、フリル、プリ
ル、フェナジル、カルバゾリル、チエニルおよびベンゾチエニル、チエニル、イ
ンドリル、イソキノリル等が包含される。これらの各基は、適当に置換すること
ができる。
ヘテロアリールまたはHET ヘテロアリールとは、窒素、酸素および硫黄よ
りなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し;いずれかの前記複素環
が、ベンゼン環、C3-C8シクロアルキルまたはもう1つの複素環に縮合したい
ずれの二環式基をも包含し;化学的に可能な場合には、窒素および硫黄原子は酸
化型であってもよく;かつ0〜3個の置換基によって置換された5-または6-員
の飽和または不飽和の環である。アリールまたはヘテロアリール環系のいずれか
に結合する置換基は「RA」なる語で示す。
ヘテロアリールの例には、ピリジン、チオフェン、フラン、ピリミジン、2-
ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5
-ピリミジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、3-ピラジニル、2-キノ
リル、3-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、2
-キナゾリニル、4-キナゾリニル、2-キノキサリニル、1-フタラジニル、2-
イミダゾリル、4-イミダゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-
イソキサゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾ
リル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5
-チアゾリル、2-インドリル、3-インドリル、3-インダゾリル、2-ベンズオ
キサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、2-ベンズイミダゾリル、2-ベンゾフラニ
ル、3-ベンゾフラニル、2-フラニル、3-フラニル、2-チエニル、3-チエニ
ル、2-ピロリル、3-ピロリル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,
4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-
チアジアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾ
ール-5-イル、1,2,3,4-テトラゾール-5-イル、5-オキサゾリル、1-ピロ
リル、1-ピラゾリル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾー
ル-1-イル、1-テトラゾリル、1-インドリル、1-インダゾリル、2-イソイン
ドリル、1-プリニル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリルおよび5-イソチ
アゾリルを包含できる。これらの各基は、適当に置換することができる。
アミノ酸 本出願に示すアミノ酸残基とは、以下に掲載するものであって、そ
れらは、以下のごとき3文字または1文字の略語のいずれかで記載することもで
きる:
アラニン、Ala、A;アルギニン、Arg、R;アスパラギン、Asn、N;アス
パラギン酸、Asp、D;システイン、Cys、C;グルタミン、Gln、Q;グルタ
ミン酸、Glu、E;グリシン、Gly、G;ヒスチジン、His、H;イソロイシン
、Ile、I;ロイシン、Leu、L;リジン、Lys、K;
メチオニン、Met、M;フェニルアラニン、Phe、F;プロリン、Pro、P;セ
リン、Ser、S;スレオニン、Thr、T;トリプトファン、Trp、W;チロシン
、Try、Y;バリン、Val、V;アスパラギン酸またはアスパラギン、Asx、B
;グルタミン酸またはグルタミン、Glx、Z;いずれかのアミノ酸、Xaa、X。
全てのアミノ酸はカルボキシル基およびアミノ基を有する。アミノ酸のアミノ
基はアミノ酸の「N-末端」ともいわれる。アミノ酸のカルボキシル基はアミノ酸
の「C-末端」ともいわれる。アミノ酸の「N-末端」は、もう1つの化合物のカル
ボキシル基とペプチド結合を形成することもできる。アミノ酸の「N-末端」と
結合するカルボキシル基は、もう1つのアミノ酸のカルボキシル基であってもよ
く、または、それは他の起源からのものであってもよい。幾つかのアミノ酸がポ
リペプチドに連結した場合、該ポリペプチドは「遊離の」N-末端および「遊離
の」C-末端を有するであろう。
本発明の化合物で幾つかの可能な基は、「(「化合物」)-C(O)-RA1-3」お
よび「(「化合物」)-N(H)RA1-4」として記載される。基「RA1-3」および
「RA1-4」(ならびに、「RA1-1-3」および「RA1-1-4」)は上記に掲載した
タイプのアミノ酸である。従って、RA1-3がアミノ酸の「N-末端」を介して化
合物に結合するであろうことは理解される。従って、RA1-3は「N-末端の」ア
ミノ酸、または「いずれかのN-末端のアミノ酸」ともいわれ、前記に掲載した
いずれのアミノ酸をも示す。RA1-4は、アミノ酸の「C-末端」を介して化合物
に結合するであろう。従って、RA1-4は、「C-末端の」アミノ酸、または「い
ずれかのC-末端のアミノ酸」ともいわれ、前記に掲載したいずれのアミノ酸を
も示す。
化合物-C(O)-RA1-3が、アミノ酸のN-末端またはアミノ末端が化合物とペ
プチド結合を形成するところの化合物-C(O)-アミノ酸を示し、化合物-N(H)
RA1-4が、アミノ酸のC-末端またはカルボキシル末端が化合物とペプチド結合
を形成するところの化合物-N(H)-アミノ酸を示すであろうことは明らかである
。前者の化合物は「遊離の」アミノまたはN-末端を有し、後者は「遊離の」カ
ル
ボキシまたはC-末端を有するであろう。
ハロゲン 「ハロ-」および「ハロゲン-」なる語は、フルオロ、クロロ、ブロ
モ、ヨードまたはトリフルオロメチルから選択される置換基をいう。
キラリティー 本発明の化合物が1またはそれを超えるキラル中心を含んでお
り、シス-/トランス-および/またはR-およびS-異性体型およびそれらの混合
を包含する光学的に活性な型で存在し得ることは当業者に明らかであろう。本発
明の範囲には、純粋な型またはシス-/トランス-異性体型を包含するエナンチオ
マーもしくはジアステレオマーの混合物で光学的に活性な型を包含する、これら
の全ての型、エナンチオマーおよびジアステレオマーの型の化合物が包含される
。該化合物の治療特性は、特定の化合物の立体化学に依存して程度を大きくする
ことも小さくすることもできる。
塩 本発明は、式1で示される化合物またはその薬理上許容される塩および/
もしくは水和物を提供する。薬理上許容される塩とは、処方、安定性、患者の受
容性および生物学的利用性のごとき特性で親化合物に相当するものであると製薬
化学者に容易に明らかであろう塩をいう。
テトロン酸は、十分に強い塩基と反応させた場合に塩基付加塩を生成する。医
薬上許容される塩には、無機および有機の塩基の双方が包含される。医薬上許容
される塩は、それらがより水溶性でより結晶性である化合物を生成するため、遊
離酸が好ましい。好ましい医薬上許容される塩には、限定するものではないが、
カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムまたはナトリウムのごとき一価
および二価の金属の塩;水酸化物、トロ-メタミン(THAM)、2-アミノ-2-(
ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールのごとき有機塩基で生成された塩、
ならびに当業者に明らかであろう他の塩が包含される。二当量の塩基が付加され
ている二塩も、いくつかの本発明の化合物から生成することができる。二塩は、
前記した塩で生成することができるが、以下のカリウム塩またはナトリウム塩の
二塩が頻繁に用いられる。
いくつかの本発明の化合物は、アミンを含む塩基性官能基を含んでいる。適当
な有機または無機の酸と合わせた場合にこれらの化合物は塩を生成する。これら
の塩は、化合物の最終的な単離および精製の間、または、その遊離塩基形態で精
製された化合物を適当な有機酸または無機酸と別々に反応させ、かく形成された
塩を単離することによって、系内で調製することができる。代表的な塩には、酢
酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ホウ酸塩
、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ
化水素酸塩、乳酸塩、ラクチオビオネート、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイ
ン酸塩、メシラート、ナフトエ酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パル
ミチン酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩
、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルホン酸塩、エタンスル
ホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩
、スルファミン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、酒石酸塩、トシラート
、吉草塩塩および他の医薬上許容される対イオンが含まれる。これらの塩は、当
該分野で知れている方法によって、容易に調製できる。
さらに、本発明の化合物は、適当な水和形態で投与することができる。代表的
なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、カリウム、カル
シウムおよびマグネシウム等の塩が含まれる。当業者であれば、いかにして本発
明の化合物の酸、塩(二塩を含む)およびいずれの水和物を適当な医薬投与形態に
処方するのかを知っているであろう。
他、LAHは水素化アルミリニウムリチウムである。LDAはリチウムジイソ
プロピルアミドである。
THFは、テトラヒドロフランである。HRMSは高分解能質量分析、EIM
Sは、電子衝撃質量分析である。Etはエチルである。EOAcは酢酸エチルで
ある。HOAcは酢酸である。カルボニル基は、通常「C(O)」で記載され、炭
素-酸素二重結合を示す。カルボキシルは、通常「C(O)O」または「C(O)-O
-」で記載される。
NMR.操作周波数は1H-NMR(300.133MHz)および13C-NMR(
75.469MHz)である。
全ての可変基は、特に指摘しない限り、独立して定義される。例えば、R1お
よびR2が双方ともA、BまたはCとして定義される場合、R2がA、BまたはC
であると同時にR1はAとなり得る。基を置換できる場合、通常1〜3の可能性
があり、置換基は同一基である必要はない。請求の範囲に依存する可変基が定義
されないまま放置されている場合、従属する請求の範囲からの前の請求項中の同
一の可変基の定義が採用される。
幾つかの可変基は結合して、単一の認識性基を形成する。例えば、R2および
R3基は、「一緒になって」環状構造を形成できる。この状態では、C6シクロア
ルキルは、テトロン酸環からの1個の炭素を含有する6員の炭素環骨格環を示す
であろう。別法として、R2およびR3よりなる複素環は、「-C1-5アルキル-R2 3
-C1-5アルキル-」によって示されるであろう。この後者の場合、「-C1-5アル
キル-」基には、テトロン酸環の炭素は含まれず、よって6員の複素環は「-C2
アルキル-R23-C2アルキル-」と記載されるであろう。R23基のいずれかの側上
に等しい数の炭素原子を有さなくてもよく、またR23はヘテロ原子を有さなくて
もよいことは注意すべきである。投与および組成物
臨床的な実施において、本発明の化合物は、医薬上許容される担体と組合せた
前記に掲載したタイプのごとき、遊離酸または医薬上許容される非毒性の塩基付
加塩のいずれかの有効成分よりなる医薬調製剤の形態で、通常、経口、直腸、ま
たは注射によって投与されるであろう。臨床で治療すべき患者への使用および投
与は、医者または薬剤師または当業者に容易に明らかであろう。
また、本発明は、1またはそれを超える非-毒性の医薬上許容される担体と共
に処方した、1またはそれを超える前記式Iで示される化合物よりなる医薬組成
物も提供する。医薬組成物は、固形物または液体形態の経口投与用に、非経口注
射用または直腸投与用に特別に処方化することができる。
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、非経口(すなわち、静脈内、筋肉内また
は皮下)、クモ膜下内、膣内、腹膜内、局所(粉末、軟膏またはドロップによる)
、口内または経口もしくは鼻内スプレーでヒトおよび他の動物に投与することが
できる。
非経口注射用の本発明の医薬組成物は、医薬上許容される滅菌水性または非水
性の溶液、分散液、懸濁液または乳液、ならびに、使用する直前に滅菌注射溶液
または分散液に入れて再生する滅菌粉末よりなる。適当な水性および非水性の担
体、希釈剤、溶媒、ビヒクルの例には、水、エタノール、(グリセリン、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール等のごとき)ポリオール、およびそれ
らの適当な混合物、(オリーブ油のごとき)植物油、およびオレイン酸エチルのご
とき注射可能な有機エステルが包含される。適当な流動性は、例えば、レシチン
のごときコート物質を用いることによって、分散するのに要求される粒径を維持
することによって、および界面活性剤を使用することによって維持できる。
また、これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散化剤のごときア
ジュバントを含有していてもよい。微生物活動の阻止は、例えば、パラベン、ク
ロロブタノール、フェノールソルビン酸等のような、種々の抗細菌剤および抗真
菌剤を含有させることによって保証することができる。また、砂糖、塩化ナトリ
ウム等のごとき等張化剤を含有しているのも望ましい。注射医薬形態を長期にわ
たって吸収させることは、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのごと
き吸収を遅延する剤を含有させることによってほぼ達成できる。
所望により、またより効果的な分布のために、化合物は、ポリマー・マトリッ
クス、リポソームおよびマイクロスフェアのごとき徐放性または標的デリバリー
・システムに取り込ませることができる。
注射処方は、例えば、細菌-担持フィルターを通す濾過により、または使用す
る直前に滅菌水または他の滅菌した注射用媒質に溶解または分散させることがで
きる滅菌固形組成物の形態で滅菌剤に取り込ませることによって滅菌できる。
経口投与用の固形投与量形態には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末剤および顆粒
剤が包含される。かかる固形投与量形態において、有効化合物を、クエン酸ナト
リウムまたはリン酸二カルシウムのごとき、少なくとも1種の不活性の医薬上許
容される賦形剤または担体および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロー
ス、グルコース、マンニトール、およびサリチル酸のごとき充填剤または拡張剤
、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビ
ニ
ルピロリドン、スクロースおよびアカシアのごとき結合剤、c)グリセリンのご
とき保湿剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはテンサイの
デンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸および炭酸ナトリウムのごとき崩壊剤、
e)パラフィンのごとき溶解抑制剤、f)第4級アンモニウム化合物のごとき吸
収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリドの
ごとき湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト鉱土のごとき吸収剤、ならびに
i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエ
チルレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、のごとき潤滑剤ならびにそれら
の混合物と混合する。また、カプセル、錠剤および丸薬の場合、投与量形態は、
緩衝剤からなっていてもよい。
同様のタイプの固形組成物は、区分けされた充填剤、ならびにラクトースまた
は乳糖および高分子量ポリエチレングリコール等のごとき賦形剤を用いた硬質充
填ゼラチンカプセルとして用いることができる。
固形投与量形態の錠剤、糖衣剤、カプセル、丸薬および顆粒剤は、腸溶性コー
ティングおよび製薬分野でよく知られている他のコーティンク剤のごときコーテ
ィングおよびシェルで調製することができる。それらは、所望により、不透明化
剤を含有していてもよく、それらが有効成分を、好ましくは腸の特定部分でのみ
、所望により遅延様式で、放出する組成物とすることもできる。用いることがで
きる包埋組成物の例には、ポリマー性の物質およびワックスが包含される。
有効化合物は、適するなら、1またはそれを超える前記賦形剤と共に、マイク
ロカプセル化形態とすることもできる。
経口投与用の液体投与量形態には、医薬上許容される乳濁剤、溶液、懸濁剤、
シロップ剤およびエリクシル剤が包含される。有効化合物に加えて、液体投与量
形態には、当該分野で通常用いられる不活性希釈剤、例えば、水または他の溶液
、ならびにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチ
ル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブ
チレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロ
コシ、胚芽、オリーブ、ヒマおよびゴマの油)、グリセリン、テトラヒドロフル
フリル
アルコール、ポリエチレングリコールならびにソルビタンの脂肪酸エステル、な
らびにそれらの混合物のごとき可溶化剤および懸濁化剤を含有させることができ
る。
不活性希釈剤に加えて、経口用組成物には、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、
甘味料、賦香剤および香料のごときアジュバントを含有させることができる。
懸濁剤には、有効組成物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステア
リルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、
マイクロクリスタリンセルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト寒天
-寒天およびトラガカントガムならびにそれらの混合物のごとき懸濁化剤を含有
させることができる。
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、室温では固体であるが、体温で
は液体であって、ゆえに腸または膣腔内で溶解して該有効化合物を放出する、カ
カオバター、ポリエチレングリコールまた坐薬用ワックスのごとき適当な非刺激
性の賦形剤または担体と本発明の化合物とを混合することにより調製できる坐薬
である。
局所投与用の投与量形態の本発明の化合物には、粉末剤、スプレー剤、軟膏お
よび吸入剤が包含される。有効化合物は、無菌条件下で、医薬上許容される担体
および要する保存料、緩衝化剤または必要となり得る促進剤と混合する。眼処方
、点眼剤、粉末剤および溶液も、本発明の範囲内にあることが意図されている。
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、特定の患者に対し
て所望の治療応答を達成するのに有効な有効化合物、組成物の量、ならびに投与
様式が得られるように変動することができる。選択した投与量レベルは、特定の
化合物の活性、投与経路、治療すべき病状の深刻度、および治療すべき患者の状
態および以前の医療歴に依存するであろう。しかしながら、所望の治療効果を達
成するのに必要なものよりも低いレベルの化合物用量で出発し、所望の効果が達
成されるまで徐々に投与量を増加させていくことは当業者の範囲内である。一般
的には、約0.1〜約200、より好ましくは、約0.5〜約150、および最も
好ましくは、約1〜125mg/kg体重/日の有効化合物を哺乳動物患者に経
口
投与する。要すれば、有効日用量は、例えば、一日当たり2〜4回に別けた用量
のように、投与の目的によって複数の用量に分割することもできる。発明の有用性
本発明の式Iで示される化合物は、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を有する
レトロウイルス・プロテイナーゼを阻害し、ゆえにウイルスの複製を阻害する。
さらに特には、本発明の化合物は、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を有する新
規のヒト・レトロウイルス・プロテアーゼ阻害剤として有用である。それらは、
後天性免疫不全症候群(AIDS)および/または関連疾患を引き起こすヒト免疫
不全ウイルス(HIV-1もしくはHIV-2株)またはヒトT-細胞白血病ウイル
ス(HTLV-IまたはHTLV-II)のごとき、アスパルチル・プロテアーゼ酵
素を含有するヒト・レトロウイルスに感染したヒト患者を治療するのに有用であ
る。
レトロウイルスのキャプシドおよび複製酵素(すなわち、プロテアーゼ、逆転
写酵素、インテグラーゼ)は、ウイルスのgagおよびpol遺伝子からポリ蛋
白質として翻訳され、ウイルス・プロテアーゼ(PR)によってさらにプロセシン
グされて、ウイルス・キャプシドに見い出され、ウイルス機能および複製に必要
な成熟蛋白質とされる。PRが欠損するか、機能しない場合、ウイルスは複製す
ることができない。HIV-1 PRまたはHIV-2 PRのごときレトロウイル
スPRは、さらに複雑なアスパラギン酸プロテアーゼであるレニンによって示さ
れるのと同様な特徴の活性部位を有するアスパラギン酸プロテアーゼとして見い
出されている。
ヒト・レトロウイルス(HRV)なる語は、同一または関連のウイルスファミリ
ーに属し、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有する種々のヒト・レトロウイ
ルスと同様な生理学的効果をヒトに生じる、ヒト免疫不全ウイルスI型、ヒト免
疫不全ウイルスII型またはそれらの株、ならびに、ヒトT細胞白血病ウイルス
1および2(HTLV-1およびHTLV-2)または当業者に明らかな株を包含す
る。
さらに詳細には、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有する1種のかかるヒ
ト・レトロウイルスの例は、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因因子と
して認識されている、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、またHTLV-IIIまた
はLAVとしても知られている)である。HIVは、融合ポリペプチドを成熟ウ
イルス粒子の機能性蛋白質に切断する、レトロウイルスがコードするプロテアー
ゼ、HIV-Iプロテアーゼを含有している(イー・ピイ・リレホジ(E.P.Lill
ehoj)ら、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virology)第62巻:3053頁(
1988年);シイ・デビュック(C.Debuck)ら、プロシーディングズ・オブ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl
.Acad.Sci.USA)第84巻:8903頁(1987年))。この酵素、HIV-I
プロテアーゼは、アスパルチル・プロテアーゼとして分類され、レニンのごとき
他のアスパルチル・プロテアーゼと相同性を有することが証明されている(エル
・エイチ・パール(L.H.Pearl)ら、ネイチャー(Nature)第329巻:351頁
(1987年);アイ・カトウ(I.Katoh)ら、ネイチャー(Nature)329巻:6
54頁(1987年))。HIV-Iプロテアーゼの阻害により、HIVの複製が遮
断され、それ故、ヒトAIDSの治療に有用である(イー・ディー・クラーク(E
.D.Clerq)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.
)第29巻:1561頁(1986年))。HIV-Iプロテアーゼの阻害剤は、無
症性または症候性のAIDSであるHIV-感染個人の治療に有用である。
アスパルチル・プロテアーゼの一般的な阻害剤であるペプスタチンAは、HI
V-Iプロテアーゼの阻害剤として開示されている(エス・シールマイアー(S.S
eelmeier)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻:
6612頁(1986年))。切断され易い部位に還元された結合等配体またはス
タチンを含有する他の基質由来の阻害剤も開示されている(エム・エル・ムーア(M
.L.Morre)ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジックス・リサーチ・コミュ
ーニケイションズ(Biochem.Biophys,Res.Commun.)第159巻:420頁(1
989年);エス・ビリッチ(S.Billich)ら、ジャーナル・オブ・バイオロ
ジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第263巻:17905頁(1988年)
;サンド(Sandoz)社、ドイツ国特許3812-576-A号)。
治療すべき患者とは:1)血清中に測定可能なウイルス抗体または抗原のいず
れかの存在につき測定されるアスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有する1また
はそれを超えるヒト・レトロウイルス株に感染して、2)HIVの場合には、6
0歳以下であって、無症性のHIV感染、またはi)散在性ヒストプラスマ症、i
i)イソソリアシス(isopsoriasis)、iii)ニューモシスティス肺炎を含む気管支
または肺のカンシダ症、iv)非-ホジキンリンパ腫、v)カポシ肉腫のごときAI
DS定義感染のいずれかを有するか;または、末梢血液中の絶対CD4+リンパ球
数が500/mm3以下で定義される無症性HIV感染または症候性AIDSのい
ずれかを有する個人であろう。治療は、本発明に従って用いる化合物の阻害レベ
ルを常に患者において維持することよりなり、別の治療が必要であることを示す
二次症候性AIDS定義感染が発病するまで続けられる。
かくして、本発明の化合物は、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)のごとき
、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有するレトロウイルスによって引き起こ
される疾患を治療するのに有用である。
化合物は、ネコ白血病ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスに感染したネコ、
サル免疫不全ウイルスに感染したサル、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有
するウイルスに感染し得るヤギおよび他の動物のごとき、アスパルチル・プロテ
アーゼ酵素を含有するレトロウイルスに感染した非-ヒト動物を治療するのにも
有用である。非-ヒト動物に対する本発明の化合物の正確な投与量、形態および
投与様式は、獣医のごとき当業者に明らかであろう。
本発明の式Iで示される化合物は、有機合成の当業者に容易に知られ、入手可
能である、以下の調製例および実施例に記載するごとく調製するか、またはそれ
に類似した方法によって調製する。
また、式1で示される化合物の調製に有用な必須中間体も特許請求する。活性の測定
HIVプロテアーゼ・アッセイ 驚くべき、かつ予期せぬことには、本発明の
化合物は、HIVプロテアーゼの有効かつ潜在的な阻害剤である。HIVプロテ
アーゼアッセイは、以下に記載する。
本発明の化合物はアスパルチル・プロテアーゼ酵素を有するレトロウイルス・
プロテアーゼを阻害するため、それらは、HIVウイルスの複製を阻害するもの
と期待される。かくして、該化合物は、免疫不全症候群(AIDS)および/また
は関連疾患を引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV-1もしくはHIV-2株)
またはヒトT-細胞白血病ウイルス(HTLV-IもしくはHTLV-II)のごと
き、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有するヒト・レトロウイルスに感染し
たヒト患者を治療するのに有用である。
ヒト・レトロウイルス(HRV)なる語には、ヒト免疫不全ウイルスI型、ヒト
免疫不全ウイルスII型またはそれらの株、ならびにヒトT細胞白血病ウイルス
1および2(HTLV-1およびHTLV-2)、または同一もしくは関連するウイ
ルスファミリーに属し、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有する種々のヒト
レトロウイルスと同様な生理学的効果をヒトに生じることが当業者に明らかな株
が包含される。
治療すべき患者とは:1)血清中に測定可能なウイルス抗体または抗原のいず
れかの存在によって測定される、アスパルチル・プロテアーゼ酵素を含有する1
またはそれを超えるヒト・レトロウイルス株に感染し、2)HIVの場合には、
i)散在性ヒストプラスマ症、ii)イソソリアシス(isopsoriasis)、iii)
ニューモシスティス肺炎を含む気管支または肺のカンシダ症、iv)非-ホジキ
ンリンパ腫、またはv)カポシ肉腫のごとき症候性AIDSを定義する感染を有
する個人であろう。治療は、本発明に従って用いる化合物の阻害レベルを常に患
者において維持することよりなり、別の治療が必要であることを示す二次症候性
AIDS定義感染が発病するまで続けられる。
さらに詳細には、かかるヒト・レトロウイルスの一例は、ヒト後天性免疫不全
症候群(AIDS)の原因因子として認識されているヒト免疫不全ウイルス(HT
LV-IIIまたはLAVとしても知られているHIV)である(ガロ(Gallo)ら、サ
イエンス(Science)第224巻:500-503頁(1984年))。HIVに
は、レトロウイルスがコードするプロテアーゼであり、融合ポリペプチドを成熟
ウイルス粒子の機能性蛋白質に切断するHIV-Iプロテアーゼが含まれる(リレ
ホジ(Lillehoj)ら、ジャーナル・オブ・バイロロジー(J.Virology)第62巻:
3053-3058頁(1988年);デボック(Debouck)ら、プロシーディング
ズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.
Natl.Acad.Sci.USA)第84巻:8903-8906頁(1987年))。この
酵素HIV-プロテアーゼは、アスパルチル・プロテアーゼに分類され、レニン
のごとき他のアスパルチル・プロテアーゼと相同性を有することが証明されてい
る(パール(Pearl)およびテイラー(Taylor)、ネイチャー(Nature)第329巻
:351-354頁(1987年);カトウ(Katoh)ら、ネイチャー(Nature)第3
29巻:654-656頁(1987年))。HIV-Iプロテアーゼの阻害により
、HIVの複製が阻害され、それ故、ヒトAIDSの治療に有用である(クラー
ク(Clercq)ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)
第29巻:1561-1569頁(1986年))。HIV-IまたはHIV-IIプ
ロテアーゼの阻害は、AIDSの治療に有用である。
イン・ビトロ(in vitro)HIVプロテアーゼ阻害アッセイ
HIVプロテアーゼ・スクリーニング・アッセイは、0.7-0.9μmのアビ
ジン-ポリスチレン粒子を用いて非標識切断生成物から分離できる蛍光標識基質
に基づいている。基質は、アミノ末端のアルギニンでビオチン化され、カルボキ
シル末端のリジンでフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)で蛍光標識
されている。このアッセイを用いて、HIV-1プロテアーゼの新規の非ペプチ
ド性の阻害剤が検出されている。基質(0.2μMの20μl)、試料(所望の濃度
で10μl)および酵素(0.1μMの10μl)を96ウェル・パンデックス(pandex
)皿に添加する。アッセイは、1.0Mの塩化ナトリウムおよび0.05%NP-40
の存在下、pH5.5の0.1M酢酸ナトリウム緩衝液中で行い、暗所下、室温に
て1時間インキュベートする。アビジンでコートしたポリスチレン・ビーズ(0.
1%(w/v)の40μl)を添加し、暗所下にてさらに30分間インキュベー
トを続ける。濾過を介して標識した分解産物を非反応基質から分離し、IDEXXス
クリーン・マシーン(Screen Machine)(メイン州、ポートランド(Portland,Main
e)のアイデックス・コーポレイション(IDEXX Corporation)社)上で判読する。
データを適当なコンピュータ論理式によって解析し、%阻害値を確認する。
HIVプロテアーゼ阻害アッセイの結果を示す活性表は以下の表1のようであ
る。表は3つの欄を有し、左欄には、構造表および詳細な方法との相互参照が容
易なように化合物のコード番号が記載されており、中欄には、試験化合物の濃度
が記載され、右欄には%阻害が記載されている。
Ki値の測定には、%阻害実験と同一の物質および器具を用いる。2倍の一連
の希釈を、合計24、36または48の個々の阻害剤濃度で、2、3または4の
出発濃度から得た阻害剤で調製する。これらの希釈は、バイオメック(BioMek)
ロボット工学システムを用いて行う。アッセイは、10μLの40nM HIV-
1プロテアーゼ、10μLの種々の阻害剤濃度、および20μLの200μMの
基質(合計40μL)よりなる。反応は、室温にて90分間進行させ、40μLの
アビジン・ビーズで終結させ(前掲のごとく)、処理する。既知のKiを有する阻
害剤を平行して行い、アッセイの正確性を確認する。データの非線形最小二乗分
析を用いるコンピューター・プログラムを用いてデータを処理し、Ki値を求め
る。
%阻害値、および幾つかの例においては、本発明の代表的な化合物のIC50値
またはKi値を、以下の表IIおよび表IVに掲載する。
IX-14、IX-17およびIX-24のごとき本発明の幾つかの化合物を、
HIV-1IIIBに感染したヒトT-細胞系、例えば、MT4およびH9のごとき公
知のヒト細胞系で試験したところ、レトロウイルス複製を阻害することが判明し
た。
化合物の調製
本発明の化合物は、以下の説明により、または、ここに引用して本明細書の一
部とする1994年9月7日出願のPCT/US94/09533の番号のつい
た公開された特許出願を参照して調製可能である。
本発明の化合物は、以下のチャート、調製例および実施例に記載するごとく調
製するか、または、有機合成の当業者に容易に知られ、入手可能なそれに類似す
る方法によって調製する。PCT/US94/09533の叙述されたセクショ
ンへの具体的な言及は以下になされる。
以下の記載とは、種々の化合物を表す図および式を示す種々のチャートをいう
。発明の記載が容易に理解されるように構造または式が記載されている。チャー
ト中の構造には、反応スキームの一般的な記載が供されているが、これらの示し
た化合物のみを記載した方法に限定されるものではない。図中の芳香環には、構
造がベンゼンのみならず、定義セクションにアリール、ヘテロアリール等で記載
されているごとき明白な置換基を包囲するいずれかの適当な芳香基であることを
示す。
以下の調製および方法に加えて、塩基性テトロン酸「コア」構造への多くの側
鎖も、当業者に明らかであろう。テトロン酸は、5H-フラン-2-オン,4-ヒド
ロキシの慣用名である。さらなる側鎖は、(出典明示して本明細書の一部とみな
す)1994年5月26日に公開されたWO 94/11361(国際特許出願番号
PCT/US93/10645)およびWO 94/18188(国際特許出願番
号PCT/US94/00938)に開示されている。これらのドキュメントの
参照は、本発明に記載した幾つかの化合物をいかに生成させるかの完全な記載が
必要となり得る。
チャートA
チャートAは、一般式A−4のN−メチルスルホンアミドを調製する方法を記
載する。この方法は、PCT/US94/09533のチャートMに記載されて
いる方法の代法である。(PCT/US94/09533のチャートIに記載さ
れるように調製される)一般構造式I−9のN−Z保護化合物の水素化アルミニ
ウムリチウムとの反応により、(N−Z保護カルバメート上の水素化アルミニウ
ムリチウムの作用によるN−メチル化合物の調製のため、ウェイス・ビー(Weiss
,B.)ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)1965
、30、2483を参照されたし)構造A−IのN−メチルアナログを
得る。中間体の、過剰の塩化スルホニルとの反応(A−2)により、一般構造A
−3のビス−スルホニルアナログを得る。該硫酸塩を、水性エタノール中の炭酸
カリウムで選択的加水分解し、一般構造A−4のN−メチルスルホンアミドを得
る。
調製AP−1.(チャートA、「A−3」(式中、R2およびR3はプロピル、
Z5はシクロプロピルであって、Z8は4−シアノフェニル)
無水THF(16ml)中のIX−32(PCT/US94/09533のチ
ャートI)の溶液(225mg,0.48mmol)に、水素化アルミニウムリ
チウム(THF中1.0M溶液の0.6ml,0.60mmol)を添加した。反
応混合物を一晩撹拌し、冷(0〜5℃)酢酸エチル(10ml)に注ぎ込んだ。
得られた濃い懸濁液を10分間0〜5℃にて撹拌し、室温になるまで放置し、さ
らに10分間撹拌する。2−プロパノール(10ml)を添加し、反応混合物を
減圧下で濃縮する。粗生成物を精製することなしに用いる。
無水塩化メチレン(16ml)および無水DMF(4ml)中の上記で得られ
た固体の冷却(0〜5℃)溶液に、トリエチルアミン(121mg,0.167
ml,1.2mmol)および塩化4−シアノベンゼンスルホニル(242mg
,1.2mmol)を添加した。反応混合物を1時間0〜5℃にて撹拌し、室温
になるまで放置し、一晩撹拌した。さらなるトリエチルアミン(24mg,0.
033ml,0.24mmol)および塩化4−シアノベンゼンスルホニル(4
8mg,0.24mmol)を添加し、反応混合物を4時間室温にて撹拌した。
揮発物を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルおよび0.25N 水性HCl間に
分配する。有機層を0.25N HClおよびブラインで洗浄し、乾燥(MgS
O4)し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣の、塩化メチレン/酢酸エチル/ヘ
キサン(1:1:4)を溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによ
る精製により、一般式A−3のビススルホニル化合物(182mg,56%)を
固体として得た:1
HNMR(CDCl3)δ8.11(d,J=8.6Hz,2H),7.97(d
,J=8.6Hz,2H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d
,
J=8.6Hz,2H),7.50(d,J=7.9Hz,1H),7.31(t,
J=7.9Hz,1H),7.13−7.05(m,2H),3.19−3.16(
重複 m,4H),1.78−1.46(m,5H),1.33−1.12(m,4
H),0.90(t,J=7.2Hz,3H),0.82(t,J=7.2Hz,3
H),0.72−0.69(m,1H),0.58−0.55(m,1H),0.29
−0.27(m,2H)ppm;13CNMR(CDCl3)δ168.83,16
3.81,141.41,140.66,139.43,133.58,132.69
,129.11,128.39,127.22,125.35,122.39,11
9.11,177.41,116.49,116.31,86.59,45.43,3
8.11,37.80,37.67,15.86,13.89,13.22,6.62
,3.99ppm;EIMS m/z 674(M+H+).
AP−2および実施例AX−1の調製.(チャートA、「A−4」(式中、R2
およびR3はプロピル、Z5はシクロプロピルであって、Z8は4−シアノフェニ
ル))
50% 水性エタノール(10ml)中の上記記載の一般構造A−3(182
mg,0.27mmol)のビススルホニル化合物の懸濁液に、炭酸カリウム(
45mg,0.32mmol)を添加した。混合物を加熱し、おだやかに還流さ
せ、完全に溶解させた。還流にて1時間後、該溶液を室温にまで冷却し、一晩撹
拌した。混合物を部分的に減圧下で濃縮し、クロロホルムおよび0.25N H
Cl間に分配した。有機層を0.25N HClおよびブラインで洗浄し、乾燥
(MgSO4)し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー
による塩化メチレン/酢酸エチル/ヘキサン(1:1:4)を溶出液として用い
た残渣の精製により、一般構造A−4のN−メチルスルホンアミド(80mg,
58%)を固体として得た:1HNMR(CDCl3)δ7.75(d,J=6.8
Hz,2H),7.63(d,J=6.8Hz,2H),7.30−7.19(m,3
H),6.88(d,J=7.8Hz,1H),3.15(s,3H),3.06(d,
J=9.5Hz,1H),1.76−1.71(m,4H),1.44−1.40(m,
1H),1.25−1.10(m,4H),0.93−0.80(m,6H),0.68−
0.53(m,2H),0.24−0.17(m,2H)ppm;13CNMR(CDC
l3)δ176.32,174.87,143.59,140.63,132.68,
129.11,128.39,127.41,125.69,124.37,117.
27,116.35,104.83,86.62,43.40,38.11,16.0
2,13.98,13.57,5.55,4.10ppm;EIMS m/z 50
8(M+).
チャートB
チャートBには、一般構造B−5のN−アルキルアザスピロテトロン酸の調製
方法が記載されている。(PCT/US94/09533により調製された)中
間体B−1の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基の除去により、一
般構造B−2のアミンを、一般構造B−3の様々な量の副産物と共に得る。一般
構造B−4のアルデヒドでの還元的アルキル化により、一般構造B−5のN−ア
ルキル生成物を得る。
実施例BX−1(チャートB、「B−1」(式中、Z5はシクロプロピルであ
って、Z6は4−シアノフェニル))
標題の化合物を、PCT/US94/09553のチャートIにより、調製例
PP−3の生成物を、一般構造C−5のテトロン酸中間体として用いて調製する
。
物性値は以下の通りである:1HNMR(CDCl3)δ7.84(d,J=6.
9Hz,2H),7.80(d,J=11.8Hz,2H),7.73(d,J=15.
1Hz,2H),7.55(d,J=7.4Hz,2H),7.40(t,J=6.9H
z,2H),7.34−7.28(m,2H),7.18−7.09(m,3H),6.8
9−6.86(m,1H),4.41(br,2H),4.24(t,J=6.7Hz
,1H),4.13(br,2H),3.20(br,3H),2.84(d,J=
10.1Hz,1H),2.05−1.94(m,2H),1.57−1.48(m,3
H),0.56−0.51(m,2H),0.16−0.14(m,2H)ppm;13C
NMR(CDCl3)δ177.40,172.98,155.31,144.30
,143.55,143.30,141.08,135.87,132.50,
128.99,127.59,126.89,124.80,124.62,120.
96,119.85,119.51,117.14,115.90,102.31,
79.77,67.51,53.25,46.96,43.59,40.09,13.
29,5.63,4.18ppm;MS(FAB)m/z 702(M+H+).
BP−1および実施例BX−2の調製(チャートB、「B−2」(式中、Z5
はシクロプロピルであって、Z6は4−シアノフェニル))
無水ジメチルホルムアミド(3ml)中のBX−1の溶液(150mg,0.
21mmol)に、室温にて、ジエチルアミン(0.22ml,2.14mmol
)を添加した。得られた溶液を2時間撹拌し、揮発物を減圧下で除去した。得ら
れた残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、濾過し、ジエチルエーテルで
数回洗浄して、望む生成物を、一般構造B−3の様々な量の副産物と共に含有す
る粗混合物を得た。この混合物を、典型的に、さらなる精製なしに用いたが、し
かしながら、純粋なBX−2は、40μmのC−18逆相シリカゲルを用い、3
0% 水性アセトニトリルを溶出液として用いる逆相フラッシュクロマトグラフ
ィーにより、標題の化合物(13mg,13%)を白色固体として得た:1HN
MR(CDCl3)δ7.87(d,J=8.5Hz,2H),7.70(d,J=
8.5Hz,2H),7.23(d,J=7.8Hz,1H),7.13−7.08(
m,2H),6.91(d,J=7.9Hz,1H),3.61−3.19(m,4H
),2.68(d,J=10.0Hz,1H),2.31−2.13(m,2H),1.7
5−1.48(m,3H),0.55−0.37(m,2H),0.22−0.03
(m,2H)ppm;MS(EI)m/z 479.
BP−2および実施例BX−3(チャートB、「B−3」(式中、Z5はシク
ロプロピルであって、Z6は4−シアノフェニル)および実施例BX−4(チャ
ートB、「B−5」(式中、Z5はシクロプロピル、Z6は4−シアノフェニルお
よびZ9はメチル)の調製
無水テトラヒドロフラン(3ml)中の室温での調製BP−1からの粗生成物
の懸濁液に、トリアセトキシホウソ化水素(86mg,0.41mmol)、ア
セトアルデヒド(一般構造B−4(式中、Z9はメチル))(0.075ml,1
.
34mmol)、次いで無水酢酸(0.016ml,0.27mmol)を添加し
た。該溶液を18時間撹拌し、揮発物を減圧下で除去した。残渣を、塩化メチレ
ン/メタノール(5%)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し
、BX−3(23mg,13%)を茶色固体として、BX−4(34mg,25
%)を明るい茶色固体として得た。
BX−3の物性値は以下の通りである:1HNMR(CDCl3)δ7.86−
7.79(m,4H),7.71−7.63(m,4H),7.47−7.38(m
,4H),7.21−7.09(m,3H),6.96−6.93(m,1H),4
.31−4.22(m,1H),3.38−3.35(m,2H),3.18−2.8
5(m,3H),2.71(d,J=10.1Hz,1H),2.35−2.16
(m,2H),1.70−1.53(m,3H),0.55−0.40(m,2H)
,0.21−0.03(m,2H)ppm;MS(FAB)m/z(M+H)65
8.
BX−4の物性値は以下の通りである:1HNMR(CDCl3)δ7.86(
d,J=6.9Hz,2H),7.71(d,J=8.6Hz,2H),7.24(
d,J=7.7Hz,1H),7.1(d,J=7.8Hz,2H),6.93(d,
J=7.9Hz,1H),3.97(br,2H),3.48−3.33(m,2H
),3.24−3.05(m,4H),2.70(d,J=10.0Hz,1H),
2.44−2.24(m,2H),1.80−1.52(m,3H),1.36(t
,J=7.3Hz,3H),0.47−0.41(m,2H),0.19−0.07
(m,2H)ppm;13CNMR(CDCl3)δ177.79,147.34,
143.71,135.91,132.59,128.65,127.81,124.
79,120.89,118.69,117.46,115.68,94.05,9
1.88,52.53,51.91,43.79,30.11,14.05,9.30
,5.75,4.35ppm;MS(EI)m/z 507.
実施例BX−5(チャートB、「B−5」(式中、Z5はシクロプロピル、Z6
は4−シアノフェニルであって、Z9はプロトン)
物性値は以下の通りである:1HNMR(CDCl3)δ7.86(d,J=8.
6Hz,2H),7.71(d,J=8.5Hz,2H),7.25(d,J=8.
6Hz,1H),7.13−7.07(m,2H),6.91(d,J=7.9Hz
,1H),3.62(br,2H),3.40−3.16(m,4H),2.81−
2.55(m,4H),2.41−2.23(m,2H),1.78−1.50(m
,3H),0.68−0.49(m,2H),0.25−0.06(m,2H)pp
m;13CNMR(CDCl3)δ177.85,147.23,143.57,13
5.85,132.50,128.62,127.69,124.65,120.65
,118.15,117.33,115.66,93.81,51.22,43.69
,43.23,30.18,14.07,5.73,4.19ppm;MS(EI)
m/z 493.
チャートC
チャートCは、一般構造C−3のN−アシルアザスピロテトロン酸の調製方法
が記載されている。9−フルオレニルメチルオキシカルボニル保護基の除去に続
く酸塩化物での一般構造C−1の、あるいは無水物での一般構造C−2でのアシ
ル化により、一般構造C−3のアシル誘導体を得る。
調製CP−1および実施例CX−1(チャートC、「C−3」(式中、Z5は
シクロプロビル、Z6は4−シアノフェニルであってZ10はメチル).
無水ジメチルホルムアミド(3ml)中のBX−1の溶液(100mg,0.
14mmol)に、室温でジエチルアミン(0.2ml)を添加した。得られた
溶液を90分間撹拌し、揮発物を減圧下で除去した。
上記で得られた残渣の、無水塩化メチレン(4ml)およびジメチルホルムア
ミド(1ml)中の冷却(0−5℃)溶液に、酸無水物(14.5μL,0.15
mmol)を添加した。該溶液を90分間0−5℃にて撹拌し、揮発物を減圧下
で除去した。残渣を半調製HPLC(24.5×250mm Vydac C−
18カラム)によって精製し、水性アセトニトリルを溶離液として用い、標題の
化合物(31mg,42%)を固体として得た:13CNMR(CDCl3)δ1
76.61,172.71,169.94,144.36,143.37,135.9
6,132.57,129.13,127.74,124.91,120.98,1
19.65,117.27,116.02,103.04,79.65,43.83,
42.98,38.19,33.59,31.93,29.58,20.98,13.
36,5.71,4.32ppm;MS(EI)m/z 521.
実施例CX−2(チャートC、「C−3」(式中、Z5はシクロプロピル、Z6
は4−シアノフェニルであって、Z10はフェニル))
物性値は以下の通りである:13CNMR(CDCl3)δ176.69,172
.76,171.22,144.25,143.42,136.03,134.89,
132.56,130.09,129.04,128.59,127.67,126.
55,124.75,120.93,119.56,117.25,115.92,
102.94,79.78,44.15,43.76,38.72,32.98,32
.58,29.22,13.33,5.70,4.22ppm.
チャートD
以下の化合物は、PCT/US94/09533のチャートIに記載されるよ
うに調製された。
実施例DX−1(PCT/US94/09533のチャートI「I−8」(式
中、R2およびR3はプロピル、Z5はシクロプロピルであって、Z6は3−ピリダ
ジニル)
物性値は以下の通りである:1HNMR(CDCl3)δ9.26−9.24(m
,1H),8.04(d,J=8.5Hz,1H),7.73−7.68(m,1H
),7.28(s,1H),7.18−6.97(m,3H),3.81(br,1
H),2.84(d,J=10.1Hz,1H),1.78−1.51(m,5H)
,1.29−1.07(m,4H),0.89−0.81(m,6H),0.60−
0.45(m,2H),0.18−0.09(m,2H)ppm;13CNMR(CD
Cl3)δ176.10,174.41,161.07,152.78,144.38
,135.27,128.82,128.44,126.33,124.99,12
1.48,120.09,104.19,85.67,43.65,37.88,37
.70,15.75,13.76,13.45,5.75,3.91ppm;MS(E
I)m/z 471.
実施例DX−2(PCT/US94/09533のチャートI「I−8」(式
中、R2およびR3は一緒になって、2−(エチル)シクロヘキシル環、Z5はシ
クロプロピルであって、Z6は4−シアノフェニル))
標題の化合物および実施例DX−3を、PCT/US94/09533のチャ
ートIに記載されるように、PCT/US94/09533のチャートLに記載
されるように調製した2−エチルシクロヘキサノンから調製した。
CX−2の物性値は以下の通りである:MS(EI) m/z 506.
実施例DX−3(PCT/US94/09533のチャートI「I−8」(式
中、R2およびR3は一緒になって、2−(エチル)シクロヘキシル環を表し、Z5
はシクロプロピルであって、Z6は4−シアノフェニル)
CX−2の物理的特性は以下の通りである:MS(EI)m/z 506.
以下の化合物を、PCT/US94/09533のチャートDにより調製した
。
実施例DX−4(PCT/US94/09533のチャートD「D−2」(式
中、R2およびR3はアリール))
CX−2の物性値は以下の通りである:MS(EI)m/z 310.
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/445 ADY A61K 31/445 ADY
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,
MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S
E,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA
,US,UZ,VN
(72)発明者 タイスリボングズ,サビット
アメリカ合衆国49002ミシガン州カラマズ
ー、スワロー5695番
(72)発明者 タスティン,ジェイムズ・マイケル
アメリカ合衆国49083ミシガン州リッチラ
ンド、コットンウッド7681番
(72)発明者 スミス,クラーク・ウィリアム
アメリカ合衆国49009ミシガン州カラマズ
ー、トリントン・ロード6429番
(72)発明者 トマシ,ルーベン・エイ
アメリカ合衆国07960ニュージャージー州
ホワイトハウス・ステーション、プランテ
ーション・ロード1番
(72)発明者 アリストフ,ポール・エイドリアン
アメリカ合衆国49002ミシガン州カラマズ
ー、ブルックムーア・レイン1650番
(72)発明者 スカルニック,ハーベイ・アービング
アメリカ合衆国49009ミシガン州カラマズ
ー、オールド・ディア・ラン1745番
(72)発明者 ハウェ,ダブリュー・ジェフリー
アメリカ合衆国49008ミシガン州カラマズ
ー、エッジムーア・アベニュー1021番