JPH1143534A - 繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法

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JPH1143534A
JPH1143534A JP21575497A JP21575497A JPH1143534A JP H1143534 A JPH1143534 A JP H1143534A JP 21575497 A JP21575497 A JP 21575497A JP 21575497 A JP21575497 A JP 21575497A JP H1143534 A JPH1143534 A JP H1143534A
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JP
Japan
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resin composition
epoxy
resin
epoxy resin
fiber
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JP21575497A
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Masahiko Hayashi
政彦 林
Hajime Kishi
肇 岸
Junko Tamai
順子 玉井
Toshiaki Azuma
利昭 東
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Toray Industries Inc
Toray Composite Materials America Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Toray Composites America Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲル化物が少なく、かつ、粘度の経時安定性
に優れた良好な繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物
を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種の2官能エポキシ樹脂と
反応性基含有固形アクリロニトリルブタジエンゴムとを
溶媒中で混合し、溶媒を除去した後に3官能以上の多官
能エポキシ樹脂又は固形エポキシを添加することを特徴
とする、繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化複合材料
用マトリックス樹脂組成物として好適なエポキシ樹脂組
成物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、マ
トリックス樹脂中にゲル化物がなく、粘度安定性に優れ
たエポキシ樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料は、その優れた力学物性などから、航
空機、自動車、産業用途に幅広く使われている。近年、
繊維強化複合材料が航空機一次構造材料やスポーツ材料
に適用されるに至って、繊維強化複合材料に対する要求
特性はますます厳しくなってきている。繊維強化複合材
料の力学物性や耐久性を十分に引き出すためには、強化
繊維とマトリックス樹脂の両方の性能に関し多くの改善
の余地がある。
【0003】一般にプリプレグに用いられるマトリック
ス樹脂として、耐熱性、寸法安定性、電気的特性、耐薬
品性などの機械的特性と成形性に優れたエポキシ樹脂が
用いられる。しかし、エポキシ樹脂は硬くて脆いという
欠点を有し、衝撃強度が低いという問題点がある。この
点を改良する目的で、ニトリルゴムがよく用いられる。
また、ニトリルゴムの添加により良好な粘着性や柔軟性
を付与することができる。また、高分子量のニトリルゴ
ムの添加は、マトリックス樹脂の粘度を上げ、成形体表
面の平滑性を増し、かつ、このことが成型体内のボイド
低減に寄与することになる。また、ニトリルゴムに特定
の官能基を含有させることにより強化繊維との接着強度
を増すことがよく行われる。
【0004】たとえば、プリプレグの粘着性や柔軟性を
向上させるために、固形のアクリロニトリルブタジエン
ゴムを使用する方法が特願平4−80522号公報に開
示されている。また、特開平2−20546号公報に
は、良好な粘着性や柔軟性を有し、かつ、成形時におけ
る樹脂のフロー特性がよいニトリルゴムを含有する樹脂
組成物が開示されている。特公昭63−30925号公
報、特公平1−29814号公報には、特定のエポキシ
樹脂と両末端に官能基を有する液状のアクリロニトリル
ブタジエン共重合体とエポキシ樹脂との反応生成物にジ
シアンジアミドを配合したエポキシ樹脂組成物が開示さ
れている。しかし、これらの方法はいずれもゴム中のカ
ルボキシル基とエポキシ化合物とのゲル化反応を制御す
るための技術について言及されたものではなく、また、
カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンとエポ
キシ樹脂を熱処理し、カルボキシル基とエポキシ基とを
反応させて、粘度の経時変化の抑制やゲル化抑制に言及
したものではなかった。たとえば、特開平8−1514
26号公報においては、カルボキシル基含有ゴムと多官
能エポキシ樹脂が同時に混合されていることから、熱処
理中にゲル化しやすい問題がある。また、カルボキシル
基含有ゴムを低粘度エポキシ樹脂だけでマスター化せず
に他の高粘度エポキシ樹脂も混合していることから、溶
媒除去が困難であり、アセトンやメチルエチルケトン
(以下、MEKと略称する。)が残存し、成型体の物性
を下げるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ゲル
化物が少なく、かつ、粘度の経時安定性に優れた良好な
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の製造方法を提
供することにある。また、該エポキシ樹脂を強化繊維に
含浸させたプリプレグのタック性が適切であり、かつ、
室温放置におけるタックの経時変化が少ないエポキシ樹
脂の製造方法を提供することにある。さらには、複合材
料としてボイドが少なく、表面平滑性に優れた成型体を
与え、耐熱性と接着性の高いエポキシ樹脂の製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法
は、少なくとも1種の2官能エポキシ樹脂と反応性基含
有固形アクリロニトリルブタジエンゴムとを溶媒中で混
合し、溶媒を除去した後に3官能以上の多官能エポキシ
樹脂を添加することを特徴とする方法からなる。
【0007】また、本発明に係る繊維強化複合材料用樹
脂組成物の製造方法は、少なくとも1種の2官能エポキ
シ樹脂と反応性基含有固形アクリロニトリルブタジエン
ゴムとを混合し、溶媒を除去した後に固形エポキシを添
加することを特徴とする方法からなる。
【0008】このような本発明に係る製造方法は、次の
ような作用、効果に基づいて完成されたものである。ま
ず第一に、反応性基含有固形アクリロニトリルブタジエ
ンゴムは、多官能エポキシ樹脂基との反応性によって、
一般にゲル化しやすいが、その反応を制御することによ
り、樹脂粘度を適切な範囲とするとともに粘度の経時安
定性の良い樹脂組成物を得ることができる。
【0009】第二に、反応性基含有固形アクリロニトリ
ルブタジエンゴムとエポキシ樹脂とのマスター化におい
て、低粘度のエポキシ樹脂組成物を得ることにより、脱
溶媒の効率を向上し、最終的な樹脂組成物中に含まれる
残存溶媒を低減させることができることを見出したもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態について、詳細に説明する。本発明に適したエポキ
シ樹脂としては、特にアミン類、フェノール類、炭素炭
素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂
が好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とするグリ
シジルアミン型エポキシ樹脂として、テトラグリシジル
アミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノ
フェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異
性体が挙げられる。テトラグリシジルアミノジフェニル
メタンは航空機構造材としての複合材料用樹脂として耐
熱性に優れるため好ましい。
【0011】フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂
として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹
脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂やフェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂やレゾルシノ
ール型エポキシ樹脂が挙げられる。液状のビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
は低粘度であるために、他のエポキシ樹脂に添加剤とし
て配合するのが好ましい。
【0012】また、これらのエポキシ樹脂は単独で用い
てもよいが、適宜配合して用いるのがよい。グリシジル
アミン型エポキシ樹脂とグリシジルエーテル型エポキシ
樹脂の組合わせは、耐熱性、耐水性および作業性を併せ
持つため好ましい。とくに、グリシジルエーテル型エポ
キシ樹脂を30〜60重量部、ビスフェノール型エポキ
シ樹脂を40〜80重量部およびノボラック型エポキシ
樹脂を10〜40重量部を混合して用いるのが好まし
い。
【0013】ここで、2官能エポキシ樹脂と反応性基含
有固形アクリロニトリルブタジエンゴムとを混合した
後、溶媒を除去したあとで固形エポキシを添加すること
によりプリプレグのタックを最適化するとともに、得ら
れる成型体の吸水率を下げ、湿熱状態での圧縮強度を改
良できる。
【0014】具体的に使用する固形エポキシとしては、
ノボラック型エポキシ、ビスフェノール型エポキシ、ジ
シクロペンタジエン型エポキシ、ビフェニール型エポキ
シが挙げられ、これら固形エポキシのタックおよび成型
体のホットウエット圧縮強度を改良するに最適な添加量
は、全エポキシ樹脂組成物に対して10〜30重量%で
あり、10重量%より少ないとタックの改良および、圧
縮特性の改良が十分ではないし、また、30重量%を越
えると、プリプレグのタックが不足したり、柔軟性が不
足しやすくなる。
【0015】本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記のエ
ポキシ樹脂に加えて反応性基含有固形アクリロニトリル
ブタジエンゴムを含有する。反応性基含有固形アクリロ
ニトリルブタジエンゴムは、室温で流動性をもたない高
粘度のゴムであり、より具体的にはJIS K6300
により測定される100℃におけるムーニー粘度が20
〜100の範囲にあるゴムである。ここで、液状ゴムは
固形ゴムに比べマトリックス樹脂粘度を上げる効果に乏
しく、多量に添加する必要があり、耐熱性を著しく阻害
することから問題である。ここで反応性基含有固形アク
リロニトリルブタジエンゴムを添加したエポキシ樹脂組
成物は、粘着性と柔軟性の良好なプリプレグを得るのに
好適なマトリックス樹脂となる。かかるゴムの100℃
におけるムーニー粘度が小さすぎると、得られるプリプ
レグの粘着性や柔軟性が十分とはならない場合があり、
大き過ぎるとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなってプ
リプレグにする際に強化繊維への含浸性が損なわれる場
合がある。
【0016】反応性基としては、カルボキシル基、アミ
ノ基、エポキシ基などを例示することができる。反応性
基を有していないならば、硬化した樹脂相とその中に微
分散したゴム相との接着性が低いために、硬化後のマト
リックス樹脂の力学物性を向上させることができない。
特に、エポキシ樹脂との反応性が高いカルボキシル基ま
たはアミノ基を有していることが好ましい。反応性基を
有する固形アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、
日本ゼオン(株)社製のNIPOL(登録商標)107
2、NIPOL1072J、NIPOL1472、NI
POL1472HV、NIPOL DN631などの市
販品を用いることができる。
【0017】反応性基含有固形アクリロニトリルブタジ
エンゴムの配合量は、樹脂組成物に体して、1〜4重量
%であることが好ましい。配合量が1重量%より少ない
と得られるプリプレグの粘着性や柔軟性が劣ったものに
なると共に、樹脂粘度を上げる効果が乏しい。
【0018】一方、配合量が4重量%より多いと、弊害
の1つ目として、樹脂粘度が高くなりプリプレグ化する
場合の強化繊維への含浸性が損なわれる場合がある。弊
害の2つ目として、樹脂粘度の経時安定性が十分でな
く、プリプレグ化に至る工程上で変化したり、プリプレ
グ積層成型工程での保存性に問題が生じ、成型体の安定
な性能を維持できない場合がある。
【0019】また、これらのエポキシ樹脂組成物中にポ
リエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニル
ホルマールなどの熱可塑性樹脂を配合して使用しようす
ることも可能である。
【0020】これらのエポキシ樹脂組成物に使用される
硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有す
る化合物であれば、これを用いることができる。好まし
くは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物
が適している。例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジ
フェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、それら
の各種異性体、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水
物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック
樹脂が挙げられる。
【0021】芳香族ジアミンを硬化剤として用いると耐
熱性の良好な硬化物が得られる。特に、ジアミノジフェ
ニルスルホンやその異性体はより耐熱性の良好な硬化物
が得られるので本発明には最も適している。芳香族ジア
ミンを硬化剤として用いる場合にはその添加量はエポキ
シ樹脂のエポキシ基に対してジアミノジフェニルスルホ
ンの活性水素の量が0.4〜1.6当量の範囲とするの
が適当であり、化学量論的にほぼ当量とすることがより
好ましい。ジシアンジアミドも、プリプレグの保存性を
より求められる場合に特に好ましく用いられ、その添加
量は樹脂組成物全量当たり0.5〜10重量%が適当で
ある。
【0022】また、硬化促進剤として、3−(3,4−
ジクロロフェニル)−1,1ジメチルウレア(以下,D
CMUと略称する。)、3−(3−クロロフェニル)−
1,1ジメチルウレアなどの尿素誘導体や、イミダゾー
ル化合物、3級アミン化合物などを併用することができ
る。特に、保存安定性に優れるDCMUが好ましい。
【0023】反応性基含有固形アクリロニトリルブタジ
エンゴムはエポキシ樹脂に直接溶解しにくいことから、
ゴムを予めエポキシ樹脂に十分溶解させるための工夫が
必要である。たとえば、アセトン、メチルエチルケトン
などの溶媒を用いるが、ゴムを溶媒にまず溶解し、次に
エポキシ樹脂を添加混合した後、溶媒を除去する。この
時点ではできるだけゴムとエポキシの反応を抑制し、マ
スター樹脂として低粘度で抜出して使用するのが樹脂調
製の作業効率、あるいは最終的に所望の樹脂粘度を得る
ために都合がよい。
【0024】そのため、マスター化に使用するエポキシ
は2官能の液状エポキシが好適である。ゴム中の官能基
が多い段階での多官能エポキシの使用および併用はゴム
マスター樹脂の粘度の安定性を欠き、官能性ゴムとエポ
キシとのゲル化物を発生させるため良好な樹脂を得るこ
とができない。また、ゴムをマスター化するために使用
される2官能エポキシは溶媒を除去した後でも、100
℃までの、好ましくは80℃までの温度にて流動性を付
与し得る最低量使用する。それは溶媒除去後に他のエポ
キシ成分等を添加してできる最終樹脂組成中の微量溶媒
濃度をできるだけ下げるためである。低沸点溶媒量を少
なくすることでボイド発生の原因を排除できる。
【0025】また、マスター化には固形ゴム混合の効率
を上げる意味もある。2官能エポキシとしては常温で液
体であり、低粘度であるビスフェノールA型ジグリシジ
ルエーテルおよびビスフェノールF型ジグリシジルエー
テルが用いられる。具体的なビスフェノールA型エポキ
シ樹脂としては“エピコート”825、“エピコート”
827、“エピコート”828(以上油化シェルエポキ
シ(株)製)、“エポトート”YD128(東都化成
(株)製)、“エピクロン”840、“エピクロン85
0(以上大日本インキ化学工業(株))、“スミエポキ
シ”ELA−128(住友化学(株)製)、DER33
1(ダウケミカル社製)等の市販品が使用できる。また
ビスフェノールF型としては“エピコート”806、
“エピコート”807(以上油化シェルエポキシ(株)
製)、“エピクロン830”(大日本インキ化学工業
(株))、等の市販品が使用できる。液状2官能エポキ
シ樹脂としてはエポキシ当量100〜300の範囲のも
のが好ましく用いられる。このとき、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂とを
併用することもできる。
【0026】上記したように2官能エポキシ樹脂と反応
性基含有アクリロニトリルブタジエンゴムを溶媒中に混
合し、溶媒を除去した後、3官能以上の多官能エポキシ
を添加するが、多官能エポキシとしてはノボラック型エ
ポキシまたはグリシジルアミン型エポキシが用いられ
る。樹脂組成物粘度の経時安定化とゲル化物発生を抑制
するためには、反応性基含有アクリロニトリルブタジエ
ンゴムと2官能エポキシ樹脂溶液作製後に、まずノボラ
ック型エポキシを添加して反応せしめた後に、次いでグ
リシジルアミン型エポキシを添加することが有効であ
る。このことは、反応性基含有アクリロニトリルブタジ
エンゴムとグリシジルアミン型エポキシの反応性が他の
エポキシ樹脂に比べ高く、架橋を抑制することにそのね
らいがある。
【0027】具体的なノボラックエポキシとしては、フ
ェノールノボラックエポキシ樹脂およびクレゾールノボ
ラック樹脂、ジシクロペンタジエンが挙げられる。前者
には“エピコート”152、“エピコート”154、
(以上油化シェルエポキシ(株)製)、DER438
(ダウケミカル社製)、“アラルダイト”EPN113
8、“アラルダイト”EPN1139(チバ社製)があ
る。後者においては、ESCN220L、ESCN22
0M(住友化学(株))、“エピコート”180S65
(以上油化シェルエポキシ(株)製)が好適に使用でき
るが、これらの固形エポキシとしては、軟化点が50〜
80℃のものが樹脂調製時の加熱処理によって溶解均一
化しやすい点で好ましく使用できる。
【0028】グリシジルアミン型エポキシとしては、テ
トラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシ
ジル−pアミノフェノール、トリグリシジル−m−フェ
ノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体
が挙げられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメ
タンは繊維強化複合材料用樹脂として耐熱性に優れるた
めに特に好ましい。
【0029】次にエポキシ樹脂と固形ゴムとの反応温度
について述べると、2官能エポキシと反応性基含有アク
リロニトリルブタジエンゴムとを20〜80℃の範囲で
反応させることが好ましい。ここでは固形ゴムをアセト
ンまたはメチルエチルケトンの溶媒を介してエポキシ樹
脂に均一溶解することにそのねらいがあり、反応は常温
から80℃の範囲がとられるが、固形ゴムの溶解均一化
を出来るだけ速やかに終わらせるためには系内の温度は
高めに設定するのが好ましく、溶媒を還流させる温度6
0〜80℃が特に好ましい。また、ゴムのエポキシ樹脂
への分散、均一化が終了すれば、溶媒を除去して次の多
官能エポキシとの混合および反応を行なう。最終的に全
体樹脂組成物に占めるゴム量は4重量%以下とすること
が好ましい。
【0030】ゴムと2官能エポキシ樹脂の混合物はマス
ター樹脂として使用する。つまり、溶媒を除去したゴム
とエポキシ樹脂との混合物は一旦抜出し確保するのが好
ましい。このゴムとエポキシのマスター樹脂の粘度は出
来るだけ低く抑える方が、抜出しおよび次なる仕込の作
業性の関係で好ましいといえる。また、ここから溶媒を
殆ど含まない混合系に移行するため、溶媒に溶解するゆ
えに、エポキシ樹脂との反応性が高く、本来は使用が制
限される硬化剤を使用することができるメリットがあ
る。
【0031】硬化剤は、エポキシ基と反応し得る活性基
を有する化合物であればこれを用いることができる。好
ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基、水酸基を
有する化合物が適している。例えば、ジシアンジアミ
ド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ
安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラ
ック樹脂、クレゾールノボラック樹脂があげられる。芳
香族ジアミンを硬化剤として用いると、耐熱性の良好な
エポキシ樹脂硬化物が得られる。特にジアミノジフェニ
ルスルホンの各種異性体は耐熱性の良好な硬化物を得る
ため最も適している。ジアミノジフェニルスルホンはア
セトン、MEK等に溶解するため、これら溶媒存在下で
のプリプレグでは使用が制限される。すなわち、エポキ
シ樹脂Tgの経時上昇幅が大きく、タック安定性に欠け
る。しかし、本発明の樹脂調製法によると、反応が抑制
されタック安定性に優れたプリプレグを得ることができ
る。硬化剤添加量は化学量論的に当量となるよう添加す
ることが好ましいが、場合によって、例えば当量比0.
7〜0.8附近を用いると高弾性率樹脂が得られるため
好ましい。これらの硬化剤は併用してもよい。
【0032】ゴムと2官能エポキシマスター樹脂を混合
した後に、ノボラック型エポキシと反応させるが、この
ときの反応温度は50〜100℃の範囲が好ましく、さ
らに好ましくは70〜90℃の範囲である。50℃以下
の場合はゴムのカルボキシル基とエポキシとの反応が十
分でないし、100℃を越えると反応速度が急激に上昇
しゲル化反応が起こりやすい。
【0033】次に、グリシジルアミン型エポキシ樹脂と
の反応温度は40〜80℃の範囲が好ましい。より好ま
しくは40〜70℃である。反応温度が40℃以下では
撹拌負荷が高く反応に時間がかかるし、また80℃以上
の反応温度ではゲル化反応を起こしやすく問題が大き
い。このようにして得られた反応性基含有アクリロニト
リルブタジエンゴムと各エポキシ樹脂からなる樹脂組成
物はゲル状反応物を殆ど含有せず、組成物の90重量%
以上が常温でメチルエチルケトンに溶解する良好な粘度
を有するマトリックス樹脂となる。
【0034】以上に述べたように、反応性基含有固形ア
クリロニトリルブタジエンゴムとエポキシ樹脂との反応
順序として、2官能エポキシと反応させ分子量を上げ
る。次いで3官能エポキシを添加して分子量を上げ増粘
させる。このときゲル化反応を起こしすいグリシジルア
ミン型エポキシとの接触を避ける意味から、グリシジル
アミンよりも架橋反応を起こし難いノボラックエポキシ
と反応させ、最終的にグリシジルアミン型エポキシと反
応させるという段階を経ることにより良好な粘度を有す
るゴムとエポキシとの混合樹脂を製造することができる
のである。
【0035】硬化剤を配合し、得られたマトリックス樹
脂を用いてフィルム化を行ない強化繊維に貼りあわせ樹
脂含浸すると、良好な粘着性、柔軟性を有し、かつ含浸
性の良いプリプレグが得られる。しかも、プリプレグを
室温で例えば10日間放置させる間でのタック性の経時
変化が、こうした反応をさせないものと比較して著しく
小さい。また、このようなプリプレグを用いてたとえば
ノメックスハニカムとのコキュア成形を行なうとスキン
パネル内のポロシティが殆どなく、表面平滑性に優れ、
かつ、ハニカムとの接着性の良い成型体を得ることがで
きる。
【0036】また、エポキシ組成物を得る為の各原料構
成割合は、反応性基含有アクリロニトリルブタジエンゴ
ム1〜7重量%、2官能エポキシ樹脂30〜50重量
%、ノボラック型エポキシ10〜30重量%、グリシジ
ルアミン型エポキシ20〜40%の範囲から選択すると
好適なエポキシ樹脂組成物を得ることが出来る。特に、
反応性基含有固形アクリロニトリルブタジエンゴム含量
が1〜4重量%、さらには1〜2.8%と少ないほうが
樹脂調製中の反応によるゲル化を防ぎ、粘度安定性の良
い樹脂組成物を得るために好ましい。
【0037】なお、これら樹脂組成物に、少量の有機粒
子、無機粒子を添加混合するのも好ましい。有機粒子と
してはフェノール、ポリアミド、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルイミド、ポリビニルホルマールなどで
あり、無機粒子として、タルク、ケイ酸アルミニウム、
微粒子状シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、モンモリロ
ナイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、アルミナ水和
物等が挙げられる。これらの粒子は50μm以下の粒子
径を有するものが強化繊維の配列を乱しにくいため好ま
しく、さらに好適には粒子径20μm以下のものが樹脂
改質に使用出来る。
【0038】本発明において樹脂組成物80℃での粘度
は、レオメトリックス社製RDA−II型装置を用いて、
以下の条件で50℃から昇温させながら粘度測定を行な
い、温度が80℃での粘度を求めた。 操作モード :ダイナミックモード 振動周波数範囲:0.5Hz プレート構成: 平行円盤(半径25mm) ギャップ 0.83mm 測定温度範囲:50〜150℃ 昇温速度 :1.5℃/分 歪み量 :トルクが2〜200g/cmの範囲にはいるよう自動制御。
【0039】また、プリプレグのタック性評価として、
プリプレグどうしを圧着後、引き剥がす力を測定した。
この測定法には、負荷応力、速度、時間等多くのパラメ
ーターが存在する。これらは、プリプレグの使用する状
態等を考慮にいれて適宜決定すれば良い。本実施例にお
けるタック性の評価に関しては、測定装置として“イン
ストロン”4201型万能材料試験機(インストロン・
ジャパン株式会社製)を使用して、以下の条件で測定し
た。 ・サンプル:50×50mm ・負荷速度:1mm/分 ・接着負荷:0.12MPa ・負荷時間:5±2秒 ・剥離速度:10mm/分 ・環境 :25℃、相対湿度50%
【0040】ハニカムコアとスキンパネルとの表面平滑
性、ポロシティは以下のようにして測定した。まず成形
方法としては、昭和飛行機工業(株)製ノーメックスハ
ニカムSAH1/8−8.0を用い、織物プリプレグの
積層構成は、ハニカムコアの上面に織物プリプレグを上
から、強化繊維の各層における角度で表して、(±45
°)/(0°/90°)/(0°/90°)/(0°/
90°)、ハニカムコア下面に(0°/90°)/(0
°/90°)/(±45°)の構成にて積層した。離型
剤“フリコート44−NC”(THE DEXTER
CORPORATION製)をコートしたしたアルミニ
ウムツール板上に積層体を乗せ、ナイロンバッグをアル
ミニウムツール板上の積層体にかぶせ、バッグ内を真空
状態に保った状態でオートクレーブに入れ、次に1.5
kg/cm2 まで圧力を与えたところでバッグ内の真空
を常圧に戻し、その後3kg/cm2 まで昇圧してから
昇温を行った。硬化は1.5℃/分で180℃まで昇温
し、同温で2時間保持する条件で行った。ここで、ポロ
シティは、硬化した成形体の断面について顕微鏡写真を
25倍の倍率にて撮影し、長さ約26cm×幅約19c
mのハニカム成形体を幅方向に切断し、下面のスキンパ
ネル断面内のポロシティ面積をスキンパネルの面積で除
した数値を指標とした。
【0041】硬化した成形体の表面平滑性は、ハニカム
スキンパネルのアルミツール板側をミツトヨ(株)社製
表面粗さ計サーフテスト301を用いてR(表面粗さ)
を、ランダム10箇所について、5mmの長さに渡って
検出針が走行して得られたチャートの最大高さ(Rma
x)の平均値より求めた。なお、測定条件は、上記表面
粗さ計のλc/Lつまみ:8、nつまみ:n、Pcつま
み:1、LCD/SPCtumami:Ryとした。
【0042】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。 (実施例1) ゴムマスター樹脂の調製:ゴムと2官能エポキシ樹脂の
マスター樹脂を製造するために、混合槽に一辺が約6m
mの立方体形状のカルボキシル基末端アクリロニトリル
ブタジエンゴム(日本ゼオン(株)社製NIPOL14
72HV)5重量部とメチルエチルケトン50重量部を
薄膜式蒸発装置に仕込んで還流状態(このときの系内温
度は80℃であった)で約2時間混合溶解した。次いで
反応温度を60℃まで下げ、ビスフェノールA型エポキ
シ(油化シェルエポキシ(株)社製Ep828)を45
重量部添加し加し60℃で1時間撹拌混合した。混合
後、神鋼パンテック(株)社製の薄膜式蒸発装置“エク
セバ”EX−2を用いて、加熱温度80℃、真空度45
Torrの条件で脱溶媒処理を行なった。装置内に樹脂
の滞留時間は15分であった。脱溶媒後、35℃まで冷
却し受器に抜き出した。得られたゴムとエポキシとのマ
スター樹脂の80℃粘度は85ポイズであった。
【0043】マトリックス樹脂の調製(本樹脂調製):
撹拌式混合槽に上記ゴムマスター樹脂44.4重量部を
仕込んだ後、クレゾールノボラック型エポキシ(住友化
学工業(株)社製ESCN220)20重量部を仕込み
85℃で2時間撹拌混合した。次いで温度を60℃まで
下げた後、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
(住友化学工業(株)社製ELM434)40重量部
と、トリメチルシリル基で表面処理した微粒子シリカ
(デグサ社製アエロジルR812)5重量部添加して1
時間混合した。ここでさらに、硬化剤として4、4´ジ
アミノジフェニルスルホン)39.7重量部を添加し繊
維強化マトリックス樹脂として用いた。また、このエポ
キシ樹脂組成物の粘度を測定したところ80℃での粘度
は380ポイズであった。このエポキシ樹脂組成物を2
5℃で10日間保存後に粘度測定をすると、80℃での
粘度は440ポイズであり、保存前に比べ60ポイズの
粘度上昇を示した。
【0044】このマトリックス樹脂を採取してMEKと
の5重量%濃度で常温で1時間撹拌溶解し、ガラスフィ
ルターで濾過後真空乾燥し、溶解残を調べたところ樹脂
組成物の95%がMEKに溶解していることがわかり、
ゲル化物の存在がほとんどないことを確認した。また、
TGAを用いて、40〜200℃の範囲のエポキシ樹脂
組成物の重量減少を調査した結果0.03%であり、エ
ポキシ樹脂組成物中に含まれるMEKなどの揮発成分は
ほとんど検出されなかった。得られたエポキシ樹脂組成
物を離型紙にコーティングして樹脂目付が70g/m2
の樹脂フィルムを作製した。樹脂ムラのない良好な樹脂
フィルムを得た。
【0045】次に樹脂フィルムをプリプレグマシンにセ
ットし、東レ(株)製炭素繊維織物“トレカ”CO73
73Z(目付193g/m2 )の両面から樹脂含浸を行
いプリプレグを得た。含浸温度は100℃を用いた。こ
のようにして得られたプリプレグのタックは0.14M
Paであり適度のタックを有し、室温25℃、湿度50
%RHで10日間保存後には0.11MPaであった。
10日経過後も良好なタックを維持していた。
【0046】次にアラミドハニカムコア(ハニカムセル
の大きさが1/8インチ、厚み1/2インチ)に対し
て、織物プリプレグを上から(±45°)/(0°/9
0°)/(0°/90°)/(0°/90°)、ハニカ
ムコア下面に(0°/90°)/(0°/90°)/
(±45°)(ハニカムコアに対して最外層は±45
゜)の構成にて積層した。離型剤“フリコート44−N
C”(THE DEXTERCORPORATION
製)をコートしたアルミニウムツール板上に積層体を乗
せ、ナイロンバッグをアルミニウムツール板上の積層体
にかぶせ、バッグ内を真空状態に保った状態でオートク
レーブに入れ、次に1.5kg/cm2 まで圧力を与え
たところでバッグ内の真空を常圧に戻し、その後3kg
/cm2 まで昇圧してから昇温を行った。硬化は1.5
℃/分で180℃まで昇温し、同温で2時間保持する条
件で行った。90゜/±45゜(ハニカムコアに対して
最外層は±45゜)それぞれに順次織物プリプレグを積
層した。なおプリプレグとハニカムコア間には接着フィ
ルムは使用しなかった。
【0047】ここで、このようにして得られたハニカム
サンドイッチパネル下面のスキンパネル断面内のポロシ
ティ含有率は0.05%であった。また、ハニカムサン
ドイッチパネルのツール面側の表面粗さを測定したとこ
ろ、最大高さ(Rmax)は12.4μmであり平滑が
優れていた。
【0048】(比較例1)撹拌式混合槽に実施例1と同
様の組成でDDS以外の原料を一括添加し85℃で2時
間の加熱撹拌を行なおうとしていたところ、樹脂組成物
の撹拌流動性が悪くなり、約1時間経過したときにはゲ
ル状になり、フィルム化できない樹脂組成物であった。
ここで樹脂組成物を一部取りだしてMEKに溶解したと
ころ70重量%は溶解したが溶解残は30重量%あっ
た。
【0049】(実施例2)撹拌式混合槽に実施例1で示
したゴムマスター樹脂37.0重量部を仕込んだ後、ビ
スフェノールA型エポキシ(油化シェルエポキシ(株)
社製Ep828)6.7重量部および、クレゾールノボ
ラック型エポキシ(住友化学工業(株)社製ESCN2
20)20重量部を仕込み85℃で2時間撹拌混合し
た。ついで反応温度を60℃まで下げた後、テトラグリ
シジルジアミノジフェニルメタン(住友化学工業(株)
社製ELM434)40重量部と、トリメチルシリル基
で表面処理した微粒子シリカ(デグサ社製アエロジルR
812)5重量部添加して1時間混合した。ここでさら
に、硬化剤として4、4´ジアミノジフェニルスルホ
ン)39.7重量部を添加し繊維強化マトリックス樹脂
として用いた。また、このエポキシ樹脂組成物の粘度を
測定したところ80℃での粘度は300ポイズであり、
このエポキシ樹脂組成物を25℃で10日間保存後に粘
度測定をすると、80℃での粘度は330ポイズであ
り、保存前に比べ30ポイズの粘度上昇を示した。ここ
で樹脂組成物を一部取りだしてMEKに溶解したところ
96重量%は溶解し、ゲル化物が殆どないことを確認し
た。
【0050】また、TGAを用いて、40〜200℃の
範囲のエポキシ樹脂組成物の重量減少を調査した結果
0.02%でありエポキシ樹脂組成物中に含まれるME
Kなどの揮発成分はほとんど検出されなかった。
【0051】得られたエポキシ樹脂組成物を実施例1と
同様にして、フィルム化、プリプレグ化およびハニカム
サンドイッチパネルを作製した。得られたプリプレグの
タックは0.13MPaであり適度のタックを有し、室
温25℃、湿度50%RHで10日間保存後には0.1
1MPaであった。10日経過後も良好なタックを維持
していた。また得られたハニカムサンドイッチパネル下
面のスキンパネル断面内のポロシティ含有率は0.10
%であり、サンドイッチパネル表面粗さ(Rmax)は
11.8μmであり平滑が優れていた
【0052】(実施例3)撹拌式混合槽に実施例1で示
したゴムマスター樹脂53.3重量部を仕込んだ後、ク
レゾールノボラック型エポキシ(住友化学工業(株)社
製ESCN220)20重量部を仕込み85℃で2時間
撹拌混合した。ついで反応温度を60℃まで下げた後、
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(住友化学
工業(株)社製ELM434)32重量部と、トリメチ
ルシリル基で表面処理した微粒子シリカ(デグサ社製ア
エロジルR812)3重量部添加して1時間混合した。
ここでさらに、硬化剤として4、4´ジアミノジフェニ
ルスルホン)38.0重量部を添加し繊維強化マトリッ
クス樹脂として用いた。また、このエポキシ樹脂組成物
の粘度を測定したところ80℃での粘度は470ポイズ
であり、このエポキシ樹脂組成物を25℃で10日間保
存後に粘度測定をすると80℃での粘度は580ポイズ
であり、保存前に比べ110ポイズの粘度上昇を示し
た。ここで樹脂組成物を一部取りだしてMEKに溶解し
たところ97重量%は溶解し、ゲル化物が殆どないこと
を確認した。
【0053】また、TGAを用いて、40〜200℃の
範囲のエポキシ樹脂組成物の重量減少を調査した結果
0.02%でありエポキシ樹脂組成物中に含まれるME
Kなどの揮発成分はほとんど検出されなかった。
【0054】得られたエポキシ樹脂組成物を実施例1と
同様にして、フィルム化、プリプレグ化およびハニカム
サンドイッチパネルを作製した。得られたプリプレグの
タックは0.16MPaであり適度のタックを有し、室
温25℃、湿度50%RHで10日間保存後には0.1
2MPaであった。10日経過後も良好なタックを維持
していた。また得られたハニカムサンドイッチパネル下
面のスキンパネル断面内のポロシティ含有率は0.07
%であり、サンドイッチパネル表面粗さ(Rmax)は
10.2μmであり平滑が優れていた。
【0055】(比較例2)混合槽に一辺が約6mmの立
方体形状のカルボキシル基末端アクリロニトリルブタジ
エンゴム(日本ゼオン(株)社製NIPOL1472H
V)5.1重量部とメチルエチルケトン50重量部を薄
膜式蒸発装置に仕込んで還流状態(このときの系内温度
は80℃であった)で約2時間混合溶解した。次いで反
応温度を60℃まで下げ、ビスフェノールA型エポキシ
(油化シェルエポキシ(株)社製Ep828)を48.
0重量部、クレゾールノボラック型エポキシ(住友化学
工業(株)社製ESCN220)20重量部、テトラグ
リシジルジアミノジフェニルメタン(住友化学工業
(株)社製ELM434)32重量部添加し加し60℃
で1時間撹拌混合した。混合後、神鋼パンテック(株)
社製の薄膜式蒸発装置“エクセバ”EX−2を用いて、
加熱温度80℃、真空度45Torrの条件で脱溶媒処
理を行なった。装置内に樹脂の滞留時間は15分であっ
た。脱溶媒後、35℃まで冷却し受器に抜出した。得ら
れたエポキシ樹脂組成物の80℃粘度は75ポイズであ
った。次いで、撹拌式混合槽に上記したエポキシ樹脂組
成物105重量部と、トリメチルシリル基で表面処理し
た微粒子シリカ(デグサ社製アエロジルR812)3重
量部を添加し60℃で1時間混合し、さらに、硬化剤と
して4、4´ジアミノジフェニルスルホン)38.0重
量部を添加し繊維強化マトリックス樹脂として用いた。
また、このエポキシ樹脂組成物の粘度を測定したところ
80℃での粘度は180ポイズであり、このエポキシ樹
脂組成物を25℃で10日間保存後に粘度測定をすると
80℃での粘度は440ポイズであり、保存前に比べ2
60ポイズの粘度上昇を示した。ここで樹脂組成物を一
部取りだしてMEKに溶解したところ97重量%は溶解
し、ゲル化物が殆どないことを確認した。
【0056】また、TGAを用いて、40〜200℃の
範囲のエポキシ樹脂組成物の重量減少を調査した結果
0.18%でありエポキシ樹脂組成物中に揮発分が残存
することがわかった。
【0057】得られたエポキシ樹脂組成物を実施例1と
同様にして、フィルム化、プリプレグ化およびハニカム
サンドイッチパネルを作製した。得られたプリプレグの
タックは0.21MPaであり適度のタックを有してい
たが、室温25℃、湿度50%RHで10日間保存後に
は0.04MPaとなりタックの変化が大きいことが分
った。また得られたハニカムサンドイッチパネル下面の
スキンパネル断面内のポロシティ含有率は0.54%で
あり、サンドイッチパネル表面粗さ(Rmax)は2
7.6μmであり、ポロシティ、平滑性共に悪いレベル
であった。測定結果を表1にまとめて示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂製造方法により、
ゲル化物が少なく、かつ、粘度の経時安定性に優れた良
好な繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が得られ
る。また、該エポキシ樹脂を強化繊維に含浸させたプリ
プレグのタック性が適切であり、また室温放置における
タックの経時変化が少ないエポキシ樹脂が提供出来る。
さらには、本樹脂を使用して、複合材料としてボイドが
少なく、表面平滑性に優れた成型体を得ることが出来
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 9:02) (72)発明者 岸 肇 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内 (72)発明者 玉井 順子 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内 (72)発明者 東 利昭 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種の2官能エポキシ樹脂と
    反応性基含有固形アクリロニトリルブタジエンゴムとを
    溶媒中で混合し、溶媒を除去した後に3官能以上の多官
    能エポキシ樹脂を添加することを特徴とする、繊維強化
    複合材料用樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 多官能エポキシ樹脂がノボラック型エポ
    キシまたは/およびグリシジルアミン型エポキシであ
    る、請求項1記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 ノボラック型エポキシを添加して反応性
    基含有固形アクリロニトリルブタジエンゴムと反応せし
    めた後にグリシジルアミン型エポキシを添加することを
    特徴とする、請求項2記載の繊維強化複合材料用樹脂組
    成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 ノボラック型エポキシがクレゾールノボ
    ラックエポキシである、請求項2または3記載の繊維強
    化複合材料用樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 グリシジルアミン型エポキシがテトラグ
    リシジルジアミノジフェニルメタンである、請求項2ま
    たは3記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 2官能エポキシ樹脂と反応性基含有アク
    リロニトリルブタジエンゴムとの反応後にノボラック型
    エポキシと反応させる温度が50〜100℃の範囲にあ
    る、請求項2または3記載の繊維強化複合材料用樹脂組
    成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 グリシジルアミン型エポキシとの反応温
    度が40〜80℃の範囲にある、請求項2または3記載
    の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも1種の2官能エポキシ樹脂と
    反応性基含有固形アクリロニトリルブタジエンゴムとを
    混合し、溶媒を除去した後に固形エポキシを添加するこ
    とを特徴とする、繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 固形エポキシがノボラック型エポキシ、
    ビスフェノール型エポキシ、ジシクロペンタジエン型エ
    ポキシまたはビフェニール型エポキシである、請求項8
    記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 ノボラック型エポキシがクレゾールノ
    ボラックエポキシである、請求項9記載の繊維強化複合
    材料用樹脂組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも1種の2官能エポキシ樹脂
    のエポキシ当量が100〜300の範囲にある、請求項
    1または8記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも1種の2官能エポキシ樹脂
    が液状である、請求項1または8記載の繊維強化複合材
    料用樹脂組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 2官能エポキシ樹脂と反応性基含有ア
    クリロニトリルブタジエンゴムとの反応を20〜100
    ℃の範囲で生じさせる、請求項1または8記載の繊維強
    化複合材料用樹脂組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】 溶媒がアセトンまたはメチルエチルケ
    トンである、請求項1または8記載の繊維強化複合材料
    用樹脂組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 樹脂組成物の90重量%以上がメチル
    エチルケトンに溶解することを特徴とする、請求項1ま
    たは8記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000050495A1 (fr) * 1999-02-22 2000-08-31 Toray Industries, Inc. Materiaux en caoutchouc preimpregnes et renforces de fibres
JP2002294035A (ja) * 2001-04-03 2002-10-09 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ樹脂組成物及び粉体塗料
WO2019107307A1 (ja) * 2017-11-28 2019-06-06 横浜ゴム株式会社 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料

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