JPH11501543A - 外科処置中における超音波用具による摩擦と発熱とを減少させる方法と用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 患者の身体から白内障などの筋肉を除去する外科的用具であって、１〜２個の注入筒により囲まれた振動針を有している。スリーブの面と針の外面および／または周囲の眼筋肉との間の摩擦を減じることにより、外科的処置中の発熱量を劇的に減らし、ひいては筋肉の熱傷の可能性を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】 外科処置中における超音波用具による 摩擦と発熱とを減少させる方法と用具 発明の分野 この発明は一般に外科処置において用いる方法と用具に関するものであり、特 に外科処置中における好ましくない発熱を実質的に減少させる改良された超音波 方法と用具に関するものである。 関連特許に関する前後参照 この出願は発明「外科処置中における超音波用具による摩擦と発熱とを減少さ せる方法と用具」に関して本出願人により１９９４年１２月３０日に出願された 継続中のアメリカ特許出願第０８／３６７，４５５号の一部継続出願である。 この発明は発明者リチャード マッコールによるアメリカ特許第５，０８４， ００９号「目の外科処置中に用いる液体注入筒」、第５，２８６，２５６号「液 体注入筒」および第５，３５４，２６５号「液体注入筒」に関連する発明である 。 発明の背景 白内障摘出（眼中での外科的切開による白内障の除去方法）などの眼科外科技 術のために多岐に亘る超音波駆動切開用具が開発されてきた。 注入筒へのシリコンまたはシリコンタイプの材料の使用により、白内障摘出時 における眼中の切開端と注入筒の外面との間での液体漏洩が起きている。これは 、シリコンなどの材料の圧縮性の故に、眼中における切開部位を注入筒より大き くする必要があることからきている。 シリコン注入筒の外面と眼の切開部位との間の隙間が最小だと、切開部位は非 剛性のシリコン注入筒を振動チップ（先端）に対して圧迫し、この結果シリコン 注入筒と振動している先端との間に相対摩擦運動が発生する。針が振動するので 、 この相対運動は好ましくない発熱を招く。この発熱はシリコン注入筒を囲んでい る眼筋肉の熱傷と収縮を引き起こすので、非常に好ましくない。眼筋肉の熱傷と 収縮は視覚障害予兆を伴なった深刻な問題である。 テフロンまたは金属系成分などからなる剛性の筒は小さい切開部位を通って挿 入することが可能であり収縮が減少するという利点があるが、剛性注入筒の断面 が眼の切開部位の輪郭と合致しないので、注入筒と切開部位との間には継続性の 漏洩がある。この結果剛性の注入筒外面と眼の切開部位との間には実質的な隙間 があることになる。これは何故かというと、角膜のコラーゲン繊維が変形に抵抗 して、容易に注入筒の形状に沿わないからである。 加えて振動チップは従来からチタニウムで形成されている。そのようなチップ は超音波的に振動して筋肉を除去する作業には適しているので、妥協的な機械的 完全性なしに摩擦を減少させるような方向でチップの組成を改善することは非常 に望ましいのである。 数千件にものぼる白内障眼手術を行なっている出願人の経験からすると、小さ な切開部位として剛性の注入筒をそこに通すことによっては、白内障の外科処置 中における漏洩の問題を完全に除くことは実務上不可能である。これにより傷漏 洩を減少させることにはなるだろうが、問題を除くことにはならない。つまり用 具が変形した切開部位により強く掴持されてしまう結果、切開部位を通って用具 を出し入れすることが非常に困難となるのである。当業者周知のように、白内障 の外科処置中には、白内障の挫傷部位が眼の前後房中の種々の部位から除去され る際に、切開部位を通って用具を頻繁に出し入れするものである。 発明の要約 この発明のひとつの目的は、白内障の外科処置における発熱を減少させる方法 と用具とを提供することにある。 この発明の他の目的は、超音波外科用用具の摩擦起生面上に剛性で滑性な材料 の薄いコーチングを施すことにある。 このコーチングは充分に薄くして、該コーチングを施しても迎合性成分がその 迎合性を残しているようにするのが、望ましい。 この発明のさらに他の目的は、その面に沿っての摩擦が減少するように組成を 変更された超音波振動針を提供することにある。 この発明の患者の眼中の切開部位を通して白内障を除去するための外科用具に あっては、中空で圧縮性の注入筒がテーパー状の先端と、この先端から延在する 筒状部分とを有しており、白内障の除去時には患者の眼中に挿入される中空状の 振動針が設けられており、剛性で中空状のスリーブが空間をおいてこの振動針を 囲んで両者間に液体の通路を画定しており、このスリーブは上記の筒状部分によ り囲まれており、該中空状のスリーブは注入筒が振動針に対して落ち込むのを防 止し、スリーブの移動を阻止部材が阻止し、少なくとも１個のスリーブ面および ／または外針面が面間および／または注入筒の外面と囲んでいる筋肉との間の摩 擦を減少させる。針外面および／または１個以上のスリーブ面は、（１）水の表 面エネルギーになるべく近い表面エネルギーを有して用具の作用中面間に薄い水 の層を残す１個または２個の面、または（２）グラファイトや硫化モリブデンな どのような永久的な非毒性のバイオ適合性の潤滑剤がそれらの面上に設けられる ことにより摩擦を減少させるのが望ましい。 またこの発明の患者の眼中における切開部位を通して白内障を除去する方法に あっては、中空状のスリーブを切開部位に挿入し、スリーブを通して中空状の振 動針を入れ、スリーブを通して眼中に水を供給し、振動針の中空部分を介して水 の供給を除き、振動針の外面と近傍のスリーブの内面間および／またはスリーブ の外面と囲んでいる筋肉間の摩擦を減少させ、もって患者の眼への熱の移転を減 少させるものである。この減少した摩擦は（１）水の表面エネルギーに近い表面 エネルギーを有して上記の手順中面間に薄い水の層を残す１以上の面、または（ ２）グラファイトや硫化モリブデンなどのような永久的な非毒性のバイオ適合性 の潤滑剤をそれらの面上に設けることにより維持するのが望ましい。 またこの発明の超音波振動針およびこれを用いた外科処置にあっては、炭素有 機マトリックス複合物または炭素金属マトリックス複合物などの複合材料から形 成される針を用いるのが望ましい。この針は従来のものよりも強固軽量で薄型で ある。これにより切開端はより鋭くなり、筋肉をより容易に切開することができ る。 さらに以上に加えて、互いに接触する針とスリーブの面を（顕微鏡的スケール において）相互に非迎合性として、切開部位からの圧迫によりこれらの面が互い に圧迫するとき、面上の顕微鏡的隆起の機械的な結合が起きずにスリーブへのエ ネルギーの移動が最小になるようにすることにより、摩擦はさらに減少する。そ のような迎合性が得られても、スリーブはまだ大いに変形可能であって、切開部 位の形状に適合し、スリーブと切開部位間の液体漏洩を防止する。このような有 利な微視的な非迎合性と巨視的な迎合性との組合せは以下に記載するように種々 の方法により達成されるのである。 以下いくつかの図示した実施態様によりこの発明を説明するが、当業者に明ら かな範囲で種々の変更、追加および削除などを行ったものも、この発明の範囲を 逸脱するものではない。 図面の簡単な説明 発明のより良き理解のために以下の図面を参照されたし。 第１図はこの発明による白内障摘出用具の断面図であり、 第１Ａ図は内側スリーブを用いない型式の白内障摘出用具の断面図であり、 第２図はこの発明による白内障摘出用具の第１の実施態様の断面図であり、剛 性で中空状のスリーブおよびテーパー状先端において振動針に締結された外側の 変形可能なスリーブの詳細を示したもの、 第３図はこの発明による白内障摘出用具の第２の実施態様の断面図であり、剛 性で中空状のスリーブおよび隆起を有した振動針の詳細を示したもの、 第４図はこの発明による白内障摘出用具第３の実施態様の断面図であり、剛性 で中空状のスリーブおよびテーパー状の振動針であって長さに沿ってその内外径 が異なるものの詳細を示したもの、 第５図はこの発明による白内障摘出用具の第４の実施態様の断面図であり、剛 性で中空状のスリーブおよびテーパー状振動針であってその内径が一定でありし かも長さに沿ってその外径が異なるものの詳細を示したもの、 第６図はこの発明による白内障摘出用具の第５の実施態様の断面図であり、膨 大基部とネジ部とを具えた剛性で中空状のスリーブの詳細を示したもの、 第７図はこの発明による白内障摘出用具の第６の実施態様の断面図であり、先 端フランジ部を具えた剛性で中空状のスリーブの詳細を示したもの、 第８図はこの発明による白内障摘出用具の第７の実施態様の断面図であり、変 形可能なスリーブに結合された先端フランジ部を具えた剛性で中空状のスリーブ の詳細を示したもの、 第９図は白内障摘出用具に用いるこの発明の剛性で中空なスリーブの一実施態 様を示す。 実施態様の説明 第１〜８図はテーパー状の先端１２と筒状部分１４とを具えたこの発明の圧縮 性注入筒１０の詳細断面図である。該注入筒はさらに振動針１６、剛性で中空状 のスリーブ１８および吐出口２０を有している。 第９図はスペーサー１を具えた白内障摘出用具の中空状スリーブ１８の側面図 である。 白内障摘出用具における公知の作用原理によれば、振動針１６は超音波周波数 で振動し、その先端近傍の筋肉の分解を引き起こす。冷却洗浄液としてはサリン 溶液が用いられ、テーパー状先端１２にある吐出口２０から吐出される。この作 用の詳細は前記のマッコール特許に記載されている。 可撓性の注入筒を用いた従来の白内障摘出用具においては、可撓性の注入筒が 振動針の周りに落ち込んで、スリーブと針との間での摩擦により熱を生成する。 この発明においては前記したように、内側のスリーブ１８および／または特殊な 可撓性注入筒および／または摩擦を減らす針外面を採用することにより、このよ うな問題を回避している。 第２図に示すのはこの発明の一実施態様であり、外側の変形可能な注入筒１０ が先端１２において振動針に密接している。このような注入筒１０と振動針との 密接によりスリーブ１８の先端側への移動が制約される。 第３図に示す実施態様においては、振動針１６が所定の部位に隆起２４を具え ており、これがスリーブ１８の先端側への移動を制約している。 第４図に示す実施態様においては、振動針１６が内側テーパーを有していて、 これが針の基部と先端部とを画定している。先端部は比較的大きな内径１１と外 径０１とを有している。基部はより小さな内外径を有している。第４図に示すよ うに、このような直径の相違により、スリーブ１８の先端側への移動を制約して いる。なぜなら針の先端部の外径がスリーブ１８の内径より大きいからである。 図示の実施態様にあっては針の壁厚は実質的に一定である。 第５図に示す実施態様にあっては、やはり針の先端部と基部とがテーパー付き である。基部の外径は先端部の外径より小さく、針の内径は長さ方向に一定であ る。したがって針の先端部の外径がスリーブ１８の内径より大であるから、基部 の壁厚は減少している。 第６図に示す実施態様にあっては、スリーブ１８が膨大基部２６と雄雌ネジ部 ２８とを有している。このネジ部２８は針支持体２９に螺合しており、この針支 持部はネジ部２８とともに振動針を軸方向に前後動させてかつスリーブ１８の先 端側への移動を制約している。流通孔２７が設けられていて、サリン溶液はここ からスリーブ１８の周りに流れる。また圧縮性注入筒１０もスリーブのネジ部に 螺合している。 第７図に示す実施態様にあっては、スリーブ１８が基部にフランジ部３０を有 しており、このフランジ部３０が注入筒１０の内側肩部１１に当ってスリーブ１ ８の先端側への移動を制約している。ここでも流通孔２７を通ってサリン溶液が スリーブ１８の周りに流れ、注入筒１０上の雌ネジが針支持体２９上の雄ネジと 螺合している。 第８図に示す実施態様にあっては、スリーブ１８が基部にフランジ部３０を有 しており、このフランジ部３０が注入筒１０中の環状隙間に受容されて、スリー ブ１８の先端側への移動を制約している。 第９図に示す白内障摘出用具のスリーブ１８は内径に沿って各端部にスペーサ ー１を具えている。これらのスペーサー１は振動針１６とスリーブ１８との広面 積接触を防止しており、しかもスリーブ１８と振動針１６との間で最大量の流体 が循環することを可能としている。当業者には明らかなように、ここでは絶対的 な同心性は必要なく、スリーブ１８の最小限の面が振動針１６と接触するのであ る。 第１〜８図に示す実施態様にあっては、注入筒１０はシリコンその他の圧縮性 材料から形成してもよく、スリーブ１８は剛性プラスチックその他の適宜な材料 から形成してもよい。さらに吐出口２０を角度付きとして流体が針１６と平行で はない半径方向に吐出するようにすることにより、挫傷した白内障が振動針１６ の内部に引き込まれないようにしている。 第２図その他に示した実施態様においては、シリコン注入筒１０のテーパー状 先端１２が振動針１６に対して圧迫されないのである。なぜならこの部分は振動 針１６の振動期間中は切開部位中には決して保持されないからである。 改良事項の説明 この発明にあっては、針運動により形成される摩擦力を最小とすることにより 、スリーブの表面と外側のスリーブを囲んでいる筋肉と剛性の内側スリーブ（存 在する場合には）と針軸間の結合を減らすのが望ましい。針の運動は高および／ または低周波数運動を含んでいるので、両運動について摩擦力を最小とする必要 がある。面の摩擦接触により形成される摩擦力を最小とすることにより、好まし くない発熱を実質的に減らすことができる。 熱に起因する筋肉の好ましくない損傷を引き起こさずに、許容される最大摩擦 力を推定することは可能である。身体の筋肉の通常温度は３７℃である。眼の表 面筋肉は通常若干冷えており、典型的には３５℃である。また５５℃以上の温度 になると眼筋肉に損傷が起きることが知られている。したがって針／スリーブ、 スリーブ／スリーブおよび／またはスリーブ／筋肉間の境界面を、眼筋肉の温度 上昇が１９℃を越えない、すなわち筋肉温度が５４℃に至らないように設定する ことが必要である。超音波外科処置中に眼筋肉に掛かる熱は、局部的な血液の流 れおよび、スリーブおよび針の中および／または周りおよび眼の前房に流れる流 体、および／または湿潤および冷却のために眼の外面を液浴するのに用いられる 洗浄流体、により除かれる。白内障摘出処置中における流体の流れの速度は非常 に変動することが知られている。特定のタイミング、例えば発振された筋肉によ り超音波針が完全に妨害された時には、眼、超音波針および注入筒を通っての流 体の流速は本質的にはゼロである。 超音波トランスジューサー、ドライバーおよび針の総重量が２３グラムで、周 波数が６０ＫＨｚで、行程が０．００４インチの最悪のシナリオにおいては、つ ぎのような計算となる。超音波出力は約３２ジュール／秒である。もしこのエネ ルギーの８０％がスリーブ上に拡散されると、解放される熱エネルギーは６カロ リー／秒となる。筋肉と接触するスリーブの面積が１５〜２０ｍｍ²で、スリー ブを囲む筋肉の厚い領域が全ての熱を受けるとすると、この筋肉領域における温 度上昇は１０〜１４℃／秒となるだろう。筋肉および流体のこの領域内では、温 度傾斜が存在し、筋肉は最高温度のスリーブと接触し、直接スリーブ接触から最 も離れている部分は温度上昇も少なくなる。 このような条件下で超音波トランスジューサーは全出力状態下なら１．５〜２ ．０秒で５５℃の限界に達する。この発明によれば針の外面とスリーブの内面と の間の動的摩擦係数０．１は発熱を９０％減少させ、筋肉温度が５５℃に達する 前に１５〜２０秒の作業を可能とする。したがってこれらの面および／または他 のスリーブ面の一方または両方は滑り易くかつ非迎合的にされて、０．１〜６０ ，０００Ｈｚに亘る周波数スペクトラム全域に亘って機械的な結合がないように す る。さらにこれらの対面する面は０．０５〜０．２５の動的摩擦係数を有するの が望ましく、０．１５未満であるのがより好ましい。第１Ａ図に示すように、こ の発明により針の外面および注入筒の内外面を適宜コーチングすることにより、 針と外側スリーブとの間に他の剛性注入筒を用いる必要がない程度にまで摩擦を 低減させることが可能である。 好ましき表面処置技術 光学的機能のためには、周囲の筋肉と接触している圧縮性スリーブは筋肉によ り掛けられる力に対して迎合性であるのが望ましく、これにより切開部位の全面 とのよい接触を促進することができる。また硬い（迎合性でない）内面を有して いるのがよく、これにより眼筋肉からの圧力がスリーブを変形させてそれらの面 に押し付けた場合でも、軸（またはスリーブが存在するときには剛性スリーブ） の外面との機械的な連結や結合が発生するのを防止する。したがってスリーブの 内外面は充分親水性であって、これらの面に対する水の接触角が０〜３０度、よ り好ましくは２５度未満となるべきである。加えて両面が硬い（迎合性でない） 面を有していても、内側スリーブ面は硬く外側スリーブ面は迎合性であるのが望 ましい。これによりスリーブが挿入される切開部位の形状に容易に変形できるか らである。そのようなスリーブを形成する方法はいくつかある。 一例を挙げると、ポリ（ポリオキシメチレン−４００デアクリレート）などの 弾性体材料からスリーブを形成し、その内外面に硬いコーチングを施す。この硬 いコーチングは表面を浸漬コーチングまたはスプレーコーチングすることにより 施す。コーチングにはフォトイニシエーターを含んだ高機能性アクリレートおよ びメタアクリレートとの混合物を用いる。例えばペンタエリスリトール テトラ アクリレート、高アルコシレート アリファチック デアクリレート、およびポ リメリザブル ベンゾフェノンまたはチバガイギ社のＤｕｒｃｕｒｅ １１７３ などのアセトフェノン誘導体の混合物などである。伝統的にはテトラアクリレー トの濃度は３〜１５％、より好ましくは５〜７％であり、フォトイニシエーター の濃度は０．２〜８％、より好ましくは０．５〜２％であり、残りがデアクリレ ートである。まず樹脂層がスリーブの表面に施され、ついで紫外線照射により乾 燥される。同様に加熱により乾燥されるフォルマリンも用いることができる。 これに代えて（または加えて）、表面を親水性にして水中での接触角を低くす ることもできる。硬くて親水性の表面層を与える樹脂の例としては、７０〜９０ ％より好ましくは７５〜８５％位のポリ（オキシメチレン）−４００ デアクリ レート、５〜１５％より好ましくは７〜１０％位のビニル フォルムアミド、３ 〜１５％より好ましくは５〜７％位のペンタエリスリトール テトラアクリレー ト、０．２〜８％より好ましくは２〜５％位のＤｕｒｃｕｒｅなどのフォトイニ シエーターなどがある。この組成は加熱乾燥可能に変更することもできる。 すべての場合において、硬い表面層は内部浸透ネットワークを形成することに よりスリーブに強く結合される。これによりスリーブの組成が、迎合性で弾性体 的性質のクロスリンクネットワークからガラス状で使用温度において非迎合性の より高いクロスリンク密度のネットワークまでの、傾斜を与えるのである。 表面に無機性のコーチングを施すこともできる。例えば電子光線沈積法により ＳｉＯ_XまたはＡｌ₂Ｏ₃のコーチングが施される。そのような装置は市販されて いる。 下記の実施例はこの発明の応用を例示するもので、針軸外面とスリーブの内外 面の親水性の増加が認められる。全ての面は比較的非迎合性で摩擦低減に好まし くなっている。 実施例１ 針軸は金属または複合物からなっている。この軸は親水性のポリ（ｎ−ビニル ピロリドン）でコーチングされている。コーチングの厚さは約１００μｍであ り、ビニル ピロリドンのプラズマ重合により直接針軸の表面に施された。スリ ーブはクロスリンク アクリル 熱硬化層（アリファチック デ−またはトリア クリレートおよびシクロヘキシル メタアクリレートなどの高ガラス転位重合体 を形成するモノマー）または内面上にアロマチック ウレタンの硬いセグメント を含んだ硬ポリウレタン樹脂から形成され、これによりアリファチック モノ− またはデ−アクリレート、例えばポリ（プロピル アクリレート−コ−ハイドロ オキシエチレン メタアクリレート）、などの弾性体アクリレート重合体を含ん だバルクを有した親水性にされる。 実施例２ 針軸は金属製で、スリーブは硬い、クロスリンクした、ガラス状の熱硬化性樹 脂の内層から構成されており（好ましくは親水性にされている）、ハイドロオキ シエチル メチルアクリレートおよびポリエチレン グリコール（４００）デア クリレートの弾性体、親水性共重合体により内外コーチングされている。外側コ ーチングは厚さ０．２５ｍｍであり、内側コーチングは厚さ約１００μｍである 。浸漬コーチング法または適当なモノマー組成薄層の重合によりスリーブにコー チングが施された。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ， ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，Ｋ Ｅ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ， ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．圧縮性で中空状で内腔を画定しており、テーパー状の開口先端とこの先端か ら延在する筒状部分を有した注入筒と、 該内腔中に配置されて注入筒との間に空間を画定し、かつ中空状で振動可能な 針と、 中空状で針の一部を囲み、剛性構造を具え、その内径が針の外径より大であり 、針と注入筒との間に流体流路を画定し、注入筒と針との間に半径方向に介装さ れて注入筒が圧迫したときに注入筒が針上に落ち込むのを阻止する剛性スリーブ と、 剛性のスリーブの注入筒から離れての先端方向への移動を阻止する阻止部材と を有してなり、 上記の針と注入筒のテーパー状先端とが互いにインターフェースを構成する面 を具えていて、針の振動運動により起きる該面間の摩擦接触に反応して摩擦を生 成し、これにより周囲の身体の筋肉中における温度上昇が発生され、針と注入筒 の面のうち少なくとも一方が、２秒間より長い摩擦接触により身体の筋肉の温度 を３７〜５５℃に上昇させる温度上昇よりも低い温度上昇に維持する、ように構 成されている ことを特徴とする患者の切開部位を介して筋肉を除去する外科用具。 ２．前記の針が炭素金属マトリックス複合物から構成されていることを特徴とす る請求項１に記載の用具。 ３．前記の針が炭素有機マトリックス複合物から構成されていることを特徴とす る請求項１に記載の用具。 ４．前記の阻止部材が、 剛性スリーブから外側に延在した開口基部フランジ部分と、 フランジ部分から延在し、振動針と螺合う可能なネジ付き延在部分とを有して いる ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 ５．前記の阻止部材が、剛性スリーブから外側に延在して、該剛性スリーブがテ ーパー状先端に向けて移動するのを制約する開口基部フランジ部分を有している ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 ６．前記の注入筒が剛性スリーブを収受する孔を具えており、 前記の剛性スリーブが注入筒に組み付けられている ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 ７．前記の剛性スリーブにはスペーサーが付設されていて、 これらのスペーサーが剛性スリーブの長軸に向けて内側に延在している ことを特徴とする請求項１に記載のスリーブ。 ８．前記のスリーブが水の表面エネルギーに近い表面エネルギーを有した少なく とも１個の面を具えており、これにより該面に対する水の接触角が０〜３０度の 範囲になる ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 ９．前記の水の表面エネルギーに近い表面エネルギーを有した針が外面を具えて おり、これにより該面に対する水の接触角が０〜３０度の範囲になる ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 １０．前記の針の外面がバイオ適合性の潤滑剤でコーチングされている ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 １１．前記のバイオ適合性潤滑剤がグラファイトである ことを特徴とする請求項１０に記載の用具。 １２．前記のバイオ適合性潤滑剤が硫化モリブデンである ことを特徴とする請求項１に記載の用具。 １３．変形可能な中空状スリーブを切開部位に挿入し、 該スリーブを通して中空状の針を振動させ、 中空状のスリーブを介して針の外部から患者の内部へ流体を供給し、 針の中空部を介して該流体を引き抜く手順を含んでなり、 中空状の針を振動させるに際しては、インターフェースにおける摩擦接触から 周囲の身体の筋肉の摩擦接触前の温度３７℃から２秒間より長い全摩擦接触期間 を通して最大５５℃未満の温度に増加するように摩擦を発生せしめ、 該インターフェースが針のいずれかの外面と中空状スリーブの隣接する内面間 、スリーブの外面と切開部位間に位置している ことを特徴とする患者の切開部位を介して筋肉を除去する方法。 １４．中空状スリーブの少なくとも１個の面を振動針の外面の表面エネルギーを 水にそれに近く維持して、該少なくとも１個の面および外面上の水の接触角を０ 〜３０度の範囲にする ことを特徴とする請求項１３に記載の方法。 １５．前記の振動針の外面をバイオ適合性潤滑剤でコーチングする ことを特徴とする請求項１３に記載の方法。 １６．前記のバイオ適合性潤滑剤がグラファイトである ことを特徴とする請求項１５に記載の方法。 １７．前記のバイオ適合性潤滑剤が硫化モリブデンである ことを特徴とする請求項１５に記載の方法。 １８．中空状スリーブの内面の表面エネルギーを水のそれに近く維持して、該面 上の水の接触角を０〜３０度の範囲にし、かつ 振動針の外面をバイオ適合性潤滑剤でコーチングする ことを特徴とする請求項１３に記載の方法。 １９．接触面を具えた中空状の注入筒と、 注入筒を通って突出し、かつ接触面を具えた中空状の針とを有してなり、 少なくとも１個の接触面が水のそれに近い表面エネルギーを有すべく充分に親 水性であって、該接触面上の水の接触角が０〜３０度の範囲にある ことを特徴とする患者の切開部位を介して筋肉を除去する外科的用具。 ２０．迎合性材料から形成された中空状の筒と、 該筒の少なくとも１個の面上の少なくとも１個のコーチング層上に形成された 少なくとも１個のコーチング層とを有してなり、 該層が筒のそれとは対照的に迎合性でなく、 相互浸透ネットワークが筒と層とを結合し、 該ネットワークが複合物を有しており、該複合物が迎合性で弾性体的性質のク ロスリンクネットワークを具えた第１の領域とガラス性で２０〜６０℃の温度に おいて迎合性でないより高いクロスリンク密度のネットワークを具えた第２の領 域を有している ことを特徴とする超音波外科において用いる部品。 ２１．前記の中空状筒が迎合性でない層によりコーチングされた内面を有してい る ことを特徴とする請求項２０に記載の部品。 ２２．前記の内面が水のそれに近い表面エネルギーを有しており、該面上の水の 接触角が０〜３０度の範囲である ことを特徴とする請求項２１に記載の部品。 ２３．前記の中空状筒が水のそれに近い表面エネルギーの外面を有しており、該 面上の水の接触角が０〜３０の範囲にある ことを特徴とする請求項２０に記載の部品。 ２４．中空状の注入筒と、 内側針直径に位置する内針面と外側針直径に位置する外針面とを具えてかつ注 入筒を通って突出し、筋肉の除去中患者の身体内に延在する中空状の振動針と、 筋肉の除去中針に接触する注入筒の面の接触部分とを有してなり、 上記の針がチタニウムに比べてより高い強度−重量比を有した複合物から形成 されている ことを特徴とする患者の切開部位を介して筋肉を除去する外科的用具。