JPH11501227A - 大静脈用フィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 動脈及び静脈から粒子を除去するための同軸的濾過装置（１０）であって、血管内に挿入可能な外側カテーテル（１４）と、遠位端にフィルターを備える内側カテーテル（１７）とを備える。フィルター（１３）は半径方向に拡張可能な受容体であり、バネワイヤ又はプラスチックモノフィラメントの弾性メッシュ構造で作成される。フィルター（１３）は外側カテーテルの遠位端から押し出されると、拡張して血管壁と係合する。注射器（２２）は内側カテーテル（１７）の近位端（１９）に取付けられ、フィルター（１３）内に捕捉された粒子は、内側カテーテル（１７）を通して注射器（２２）内へ吸引される。濾過が不要になったら、弾性材料を外側カテーテル（１４）を通してひっぱることにより、フィルター（１３）を容易に除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 大静脈用フィルター発明の分野 本発明は、一般的には血管内で血液を濾過するための装置に関し、より詳細に は、例えば整形外科手術中及び長骨骨折後に、大静脈中で一時的に使用するため の、半径方向に拡張可能な濾過装置に関する。発明の背景 全股関節形成術等の関節交換手術中に、骨髄脂肪の形態の寒栓、骨髄の骨様破 片、及びセメントが患者の血流中に放出される。このような寒栓は、補綴大腿骨 頭を股臼部品内に再配置する際に、下大静脈（ＩＶＣ）中に大量に放出されるこ とがあり、それにより心肺循環系内に大量の寒栓片を送り込むことになる。寒栓 は、機械的肺動脈閉塞及び潜在的心抑止作用のため有害であるので、濾過除去す る必要がある。 従来の血液濾過装置は、主に比較的大きな凝血塊を濾過除去するように、また 血管内に永久的に設置されるように設計されている。このようなフィルターの大 半は、フィルター配置後の移動を防ぐために、固定装置を備えている。濾過装置 を一旦血管内に配置したら、その装置は永久的なものである。 このような凝血塊濾過装置の例は、1986年10月28日に発行されたモルガード− ニールセン(Molgaard-Nielsen)らの米国特許第4,619,246号に開示されている。 この文献は、患者の 血液中の血栓及び寒栓を捕捉するために、血管内へ導入するように適合された折 り畳み可能なフィルター受容体を開示している。モルガード−ニールセンの装置 は、フィルター受容体に固定された複数の固定脚部を備える。各固定脚部の自由 端は、外方に屈曲して、鈎状となっている。フィルター受容体を血管内に配置す ると、各鈎部が血管壁を貫通して、フィルター受容体を所定位置に保持するので 、血管壁を傷付ける。同様な例が、1993年9月7日に発行されたエル-ノウノウ(El -Nounou)らの米国特許第5,242,462号、及び最近では1994年6月28日に発行された ラズマッセン(Rasmussen)の米国特許第5,324,304号に記載されている。 永久的に設置されるフィルターには、いくつかの欠点がある。第一に、ある形 式のものでは、大静脈内に適切に載置されないと、濾過能力が顕著に低下し、第 二のフィルターを設置する必要が生じる。第二に、フィルターが多量の凝血塊を 蓄積し過ぎて、大静脈全体を閉塞してしまうという症例が全体の１９％にも及ぶ 。第三に、フィルターの固定鈎部による血管壁の侵食が原因となる大静脈破裂の 確率が１５％にも上ることがある。第四に、フィルターを取り除くことが必要と なった場合には、略確実に手術が必要であり、さらには時が経つにつれフィルタ ーの支柱が大静脈内壁によって内皮化するので、取り除くことによって血管をひ どく傷付ける。第五に、永久的なフィルターを取り付けた患者は、一生抗凝血薬 を飲み続けなければならない。血管内にフィルターを取り付けることは通常、寒 栓症の危険性が非常に高い期間に相当す る限られた期間にのみ必要なことであるので、このような欠点は遺憾である。 後で取り除くことができるように、除去可能な大静脈フィルターを一時的に取 り付ける技術が発達してきている。この技術では、フィルターを展開した後もカ テーテルは静脈中に挿入したままとし、導入部位から体外へ突出している。従来 技術とは異なり、このフィルターは血管内に配置してある間に洗浄することがで きる。カテーテルが皮膚から突出しているため、潜在的感染源となる。 別の技術が1994年4月5日に発行されたゴーリー(Gory)らの米国特許第5,300,08 6号に開示されている。ゴーリーの文献では、カテーテルを頚静脈の外側で切断 し、近位端を曲げて封止し、皮膚表面の直下に縫合する。この技術により感染の 危険性は著しく低下する。残念なことに、カテーテルは比較的剛性であるので、 患者にとっては不快なものである。さらに、従来の技術と同様に、フィルターは 血管内に配置されている間には洗浄することができない。 さらに別の技術が1992年4月7日に発行されたゲンター(Guenther)らの米国特許 第5,102,415号に開示されている。この文献は、中間カテーテルの遠位端に受容 体を備え、近位端に吸引装置を備え、血管内に受容体が配置してある間に破片の 除去を補助する、三本一組のカテーテルを開示している。しかしながら、受容体 は弾性被膜つまり膜で被覆されているので、慣用的な意味では血液を濾過するこ とができない。従って、受容体は寒栓のためのフィルターではなく、単に比較的 大きな凝血塊のための受容体である。さらに、ゲンターの文献では、内側カテー テルの遠位端に取付けられた膨張可能なバルーンを使用する必要があり、これが 凝血塊を受容体内へ押し込む。次いで中間及び内側カテーテルを外側カテーテル から完全に取り外し、凝血塊を除去する。ゲンターの文献の受容体は血液を濾過 するものではなく、凝血塊を除去するためには、患者の体内から完全に取り外す 必要がある。発明の要旨 従って本発明の目的は、寒栓及び血栓を濾過除去するための一時的な大静脈用 フィルターを提供することにある。 本発明の別の目的は、血管内に配置されている間に洗浄することができる、改 良された大静脈用フィルターを提供することにある。 本発明のさらに別の目的は、内皮化されずに、大静脈内壁に取付けられる大静 脈用濾過装置を提供することにある。 本発明のさらに別の目的は、血管壁を傷付ける可能性のある鈎部等を必要とし ない大静脈用フィルターを提供することにある。 本発明のさらに別の目的は、展開後、自動的に適切に載置される大静脈用フィ ルターを提供することにある。 本発明の上記及び他の目的を達成するために、好ましくは、それぞれ近位端及 び遠位端を有する内側及び外側カテーテルと、内側カテーテルの遠位端に取付け た自己拡張性フィルターとを備える濾過装置が提供される。このフィルターはメ ッシュ様材料で作成され、展開するとその中を血液が流れるこ とができ、フィルターが不要になったら、圧力をかけて折り畳み、外側カテーテ ルを通して引き抜くことができる。図面の簡単な説明 図１は、本発明の好ましい実施態様の大静脈用濾過装置の使用法を示す人体の 概略図である。 図２は、濾過装置を収縮状態で示す、一部断面拡大図である。 図３は、濾過装置を拡張状態で示す、一部断面図である。 図４は、粒子が内側カテーテルを通して吸引装置へと吸引されるところを示す 、拡張状態にある濾過装置の一部断面図である。好ましい実施態様の詳細な説明 図面を参照すると、本発明の好ましい大静脈用濾過装置１０が展開状態で示さ れ、寒栓及び／又は血栓１１（図４）がフィルター１３によって下大静脈１２か ら濾過除去される。濾過装置１０は、近位端１５及び遠位端１６を有するシース つまり外側カテーテル１４と、外側カテーテル１４の貫通管腔１８内で軸方向に 滑動可能な、同軸の内側カテーテル１７とを備える。内側カテーテル１７は、近 位端１９及び遠位端２０を有し、貫通管腔２１を備え、以下に説明する理由のた め、その近位端１９で吸引装置、好ましくは注射器２２に接続される。 フィルター１３は、メッシュ様で折り畳み可能な籠からなり、展開する（開く ）と、患者の血液が開いたフィルター１３を通って患者の心臓へと流れることが できる（矢印２９参 照）ように、内側カテーテル１７の遠位端２０に接続される。展開後、濾過除去 すべき物質１１は、注射器２２によって内側カテーテル１７の管腔２１を通して 吸引され、この注射器２２は、内側カテーテル１７の近位端１９にある口２４に 接続される。 フィルター１３の構造は重要ではなく、本発明に従って種々の構造を用いるこ とができる。必要なことは、フィルターが自己拡張性であって、、外側カテーテ ル１４から解放されると、拡張して大静脈と接触すること、及び当然ながら、拡 張時に問題の粒子の通過を妨げる材料で作成されていることである。フィルター はまた、濾過の必要がなくなった後に引き出すことができるように、外側カテー テルに接触することにより圧縮可能でなければならない。 本発明のフィルターとして使用するのに適した材料は、自己拡張性のステント として使用することが提案されているものである。このような構造の一つは、米 国特許第4,655,771号に記載されており、この文献は参照により本明細書に組み 込まれる。この特許に開示されるステントは、半径方向自己拡張性の螺旋を規定 する多数の糸エレメントからなる、半径方向及び軸方向に可撓性である弾性管状 体である。糸エレメントは、前記特許に記載されるように、金属性又はプラスチ ック性とすることができる。このような自己拡張性螺旋に半径方向の圧力を加え ると、直径が減少する。このことは、この発明の場合、フィルターを圧縮すると 外側カテーテル１４内に嵌合するのに充分なだけフィルターの直径を減少させる ことができることを意味する。 外側カテーテル１４の近位端１５は、側口３２とロック式隔膜３４とを備える ハブ３０に接続され、内側カテーテル１７はこの隔膜３４を通して延長する。こ の形式のハブは慣用のものである。以下に説明するように、カテーテル１７に負 圧を適用することができるように、内側カテーテル１７の近位端は、ルーアーロ ック（番号は付さず）によって注射器２２に接続することができる。ロック式隔 膜３４をゆるめると、内側カテーテル１７は外側カテーテル１４に対して軸方向 に移動させることができる。隔膜３４をロックすると、内側カテーテル１７は流 体密封シール内の所定位置に保持される。側口３２はヘパリン添加生理食塩水を 満たした注射器３６に接続することができ、フィルター１３を拡張した後に、こ の食塩水を外側カテーテル１４中へ圧出させることができる。また、加圧された IVバッグを側口３２に接続して、カテーテル間にヘパリン添加生理食塩水を連続 的に流してもよい。これにより、二つのカテーテル１７、１４間の間隙に凝血塊 が蓄積するのを防ぐことができる。 好ましくは、フィルター１３及び内側カテーテル１７は、製造中に外側カテー テル１４内へ装填し、組立体全体を患者の血管内へ配置することができるように する。図１及び図２を参照して、フィルター１３を血管１２内に正しく配置する には、外側カテーテル１４の遠位端１６を、患者の右内頚静脈内へ、好ましくは 当業界でよく知られているように、セルディンガー針及びガイドワイヤを用いて 挿入する。外側カテ ーテル１４の遠位端１６には適当なマーカー（図示せず）を設け、Ｘ線透視法に よってその位置を確認し、カテーテル１４の遠位端１６が下大静脈１２の腎臓下 部分へ前進してきた時に、操作者がそれを知ることができるようにしてもよい。 装置を適切に配置したことをＸ線透視法で確認したら、隔膜３４をゆるめて、 内側カテーテル１７を前進させる。内側カテーテル１７が前進すると、フィルタ ー１３が外側カテーテル１４の遠位端から出始め、それにより外側カテーテルの 保持圧力が除去されると、フィルターが自動的に展開する。フィルターが図３及 び図４に示すように完全に展開すると、フィルターの遠位部分２７は、拡張して 大静脈１２の内表面２５と軽く接触する。この自己拡張性動作によってフィルタ ーは適切に載置され、血管を傷付ける恐れのある鈎部等に頼ることなく、血管内 の所定位置に保持される。一旦拡張すると、フィルター１３を通って流れる血液 中の粒子１１は、フィルターによって捕捉されることになる。 好ましい実施態様においては、医師は、外側カテーテル１４内に内側カテーテ ル１７及びフィルター１３が装填された状態で装置を受け取ることになるであろ うが、カテーテルを分離した部品としてばらばらに提供することもできる。その 場合には、外側カテーテルを患者の血管内に配置した後に、内側カテーテル１７ とフィルター１３とを外側カテーテル１４中に通す。 フィルターは、固定した外側カテーテル１４からフィルターを押し出すように 内側カテーテル１７を押圧することによ って展開させることができる。若しくは、内側カテーテル１７を固定保持して、 外側カテーテル１４を引っぱることによっても展開することができる。どちらの 場合にも、フィルターの編み部は、外側フィルター１４の拘束から自由になると 、拡張してじょうご状の形態となり、フィルターの近位部の拡張は、内側カテー テル１７の遠位端に取り付けてあるため阻止される。この状態で、フィルター１ ３は望ましくない寒栓及び血栓が大動脈へ通過するのを防ぐ。 フィルターを米国特許第4,655,771号に記載の編み工程によって、特に金属フ ィラメントを用いて作成する場合には、フィルターの遠位端を保護縁内に封入し て、血管壁を傷付けるのを防ぎ、フィルターが外側カテーテル１４に対して移動 した場合にひっかかる可能性を低下させることができる。 図４を参照して、フィルター１３が寒栓及び血栓１１を収集したら、注射器２ ２を用いて吸引力をかけて、フィルター１３から内側カテーテル１７の管腔２１ を通して注射器２２内へ粒子１１を吸引し、そこで安全に廃棄することができる 。 注射器２２によって管腔２１内にかけられた吸引力は、血流速度の力よりも大 きい。従って血液は、フィルター１３のメッシュから管腔２１へ、次いで注射器 ２２内へと粒子１１を流すのに充分な力をもって、管腔２１内へ誘導される。こ の工程は、手術中に、大量の粒子１１が大静脈１２内に押し出された場合に、繰 り返し行うことができる。よって、患者の体外に配置した注射器２２によって洗 浄力つまり吸引力を提供するので、フィルター１３は、血管１２から取り外す必 要なく、繰り返し洗浄することができる。 フィルター１３の形状は重要である。好ましい実施態様では、フィルター１３ はじょうご状つまり反転させた傘の形状であるので、内側カテーテル１７を引っ ぱることによって圧縮することができ、それによりフィルター１３のメッシュ様 材料は、外側カテーテル１４の遠位端１６に接触する。連続的に圧力を加えるこ とにより、フィルター１３は折り畳まれ、つまり圧縮され、図２に示す状態とな る。この状態で、フィルター１３は、不要になった後に、容易に取り外すことが できる。 図示及び説明した本発明の実施態様は、望ましい結果を充分に達成することが できるが、この実施態様は説明的な目的のためにのみ図示、説明されたものであ り、限定的な目的はないことが理解されるべきである。従って本発明は添付請求 項によってのみ限定される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ゲールマン，バーナード アメリカ合衆国ニュージャージー州07010, クリフサイド・パーク，ウィンストン・ド ライブ・300・ナンバー・1021

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．血管から粒子を除去するための濾過装置であって、該装置は、 遠位端及び近位端を有する外側カテーテルと、 該外側カテーテル中に挿入するための内側カテーテルとを備え、該内側カテ ーテルは、遠位端及び近位端、並びに貫通管腔を有し、前記外側カテーテルに対 して移動可能であり、前記装置はさらに、 前記内側カテーテルの前記遠位端に取り付けたフィルターを備え、該フィル ターは、前記外側カテーテルによって圧縮可能な、半径方向に拡張可能な材料で 形成され、前記フィルターは、前記外側カテーテルの前記遠位端から延長すると 、拡張して血管と接触する、濾過装置。 ２．前記内側及び外側カテーテルを互いにロックして、該内側及び外側カテーテ ルの意図していない軸方向の相対的移動を防ぐために、該内側及び外側カテーテ ルの前記近位端に配置される締付手段をさらに備える、請求の範囲第１項に記載 の濾過装置。 ３．患者の血管内で血液から粒子を濾過除去する方法であって、該方法は、 外側カテーテルを血管内へ導入する工程と、 該外側カテーテルを血管内の所望箇所へと前進させる工 程と、 遠位に収縮したフィルターを取り付けた内側カテーテルを、前記外側カテー テル内で前記所望箇所へと案内する工程とを含み、前記内側カテーテルは近位に 取り付けた吸引手段を有し、前記方法はさらに、 前記フィルターを前記外側カテーテルの前記遠位端を越えた所望箇所に配置 する工程を含み、該工程により前記フィルターは血管内で半径方向に拡張し、前 記方法はさらに、 前記内側カテーテルに吸引力をかけることにより前記フィルター内から粒子 を吸引する工程と、 前記フィルターを前記外側カテーテルを通して引っぱることにより、血管か ら引き抜く工程とを含む、患者の血管内で血液から粒子を濾過除去する方法。