JPH114496A - スピーカ - Google Patents

スピーカ

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JPH114496A
JPH114496A JP10022032A JP2203298A JPH114496A JP H114496 A JPH114496 A JP H114496A JP 10022032 A JP10022032 A JP 10022032A JP 2203298 A JP2203298 A JP 2203298A JP H114496 A JPH114496 A JP H114496A
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Takashi Ogura
高志 小椋
Kosaku Murata
耕作 村田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および柔軟性に優れた材料を用いるこ
とにより、優れた耐熱性、音響特性を有するエッジを備
えたスピーカを提供する。 【解決手段】 ポリアクリロニトリル繊維を200〜3
00℃程度の活性雰囲気中で熱処理し、耐炎化して得た
炭素繊維の布と、スチレンブタジエンゴムなど合成ゴム
との複合材料を成形し、炭素繊維布層12、合成ゴム層
14および両層の複合化層13とを有するスピーカのエ
ッジとする。スキン層15と発泡層16とからなる合成
ゴム層14には溝部17が形成され、火災時にはこの溝
部17からエッジが分断されてエッジのコンプライアン
スが回復する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音響機器などに用い
られるスピーカに関するものであり、さらに詳しくは、
防災用スピーカなどとして使用される耐熱性に優れたス
ピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハイファイスピーカなど音響特性を重視
したスピーカのエッジ材料として多用されるゴム系素材
は耐熱性に劣るため、火災の際の延焼を防ぐことは困難
である。そこで、防災用スピ−カなど特殊用途向けスピ
ーカのエッジ材料には、耐熱性を重視し、金属やガラス
繊維などの無機系素材、ポリアリレートやポリエーテル
サルフォンなどのエンジニアリングプラスチックフイル
ム、綿やポリアミド繊維などの基布にフェノール樹脂な
どの熱硬化性樹脂を含浸させた素材などが用いられてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の耐熱性エッジ材料は柔軟性に欠けるため、音圧−
周波数特性における最低共振周波数(f0)を低域側に
制御することが困難であり、また、内部損失が低く平坦
な周波数特性が得られないなど、耐熱性の向上と引き替
えにスピーカの音響特性が十分良好には得られないとい
う課題があった。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、耐熱性に優れ、音響特性の観点からも好まし
いエッジを有するスピーカを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のスピーカは、ポリアクリロニトリル繊維を
耐炎化して得た炭素繊維の布と合成ゴムとからなる複合
シートを成形したエッジを具備することを特徴とする。
このような構成にすることにより、耐熱性と柔軟性とを
兼ね備えたエッジを具備し、耐熱性、音響特性がともに
良好なスピーカが提供される。ここで、耐炎化とは、空
気などの活性雰囲気中で、200〜300℃程度に加熱
して処理することをいう。この処理により、酸化工程を
経てナフチリジン環の生成によるラダーポリマー化が進
行して繊維が耐炎化される。
【0006】また、前記スピーカにおいては、炭素繊維
の布からなる層と、炭素繊維の布に合成ゴムが含浸した
層と、合成ゴムからなる層とを含む多層複合シートを成
形したエッジを、前記炭素繊維からなる層が振動板開口
側最表面層となるように配置することが好ましい。この
ような構成にすることにより、炭素繊維の布と合成ゴム
とが一体的に複合化されながらも、相対的に熱に弱い合
成ゴム層が熱に強い炭素繊維布からなる層で保護され
て、エッジの耐熱性がさらに向上する。このような構成
は、特に、実際の火災の際に想定される600〜100
0℃程度の火炎にエッジが直接さらされるような場合の
耐熱性の向上に有効である。
【0007】また、前記スピーカにおいては、前記合成
ゴムからなる層が発泡層をスキン層で挟み込んだ構造を
有することが好ましい。このような構成にすることによ
り、エッジが軽量化され見かけの剛性も向上するので、
スピーカの音響特性がさらに向上する。ここで、スキン
層とは、合成ゴム層の表面に形成された発泡が実質的に
ない層である。
【0008】また、前記スピーカにおいては、加熱によ
り生じる応力によって前記エッジにスリットが形成され
るように、前記エッジに強度低下部分が設けられている
ことが好ましい。このような構成にすることにより、高
温環境で合成ゴムが収縮することにより生ずるエッジの
緊張状態を緩和することが可能となる。エッジの緊張状
態が緩和されれば、低域におけるスピーカの音響特性の
劣化を抑制することができる。ただし、前記強度低下部
分は、過度に形成する必要はなく、通常の使用状態にお
ける音響再生特性に影響を及ぼさない範囲で設けられて
いることが好ましい。
【0009】また、前記強度低下部分は、具体的には、
前記エッジの表面に形成された溝部を含むことが好まし
い。また、この強度低下部分は、スリットが形成されて
もボイスコイルボビンが正確にピストン運動できるよう
に、エッジに強度的な偏りが生じないように配置されて
いることが好ましく、必ずしも限定されるものではない
が、例えば、エッジに略等間隔に配置されていることが
好ましい。
【0010】また、前記エッジには、前記強度低下部分
を覆うように耐熱布が配設されていることが好ましい。
このような構成にすることにより、加熱によりエッジに
スリットが形成されても、このスリットからの火炎の侵
入を防止することができる。耐熱布は、強度低下部分の
加熱による開裂を見込み、撓んだ状態でエッジ表面に配
設することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1は、本発明の複合シートの一実
施形態を示す断面図である。炭素繊維の布の表面から合
成ゴムが含浸し、この炭素繊維の布と合成ゴムとが複合
化した層3により、炭素繊維の布と合成ゴムとが一体と
なっている。合成ゴムは、炭素繊維の布の一部にのみ含
浸しており、その残余の層が炭素繊維布層2となってい
る。また、合成ゴムはその全量が含浸しているのではな
く、含浸していない合成ゴムは複合化層3に隣接して合
成ゴム層4を形成している。各層の厚さの比率は、スピ
ーカの音響特性に微妙な影響を与えるため、使用状況に
より適宜変化させることが好ましい。
【0012】炭素繊維布は、ポリアクリロニトリル繊維
を200〜300℃の空気中で加熱処理することにより
得ることができる。ポリアクリロニトリル繊維は、通
常、最終的には不活性ガス中で1200〜1400℃の
高温で熱処理されてPAN系炭素繊維として用いられ
る。しかし、このようにして得られた炭素繊維は、強度
および耐熱性に優れてはいるが、剛直に過ぎる。スピー
カのエッジ材料のコンプライアンスは、音質的に非常に
重要なファクターであるため、エッジ材料は柔軟性を有
することが好ましい。また、エッジ形状も音質に影響す
るため、エッジ材料は成形性に優れていることが好まし
い。したがって、前記高温で処理された炭素繊維は、音
響特性および成形性の観点から、スピーカのエッジ材料
としては適していない。本発明者は、ポリアクリロニト
リル繊維を耐炎化した炭素繊維が耐熱性、柔軟性を兼ね
備え、特にスピーカのエッジ材料として好適であること
を見出した。
【0013】上記炭素繊維は、織布として使用してもよ
いが、経緯方向でコンプライアンスが変わることなく周
方向で常に同一の物理特性が得られることから、不織布
として使用することが好ましい。不織布を用いることに
より、部分的な強度低下により生じる共振モードや振動
板の正確なピストン運動を阻害することに起因する音響
歪を抑制することができる。
【0014】また、使用する炭素繊維の布の面密度は、
20〜60g/m2が好ましい。面密度を20g/m2
上とすることにより加熱時における形状保持性能が向上
し、60g/m2以下とすることにより複合シートの成
形性が向上する。
【0015】合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴ
ム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
R)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム、
または非ジエン系ゴムであってもエチレンプロピレンゴ
ム(エチレンプロピレン共重合体(EPM)やエチレン
プロピレンジエン三元共重合体(EPDM))などを用
いることができる。エッジの耐熱性、耐炎性をさらに向
上させるためには、これらの合成ゴムに、酸化アンチモ
ンやハロゲン系、リン系の添加剤を5〜10重量%添加
することが好ましい。
【0016】炭素繊維の布と合成ゴムとを複合化させる
際には、布に合成ゴムを含浸させて炭素繊維を骨材とし
て作用させ、加熱でゴムが劣化した時にエッジが変形し
にくいようにすることが好ましい。また、全体を複合層
としてもよいが、前述のように、合成ゴム層を炭素繊維
布に部分的に含浸させるなどの方法により多層構造とす
ることが合成ゴム保護の観点からは好ましい。このよう
な多層構造は、その例が図1、図2に示されているが、
特にこれらの態様に限られるものではなく、例えば、炭
素繊維布層が合成ゴム層を挟み込むような態様にしても
よい。
【0017】複合化したエッジ材料1は、金型内での熱
圧縮成形などの手段により所望のスピーカのエッジ形状
に成形される。この成形の際には、合成ゴムが熱架橋型
であれば、成形時の加熱により、成形と同時に架橋反応
を行うことができる。したがって、炭素繊維布と合成ゴ
ムとを接触させて加熱圧縮成形を行えば、エッジ材料の
複合化とエッジへの成形が同一工程で実施できる。この
ような効率的な製法を採用するために、本発明の合成ゴ
ムには、硫黄成分の添加などにより熱架橋型としたもの
を使用することが好ましい。
【0018】(第2の実施形態)図2は、本発明の別の
実施形態のエッジ材料を示す断面図である。図2に示す
エッジ材料5は、合成ゴムに発泡剤を添加し、上記と同
様の熱圧縮成形を実施することにより製造することがで
きる。このようにすると、成形時に発泡が開始されて発
泡層10が形成されるとともに、他の素材と接している
合成ゴムの表面部分には、発泡がないスキン層9が形成
される。発泡層10がスキン層9に挟み込まれたサンド
イッチ構造を有し、軽量化され、見掛けの剛性が向上し
ているので、図2に示したエッジ材料5により成形され
たエッジを使用すれば、エッジや振動板の不要共振を抑
制することができる。
【0019】なお、発泡剤としては、ADCA(アゾジ
カルボンアミゾ)系発泡剤、DPT(ジニトロペンタメ
チレンテトラミン)系発泡剤、OBSH系発泡剤などを
用いることができる。
【0020】(第3の実施形態)図3は、本発明のさら
に別の実施形態のエッジ材料の断面図である。図3に示
すエッジ材料11の合成ゴム層14には、溝部17が設
けられている。この溝部17は、例えば第2の実施形態
と同様の方法を用いて熱圧縮成形する際に、金型に突起
部を設けることにより形成することができる。また図4
は、このようなエッジ材料を用いて成形したエッジ18
の一例を裏面から(スピ−カ内部側から)示す図であ
る。図4に示すリング状のエッジ18には、3本の溝部
17が等間隔となるように(リング中心と各溝部とを結
ぶ線分が120°の間隔を保つように)形成されてい
る。
【0021】火災時に加熱されると、合成ゴムは分子構
造が変化して収縮する。この収縮によりエッジには内部
応力が生じるが、通常の実施形態では、この内部応力は
エッジの引張強度を上回る程度には大きくならない。し
かし、この応力は、エッジ内部に強度低下部分があれ
ば、その部分からエッジを分断しうる程度の大きさを有
する。本実施形態では、この応力を利用してエッジに計
画的にスリットが形成される。
【0022】エッジに用いられている合成ゴムの収縮
は、火災発生後のスピーカの再生特性には好ましくない
影響を及ぼす。柔軟性が失われコンプライアンスが低下
するからである。しかし、本実施形態によれば、エッジ
にスリットが形成されてエッジの緊張状態が緩和される
ため、材料特性上は低下したコンプライアンスがエッジ
の構造上の変化により回復される。このような変化によ
り、具体的にはスピーカの振動板の振幅量が回復するた
めに、特に低域でのスピーカの音響特性が改善されるこ
とになる。
【0023】溝部17は、高温環境下にエッジに発生す
る応力により、その部分からエッジが開裂する程度にエ
ッジの強度を低下させるべく形成される。従って、溝部
の形状、深さは、この目的を達成できる限りにおいて、
図示したものに限られることはない。例えば溝部17の
断面形状は、図示したような矩形に限られず、楔型状、
半円形状などであってもよい。また、連続した溝部とし
て形成される必要はなく、例えば、断続的に形成された
ミシン目状の溝部とされていてもよい。さらに、このよ
うな強度低下部分は、合成ゴム層14以外の層に形成さ
れていてもよい。例えば炭素繊維布にミシン目を形成し
ておけば、このミシン目部分が強度低下部分となる。ま
た、溝部などの強度低下部分は、通常、図示したよう
に、エッジを横断する方向に形成することが好ましい。
【0024】このように、本発明の強度低下部分は、そ
の形状などが特に限定されるものではないが、実際の火
災を考慮すると、エッジを室温から200〜300℃に
加熱したときに、その部分からエッジが開裂してスリッ
トが生じるように形成することが好ましい。
【0025】強度低下部分は、計画的に配置されている
ことが好ましく、例えば前述のように、エッジを均等に
分割できるように配置される。局所的に集中してスリッ
トが生じると、ボイスコイルボビンやコイル線が磁気回
路のギャップ内でトッププレートやヨークと接触し、ス
ピーカが破損することも考えられるからである。また、
その数は、エッジ形状など諸条件から適宜定めればよい
が、例えば図4に示したような典型的なエッジ形状の場
合には、3〜5個程度とすることが好ましい。過度に形
成すると、加熱時の張力が分散し、全ての強度低下部分
にスリット形成に必要な張力が作用しなくなる可能性が
あるからである。合成ゴムの収縮による変形自体は本来
均一ではないが、図3に示したような炭素繊維の布と合
成ゴムとが複合化した層13が存在すれば、合成ゴム層
14の収縮の均一性は改善される。このようなエッジ収
縮の均一化は、複数のスリットを計画的に形成するため
には好ましいものとなる。
【0026】
【実施例】以下の4種類のエッジを用意した。 A.ポリアクリロニトリル繊維を250℃に保持した炉
中で蒸し焼き状態にしたものを面密度35kg/m2
不織布に加工した。この炭素繊維不織布の表面の一方
に、熱架橋型のスチレンブタジエンゴムのシートを重ね
て金型内に設置し、200℃、1分、50kg/cm2
の圧力をかけて熱圧縮成形により材料を複合化するとと
もにスピーカのエッジの形状とした。 B.スチレンブタジエンゴムにアゾジカルボンアミゾ系
発泡剤5重量%と三酸化アンチモンおよびハロゲン系難
燃剤を合計5重量%添加した点を除いては、Aと同様に
してエッジを製造した。 C.炭素繊維不織布を用いない点を除いては、Aと同様
にしてエッジを製造した。 D.綿織布にフェノール樹脂により目止めを行った後、
コーティング剤としてスチレンブタジエンゴム/アクリ
ロニトリルブタジエンゴム混合ラテックスを塗布したも
のを200℃、30秒、100kg/cm2の条件で熱
圧縮成形してエッジを製造した。
【0027】これらエッジ材料のうち、AおよびBのエ
ッジの断面を確認したところ、それぞれ、図1、図2に
示したものと同様であった。A、Bの両エッジとも、炭
素繊維不織布に、熱圧縮成形時の熱により溶融したスチ
レンブタジエンゴムが含浸するが、同時に架橋反応によ
り弾性が高くなっていくため、不織布全体に浸透するこ
となく、多層構造を呈することになったものである。ま
た、これらエッジA、Bは、合成ゴムの含浸により強固
に接着され、複合化していた。
【0028】次に、A〜Dのエッジの表面に約600〜
700℃のバーナー炎を10秒間照射した。なお、この
時、AおよびBのエッジについては、炭素繊維不織布の
側から炎を照射した。得られた観察結果を表1に示す。
【0029】 (表1) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− エッジ 火炎照射の結果 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− A 5秒後に裏面のゴム素材に着火したが、焼失には至らず B 未着火 C 2秒で着火して焼失 D 2秒で着火して焼失 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0030】エッジA、Bは、火炎照射後も形状を保っ
ており、従来用いられてきた合成ゴム単体のエッジCや
布エッジDと比較して、耐熱性、耐炎性が向上している
ことが確認された。
【0031】次に、エッジBおよびDの内部損失を振動
リード法により測定した。結果を表2に示す。エッジB
の内部損失は、エッジDの内部損失に比べて大きいこと
が確認された。
【0032】 (表2) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− エッジ 内部損失(tanδ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− B 0.315 D 0.135 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0033】さらに、エッジA、BおよびDのエッジを
組み込んで図5に示すようなスピーカを完成させて、こ
れらのスピーカについて音圧周波数特性を測定した。結
果を図6〜図8に示す。なお、エッジA、Bの組み込み
の際には、炭素繊維布層2、6が振動板22開口側(図
5における上方)最表面になるように配置した。
【0034】図6〜図8より、エッジA、Bにおいて
は、布エッジDに比較して音圧周波数特性における平坦
性が向上し、2次高調波歪および3次高調波歪が低減し
ていることが確認された。また、内部に発泡層を含むエ
ッジBは、エッジAと比較して軽量であるため、音圧が
向上していることがわかる。
【0035】さらに、以下の2種類のエッジを用意し
た。 E.合成ゴム層表面に、この層の厚さの半分の深さを有
する3本の溝部を、リング状としたエッジのリング中心
から外周側にかけて合成ゴム層を横断し、互いに等間隔
となるように(120°の角度を為すように)形成した
点を除いては、Bと同様にしてエッジを製造した。な
お、この溝部はエッジ成形金型に設けた突起部により形
成した。また、エッジEの断面および裏面を確認したと
ころ、図3および図4に示したものと同様であった。 F.合成ゴム層表面に、炭素繊維織布を撓んだ状態で溝
部を覆うように耐熱性接着剤を用いて接着した点を除い
ては、Eと同様にしてエッジを形成した。このエッジの
断面は図11に示したものと同様であった。
【0036】次にエッジB、EおよびFを組み込んで、
図5に示すようなスピーカを完成させた。これらのスピ
ーカを、密閉された電気炉内に振動板22開口側(図5
における上方)が電気炉内部を向くように設置した。振
動板22には熱が直接当たらないように断熱材による覆
いをした。電気炉内部の温度は500℃を保持するよう
に設定し、1Wの音楽信号を入れながら15分放置し
た。放置後、エッジBおよびEを組み込んだスピーカの
音圧周波数特性を測定した。得られた音響特性図を図9
および図10に示す。なお、エッジEおよびFを用いた
スピーカを観察したところ、エッジは、溝部から開裂
し、3本の微細なスリットが形成されていることが確認
された。
【0037】図9および図10に示すように、エッジB
においては、熱によりエッジ材料が収縮し硬化している
ため、振幅を確保することができず低域再生特性が劣化
するとともに音圧も低下している。一方、エッジEにお
いては、スリットが形成されて、機械的、構造的にコン
プライアンスが保持されたために、振幅量を維持するこ
とが可能となり、低域の再生および音圧の保持が可能と
なっている。なお、エッジBおよびエッジEの最低共振
周波数と音圧を表3に示す。
【0038】 (表3) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 最低共振周波数(f0) 音圧 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− エッジB 2000Hz 85dB エッジE 220Hz 90dB −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なお、表3における音圧は各最低共振周波数(f0)に
おける音圧である。
【0039】エッジFを組み込んだスピーカについて
も、エッジEを用いた場合とほぼ同様の音響特性が得ら
れた。また、エッジFを組み込んだスピーカは、加熱後
にはそのエッジ断面が、図12に示したような状態へと
変化していた。エッジ25に接着した炭素繊維布29に
より、溝部27から成長したスリット28の空隙が覆わ
れているため、このエッジは、前面からの炎や熱がスリ
ット28を通して直接侵入することを防止できるものと
なっている。
【0040】以上より、エッジA、Bは、従来の耐熱性
エッジである布エッジDよりも、表面に直接火炎が照射
されるような実際の火災を想定した厳しい条件での耐熱
性において優れており、さらに、音響特性の点において
も耐熱性エッジの中では柔軟であるエッジDよりも優れ
ていることがわかった。さらにエッジE、Fは、熱によ
りエッジ材料の柔軟性が低下した場合においても、低域
再生特性および音圧特性の低下を抑制できるものであ
り、上記に示した結果のように、熱に暴露される前の状
態とほぼ同等程度にまで特性を回復させることが可能で
あることがわかった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
ポリアクリロニトリル繊維を耐炎化して得た耐熱性、柔
軟性を有する炭素繊維と、可撓性に優れる合成ゴムとを
複合化したシートを成形して得たエッジを用いることに
より、耐熱性、音響特性にともに優れたスピーカを提供
することができる。
【0042】また、炭素繊維の布からなる層と、炭素繊
維の布に合成ゴムが含浸した層と、合成ゴムからなる層
とを含む多層複合シートを成形したエッジを、前記炭素
繊維からなる層が振動板開口側最表面層となるように配
置することにより、特に、火炎にエッジが直接さらされ
るような場合の耐熱性が向上する。
【0043】さらに、前記合成ゴムからなる層が発泡層
をスキン層で挟み込んだ構造とすることにより、エッジ
が軽量化され見かけの剛性も向上するので、スピーカの
音響特性がさらに向上する。
【0044】また、火災時の加熱により生じる応力によ
って前記エッジにスリットが形成されるように、前記エ
ッジに溝部などの強度低下部分を設けた構造とすること
により、エッジ材料が加熱されて柔軟性を失っても、構
造的にコンプライアンスを回復させることができ、低域
再生および音圧の劣化を抑制することができる。さら
に、この強度低下部分を覆うようにエッジに耐熱布を配
設した構造とすることにより、スリットが形成されて
も、このスリットから火炎や熱がスピーカ内部に直接侵
入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるエッジ材料の一実施形態を示す
断面図である。
【図2】 本発明によるエッジ材料の別の実施形態を示
す断面図である。
【図3】 本発明によるエッジ材料の別の実施形態を示
す断面図である。
【図4】 本発明によるエッジの底面図(裏面図)であ
る。
【図5】 本発明によるスピーカの一実施形態を示す断
面図である。
【図6】 エッジAの音圧−周波数特性図である。
【図7】 エッジBの音圧−周波数特性図である。
【図8】 エッジDの音圧−周波数特性図である。
【図9】 エッジBの耐熱試験後の音圧−周波数特性図
である。
【図10】 エッジEの耐熱試験後の音圧−周波数特性
図である。
【図11】 本発明によるエッジの別の実施形態を示す
断面図である。
【図12】 図11に示したエッジの加熱後の状態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1、5、11 エッジ材料 2、6、12 炭素繊維布層 3、7、13 炭素繊維−ゴム複合層 4、8、14 合成ゴム層 9、15 合成ゴムスキン層 10、16 合成ゴム発泡層 17、27 溝部 21 エッジ 22 振動板 23 フレーム 28 スリット 29 耐熱織布 31 スピーカ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアクリロニトリル繊維を耐炎化して
    得た炭素繊維の布と合成ゴムとからなる複合シートを成
    形したエッジを具備するスピーカ。
  2. 【請求項2】 炭素繊維の布からなる層と、炭素繊維の
    布に合成ゴムが含浸した層と、合成ゴムからなる層とを
    有する多層複合シートを成形したエッジを、前記炭素繊
    維の布からなる層が振動板開口側最表面層となるように
    配置した請求項1に記載のスピーカ。
  3. 【請求項3】 前記合成ゴムからなる層が発泡層をスキ
    ン層で挟み込んだ構造を有する請求項2に記載のスピー
    カ。
  4. 【請求項4】 加熱により生じる応力によって前記エッ
    ジにスリットが形成されるように、前記エッジに強度低
    下部分が設けられた請求項1〜3のいずれかに記載のス
    ピーカ。
  5. 【請求項5】 前記強度低下部分が前記エッジの表面に
    形成された溝部を含む請求項4に記載のスピーカ。
  6. 【請求項6】 前記強度低下部分が前記エッジに略等間
    隔に配置された請求項4または5に記載のスピーカ。
  7. 【請求項7】 前記強度低下部分を覆うように、前記エ
    ッジに耐熱布が配設された請求項4〜6のいずれかに記
    載のスピーカ。
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