JPH1146782A - ラジカル発生剤処理による植物二次代謝産物の生産促進方法 - Google Patents

ラジカル発生剤処理による植物二次代謝産物の生産促進方法

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JPH1146782A
JPH1146782A JP21060397A JP21060397A JPH1146782A JP H1146782 A JPH1146782 A JP H1146782A JP 21060397 A JP21060397 A JP 21060397A JP 21060397 A JP21060397 A JP 21060397A JP H1146782 A JPH1146782 A JP H1146782A
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group
plant
oxides
oxide
carbon atoms
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JP21060397A
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Osamu Kodama
治 児玉
Shigeru Tamogami
繁 田母神
Yasuhiro Hara
康弘 原
Homare Tabata
誉 多葉田
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 植物体の一部又は全体あるいは培養組織
及び/又は細胞をラジカル発生剤で処理することを特徴
とする当該植物体あるいは培養組織及び/又は細胞に含
まれる二次代謝産物含有量の増加方法。 【効果】 医薬、化粧品、食品添加物、農薬等として有
用な二次代謝産物の含有量を増加させることが可能にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物体又は植物の
培養組織及び/又は細胞を用いて、医薬、化粧品、食品
添加物、農薬など又はこれらの原料として有用な植物二
次代謝産物の生産を促進する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、産業上価値のある植物二次代謝産
物は栽培又は野生植物から抽出されているが、これら植
物体の二次代謝産物を選択的に高めうる方法はほとんど
知られていない。
【0003】また、バイオテクノロジーの一手段である
組織及び/又は細胞培養においても、ムラサキ培養細胞
による創傷治癒薬原料シコニンの生産、薬用ニンジン培
養細胞によるジンセノシド等含有エキスの生産など少数
の例を除けば、植物組織又は細胞培養を用いて工業的に
生産した例は知られていない。
【0004】培養組織及び/又は細胞によるこれら有用
二次代謝産物の生産については、20年以上も前から、大
学、公的研究機関又は企業で精力的に研究が進められて
きたにもかかわらず、実用化に結びついた例は極めて少
ない。その原因の一つに、培養物に含まれる二次代謝産
物の含量が低いことが挙げられる。この二次代謝産物の
含量を増加させる有力な戦略の一つに、培地組成の最適
化が挙げられるが、含量の増加に適した培地組成は植物
種及び二次代謝産物ごとに異なるのが普通であり、また
長期間の検討を要する割には、実用化に充分なレベルに
まで二次代謝産物の含量を増加させることが困難である
ケースが多かったため、効率よく実用化研究を進める上
での障害になっていた[J. Berlin, Biotechnology 2nd
Edition,eds. H-J Rehm and G. Reed, volume eds. H.
Kleinkauf and H. von Dhren, VCH, Weinheim, German
y, 1997, pp. 593-640]。
【0005】近年、汎用的に二次代謝産物の生産性を向
上させる一つの手段として、微生物の培養物などのエリ
シターを培養組織又は細胞に添加する方法が提案された
が、普遍的に使用できる菌種を見いだすことができず、
また生産性向上にも限界があったため、実用化には至ら
なかった。このような背景のもと、特定の植物種では、
前記のエリシターで処理した細胞中で、植物ホルモンの
一種であるジャスモン酸のレベルが高まり、これが二次
代謝産物の生産性向上に寄与することが明らかにされ、
この原理に基づいた植物二次代謝産物の生産促進物質に
関する特許が出願されている(DE 4122208、特開平5-18
4355、特開平8-33490 、特開平7-308196、特開平7-3081
97、特開平8-198863)。
【0006】しかしながら、ジャスモン酸又はその誘導
体類が二次代謝産物の生産性を向上させうる場合でも、
実用化の観点からはその効果は不十分であることが多
く、より効果的な生産性向上策の考案が望まれていた。
【0007】以上の背景のもと、本発明者らは、植物二
次代謝に対するジャスモン酸の効果の解析を通して、ジ
ャスモン酸及びジャスモン酸と実質的に同じ作用を有す
る類縁化合物を植物体、植物組織又は細胞培養に処理す
るにあたって、それら化合物の効果を高めうる方法を考
案し本発明を完成した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、植物体、植
物組織及び/又は培養細胞を用いて、各親植物に含まれ
る二次代謝産物の含量を高めることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】ファイトアレキシンやア
ルカロイド、テルペノイドなど植物二次代謝産物生産に
おいて、ジャスモン酸が生合成関連の遺伝子発現に関わ
るシグナル物質であることを示唆する研究が数多く報告
されているが、ジャスモン酸の下流におけるレセプター
を介した別のシグナル伝達機構の存在、あるいはジャス
モン酸の直接的な遺伝子発現機構など、ジャスモン酸が
いかにしてその作用を発現しているかについては依然不
明である。
【0010】ジャスモン酸やその典型的な誘導体である
ジャスモン酸メチルを外部から植物体に与えたときに植
物が二次代謝産物生産を開始するまでには、多くの場合
長いタイムラグが必要である。更に、これら二次代謝産
物生産を引き起こすために必要なジャスモン酸は比較的
高濃度である。これらの結果は、外部から投与されたジ
ャスモン酸が直接的に二次代謝産物の生産性向上を引き
起こしているのではなく、この生産性向上に至る過程に
は更に二次的な制御因子が存在することを示唆してい
る。そこで、前記タイムラグはジャスモン酸の働きを阻
害する物質がジャスモン酸処理時にすでに細胞内に存在
し、この阻害物質がジャスモン酸の活性発現を遅らせて
いると仮定して研究を進めた。その結果、ジャスモン酸
の活性は植物ホルモンであるサイトカイニンによって完
全に打ち消されることを見いだした。即ち、研究材料と
して用いたイネ葉においては、ジャスモン酸をカイネチ
ンやゼアチンと同時に処理すると、ジャスモン酸のエリ
シター活性(イネの二次代謝産物であり、ファイトアレ
キシンの一種であるサクラネチンの生産性向上)は完全
に阻害された。
【0011】サイトカイニンがフリーラジカルの消去機
能を有するという報告[Frimer, A.A. et al., J. Org.
Chem. 48, 1700-1705 (1983)、Beckman, K.B. and Ingr
am,D.S., Physiol. Mol. Plant Pathol. 45, 229-246
(1994)] や、フリーラジカルの消去剤のタイロンがジャ
スモン酸の活性を阻害したことから、ジャスモン酸によ
って引き起こされる二次的なシグナル伝達機構に活性酸
素の生成が関与していると推測される。
【0012】植物体内において、活性酸素はクロロプラ
ストやミトコンドリアで恒常的に生成しているが、植物
体に対して強い毒性を示すため、クロロプラストではア
スコルビン酸、アスコルビン酸ペルオキシダーゼによっ
て消去されている。アスコルビン酸自体も活性酸素消去
剤として機能することが知られており、本発明者らは、
前記イネ葉を用いた実験から、カイネチンほど顕著では
ないが、アスコルビン酸もジャスモン酸のエリシター活
性を阻害することを見いだしている。しかし、本発明者
らは、このとき高濃度のアスコルビン酸が存在すると、
驚くべきことにジャスモン酸のエリシター活性がかえっ
て強められることを見いだした。アスコルビン酸が過剰
に存在すると、その還元作用によって3 価鉄イオンが2
価鉄イオンに還元され、次いでFenton反応によって活性
酸素の生成が促進されることが知られており[Witerbour
n, C.C., Biochemical J. 198, 124-131 (1981) 、Fee,
J.A., Trends Biochem. Sci. 7, 84-86 (1982)]、同様
のメカニズムによってジャスモン酸のエリシター活性が
促進されたものと結論づけられる。
【0013】ジャスモン酸の作用機構に活性酸素が関与
しているなら、活性酸素を発生させうるラジカル発生剤
のような化合物が存在すれば、ジャスモン酸を外部から
投与しなくとも、二次代謝産物の生産が誘導されると考
えられる。そこで、ニトロソ化合物を用いた反応で発生
した活性酸素を前記イネ葉に処理したところ、顕著なサ
クラネチンの生産が確認され、ラジカル発生剤そのもの
もジャスモン酸と同様エリシター活性を有することを見
いだした。
【0014】即ち、本発明は、植物体の一部又は全体あ
るいは培養組織及び/又は細胞をラジカル発生剤で処理
することを特徴とする当該植物体あるいは培養組織及び
/又は細胞に含まれる二次代謝産物含有量の増加方法、
並びに前記の方法により二次代謝産物含有量が増加され
た植物体の一部又は全体あるいは培養物から当該二次代
謝産物を回収することを特徴とする植物二次代謝産物の
製造方法に関する。
【0015】本発明に用いるラジカル発生剤とは、生体
内に存在するアスコルビン酸などの還元剤と反応してラ
ジカルを生成する化合物をいい、例えばニトロソ化合物
のようなN−オキシド化合物、チトクロームb及びc、
セルロプラスミン誘導体、フェリシアナイド誘導体、ジ
クロロインドフェノール誘導体などがあげられる。本発
明に用いるラジカル発生剤としては、例えば、分子内に
一般式(I):
【0016】
【化4】
【0017】で示される構造を含むN−オキシド誘導
体、具体的には、キノリンN-オキシド類、イミダゾール
N-オキシド類、ピラゾールN-オキシド類、イソチアゾー
ルN-オキシド類、イソキサゾールN-オキシド類、ピリジ
ンN-オキシド類、ピラジンN-オキシド類、ピリミジンN-
オキシド類、ピリダジンN-オキシド類、インダゾールN-
オキシド類、プリンN-オキシド類、イソキノリンN-オキ
シド類、ナフタラジンN-オキシド類、ナフチリジンN-オ
キシド類、キノキサリンN-オキシド類、キナゾリンN-オ
キシド類、シノリンN-オキシド類、プテリジンN-オキシ
ド類、フェナンスリジンN-オキシド類、アクリジンN-オ
キシド類、ペリミジンN-オキシド類、フェナンスロリン
N-オキシド類、フェナジンN-オキシド類、β−カルボリ
ンN-オキシド類(但し、各化合物の環に結合する水素原
子がニトロ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭
素数1〜12のアルコキシ基、アリール基、置換基を有す
るアリール基、アリールアルキル基、置換基を有するア
リールアルキル基、アミノ基及び炭素数1〜12のアルキ
ルアミノ基から選ばれる少なくとも1つで置換されてい
てもよい)が例示される。
【0018】ここで、各化合物の環に結合する置換基と
しては、次の置換基を例示することができる。即ち、炭
素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチル基、エ
チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、
sec-ブチル基、tert- ブチル基、n-ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基等があげられ、炭素数3以上
のアルキル基の中には、環状アルキル基、例えばシクロ
プロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基等を含むアルキル基が包含される。
【0019】また、炭素数1〜12のアルコキシ基として
は、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、
イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、se
c-ブトキシ基、tert- ブトキシ基、ペンチルオキシ基、
ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ
基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキ
シ基、ドデシルオキシ基等があげられ、炭素数3以上の
アルコキシ基の中には、環状アルコキシ基、例えばシク
ロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオ
キシ基、シクロヘキシルオキシ基等を含むアルコキシ基
が包含される。
【0020】また、アリール基又は置換基を有するアリ
ール基としては、例えばフェニル基、p-メトキシフェニ
ル基、p-クロロフェニル基、p-フルオロフェニル基、ナ
フチル基等があげられ、アリールアルキル基又は置換基
を有するアリールアルキル基としては、例えばベンジル
基、p-メトキシベンジル基、p-クロロベンジル基、p-フ
ルオロベンジル基等があげられる。
【0021】また、炭素数1〜12のアルキルアミノ基と
しては、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プ
ロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミ
ノ基、sec-ブチルアミノ基、tert- ブチルアミノ基、n-
ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ
基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ
基、ウンデシルアミノ基、ドデシルアミノ基等があげら
れ、炭素数3以上のアルキルアミノ基の中には、環状ア
ルキルアミノ基、例えばシクロプロピルアミノ基、シク
ロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘ
キシルアミノ基等を含むアルキルアミノ基が包含され
る。
【0022】これらのN-オキシド誘導体の中でも、キノ
リンN-オキシド類が好ましく、更に4-ニトロキノリンN-
オキシドが特に好ましい。また、本発明に用いるラジカ
ル発生剤としては、前記の分子内に前記一般式(I)で
示される構造を有する化合物群の他に、一般式(II)又
は一般式(III) :
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に炭
素数1〜12のアルキル基、アリール基、置換基を有する
アリール基、アリールアルキル基、置換基を有するアリ
ールアルキル基を表す)で示されるN-オキシド誘導体を
あげることができる。ここで、R1、R2及びR3で示される
置換基としては、それぞれ独立に次の置換基を例示する
ことができる。
【0026】即ち、炭素数1〜12のアルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプ
ロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル
基、n-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等
があげられ、炭素数3以上のアルキル基の中には、環状
アルキル基、例えばシクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を含むアル
キル基が包含される。
【0027】また、アリール基又は置換基を有するアリ
ール基としては、例えばフェニル基、p-メトキシフェニ
ル基、p-クロロフェニル基、p-フルオロフェニル基、ナ
フチル基等があげられ、アリールアルキル基又は置換基
を有するアリールアルキル基としては、例えばベンジル
基、p-メトキシベンジル基、p-クロロベンジル基、p-フ
ルオロベンジル基等があげられる。
【0028】以上に示した一般式(I)で示される構造
を分子内に有するN-オキシド誘導体及び一般式(II)又
は一般式(III) で示されるN-オキシド誘導体は、水溶液
又はメタノールなどの有機溶媒−水混合液、Tween など
の界面活性剤を含む水溶液に溶解又は懸濁した後、植物
体に噴霧又は塗布又はそれらに類する方法で投与する
か、あるいは組織及び/又は細胞培養用の培地に溶解又
は懸濁して投与することができる。これらの投与処理に
おける当該N-オキシド誘導体の濃度としては、0.001 mM
〜50 mM が好ましく、中でも0.01 mM 〜20 mM が特に好
ましい。
【0029】また、本発明にかかるラジカル発生剤の使
用にあたっては、ラジカル発生促進剤、即ち、生体内又
は当該処理液中で、酵素的又は非酵素的に酸化され、ラ
ジカル化合物に変化しうる化合物を併用することによっ
て更にその効果を高めることができる。本発明で使用で
きるラジカル発生促進剤としては、アスコルビン酸、ア
スコルビン酸誘導体、トコフェロール及びグルタチオン
等の活性酸素発生剤をあげることができる。ここで、ア
スコルビン酸誘導体としては、ナトリウム塩等のアルカ
リ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、パル
ミチン酸、ステアリン酸等との脂肪酸エステル及びそれ
らのアルカリ又はアルカリ土類金属塩、硫酸エステル又
はその金属塩、リン酸エステル又はその金属塩を例示す
ることができる。
【0030】アスコルビン酸以下、以上に示したラジカ
ル発生促進剤は、水溶液又はメタノールなどの有機溶媒
−水混合液、Tween などの界面活性剤を含む水溶液に溶
解又は懸濁した後、植物体に噴霧又は塗布又はそれらに
類する方法で投与するか、あるいは組織及び/又は細胞
培養用の培地に溶解又は懸濁して投与することができ
る。これらの投与処理における、植物体の一部又は全部
に対する当該ラジカル発生促進剤の濃度としては、1 mM
〜50 mM が好ましく、中でも2 mM〜30 mM が特に好まし
い。また、培養組織及び/又は細胞に対する当該ラジカ
ル発生促進剤の処理濃度としては、0.01 mM 〜50 mM が
好ましく、中でも0.02 mM 〜30 mM が特に好ましい。こ
の対象となる植物形態の違いによる好ましい処理濃度の
差は、主として植物体表面のワックスなどの有無による
浸透性に起因するものであり、本発明に用いるラジカル
発生促進剤の機能の差によるものではない。
【0031】また、本発明に用いるラジカル発生剤は、
前記のジャスモン酸又はその類縁化合物と併せて使用す
ることにより、更にその効果を高めることができる。こ
こで、ジャスモン酸又はその類縁化合物としては、以下
に述べるジャスモン酸類化合物ならびにコロナチン類化
合物をあげることができる。
【0032】本発明で使用されるジャスモン酸類化合物
としては、グループ1)ジャスモン酸に代表されるジャ
スモン酸類、グループ2)チュベロン酸に代表されるチ
ュベロン酸類、及びグループ3)ククルビン酸に代表さ
れるククルビン酸類を例示することができる。グループ
1)ジャスモン酸類の具体例としては、一般式(IV):
【0033】
【化7】
【0034】[式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e
びR1fは、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数1〜6の
アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し;R
2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6のアルキル基を表し;C1 −C2 −C3
−C4 −C5 −C6 からなる側鎖は、1個又は2個以上
の二重結合を含んでいてもよく;R7 は水酸基、OM
(ここで、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原
子又はNH4 を表す。)、NR8a8b(ここで、R8a
びR8bは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のア
シル基、炭素数1〜6のアルキル基又はアミノ酸残基を
表す。)、OR9 (ここで、R9 は炭素数1〜6のアル
キル基又は炭水化物残基を表す。)又は炭素数1〜6の
アルキル基を表し;nは1〜7の整数を表し;前記5員
環は、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成しても
よい。]で示される化合物が挙げられる。グループ2)
チュベロン酸類の具体例としては、一般式(V):
【0035】
【化8】
【0036】[式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e
びR1fは、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数1〜6の
アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し;R
2 、R3 、R4 、R5 及びR6aは、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6のアルキル基を表し;C1 −C2 −C3
−C4 −C5 −C6 からなる側鎖は、1個又は2個以上
の二重結合を含んでいてもよく;R6bは水酸基又は−O
−炭水化物残基を表し;R7 は水酸基、OM(ここで、
Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNH
4 を表す。)、NR8a8b(ここで、R8a及びR8bは、
それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアシル基、炭
素数1〜6のアルキル基又はアミノ酸残基を表す。)、
OR9 (ここで、R9 は炭素数1〜6のアルキル基又は
炭水化物残基を表す。)又は炭素数1〜6のアルキル基
を表し;nは1〜7の整数を表し;前記5員環は、隣接
する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。]で
示される化合物が挙げられる。グループ3)ククルビン
酸類としては、一般式(VI):
【0037】
【化9】
【0038】[式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e
びR1fは、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数1〜6の
アルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し;R
2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、それぞれ水素原子又
は炭素数1〜6のアルキル基を表し;C1 −C2 −C3
−C4 −C5 −C6 からなる側鎖は、1個又は2個以上
の二重結合を含んでいてもよく;R7 は水酸基、OM
(ここで、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原
子又はNH4 を表す。)、NR8a8b(ここで、R8a
びR8bは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のア
シル基、炭素数1〜6のアルキル基又はアミノ酸残基を
表す。)、OR9 (ここで、R9 は炭素数1〜6のアル
キル基又は炭水化物残基を表す。)又は炭素数1〜6の
アルキル基を表し;nは1〜7の整数を表し;前記5員
環は、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成しても
よい。]で示される化合物が挙げられる。
【0039】前記一般式(IV)、(V)及び(VI)にお
いて、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f、R2 、R
3 、R4 、R5 、R6 、R6a、R7 、R8a、R8b又はR
9 で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、例え
ばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t−
ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ
る。
【0040】前記一般式(IV)、(V)及び(VI)にお
いて、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e又はR1fで表され
る炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキ
シ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ
基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ
基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキ
シルオキシ基が挙げられる。
【0041】R7 がOMである場合において、Mで表さ
れるアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子として
は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムが挙げら
れる。R7 がNR8a8bである場合において、R8a又は
8bで表される炭素数1〜6のアシル基は、直鎖、分岐
鎖のいずれでもよく、例えばホルミル基、アセチル基、
プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイ
ル基、アクリロイル基が挙げられる。
【0042】R7 がNR8a8bである場合において、R
8a又はR8bで表されるアミノ酸残基としては、イソロイ
シル基、チロシル基、トリプトフィル基が挙げられる。
7 がOR9 である場合において、R9 で表される炭水
化物残基、及び前記一般式(V)においてR6bが−O−
炭水化物残基である場合における炭水化物残基として
は、グルコピラノシル基が挙げられる。
【0043】また、前記一般式(IV)、(V)又は(V
I)で示される化合物においては、5員環は、隣接する
環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。前記一般
式(IV)、(V)又は(VI)で示される化合物の好まし
いものとしては、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e
1f、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 が水素原子であ
り、R7 が水酸基又はメトキシ基であり、C1 −C2
3 −C4−C5 −C6 からなる側鎖が、二重結合を含
まないか、あるいはC1 とC2 、C2 とC3 又はC3
4 の間で二重結合を含む化合物が挙げられる。
【0044】本発明で使用されるジャスモン酸類化合物
は、ジャスモン酸、チュベロン酸又はククルビン酸と実
質的に同様の生理活性を有する誘導体であれば、特に制
限はなく、例えば、ジャスモン酸、チュベロン酸又はク
クルビン酸の、アルキル部分の炭素数が1〜6であるア
ルキルエステル、あるいはジャスモン酸もしくはチュベ
ロン酸の環上オキソ基のイミノ置換体又はククルビン酸
の環上水酸基のアミノ置換体を用いることもできる。
【0045】本発明で使用される前記一般式(IV)、
(V)又は(VI)で示される化合物には種々の立体異性
体(シストランス異性体、光学異性体)が存在するが、
それぞれの異性体を単独で用いても、混合物の形で用い
てもよいが、シス体化合物を用いることが特に好まし
い。
【0046】以上のジャスモン酸類の中でも前記一般式
(IV)、(V)及び(VI)において、R1a、R1b
1c、R1d、R1e、R1f、R2 、R3 、R4 、R5 及び
6 が水素原子であり、R7 が水酸基又はメトキシ基で
あり、nが1であり、C3 とC4の間で二重結合を含ん
でいる化合物であるジャスモン酸又はジャスモン酸メチ
ル、チュベロン酸又はチュベロン酸メチル、及びククル
ビン酸又はククルビン酸メチルが特に好ましい。また、
本発明で使用されるコロナチン類化合物としては、一般
式(VII) :
【0047】
【化10】
【0048】又は一般式(VIII):
【0049】
【化11】
【0050】[式中、R10は、水酸基、OR11(ここ
で、R11は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭水化物残
基を表す。)、OM1 (ここで、M1 は、アルカリ金属
原子、アルカリ土類金属原子又はNH4 を表す。)又は
NR12a 12b (ここで、R12a及びR12b は、それぞ
れ独立に水素原子、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1
〜6のアルキル基、アミノ酸残基又は一般式(IX):
【0051】
【化12】
【0052】(ここで、R13は、水素原子、水酸基、炭
素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基
又は次式 −CO−R16 (式中、R16は、水酸基、OM2 (ここで、M2 は,ア
ルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNH4 を表
す。)、NR17a 17b (ここで、R17a 及びR
17b は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアシ
ル基、炭素数1〜6のアルキル基又はアミノ酸残基を表
す。)又はOR18(ここで、R18は、炭素数1〜6のア
ルキル基又は炭水化物残基を表す。)を表す。)で示さ
れる基を表し;R14a 、R14b 、R15a 及びR15b は、
それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアル
キル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で示
される基を表す。)を表し;R19a 、R19b 、R20a
20b 、R21、R22、R23a 、R23b 、R24a
24b ,R25a 、R25b 、R26及びR28は、それぞれ独
立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基又は
炭素数1〜6のアルコキシ基を表し;R27は、水素原
子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭水化物残基を表
し;式中の五員環及び六員環は、隣接する炭素原子間で
二重結合を形成してもよい。]で示される化合物等が挙
げられる。
【0053】前記一般式(VII) 、(VIII)及び(IX)にお
いて、R11、R12a 、R12b 、R13、R14a 、R14b
15a 、R15b 、R17a 、R17b 、R18、R19a 、R
19b 、R20a 、R20b 、R21、R22、R23a 、R23b
24a 、R24b ,R25a 、R25b 、R26、又はR27で表
される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、sec −ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル
基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
【0054】前記一般式(VII) 、(VIII)及び(IX)にお
いて、R13、R14a 、R14b 、R15a 、R15b
19a 、R19b 、R20a 、R20b 、R21、R22
23a 、R23b 、R24a 、R24b ,R25a 、R25b 、又
はR26で表される炭素数1〜6のアルコキシ基として
は、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ
基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチル
オキシ基、ネオペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ
基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が
挙げられる。
【0055】R10又はR16が、OM1 又はOM2 である
場合において、M1 又はM2 で表されるアルカリ金属原
子又はアルカリ土類金属原子としては、例えばナトリウ
ム、カリウム、カルシウム等が挙げられる。
【0056】R10又はR16が、NR12a NR12b 又はN
17a 17b である場合において、R12a 、R12b 、R
17a 又はR17b で表される炭素数1〜6のアシル基は、
直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、例えばホルミル基、ア
セチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、
ヘキサノイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0057】R10又はR16が、NR12a NR12b 又はN
17a 17b である場合において、R12a 、R12b 、R
17a 又はR17b で表されるアミノ酸残基としては、例え
ばイソロイシル基、バリル基、グルタミル基、リジル基
等が挙げられる。
【0058】R10又はR16が、OR11又はOR18である
場合において、R11又はR18で表される炭水化物残基と
しては、例えばグルコピラノシル基が挙げられる。前記
一般式(VIII)において、R27で表される炭水化物残基と
しては、例えばグルコピラノシル基が挙げられる。コロ
ナチン類化合物の好ましい化合物としては、次式
(X):
【0059】
【化13】
【0060】で示されるコロナチン、又は次式(XI):
【0061】
【化14】
【0062】で示されるコロナファシック酸が挙げられ
る。前記ジャスモン酸類化合物又はコロナチン類化合物
は、前記のラジカル発生剤同様、水溶液又はメタノール
などの有機溶媒−水混合液、Tween などの界面活性剤を
含む水溶液に溶解又は懸濁した後、植物体に噴霧又は塗
布又はそれらに類する方法で投与するか、あるいは組織
及び/又は細胞培養用の培地に溶解又は懸濁して投与す
ることができる。これらの投与処理の際の濃度は、ジャ
スモン酸類化合物については0.01μM 〜1000μM 、好ま
しくは 0.1μM 〜700 μM を例示でき、コロナチン類化
合物については、0.001 μM 〜1000μM 、好ましくは0.
01μM〜100 μM を例示できる。
【0063】本発明において、植物体への前記ラジカル
発生剤及びジャスモン酸類化合物又はコロナチン類化合
物の処理時期に特に制限はないが、通常植物体収穫の1
日〜2 週間前に処理することが好ましい。また、ラジカ
ル発生剤とジャスモン酸類化合物又はコロナチン類化合
物は同時に処理してもよいし、時期をずらせて処理して
もよい。
【0064】また、培養組織及び/又は細胞への前記ラ
ジカル発生剤及びジャスモン酸類化合物又はコロナチン
類化合物の処理時期についても特に制限はないが、培養
開始時から対数増殖期の間に処理することが好ましい。
このとき、前記植物体への処理の場合と同様、ラジカル
発生剤とジャスモン酸類化合物又はコロナチン類化合物
は同時に処理してもよいし、時期をずらせて処理しても
よい。
【0065】本発明の対象となる植物種としては、下等
植物から高等植物に至るあらゆる植物種があげられ、例
えば、イチョウ科イチョウ属のイチョウ(Ginkgo bilob
a) ;イチイ科植物、好ましくはタキサス・メディア(Ta
xus media) を含むTaxus 属植物などのタキサン型ジテ
ルペン産生植物;ヒノキ科植物、好ましくはニオイヒバ
(Thuja occidentalis)などを含むThuja 属植物;キンポ
ウゲ科植物、好ましくはオウレン(Coptis japonica) な
どを含むCoptis属植物ならびにアキカラマツ(Thalictru
m minus)などを含むThalictrum属植物;メギ科植物、好
ましくはメギ(Berberis thunbergii) などを含むBerber
is属植物ならびにPodophyllum peltatumなどを含むPodo
phyllum 属植物;ツヅラフジ科植物、好ましくはタマサ
キツヅラフジ(Stephania cepharantha) などを含むStep
hania 属植物;ケシ科植物、好ましくはケシ(Papaver s
omniferum)などを含むPapaver 属植物;ウリ科植物、好
ましくはヘチマ(Luffa cylindrica)などを含むLuffa 属
植物ならびにメロン(Cucumismelo)などを含むCucumis
属植物ならびにスイカ(Citrullus vulgaris)などを含む
Citrullus 属植物;マメ科植物、好ましくはダイズ(Gly
cine max) などを含むGlycine 属植物ならびにソラマメ
(Vicia faba)などを含むVicia 属植物ならびにインゲン
マメ(Phaseolus vulgalis)などを含むPhaseolus 属植
物;ニッサ科植物、好ましくはキジュ(Camptotheca acu
minata) などを含むCamptotheca 属植物;トウダイグサ
科植物、好ましくはハナキリン(Euphorbia millii)など
を含むEuphorbia 属植物;ウコギ科植物、好ましくはオ
タネニンジン(Panax ginseng) などを含むPanax 属植
物;ヤマゴボウ科植物、特に好ましくはヨウシュヤマゴ
ボウ(Phytolacca americana)などを含むPhytolacca属植
物;アカザ科植物、好ましくはビート(Beta vulgaris)
などを含むBeta属植物;キョウチクトウ科植物、好まし
くはインドジャボク(Rauworfia serpentina)などを含む
Rauworfia 属植物ならびにニチニチソウ(Catharanthus
roseus) などを含むCatharanthus属植物ならびにツルニ
チニソウ(Vinca major) などを含むVinca 属植物ならび
にストロファンツス(Strophanthus gratus) などを含む
Strophanthus属植物;ナス科植物、好ましくはズボイシ
ア(Duboisia myopoloides)などを含むDuboisia属植物な
らびにアメリカチョウセンアサガオ(Datura innoxia)な
どを含むDatura属植物ならびにトウガラシ(Capsicum an
nuum) などを含むCapsicum属植物;ゴマノハグサ科植
物、好ましくはジギタリス(Digitalis purpurea)などを
含むDigitalis 属植物;ムラサキ科植物、好ましくはム
ラサキ(Lithospermum erythrorhizon)などを含むLithos
permum属植物ならびにマクロトミア;オイクローマ(Mac
rotomia euchroma) などを含むMacrotomia属植物ならび
にセイヨウムラサキ(Echium lycopsis) などを含むEchi
um属植物;キキョウ科植物、好ましくはロベリア(Lobel
ia inflata) などを含むLobelia 属植物;アカネ科植
物、好ましくはアカネ(Rubia akane) などを含むRubia
属植物;ヨモギ科植物、好ましくはクソニンジン(Artem
isia annua)などを含むArtemisia 属植物;ユリ科植
物、好ましくはイヌサフラン(Colchicumautumnale) な
どを含むColchicum 属植物;ヤマノイモ科植物、好まし
くはDioscorea composita などを含むDioscorea 属植物
ならびにオニドコロ(Aspidistraelatior)などを含むAsp
idistra属植物;イネ科植物、好ましくはイネ(Oryza sa
tiva)などを含むOryza 属植物が例示され、これらの中
でも、Taxus 属植物などのタキサン型ジテルペン産生植
物及びOryza 属植物が特に好ましい。また、Taxus
属植物としては、セイヨウイチイ(Taxus bac
cata LINN)、イチイ(T. cuspidataSIEB. et
ZUCC.) 、キャラボク(T. cuspidata SIEB. et ZUCC. va
r nana REHDER) 、タイヘイヨウイチイ(T. brevifolia
NUTT)、カナダイチイ(T. canadensis MARSH) 、チュウ
ゴクイチイ(T. chinensis)、ヒマラヤイチイ(T. wallic
hiana)、タキサス・メディア(T. media)などをあげるこ
とができ、中でもセイヨウイチイ及びタキサス・メディ
アが好ましい。
【0066】また、本発明はあらゆる二次代謝産物に適
用可能であり、例えば前記の植物が産生する二次代謝産
物が挙げられ、イチョウが生産するギンコリドA(血管
障害改善薬)などのギンコリド類及びビロバリド類、Ta
xus 属植物などが生産するタキソール(制ガン剤)など
のタキサン類、Thuja 属植物などが生産するヒノキチオ
ール(抗菌剤)などのトロポロン誘導体類、Coptis属植
物やThalictrum属植物、Berberis属植物などが生産する
ベルベリン(健胃整腸剤)などのイソキノリンアルカロ
イド類、Podophylum属植物などが生産するポドフィロト
キシン(制ガン剤中間体)などのフェニルテトラリン型
リグナン類、Stephania 属植物などが生産するアロモリ
ン、セファランチン(円形脱毛症治療薬)などのビスベ
ンジルイソキノリンアルカロイド類、Luffa 属植物、Cu
cumis 属植物、Citrullus 属植物などが生産するブリオ
ノール酸(抗アレルギー剤)などのトリテルペン類、Gl
ycine 属植物やVicia 属植物、Phaseolus 属植物などが
生産するマメ科ファイトアレキシン類(抗菌剤)、Camp
totheca 属植物などが生産するカンプトテシン(制ガン
剤中間体)などのキノリンアルカロイド類、Euphorbia
属植物などが生産するアントシアニン類(色素)、Pana
x 属植物などが生産するジンセノシド(強壮剤)などの
ジンセンサポニン類、Phytolacca属植物、Beta属植物な
どが生産するベタニン(色素)などのベタシアニン類、
Rauworfia 属植物などが生産するレセルピン(血圧降下
剤)や、Catharanthus属植物などが生産するカサランチ
ン、ビンドリン、ビンブラスチン(制ガン剤又は制ガン
剤中間体)、Vinca 属植物などが生産するビンカミン
(脳機能改善薬)などのインドールアルカロイド類、St
rophanthus属植物やDigitalis 属植物などが生産するス
トロファンチン、ジゴキシン(強心剤)などのステロイ
ド配糖体類、Duboisia属植物、Datura属植物などが生産
するヒヨスチアミン、スコポラミン(鎮痙剤)などのト
ロパンアルカロイド類、Capsicum属植物などが生産する
カプサイシン(辛み成分)などのフェニルプロパノイド
類、Lithospermum属植物、Macrotomia属植物、Echium属
植物などが生産するシコニン、アルカニン(創傷治療
剤)などのナフトキノン類、Lobelia 属植物などが生産
するロベリン(呼吸興奮剤)などのロベリアアルカロイ
ド類、Rubia 属植物などが生産するプルプリン(色素)
などのアントラキノン類、Artemisia 属植物などが生産
するアルテミシニン(抗マラリア剤)などのセスキテル
ペンラクトン類、Colchicum 属植物などが生産するコル
ヒチン(痛風薬)などのコルヒクムアルカロイド類、Di
oscorea 属植物、Aspidistra属植物などが生産するジオ
スゲニン(ステロイドホルモン中間体)などのステロイ
ド類、Oryza 属植物などが生産するサクラネチン、モミ
ラクトン(抗菌剤)などのイネファイトアレキシン類が
例示される。これらの中でも、イネファイトアレキシン
及びタキサン型ジテルペンが好ましい。
【0067】また、タキサン型ジテルペンとしては、タ
キソール、10- デアセチルタキソール、7-エピタキソー
ル、バッカチンIII 、10- デアセチルバッカチンIII 、
7-エピバッカチンIII 、セファロマニン、10- デアセチ
ルセファロマニン、7-エピセファロマニン、バッカチン
VI、タキソールC 、タキシシンI、タキシシンIII 、タ
キシンI、タキシンII、タキサギフィン、タキサン1a、
キシロシルタキソール及びキシロシルセファロマニンな
どを例示することができる。
【0068】
【発明の実施の形態】前記植物の栽培又は組織及び/又
は細胞培養は、本発明によりラジカル発生剤等の存在下
に行うこと以外は、従来から知られている方法によって
行うことができる。また、生産された二次代謝産物は、
得られた植物体又はその一部、培養組織及び/又は細胞
及び/又は培地等の培養物から、メタノール等の有機溶
媒による抽出によって回収することができる。また、組
織及び/又は細胞培養の場合には、培地中に適当な吸着
剤や有機溶媒を共存させ、連続的に回収することもでき
る。本発明における組織及び/又は細胞培養の好ましい
例としては、次の方法が挙げられる。
【0069】前記植物の一部、例えば根、生長点、葉、
茎、種子などから採取される植物片を殺菌処理後、ゲラ
ンガムで固めたムラシゲ;スクーグ培地などの固体培地
上に置床し、10〜35℃で14〜60日程度経過させて組織片
の一部から、苗条、培養根又はカルスを生成させる。こ
のようにして得られた培養体を継代培養すると生育速度
が漸次高まり安定化した培養体が得られる。ここで、安
定化した培養体とは、培養中に目的外の器官分化やカル
ス化が起こらない状態を保持する性質をもち培養体の生
育速度が均質であるものをいう。
【0070】この安定化した培養体を増殖に適した液体
培地、例えばムラシゲ;スクーグの液体培地に移して増
殖させる。液体培地において更に生育速度が高められ
る。本発明では、この安定化した培養体は、前記ラジカ
ル発生剤等の存在下で固体培地又は液体培地で培養され
る。
【0071】本発明における培養のための温度として
は、通常は約10〜約35℃、特に約23〜28℃が増殖速度が
大きいので好適である。また、培養期間としては、7〜
42日間が好適である。また、培養体が苗条である場合、
又は二次代謝産物の生成に光が必要な場合には、培養体
を蛍光灯など、1,000 〜10,000ルックスの照明下で行う
ことも可能である。
【0072】本発明における培養方法において液体培地
を用いた場合には、培養終了後に培養体をデカンテーシ
ョン又は濾過等の方法によって培地から分離し、培養細
胞及び/又は培地から目的とする二次代謝産物を有機溶
媒による抽出等の方法によって分離することができる。
以上のようにして生産された二次代謝産物は、得られた
培養体からメタノール等の有機溶媒による抽出によって
分離することができる。
【0073】
【実施例】以下、実施例及び参考例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限
定されるものではない。 (参考例1)10葉期のイネ葉の長辺中央部15 cm を切り
取り、短辺中央部に20ヶ所病菌移植パンチで直径2 〜3
mmの傷を付けた。傷の上面に250 μM の濃度になるよう
に調製したジャスモン酸溶液を25μl 滴下し、組織内へ
浸透させた。同様の操作により、更に4 枚のイネ葉につ
いてもジャスモン酸を組織内に浸透させた。合計5 枚の
イネ葉をプラスチック容器内で26℃、24〜96時間ジャス
モン酸処理した後、傷を付けた各部を含む直径5 mmの葉
をコルクボーラーにて打ち抜くことでジャスモン酸処理
組織片100 枚を調製した。
【0074】このようにして得られたジャスモン酸処理
組織片100 枚を、70% メタノールで3 分間煮沸し、得ら
れたメタノール抽出物を濃縮した後、ジエチルエーテル
抽出を3 回繰り返した。ジエチルエーテル相は窒素下濃
縮乾固し、残渣はメタノールに再溶解して粗抽出物を得
た。
【0075】粗抽出物は水で希釈後、Bond Elut C18
ートリッジにのせ、80% メタノールを用いてサクラネチ
ンを含む画分を溶出した。溶出液は濃縮した後、溶離液
にベンゼン−酢酸エチル−蟻酸(10:1:1)を用いたHPLC
カラム(Nova-pak column, 8NVC18, 8x100mm, Waters)
に導入し、溶出されるサクラネチンをUV検出器を用い
て、285 nmにおける吸光度で検出した。その結果を図
1、図2[A] 、図3[A] に示す。
【0076】(参考例2)参考例1において、イネ葉へ
の処理溶液が250 μM ジャスモン酸+5 μM カイネチン
溶液であること以外は該参考例と同様に操作した。その
結果を図1に示す。 (参考例3)参考例1において、イネ葉への処理溶液が
250 μM ジャスモン酸+10 mM 又は100 mMタイロン(ラ
ジカル消去剤)溶液であること以外は該参考例と同様に
操作した。その結果を図2[B,C] に示す。
【0077】(参考例4)参考例1において、イネ葉へ
の処理溶液が250 μM ジャスモン酸+250 μM 又は500
μM アスコルビン酸溶液であること以外は該参考例と同
様に操作した。その結果を図2[D, E]に示す。 (参考例5)参考例1において、イネ葉への処理溶液が
250 μM ジャスモン酸+5 mMアスコルビン酸溶液である
こと以外は該参考例と同様に操作した。その結果を図2
[F]に示す。
【0078】(参考例6)参考例1において、イネ葉へ
の処理溶液が5 mMアスコルビン酸溶液又は250 μM ジャ
スモン酸+5 mMアスコルビン酸+250 μM カイネチン溶
液であること以外は該参考例と同様に操作した。その結
果を図2[G,H] に示す。 (参考例7)参考例1において、イネ葉への処理溶液が
蒸留水であること以外は該参考例と同様に操作した。そ
の結果を図2[I] 及び図3[I] に示す。
【0079】(参考例8)参考例1において、イネ葉へ
の処理溶液が250 μM ジャスモン酸+7.8 μM 又は31μ
M 又は62μM 又は125 μM 又は250 μM カイネチン溶液
であること以外は該参考例と同様に操作した。その結果
を図3[B〜F]に示す。
【0080】(参考例9)参考例1において、イネ葉へ
の処理溶液が250 μM ジャスモン酸+250 μM アデニン
又は250 μM ゼアチン溶液であること以外は該参考例と
同様に操作した。その結果を図3[G,H] に示す。サイト
カイニン活性を持たないアデニンにジャスモン酸のエリ
シター活性を阻害する効果がなく、サイトカイニンであ
るゼアチンに該阻害効果が認められたことから、該阻害
効果はプリン誘導体に共通して認められるものではな
く、サイトカイニンに共通したものであることが認めら
れた。
【0081】(参考例10)参考例1において、ジャスモ
ン酸の処理濃度が0.5 mM (500 μM ) であること以外は
該参考例と同様に操作した。その結果を図4[A] に示
す。 (参考例11)参考例1において、イネ葉への処理溶液が
500 μM ジャスモン酸及び5 mMアスコルビン酸溶液であ
ること以外は該参考例と同様に操作した。その結果を図
4[B] に示す。
【0082】(実施例1)参考例1において、イネ葉へ
の処理溶液が1.25 mM の4-ニトロキノリンN-オキシド溶
液又は1.25 mM の4-ニトロキノリンN-オキシド+5 mMア
スコルビン酸溶液であること以外は該参考例と同様に操
作した。その結果を図4[C,D] に示す。
【0083】(参考例12)参考例1において調製した25
0 μM ジャスモン酸処理組織片1 g を14 mM メルカプト
エタノール、5 mM EDTA-2Na、10% グリセロール(w/v
)、10%ポリビニルポリピロリドン(PVPP)及び
0.1 g 海砂を含む0.2 M トリス−塩酸緩衝液4 mlを用い
てホモジナイズした。ホモジナイズ液を18,500×g で5
分間遠心分離した後の上清を50μm ナイロンメッシュで
濾過し、ナリンゲニン7-O-メチルトランスフェラーゼ
(以下「NOMT」と略記する)を含む粗酵素液を得た。
【0084】粗酵素液(約200 μg プロテイン)に375
μM ナリンゲニン、0.1 M グリシン-NaOH (pH 9.5;5
mM DTT及び1 mM EDTA を含む)、及び92.5 Bq /μl S-
[14C]アデノシルメチオニンを加え、全容量を160 μl
として、これをメチルトランスフェラーゼアッセイの反
応液とした。27℃で20分間インキュベーションした後、
25μl の6N塩酸を用いて酵素反応を停止し、1 mlの0.4
%2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)シンチレーシ
ョントルエン溶液を加えた。2 相分離後、非極性画分の
放射活性をBeckman Liquid Scintillation Analyzer (L
S1701)を用いて測定し、NOMT活性とした。その結果を図
5[I][A]に示す。
【0085】(参考例13)参考例12において、イネ葉へ
の処理溶液が250 μM ジャスモン酸+250 μM カイネチ
ン又は250 μM ゼアチン溶液であること以外は該参考例
と同様に操作した。その結果を図5[I][B,C]に示す。 (参考例14)参考例12において、イネ葉への処理溶液が
250 μM ジャスモン酸+5 mMアスコルビン酸溶液である
こと以外は該参考例と同様に操作した。その結果を図5
[I][D]に示す。
【0086】(参考例15)参考例12において、イネ葉へ
の処理溶液が250 μM ジャスモン酸+5 mMアスコルビン
酸+250 μM カイネチン溶液であること以外は該参考例
と同様に操作した。その結果を図5[I][E]に示す。 (参考例16)参考例12において、イネ葉への処理溶液が
蒸留水であること以外は該参考例と同様に操作した。そ
の結果を図5[I][F]に示す。
【0087】(参考例17)参考例12において、NOMT活性
測定に精製酵素液を用いた以外は該参考例と同様に操作
した。その結果を図5[II][A] に示す。 (参考例18)参考例17において、NOMT活性測定の際に50
0 μM カイネチン、500 μM ゼアチン、又は5 mMアスコ
ルビン酸を反応液に添加した以外は該参考例と同様に操
作した。その結果を図5[II][B〜D]に示す。いずれにお
いても、酵素活性に有意な差は認められず、サイトカイ
ニン及びアスコルビン酸の効果が当該酵素の活性促進又
は阻害によるものではないことがわかった。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、植物体の一部又は全体
あるいは培養組織及び/又は細胞をラジカル発生剤で処
理することにより、当該植物体あるいは培養組織及び/
又は細胞に含まれる、医薬、化粧品、食品添加物、農薬
等として有用な二次代謝産物の含有量を増加させること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】イネ葉におけるジャスモン酸のサクラネチン生
産促進作用に対するカイネチンの阻害効果を継時的に示
す図である。
【符号の説明】
● 250 μM ジャスモン酸処理 ○ 250 μM ジャスモン酸+5 μM カイネチン処理
【図2】イネ葉におけるジャスモン酸のサクラネチン生
産促進作用に対するタイロン及びアスコルビン酸の効果
(各々48時間処理)を示す図である。
【符号の説明】
[A] 250 μM ジャスモン酸処理 [B] 250 μM ジャスモン酸+10 mM タイロン処理 [C] 250 μM ジャスモン酸+100 mMタイロン処理 [D] 250 μM ジャスモン酸+250 μM アスコルビン酸
処理 [E] 250 μM ジャスモン酸+500 μM アスコルビン酸
処理 [F] 250 μM ジャスモン酸+5 mMアスコルビン酸処理 [G] 5 mMアスコルビン酸処理 [H] 250 μM ジャスモン酸+500 μM アスコルビン酸
+250 μM カイネチン処理 [I] コントロール(蒸留水処理)
【図3】イネ葉におけるジャスモン酸のサクラネチン生
産促進作用に対するカイネチンの阻害効果(72時間処
理)を示す図である。
【符号の説明】
[A] 250 μM ジャスモン酸処理 [B] 250 μM ジャスモン酸+7.8 μM カイネチン処理 [C] 250 μM ジャスモン酸+31μM カイネチン処理 [D] 250 μM ジャスモン酸+62μM カイネチン処理 [E] 250 μM ジャスモン酸+125 μM カイネチン処理 [F] 250 μM ジャスモン酸+250 μM カイネチン処理 [G] 250 μM ジャスモン酸+250 μM アデニン処理 [H] 250 μM ジャスモン酸+250 μM ゼアチン処理 [I] コントロール(蒸留水処理)
【図4】イネ葉におけるジャスモン酸のサクラネチン生
産促進作用に対するアスコルビン酸の効果(各々48時間
処理)を示す高速液体クロマトグラムである。
【符号の説明】
A) 0.5 mMジャスモン酸処理 B) 0.5 mMジャスモン酸処理+5 mMアスコルビン酸処
理 C) 1.25 mM 4-ニトロキノリンN-オキシド処理 D) 1.25 mM 4-ニトロキノリンN-オキシド+5 mMアス
コルビン酸処理
【図5】イネ葉のナリンゲニン7-O-メチルトランスフェ
ラーゼ(NOMT)活性に対するカイネチン及びアスコルビ
ン酸処理又は酵素反応液への添加の効果を示す図であ
る。
【符号の説明】
[I]/[A] 250 μM ジャスモン酸処理 [I]/[B] 250 μM ジャスモン酸+250 μM カイネチン
処理 [I]/[C] 250 μM ジャスモン酸+250 μM ゼアチン処
理 [I]/[D] 250 μM ジャスモン酸+5 mMアスコルビン酸
処理 [I]/[E] 250 μM ジャスモン酸+250 μM アスコルビ
ン酸処理+250 μM カイネチン処理 [I]/[F] コントロール(蒸留水処理) [II]/[A] 精製した酵素標品の活性 [II]/[B] 精製酵素標品+500 μM カイネチンの活性 [II]/[C] 精製酵素標品+500 μM ゼアチンの活性 [II]/[D] 精製酵素標品+5 mMアスコルビン酸の活性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多葉田 誉 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物体の一部又は全体あるいは培養組織
    及び/又は細胞をラジカル発生剤で処理することを特徴
    とする当該植物体あるいは培養組織及び/又は細胞に含
    まれる二次代謝産物含有量の増加方法。
  2. 【請求項2】 ラジカル発生剤が分子内に一般式
    (I): 【化1】 で示される構造を含むN-オキシド誘導体である請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 N-オキシド誘導体がキノリンN-オキシド
    類(但し、当該化合物の環に結合する水素原子がニトロ
    基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12
    のアルコキシ基、アリール基、置換基を有するアリール
    基、アリールアルキル基、置換基を有するアリールアル
    キル基、アミノ基及び炭素数1〜12のアルキルアミノ基
    から選ばれる少なくとも1つで置換されていてもよい)
    である請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 キノリンN-オキシド類が4-ニトロキノリ
    ンN-オキシドである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 N-オキシド誘導体がイミダゾールN-オキ
    シド類、ピラゾールN-オキシド類、イソチアゾールN-オ
    キシド類、イソキサゾールN-オキシド類、ピリジンN-オ
    キシド類、ピラジンN-オキシド類、ピリミジンN-オキシ
    ド類、ピリダジンN-オキシド類、インダゾールN-オキシ
    ド類、プリンN-オキシド類、イソキノリンN-オキシド
    類、ナフタラジンN-オキシド類、ナフチリジンN-オキシ
    ド類、キノキサリンN-オキシド類、キナゾリンN-オキシ
    ド類、シノリンN-オキシド類、プテリジンN-オキシド
    類、フェナンスリジンN-オキシド類、アクリジンN-オキ
    シド類、ペリミジンN-オキシド類、フェナンスロリンN-
    オキシド類、フェナジンN-オキシド類、β−カルボリン
    N-オキシド類(但し、各化合物の環に結合する水素原子
    がニトロ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素
    数1〜12のアルコキシ基、アリール基、置換基を有する
    アリール基、アリールアルキル基、置換基を有するアリ
    ールアルキル基、アミノ基及び炭素数1〜12のアルキル
    アミノ基から選ばれる少なくとも1つで置換されていて
    もよい)のいずれかである請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 N-オキシド誘導体が一般式(II): 【化2】 (式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜12のアル
    キル基、アリール基、置換基を有するアリール基、アリ
    ールアルキル基、置換基を有するアリールアルキル基を
    表す)で示される化合物である請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ラジカル発生剤が一般式(III) : 【化3】 (式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1〜12の
    アルキル基、アリール基、置換基を有するアリール基、
    アリールアルキル基、又は置換基を有するアリールアル
    キル基を表す)で示されるN-オキシド誘導体である請求
    項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ラジカル発生剤の処理濃度が0.001 mM〜
    50 mM である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 ラジカル発生剤の処理濃度が0.01 mM 〜
    20 mM である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ラジカル発生剤の処理にあたって、ア
    スコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール
    及びグルタチオンから選ばれる少なくとも1種の化合物
    で同時に処理する請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 アスコルビン酸誘導体が、アスコルビ
    ン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、脂肪酸エ
    ステル、硫酸エステル及びリン酸エステルから選ばれる
    少なくとも1種の化合物である請求項10に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 対象となる植物がイネ科植物である請
    求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 イネ科植物がイネである請求項12に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 二次代謝産物がファイトアレキシンで
    ある請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 ファイトアレキシンがサクラネチンで
    ある請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 対象となる植物がタキサン型ジテルペ
    ン産生植物である請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 タキサン型ジテルペン産生植物がイチ
    イ属植物である請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 イチイ属植物がセイヨウイチイ(Taxu
    s baccata )又はTaxus media である請求項17に記載
    の方法。
  19. 【請求項19】 二次代謝産物がタキサン型ジテルペン
    である請求項1に記載の方法。
  20. 【請求項20】 タキサン型ジテルペンがタキソール、
    10- デアセチルタキソール、7-エピタキソール、バッカ
    チンIII 、10- デアセチルバッカチンIII 、7-エピバッ
    カチンIII 、セファロマニン、10- デアセチルセファロ
    マニン、7-エピセファロマニン、バッカチンVI、タキソ
    ールC 、タキシシンI、タキシシンIII 、タキシンI、
    タキシンII、タキサギフィン、タキサン1a、キシロシル
    タキソール及びキシロシルセファロマニンよりなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項19に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜20のいずれか1項に記載
    の方法により二次代謝産物含有量が増加された植物体の
    一部又は全体あるいは培養物から当該二次代謝産物を回
    収することを特徴とする植物二次代謝産物の製造方法。
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