JPH1145807A - 超電導マグネット装置 - Google Patents

超電導マグネット装置

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Publication number
JPH1145807A
JPH1145807A JP15025698A JP15025698A JPH1145807A JP H1145807 A JPH1145807 A JP H1145807A JP 15025698 A JP15025698 A JP 15025698A JP 15025698 A JP15025698 A JP 15025698A JP H1145807 A JPH1145807 A JP H1145807A
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JP
Japan
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superconducting
coils
coil
magnet device
superconducting coils
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Application number
JP15025698A
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English (en)
Inventor
Takashi Sasaki
高士 佐々木
Masanori Shin
政憲 新
Koji Ito
孝治 伊藤
Masamichi Kawai
正道 河合
Takahiro Dobashi
隆博 土橋
Yoshihiro Oguchi
義広 小口
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超電導コイルが受ける反発力を支持するサポー
ト構成を簡素に構築し、小型軽量化に最適な装置を比較
的安価に提供する。 【解決手段】超電導マグネット装置は、真空容器1内の
軸方向に対峙して並設される2つの環状超電導コイル2
a、2bと、この2つのコイル2a、2bを支持するサ
ポートとを備える。このサポートを、両コイル2a、2
bを互いに軸方向AXに連結するコイル連結体(連結部
材10及び間隔保持部材20)と、このコイル連結体に
より連結された両コイル2a、2bを一体に支持する支
持体(ヘリウム容器サポート30)とで構成し、この支
持体を介して両コイル2a、2bを真空容器1に取り付
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体用単結晶
の引上げ装置等に使用される超電導マグネット装置に係
り、特にカスプ型磁場を発生する超電導コイルの反発力
サポート機構及びその磁場分布制御の工夫に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超電導マグネット装置には、主に
半導体用単結晶の引上げ装置に使用されるものであっ
て、電気的に直列に接続された2つの環状超電導コイル
を互いに軸上に対峙させて配置し、両者を逆極性で励磁
することにより、カスプ型と呼ばれる磁場を発生させる
ものが知られている。この一例を図13に示す。
【0003】図13に示す超電導マグネット装置におい
ては、電気的に直列に接続された2つの環状超電導コイ
ル(以下「コイル」)101a、101bが環状真空容
器102内の開口部OPの軸方向AXの異なる上下位置
に対峙して並設されており、この両コイル101a、1
01bに図示しない外部の励磁電源からの電流供給が行
われる。
【0004】このとき、両コイル101a、101bに
は同一電流が流れるため、マグネット内には図中の磁力
線B1…B1で示すように両コイル101a、101b
間の中立線A1を挟んで対称となる磁場、即ちカスプ型
磁場が生成されると共に、この対称磁場分布に伴って両
コイル101a、101bには互いに反対向きの反発力
F1、F1が作用する。このような反発力F1は、マグ
ネットが大型化する程大きく、例えば数10トン〜数百
トンに達する。
【0005】そこで、一般にカスプ磁場を発生させる装
置では、両コイルが受ける反発力を支持するためのサポ
ート機構が真空容器内に装備されている。この一例を図
14に示す。
【0006】図14に示す上記と同様の真空容器102
内に両コイル101a、101bを備えた超電導マグネ
ット装置においては、両コイル101a、101bの周
囲に液体ヘリウム通路用の環状ヘリウム容器103a、
103bを配設し、そのヘリウム容器103a、103
bの外部と内部にサポート104a、104bを設け、
両サポート104a、104bの圧縮強度を利用して両
コイル101a、101bの反発力を支持するようにな
っている。
【0007】このようなサポート機構を備えたマグネッ
ト装置では、真空容器102外の熱がサポート104a
を伝わってヘリウム容器103a、103b内に侵入し
てくる。そこで通常、このタイプの装置では、真空容器
102の外部に冷凍機110を設け、ヘリウム容器10
3aの周囲にその冷凍機110と熱的に接続された2重
の輻射シールド105a、105bを配置し、この各輻
射シールド105a、105bとサポート104aとを
互いに熱的に接続することにより、その各接続部を介し
てサポート104aを媒体とする侵入熱の一部を輻射シ
ールド105a、105bにより吸収するようになって
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来例のカスプ型磁場の超電導マグネット装置では、
サポートの圧縮強度を利用してコイルの反発力を支持す
る構造であるため、例えば装置の大型化に伴う強大な反
発力を支持するためには圧縮力による座屈等を防止する
観点からサポート断面積を大きく取らなければならない
といった制約があった。
【0009】従って、この場合には、サポート断面積の
増大により、外部からサポートへの侵入熱も大きくなる
ため、液体ヘリウムの蒸発量が増加し、その充填回数や
維持費が増大するほか、輻射シールドを冷やす冷凍機の
設置台数を増やしたり、あるいは大型化して性能を上げ
る等の必要もあり、その結果、マグネット装置がその重
量も含めて全体として大型化し、より高価なものになる
といった問題があった。
【0010】この発明は、このような従来の問題を考慮
してなされたもので、超電導コイルが受ける反発力を支
持するサポート構成を簡素に構築し、小型軽量化に最適
な装置を比較的安価に提供することを、目的とする。
【0011】一方、従来のマグネットにおいては、コイ
ルが直列に接続されるため、総インダクタンスが増大し
励磁時の電源の必要容量が増大するといった問題があっ
た。
【0012】従ってこの発明では、励磁時の電源の必要
容量を低減することを第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る超電導マグネット装置は、真空容器
内の軸方向に対峙して並設される2つの環状超電導コイ
ルと、この2つの超電導コイルを支持するサポートとを
備えた超電導マグネット装置であって、サポートを、2
つの超電導コイルを互いに軸方向に連結するコイル連結
体と、このコイル連結体により連結された2つの超電導
コイルを一体に支持する支持体とで構成し、この支持体
を介して2つの超電導コイルを真空容器に取り付けたこ
とを特徴とする。
【0014】この発明によれば、2つの超電導コイルに
働く反発力を真空容器と接触状態にある支持体とは切り
離してコイル連結体のみで支持させることが可能となる
ため、反発力対策としてサポート断面積を大きくすると
いった強度設計上の制約も殆ど解消でき、真空容器の外
部から低温部への侵入熱も大幅に抑制できる。
【0015】この発明の1つの側面として、コイル連結
体を2つの超電導コイルの周囲に周方向に配置される円
環状部材、好ましくは超電導コイルの巻回用巻枠で構成
する。巻枠を用いれば、コイルを巻枠から外すことな
く、そのまま組み立てることができ、製作日数の少なく
比較的安価な装置を提供できる利点もある。
【0016】別の側面として、コイル連結体を2つの超
電導コイルの周囲に周方向に一定の間隔で配置される複
数個の円弧状部材で構成する。
【0017】いずれの側面においても、コイル連結体
は、好ましくは2つの超電導コイルをその軸方向に挟ん
で連結する連結部材と、この連結部材で連結される2つ
の超電導コイルの軸方向の間隔を保持する間隔保持部材
とを備える。
【0018】ここで、連結部材の一態様としては、2つ
の超電導コイルの径方向の内側及び外側の少なくとも一
方にその軸方向に沿って延びるベース体と、このベース
体の軸方向の両端部から2つの超電導コイルの軸方向の
外側側面側に屈曲して延びる肩体とで構成する。
【0019】この場合には、ベース体と肩体とを一体に
形成し、例えば断面コの字状の連結部材としてもよい。
他の態様として、肩体は、2つの超電導コイルの軸方向
の外側側面にそれぞれ当接して配置される2つの端板で
なり、ベース体は、その2つの端体間を軸方向に締結す
る締結部材でなる。
【0020】また、超電導コイルの励消磁時に発生する
渦電流を低減するため、連結部材の周方向に渦電流抑制
用のスリットを設けることが好ましい。
【0021】連結部材の材料として好ましくは、高熱伝
導率材料又はこの高熱伝導材料と高強度材料との複合材
で構成する。この場合には、両コイルを均一な温度に保
ち、あるいは高強度の連結部材を用いて装置信頼性をよ
り一層高める利点もある。
【0022】間隔保持部材の一態様としては、2つの超
電導コイル及び連結部材間の軸方向の熱膨張差に応じて
2つの超電導コイルの軸方向の間隙長を自在に調整する
機構を備える。
【0023】なお、この発明のその他の態様として、以
下の構成を採用してもよい。
【0024】1):2つの超電導コイルの軸方向の導体
中心距離とその径方向の導体中心半径とを等しくする。
この場合には、最も効率がよいとされる磁場分布を発生
させることが可能となり、導体の線長を最短にする利点
もある。
【0025】2):2つの超電導コイルの少なくとも一
方の径方向に補助用の環状超電導コイルを同軸に設け
る。この場合には、超電導コイルとは別の電源で補助用
コイルを励磁する等の磁場分布制御が可能となる。従っ
て、補助用コイルを励磁または消磁させることにより、
コイルに対して磁場の対称軸をコイル軸方向の任意の位
置に移動(上下動)させることができ、例えば磁石全体
(あるいは単結晶の引上げ装置の場合には「るつぼ」も
含む)を移動させる大型の機構が不要となる利点もあ
る。この利点は、2つの超電導コイルの少なくとも一方
の軸方向に補助用の環状超電導コイルを並設する場合も
同様である。
【0026】3):2つの超電導コイルをその発生磁界
を互いに異ならせて励磁させる手段を備える。この手段
の一態様としては、2つのコイルを互いに別電源で励磁
し、各電源の電流を変化させることにより、磁場が最大
または最小となる位置をコイル軸方向の任意の位置に設
定する手段がある。
【0027】4):2つの超電導コイルの少なくとも一
方の軸方向の外側にその2つの超電導コイルとの間で逆
向きの磁場を発生する補助用の環状コイルを設ける。こ
の場合には、補助用の環状コイルにより外部への漏洩磁
界を低減でき、より一層の軽量化が可能となる利点もあ
る。
【0028】またこの発明の別の側面に係る超電導マグ
ネット装置では、環状に形成された対を成す超電導コイ
ルと、この対を成す超電導コイルを互いにその軸方向に
対峙させた状態で包囲する輻射シールドと、この輻射シ
ールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取り付け
られ且つ前記対を成す超電導コイル及び輻射シールドを
冷却する冷凍機とを備え、前記対を成す超電導コイルの
一方を電気的に短絡させたことを特徴とする。この場合
には、対を成す超電導コイルの一方を超電導状態で電気
的に短絡させることが好ましい。この場合には、電源か
ら見た場合のマグネットの総インダクタンスが従来の場
合よりも格段に小さくなるため、励磁電源の必要容量を
大幅に少さくできる。
【0029】例えば、超電導マグネット装置の上下に配
置された環状の超電導コイルの内片側(上側または下
側)のコイルを短絡して設置した場合、電源から見た場
合のマグネットの総インダクタンスが「L1 −M2 /L
2 (L1 :非短絡側のコイルの自己インダクタンス、L
2 :短絡側のコイルの自己インダクタンス、M:両コイ
ルの相互インダクタンス)」となって従来のマグネット
構成の場合の値、すなわち「L1 −2M+L2 」よりも
格段に小さくなるため、励磁電源の必要容量を大幅に少
なくできる。
【0030】また、対を成す超電導コイルの一方を有限
抵抗を有する状態で電気的に短絡させてもよい。この場
合には、片側のコイルの減衰時定数を任意の値に設定で
きるため、カスプ磁場の対称軸を設定された時間変化率
で上下に移動させることが可能となる。
【0031】このような超電導マグネットの構成では、
好ましくは前記対を成す超電導コイルの内周側及び外周
側の少なくとも一方に断面コの字型の連結部材を設ける
と共に、前記対を成す超電導コイル間に間隔保持部材を
設置し、この間隔保持部材および前記連結部材を介して
前記対を成す超電導コイルを互いにその軸方向に連結し
たことを特徴とする。この場合には、超電導コイル同士
を互いに連結してあるため、低熱侵入で、小型軽量化で
き、信頼性をより一層高めた磁石をより安価に提供でき
る。
【0032】前記連結部材は、その周方向の少なくとも
1箇所に渦電流を抑制するためのスリットを有する構成
でもよい。この場合には、連結部材にスリットを設ける
ことで励消磁時に発生する渦電流を低減し、渦電流によ
る発熱が小さくヘリウムの蒸発量の少ないマグネットを
供給できる。
【0033】前記連結部材は、高熱伝導率材料又はこれ
と高強度材料との複合材で構成したものでもよい。この
場合には、連結部材を高熱伝導材料、または高熱伝導材
料と高強度材料からなる複合材で構成することで上下コ
イルが均一の温度となり、かつ高強度の連結部材となる
ため信頼性をより一層高くすることができる。
【0034】例えば、連結部材をアルミニウムや銅など
の熱伝導のよい材料を使用することで、液体ヘリウムの
液面が下がってきてコイルが液面から露出した状態にな
った場合でも連結部材による伝熱により冷やすことがで
きる。また、連結部材を高熱伝導材料と、ステンレス鋼
等の比較的強度の高い材料からなる複合材で構成した場
合には、熱伝導を良好で、かつ強度も高めることができ
る。
【0035】前記連結部材は、前記超電導コイルの巻回
時の巻枠で構成してもよい。この場合には、連結部材を
コイル巻回時の巻枠にすることで、組み立ての際にコイ
ルを巻枠から外すことなくそのまま組み立てることがで
き、製作日数の少ない安価で信頼性のより高い磁石をす
ることを供給できる。
【0036】例えば、超電導コイルを巻回する巻枠が連
結部材としてコイルと一体にヘリウム容器内に内蔵すれ
ば、巻線後に巻枠からコイルを取り外すことなく、その
ままヘリウム容器内に組み込むことができる。
【0037】上記の連結部材によれば、例えばステンレ
ス鋼などの非磁性材料で構成し、環状コイルの円周方向
に配置することで、両コイルに発生する強力な反発力に
耐える反発力サポートとしての役目を果たし、上下コイ
ルと連結部材とを全体に一体化させた状態で極低温状態
に冷却することができる。従って、上下コイルに発生す
る強力な反発力を支持するサポートを従来のように外部
(常温側)からとる必要がなくなり、ヘリウム容器を支
えるサポートも細く長くすることができる。
【0038】このようなサポートとして、ヘリウム容器
全体を吊り下げるヘリウム容器サポートを設けてもよ
い。この場合のサポート強度は、ヘリウム容器全体の自
重(数百キログラム〜数トン)を支えるのみでよく、従
ってサポート断面積が従来装置よりも十分に少なくて済
み、ヘリウム容器と輻射シールドとの間の狭い隙間を通
すことが可能となり、伝熱距離をかせぐためにサポート
の長さも十分長くすることができる。このヘリウム容器
サポートは、途中で輻射シールドに熱的に接続し、真空
容器からヘリウム容器内に直接熱が入らない構造とする
ことが好ましい。
【0039】このように反発力サポートを伝わって外部
から熱が入ってくることがなくなり、外部からヘリウム
容器に入ってくる熱も少なくすることができることか
ら、液体ヘリウムの消費量は少なくかつ、サポートを伝
わって輻射シールドに入る熱も少なくてすむので冷凍機
の台数を増やす必要もない。
【0040】前記間隔保持部材は、好ましくは前記対を
成す超電導コイル及び連結部材のそれぞれの軸方向の熱
膨張差を吸収するバネと、このバネを介して前記対を成
す超電導コイルの間隙長を自在に調整する機構とを備え
たことを特徴とする。この場合には、間隔保持部材にバ
ネを用いてあるため、異なる材料で異なる熱収縮率をも
つコイルと連結部材を用いた場合でも、熱収縮による応
力を低減できる。
【0041】また、間隔保持部材として、当て板、押し
棒、ナットを組み合わせたターンバックル構造のものを
採用することもできる。この場合には、例えば上下コイ
ルの軸方向の対向面のそれぞれに当て板を設置し、この
両当て板を機械的または冶金的に押し棒で連結し、この
押し棒をナットにより自在に伸ばしたり縮めたりする構
成が好ましい。このとき、両コイルのそれぞれは、コの
字型連結部材と当て板との間に挟着され、全体が一体化
された構造となる。
【0042】両当て板間に配置される押し棒として、ス
テンレス材料等で構成される2本の間隔棒をバネを介し
てナットでその隙間を調整可能な構造のもの採用するこ
とができる。この場合には、2本の隙間にバネを配置
し、この隙間の長さをナットで調整できるため、例えば
連結部材をアルミニウム材料で構成した場合等にその熱
収縮差をバネを介して吸収でき、互いの部材の熱収縮時
に応力が発生することがなくなる。また、コイルと各部
材との熱収縮差もバネを介して吸収できる。
【0043】この発明に係る超電導マグネット装置は、
環状に形成された対を成す超電導コイルと、この対を成
す超電導コイルを互いにその軸方向に対峙させた状態で
包囲する輻射シールドと、この輻射シールドを包囲する
真空容器と、この真空容器に取り付けられ且つ前記超電
導コイル及び輻射シールドを冷却する冷凍機とを備え、
前記対を成す超電導コイル間に間隔保持部材を装着する
と共に、前記対を成す超電導コイルの軸方向外側の端部
に当接する位置に対を成す端板を配設し、この対を成す
端板同士を締結部材で締結し、前記端板間にその締結部
材を介して前記超電導コイル及び間隔保持部材を挟着し
たことを特徴とする。この場合、両超電導コイルは、互
いに両端板と当て板との間に挟着され、間隔保持部材、
端板、締結部材によって一体化して連結されているた
め、低熱侵入で、小型軽量化でき、信頼性をより一層高
めた磁石をより安価に提供できる。ここで、端板は一体
物のドーナツ円板もしくはコイル周方向に複数に分割さ
れた複数個の扇形状板材で構成することができる。
【0044】この発明では、好ましくは前記超電導コイ
ルの導体中心半径がその上下コイル間の導体中心距離と
等しい又はそれよりも大きいことを特徴とする。このよ
うにコイルの導体中心直径と上下コイル間の距離を等し
くすることで導体の線長を最短にすることができ、より
一層効率のよい磁場を発生させることができる。
【0045】例えば、上下コイルをそれぞれ導体中心半
径の寸法で巻回し、この寸法と両コイルの導体中心距離
の間隔とを等しく設定すれば、上コイルまたは下コイル
のコイル軸に平行な軸方向位置での磁束密度と、カスプ
磁場対称軸に平行な位置での磁束密度とがほぼ等しくな
るため、最も効率のよい磁場を発生させることができ、
超電導コイルの運転裕度も適正に確保でき、信頼性がよ
り高く、小型軽量化可能な構造をより安価に提供でき
る。
【0046】この発明に係る超電導マグネット装置は、
環状に形成された対を成す超電導コイルと、この対を成
す超電導コイルを互いにその軸方向に対峙させた状態で
包囲する輻射シールドと、この輻射シールドを包囲する
真空容器と、この真空容器に取り付けられ且つ前記超電
導コイル及び輻射シールドを冷却する冷凍機とを備え、
前記対を成す超電導コイルの半径方向外側に補助コイル
を設置したことを特徴とする。このように逆向きの磁界
を発生する補助コイルを付設すれば、外部への漏洩磁界
をより効果的に低減でき、軽量で、より信頼性の高い磁
石を供給できる。
【0047】例えば、上下コイルのそれぞれに補助コイ
ルを設けた場合、上コイルの発生する磁場に対して上側
の補助コイルに逆向きの磁場を発生させることにより、
磁石上部から外部に漏洩する磁界を低減することがで
き、磁石周辺の磁性体や電子機器に磁場の影響を与える
ことがなくなる。下コイルと補助コイルについても同様
であり、全体として漏洩磁界の少ない超電導磁石を供給
できる。この場合には、鉄等の磁性体を用いて漏洩磁界
を少なくする方法よりも小型で軽量な磁石を供給でき
る。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る超電導マグ
ネット装置の具体的な実施形態を図面を参照して説明す
る。
【0049】(第1実施形態)図1に示す超電導マグネ
ット装置は、環状真空容器1の開口部内の軸方向の異な
る上下位置に2つの環状超電導コイル(以下「コイ
ル」)2a、2bを対峙させて配置し、この2つのコイ
ル2a、2bの周囲を環状ヘリウム容器3で一体に囲
い、そのヘリウム容器3の周囲を2重の環状輻射シール
ド4a、4bで覆う構造となっている。この内、各輻射
シールド4a、4bは真空容器1の外部に配置される図
示しない冷凍機に熱的に接続されている。
【0050】このマグネット装置には、この発明のコイ
ル連結体として、両コイル2a、2bを互いに軸方向に
挟んで連結する非磁性材料(ステンレス鋼等)製の連結
部材10と、両コイル2a、2bの軸方向の間隔を保持
する間隔保持部材20とがヘリウム容器3の内部のコイ
ル周方向に複数個に分割して配置されている。また真空
容器1内には、この発明の支持体として、ヘリウム容器
3を支持するヘリウム容器サポート30が配設されてい
る。
【0051】連結部材10は、両コイル2a、2bの外
周面側及び内周面側の少なくとも一方(図中では外周面
側)で軸方向に延びるベース体(リング部分)11と、
このベース体11の両端部から各コイル2a、2bの軸
方向AXの外側側面側にそれぞれ屈曲して延びる板状の
肩体(端板部分)12、12とで断面コの字型に一体に
構成され、両コイル2a、2bのカスプ磁場による反発
力を支持する。
【0052】間隔保持部材20は、例えばターンバック
ルに代表される伸縮機構を備えたものであり、2つの押
し棒21、21を互いにナット22を介して連結し、そ
の両側に機械的または冶金的に当て板23、23に取り
付け、これを各コイル2a、2bの軸方向の対向面にそ
れぞれ当接させた構成で、ナット22を回して押し棒2
1、21を自在に伸ばしたり、縮めたりすることで、そ
の両端側の当て板23、23を介して各コイル2a、2
b間の軸方向の間隔を適宜に保持する。
【0053】ヘリウム容器サポート30は、ヘリウム容
器3とその対向側の輻射シールド4aとの軸方向の隙間
に挿入可能な大きさを有し、ヘリウム容器3の外周面側
と真空容器1の上側内壁面側との間で軸方向に延び且つ
ヘリウム容器3を吊り下げ可能な棒状等の吊り下げ部材
で構成されている。このサポート30は、真空容器1か
らヘリウム容器3への熱侵入を防止するため、各輻射シ
ールド4a、4bに熱的に接続している。
【0054】ここで、この実施形態の全体の動作を説明
すれば、装置起動に際し、ヘリウム容器3内の液体ヘリ
ウムにより連結部材10、保持部材20、及び両コイル
2a、2bが一体に極低温状態に保たれ、図示しない励
磁電源からの電流が各コイル2a、2bに供給され、装
置内にカスプ型磁場が発生する。この磁場発生に伴って
各コイル2a、2bに作用する反発力は、ヘリウム容器
3内の連結部材10により強固に支持される。
【0055】従って、このマグネット装置によれば、ヘ
リウム容器3内に各コイル2a、2bの互いの反発力を
一体に支持する構造を設けたため、従来例の反発力サポ
ートのように強力な反発力を支持する構造をわざわざ真
空容器1の常温側から取り付けなくても済み、言い換え
れば真空容器1及びヘリウム容器3の空間に各コイル2
a、2bの反発力を支持する構造体が必要でない分、サ
ポート30の設計範囲の自由度を大幅に広げることがで
きる。
【0056】即ち、サポート30に必要な強度は、両コ
イル2a、2bの反発力の大小に関係なく、少なくとも
ヘリウム容器全体の自重(例えば数百キログラム〜数ト
ン)分を確保すれば足りるため、従来例よりもサポート
断面積を大幅に細径化でき、その結果、サポート30を
ヘリウム容器3と輻射シールド4aとの隙間に挿入する
といった設計も可能となる。また、熱伝導距離をかせぐ
ためにサポート長も十分長く確保することができる。
【0057】このように細く且つ長いサポート30を採
用すれば、真空容器1外部の常温側からその内部の低温
側(ヘリウム容器)への侵入熱を大幅に少なくすること
ができるため、液体ヘリウムの蒸発量を抑えてその消費
量を削減できるほか、冷凍機の台数も増やす必要がな
く、小型および軽量化が可能な装置構成を比較的維持費
も少ない状態で安価に提供できる。
【0058】なお、連結部材に関しては、以下の変形
例、応用例を採用してよい。
【0059】例えば、マグネットの励消磁時に連結部材
に発生する渦電流の抑制策として、上記の連結部材10
のリング部の周方向の少なくとも1箇所にスリットを設
けてもよい。この場合には、スリットを介して励消磁時
に発生する渦電流をより効果的に抑制し、渦電流による
発熱を一層小さくし、液体ヘリウムの蒸発量をより一層
少なくする利点もある。
【0060】また、連結部材の構成材料として、アルミ
ニウムや銅等の熱伝導の良い材料を使用してもよい。こ
の場合には、例えばヘリウム容器内における液体ヘリウ
ムの液面が下がって超電導コイルが液面から露出して
も、その露出部分を連結部材からの伝熱により冷やすと
いった利点もある。さらに、このような高熱伝導材料
と、ステンレス鋼等の比較的強度の高い材料とを用いて
構成した複合材を使用すれば、熱伝導性のほか、強度特
性にも優れた連結部材を提供できる。
【0061】なお、連結部材としては、図2に示すよう
に、両コイル2a、2bの巻回用の巻枠10aを採用し
てもよい。この巻枠10aを使用すれば、間隔保持部材
の機能をも兼ね備えているため、これに巻線した両コイ
ル2a、2bをそのままヘリウム容器3内に組み込んで
内蔵することにより、連結部材および間隔保持部材を別
途に準備する必要もなく、製造工程をより簡素化できる
利点もある。
【0062】また、連結部材としては、図3に示すよう
に、2つの肩体として端板12b、12bを使用し、こ
の両側にベース体として連結棒11b、11bを一体に
取り付けた構造部材10bを採用してもよい。この場合
には、2つの端板12b、12をコイル周方向に複数個
に分割配置してもよく、またドーナツ状円板として一体
に形成してもよい。
【0063】なお、この実施形態では間隔保持部材とし
て押し棒およびナットを用いた伸縮機構を採用してある
が、この発明はこれに限定されるものではない。
【0064】例えば、間隔保持部材として、図4に示す
ように、2つの間隔棒21a、21aをバネ24を介し
て互いに連結し、その連結部にコイル間隔を調整する調
整ナット22aを設けたステンレス鋼製等の部材20a
を採用してもよい。
【0065】この場合には、例えばステンレス鋼製の間
隔保持部材20aと、上述したアルミニウム製の連結部
材10との間の熱収縮差をバネ24で吸収させることが
できるため、互いの部材20a、10間や、各部材20
a、10およびコイル2a間に発生する熱収縮に伴う応
力をより効果的に抑制するといった利点もある。
【0066】なお、この実施形態では連結部材および間
隔保持部材をコイル周方向に複数個配置した構成として
あるが、この発明は必ずしもこれに限定されるものでは
なく、例えばコイル周方向に一体に形成したリング状部
材であってもよい。
【0067】(第2実施形態)図5に示す超電導マグネ
ット装置は、上記構成に加え、各コイル2a、2bを予
め設定された導体中心半径R1の寸法で巻回し、両コイ
ル2a、2bを互いに予め設定された導体中心距離L1
の間隔をあけて上下に配置した構成で、その半径R1と
距離L1とが互いに等しくなるように設定したものであ
る。
【0068】このマグネット装置によれば、上記と同様
の効果に加え、コイル軸方向AXの位置での磁束密度と
カスプ磁場対称軸(両コイル間の空間磁場の中立点)A
1に平行な位置での磁束密度とがほぼ等しくなるため、
最も効率的であるとされる磁界分布のカスプ型磁場を発
生させることができるほか、超電導コイルの運転裕度も
より一層適性に確保できるといった利点もある。この利
点は、従来例のサポートを用いた場合でも同様に発揮さ
せることができる。
【0069】(第3実施形態)図6に示す超電導マグネ
ット装置は、上記構成に加え、下側のコイル2bの外周
側に補助コイル40を備え、この補助コイル40を上下
の主コイル2a、2bの励磁電源とは別の電源(図示し
ない)に接続した構成で、主コイル2a、2bとは別に
補助コイル40のみで任意の励磁力を発生させる。
【0070】この場合には、上記と同様の効果に加え、
上下の主コイルを用いてカスプ型磁場を発生させると共
に、補助コイルを用いて下側のコイルと同一または逆向
きの磁場を発生させることにより、コイルに対してカス
プ磁場対称軸を空間的に自在に上下動させる制御が可能
となるといった利点がある。
【0071】この利点は、例えば超電導マグネット装置
を半導体単結晶の引上げ装置に適用した場合に最大限に
発揮させることができる。
【0072】従来の引上げ装置に場合には、両コイルに
同じ起磁力しか発生させることができず、空間磁場の対
称軸の位置が常にコイル間の中立点に固定されるため、
るつぼ内で溶融している単結晶材料の液面が結晶引上げ
に伴って徐々に下降していき、その結果、溶融液面の位
置が固定された磁場に対して常に変化し、単結晶の品質
が安定しないといった問題があった。
【0073】この実施形態によれば、溶融結晶の液面変
化に合わせてカスプ磁場の対称軸の位置をコイルに対し
て空間的に自在に上下動させる制御が可能となるため、
るつぼ又は磁石全体を相対的に上下動させる機構を使用
しなくても、常に最適な磁場を溶融液面の位置に合わせ
て発生させることができ、得られる単結晶の品質安定性
をより高めることが期待できる。この利点は、従来例の
サポートを用いた場合でも同様に発揮させることができ
る。
【0074】なお、この実施形態では補助コイルを下コ
イル側に配置してあるが、この発明はこれに限定される
ものではなく、上コイル側に配置しても同様の効果を発
揮させることができる。また上下コイルの両方に補助コ
イルを配置すれば、より広範囲にわたって精度の高い磁
場分布制御が可能となる。補助コイルを複数個配置すれ
ば、さらに高精度で磁場変化を制御できる利点がある。
【0075】また、この実施形態では補助コイルを主コ
イル(下または上コイル)の外周側に配置してあるが、
これに限らずに内周側に配置した場合でも同様の効果が
得られる。
【0076】(第4実施形態)図7に示す超電導マグネ
ット装置は、上記構成に加え、各コイル2a、2bの軸
方向の外側に補助コイル41a、41bを備え、上側の
主コイル2a及びその補助コイル41aの合計起磁力
と、下側の主コイル2b及びその補助コイル41bとの
合計起磁力とが互いに等しくなるように励磁状態を変化
させて制御することにより、両コイル2a、2bに対し
てカスプ磁場対称軸AXの位置を空間的に連続して上下
動させるようになっている。
【0077】例えば、通常動作時には、補助コイル41
a、41bを励磁せずに主コイル2a、2bのみを10
0%で励磁させることにより、カスプ磁場対称軸AXの
位置を上下コイル2a、2b間の中立点に保つ。
【0078】この状態で、1):対称軸AXを中立点よ
りも上側に移動させる場合には、上コイル2aを徐々に
消磁して上側の補助コイル41aを100%まで徐々に
励磁し、2):対称軸AXを中立点よりも下側に移動さ
せる場合には、下コイル2bを徐々に消磁して下側の補
助コイル41bを100%まで徐々に励磁するように制
御する。
【0079】従って、この実施形態によれば、カスプ対
称軸の位置を空間的に上下動させる際に連続的に位置を
変化させることができるほか、その位置変化に依存せず
に対称軸を挟む上下磁場の対称性も常に確保できるとい
った利点もある。この利点は、従来例のサポートを用い
た場合でも同様に発揮させることができる。
【0080】なお、この実施形態では、上下の主コイル
のそれぞれに1個の補助コイルを設けてあるが、これに
限定されずに複数個の補助コイルを割り当てれば、カス
プ磁場対称軸の移動量をさらに増加させることが可能と
なる。
【0081】なお、上記第3及び第4実施形態では、補
助コイルを用いてカスプ磁場対称軸の位置を空間的に上
下動させる構成としてあるが、この発明はこれに限定さ
れるものではない。この一例を図8及び図9に示す。
【0082】図8に示す超電導マグネット装置は、上下
の各コイル2a、2bを別途の電流供給用の電流リード
50…50及び励磁電源51、51にそれぞれ接続した
構成で、各電源51、51からの電流を各コイル2a、
2bに個別に供給することにより、各コイル2a、2b
を個別に励磁して起磁力を発生させる。
【0083】この場合には、例えば上下の主コイルの一
方の発生磁場を一定とし、その主コイルの他方の発生磁
場を変化させるように制御すれば、カスプ磁場対称軸A
Xの上下動させることができる。従って、上述した補助
コイルを使用しなくても、対称軸の上下動制御を比較的
簡素な構成で容易に実施できる利点もある。
【0084】図9に示す超電導マグネット装置は、主電
源51を電流リード50、50を介して上下の各コイル
2a、2bに直列に接続する一方、これとは別の補助電
源52を別途の電流リード50を介して下コイル2bの
みに接続したものである。
【0085】この場合には、主電源51からの電流を両
コイル2a、2bに供給すると共に、補助電源52から
の電流を下コイル2bに供給することにより、上コイル
2aよりも高い起磁力を下コイル2bで発生させ、カス
プ磁場対称軸AXの位置を上下に変化させる。
【0086】この場合には、上記と比べると電流リード
の本数が3本と少なくて済むため、電流リードからの低
温部への熱侵入を抑え、液体ヘリウムの消費量をより少
なくする利点もある。なお、補助電源は上コイルのみに
接続してもよい。
【0087】(第5実施形態)図10に示す超電導マグ
ネット装置は、上記構成に加え、上下の主コイル2a、
2bの軸方向AXの外側に補助コイル42a、42bを
備え、この補助コイル42a、42bの磁場を主コイル
2a、2bの磁場と逆向きに発生させるように励磁状態
を制御するものである。
【0088】この実施形態によれば、上コイルの発生磁
場に対して補助コイルに逆向きの磁場を発生させるた
め、磁石の上側外部への漏洩磁界を効果的に低減でき
る。このことは、下コイル及び補助コイルの場合でも同
様であるため、全体の漏洩磁界を大幅に少なくできる利
点がある。
【0089】ここで、漏洩磁界を少なくする方法として
は、例えば鉄などの磁性体を用いる場合等も考えられる
が、この場合には装置全体が大型化する等の不都合があ
るため、得策ではない。これと比べ、上記の補助コイル
を用いた場合では、より簡素且つ小型軽量化が可能な構
成の超電導マグネット装置を提供でき、これにより、磁
石周辺の磁性体や電子機器に与える磁場の影響を各段に
削減できるといった有利な利点がある。この利点は、従
来例のサポートを用いた場合でも同様に発揮させること
ができる。
【0090】(第6実施形態)図11に示す超電導マグ
ネット装置は、上記構成に加え、真空容器1の中心軸に
対して180度の対称位置(等角度の位置)に2台の冷
凍機60、60を設置した構成で、各冷凍機60、60
を駆動させることにより、真空容器1内の図示しない輻
射シールド等を均等に冷却することが可能となってい
る。
【0091】この実施形態によれば、真空容器内の低温
部側に局部的に非冷却部が存在するといった事態を殆ど
回避できるため、例えば、1):冷凍機により直接コイ
ルを冷却する冷却式磁石の場合には、等角度の位置に配
置された冷凍機によりコイルを均一に冷却する、2):
複数台の冷凍機が複数のコイルと熱的に別々ではなく同
時に接続されている場合には、仮に1台の冷凍機の能力
が変化した場合でも他の冷凍機により各コイルを冷却で
きる等の利点もあり、装置信頼性をより一層高めること
ができる。この利点は、従来例のサポートを用いた場合
でも同様に発揮させることができる。
【0092】なお、冷凍機の数量は2台に限定されず、
3台以上でもよく、この場合には等角度の位置に配置す
ることが望ましい。
【0093】(第7実施形態)図12に示す超電導マグ
ネット装置は、前述と同様の構成に加え、2つの超電導
コイル2a、2bの内の片側のコイル(図中では2a)
を短絡抵抗体70を介して電気的に短絡させたものであ
る(図中のVはコイル間電圧、iは通電電流をそれぞれ
示す)。
【0094】この場合には、両コイル2a、2bの自己
インダクタンスをそれぞれL1 、L2 とし、両者2a、
2bの相互インダクタンスをMとすれば、電源から見た
マグネットの総インダクタンスが「L1 −M2 /L2
となり、短絡させない場合の「L1 −2M+L2 」より
も小さくなる。従って電源から見た場合の総インダクタ
ンスが小さくなり励磁電源の必要容量を小さくできる利
点がある。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、超電導コイル同士を互いに連結するコイル連結体を
用いたたため、超電導コイルに作用する反発力を支持さ
せる簡素なサポート構成を構築でき、例えば真空容器に
取り付けるサポートの断面積を増大させなくても、真空
容器の外部からサポートを介して侵入してくる熱侵入量
を大幅に低減でき、その結果、小型及び軽量化に最適な
装置構成を比較的安価に提供することができる。
【0096】特に超電導コイルの片側のコイルを短絡す
る構成にあっては、電源よりみたマグネットの総インダ
クタンスを小さくできることから、電源の必要容量を格
段に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る超電導マグネット装置の要部構
成を示す概略断面図。
【図2】巻枠を用いた場合の要部構成を示す概略断面
図。
【図3】端板およぶ連結棒を用いた連結部材の要部構成
を示す概略断面図。
【図4】バネを用いた間隔保持部材の要部構成を示す概
略断面図。
【図5】第2実施形態に係る超電導マグネット装置の要
部構成を示す概念図。
【図6】第3実施形態に係る超電導マグネット装置の要
部構成を示す概念図。
【図7】第4実施形態に係る超電導マグネット装置の要
部構成を示す概念図。
【図8】複数の励磁電源を用いる場合を説明する概略構
成図。
【図9】複数の励磁電源を用いる他の場合を説明する概
略構成図。
【図10】第5実施形態に係る超電導マグネット装置の
要部構成を示す概念図。
【図11】第6実施形態に係る超電導マグネット装置の
要部構成を示す概略平面図。
【図12】第7実施形態に係る超電導マグネット装置の
要部構成を示す概略の回路図。
【図13】従来の超電導マグネット装置を用いた場合の
カスプ型磁場分布を説明する概念図。
【図14】従来の超電導マグネット装置の要部構成を示
す概略断面図。
【符号の説明】
1 真空容器 2a、2b 超電導コイル 3 ヘリウム容器 4a、4b 輻射シールド 10、10b 連結部材 10a 巻枠 11 ベース体(リング部) 11b 連結棒 12 肩体(端体部) 12b 端板 20、20a 間隔保持部材 21 押し棒 21a 間隔棒 22 ナット 22a 調整ナット 23 当て板 24 バネ 30 ヘリウム容器サポート 40、41a、41b、42a、42b 補助コイル 50 電流リード 51 励磁電源(主電源) 52 補助電源 60 冷凍機 70 短絡抵抗体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 正道 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 土橋 隆博 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 小口 義広 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内の軸方向に対峙して並設され
    る2つの環状超電導コイルと、この2つの超電導コイル
    を支持するサポートとを備えた超電導マグネット装置で
    あって、上記サポートを、上記2つの超電導コイルを互
    いに上記軸方向に連結するコイル連結体と、このコイル
    連結体により連結された上記2つの超電導コイルを一体
    に支持する支持体とで構成し、この支持体を介して上記
    2つの超電導コイルを上記真空容器に取り付けたことを
    特徴とする超電導マグネット装置。
  2. 【請求項2】 前記コイル連結体を、前記2つの超電導
    コイルの周囲に周方向に配置される円環状部材で構成し
    た請求項1記載の超電導マグネット装置。
  3. 【請求項3】 前記円環状部材は、前記2つの超電導コ
    イルの巻回用巻枠である請求項2記載の超電導マグネッ
    ト装置。
  4. 【請求項4】 前記コイル連結体を、前記2つの超電導
    コイルの周囲に周方向に一定の間隔で配置される複数個
    の円弧状部材で構成した請求項1記載の超電導マグネッ
    ト装置。
  5. 【請求項5】 前記コイル連結体は、前記2つの超電導
    コイルをその軸方向に挟んで連結する連結部材と、この
    連結部材で連結される上記2つの超電導コイルの軸方向
    の間隔を保持する間隔保持部材とを備えた請求項1記載
    の超電導マグネット装置。
  6. 【請求項6】 前記連結部材は、前記2つの超電導コイ
    ルの径方向の内側及び外側の少なくとも一方にその軸方
    向に沿って延びるベース体と、このベース体の軸方向の
    両端部から上記2つの超電導コイルの軸方向の外側側面
    側に屈曲して延びる肩体とで構成された請求項5記載の
    超電導マグネット装置。
  7. 【請求項7】 前記ベース体と肩体とを一体に形成した
    請求項6記載の超電導マグネット装置。
  8. 【請求項8】 前記肩体は、前記2つの超電導コイルの
    軸方向の外側側面にそれぞれ当接して配置される2つの
    端板でなり、前記ベース体は、当該2つの端体間を上記
    軸方向に締結する締結部材でなる請求項6記載の超電導
    マグネット装置。
  9. 【請求項9】 前記連結部材の周方向に渦電流抑制用の
    スリットを設けた請求項5記載の超電導マグネット装
    置。
  10. 【請求項10】 前記連結部材を、高熱伝導率材料又は
    この高熱伝導材料と高強度材料との複合材で構成した請
    求項5記載の超電導マグネット装置。
  11. 【請求項11】 前記間隔保持部材は、前記2つの超電
    導コイル及び前記連結部材間の軸方向の熱膨張差に応じ
    て上記2つの超電導コイルの軸方向の間隙長を自在に調
    整する機構を備えた請求項5記載の超電導マグネット装
    置。
  12. 【請求項12】 前記2つの超電導コイルの軸方向の導
    体中心距離とその径方向の導体中心半径とが等しい請求
    項1記載の超電導マグネット装置。
  13. 【請求項13】 前記2つの超電導コイルの少なくとも
    一方の径方向に補助用の環状超電導コイルを同軸に設け
    た請求項1記載の超電導マグネット装置。
  14. 【請求項14】 前記2つの超電導コイルの少なくとも
    一方の軸方向に補助用の環状超電導コイルを並設した請
    求項1記載の超電導マグネット装置。
  15. 【請求項15】 前記2つの超電導コイルをその発生磁
    界を互いに異ならせて励磁させる手段を備えた請求項1
    記載の超電導マグネット装置。
  16. 【請求項16】 前記2つの超電導コイルの少なくとも
    一方の軸方向の外側に当該2つの超電導コイルとの間で
    逆向きの磁場を発生する補助用の環状コイルを設けた請
    求項1記載の超電導マグネット装置。
  17. 【請求項17】 環状に形成された対を成す超電導コイ
    ルと、この対を成す超電導コイルを互いにその軸方向に
    対峙させた状態で包囲する輻射シールドと、この輻射シ
    ールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取り付け
    られ且つ前記対を成す超電導コイル及び輻射シールドを
    冷却する冷凍機とを備え、前記対を成す超電導コイルの
    少なくとも一方を電気的に短絡させたことを特徴とする
    超電導マグネット装置。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の発明において、前記
    対を成す超電導コイルの一方を超電導状態で電気的に短
    絡させたことを特徴とする超電導マグネット装置。
  19. 【請求項19】 請求項17記載の発明において、前記
    対を成す超電導コイルの一方を有限抵抗を有する状態で
    電気的に短絡させたことを特徴とする超電導マグネット
    装置。
  20. 【請求項20】 請求項17記載の発明において、前記
    対を成す超電導コイルの内周側及び外周側の少なくとも
    一方に断面コの字型の連結部材を設けると共に、前記対
    を成す超電導コイル間に間隔保持部材を設置し、この間
    隔保持部材および前記連結部材を介して前記対を成す超
    電導コイルを互いにその軸方向に連結したことを特徴と
    する超電導マグネット装置。
  21. 【請求項21】 請求項17記載の発明において、前記
    連結部材は、その周方向の少なくとも1箇所に渦電流を
    抑制するためのスリットを有することを特徴とする超電
    導マグネット装置。
  22. 【請求項22】 請求項17記載の発明において、前記
    連結部材は、高熱伝導率材料又はこれと高強度材料との
    複合材で構成されることを特徴とする超電導マグネット
    装置。
  23. 【請求項23】 請求項17記載の発明において、前記
    連結部材は、前記超電導コイルの巻回時の巻枠であるこ
    とを特徴とする超電導マグネット装置。
  24. 【請求項24】 請求項17記載の発明において、前記
    間隔保持部材は、前記対を成す超電導コイル及び連結部
    材のそれぞれの軸方向の熱膨張差を吸収するバネと、こ
    のバネを介して前記対を成す超電導コイルの間隙長を自
    在に調整する機構とを備えたことを特徴とする超電導マ
    グネット装置。
  25. 【請求項25】 請求項17記載の発明において、前記
    超電導コイルの導体中心半径がその上下コイル間の導体
    中心距離と等しい又はそれよりも大きいことを特徴とす
    る超電導マグネット装置。
  26. 【請求項26】 環状に形成された対を成す超電導コイ
    ルと、この対を成す超電導コイルを互いにその軸方向に
    対峙させた状態で包囲する輻射シールドと、この輻射シ
    ールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取り付け
    られ且つ前記超電導コイル及び輻射シールドを冷却する
    冷凍機とを備え、前記対を成す超電導コイル間に間隔保
    持部材を装着すると共に、前記対を成す超電導コイルの
    軸方向外側の端部に当接する位置に対を成す端板を配設
    し、この対を成す端板同士を締結部材で締結し、前記端
    板間にその締結部材を介して前記超電導コイル及び間隔
    保持部材を挟着したことを特徴とする超電導マグネット
    装置。
  27. 【請求項27】 環状に形成された対を成す超電導コイ
    ルと、この対を成す超電導コイルを互いにその軸方向に
    対峙させた状態で包囲する輻射シールドと、この輻射シ
    ールドを包囲する真空容器と、この真空容器に取り付け
    られ且つ前記超電導コイル及び輻射シールドを冷却する
    冷凍機とを備え、前記対を成す超電導コイルの半径方向
    外側に補助コイルを設置したことを特徴とする超電導マ
    グネット装置。
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Cited By (6)

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