JPH114684A - 新規β−ホスホグルコムターゼ - Google Patents

新規β−ホスホグルコムターゼ

Info

Publication number
JPH114684A
JPH114684A JP17662297A JP17662297A JPH114684A JP H114684 A JPH114684 A JP H114684A JP 17662297 A JP17662297 A JP 17662297A JP 17662297 A JP17662297 A JP 17662297A JP H114684 A JPH114684 A JP H114684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphate
enzyme
glucose
buffer
stable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17662297A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Nakamura
和雄 中村
Takao Shirokane
孝雄 白兼
Masaru Suzuki
勝 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kikkoman Corp
Original Assignee
Kikkoman Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kikkoman Corp filed Critical Kikkoman Corp
Priority to JP17662297A priority Critical patent/JPH114684A/ja
Publication of JPH114684A publication Critical patent/JPH114684A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 至適pHが中性近辺にあり、かつ熱安定性の
優れた新規なβ−ホスホグルコムターゼの提供。 【解決手段】ラクトコッカス・ラクチス・サブエスピー
・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)
(IFO3427)を培地に培養し、培養物からβ−ホスホ
グルコムターゼを採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、β−D−グルコース−
1−リン酸をβ−D−グルコース−6−リン酸に変換す
る反応を触媒する新規β−ホスホグルコムターゼに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】β−ホスホグルコムターゼ(以下、β−
PGMという)は、例えばマルトペンタオースを基質と
し、マルトース・ホスホリラーゼ、β−PGMおよびグ
ルコース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼを共役酵素と
して用いるα−アミラーゼ活性測定用試薬(生物試料分
析、第9巻、第21〜29頁、1986年)、マルトース、マル
トースホスホリラーゼ、β−PGMおよびグルコース−
6−リン酸・デヒドロゲナーゼを主成分とする無機リン
酸塩分析用試薬(特公昭58-5676)などに用いられてお
り、また、β−アミラーゼ測定用試薬などの一共役酵素
として使用されている(米国特許4,097,336)。
【0003】このようなβ−PGMは、各種微生物の培
養によって製造されており、例えばユーグレナ・グラ
シリス(Euglena gracilis)から得たもの[ユーロピアン
・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(European Jo
urnal of Biochemistry)、第46巻、第631〜637頁、1974
年](公知酵素A)、ラクトバチルス・ブレビス(Lac
tobacillus brevis)から得たもの[アーカイブス・オブ
・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(A
rchives of Biochemistry and Biophysics)、第228巻、
第592〜599頁、1984年](公知酵素B)、ラクトコッ
カス・ラクチス・サブエスピー・ラクチス(Lactococcus
lactis subsp. lactis)から得たもの[ジャーナル・オ
ブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)、第1
76巻、第5304〜5311頁、1994年](公知酵素C)などが
知られている。また、特公昭60-54036号公報には、酵素
の性質についての具体的記載はないものの、ラクトバチ
ルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)DSM20054、
NCIB8836、8561、8562、ラクトバチルス・プランタ
ルム(Lactobacillus plantarum)DSM20174、微工研菌
寄第4628号、ラクトバチルス・レウテリ(Lactobacillus
reuteri)DSM20016、ラクトバチルス・フェルメンテ
ュム(Lactobacillus fermentum)DSM20052、ストレプ
トコックス spec.(Streptococcus spec.)微工研菌寄第4
624号、微工研菌寄第4625号、微工研菌寄第4626号、微
工研菌寄第4627号が当該酵素を製出するという記載があ
る。しかしながら、これら従来公知のβ−PGMは、至
適pH及び熱安定性の点で難点がある。
【0004】例えば臨床検査などでは、酵素類を含む測
定試薬を用い自動分析法などによって中性近辺でしかも
37℃で測定されるのが通例となっており、このためβ
−PGMを使用する場合においても、該酵素には熱安定
性や中性付近の至適pHが要求されており、従来公知の
上記酵素では、反応性を保持するために、いきおい酵素
の使用量が多くせざるを得ないという欠点を有してい
る。更に、最近では、液状試薬の普及に伴い熱安定性の
優れた、長期保存にも耐え得るβ−PGMが要望されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、至適pHが
中性近辺にあり、かつ熱安定性の優れたβ−PGMを提
供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、財団法人発酵
研究所の保存菌ラクトコッカス・ラクチス・サブエスピ
ー・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)
(IFO3427)を培養することにより、目的とするβ−
PGMを提供することができるということを見出し本発
明を完成した。以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】本発明のβ−PGM(以下、本酵素とい
う)の理化学的性質は下記のとおりである。 (1)作用:β−D−グルコース−1−リン酸をβ−D
−グルコース−6−リン酸に変換する。 (2)基質特異性:β−D−グルコース−1−リン酸に
特異的に作用し、α−D−グルコース−1−リン酸には
作用しない。 (3)至適pH及び安定pH範囲:至適pHは、50m
M 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0〜5.
5)、 50mM メス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5
〜7.0)、50mM ヘペス−水酸化ナトリウム緩衝
液(pH7.0〜8.0)、50mM トリス−塩酸緩衝
液(pH8.0〜9.5)および50mM キャプス−水
酸化ナトリウム緩衝液(pH9.5〜10.0)を用い、
各pHにおける本酵素の活性測定を行って求めた(後記
の測定法を使用)。その結果は図1に示すとおりであ
り、本酵素の至適pHは6.8〜7.3、特にpH7.0
近辺である。また、安定pH範囲は、50mM 酢酸−
酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.5〜5.5)、50m
M メス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH5.5〜7.
0)、50mM ヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(p
H7.0〜8.0)、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH
8.0〜9.5)、及び50mM キャプス−水酸化ナト
リウム緩衝液(pH9.5〜11.0)を用い、pH3.
5〜11.0において、30℃で30分間それぞれ処理
した後、本酵素の残存活性を測定して求めた(後記の測
定法を使用)。その結果は図2に示すとおりであり、本
酵素の安定pH範囲は5.0〜9.5である。
【0008】(4)作用適温の範囲:後記力価の測定法
におけると同一の基質・酵素混合液を用い、種々の温度
(25℃〜60℃)にて本酵素の活性測定を行った。そ
の結果は、図3に示すとおりであり、本酵素の作用適温
の範囲は35℃〜42℃である。 (5)力価の測定方法:酵素の力価の測定は下記の方法
で行った。なお、1分間に1μmolのβ−D−グルコ
ース−1−リン酸をβ−D−グルコース−6−リン酸に
変換する酵素量を1単位(U)とする。 試薬の調製 20mM KCl、2.0mM MgCl2、0.8%
(W/V) トリトンX−100、0.3mM D−グ
ルコース−1,6−二リン酸、2.2mM β−D−グ
ルコース−1−リン酸、1.2mM NADP、グルコ
ース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼ(12U/ml)
を含有する20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を調製
する。 活性測定 上記試薬3.0mlを37℃で約5分間予備加温し、次
に適宜に希釈した酵素液0.03mlを加えて反応を開
始し、37℃で反応開始1分後からの1分間における34
0nmの吸光度変化量を測定する。なお、対照は、上記
の操作中本酵素液0.03mlの代わりに精製水を添加
する以外は、すべて同一操作により測定したものであ
る。次に、反応1〜2分間における1分間当りの酵素反
応液と対照との吸光度増加量の差より本酵素活性を測定
する。
【0009】(6)pH、温度などによる失活の条件:
本酵素は、30℃、30分間の処理では、pH5.0〜
9.5で安定であり、図2からわかるように、それより
酸性側またはアルカリ側では徐々に失活する。また、2
mM EDTAを含有する50mMリン酸緩衝液(pH
7.0)を用いて、各温度で15分間処理した場合の本
酵素の熱安定性を調べた。その結果は、図4に示すとお
りであり、本酵素は50℃程度まで安定であり、60℃
で40%以上の活性が残存する。
【0010】(7)金属イオンおよび補酵素の影響:上
記力価の測定法におけると同一の基質・酵素混合液で、
金属イオンを除いた場合、Mg2+イオン、Mn2+イオ
ン、Co2+イオンあるいはNi2+イオンを添加した場
合、およびD−グルコース−1,6−二リン酸を除いた
場合あるいは添加した場合について、各々本酵素の活性
測定を行った。その結果、金属イオンあるいはD−グル
コース−1,6−二リン酸を除いた場合には、本酵素の
活性はほとんど発現されない。Mg2+イオン、Mn2+
オン、Co2+イオンあるいはNi2+イオンを添加した場
合、およびD−グルコース−1,6−二リン酸を添加し
た場合に本酵素反応が活性化される。 (8)阻害および安定化:上記力価の測定法におけると
同一の基質・酵素混合液に、表1に示す種々の金属塩
(各々1mMの濃度)を添加して酵素活性を測定し、そ
の影響を調べた。その結果は、表1に示すとおりであ
り、本酵素は、Zn2+イオン、Cu2+イオンおよびHg
2+イオンにより強く阻害され、またCa2+イオンおよび
Fe2+イオンによっても阻害されるが、安定化に寄与す
る金属塩は見当たらない。
【0011】
【表1】 (9)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法で測定した分子量は約25,000である。 (10)精製方法:本酵素の単離、精製は常法に従って
行うことができ、例えば硫安塩析法、有機溶媒沈殿法、
イオン交換体などによる吸着処理法、イオン交換クロマ
トグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロ
マトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニテ
ィークロマトグラフィー、電気泳動法などが単独または
適宜組み合わせて用いられる。 (11)Km値:ラインウエーバー・バークのプロット
から、β−D−グルコース−1−リン酸に対するKm値
は、約0.23mMである。 (12)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動:ア
クリルアミド4〜20%(W/V)の濃度勾配を有する
ポリアクリルアミドゲルを用い、常法によりSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(以下SDS−PAGE
ということがある)を行った結果、図5に示すごとく本
酵素の単一なバンドが認められた。40mA、60分間
通電後の相対移動度(Rf)は、0.65である。
【0012】本酵素の主要な理化学的性質は前記のとお
りであるが、本酵素は特にその至適pH、熱安定性など
において従来知られているβ−PGM(項番号0003
記載の公知酵素A〜C)とは異なる性質を有する新規な
β−PGMということができる。本酵素とこれらの公知
酵素との主要な理化学的性質の比較を表2に示す。
【0013】
【表2】
【0014】次に、本酵素の製造法について説明する。
まず、使用される微生物は、ラクトコッカス・ラクチス
・サブエスピー・クレモリス(Lactococcus lactis subs
p. cremoris)(IFO3427)であって、該菌株の変種又
は変異株も用いられる。
【0015】なお、本発明における新規β−PGMとし
ては、前記した作用、基質特異性、至適pH、安定pH
範囲、作用適温、熱安定性などの主要な理化学的性質を
有するものであればよく、その他の理化学的性質が多少
の相違を示すものであっても、本発明の酵素として包含
される。
【0016】次に、上記微生物を用いて本酵素を製造す
るためには、通常の固体培養法でもよいが、液体培養法
が好ましい。そしてその培地としては、炭素源、窒素
源、無機物、その他の栄養素を含有するものであれば、
合成培地又は天然培地のいずれでも使用できる。
【0017】炭素源としては、同化可能な炭素化合物で
あればよく、例えばマルトース、スクロース、トレハロ
ース、デンプン加水分解物、グリセリン、糖蜜などが使
用される。窒素源としては、利用可能な窒素化合物であ
ればよく、例えば酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コ
ーンスチープリカー、大豆粉、アミノ酸、硫安、硝酸ア
ンモニウムなどが使用される。その他、食塩、塩化カリ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄、
リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、炭酸ナトリウ
ム、酢酸ナトリウムなどの種々の塩類、ビタミン類、消
泡剤などが使用される。これらの栄養源はそれぞれ単独
で用いることもでき、また組み合わせて用いることもで
きる。
【0018】このようにして調製した液体培地を用いて
本酵素を製造するには、通気攪拌深部培養または振盪培
養などにより好気的に培養しても良いが、微量通気で、
無攪拌で深部培養するのが好ましい。その際に、培地の
初発pHを5〜9程度に調整し、20〜37℃、好まし
くは25〜35℃前後の温度で10〜50時間、好まし
くは15〜25時間培養する。こうすることによって、
培養物中の本酵素が生成、蓄積する。この培養物から本
酵素を採取するには、通常の酵素採取手段を用いること
ができる。
【0019】本酵素は、主に菌体内に存在する酵素であ
るため、培養物から、例えばろ過、遠心分離などの操作
により菌体を分離し、この菌体から本酵素を採取するの
が好ましい。この場合、常法、例えば超音波破砕機、フ
レンチプレス、ダイナミルなどの種々の破壊手段を用い
て菌体を破壊する方法、リゾチームなどの細胞壁溶解酵
素を用いて菌体細胞壁を溶解する方法、トリトンX−1
00などの界面活性剤を用いて菌体から酵素を抽出する
方法などを単独又は組み合わせて採用することができ
る。次いで、ろ過又は遠心分離などにより不溶物を除
き、本酵素の粗酵素液を得る。
【0020】このようにして得られた粗酵素液から本酵
素を必要により単離するには、前記の精製方法が適用で
きる。
【0021】
【発明の効果】本発明は、その至適pHが自動分析法な
どにおいて用いられる酵素類を含む測定試薬の反応系の
pH領域と一致する中性近辺であり、しかも熱安定性が
優れているという性質を兼ね備えていることから、少量
の酵素使用量で測定でき、また本酵素は、その熱安定性
が従来になく優れているため、長期保存にも耐えること
ができるので、特に液状試薬への使用には極めて好適で
ある。
【0022】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。 実施例1(本酵素の製造) マルトース・一水和物0.5%(W/V)、ポリペプト
ン2.0%(W/V)、酵母エキス1.0%(W/
V)、リン酸一カリウム0.5%(W/V)、酢酸ナト
リウム・三水和物0.5%(W/V)、硫酸マグネシウ
ム・七水和物0.02%(W/V)、塩化マンガン・四
水和物0.0002%(W/V)及び水道水からなる培
地(pH7.0)20Lを30L容ジャーに入れて、1
20℃で10分間殺菌した。
【0023】この培地に、財団法人発酵研究所保存菌ラ
クトコッカス・ラクチス・サブエスピー・クレモリス(L
actococcus lactis subsp. cremoris)(IFO3427)の
保存スラント(5本)から、生理食塩水を用いて調製し
た菌体懸濁液を接種し、これを30℃で約24時間、微
量通気、無攪拌で培養して、種培養液とした。
【0024】次いで、前記と同様の培地800Lを含む
1トンタンクに前記種培養液5Lを接種し、30℃で約
24時間、微量通気、無攪拌で培養した。
【0025】培養終了後、培養液約800Lから限外濾
過膜を用いて菌体を集め、2mM EDTAを含有する1
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)[以下緩衝液Aとい
う]にて菌体を洗浄した後、25Lまで限外濃縮して菌
体懸濁液とした。本酵素の精製は、以下に示す操作によ
り行った。 ステップ1(粗酵素液の調製):前記菌体懸濁液25L
に、リゾチーム50gと125mlのトリトンX−10
0を溶解した水溶液1000mlを添加、混合した後、
pHを8.5に調整して35℃で約2時間溶菌した。次
に、硫安400gを溶解した緩衝液A2000mlを添
加、混合した後、10%(V/V)ポリエチレンイミン
水溶液(pH7.0)約1000mlを攪拌しながら滴
下して除核酸処理を行った。濾過助剤を用いて除核酸液
を濾過し、濾過助剤を洗浄した液も含めた上澄液を限外
濾過膜を用いて0.1M塩化カリウムを含有する緩衝液
Aに対して透析した。 ステップ2(DEAE−セルロース・バッチワイズ):
透析液(49L)に、予め緩衝液Aで平衡化したDEA
E−セルロースを添加、混合し、時々攪拌しながら本酵
素をDEAE−セルロースに完全に吸着させ、次いで緩
衝液Aを用いて、このDEAE−セルロースをろ布上で
十分洗浄した後、0.4M塩化カリウムを含有する緩衝
液Aを用いて本酵素をDEAE−セルロースから溶出し
た。この溶出液を、限外濃縮し、0.05M塩化カリウ
ムを含有する緩衝液Aに対して透析した。 ステップ3(QAE−セファデックスA−50・クロマ
トグラフィー):透析液(約5000ml)を、予め
0.05M塩化カリウムを含有する緩衝液Aで平衡化し
たQAE−セファデックスA−50のカラム(20×4
0cm)に吸着させた後、0.2M塩化カリウムを含有
する緩衝液Aにてカラムを洗浄し、次に、0.25M塩
化カリウムを含有する緩衝液Aにより本酵素を溶出さ
せ、活性画分を限外濃縮した。 ステップ4(フェニル−セファロースCL−4B・クロ
マトグラフィー):濃縮液(約100ml)に、20%
飽和になるように硫安を添加、混合した後、20%飽和
硫安を含有する緩衝液Aで平衡化したフェニル−セファ
ロースCL−4Bのカラム(5×15cm)に本酵素を
吸着させ、20%飽和硫安を含有する緩衝液Aにてカラ
ムを洗浄し、次に、20%〜0%飽和硫安を含有する緩
衝液Aの逆直線濃度勾配法により本酵素を溶出させ、活
性画分を限外濃縮し、2mMリン緩衝液(pH6.8)
に対して透析した。
【0026】ステップ5(ヒドロキシアパタイト・クロ
マトグラフィー):透析液をヒドロキシアパタイトのカ
ラム(3.5×20cm)に吸着させた後、2mM リ
ン酸緩衝液(pH6.8)でカラムを洗浄し、次に2m
M〜30mMのリン酸緩衝液(pH6.8)の直線濃度
勾配法にて溶出させ、活性画分を6.0mlまで限外濃
縮した。 ステップ6(バイオゲル A-1.5m・クロマトグラフィ
ー):この濃縮液3.0mlをバイオゲル A-1.5m のカ
ラム(2.5×96.5cm)に通塔させた後、0.1M
塩化カリウムを含有する緩衝液Aを用いてゲルろ過を行
った。前記の方法で2回に分けてゲルろ過を実施し、溶
出された活性画分(合計36ml)を採取した。この精
製酵素液は、全活性が21,000U、全タンパク量が
約107mg、比活性が197U/mgのものであっ
た。
【0027】実施例2(熱安定性の比較) 実施例1と同様にして調製した培地350mlを500
ml容三角フラスコに入れて、120℃で10分間殺菌
した。この培地に、ラクトコッカス・ラクチス・サブエ
スピー・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremo
ris)(IFO3427)の保存スラント(1本)から、生理
食塩水を用いて調製した菌体懸濁液を接種し、これを3
0℃で培養中に2〜3回軽く攪拌して約1日間静置培養
した。
【0028】次いで、この培養液350mlから遠心分
離により菌体を集め、前記緩衝液Aにて菌体を洗浄した
後、−20℃にて一晩凍結保存した。この凍結菌体を室
温にて融解後、0.2%リゾチームと0.5%(W/V)
トリトンX−100を含有する前記緩衝液A10mlを
添加、混合した後、pHを8.5に調整して35℃で約
2時間加温処理した。この処理液から不溶物を遠心分離
により除去した後、上澄液を採取して、粗酵素液とし
た。また対照として公知酵素Cの製造に使用されている
ラクトコッカス・ラクチス・サブエスピー・ラクチス(L
actococcus lactis subsp. lactis)(ATCC19435)
を上記と同様に培養して粗酵素液を得た。
【0029】この2菌株から採取した粗酵素液を、0.
1M リン酸緩衝液(pH6.75)で5倍希釈して、
40℃あるいは50℃で20分間それぞれ処理した後、
前記の力価の測定方法で活性を測定して熱安定性の比較
を行った。ラクトコッカス・ラクチス・サブエスピー・
クレモリス(IFO3427)では、40℃処理でほぼ10
0%の残存活性、50℃処理で約65%の残存活性が認
められた。一方、対照のラクトコッカス・ラクチス・サ
ブエスピー・ラクチス(ATCC19435)では、40℃
処理で約50%の残存活性が認められたが、50℃処理
では全く活性が認められなかった。これらの熱安定性の
結果から、ラクトコッカス・ラクチス・サブエスピー・
ラクチス(ATCC19435)由来のβ−PGMは、ラク
トコッカス・ラクチス・サブエスピー・クレモリス(I
FO3427)由来の本酵素に比較して、非常に不安定であ
ることが示され、公知酵素Cと良く一致した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素の至適pHを示すグラフ。 □:50mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.
0〜5.5)、 ■:50mM メス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
5.5〜7.0)、 ●:50mM ヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
7.0〜8.0)、 ▲:50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0〜9.
5)、 ○:50mM キャプス−水酸化ナトリウム緩衝液(p
H9.5〜10.0)
【図2】本酵素の安定pH範囲を示すグラフ。 □:50mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.
5〜5.5)、 ■:50mM メス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
5.5〜7.0)、 ●:50mM ヘペス−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
7.0〜8.0)、 ▲:50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0〜9.
5)、 ○:50mM キャプス−水酸化ナトリウム緩衝液(p
H9.5〜10.0)
【図3】本酵素の作用適温の範囲を示すグラフ。
【図4】本酵素の熱安定性を示すグラフ。
【図5】本酵素の電気泳動図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有する新規β−ホス
    ホグルコムターゼ。 (1)作用:β−D−グルコース−1−リン酸をβ−D
    −グルコース−6−リン酸に変換する。 (2)基質特異性:β−D−グルコース−1−リン酸に
    特異的に作用し、α−D−グルコース−1−リン酸には
    作用しない。 (3)至適pHおよび安定pH範囲:至適pHは6.8
    〜7.3であり、安定pH範囲は30℃、30分間処理
    で、pH5.0〜9.5で安定。 (4)作用適温の範囲:35℃〜42℃。 (5)pH、温度などによる失活の条件:pH7.0、
    15分間処理により、50℃程度まで安定。
JP17662297A 1997-06-18 1997-06-18 新規β−ホスホグルコムターゼ Pending JPH114684A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17662297A JPH114684A (ja) 1997-06-18 1997-06-18 新規β−ホスホグルコムターゼ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17662297A JPH114684A (ja) 1997-06-18 1997-06-18 新規β−ホスホグルコムターゼ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH114684A true JPH114684A (ja) 1999-01-12

Family

ID=16016805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17662297A Pending JPH114684A (ja) 1997-06-18 1997-06-18 新規β−ホスホグルコムターゼ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH114684A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003300900A (ja) * 2002-04-11 2003-10-21 Lotte Co Ltd カルシウム吸収促進剤及びリン酸カルシウム結晶成長促進剤並びにこれらを含有してなる飲食物と飼料

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003300900A (ja) * 2002-04-11 2003-10-21 Lotte Co Ltd カルシウム吸収促進剤及びリン酸カルシウム結晶成長促進剤並びにこれらを含有してなる飲食物と飼料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0024182B1 (en) Thermo-stable micro-organism and proteolytic enzyme prepared therefrom, and processes for the preparation of the micro-organism and the proteolytic enzyme
US4770997A (en) Thermostable bilirubin oxidase and production process thereof
US5614374A (en) Glycerol dehydrogenase, process for its production and its use
CA1081633A (en) Heat and acid-stable alpha-amylase enzymes and processes for producing the same
US4420562A (en) Method for producing creatinase
JPH114684A (ja) 新規β−ホスホグルコムターゼ
JP3029915B2 (ja) 耐熱性アデノシン−5’−ホスホスルフェートキナーゼ及びその製造法
Yamamoto et al. Purification and properties of an oligo-1, 6-D-glucosidase from an alkalophilic Bacillus species
US5686294A (en) Protein having heat-resistant malate dehydrogenase activity
US4463095A (en) Process for producing α-glycerophosphate oxidase
JP3904098B2 (ja) 改変ザルコシンオキシダーゼおよびその用途
JP3078067B2 (ja) 耐熱性アデノシン−5’−3リン酸スルフリラーゼ及びその製造法
JPH0928375A (ja) トレハロースホスホリラーゼおよびその調製法
JP3959439B2 (ja) 耐熱性トレハラーゼと、その製造法
JP3190537B2 (ja) 新規マルトース1−エピメラーゼの製造方法
JP3532290B2 (ja) 新規マルトースホスホリラーゼ及びその製造方法
JPS63251082A (ja) Nadhオキシダ−ゼの製造法
Odibo et al. Purification and immobilization of Scytalidium sp. α-amylase and its general properties
JP4161232B2 (ja) サルコシンオキシダーゼ活性を有する新規なタンパク質およびその製造方法
JPH0239237B2 (ja) Shusanokishidaazenoseizoho
JP3190531B2 (ja) 新規マルトース1−エピメラーゼ及びその製造方法
JP3040228B2 (ja) L−フコースデヒドロゲナーゼ、その製造方法及びl−フコースの定量法
Odibo et al. Purification and Characterization of a β‐Amylase of Hendersonula toruloidea
JP3649765B2 (ja) 新規なグリセロールキナーゼおよびその製造法
JP3150868B2 (ja) 6ホスホグルコン酸脱水素酵素とその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040824

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20040924

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A521 Written amendment

Effective date: 20040924

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050315