JPH1144142A - ヒンジ装置 - Google Patents

ヒンジ装置

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JPH1144142A
JPH1144142A JP20200597A JP20200597A JPH1144142A JP H1144142 A JPH1144142 A JP H1144142A JP 20200597 A JP20200597 A JP 20200597A JP 20200597 A JP20200597 A JP 20200597A JP H1144142 A JPH1144142 A JP H1144142A
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shaft
opening
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開閉部材を本体部材に対して閉じた位置に保
持しかつ開閉部材を本体部材に対して任意の位置に停止
させることができる簡易かつコンパクトな構造のヒンジ
装置を提供することである。 【解決手段】 第1の部材2に対して固定される第2の
カム6と、第2の部材1に取り付けられる第1のカム7
と、第1のカム7の第2の部材2に対する相対回転を係
止する回転係止手段5aと、第1のカム7のカム面7a
を第2のカム6のカム面6aに圧接状態に保持する付勢
手段8と、両カム面6a,7aに設けられ、第1の部材
3と第2の部材1とが所定の相対角度位置に配されたと
きに相互に係合して両部材1,3を位置決め状態に保持
する位置決め手段6b,7bと、両部材1,3のいずれ
か一方に揺動軸線に沿って固定される柱状の軸部5と、
他方の部材に固定され、軸部5の外周面に圧接させられ
る摩擦片12とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ヒンジ装置に関
し、特に、携帯電話、電子手帳、化粧用コンパクト等の
携帯用品に用いられるヒンジ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のエレクトロニクス技術の発展に伴
い、キーパネルや液晶画面等を備えた携帯電話や電子手
帳等の各種の携帯用機器が開発され、広く実用化されて
きている。これらの機器では、使用に際して使い易い大
きさが確保されるとともに、携帯に際してコンパクトな
形状となり、かつ、鞄やポケットの中で、誤ってキーパ
ネルを押してしまったり液晶画面を傷つけてしまったり
することのないように、2つの部材を開閉可能とする2
つ折り形式が採用されている。
【0003】例えば、携帯電話においては、操作キーを
一面に配置した本体部材と、該本体部材に揺動可能に連
結されて、携帯に際して操作キーを被う位置(以下、閉
位置という。)に折り畳まれる一方、使用に際して開か
れた位置(以下、開位置という。)に配されてキー操作
を可能としかつ集音部材として機能する送話部のような
開閉部材とからなる2つ折り形式のものがある。また、
電子手帳においては、操作キーを配置した本体部材とこ
れに対して開閉される液晶表示部のような開閉部材とか
らなる2つ折り形式のものがある。さらに、化粧用コン
パクトにおいては、スポンジ等を収納する本体部材とこ
れに対して開閉される鏡部のような開閉部材とからなる
2つ折り形式のものがある。
【0004】従来より、このような2つ折り形式の携帯
用品では、本体部材と開閉部材とを開閉自在に連結する
だけの機能を有する蝶番形式のヒンジ装置が用いられて
いる。この形式のヒンジ装置を用いた携帯用品では、使
用する者が、閉位置における本体部材と開閉部材のロッ
ク機構を解除すれば、開閉部材を本体部材に対して自由
に揺動させることができるようになっている。
【0005】また、開閉部材を本体部材に対して常時開
く方向に付勢するバネを蝶番形式のヒンジ装置に組み合
わせたものも採用されている。このヒンジ装置では、使
用する者が、閉位置における本体部材と開閉部材のロッ
ク機構を解除すれば、バネの弾発力によって開閉部材が
本体部材に対してひとりでに開かれる一方、閉じるとき
には、バネの弾発力に抗して開閉部材を本体部材の方向
に押圧してロック機構によりロックするようになってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、単に開閉部
材と本体部材とを揺動自在に連結するだけの蝶番形式の
ヒンジ装置では、以下のような問題点があった。第1
に、開閉部材を本体部材に対して閉じた状態に保持する
ためには、適当なロック機構を配設しておかなければな
らず、開閉部材または本体部材から突出する突起が設け
られることになるので、設計上および使用上の制約を受
けることになるという不都合がある。また、何らかのば
ね部材と組み合わせて使用することにより、開閉部材を
本体部材に閉じた状態に保持することは可能であるが、
開いて使用される形態用品において、使用時にばね部材
の付勢力が常時作用しているのでは、使い勝手が悪い。
また、特別なロック部材を設けることは、部品点数を増
大させるものであり、製品コストが高くなる不都合もあ
る。
【0007】第2に、開閉部材の本体部材に対する開閉
角度を任意の位置に調節したい場合があるが、このよう
な場合、例えば、携帯電話の送話部の位置を使用者にと
って最適な位置に調節したり、電子手帳の液晶画面を使
用者が最も見やすい位置に設定したりすることができれ
ば便利である。しかし、蝶番形式のヒンジ装置では、開
閉部材は本体部材に対して自由に揺動することができる
のみであり、開閉部材を本体位置に対して完全に閉じた
閉位置と完全に開いた開位置との間の任意位置において
固定するためには、別途固定手段が必要となるという不
都合がある。
【0008】第3に、操作性の観点から、本体部材に対
して若干開いた位置においては、開閉部材が閉位置に向
けて自動的に閉じ、または、開位置の近傍においては、
開閉部材が開位置に向けて自動的に移動するように構成
されていれば便利である。すなわち、使用者が使用を終
えた後に、本体部材に対して開閉部材をある程度まで閉
じれば該開閉部材が完全に閉じる位置まで自動的に移動
するように構成できれば、使用者にとっての使い勝手を
改善することができる。
【0009】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであって、特別なロック機構なしに開閉部材を本体
部材に対して予め定められた閉位置に保持することがで
き、かつ、開閉部材を本体部材に対して任意び位置に停
止させることができるように両部材を連結することがで
きる簡易かつコンパクトな構造のヒンジ装置を提供する
ことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、第1の部材と第2の部材とを相対揺動可
能に連結するヒンジ装置であって、第1の部材に対して
固定される第1のカムと、第2の部材に取り付けられ、
第1のカムのカム面に接触させられるカム面を有する第
2のカムと、第2のカムの第2の部材に対する相対回転
を係止する回転係止手段と、第2のカムのカム面を第1
のカムのカム面に向けて付勢して両カム面を圧接状態に
保持する付勢手段と、第1のカムおよび第2のカムのカ
ム面に設けられ、第1の部材と第2の部材とが所定の相
対角度位置に配されたときに相互に係合して両部材を位
置決め状態に保持する少なくとも1対の凹部と凸部とか
らなる位置決め手段と、第1の部材と第2の部材との揺
動中心に沿って配置され、これら第1の部材または第2
の部材のいずれか一方の部材に対して固定される軸部
と、他方の部材に対して固定され、軸部に圧接させられ
る摩擦片とを具備するヒンジ装置を提案している。
【0011】上記ヒンジ装置においては、摩擦片が、軸
部よりも小径に形成され、軸部が圧入されたときに拡径
され、その復元力によって軸部との間に摩擦力を生じさ
せるばね部材であれば、効果的である。また、ばね部材
が、金属製薄板を軸部よりも小径の筒状に湾曲形成して
なる板ばね部材であってもよい。この場合に、板ばね部
材が、第1の部材または第2の部材の一部を筒状に湾曲
形成することにより、いずれかの部材と一体的に形成さ
れていれば効果的である。
【0012】また、凹部の、凸部に対する相対移動方向
の少なくとも一側に、凸部を凹部との係合位置に案内す
る斜面よりなる傾斜部を設けることとしてもよい。さら
に、軸部が、円筒状の外周面の周方向の少なくとも一部
に、半径方向に凹んだ切欠部を具備し、板ばね部材が、
軸部が圧入されたときに、周方向に間隔をあけた複数の
接触箇所において、軸部の外周面の円筒状部分に圧接さ
せられるように形成され、凸部が傾斜部の位置に配され
たときに、切欠部がいずれかの接触箇所に一致させられ
るように、板ばね部材と、軸部と、第1のカムと、第2
のカムとの相対位置が設定されていることとすれば効果
的である。
【0013】
【作用】本発明に係るヒンジ装置によれば、第1の部材
を第2の部材に対して相対的に揺動させると、第1の部
材に取り付けられた第1のカムが、第1の部材に固定さ
れた第2のカムに対して相対移動させられる。第1のカ
ムのカム面は、付勢手段の作動により第2のカムのカム
面に向けて付勢されているので、第2のカムのカム面に
常に圧接状態に保持される。この場合に、本発明に係る
ヒンジ装置には、凹部と凸部とからなる位置決め手段が
設けられているので、いずれか一方のカム面に設けた凹
部に、他方のカム面に設けた凸部が一致すると、これら
凹部と凸部とが係合する結果、第1の部材に対して第2
の部材が相対的に位置決めされる。
【0014】一方、本発明に係るヒンジ装置では、第1
の部材または第2の部材のいずれか一方の部材に固定さ
れた柱状の軸部が、両部材の揺動中心に沿って配置さ
れ、この軸部の外周面に摩擦片が圧接させられるので、
軸部の外周面と摩擦片との間に摩擦力が常時生じてい
て、両部材の自由な相対揺動動作を制限するようになっ
ている。したがって、この摩擦力を超える力が、第1ま
たは第2の部材に作用しない限り、両部材の相対移動が
抑制されることになる。すなわち、凹部と凸部とが係合
している場合には、第1の部材と第2の部材とが位置決
め状態に保持されるが、それ以外の相対位置において
も、軸部と摩擦片との間の摩擦力によって、両部材を無
段階の相対揺動位置に停止させることができることにな
る。
【0015】また、上記ヒンジ装置において、摩擦片
を、軸部よりも小径に形成され、軸部が圧入されたとき
に拡径され、その復元力によって軸部との間に摩擦力を
生じさせるばね部材により構成すれば、きわめて簡易な
構造により、上記作用を達成することができる。さら
に、軸の周囲に巻き付けるばね部材によれば、径方向の
寸法を最小限に抑制することができ、携帯用品のコンパ
クト化を容易に図ることが可能となる。
【0016】また、ばね部材を板ばね部材により構成す
れば、径方向の寸法を最小化できるとともに、第1の部
材または第2の部材の一部を筒状に湾曲形成することに
より、いずれかの部材と一体的に形成すれば、カーリン
グ加工により簡易に製造でき、しかも、部品点数を削減
して、低コストのヒンジ装置を提供することが可能とな
る。
【0017】また、凹部の、凸部に対する相対移動方向
の少なくとも一側に、凸部を凹部との係合位置に案内す
る傾斜部を設ければ、両カムが相対的に移動させられ
て、凸部が凹部に一致する直前に傾斜部に差し掛かる
と、付勢手段の付勢力により、凸部がその斜面に沿って
凹部に係合する方向に案内されることになる。
【0018】さらに、軸部の、円筒状の外周面の周方向
の少なくとも一部に、半径方向に凹んだ切欠部を設け、
板ばね部材を、軸部が圧入されたときに、周方向に間隔
をあけた複数の接触箇所において、軸部の外周面の円筒
状部分に圧接させられるように形成し、凸部が傾斜部の
位置に配されたときに、切欠部がいずれかの接触箇所に
一致させられるように、板ばね部材と、軸部と、第1の
カムと、第2のカムとの相対位置を設定しておけば、傾
斜部によって凸部が凹部との係合位置に案内される際
に、切欠部を接触箇所と一致させることによって板ばね
部材と軸部との間の摩擦力を低減することが可能とな
る。これにより、凸部が凹部に対して相対移動し易くな
り、位置決め位置への移動が円滑に行われることにな
る。
【0019】この場合に、板ばね部材を、円筒状の外周
面の周方向の一部において開いた略C字状の横断面形状
に形成しておけば、軸部の圧入による拡径の際に、C字
状の横断面形状を変形させて、軸部の周方向に間隔をあ
けた複数の接触箇所において板ばね部材を軸部に圧接さ
せることが可能となる。これにより、きわめて簡易な構
成により、上記作用を達成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るヒンジ装置の
一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
本実施形態においては、電子手帳に用いるヒンジ装置を
例に挙げて説明している。
【0021】本実施形態に係るヒンジ装置は、図1に示
されるように、例えば、電子手帳のキーボード部分1
(以下、本体部材(第2の部材)という。)に固定され
る固定側ブラケット2と、電子手帳の液晶画面部分(以
下、開閉部材(第1の部材)という。)3に固定される
可動側ブラケット4と、前記固定側ブラケット2に固定
された直棒状の軸部5と、該軸部5の長手方向に摺動可
能に外嵌された固定側カム(第2のカム)6と、前記軸
部5にその軸線回りに回転可能に外嵌されかつ前記可動
側ブラケット2に固定された可動側カム(第1のカム)
7と、前記固定側カム6を前記軸部5の軸線方向に沿っ
て前記可動側カム7の方向に常時付勢するコイルスプリ
ングよりなる付勢手段8とを具備している。
【0022】前記固定側カム6および可動側カム7は、
相互に軸方向に対向するカム面6a,7aを有する側面
カムであり、例えば、プラスチックまたは金属により構
成されている。前記固定側カム6は、略円筒状に形成さ
れた一端面に前記カム面6aが設けられており、該カム
面6aには、略半円分を切り欠いて形成された凹部6b
とこの凹部6bに隣接し軸方向に垂直な平坦面よりなる
摩擦面6cとが設けられている。前記凹部6bと摩擦面
6cとの境界部分には、摩擦面6cから凹部6bに向か
ってなだらかに落ち込むように傾斜面6d(傾斜部)が
形成されている。また、可動側カム7のカム面7aは、
前記凹部6bに係合する凸部7bを有し、前記固定側カ
ム6のカム面6aと略相補的な形状に形成されている。
さらに、可動側カム7には、後述する可動側ブラケット
4に固定するための突起7cが設けられている。
【0023】前記固定側ブラケット2および可動側ブラ
ケット4は、ともに、金属製薄板をプレス加工等によっ
て折曲形成したものであり、前記軸部5は、前記固定側
ブラケット2に、例えば、かしめられることによって固
定されている。この軸部5の前記固定側カム6を外嵌さ
せる部分には、その側面を長手方向に平行に切り欠いた
二面部(回転係止手段)5aが設けられている一方、こ
の二面部5aに外嵌される固定側カム6には、該二面部
5aの設けられた軸部5の断面形状と略同等の断面形状
を有する中心孔9が設けられている。これにより、軸部
5に外嵌された固定側カム6は、軸部5に対してその軸
線方向に移動することを許容されている一方、二面部5
aによって軸部5に対して軸線回りに相対回転しないよ
うに保持されている。
【0024】また、上記軸部5の前記可動側カム7を外
嵌させる部分5bは、円形断面を有しているとともに、
可動側カム7の中心孔10も円形断面を有している。そ
の結果、可動側カム7は軸部5に対してその軸線回りに
回転することができるようになっている。さらに、軸部
5には、後述する摩擦片を外嵌させる部分に、その周方
向の一部を切り欠いて形成した切欠部11が設けられて
いる。
【0025】前記可動側ブラケット4には、前記可動側
カム7の突起7cを嵌合させる嵌合孔(図示略)が設け
られているとともに、その一部をカーリング加工により
筒状に湾曲形成した摩擦片12が一体的に設けられてい
る。この摩擦片12は、上述した軸部5の切欠部11が
形成された部分に外嵌させられるようになっている。す
なわち、この摩擦片12は、図4に示されるように、周
方向の一部に開口12aを有する略C字状の横断面形状
に形成されており、軸部5が挿入されていない状態で
は、その内径寸法が軸部5の外形寸法よりも小さく形成
されているが、図5に示されるように、軸部5が挿入さ
れた際には、前記開口12aを広げることによりその内
径寸法を、鎖線の位置から実線の位置まで矢印で示すよ
うに拡径するように変形させられて、軸部5の外周面に
圧接させられるようになっている。
【0026】特に、この摩擦片12の軸部5挿入前の形
状を、その内部形状が円形に近い形状となるようなC字
状に形成しておくと、軸部5が挿入された際の変形によ
って、図5に示されるように、開口12aを広げるよう
に伸びたC字状に形成される。その結果、摩擦片12の
内周面と軸部5の外周面の円筒状部分とが開口12aの
両側の2点A,Bと開口12aから最も離れた地点近傍
の1点Cの、合計3点の周方向に間隔をあけた接触箇所
A,B,Cにおいて圧接させられるようになる。すなわ
ち、軸部5と摩擦片12とが接触箇所A,B,Cにおい
て接触している場合に、摩擦片12は最も拡径された状
態となっている。
【0027】また、本実施形態に係るヒンジ装置では、
例えば、電子手帳のヒンジ装置として、本実施形態に係
るヒンジ装置を装着する場合には、本体部材1に固定側
ブラケット2を固定し、開閉部材3に可動側ブラケット
4を固定する。これらの固定は任意の公知方法により実
施することができる。この場合に、本体部材1に対して
開閉部材3を閉じた位置に配したときには、図7に示す
ように、可動側カム7の凸部7bが固定側カム6の傾斜
面6dの途中位置に配されるように固定側カム6と可動
側カム7の軸部5の軸線回りの相対位置関係が設定され
ている。また、上記固定側カム6の傾斜面6dの途中位
置に可動側カム7の凸部7bが差し掛かった上記相対位
置関係においては、図6に示されるように、前記軸部5
の切欠部11が前記接触箇所A,B,Cのうちの1つ
(例えば、A)に一致させられるようにそれらの位相が
設定されている。なお、図中符号A′は、その場合の軸
部と摩擦片12との接触箇所である。
【0028】このように構成された本実施形態に係るヒ
ンジ装置の作用について、以下に説明する。まず、例え
ば、本実施形態のヒンジ装置を取り付けた電子手帳の開
閉部材3を本体部材1に対して閉じた位置(図3中の位
置I)に配すると、上述したように可動側カム7の凸部
7bが、固定側カム6のカム面6aの傾斜面6dの途中
位置に配される(図7参照)。この場合、固定側カム6
は、付勢手段8の付勢力によって、可動側カム7の方向
に常時付勢されているので、凸部7bは傾斜面6dに沿
って凹部6bに係合するように案内される。その結果、
この位置Iでは、開閉部材3には本体部材1に向けて閉
じる方向のトルクが印加され続けることになり、特別な
ロック機構が無くても開閉部材3が本体部材1に対して
閉じた状態に保持されることになる。
【0029】次に、本体部材1に対して開閉部材3を開
く方向に力を加え、その力が付勢手段8により発生して
いる上記トルクを超えると、可動側カム7の凸部7bが
傾斜面6dを上る方向に回転させられる。そして、一定
角度回転されると、凸部7bが傾斜面6dから外れて摩
擦面6cに乗り上げるので、もはや開閉部材3を閉じる
方向へのトルクは作用せず、外力が印加されない限り開
閉部材3は本体部材1に対して停止した状態に保持され
る(図3の位置III)。
【0030】この場合において、本実施形態に係るヒン
ジ装置では、可動側ブラケット4に一体的に形成された
摩擦片12が、軸部5の外周面に圧接状態に配されてい
るので、両者間に摩擦力が発生し、本体部材1に対する
開閉部材3の相対的な揺動動作が制限されることにな
る。すなわち、開閉部材3は、本体部材1に対する任意
の相対揺動角度位置において、軸部5と摩擦片12との
間に生じた摩擦力により停止状態に保持されることにな
り、使用者の所望の位置(図3の位置IIから位置II
Iの間)に開閉部材3を停止しておく、いわゆるフリー
ストップ機構が達成されることになる。
【0031】さらに、本実施形態に係るヒンジ装置で
は、開閉部材3を本体部材1に対して閉じる方向に力を
加え、その力により発生するトルクが、摩擦片12と軸
部5との間の摩擦力により生ずるトルクよりも大きくな
ると、開閉部材3が本体部材1に対して閉じられる方向
に揺動させられることになる。この場合において、可動
側カム7が開閉部材3と一体的に回転させられて、その
凸部7bが固定側カム6の傾斜面6dに差し掛かると
(図3の位置IIおよび図8参照)、図6に示されるよ
うに、軸部5に形成した切欠部11が摩擦片12と軸部
5の外周面の円筒状部分との接触箇所A,B,Cのうち
の1つの接触箇所Aに一致させられることにより、軸部
5と摩擦片12との実際の接触箇所はA′に移り、前記
箇所Aにおける摩擦片12と軸部5との圧接状態が解放
される。その結果、軸部5の圧入により拡径されていた
摩擦片12が若干縮径させられ、両者間に生じていた摩
擦力が低減されることになる。
【0032】すなわち、可動側カム7の凸部7bが傾斜
面6dに沿って凹部6bとの係合位置まで回転されよう
とするときに、その回転を拘束していた摩擦力が低減さ
れるので、可動側カム7の固定側カム6に対する回転動
作、すなわち、開閉部材3の本体部材1に対する回転動
作が滑らかに実施され、開閉部材3が、付勢手段8の付
勢力によって、図3に矢印で示すように、自動的に本体
部材1に対して閉じた位置(位置I)に移動させられか
つ保持されることになる。
【0033】したがって、本実施形態に係るヒンジ装置
によれば、特別なロック機構を用いることなく開閉部材
3を本体部材1に対して閉じた状態に保持できるので、
両部材の一部にデザイン上および使用上の障害物となる
突起が形成されることがない。また、開閉部材3を本体
部材1に対して閉じるときに、ある程度まで閉じると、
固定側カム6の傾斜面6dと付勢手段8とによって自動
的に閉じるようにトルクが発生するので、使い勝手が非
常によい。さらに、開閉部材3を本体部材1に対して一
定角度以上に開くと、摩擦片12と軸部5との間に生ず
る摩擦力によって、開閉部材3を本体部材1に対して任
意の角度位置に保持することができる。また、摩擦片1
2を板ばね部材によって構成しているので、軸部5回り
の半径方向の寸法を最小化することができ、厚さの薄い
装置、特に、軽量化の必要な携帯装置または携帯用品に
適用することができる。さらに、摩擦片12を板ばね部
材とすることにより、可動側ブラケット4の一部として
一体的に形成できるので、部品点数を減らすことができ
る。したがって、きわめて簡易な構成で、しかも、製品
コストの低いヒンジ装置を提供することができる。
【0034】なお、本実施形態に係るヒンジ装置では、
摩擦片12を板ばね部材により構成したが、これに代え
て、軸部5の外周面を締め付けるコイルスプリングとし
てもよい。また、摩擦片12をC字状断面に形成し、軸
部5を圧入することにより、該軸部5の外周面の円筒状
部分を周方向に間隔をあけた3点で圧接することとなる
ように変形させることとしたが、他の断面形状を採用す
ることにより、3点以上の接触箇所を設けることにして
も良い。
【0035】また、固定側カムを付勢手段により可動側
カムに向けて付勢し、固定側カムに凹部を可動側カムに
凸部を設けることにしたが、これらは、いずれの側のカ
ムに設けられていても良い。さらに、電子手帳のヒンジ
装置として使用する場合を例に挙げて説明したが、携帯
電話等の他の任意の製品に組み込んで使用することも可
能であることは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係るヒン
ジ装置によれば、第1のカムと第2のカムとを係合させ
ることによって、第1の部材と第2の部材とを所定の位
置決め位置に、例えば、閉じた位置に保持することがで
きるので、特別なロック機構を設ける必要がなく、デザ
イン上、使用上有利であるとともに、その分の部品点数
を削減して製品コストを低減することができるという利
点がある。
【0037】また、凹部と凸部との係合が外れた状態に
おいては、軸部と摩擦片との間に生じる摩擦力によって
第1の部材と第2の部材との相対位置関係を任意の相対
角度位置で保持することができる、いわゆるフリースト
ップを達成できるという利点がある。
【0038】さらに、摩擦片をばね部材により構成すれ
ば、上記効果をきわめて簡易な構成で達成することがで
きる。さらに、板ばね部材により構成すれば、軸部回り
の径寸法を最小化することができるという利点がある。
また、この板ばね部材を第1の部材または第2の部材の
いずれかの部材と一体的に形成すれば、部品点数を少な
くして、コスト低減を図ることができるという利点もあ
る。
【0039】さらに、凹部に傾斜部を設けておけば、該
凹部に係合する方向に移動された凸部が、傾斜部に差し
掛かった時点で凹部との係合位置に向かって案内される
ことになるので、第1の部材と第2の部材とを凹部と凸
部とが完全に係合するまで操作する必要がなく、使い勝
手が良いという利点がある。
【0040】また、凸部が傾斜部に差し掛かったとき
に、軸部に設けた切欠部を摩擦片と軸部の外周面の円筒
状部分との接触箇所に一致させることにより、軸部と摩
擦片との間に生じる摩擦力を低減して、傾斜部による凸
部の凹部との係合位置までの案内動作を円滑に実施する
ことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るヒンジ装置の一実施形態を示す
正面図である。
【図2】 図1のヒンジ装置の平面図である。
【図3】 図1のヒンジ装置の動作を説明するための側
面図である。
【図4】 図1のヒンジ装置の軸部を圧入する前の摩擦
片を示す拡大図である。
【図5】 図4の摩擦片に軸部を圧入した状態を示す拡
大図である。
【図6】 図4の摩擦片内の軸部が回転した状態を示す
拡大図である。
【図7】 図1のヒンジ装置のカムの動作を説明するた
めの拡大図である。
【図8】 可動側カムが軸部回りに回転した状態を示
す、図7と同様の拡大図である。
【符号の説明】
1 本体部材(第2の部材) 3 開閉部材(第1の部材) 5 軸部 5a 二面部(回転係止手段) 6 固定側カム(第2のカム) 6a カム面 6b 凹部(位置決め手段) 6d 傾斜部 7 可動側カム(第1のカム) 7a カム面 7b 凸部(位置決め手段) 8 付勢手段 11 切欠部 12 摩擦片(ばね部材、板ばね部材) A,B,C 接触箇所

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の部材と第2の部材とを相対揺動可
    能に連結するヒンジ装置であって、 前記第1の部材に対して固定される第1のカムと、 前記第2の部材に取り付けられ、前記第1のカムのカム
    面に接触させられるカム面を有する第2のカムと、 該第2のカムの前記第2の部材に対する相対回転を係止
    する回転係止手段と、 該第2のカムのカム面を前記第1のカムのカム面に向け
    て付勢して両カム面を圧接状態に保持する付勢手段と、 前記第1、第2のカムのカム面に設けられ、前記第1の
    部材と第2の部材とが所定の相対角度位置に配されたと
    きに相互に係合して両部材を位置決め状態に保持する少
    なくとも1対の凹部と凸部とからなる位置決め手段と、 前記第1の部材と第2の部材との揺動中心に沿って配置
    され、これら第1の部材または第2の部材のいずれか一
    方の部材に対して固定される柱状の軸部と、 他方の部材に対して固定され、前記軸部の外周面に圧接
    させられる摩擦片とを具備することを特徴とするヒンジ
    装置。
  2. 【請求項2】 前記摩擦片が、前記軸部よりも小径に形
    成され、該軸部が圧入されたときに拡径され、その復元
    力によって軸部との間に摩擦力を生じさせるばね部材で
    あることを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
  3. 【請求項3】 前記ばね部材が、金属製薄板を前記軸部
    よりも小径の筒状に湾曲形成してなる板ばね部材である
    ことを特徴とする請求項2記載のヒンジ装置。
  4. 【請求項4】 前記板ばね部材が、前記第1の部材また
    は前記第2の部材の一部を筒状に湾曲形成することによ
    り、いずれかの部材と一体的に形成されていることを特
    徴とする請求項3記載のヒンジ装置。
  5. 【請求項5】 前記凹部の、前記凸部に対する相対移動
    方向の少なくとも一側に、前記凸部を該凹部との係合位
    置に案内する斜面よりなる傾斜部を具備していることを
    特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のヒ
    ンジ装置。
  6. 【請求項6】 前記軸部が、円筒状の外周面の周方向の
    少なくとも一部に、半径方向に凹んだ切欠部を具備し、 前記板ばね部材が、前記軸部が圧入されたときに、周方
    向に間隔をあけた複数の接触箇所において、前記軸部の
    前記外周面の円筒状部分に圧接させられるように形成さ
    れ、 前記凸部が前記傾斜部の位置に配されたときに、前記切
    欠部が前記接触箇所のいずれかに一致させられるよう
    に、前記板ばね部材と、軸部と、第1のカムと、第2の
    カムとの相対位置が設定されていることを特徴とする請
    求項5記載のヒンジ装置。
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