JPH1144296A - 横型スクロール圧縮機 - Google Patents

横型スクロール圧縮機

Info

Publication number
JPH1144296A
JPH1144296A JP20146397A JP20146397A JPH1144296A JP H1144296 A JPH1144296 A JP H1144296A JP 20146397 A JP20146397 A JP 20146397A JP 20146397 A JP20146397 A JP 20146397A JP H1144296 A JPH1144296 A JP H1144296A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling bearing
scroll
lubricating oil
main
bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20146397A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Nishibatake
秀男 西畠
Sadao Kawahara
定夫 河原
Teruyuki Akazawa
輝行 赤澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP20146397A priority Critical patent/JPH1144296A/ja
Publication of JPH1144296A publication Critical patent/JPH1144296A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクロール圧縮機で、車両一般の走行特性や
機器の搭載に有利な横型で、各種用途を含め、潤滑に問
題のないものとすることを目的とする。 【解決手段】 電動要素1およびこの電動要素1に連結
されたクランク軸2を横向きに配して、クランク軸2の
両端部を主、副転がり軸受3、4により支持するととも
に、クランク軸2の主転がり軸受3側にスクロール圧縮
要素5を配し、このスクロール圧縮要素5の旋回スクロ
ール30の背部に有する旋回軸30aをクランク軸2の
主転がり軸受3側端部の偏心位置に設けた旋回用転がり
軸受7に嵌め入れて、クランク軸2をスクロール圧縮要
素5に旋回駆動できるように連結し、クランク軸2の副
転がり軸受4側端部に下部の潤滑油溜まり8から潤滑油
9を吸入する給油ポンプ11を連結して潤滑油9を強制
潤滑が必要な各軸受3、7およびスクロール圧縮要素5
に供給するようにして、上記の目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として冷凍空調に
使用されるスクロール圧縮機に関し、例えば各種車両、
特に電気自動車に好適な横型スクロール圧縮機に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】冷凍空調用の電動圧縮機としては、圧縮
部がレシプロ式のもの、ロータリー式のもの、スクロー
ル式のものがある。中でもロータリー圧縮機やスクロー
ル圧縮機は高効率、低騒音、低振動という特徴を活かし
て、主として家庭用の冷凍空調に実用化されている。
【0003】一方、電気自動車が実用化される段階にあ
り、電気自動車での空調も種々に研究され具体的な提案
もなされている。電気自動車では内燃機関のような熱源
なしに十分な暖房機能を発揮する必要である。また、電
源も不安定であるため、電力負荷の小さなものが望まれ
る。
【0004】そこで、電気自動車でも効率がよく高性能
なロータリー式やスクロール式の圧縮機を採用すること
が考えられ、一部では実用化されつつある。
【0005】図9、図10に実用化されつつある電気自
動車用の圧縮機構の一例を示している。このものは、縦
型に設置されるもので、縦型の密閉容器a内の下部に、
ロータリー式圧縮要素bを、上部にロータリー式圧縮要
素bを駆動する電動機cを、それぞれ配置し互いに連結
している。ロータリー式圧縮要素bの吸入ポートdに接
続されるアキュームレータeも密閉容器aと平行に縦向
きに配置している。ロータリー式圧縮要素bは図9、図
11に示すように、シリンダーf内に電動機cのロータ
gと連結されたクランク軸hの偏心部h1に嵌め合わさ
れたローラピストンjを収容し、このローラピストンj
の回転とこれに従動するようにシリンダーfに設けられ
たベーンkとで構成される圧縮部lを上下に2組設けた
もので、これらの上下部にある主、副各軸受m、nによ
ってクランク軸hが支持されている。
【0006】密閉容器a内の各圧縮部lが配置された下
部は潤滑油溜まりoとされ、各圧縮部lを潤滑油内に浸
漬させた状態とし、圧縮部lの各部の摺動部を潤滑する
のに併せ、それらの間の隙間をシールする。潤滑油溜ま
りo内の潤滑油は、電気自動車の急停車、急発進、急な
加減速時の慣性、カーブ走行時やターン時の慣性、ある
いは上り坂や下り坂を走行したり、傾斜地に駐停車する
と言ったことによる傾斜や姿勢の違いなどによって、貯
留状態が種々に変化する。しかし、潤滑油は縦型密閉容
器aの狭い下部を潤滑油溜まりoとされて各圧縮部lを
浸漬状態にしているので、潤滑油の貯留状態が種々に変
化しても、前記浸漬状態を確保しやすい。このため、縦
型で圧縮部lが下部に位置するように設計された圧縮機
は、電気自動車に搭載されても潤滑不良が生じにくく耐
久性上特に問題とはならない。スクロール式圧縮機でも
圧縮部lを下部に配置する縦型のものとすると同様な特
徴が得られるが、低圧型の圧縮部lは潤滑油が入るとこ
れを吐き出せないので下部に配置できず、高圧型の圧縮
部lの仕様に限られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、圧縮機は、
耐久性上、ブラシレスDCモータなどが好適であり、フ
ェライトを用いた重量物となるし、圧縮部lも耐圧構造
物であって、一部にアルミニウム系金属が用いられたり
するものの、全体では重量物である。圧縮部lの全体を
アルミニウム系金属で形成すると耐圧構造上かえって重
量化する。しかも、これらを密閉容器a内に収容する密
閉型の圧縮機では、この密閉容器aも圧力容器であり重
量物となる。同様に、アキュームレータeも圧力容器で
あり重量物となる。
【0008】このように、重量物である圧縮機およびア
キュームレータeを、上記従来のように共に縦型のもの
として使用すると、上部が不安定でふらつきやすく振動
しやすいので、これを安定に取り付けるのに、下部を取
り付けフランジpによって複数箇所を固定部に取り付け
る一方、上部をも固定部に別に取り付けるなどしてい
て、取り付け構造が複雑でコスト高の原因になってい
る。これは、全ての圧縮機に共通したことである。
【0009】また、縦型の圧縮機およびアキュームレー
タeは、電気自動車の走行性能に影響しやすく不利であ
ることを、本発明者等は新たに知見した。具体的には、
縦向きに配置された重量物である圧縮機およびアキュー
ムレータeは、電気自動車自体の重心を高くしており、
電気自動車の設計走行速度、目標走行速度が高くなる
中、急停車、急発進、急激な加減速時、カーブ走行時や
ターン時の車体の慣性による安定性を大きく損ない、ふ
らつきや横転の原因になる。アキュームレータeを横向
きに設置すると、車体の重心を幾分か低くすることはで
きる。しかし、縦向きの圧縮機と横向きのアキュームレ
ータeとの組合せでは機器のかさ張りによるデメリット
の方が大きく有効な対策にはならない。しかも、圧縮機
およびアキュームレータeの縦型配置は、電気自動車の
他の機器の配置の邪魔になりやすく不向きでもある。こ
れはガソリンエンジン等の内燃機関を積んだものを含む
車両一般に共通している。車両一般の中の鉄道車両の天
井裏に設置するような場合も同じである。
【0010】電気自動車に搭載する圧縮機を横向きに設
置することが考えられる。横型の密閉型圧縮機は、家庭
用の冷凍空調用のスクロール圧縮機などが広く知られて
いるし、本出願人も図12に示すような密閉型のスクロ
ール圧縮機を既に提供している。
【0011】このものは、横型の密閉容器aの内部の一
端側にスクロール圧縮部qが設けられている。このスク
ロール圧縮部qを駆動する電動機cは密閉容器aの中央
部に位置してステータrが密閉容器aの側周壁の内面に
固定され、電動機cの前記ステータrに対応するロータ
gにはクランク軸hが結合され、これの回転軸がほぼ水
平になるように配されている。クランク軸hはスクロー
ル圧縮部qの側の一端部に有する主軸uを、スクロール
圧縮部qに取り付けられた主軸受部材vに主滑り軸受w
によって支承され、主軸uとは反対側の他端部を、密閉
容器1の他端側に位置して密閉容器aの側周壁内面に固
定された図示しない副軸受部材によって軸受を介し支承
されている。スクロール圧縮部qはその旋回スクロール
xの背部に設けた旋回軸x1を、主軸uの偏心位置に設
けられた旋回用滑り軸受yに嵌め入れて、旋回スクロー
ルxをクランク軸hに連結し旋回駆動されるようにして
いる。
【0012】密閉容器aの下部が潤滑油溜まりoとされ
るが、潤滑油に浸漬できる高圧型でも、構造上縦型のよ
うにスクロール圧縮部qの全体を浸漬させにくいので強
制給油して必要な部分の潤滑を図っている。具体的に
は、クランク軸hの反スクロール圧縮部側の端部に連結
された図示しない給油ポンプによって、潤滑油溜まりo
に貯留される潤滑油を吸入し、クランク軸hを縦通して
いる潤滑油孔h2を通じ、スクロール圧縮部qや主滑り
軸受w、旋回用滑り軸受y等必要な部分に強制給油して
いる。
【0013】ところが、このような家庭用の冷凍空調に
利用されている横型のスクロール圧縮機は電気自動車に
適していない。スクロール圧縮部qが潤滑油に浸漬され
ないので低圧型から高圧型の広い範囲の仕様に対応でき
る反面、横型の密閉容器a内の下部に設けられた横長な
潤滑油溜まりoに貯留される潤滑油は、電気自動車の急
停車、急発進、急激な加減速時、カーブ走行時やターン
時の潤滑油の慣性による揺れ動き、上り坂や下り坂を走
行したり、傾斜地に駐停車すると言ったことによる車体
の傾斜や姿勢の違いに応じて潤滑油の貯留状態に偏りが
生じたりし、潤滑ポンプは一時的には勿論、長時間にわ
たって潤滑油の吸入が不足したり吸入できなかったりす
る。このため、強制給油が不足したり、強制給油できな
いことがときとしてあり、潤滑不足による耐久性の問題
が生じる。
【0014】このような問題は、車両一般に搭載すると
きや、船舶、航空機党に搭載するときに共通するが、主
として前記主滑り軸受wや旋回用滑り軸受yの部分で発
生し、メンテナンスフリーな密閉容器型のものでは特に
問題であるし、メンテナンスできる開放型のものでも、
メンテナンス作業は容易でないので、作業回数が増える
のは問題となる。しかも、近時の塩素を含まない代替冷
媒を用いると、塩素を含まないことによる潤滑性の低下
が著しく耐久性はさらに低くなり実用に耐えない。
【0015】本発明の目的は、各種車両の走行特性、あ
るいは鉄道車両の天井部や電気自動車などの機器の搭載
に好適な横型で、各種用途において潤滑に問題のない横
型スクロール圧縮機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するため、請求項1の発明の横型スクロール圧縮機は、
電動要素およびこの電動要素に連結されたクランク軸を
横向きに配して、クランク軸の両端部を主、副転がり軸
受により支持するとともに、クランク軸の主転がり軸受
側にスクロール圧縮要素を配し、このスクロール圧縮要
素の旋回スクロールの背部に有する旋回軸をクランク軸
の主転がり軸受側端部の偏心位置に設けた旋回用転がり
軸受に嵌め入れて、クランク軸をスクロール圧縮要素に
旋回駆動できるように連結し、クランク軸の副転がり軸
受側端部に下部の潤滑油溜まりから潤滑油を吸入する給
油ポンプを連結して潤滑油を強制潤滑が必要な各軸受お
よびスクロール圧縮要素に供給するようにしたことを特
徴とするものである。
【0017】このような構成では、電動要素およびこの
電動要素に連結されたクランク軸を横向きに配し、クラ
ンク軸をその主転がり軸受側に配したスクロール圧縮要
素に旋回駆動できるように連結した横型であって、アキ
ュームレータと平行な状態でかさ低く、かつ他の機器の
邪魔になりにくい姿勢で設置して、請求項9の発明のガ
ソリンエンジン等の内燃機関を搭載した、あるいは電気
自動車や鉄道車両を含む車両一般に搭載する場合の、あ
るいは航空機や船舶の機器搭載効率を高めるとともに、
その設置高さが極く低くなって圧縮機自体の安定性がよ
く簡単かつ安価な取り付け構造でスクロール圧縮要素の
振動を抑えた静かな運転ができ、しかも、横型スクロー
ル圧縮機は、それに平行に配したアキュームレータなど
とともに、電気自動車などの重心高さを低くする重量物
として働くので、電気自動車などの走行の安定性を増大
させ、急停車、急発進、急激な加減速時、カーブ走行時
やターン時の車体の慣性による不安定性を抑え、ふらつ
かず横転しにくいものとすることができ、高い設計走行
速度や目標走行速度に十分に対応することができる。ま
た、強制潤滑が必要な各転がり軸受は、面接触する滑り
軸受に比し、点または線で転がり接触する摩擦抵抗が小
さく潤滑油消費量の少ない、潤滑油保有性の高いもので
あることにより、スクロール圧縮要素が駆動されて冷暖
房運転しているときに給油ポンプが強制給油する潤滑油
を長時間保持することができ、電気自動車などの走行状
態、駐停車時の傾斜や姿勢に応じて横長な潤滑油溜まり
での潤滑油の貯留状態に偏りが生じたりして、給油ポン
プが一時的には勿論、長時間にわたって潤滑油の吸入が
不足したり吸入できず、強制給油が不足したり、強制給
油できないことがときとしてあっても、前記各転がり軸
受が潤滑不足となってかじりや異常摩耗が発生するよう
なことはなく、耐久性、信頼性の高いものとなる。この
ような利点は用途を問わずどのような場合も発揮され
る。
【0018】この場合、請求項2の発明のように、主転
がり軸受は、ボール軸受であり、旋回用転がり軸受はニ
ードル軸受であると、クランク軸のスクロール圧縮要素
と連結されてそれの旋回スクロールを旋回駆動するため
に高負荷を受ける軸端部を、主転がり軸受のボール軸受
構造により必要十分な軸受剛性および転がり特性を持っ
て支持し、ガタツキや騒音、振動の発生を防止すること
ができる。また、主軸と旋回軸との旋回スクロールを旋
回駆動するときの複雑な相対移動を、旋回用転がり軸受
のかさ低いニードル軸受構造によって、必要十分な軸受
剛性および転がり特性を持って支持し、ガタツキや騒
音、振動の発生を防止しながら、主転がり軸受が必要十
分な軸受剛性を発揮するためのスペース的余裕を与える
ので、転がり軸受構造を採用することにより横型スクロ
ール圧縮機が大型化するのを防止することができる。
【0019】また、請求項3の発明のように、主転がり
軸受が、アウターレースの外周に樹脂リングを嵌め付け
て、支持部材内に圧入されていると、主転がり軸受のア
ウターレースの支持部材への圧入部の相互間に樹脂リン
グの弾性力が働いて、振動および騒音を吸収し、運転の
安定性と静音特性とを高め、信頼性のさらに高いものと
することができる。
【0020】また、請求項4の発明のように、旋回用転
がり軸受が、インナーレースを旋回スクロールの旋回軸
に圧入され、旋回軸の端部のカシメによって抜け止めさ
れていると、アルミニウム系金属で形成されることの多
い旋回スクロールの旋回軸をこれに圧入されたインナー
レースによって補強できる結果、旋回軸の小径化を図っ
て主転がり軸受や旋回用転がり軸受等の設置スペースを
拡張することができるし、インナーレースのガタツキや
振動を防止することができるとともに、インナーレース
が旋回軸のカシメにより抜け止めされていて脱落するこ
とがないので、耐久性および信頼性がさらに向上する。
【0021】請求項5の発明は、請求項1〜4の発明の
いずれか1つにおいて、さらに、電動要素はステータの
軸線方向の中心に対してロータの軸線方向の中心を主、
副転がり軸受のいずれかの側に偏心させて設置し、主、
副転がり軸受のうち、前記ロータの中心が偏心した側の
もののアウターレースを、支持部材との間に設けた弾性
部材によりロータの中心の偏心方向と反対の方向に押圧
するようにしたている。
【0022】このような構成では、請求項1〜4の発明
のいずれか1つに加え、さらに、電動要素のロータの軸
線方向の中心がステータの軸線方向中心に対して主、副
転がり軸受の一方の側に偏心されていることにより、ロ
ータはステータとの間の磁気的な釣り合い力によって偏
心が矯正される方向の付勢力を受けて、主、副転がり軸
受の反偏心側にあるものにおいて、そのインナーレース
を転がり部材を介しアウターレースに押圧して、軸線方
向の遊びを無くするが、偏心側にあるものにおいては、
それのインナーレースを転がり部材を介したアウターレ
ースとの間の軸線方向の遊びを拡大する側に付勢する。
しかし、このアウターレースを支持部材との間に働かせ
た弾性部材により、転がり部材を介しインナーレースに
反偏心側に押圧することにより、それらの軸線方向の遊
びを無くす。これにより、主、副転がり軸受双方の軸線
方向のガタツキを十分に防止し、さらに安定した静音で
の運転を保証し、耐久性および信頼性の高いものとする
ことができる。
【0023】請求項6の発明は、請求項1〜5の発明の
いずれか1つにおいて、さらに、全ての構成要素が1つ
の横型密閉容器に収容され、密閉容器内のスクロール圧
縮要素の旋回スクロールの背部側空間を冷媒通路と潤滑
油溜まりとに共用している。
【0024】このような構成では、請求項1〜5の発明
のいずれか1つに加え、さらに、全ての構成要素が1つ
の横型密閉容器に収容されていることにより、冷媒およ
び潤滑油を封入して冷凍空調に利用するのに、それらの
外部での漏れなくメンテナンスフリーに構成するのに好
都合であり、特に、スクロール圧縮要素の旋回スクロー
ルの背部側空間を冷媒通路と潤滑油溜まりとに共用して
いることにより、冷媒にて電動要素を冷却することがで
きるし、冷媒によって潤滑油溜まりに貯留されている潤
滑油を各種摺動部分の細部にまで持ち運んで潤滑し、副
転がり軸受などへの強制給油を不要として、強制給油構
造の簡略化を図ることができる。
【0025】この場合、請求項7の発明のように、冷媒
に塩素を含まないものを用いても、メンテナンスフリー
に対応できる耐久性が得られるし、潤滑油に冷媒と相溶
性のあるものを用いると、冷媒により潤滑油の持ち運び
量を増大して強制潤滑生を促進することができるので、
耐久性および信頼性共にさらに向上することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の代表的な一実施の
形態について、その実施例とともに、図1〜8を参照し
ながら詳細に説明する。
【0027】本実施の形態は電気自動車用の横型スクロ
ール圧縮機であり、図1〜図5に示すように電動要素1
およびこの電動要素1に連結されたクランク軸2を横向
きに配して、クランク軸2の両端部を主、副転がり軸受
3、4により主、副支持部材45、46に支持してあ
る。クランク軸2の主転がり軸受3側にスクロール圧縮
要素5を配し、このスクロール圧縮要素5の旋回スクロ
ール6の背部に有する旋回軸6aをクランク軸2の主転
がり軸受3側端部の偏心位置に設けた旋回用転がり軸受
7に嵌め入れて、クランク軸2をスクロール圧縮要素5
に旋回駆動できるように連結し、クランク軸2の副転が
り軸受4側端部に下部の潤滑油溜まり8から潤滑油9を
吸入する給油ポンプ11を連結して潤滑油9を強制潤滑
が必要な各軸受、本実施の形態では主転がり軸受3、旋
回用転がり軸受7およびスクロール圧縮要素5に供給す
るようにしたことを主たる特徴とし、副転がり軸受4に
は別途強制潤滑を図っている。しかし、これへの強制潤
滑も給油ポンプ11による給油で行うこともできる。
【0028】電動要素1は本実施の形態の場合、耐久性
上ブラシレス・DCモータを用いているが、特にこれに
限られることはなく種々のものを用いることができる。
スクロール圧縮要素5は、図1、図2に示すように、渦
巻き状の羽根21が鏡板22上に立ち上がった固定スク
ロール20と、前記とほぼ同じ渦巻き状の羽根31が鏡
板32上に立ち上がった旋回スクロール30とを噛み合
わせて、双方間に複数の圧縮室41を形成し、旋回スク
ロール30を自転させずに固定スクロール20に対して
円軌道運動させるようにしてある。
【0029】旋回スクロール30を自転させずに円軌道
運動させる自転防止旋回駆動機構12は、クランク軸2
の主転がり軸受3に軸受された主軸2aに設けた偏心孔
2b内に旋回転がり軸受7を設ける一方、旋回スクロー
ル30の背部に設けた旋回軸30aを前記旋回転がり軸
受7に回転自在なように嵌め合わせてあり、主軸2aが
回転すると自転防止機構であるオルダムリング13によ
り旋回スクロール30は円軌道運動する。
【0030】旋回スクロール30は電動要素1にてクラ
ンク軸2が回転駆動されることにより円軌道運動されて
旋回を繰り返し、固定スクロール20との間に形成する
圧縮室41が外周部で開放した状態にて冷媒を図1、図
2に示す吸入ポート15を通じて吸入し、その後冷媒を
圧縮室41に閉じ込めるとともに圧縮室41の容積が順
次に小さくなることによって冷媒を次第に圧縮してい
く。さらに旋回する過程で圧縮室41が吐出ポート16
に通じ始めるとともに圧縮室41の容積をさらに小さく
しながら、圧縮した冷媒を吐出ポート16を通じ吐出す
る。16aは吐出ポート16の逆止弁、16bは逆止弁
16aのストッパをそれぞれ示している。
【0031】この吐出する冷媒を電気自動車での冷凍空
調機構に供するのに、吐出管17を介し図示しない冷凍
機構の冷凍サイクルに供給した後、図示しないアキュー
ムレータ、吸入管18を介し戻ってくる冷媒を再度吸入
して圧縮することを繰り返し、冷凍空調を行う。この場
合の冷凍サイクルはヒートポンプ式のものが採用され、
スクロール圧縮機の高効率、低騒音、低振動という特徴
を活かしながら通常運転では冷房を行い、ヒートポンプ
運転に切り換えることによって冷媒の循環が冷房時と切
り替わり内燃機関のような熱源のない電気自動車での暖
房を十分に達成することができる。このようなことは、
熱源のない各種用途に共通し、それらの用途分野で本発
明は有用となる。ヒートポンプ式冷凍機の具体的な構成
は、本発明のスクロール圧縮機の構成以外、室内の冷凍
空調を行う場合の構成と特に変わらなくてよく、詳細な
説明は省略する。
【0032】給油ポンプ11は本実施の形態の場合、よ
く知られたトロコイドポンプを用いているが、その具体
的構成、あるいは採用するポンプ形式は特に問うもので
はなく、本発明に必要な強制潤滑のための給油が行えれ
ばよい。クランク軸2が回転駆動されてスクロール圧縮
要素5が冷媒を吸入し、圧縮して吐出するとき、クラン
ク軸2は同時に給油ポンプ11も回転駆動し、下部の潤
滑油溜まり8から潤滑油9を吸入して強制潤滑が必要な
各軸受、本実施の形態では主転がり軸受3と、旋回用転
がり軸受7の転がり接触部と、スクロール圧縮要素5の
摺動接触部に供給する。これにより、主転がり軸受3お
よび旋回用転がり軸受7の転がり接触部や、スクロール
圧縮要素5の摺動接触部での接触摩擦や摺動摩擦が軽減
されて、スクロール圧縮要素5の円滑な運転が図られ、
耐久性を高める。
【0033】このような強制潤滑のために本実施の形態
では、図1、図2に示すように、クランク軸2の給油ポ
ンプ11を連結した副転がり軸受4側の端面から偏心孔
2bの底部まで縦通した給油孔2cを設けて、給油ポン
プ11から吐出される潤滑油9を偏心孔2bまで導き、
ここから各部の隙間を通って旋回用転がり軸受7および
主転がり軸受3の転がり接触部に潤滑油を供給し、強制
潤滑できるようにする。また、旋回スクロール30には
旋回軸30aの端面から鏡板32の外周に至る給油孔3
0bが設けられ、偏心孔2bまで到達した潤滑油9の一
部が、給油孔30bと各部の隙間を通じて、スクロール
圧縮要素5の摺動接触部、具体的には前記オルダムリン
グ13まわりの摺動接触部や旋回スクロール30と固定
スクロール20との間の摺動接触部に供給し、それらの
部分の強制潤滑を図る。しかし、このような強制潤滑の
必要な各部への給油のための通路構造は、本実施の形態
のものに限定されることはなく、種々に設計することが
できる。
【0034】上記本実施の形態のように、電気自動車の
冷暖房を、スクロール圧縮要素5を用いた冷凍空調にて
行うのに、本実施の形態では電動要素1およびこの電動
要素1に連結されたクランク軸2を横向きに配し、クラ
ンク軸2をその主転がり軸受3側に配したスクロール圧
縮要素5に旋回駆動できるように連結した横型のものと
してあるため、図示しないアキュームレータと平行な状
態でかさ低く、かつ電気自動車に搭載される他の機器の
邪魔になりにくい姿勢で設置して、電気自動車の機器搭
載効率を高められる。また、その設置高さが極く低くな
って安定性がよく、例えば図2〜図5に示すように、全
ての機構を内蔵した密閉容器40の左右の下部に設けら
れた取付け片61を利用した4か所でボルト止めするだ
けの簡単かつ安価な取り付け構造でスクロール圧縮要素
5の振動を抑えた静かな運転ができる。しかし、安定性
の利点は用途に関係なく発揮されるし、設置姿勢は一般
車両に共通し、ささに鉄道車両の天井部に適用するのに
好都合である。
【0035】しかも、本実施の形態のような横型スクロ
ール圧縮機は、それに平行に配したアキュームレータな
どとともに、電気自動車の重心高さを低くする重量物と
して働くことにより、さらに本実施の形態の電動要素1
がブラシレスDCモータでフェライト磁石が用いられる
重量物であって電気自動車の重心をさらに下げることも
加わり、電気自動車の走行の安定性を増大させ、急停
車、急発進、急激な加減速時、カーブ走行時やターン時
の車体の慣性による不安定性を抑え、ふらつかず横転し
にくいものとすることができ、高い設計走行速度や目標
走行速度に十分に対応することができる。このようなこ
とは車両一般に共通した利点となる。
【0036】また、強制潤滑する前記各転がり軸受3、
7は、面接触する滑り軸受に比し、点または線で転がり
接触するもので、摩擦抵抗が小さく、潤滑油消費量が少
なく、潤滑油保有性が高いことにより、スクロール圧縮
要素5が駆動されて冷暖房運転しているのに併せた給油
ポンプ11が強制給油したときの潤滑油を長時間保持す
ることができる。これによって、電気自動車の走行状
態、駐停車時の傾斜や姿勢に応じて横型であることに因
る横長な潤滑油溜まり8での潤滑油9の貯留状態に偏り
が生じたりして、給油ポンプ11が一時的には勿論、長
時間にわたって潤滑油9の吸入が不足したり吸入でき
ず、強制給油が不足したり、強制給油できないことがと
きとしてあっても、前記各転がり軸受3、7が潤滑不足
となってかじりや異常摩耗が発生するようなことはな
く、耐久性、信頼性の高いものとなる。
【0037】従って、図1、図2に示す本実施の形態の
ように、前記全ての構成を横型の密閉容器40に封入し
た、いわゆるメンテナンスフリーに設計してある場合、
特に有効である。もっとも、これに限られることはな
く、開放型に機構が設けられる場合にも本発明は有効で
ある。このような利点も車両一般に共通するし、船舶や
航空機のような場合にも有効である。
【0038】本実施の形態では、主転がり軸受3はボー
ル軸受、旋回用転がり軸受7はニードル軸受である。他
の種類のものでも上記のような特徴は発揮するが、この
ようにすると、クランク軸2のスクロール圧縮要素5と
連結されてそれの旋回スクロール30を旋回駆動するた
めに高負荷を受ける主軸2aの部分を、主転がり軸受3
のボール軸受構造により必要十分な軸受剛性および転が
り特性を持って主支持部材45上に支持し、ガタツキや
騒音、振動の発生を防止することができる。また、主軸
2aと旋回軸30aとの旋回スクロール30を旋回駆動
するときの複雑な相対移動を、旋回用転がり軸受7のか
さ低いニードル軸受構造によって、必要十分な軸受剛性
および転がり特性を持って支持し、ガタツキや騒音、振
動の発生を防止しながら、主転がり軸受3が必要十分な
軸受剛性を発揮するためのスペース的余裕を与えるの
で、転がり軸受構造を採用することにより横型スクロー
ル圧縮機が特に大型化するようなことを防止することが
できる。
【0039】副転がり軸受4は副支持部材46上にクラ
ンク軸2を支持するのに、転がり軸受であること、およ
びボール軸受であることによる上記特徴を発揮するが、
これについての本実施の形態での強制潤滑構造は、前記
密閉容器40に全機構が封入されたタイプであることを
利用して、この密閉容器40内のスクロール圧縮要素5
の旋回スクロール30の背部側空間部分の下部を前記横
長な潤滑油溜まり8とする一方、その上部をスクロール
圧縮要素5にて吐出される冷媒が吐出管17へ吐出され
る吐出室42として互いに共用し、吐出される冷媒が電
動要素1を冷却するとともに、潤滑油溜まり内の潤滑油
9を随伴させて副転がり軸受4の部分を通過することで
強制潤滑されるようにする。これによる潤滑は潤滑油の
偏りなどに余り影響されない利点がある。主支持部材4
5と旋回スクロール30の背面との間にはゴムや樹脂よ
りなるシールリング47が設けられ、潤滑油溜まり8内
の潤滑油9がスクロール圧縮要素5を浸漬状態にするよ
うなことを防止していて、低圧型のものに適する。主、
副支持部材45、46は固定スクロール20と共に密閉
容器40内に固定される。
【0040】しかも、これら各軸受部の耐久性の向上
は、冷媒に塩素を含まない潤滑性の弱い代替冷媒を用い
ても、前記メンテナンスフリー性を長期の保証すること
ができ好都合である。これに対応して潤滑油9を冷媒と
相溶性のある例えばエステル油と言ったものにすれば、
潤滑油が冷媒により持ち去られやすく強制潤滑性が向上
し安定させられるので、代替冷媒を用いる場合に特に有
効である。また、その他の各部摺動接触部の強制潤滑に
も役立つ。吐出管17の内側開口部には気液分離器43
が設けられ、吐出される冷媒に随伴している潤滑油9を
分離して密閉容器41内の潤滑油溜まり8に戻し、潤滑
油9が冷凍サイクルに過剰に入らないようにしている。
【0041】本実施の形態ではさらに、主転がり軸受3
が、図6に示すようにアウターレース3aの外周に適数
設けた、本実施の形態では左右2か所に設けた、凹条3
b内に樹脂リング48を嵌め付けて自然状態では適度に
突出するようにしておき、主支持部材45のハウジング
部45aに圧入している。これによると、主転がり軸受
3のアウターレース3aの支持部材45への圧入部の相
互間に樹脂リング48の弾性力が働いて、振動および騒
音を吸収し、運転の安定性と静音特性とを高め、信頼性
のさらに高いものとすることができる。樹脂リング48
のアウターレース3aの凹条3bからの突出は、樹脂リ
ング48の位置ずれ、脱落の防止と、過圧縮による疲労
防止に有効である。
【0042】ここで、一実施例を示せば、主転がり軸受
3は、インナーレース、アウターレース共にJIS規格
SCM415またはSCM420の材料で、浸炭焼き入
れ、焼き戻し処理してあり、表面硬度がHV653〜8
00。ボールはJIS規格SUJ2の材料で、焼き入
れ、焼き戻し処理してあり、硬度HRC60〜65。樹
脂リング48はナイロンにグラスファイバーを混合した
材料よりなる。
【0043】また、旋回用転がり軸受7は図7に示すよ
うな構造のもので、インナーレース7aを、アルミニウ
ム系金属よりなる旋回スクロール30に一体成形された
旋回軸30aに図1、図2、図8に示すように圧入さ
れ、旋回軸30aの端部のカシメ部30dによって抜け
止めされている。これにより、アルミニウム系金属で形
成された旋回スクロール30の旋回軸30aをこれに圧
入されたインナーレース7aによって補強できる結果、
旋回軸30aの小径化を図って主転がり軸受3や旋回用
転がり軸受7等の設置スペースを拡張することができる
し、インナーレース7aの旋回軸30a上でのガタツキ
や振動を防止することができるとともに、インナーレー
ス7aが旋回軸30aのカシメ部30eにより抜け止め
されていて脱落することがないので、耐久性および信頼
性がさらに向上する。カシメ部30dは実施例として旋
回軸30aの端面の外周近くに環状のV溝30fを旋盤
加工やろくろ加工など適当な加工方法によって刻設し、
このV溝30fの円周上等間隔の位置、本実施の形態で
は4か所にポンチ49を軽く叩き込んで局部的に押し広
げでできた外部への膨らみとしてある。しかし、具体的
な加工方法や加工手順、カシメ部30dの形状などは種
々に変更することができる。しかし、上記のようにV溝
30fを用いると均一なものに形成しやすい。
【0044】ここで、一実施例を示すと、インナーレー
ス、アウターレース共にJIS規格SCM415または
SCM420の材料で、浸炭焼き入れ、焼き戻し処理さ
れ、表面硬度がHV653〜800。ニードルころはJ
IS規格SUJ2の材料で、焼き入れ、焼き戻し処理し
てり、硬度HRC60〜65である。
【0045】さらに、電動要素1は図1に示すように、
ステータ51の軸線方向の中心に対してロータ52の軸
線方向の中心を主、副転がり軸受3、4のいずれかの
側、本実施の形態では主転がり軸受3の側に偏心させて
設置し、主、副転がり軸受3、4のうち、前記ロータ5
2の中心が偏心した側のもの、従って本実施の形態では
主転がり軸受3のアウターレース3aを、主支持部材4
5との間に設けた弾性部材である樹脂リング50により
ロータ52の中心の偏心方向と反対の方向に押圧するよ
うにしている。樹脂リング50は樹脂リング48の場合
と同じ理由で、主支持部材45の凹部45b内に自然な
状態では所定量突出するように嵌め合わせて設けられ
る。本実施の形態では1本であるが複数本設けることも
できる。また、弾性部材としては樹脂部材のほか金属製
のばねワッシャやその他のものでもよく、具体的な材料
および形態は特に問わない。
【0046】このように、電動要素1のロータ52の軸
線方向の中心が、本実施の形態のようにステータ51の
軸線方向中心に対して主転がり軸受3の側に偏心されて
いると、ロータ52はステータ51との間の磁気的な釣
り合い力によって偏心が矯正される方向の付勢力を受け
て、反偏心側にある副転がり軸受4において、そのイン
ナーレース4aを転がり部材であるボール7bを介しア
ウターレース4cに押圧して、軸線方向の遊びを無くす
る一方、偏心側にある主転がり軸受3においては、それ
のインナーレース3bを転がり部材であるボール3cを
介したアウターレース3aとの間の遊びを拡大する側に
付勢する。しかし、この偏心側である主転がり軸受3の
アウターレース3aには主支持部材45との間に働かせ
た弾性部材としての樹脂リング49により、転がり部材
であるホール3cを介しインナーレース3bに反偏心方
向に押圧して、軸線方向の遊びを無くす。
【0047】従って、主、副転がり軸受3、4双方の軸
線方向のガタツキを十分に防止し、さらに安定した静音
での運転を保証し、耐久性および信頼性の高いものとす
ることができる。
【0048】
【発明の効果】請求項1の発明の横型スクロール圧縮機
によれば、横型であることにより、アキュームレータと
平行な状態でかさ低く、かつ他の機器の邪魔になりにく
い姿勢で設置して、電気自動車など車両一般の機器搭載
効率を高めるとともに、その設置高さが極く低くなって
圧縮機自体の安定性がよく簡単かつ安価な取り付け構造
でスクロール圧縮要素の振動を抑えた静かな運転がで
き、しかも、アキュームレータなどとともに、電気自動
車など車両一般や船舶、航空機の重心高さを低くする重
量物として働くので、それらの走行の安定性を増大さ
せ、急停車、急発進、急激な加減速時、カーブ走行時や
ターン時の車体の慣性による不安定性を抑え、ふらつか
ず横転しにくいものとすることができ、高い設計走行速
度や目標走行速度に十分に対応することができる。ま
た、強制潤滑が必要な各転がり軸受は、面接触する滑り
軸受に比し、点または線で転がり接触する、摩擦抵抗が
小さく、潤滑油消費量が少なく、潤滑油保有性が高いこ
とにより、強制給油による潤滑油を長時間保持すること
ができ、電気自動車の走行状態、駐停車時の傾斜や姿勢
に応じて横長な潤滑油溜まりでの潤滑油の貯留状態に偏
りが生じたりして、給油ポンプが一時的には勿論、長時
間にわたって潤滑油の吸入が不足したり吸入できず、強
制給油が不足したり、強制給油できないことがときとし
てあっても、前記各転がり軸受が潤滑不足となってかじ
りや異常摩耗が発生するようなことはなく、耐久性、信
頼性の高いものとなる。また、用途を問わず潤滑性の改
良による長寿命化を達成することができる。
【0049】この場合、請求項2の発明によれば、クラ
ンク軸の旋回スクロールを旋回駆動するために高負荷を
受ける軸端部を、主転がり軸受のボール軸受構造により
必要十分な軸受剛性および転がり特性を持って支持し、
ガタツキや騒音、振動の発生を防止することができる。
また、主軸と旋回軸との複雑な相対移動を、旋回用転が
り軸受のかさ低いニードル軸受構造によって、必要十分
な軸受剛性および転がり特性を持って支持し、ガタツキ
や騒音、振動の発生を防止しながら、主転がり軸受が必
要十分な軸受剛性を発揮するためのスペース的余裕を与
えるので、転がり軸受構造を採用することにより横型ス
クロール圧縮機が大型化するのを防止することができ
る。
【0050】また、請求項3の発明によれば、主転がり
軸受のアウターレースの支持部材への圧入部の相互間に
樹脂リングの弾性力が働いて、振動および騒音を吸収
し、運転の安定性と静音特性とを高め、信頼性のさらに
高いものとすることができる。
【0051】また、請求項4の発明によれば、アルミニ
ウム系金属で形成されることの多い旋回スクロールの旋
回軸をこれに圧入されたインナーレースによって補強で
きる結果、旋回軸の小径化を図って主転がり軸受や旋回
用転がり軸受等の設置スペースを拡張することができる
し、インナーレースのガタツキや振動を防止することが
できるとともに、インナーレースが旋回軸のカシメ部に
より抜け止めされていて脱落することがないので、耐久
性および信頼性がさらに向上する。
【0052】請求項5の発明によれば、請求項1〜4の
発明のいずれか1つに加え、さらに、ロータはステータ
との間の磁気的な釣り合い力によって偏心が矯正される
方向の付勢力を受けて主、副転がり軸受の一方の軸線方
向の遊びを無くし、この付勢によってできる他方の軸線
方向の遊びをその他方と支持部材との間に働く弾性部材
の押圧により無くして、主、副転がり軸受双方の軸線方
向のガタツキを十分に防止し、さらに安定した静音での
運転を保証し、耐久性および信頼性の高いものとするこ
とができる。
【0053】請求項6の発明によれば、請求項1〜5の
発明のいずれか1つに加え、さらに、全ての構成要素が
1つの横型密閉容器に収容されていると、冷媒および潤
滑油を封入して冷凍空調に利用するのに、それらの外部
への漏れなくメンテナンスフリーに構成するのに好都合
であり、特に、スクロール圧縮要素の旋回スクロールの
背部側空間を冷媒通路と潤滑油溜まりとに共用している
ことにより、冷媒にて電動要素を冷却することができる
し、冷媒によって潤滑油溜まりに貯留されている潤滑油
を各種摺動部分の細部にまで持ち運んで潤滑し、副転が
り軸受などへの強制給油を不要として、強制給油構造の
簡略化を図ることができる。
【0054】この場合、請求項7の発明によれば、冷媒
により潤滑油の持ち運び量が互いの相溶性によって増大
することができるので、耐久性をさらに向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な一実施の形態を示す電気自動
車用の横型スクロール圧縮機の要部の縦断面図である。
【図2】図1の圧縮機の全体の構成を示す縦断面であ
る。
【図3】図2の圧縮機の左端面図である。
【図4】図2の圧縮機の右端面図である。
【図5】図2の圧縮機の平面図である。
【図6】図1の圧縮機の主転がり軸受の断面図である。
【図7】図1の圧縮機の旋回用転がり軸受の断面図であ
る。
【図8】図1の圧縮機の旋回用転がり軸受のインナーレ
ースの旋回軸へのカシメ部による抜け止め処理状態を示
す斜視図である。
【図9】従来の冷凍空調を行う電気自動車用の圧縮機の
例を示す縦断面図である。
【図10】図9の圧縮機の平面図である。
【図11】図9の圧縮機の圧縮部を示す横断面図であ
る。
【図12】従来の室内用の冷凍空調に用いられている横
型のスクロール圧縮機の例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 電動要素 2 クランク軸 2a 主軸 2b 偏心孔 2c 潤滑孔 3 主転がり軸受け 3a アウターレース 3b インナーレース 3c 転がり部材 4 副転がり軸受け 4a インナーレース 4b 転がり部材 4c アウターレース 5 スクロール圧縮要素 8 潤滑油溜まり 9 潤滑油 11 給油ポンプ 13 オルダムリング 15 吸入ポート 16 吐出ポート 17 吐出管 18 吸入管 20 固定スクロール 30 旋回スクロール 30a 旋回軸 30b 潤滑孔 40 密閉容器 41 圧縮室 42 吐出室 45 主支持部材 46 副支持部材 48 樹脂リング 50 弾性部材 51 ステータ 52 ロータ 61 取付け片

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動要素およびこの電動要素に連結され
    たクランク軸を横向きに配して、クランク軸の両端部を
    主、副転がり軸受により支持するとともに、クランク軸
    の主転がり軸受側にスクロール圧縮要素を配し、このス
    クロール圧縮要素の旋回スクロールの背部に有する旋回
    軸をクランク軸の主転がり軸受側端部の偏心位置に設け
    た旋回用転がり軸受に嵌め入れて、クランク軸をスクロ
    ール圧縮要素に旋回駆動できるように連結し、クランク
    軸の副転がり軸受側端部に下部の潤滑油溜まりから潤滑
    油を吸入する給油ポンプを連結して潤滑油を強制潤滑が
    必要な各軸受およびスクロール圧縮要素に供給するよう
    にしたことを特徴とする横型スクロール圧縮機。
  2. 【請求項2】 主転がり軸受は、ボール軸受であり、旋
    回用転がり軸受はニードル軸受である請求項1に記載の
    横型スクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 主転がり軸受はアウターレースの外周に
    樹脂リングが嵌め付けられ支持部材内に圧入されている
    請求項1、2のいずれか一項に記載の横型スクロール圧
    縮機。
  4. 【請求項4】 旋回用転がり軸受は、インナーレースを
    旋回スクロールの旋回軸に圧入し、旋回軸の端部のカシ
    メ部によって抜け止めした請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の横型スクロール圧縮機。
  5. 【請求項5】 電動要素はステータの軸線方向の中心に
    対してロータの軸線方向の中心を主、副転がり軸受のい
    ずれかの側に偏心させて設置し、主、副転がり軸受のう
    ち、前記ロータの中心が偏心した側のもののアウターレ
    ースを、支持部材との間に設けた弾性部材によりロータ
    の中心の偏心方向と反対の方向に押圧するようにした請
    求項1〜4のいずれか一項に記載の横型スクロール圧縮
    機。
  6. 【請求項6】 全ての構成要素が1つの横型密閉容器に
    収容され、密閉容器内のスクロール圧縮要素の旋回スク
    ロールの背部側空間を冷媒通路と潤滑油溜まりとに共用
    した請求項1〜5のいずれか一項に記載の横型スクロー
    ル圧縮機。
  7. 【請求項7】 冷媒は塩素を含まないものを用いる請求
    項6に記載の横型スクロール圧縮機。
  8. 【請求項8】 潤滑油は冷媒に相溶性のあるものを用い
    る請求項7に記載の横型スクロール圧縮機。
  9. 【請求項9】 車両に搭載して用いられる請求項1〜8
    のいずれか一項に記載の横型スクロール圧縮機。
JP20146397A 1997-07-28 1997-07-28 横型スクロール圧縮機 Pending JPH1144296A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20146397A JPH1144296A (ja) 1997-07-28 1997-07-28 横型スクロール圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20146397A JPH1144296A (ja) 1997-07-28 1997-07-28 横型スクロール圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1144296A true JPH1144296A (ja) 1999-02-16

Family

ID=16441514

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20146397A Pending JPH1144296A (ja) 1997-07-28 1997-07-28 横型スクロール圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1144296A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1308328A2 (en) 2001-10-31 2003-05-07 Hitachi, Ltd. An air-conditioner for use in an automobile
JP2013096345A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Hitachi Koki Co Ltd 空気圧縮機
JPWO2013114461A1 (ja) * 2012-02-02 2015-05-11 三菱電機株式会社 空気調和装置及び鉄道車両用空気調和装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1308328A2 (en) 2001-10-31 2003-05-07 Hitachi, Ltd. An air-conditioner for use in an automobile
US6682322B2 (en) 2001-10-31 2004-01-27 Hitachi, Ltd. Air-conditioner for use in an automobile
JP2013096345A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Hitachi Koki Co Ltd 空気圧縮機
JPWO2013114461A1 (ja) * 2012-02-02 2015-05-11 三菱電機株式会社 空気調和装置及び鉄道車両用空気調和装置
US9796398B2 (en) 2012-02-02 2017-10-24 Mitsubishi Electric Corporation Air-conditioning apparatus and railway vehicle air-conditioning apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7556483B2 (en) Electronic compressor having a reservoir chamber and an oil return passage for connecting the reservoir chamber with a suction chamber
US7264453B2 (en) Horizontal scroll compressor having a connecting passage on the opposite side of a suction port for connecting a motor accommodating chamber with a suction chamber
US7641455B2 (en) Scroll compressor with reduced oldham ring noise
JP3888129B2 (ja) 自動車用空気調和機
EP1464840A1 (en) Scroll compressor
US5884727A (en) Hermetic compressor with start-up lubrication
JPWO2004001242A1 (ja) プーリ支持用複列玉軸受
KR100657038B1 (ko) 유체압축기
JP6351749B2 (ja) スクロール圧縮機
JPH1144296A (ja) 横型スクロール圧縮機
KR101045672B1 (ko) 가로 배치형 밀폐식 압축기
CN113482932B (zh) 旋转式压缩机及制冷设备
JP4003681B2 (ja) 電動圧縮機
US20060083649A1 (en) Compressor
JPH08326668A (ja) スクロール圧縮機
JP2006090180A (ja) 密閉型圧縮機
KR0129804Y1 (ko) 밀폐형 전동 압축기
JP4003680B2 (ja) 電動圧縮機
US20020131880A1 (en) Compressor with built-in motor, and mobile structure using the same
CN214036103U (zh) 一种压缩机、空调器和车辆
CN215333409U (zh) 压缩机
EP3450754A1 (en) Open type refrigerant compressor
JP5285339B2 (ja) スクロール圧縮機
JP3747528B2 (ja) 冷凍機用圧縮機
JPH0681779A (ja) スクロール圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040309