JPH1141699A - 音響処理回路 - Google Patents

音響処理回路

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JPH1141699A
JPH1141699A JP9207337A JP20733797A JPH1141699A JP H1141699 A JPH1141699 A JP H1141699A JP 9207337 A JP9207337 A JP 9207337A JP 20733797 A JP20733797 A JP 20733797A JP H1141699 A JPH1141699 A JP H1141699A
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JP
Japan
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low
signal
coefficient
frequency
amplitude
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JP9207337A
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Inventor
Tatsuya Suzuki
達也 鈴木
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディスクリート・デジタル・マルチチャンネ
ル方式に対応し、音質の悪化がなく、入力振幅の急変に
対して異常音を発生しない音響処理回路を提供する。 【解決手段】 Lch〜RSchのデジタル音声信号に係数
乗算器2L〜2RSで乗算係数aを乗算するとともにL
FEchのデジタル音声信号に係数乗算器4で乗算係数b
を乗算して振幅を低減し、加算器3で加算した合成音声
信号をリミッタ回路6に入力し、所定のしきい値cを超
える振幅を前記しきい値cに制限したのち、係数乗算器
11で乗算係数dを乗算して元の振幅に復元したのち、
ローパスフィルタ12で低域成分のみを抽出して、低域
専用スピーカチャンネルSWchの出力とする。ローパス
フィルタ12の入力は元の振幅に復元されて振幅不足に
よる周波数特性悪化がなく、また、リミッタ回路6の入
力の急激な振幅変化による異常音は高域成分として除去
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチチャンネル
音声信号の低域成分を抽出して出力する機能を備えた音
響処理回路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の音声圧縮技術の進歩、および信号
処理の高速化により、従来の2チャンネルのステレオ信
号よりもチャンネル数の多いマルチチャンネル音声信号
の記録再生が民生機器レベルで実用化されてきている。
たとえば、ドルビー研究所が開発したAC−3方式、D
TS社が開発したDTS方式、およびMPEG2方式
(以下、これらをディスクリート・デジタル・マルチチ
ャンネル方式と称す)などが代表的なものである。市場
においては、このディスクリート・デジタル・マルチチ
ャンネル方式を採用した光ディスクのソフトウエアおよ
びハードウエアがすでに発売されている。
【0003】これらのマルチチャンネル音声記録方式の
特徴は、第1に、各チャンネルの音声信号を、各チャン
ネル間に相関が全くない完全に独立した音声として、記
録できることである。第2に、各チャンネルの音声信号
は、それぞれ低域からサンプリング周波数で制限される
高域までの、広い周波数帯域の信号を記録できることで
ある。たとえば、1996年に規格化され、発売され始
めているDigital Versataile Disk(以下、DVDと称
す) で採用されているディスクリート・デジタル・マ
ルチチャンネル方式の1つでは、20Hzから20KHz の
帯域を持つ独立したチャンネルを5つと、120Hzまで
の帯域を持つ低域専用チャンネルを1つ持っている。
【0004】従来、民生分野では、このようなマルチチ
ャンネル音声信号を、一旦、2チャンネルのステレオ信
号にエンコードして記録し、その音声信号を再生すると
きには、ステレオ信号をマルチチャンネル音声信号にデ
コードする方法が主流であった。たとえば、ドルビー・
サラウンド方式などがこの方法に当たる。レーザーディ
スクやビデオカセットの映画音声の記録には、この方式
が最も多く用いられてきた。
【0005】この方式の最大の特徴は、2チャンネルの
ステレオ信号と完全に互換性がある形式でマルチチャン
ネル音声信号を記録再生できることである。しかし、こ
の方式では、マルチチャンネルの各チャンネルが、記録
媒体に記録されたステレオ信号の和や差などの信号処理
で取り出されるために、各チャンネルの独立性が失われ
る。このため、再生されるマルチチャンネル音声信号
は、エンコード前の独立した音声信号とは全く別の信号
となってしまう。
【0006】このような欠点を少しでも解消するため、
ドルビー・プロロジック回路と呼ばれるアクティブマト
リックス方式が開発されている。このアクティブマトリ
ックス方式は、ステレオ信号から和や差の信号処理で取
り出したマルチチャンネル音声信号のうち、あるチャン
ネルの信号成分が支配的な場合は、それ以外のチャンネ
ルの振幅を下げ、支配的なチャンネルのみを再生するこ
とにより各チャンネルの独立性を保とうと言うものであ
る。しかし、このアクティブマトリックス方式はある1
つのチャンネルのみが支配的な場合には有効であるが、
すべてのチャンネルがそれぞれほぼ均等な振幅の信号を
持つ場合には、その効果が殆ど発揮されない。
【0007】新しいディスクリート・デジタル・マルチ
チャンネル方式では、従来の2チャンネルのステレオ信
号を記録する方式のような各チャンネルの独立性の問題
が完全に解決されている。この新しいディスクリート・
デジタル・マルチチャンネル方式は主として映画音声の
記録再生に採用され、各チャンネルの独立性が確保でき
るために、台詞の明瞭性、音の方向感や移動感、広がり
感などが向上し、臨場感ある音響再生が楽しめるように
なった。また、最近では映画のみでなく、音楽の新しい
表現手段として用いられる試みもなされている。
【0008】ところで、これらのマルチチャンネル音声
信号を再生する場合、使用するスピーカは、低域から高
域までの広い周波数帯域をカバーするものを使用するこ
とが望ましい。たとえば、前記アクティブマトリックス
方式の場合、入力されたステレオ信号から左、中央、
右、後方の4チャンネルの音声信号がデコードされる。
このうち、後方の信号に関してはその周波数帯域は10
0Hzから7KHz までであるが、左、中央、右の3チャン
ネルの信号については20Hzから20KHz までの広い帯
域を持っている。したがって、少なくとも左、中央、右
の3チャンネルについては、20Hzから20KHz までの
周波数帯域をカバーできる同じスピーカを使用すること
が望ましい。また、前記ディスクリート・デジタル・マ
ルチチャンネル方式では、左、中央、右、左後方、右後
方の5チャンネルの信号は20Hzから20KHz の周波数
帯域を持つため、すべてのチャンネルのスピーカについ
て20Hzから20KHzまでの再生周波数帯域を持つこと
が望ましい。
【0009】スピーカについては、一般に、そのキャビ
ネットサイズを大きくすれば低域の再生能力を高くでき
る。したがって、音声信号の持つ低域成分まで十分に再
生するためには、大きなスピーカを用いればよい。しか
し、家庭内にこのような再生システムを導入する場合、
ディスプレイ装置の周辺や聴取者の後方に、音声信号が
持つ低域成分を十分に再生できるほどの大きなスピーカ
を設置できないのが実状である。このような場合には、
低域が不足するために本来の迫力ある音声を再現するこ
とができない。
【0010】このような不具合を解決するために、サブ
ウーハまたはスーパーウーハと呼ばれる低域専用スピー
カを使用し、低域を補強するのが一般的である。そし
て、アクティブマトリックス回路を搭載した機器では、
この低域専用スピーカに供給するための低域信号をアク
ティブマトリックス回路の出力から合成する回路を備え
ているのが普通である。
【0011】図5はアクティブマトリックス方式による
音響処理回路の構成例を示すブロック図である。図5に
おいて、2チャンネルの音声信号がアクティブマトリッ
クス回路51に入力されると、アクティブマトリックス
回路51は入力された2チャンネルの音声信号を左チャ
ンネル(以下、Lchと記す)、中央チャンネル(以下、
Cchと記す)、右チャンネル(以下、Rchと記す)、後
方チャンネル(以下、Schと記す)の4チャンネルの信
号にデコードする。デコードされた4チャンネルの音声
信号のうち、Lch、Cch、Rchの3チャンネルの音声信
号は、それぞれハイパスフィルタ52L、52C、52
Rによって高域成分のみが取り出され、Lch、Cch、R
chの音声信号として出力される。
【0012】また、Lch、Cch、Rchの音声信号は加算
器53にも入力され、それぞれの音声信号が加算され
る。ローパスフィルタ54のカットオフ周波数はハイパ
スフィルタ52L〜52Rのカットオフ周波数とほぼ同
じに設定され、Lch、Cch、Rchの低域成分のみを抜き
出す。このローパスフィルタ54の出力は、低域専用ス
ピーカのための低域専用スピーカチャンネル(以下、S
Wchと記す)として、新たに合成されたものである。な
お、ここではハイパスフィルタ52L〜52Rおよびロ
ーパスフィルタ54のカットオフ周波数は、いずれも約
100Hzに設定されている。なお、ハイパスフィルタ5
2L〜52Rは、低価格の機種においては省略されるこ
とがある。
【0013】図5に示した音響処理回路に低域専用スピ
ーカを接続することにより、Lch、Cch、Rchの低域信
号がその低域専用スピーカから再生されるため、Lch、
Cch、Rchのスピーカの低域再生能力が低い場合でも低
域の不足を避けることができる。また、低域専用スピー
カに供給される低域成分は約100Hz以下の信号であ
り、この帯域は音源の位置が特定しにくいため、前記低
域専用スピーカを部屋のどの場所においても音源方向に
関してとくに違和感を感じることがない。
【0014】また、アクティブマトリックス回路51で
は、たとえば、Lchに大きな音声がある場合にはCch、
Rchは殆ど音声が出なくなり、また、Cchに大きな音声
がある場合にはLch、およびRchは殆ど音声が出なくな
る。したがって、加算器53以降の回路において、音声
信号に対して余分な振幅マージンを設けなくても信号の
オーバーフローを起こすことがない。
【0015】このような音響処理回路をデジタル回路と
して構成しても、Lch、Cch、Rchの信号を加算する加
算器53において余分な振幅マージンを必要としない。
このため、余分な振幅マージンを取るために加算器53
で加算する前にあらかじめ振幅を下げておくと言った処
理が不要である。このことから、余分な振幅マージンを
取りにくいデジタル回路でも、この音響処理回路を容易
に実現することができる。
【0016】なお、アクティブマトリックス回路に関す
る技術については、JASジャーナル(1989年5
月、第22ページ〜第26ページ)などの文献に詳しく
解説されている。
【0017】一方、複数のチャンネルを完全に独立した
信号で記録できる前述の新しいマルチチャンネル記録再
生方式では、若干事情が異なってくる。
【0018】第1に、各チャンネルは互いに独立した信
号であるため、各チャンネルの信号を1つの信号にする
ために加算すると、その加算器以降の回路においては加
算された信号成分の数だけ振幅が増加する。そのため、
回路に充分な振幅マージンを設ける必要がある。たとえ
ば、2つのチャンネルの信号を加算する場合、双方のチ
ャンネルが同相同振幅で最大振幅の信号であったとする
と、加算器以降の回路において約6dBの振幅マージン
が必要となる。このような振幅マージンがなければ、加
算器以降の回路において約6dBの信号のオーバーフロ
ーを起こしてしまう。
【0019】第2に、すべてのチャンネルが低い周波数
から高い周波数までの広い周波数帯域の信号を扱うこと
になるため、低域成分を抜き出す対象のチャンネル数が
増えることになる。したがって、加算した振幅の値がか
なり高い信号になる可能性がある。たとえば、DVDで
採用されているディスクリート・デジタル・マルチチャ
ンネル方式の機器において、1つの低域専用チャンネル
と他の5チャンネルのすべての信号を加算した場合、そ
の加算信号は最大8.16倍の振幅となる。各チャンネ
ルの元の信号が2Vrmsの最大値を持つ場合には、最
大16.2Vrmsに達してしまう。なお、ここで倍率
が6倍ではなく8.16倍であるのは、低域専用チャン
ネルが他のチャンネルよりも10dB低く記録されてお
り、再生時に+10dB(3.16倍)されるためであ
る。
【0020】現在の多くの音響機器は、入力振幅を最大
2Vrmsとして設計されているものが多く、上記のよ
うな16.2Vrmsの信号が入力されるとオーバーフ
ローを起こし、異常な音が発生する原因となる。そのた
め、ディスクリート・デジタル・マルチチャンネル方式
の各チャンネルの信号を加算して低域成分を抽出したの
ちの振幅が2Vrmsを超えないように、リミッタ回路
によって制限する必要がある。
【0021】第3に、このようなディスクリート・デジ
タル・マルチチャンネル方式では、低域専用スピーカが
ない場合に対処して、使用するスピーカの低域再生能力
に応じ、低域再生能力の低いスピーカが接続されたチャ
ンネルから低域再生能力の比較的高い他のチャンネルへ
低域成分を再配分する回路が設けられることがある。従
来のアクティブマトリックス回路においても、この低域
再配分回路が設けられる場合があったが、Schには低域
成分が殆どないため、CchからLchおよびRchに低域成
分を再配分すると言う簡単な回路で実現できた。しか
し、ディスクリート・デジタル・マルチチャンネル方式
においては、Schも他のチャンネルと同様に低域成分を
持っているため、その低域再配分の回路およびその制御
は複雑になってしまう。
【0022】上記のような、低域専用スピーカのための
低域信号を合成して出力したり、あるチャンネルの低域
成分を他のチャンネルに再配分する音響処理回路を構成
する場合、デジタル回路で構成すると、比較的簡単な構
成で実現でき、また、その制御も容易になると言う長所
が期待できる。
【0023】図6は上記のディスクリート・デジタル・
マルチチャンネル方式の特徴を考慮した従来の音響処理
回路の構成例を示すブロック図である。この例のディス
クリート・デジタル・マルチチャンネル方式では、マル
チチャンネル音声信号として、Lch、Cch、Rch、左後
方チャンネル(以下、LSchと記す)、右後方チャンネ
ル(以下、RSchと記す)、および低域専用チャンネル
(以下、LFEchと記す)の6チャンネルを備え、その
うち、LFEchの周波数帯域は約20Hzから約120Hz
以下の低域であるが、その他の5チャンネルは約20Hz
から約20KHzまでの周波数帯域を持っているとする。
【0024】また、この音響処理回路では、Lch、Cc
h、Rch、LSch、RSchには低域再生能力の低いスピ
ーカが接続され、SWchには低域専用スピーカが接続さ
れることを想定している。したがって、この音響処理回
路は、Lch、Cch、Rch、LSch、RSchの5チャンネ
ルの音声信号は、それぞれハイパスフィルタ1L、1
C、1R、1LS、1RSに入力され、低域成分が除去
されて出力される。これらのハイパスフィルタのカット
オフ周波数fc は、ここでは100Hzに設定している。
【0025】一方、Lch、Cch、Rch、LSch、RSch
の5チャンネルの音声信号は、それぞれ係数乗算器2
L、2C、2R、2LS、2RSにより乗算係数aが乗
じられて出力される。これら5つの出力は加算器3に入
力される。また、LFEchの音声信号は係数乗算器4に
より乗算係数bが乗じられて出力される。この出力も加
算器3に入力される。加算器3の出力は、ローパスフィ
ルタ5に入力され、高域成分が除去されて出力される。
ここで、ローパスフィルタ5のカットオフ周波数fc は
前記ハイパスフィルタと同じ100Hzに設定している。
【0026】ローパスフィルタ5の出力はリミッタ回路
6に入力される。リミッタ回路6では、ローパスフィル
タ5の出力信号を整流器7により整流し、平滑器8によ
り平滑化したレベルをレベル制御器9において所定のし
きい値cと比較する。しきい値cよりローパスフィルタ
5の出力信号の振幅が大きい場合、レベル制御器9はリ
ミッタ回路6に入力されたローパスフィルタ5の出力信
号の振幅をしきい値cになるように可変係数乗算器10
により制限して出力する。リミッタ回路6の出力は係数
乗算器11に入力される。係数乗算器11に入力された
リミッタ回路6の出力信号は乗算係数dが乗じられ、S
Wchの音声信号として出力される。
【0027】つぎに各乗算係数について説明する。係数
乗算器2Lないし係数乗算器2RSの乗算係数aおよび
係数乗算器4の乗算係数bは、加算器3以降の回路にお
いてオーバーフローを起こさないように設定する。ここ
で、LFEchは他の5チャンネルに比べて10dB低い
レベルで記録媒体に記録されているので、加算器3に入
力する前に+10dB(α=3.16とする)の処理を
しなければならない。これらの条件から、乗算係数aと
乗算係数bとは下記のようになる。
【0028】a=1/(5+α)=1/(5+3.1
6)=約0.12(−18.2dB) b=α/(5+α)=3.16/(5+3.16)=約
0.39(−8.2dB) また、係数乗算器11の乗算係数dは、係数乗算器2L
〜2RSおよび係数乗算器4で減衰させた振幅を、また
元の振幅に戻すための値を入れる。したがって、乗算係
数dは下記のようになる。
【0029】d=5+α=5+3.16=8.16(+
18.2dB) つぎに、リミッタ回路6のしきい値cについて説明す
る。リミッタ回路6の出力は、係数乗算器2Lないし係
数乗算器2RSおよび係数乗算器4で減衰させた振幅を
係数乗算器11により補償するだけの乗算係数d=(5
+α)を乗算されるため、リミッタ回路6の出力信号の
最大振幅が1/(5+α)を超えていると、係数乗算器
11の出力信号はオーバーフローしてしまう。このた
め、リミッタ回路6の出力信号の最大振幅は1/(5+
α)以下でなければならない。したがって、リミッタ回
路6のしきい値cは以下のようになる。
【0030】c=1/(5+α)=約0.12 以上のように構成された音響処理回路の動作について、
ディスクリート・デジタル・マルチチャンネル音声信号
を例に説明する。まず、ディスクリート・デジタル・マ
ルチチャンネル音声信号について、Lchに周波数が30
Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅1.0に対し
0.05(−26dBFS)である正弦波が入力してお
り、その他のチャンネルには音声信号が含まれない場合
を考える。Lchの信号は、係数乗算器2Lにより乗算係
数α=0.12を乗じられるので、係数乗算器2Lの出
力の最大振幅は0.006となる。つぎに、この信号は
加算器3に入力されるが、他のチャンネルには信号が入
力していないため、加算器3の出力の最大振幅は0.0
06である。つぎに、この信号はローパスフィルタ5に
入力されるが、入力信号の周波数が30Hzでローパスフ
ィルタ5の通過域にあるので、ローパスフィルタ5の出
力の最大振幅は0.006のままである。つぎに、この
信号はリミッタ回路6に入力されるが、リミッタ回路6
のしきい値c=0.12に対して小さいので、リミッタ
回路6は振幅を制限するようには働かず、その出力信号
の最大振幅は0.006のままである。つぎに、この信
号は係数乗算器11により乗算係数d=8.16を乗じ
られるので、係数乗算器11の出力信号の最大振幅は約
0.05となり、元のLchの振幅に戻る。
【0031】つぎに、ディスクリート・デジタル・マル
チチャンネル音声信号について、すべてのチャンネルに
周波数が30Hz、振幅がこの回路の取り得る最大振幅が
1.0である正弦波が同位相で入力している場合を考え
る。Lch、Rch、Cch、LSch、RSchの信号は、それ
ぞれ係数乗算器2L、2R、2C、2LS、2RSによ
り乗算係数a=0.12を乗じられるので、係数乗算器
2L〜2RSの出力の最大振幅は0.12となる。一
方、LFEchの信号は、係数乗算器4により乗算係数b
=0.39を乗じられるので、係数乗算器4の出力の最
大振幅は0.39になる。これら係数乗算器2L〜2R
Sおよび係数乗算器4の出力が加算器3に入力される
が、その加算器3の出力は0.12×5+0.39=約
1.0となり、この回路の取り得る最大振幅となる。
【0032】つぎに、この信号はローパスフィルタ5に
入力されるが、入力信号の周波数が30Hzでローパスフ
ィルタ5の通過域にあるので、ローパスフィルタ5の出
力は最大振幅1.0のままである。つぎに、この信号は
リミッタ回路6に入力されるが、リミッタ回路6のしき
い値c=0.12に対して、はるかに大きな振幅である
ので、この信号の振幅は1.0から、しきい値cの0.
12にまで抑えられてリミッタ回路6から出力される。
つぎに、この信号は係数乗算器11により乗算係数d=
8.16を乗じられるので、係数乗算器11の出力信号
の最大振幅は約1.0となり、再度、この回路の取り得
る最大振幅となる。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の音響
処理回路では下記に示す2つの不具合点がある。
【0034】第1に、一般的に、カットオフ周波数が1
00Hz前後の低い周波数に設定されたデジタルフィルタ
は、振幅が小さい入力信号に対して周波数特性が悪くな
る傾向がある。図6に示した音響処理回路では、ローパ
スフィルタ5に入力される音声信号が、元々の振幅に比
べて0.12倍になるため、振幅を0.12倍しない場
合に比べて周波数特性が悪くなり、音質上不利になると
言う問題点がある。
【0035】第2に、リミッタ回路6に所定のしきい値
cを超える信号が入力された場合、リミッタ回路6の可
変係数乗算器10の乗算係数を急激に変化させると、そ
の部分で出力波形に不連続が発生して異常音の原因とな
るため、可変係数乗算器10の乗算係数を徐々に変化さ
せるが、このためリミッタ回路6の乗算係数が目標の係
数に達するまでの期間、設定したリミッタ回路6のしき
い値よりも大きい信号が出力され、この期間中にオーバ
ーフローを起こすことがあり、これが異常音の原因とな
ると言う問題点がある。
【0036】上記第1の問題点について詳細に説明す
る。まず、カットオフ周波数を100Hz前後の低い周波
数に設定した場合に、振幅の小さい入力信号に対して周
波数特性が悪化すると言う現象について説明する。
【0037】図7は、ローパスフィルタ5として最も一
般的に使用されるデジタルフィルタの構成を示すブロッ
ク図である。図7に示した構成のデジタルフィルタを一
般的にバイクワッド型フィルタと称し、この構成で12
dB/octの傾斜を備えたローパスフィルタまたはハ
イパスフィルタを構成することもできる。このバイクワ
ッド型フィルタは、係数乗算器5a0 (乗算係数a0
)、5a1 (乗算係数a1 )、5a2 (乗算係数a2
)、5b1 (乗算係数b1 )、5b2 (乗算係数b2
)、遅延器5t1 、5t2 、5t3 、5t4 、および
加算器5cから構成される。このフィルタのデータおよ
び乗算係数の語長について、たとえば、データ語長24
ビット、乗算係数語長16ビットであるとする。また、
このフィルタの係数乗算器と加算器による語長を16×
24+43→43ビットであるとする。このフィルタに
おいて、100Hzのローパスフィルタを構成する場合の
係数は、サンプリング周波数が44.1kHz の場合、1
6進数表現(2の補数)で、たとえば、a0 =$000
1、a1 =$0002、a2 =$0001、b1 =$7
EB5、b2 =$C147となる。
【0038】このフィルタにおいて、入力信号と乗算係
数a0 、遅延器5t1 の値と乗算係数a1 、遅延器5t
2 の値と乗算係数a2 、遅延器5t3 の値と乗算係数b
1 、遅延器5t4 の値と乗算係数b2 のそれぞれの乗算
結果が加算器5cで加算されて出力される一方、遅延器
5t3 に入力される。ここで、出力信号および遅延器5
t3 への入力信号は、加算器5cの43ビットの出力を
24ビットに丸められる。
【0039】ここで、乗算係数に着目すると、a0 、a
1 、a2 の値が非常に小さいので、この乗算係数に入力
信号、およびその遅延値を掛け合わせた結果も非常に小
さい値になる。すなわち、乗算結果は43ビット中の下
位ビットに集中する。入力信号が小さければ小さいほ
ど、乗算結果は下位ビットにしか残らなくなる。この乗
算結果は加算器5cで加算されたのち、43ビット中の
下位19ビットが捨てられて出力されるが、このときに
乗算結果の殆どが捨てられてしまうことになる。捨てら
れる度合は入力信号が小さくなるほど大きくなり、正確
な演算ができなくなってしまう。これが、入力信号が小
さくなるほど周波数特性が悪化する理由である。
【0040】図8は、このローパスフィルタ5の周波数
特性の測定結果の一例を示す特性図である。ローパスフ
ィルタ5に入力できる最大振幅を0dBFSとし、この
0dBFSに対し、−26dBの振幅から6dBずつ小
さくして、それぞれの周波数特性を測定した結果を示
す。図からわかるように、振幅が−8dBFS辺りから
特性が乱れ始め、−60dBFSでは、元々の周波数特
性とは全く違った特性になってしまう。
【0041】ここで、前述の従来例で、ディスクリート
・デジタル・マルチチャンネル音声信号について、Lch
に周波数が30Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅
1.0に対して0.05(−26dBFS)である正弦
波が入力しており、その他のチャンネルには音声信号が
含まれない場合について再度考える。音響処理回路への
入力信号の振幅が0.05(−26dBFS)であるの
に対してローパスフィルタ5への入力信号の振幅は、そ
れよりも約18dB低い0.006(44dBFS)で
ある。ここで、図8を参照すると、本来であれば−26
dBFSの周波数特性が得られるはずであるが、係数乗
算器2L〜2RSで振幅レベルを抑えているため、−4
4dBFSの周波数特性となってしまう。すなわち元々
の信号レベルが大きいにも係わらずローパスフィルタ5
の特性の悪い低振幅域で通過し、音質を悪化させてしま
う。
【0042】つぎに、第2の問題点について説明する。
図9は、リミッタ回路6の具体的な動作例を示す波形図
である。図9では、前述したディスクリート・デジタル
・マルチチャンネル音声信号のすべてのチャンネルに周
波数が30Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅が
1.0である正弦波が同位相で入力している場合につい
て説明する。
【0043】図9(a)はリミッタ回路6に入力される
信号を示す。この入力信号は、まず整流器7に入力され
る。整流器7は、具体的には入力信号の絶対値を計算す
る。整流器7の出力波形を図9(b)に示す。整流器7
の出力信号は平滑器8に入力される。平滑器8は、具体
的にはローパスフィルタである。平滑器8の出力波形を
図9(c)に示す。平滑器8の出力信号はレベル制御器
9に入力される。レベル制御器9では、平滑器8の出力
信号としきい値0.12とを比較し、リミッタ回路6の
入力信号の振幅が前記しきい値よりも低くなるまで可変
係数乗算器10の乗算係数の値を徐々に小さくする。可
変係数乗算器10の乗算係数の変化を図9(d)に示
す。この例では、約10msで可変係数乗算器10の乗
算係数を1.0から、ほぼ目標のリミッタ回路のしきい
値0.12にまで下げている。
【0044】このように徐々に乗算係数を下げるのは、
乗算係数が急激に変化することによる波形の不連続を避
けるためである。このように可変係数乗算器10の乗算
係数が変化すると、リミッタ回路の出力波形は図9
(e)のようになる。図9(e)からわかるように、可
変係数乗算器10の乗算係数が目標値に達するまでの期
間では出力波形の振幅がしきい値を超えてしまう。この
信号が係数乗算器11に入力され、乗算係数8.16を
乗じられると、その出力波形は図9(f)のようにな
る。図9(e)でしきい値を超えている部分がオーバー
フローとなり、クリップ波形となってしまう。クリップ
波形には多くの高調波成分が含まれるため、耳障りな異
音を発生することになる。
【0045】本発明は上記の課題を解決するもので、新
しいマルチチャンネル記録再生方式が登場したことによ
り新たに生じる低域成分合成上の問題点、すなわち音質
の悪化および異常音の発生を解決した音響処理回路を提
供することを目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】請求項1に係わる本発明
は、n個(n≧1)の独立した複数チャンネルのうちの
m個(m≦n)の特定チャンネルのデジタル音声信号の
低域成分と1個の低域専用チャンネルのデジタル音声信
号とから1個の低域専用スピーカチャンネルのデジタル
音声信号を生成して出力する機能を備えた音響処理回路
であって、前記m個の特定チャンネルごとに設けられて
デジタル音声信号を入力し、所定のカットオフ周波数f
c より高域成分を通過させて出力するm個のハイパスフ
ィルタと、前記m個の特定チャンネルごとに設けられて
デジタル音声信号を入力し、乗算係数a(0<a<1)
で乗算するm個の第1の係数乗算器と、前記低域専用チ
ャンネルのデジタル音声信号を入力し、乗算係数b(0
<b<1)で乗算する第2の係数乗算器と、前記m個の
第1の係数乗算器および前記第2の係数乗算器の各出力
を加算して合成音声信号を生成する加算器と、前記加算
器の合成音声信号を入力し、前記カットオフ周波数fc
より低域成分を通過させる第1のローパスフィルタと、
前記加算器の合成音声信号と前記第1のローパスフィル
タから出力される低域成分信号とを入力し、前記第1の
ローパスフィルタから出力される低域成分信号の振幅を
検出し、検出した振幅が所定のしきい値cを超えるとき
には前記加算器の合成音声信号の振幅を前記しきい値c
に制限して出力するリミッタ回路と、前記リミッタ回路
の出力信号を入力し、乗算係数d(d>1)で乗算する
第3の係数乗算器と、前記第3の係数乗算器の出力信号
を入力し、前記カットオフ周波数fc より低域成分を通
過させる第2のローパスフィルタとを備えた音響処理回
路である。
【0047】本発明によれば、リミッタ回路が入力信号
の急激な振幅変化に対応するまでに発生させる過度的な
オーバーフローによる高調波成分を、第2のローパスフ
ィルタが除去するので、異常音の発生を防止することが
できる。このとき、第2のローパスフィルタの入力信号
の振幅は第3の係数乗算器により復元された振幅である
ので、振幅不足によるローパスフィルタの特性の悪化は
なく、音質を悪化させないようにすることができる。
【0048】請求項2に係わる本発明は、n個(n≧
1)の独立した複数チャンネルのうちのm個(m≦n)
の特定チャンネルのデジタル音声信号の低域成分と1個
の低域専用チャンネルのデジタル音声信号とから1個の
低域専用スピーカチャンネルのデジタル音声信号を生成
して出力する機能を備えた音響処理回路であって、前記
n個のチャンネルごとに設けられてデジタル音声信号を
入力し、所定の遅延時間tを与えて出力するn個の第1
の遅延器と、前記n個の第1の遅延器の出力信号のうち
前記m個の特定チャンネルごとに設けられてデジタル音
声信号を入力し、所定のカットオフ周波数fc より高域
成分を通過させるm個のハイパスフィルタと、前記m個
の特定チャンネルごとに設けられてデジタル音声信号を
入力し、乗算係数a(0<a<1)で乗算するm個の第
1の係数乗算器と、前記低域専用チャンネルのデジタル
音声信号を入力し、乗算係数b(0<b<1)で乗算す
る第2の係数乗算器と、前記m個の第1の係数乗算器お
よび前記第2の係数乗算器の各出力を加算して合成音声
信号を生成する加算器と、前記加算器の合成音声信号を
入力し、前記カットオフ周波数fc より低域成分を通過
させる第1のローパスフィルタと、前記加算器の合成音
声信号を入力し、前記遅延時間tを与えて出力する第2
の遅延器と、前記第2の遅延器の出力信号と前記第1の
ローパスフィルタから出力される低域成分信号とを入力
し、前記第1のローパスフィルタから出力される低域成
分信号の振幅を検出し、検出した振幅が所定のしきい値
cを超えるときには前記第2の遅延器の出力信号の振幅
を前記所定のしきい値cに制限して出力するリミッタ回
路と、前記リミッタ回路の出力信号を入力し、乗算係数
d(d>1)で乗算する第3の係数乗算器と、前記第3
の係数乗算器の出力信号を入力し、前記カットオフ周波
数fc より低域成分を通過させる第2のローパスフィル
タとを備えた音響処理回路である。
【0049】本発明によれば、リミッタ回路が入力信号
の急激な振幅変化に対応する以前に前記リミッタ回路に
入力する信号を遅延させるので、過度的なオーバーフロ
ーにより発生する高調波成分を低減するとともに、発生
した高調波成分は請求項1に係わる本発明と同様に第2
のローパスフィルタで除去することができる。
【0050】請求項3に係わる本発明は、第1の遅延器
および第2の遅延器の遅延時間tについて、リミッタ回
路へ所定のしきい値cを超える信号が入力された場合
に、前記リミッタ回路が入力信号の振幅を所定のしきい
値cまで下げるのに要する時間と同程度の遅延時間を設
定するようにした請求項2に係わる音響処理回路であ
る。
【0051】本発明によれば、リミッタ回路が入力信号
の急激な振幅変化に対応する以前に前記リミッタ回路に
前記しきい値を超える信号が入力しないように遅延させ
るので、過度的なオーバーフローによる高調波成分が発
生しないようにすることができる。
【0052】請求項4に係わる本発明は、低域専用チャ
ンネルの寄与率をα(1≦α≦3.16)としたとき、
乗算係数aを1/(m+α)、乗算係数bをα/(m+
α)、乗算係数dを(m+α)とする請求項1ないし請
求項3のいずれかに係わる音響処理回路である。
【0053】本発明によれば、加算器が出力する合成音
声信号の振幅が前記加算器以降の回路で取り得る最大振
幅以下となるようにできるとともに、リミッタ回路のし
きい値を超えない振幅の信号に対しては元の振幅に戻す
ことができる。
【0054】請求項5に係わる本発明は、低域専用チャ
ンネルの寄与率をα(1≦α≦3.16)としたとき、
リミッタ回路における所定のしきい値cを、回路が取り
得る最大振幅の1/(m+α)に設定する請求項4に係
わる音響処理回路である。
【0055】本発明によれば、第3の係数乗算器による
係数乗算の結果が第2のローパスフィルタ以降の回路で
取り得る最大振幅以下となるようにできる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で
は、現在実用化されているDVDに採用されているディ
スクリート・デジタル・マルチチャンネル方式のデコー
ダから出力されるマルチチャンネル音声信号に対応する
音響処理回路として説明する。
【0057】このディスクリート・デジタル・マルチチ
ャンネル方式では、マルチチャンネル音声信号として、
Lch、Cch、Rch、LSch、RSch、LFEchの全部で
6チャンネルを持ち、そのうち、LFEchの周波数帯域
は約20Hzから約120Hz以下の低域であるが、その他
の5チャンネルは約20Hzから約20KHz の周波数帯域
を持っている。
【0058】また、寄与率αは低域専用チャンネルLF
Echが他の5チャンネルに比べて低いレベルで記録媒体
に記録されている場合に係わり、この場合には再生時に
レベルを大きくして再生しなければならない。実施の形
態では、LFEchが10dB低いレベルで記録され、再
生時には音響処理回路内で+10dBの処理をするもの
とし、α=3.16とする。
【0059】また、以下の実施の形態の音響処理回路
は、すべてデジタル回路として構成しており、回路上で
取り扱う信号の振幅の最大値を1とする。
【0060】(実施の形態1)以下、本発明の音響処理
回路の実施の形態1について、図面を参照しながら説明
する。図1は本実施の形態の構成を示すブロック図であ
る。本実施の形態では、1個のLFEchと5つの独立し
たチャンネルとを備え(n=5)、これらすべてのチャ
ンネルの低域成分を抽出し(m=5)、低域専用スピー
カチャンネルSWchの音声信号として出力する構成とす
る。
【0061】図1において、Lch、Rch、Cch、LSc
h、RSchの5チャンネルの音声信号は、それぞれハイ
パスフィルタ1L、1R、1C、1LS、1RSに入力
され、低域成分が除去されて出力される。これら5つの
ハイパスフィルタのカットオフ周波数fc は、ここでは
100Hzに設定している。
【0062】一方、Lch、Rch、Cch、LSch、RSch
の5チャンネルの音声信号は、それぞれ係数乗算器2
L、2R、2C、2LS、2RSに入力され、これら係
数乗算器により乗算係数aが乗じられて出力される。こ
れら5つの出力は加算器3に入力される。また、LFE
chの音声信号は、係数乗算器4により乗算係数bが乗じ
られて出力される。この出力も加算器3に入力される。
加算器3の出力は、リミッタ回路6における可変係数乗
算器10に入力されるとともに、カットオフ周波数fc
=100Hzのローパスフィルタ5に入力され、低域成分
のみが抽出された信号もリミッタ回路6に入力される。
【0063】リミッタ回路6では、ローパスフィルタ5
の出力信号の振幅と、所定のしきい値cとを比較し、し
きい値cよりローパスフィルタ5の出力信号の振幅が大
きい場合には、リミッタ回路6に入力された加算器3の
信号を、しきい値cになるよう制限して出力する。ま
た、しきい値cを超えない信号はそのままの振幅で出力
する。リミッタ回路6の出力は係数乗算器11に入力さ
れる。係数乗算器11に入力されたリミッタ回路6の出
力信号は乗算係数dが乗じられて、ローパスフィルタ1
2に入力される。ローパスフィルタ12の出力はSWch
の音声信号として出力される。
【0064】つぎに、各乗算係数について説明する。係
数乗算器2L〜2RSの乗算係数aおよび係数乗算器4
の乗算係数bは、加算器3以降の回路においてオーバー
フローを起こさないように設定する。ここで、LFEch
は他の5チャンネルに比べて10dB低く記録媒体に記
録されているので、加算器3に入力する前に+10dB
(α=3.16とする)の処理をしなければならない。
これらの条件より、乗算係数aと乗算係数bは下記のよ
うになる。
【0065】a=1/(5+α)=1/(5+3.1
6)=約0.12(−18.2dB) b=α/(5+α)=3.16/(5+3.16)=約
0.39(−8.2dB) また、係数乗算器11の乗算係数dは、第1および第2
の係数乗算器で減衰させた振幅を元の振幅に戻すための
値とする。したがって、乗算係数dは下記のようにな
る。
【0066】d=5+α=5+3.16=8.16(+
18.2dB) つぎに、リミッタ回路6のしきい値について説明する。
リミッタ回路6の出力は、係数乗算器11によって第1
および第2の係数乗算器により減衰させた振幅を補償す
るだけの乗算係数(5+α)を持っているため、リミッ
タ回路6の出力信号の最大振幅が1/(5+α)を超え
ていると、係数乗算器11の出力信号はオーバーフロー
してしまう。このため、リミッタ回路6の出力信号の最
大振幅は1/(5+α)以下でなければならない。した
がって、リミッタ回路6のしきい値cは下記のようにな
る。
【0067】c=1/(5+α)=約0.12 なお、リミッタ回路6は、整流器7、平滑器8、レベル
制御器9、可変係数乗算器10で構成されている。これ
は、図6に示した従来例の構成と同じである。
【0068】以上のように構成された音響処理回路の動
作について説明する。まず、ディスクリート・デジタル
・マルチチャンネル音声信号について、Lchに周波数が
30Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅1.0に対
して0.05(−26dBFS)である正弦波が入力さ
れ、その他のチャンネルには音声信号が含まれない場合
を考える。Lchの信号は、係数乗算器2Lにより乗算係
数a=0.12を乗じられるので、係数乗算器2Lの出
力の最大振幅は0.006となる。つぎに、この信号は
加算器3に入力されるが、他のチャンネルには信号が含
まれていないため、加算器3の出力の最大振幅は0.0
06である。つぎに、この信号はリミッタ回路6に入力
されるが、リミッタ回路6のしきい値c=0.12に対
し小さいので、リミッタ回路6は振幅を制限するように
は働かず、その出力信号の最大振幅は0.006のまま
である。
【0069】つぎに、この信号は係数乗算器11により
乗算係数d=8.16を乗じられるので、係数乗算器1
1の出力信号の最大振幅は約0.05となり、元のLch
の振幅に戻る。つぎに、この信号はローパスフィルタ1
2に入力される。この信号の振幅における周波数特性
は、図8に示した−26dBFSの特性である。これに
対して、前述の従来例では−26dBFSよりもさらに
−18dB低い−44dBFSの特性であった。同じ振
幅の入力に対して従来例の構成ではローパスフィルタ5
を周波数特性の悪い振幅域で通過するのに対して、本実
施の形態ではローパスフィルタ12を周波数特性のよい
振幅域で通過するように改善されている。したがって、
その音質も従来例の構成に対し改善されることになる。
なお、ローパスフィルタ5へは周波数特性の悪い振幅域
で信号が通過するが、この振幅域ではリミッタ回路6が
動作しないため、音質に影響することはない。
【0070】つぎに、ディスクリート・デジタル・マル
チチャンネル音声信号について、すべてのチャンネルの
周波数が30Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅
1.0の正弦波が同位相で入力している場合を考える。
Lch、Rch、Cch、LSch、RSchの各信号は、それぞ
れ係数乗算器2L、2R、2C、2LS、2RSにより
乗算係数a=0.12が乗じられるので、その出力の最
大振幅はいずれも0.12となる。一方、LFEchの信
号は係数乗算器4により乗算係数b=0.39を乗じら
れるので、その出力の最大振幅は0.39になる。これ
らの出力が加算器3に入力されるが、その加算器3の出
力は0.12×5+0.39=約1.0となり、この回
路の取り得る最大振幅となる。
【0071】つぎに、この信号はリミッタ回路6に入力
されるが、リミッタ回路6のしきい値c=0.12に対
して、はるかに大きい振幅であるので、この信号の振幅
は1.0からしきい値の0.12にまで抑えられてリミ
ッタ回路6から出力される。つぎに、この信号は係数乗
算器11により乗算係数d=8.16を乗じられるの
で、係数乗算器11の出力信号の最大振幅は約1.0と
なり、再度、この回路の取り得る最大振幅となる。つぎ
に、この信号はローパスフィルタ12に入力される。
【0072】従来例で説明したように、リミッタ回路6
が働いていない状態からリミッタ回路が働くような大き
い信号が急激に入力された場合、リミッタ回路6の可変
係数乗算器10の乗算係数を徐々に更新するようにして
いるため、可変係数乗算器10の乗算係数が目標値に到
達するまでの期間では、リミッタ回路6の出力振幅はし
きい値cの値を上回ってしまう。図2は上記入力信号例
における、リミッタ回路6からSWch出力までの信号を
示す波形図である。図2(a)はリミッタ回路6に入力
される信号を示し、図2(b)は可変係数乗算器10の
乗算係数の変化を示し、図2(c)はリミッタ回路6の
出力波形を示し、図2(d)は係数乗算器11の出力を
示し、図2(e)はローパスフィルタ12の出力波形を
示す。
【0073】本実施の形態のリミッタ回路6では、可変
係数乗算器10の乗算係数が目標値に達するまでに約1
0msの時間を要し、乗算係数が目標値に到達するまで
の間に、しきい値c=0.12を超えてしまい、図2
(d)に示したように、リミッタ回路6のしきい値を超
えた部分についてはオーバーフローを起こし、クリップ
波形となっている。係数乗算器11ではオーバーフロー
を起こしてクリップ波形となったが、ローパスフィルタ
12によりクリップ波形に含まれる高域成分がカットさ
れるため、その出力にはクリップ波形のような急激な波
形の不連続がなくなる。そのため、従来例で発生したよ
うな異常音は、本実施の形態の構成では発生することが
ない。
【0074】なお、ローパスフィルタ5とローパスフィ
ルタ12とは同じ特性のものを使用するのがよいが、ロ
ーパスフィルタ5の遮断特性がローパスフィルタ12の
遮断特性と同等か、それよりも緩い条件を満たせば、必
ずしも同じでなくてよい。
【0075】以上のように、本実施の形態の音響処理回
路によれば、ローパスフィルタの低振幅域での特性の乱
れによる音質悪化を避けることができるとともに、リミ
ッタ回路が動作するような大きい振幅の信号が急激に入
力された場合でも瞬間的なオーバーフローによる異常音
を発生することがない。
【0076】なお、本実施の形態では、ディスクリート
・デジタル・マルチチャンネル方式として入力される5
チャンネル(n=5)のすべての音声信号について低域
成分を抽出したが、たとえば、LchとRchとに低域まで
十分再生できるスピーカが接続されている場合には、C
ch、LSch、RSchの低域成分のみを抽出する構成とし
てもよい。この場合m=3として各乗算係数を計算す
る。
【0077】また、ディスクリート・デジタル・マルチ
チャンネル方式の中にはLFEchが存在しないものも考
えられるが、この場合には、本実施の形態において、L
FEchの寄与度αをα=0として本実施の形態を適用す
ればよい。
【0078】また、本実施の形態では、Lch、Rch、C
ch、LSch、RSchについて、それぞれハイパスフィル
タを通して出力しているが、製品によってはこのハイパ
スフィルタを備えない構成も考えられる。ハイパスフィ
ルタがない場合でも、その効果が変わらないことは言う
までもない。
【0079】(実施の形態2)以下、本発明の音響処理
回路の実施の形態2について図面を参照しながら説明す
る。図3は、本実施の形態の構成を示すブロック図であ
る。本実施の形態では、実施の形態1と同様に、1つの
LFEchと5つの独立したチャンネルとを備え、これら
すべてのチャンネルの低域成分を抽出し、低域専用スピ
ーカチャンネルSWchの音声信号として出力する構成と
する。
【0080】本実施の形態が実施の形態1と異なる点
は、図1に示した構成に、ハイパスフィルタ1L、1
R、1C、1LS、1RSのそれぞれの直前に遅延器1
3L、13R、13C、13LS、13RSを追加して
設けるとともに、加算器3とリミッタ回路6との間に遅
延器14を追加して設けた構成としていることにある。
【0081】遅延器13L〜13RSおよび遅延器14
の遅延時間tは、リミッタ回路6が働いていない状態に
リミッタ回路6が働くような大きい振幅の信号が急激に
入力されたとき、リミッタ回路6の可変係数乗算器10
の乗算係数が目標値に達するまでの時間と同じ程度の時
間を設定する。本実施の形態のリミッタ回路6では、可
変係数乗算器10の乗算係数が目標値に達するまでに約
10msを要するため、遅延器13L〜13RSおよび
遅延器14の遅延時間tを約10msに設定する。な
お、他の構成要素については実施の形態1と同じであ
る。
【0082】以上のように構成された音響処理回路の動
作について説明する。まず、ディスクリート・デジタル
・マルチチャンネル音声信号について、Lchに周波数が
30Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅1.0に対
して0.05(−26dBFS)である正弦波が入力さ
れており、その他のチャンネルには音声信号が含まれな
い場合を考える。このような入力では実施の形態1で述
べたように、リミッタ回路6は働かない。この場合、実
施の形態1と殆ど同じ動作であるが、遅延器13L〜1
3RSおよび遅延器14による遅延時間t=10msだ
け出力信号が遅れる点だけが異なる。
【0083】つぎに、ディスクリート・デジタル・マル
チチャンネル音声信号について、すべてのチャンネルに
周波数が30Hz、振幅がこの回路で取り得る最大振幅
1.0の正弦波が同位相で入力している場合を考える。
Lch、Rch、Cch、LSch、RSchの信号は、それぞれ
係数乗算器2L、2R、2C、2LS、2RSにより乗
算係数a=0.12を乗じられるので、その出力の最大
振幅は0.12となる。一方、LFEchの信号は、係数
乗算器4により乗算係数b=0.39を乗じられるの
で、その出力の最大振幅は0.39となる。これらの出
力が加算器3に入力されるが、その加算器3の出力は
0.12×5+0.39=約1.0となり、この回路で
取り得る最大振幅となる。つぎに、この信号はリミッタ
回路6に入力される。このとき、振幅を検出するための
信号はローパスフィルタ5を通してリミッタ回路6に入
力されるが、リミッタ回路6の可変係数乗算器10に入
力される信号には、遅延器14によって時間遅延t=1
0msが与えられる。リミッタ回路6に入力される信号
は、リミッタ回路6のしきい値c=0.12に対して、
はるかに大きい振幅の信号であるので、この信号の振幅
は1.0からしきい値の0.12まで抑えられてリミッ
タ回路6から出力される。つぎに、この信号は係数乗算
器11により乗算係数d=8.16を乗じられるので、
係数乗算器11の出力信号の最大振幅は約1.0とな
り、再度、この回路の取り得る最大振幅となる。つぎ
に、この信号はローパスフィルタ12に入力される。
【0084】図4は上記入力信号例における、リミッタ
回路6からSWch出力までの信号を示す波形図である。
図4(a)はリミッタ回路6の可変係数乗算器10に入
力される信号を示し、図4(b)は可変係数乗算器10
の乗算係数の変化を示し、図4(c)はリミッタ回路6
の出力波形を示し、図4(d)は係数乗算器11の出力
を示し、図4(e)はローパスフィルタ12の出力波形
を示す。本実施の形態におけるリミッタ回路6では、可
変係数乗算器10の乗算係数が目標値に達するまでに約
10msの時間を要する。しかし、リミッタ回路6では
図4(a)に示した信号よりも10ms先行した信号に
基づいて可変係数乗算器10の乗算係数を更新するた
め、この乗算係数の変化は、可変係数乗算器10への入
力信号がしきい値cを超える10ms前に始まり、可変
係数乗算器10の乗算係数が目標値に到達したのちに信
号がリミッタ回路6に入力されるため、図4(c)に示
したように、リミッタ回路6の出力はしきい値c=0.
12を超えない。したがって、リミッタ回路6の出力が
しきい値cを超えないので係数乗算器11の出力はオー
バーフローを起こすことがない。この信号はローパスフ
ィルタ12の通過域の信号であるため、図4(e)に示
したように、入力信号がそのまま出力される。
【0085】以上のように、本実施の形態の音響処理回
路によれば、リミッタ回路が動作するような大きい信号
が急激に入力された場合でも、回路のいかなる部分でも
オーバーフローを起こすことがなく、異常音のない、質
の高い低域成分をSWchから出力することができる。な
お、Lch、Rch、Cch、LSch、RSchに挿入されてい
る遅延器13L〜13RSは、SWchから出力される低
域成分との位相を合わせるためのものである。
【0086】また、本実施の形態の構成では、音響処理
回路に信号が入力されてから出力されるまでに約10m
sの時間遅れが生じ、映像を伴うソースの場合は若干、
気になる場合があると思われるが、質の高い低域が要求
される映像を伴わない音楽ソースである場合には10m
sの時間遅れは何ら問題にならない。
【0087】なお、本実施の形態では、ディスクリート
・デジタル・マルチチャンネル方式として入力されるす
べてのチャンネルの音声信号について低域成分を抽出し
たが、たとえばLchとRchとに低域まで十分再生できる
スピーカが接続されている場合などでは、Cch、LSc
h、RSchの低域成分のみを抽出する構成としてもよ
い。この場合、m=3として各乗算係数を計算する。
【0088】また、ディスクリート・デジタル・マルチ
チャンネル方式の中にはLFEchが存在しないものも考
えられる。この場合には、本実施の形態において、LF
Echの寄与度αをα=0として本実施の形態を適用すれ
ばよい。
【0089】また、本実施の形態では、Lch、Rch、C
ch、LSch、RSchについて、それぞれハイパスフィル
タを通して出力しているが、製品によってはこのハイパ
スフィルタがない構成も考えられる。この場合でも、本
発明の効果が変わらないことは言うまでもない。
【0090】
【発明の効果】請求項1に係わる本発明は、n個(n≧
1)の独立した複数チャンネルのうちのm個(m≦n)
の特定チャンネルのデジタル音声信号の低域成分と1個
の低域専用チャンネルのデジタル音声信号とから1個の
低域専用スピーカチャンネルのデジタル音声信号を生成
して出力する機能を備えた音響処理回路であって、前記
m個の特定チャンネルごとに設けられてデジタル音声信
号を入力し、所定のカットオフ周波数fc より高域成分
を通過させて出力するm個のハイパスフィルタと、前記
m個の特定チャンネルごとに設けられてデジタル音声信
号を入力し、乗算係数a(0<a<1)で乗算するm個
の第1の係数乗算器と、前記低域専用チャンネルのデジ
タル音声信号を入力し、乗算係数b(0<b<1)で乗
算する第2の係数乗算器と、前記m個の第1の係数乗算
器および前記第2の係数乗算器の各出力を加算して合成
音声信号を生成する加算器と、前記加算器の合成音声信
号を入力し、前記カットオフ周波数fc より低域成分を
通過させる第1のローパスフィルタと、前記加算器の合
成音声信号と前記第1のローパスフィルタから出力され
る低域成分信号とを入力し、前記第1のローパスフィル
タから出力される低域成分信号の振幅を検出し、検出し
た振幅が所定のしきい値cを超えるときには前記加算器
の合成音声信号の振幅を前記しきい値cに制限して出力
するリミッタ回路と、前記リミッタ回路の出力信号を入
力し、乗算係数d(d>1)で乗算する第3の係数乗算
器と、前記第3の係数乗算器の出力信号を入力し、前記
カットオフ周波数fc より低域成分を通過させる第2の
ローパスフィルタとを備えた音響処理回路とすることに
より、第2のローパスフィルタを第3の係数乗算器の後
に設け、復元した振幅により低域成分信号を抽出して低
域専用スピーカチャンネルの信号を出力するので、従来
例にあった低振幅における周波数特性の悪化がなく、音
質のよい音響処理回路を実現することができるととも
に、リミッタ回路で発生する過度的な異常音も高域成分
として除去することができる。
【0091】請求項2に係わる本発明は、n個(n≧
1)の独立した複数チャンネルのうちのm個(m≦n)
の特定チャンネルのデジタル音声信号の低域成分と1個
の低域専用チャンネルのデジタル音声信号とから1個の
低域専用スピーカチャンネルのデジタル音声信号を生成
して出力する機能を備えた音響処理回路であって、前記
n個のチャンネルごとに設けられてデジタル音声信号を
入力し、所定の遅延時間tを与えて出力するn個の第1
の遅延器と、前記n個の第1の遅延器の出力信号のうち
前記m個の特定チャンネルごとに設けられてデジタル音
声信号を入力し、所定のカットオフ周波数fc より高域
成分を通過させるm個のハイパスフィルタと、前記m個
の特定チャンネルごとに設けられてデジタル音声信号を
入力し、乗算係数a(0<a<1)で乗算するm個の第
1の係数乗算器と、前記低域専用チャンネルのデジタル
音声信号を入力し、乗算係数b(0<b<1)で乗算す
る第2の係数乗算器と、前記m個の第1の係数乗算器お
よび前記第2の係数乗算器の各出力を加算して合成音声
信号を生成する加算器と、前記加算器の合成音声信号を
入力し、前記カットオフ周波数fc より低域成分を通過
させる第1のローパスフィルタと、前記加算器の合成音
声信号を入力し、前記遅延時間tを与えて出力する第2
の遅延器と、前記第2の遅延器の出力信号と前記第1の
ローパスフィルタから出力される低域成分信号とを入力
し、前記第1のローパスフィルタから出力される低域成
分信号の振幅を検出し、検出した振幅が所定のしきい値
cを超えるときには前記第2の遅延器の出力信号の振幅
を前記所定のしきい値cに制限して出力するリミッタ回
路と、前記リミッタ回路の出力信号を入力し、乗算係数
d(d>1)で乗算する第3の係数乗算器と、前記第3
の係数乗算器の出力信号を入力し、前記カットオフ周波
数fc より低域成分を通過させる第2のローパスフィル
タとを備えた音響処理回路とすることにより、請求項1
に係わる本発明と同じ効果を得ることができるととも
に、リミッタ回路に入力する信号を遅延させるので、し
きい値を超える入力に対するリミッタ回路の応答動作を
容易にして異常音の発生を低減でき、遅延時間tの値を
リミッタ回路の応答に合わせて設定することにより、異
常音が発生しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音響処理回路の実施の形態1の構成を
示すブロック図
【図2】同実施の形態における各部の信号を示す波形図
【図3】本発明の音響処理回路の実施の形態2の構成を
示すブロック図
【図4】同実施の形態における各部の信号を示す波形図
【図5】従来のアクティブマトリックス方式の音響処理
回路の構成を示すブロック図
【図6】ディスクリート・デジタル・マルチチャンネル
方式に対応する音響処理回路の従来例の構成を示すブロ
ック図
【図7】従来例および本発明の実施の形態で使用するロ
ーパスフィルタの構成を示すブロック図
【図8】従来例および本発明の実施の形態で使用するロ
ーパスフィルタの周波数特性を示す特性図
【図9】ディスクリート・デジタル・マルチチャンネル
方式に対応する従来の音響処理回路における各部の信号
を示す波形図
【符号の説明】
1L,1R,1C,1LS,1RS ハイパスフィルタ 2L,2R,2C,2LS,2RS 係数乗算器(第1
の係数乗算器) 3 加算器 4 係数乗算器(第2の係数乗算器) 5 ローパスフィルタ(第1のローパスフィルタ) 5a0,5a1,5a2,5b1,5b2 係数乗算器 5t1,5t2,5t3,5t4 遅延器 5c 加算器 6 リミッタ回路 7 整流器 8 平滑器 9 レベル制御器 10 可変係数乗算器 11 係数乗算器(第3の係数乗算器) 12 ローパスフィルタ(第2のローパスフィルタ) 13L,13R,13C,13LS,13RS 遅延器
(第1の遅延器) 14 遅延器(第2の遅延器) 51 アクティブマトリックス回路 52L,52C,52R ハイパスフィルタ 53 加算器 54 ローパスフィルタ a,b,d 乗算係数 c しきい値 Lch 左チャンネル Cch 中央チャンネル Rch 右チャンネル LSch 左後方チャンネル RSch 右後方チャンネル LFEch 低域専用チャンネル SWch 低域専用スピーカチャンネル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n個(n≧1)の独立した複数チャンネ
    ルのうちのm個(m≦n)の特定チャンネルのデジタル
    音声信号の低域成分と1個の低域専用チャンネルのデジ
    タル音声信号とから1個の低域専用スピーカチャンネル
    のデジタル音声信号を生成して出力する機能を備えた音
    響処理回路であって、前記m個の特定チャンネルごとに
    設けられてデジタル音声信号を入力し、所定のカットオ
    フ周波数fc より高域成分を通過させて出力するm個の
    ハイパスフィルタと、前記m個の特定チャンネルごとに
    設けられてデジタル音声信号を入力し、乗算係数a(0
    <a<1)で乗算するm個の第1の係数乗算器と、前記
    低域専用チャンネルのデジタル音声信号を入力し、乗算
    係数b(0<b<1)で乗算する第2の係数乗算器と、
    前記m個の第1の係数乗算器および前記第2の係数乗算
    器の各出力を加算して合成音声信号を生成する加算器
    と、前記加算器の合成音声信号を入力し、前記カットオ
    フ周波数fc より低域成分を通過させる第1のローパス
    フィルタと、前記加算器の合成音声信号と前記第1のロ
    ーパスフィルタから出力される低域成分信号とを入力
    し、前記第1のローパスフィルタから出力される低域成
    分信号の振幅を検出し、検出した振幅が所定のしきい値
    cを超えるときには前記加算器の合成音声信号の振幅を
    前記しきい値cに制限して出力するリミッタ回路と、前
    記リミッタ回路の出力信号を入力し、乗算係数d(d>
    1)で乗算する第3の係数乗算器と、前記第3の係数乗
    算器の出力信号を入力し、前記カットオフ周波数fcよ
    り低域成分を通過させる第2のローパスフィルタとを備
    えた音響処理回路。
  2. 【請求項2】 n個(n≧1)の独立した複数チャンネ
    ルのうちのm個(m≦n)の特定チャンネルのデジタル
    音声信号の低域成分と1個の低域専用チャンネルのデジ
    タル音声信号とから1個の低域専用スピーカチャンネル
    のデジタル音声信号を生成して出力する機能を備えた音
    響処理回路であって、前記n個のチャンネルごとに設け
    られてデジタル音声信号を入力し、所定の遅延時間tを
    与えて出力するn個の第1の遅延器と、前記n個の第1
    の遅延器の出力信号のうち前記m個の特定チャンネルご
    とに設けられてデジタル音声信号を入力し、所定のカッ
    トオフ周波数fc より高域成分を通過させるm個のハイ
    パスフィルタと、前記m個の特定チャンネルごとに設け
    られてデジタル音声信号を入力し、乗算係数a(0<a
    <1)で乗算するm個の第1の係数乗算器と、前記低域
    専用チャンネルのデジタル音声信号を入力し、乗算係数
    b(0<b<1)で乗算する第2の係数乗算器と、前記
    m個の第1の係数乗算器および前記第2の係数乗算器の
    各出力を加算して合成音声信号を生成する加算器と、前
    記加算器の合成音声信号を入力し、前記カットオフ周波
    数fc より低域成分を通過させる第1のローパスフィル
    タと、前記加算器の合成音声信号を入力し、前記遅延時
    間tを与えて出力する第2の遅延器と、前記第2の遅延
    器の出力信号と前記第1のローパスフィルタから出力さ
    れる低域成分信号とを入力し、前記第1のローパスフィ
    ルタから出力される低域成分信号の振幅を検出し、検出
    した振幅が所定のしきい値cを超えるときには前記第2
    の遅延器の出力信号の振幅を前記所定のしきい値cに制
    限して出力するリミッタ回路と、前記リミッタ回路の出
    力信号を入力し、乗算係数d(d>1)で乗算する第3
    の係数乗算器と、前記第3の係数乗算器の出力信号を入
    力し、前記カットオフ周波数fc より低域成分を通過さ
    せる第2のローパスフィルタとを備えた音響処理回路。
  3. 【請求項3】 第1の遅延器および第2の遅延器の遅延
    時間tについて、リミッタ回路へ所定のしきい値cを超
    える信号が入力された場合に、前記リミッタ回路が入力
    信号の振幅を所定のしきい値cまで下げるのに要する時
    間と同程度の遅延時間を設定するようにした請求項2記
    載の音響処理回路。
  4. 【請求項4】 低域専用チャンネルの寄与率をα(1≦
    α≦3.16)としたとき、乗算係数aを1/(m+
    α)、乗算係数bをα/(m+α)、乗算係数dを(m
    +α)とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    の音響処理回路。
  5. 【請求項5】 低域専用チャンネルの寄与率をα(1≦
    α≦3.16)としたとき、リミッタ回路における所定
    のしきい値cを、回路が取り得る最大振幅の1/(m+
    α)に設定する請求項4記載の音響処理回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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