JPH1141007A - 群遅延時間等化型誘電体フィルタ - Google Patents

群遅延時間等化型誘電体フィルタ

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JPH1141007A
JPH1141007A JP19847097A JP19847097A JPH1141007A JP H1141007 A JPH1141007 A JP H1141007A JP 19847097 A JP19847097 A JP 19847097A JP 19847097 A JP19847097 A JP 19847097A JP H1141007 A JPH1141007 A JP H1141007A
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JP
Japan
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capacitor
delay time
group delay
dielectric
circuit
Prior art date
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Application number
JP19847097A
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English (en)
Inventor
Takeshi Yano
健 矢野
Toshio Shoji
利男 東海林
Takaya Noba
孝也 野場
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Tokin Corp
Original Assignee
Tokin Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電体共振を利用してナイキスト条件の二つ
の条件を同時に満たし得る簡素な構成の群遅延時間等化
型誘電体フィルタを提供すること。 【解決手段】 フィルタ回路全体を非最小位相推移回路
とするためにフィルタ回路中に設けられる群遅延時間等
化回路は、第1のコンデンサ,第1の誘電体共振器,第
2のコンデンサ,第2の誘電体共振器,及び第3のコン
デンサをこの順で互いに連鎖状に直列結合した直列結合
部に第4のコンデンサを並列に接続して成る。この群遅
延時間等化回路における外観構成として、一枚の誘電体
基板8の一方の面(表面)に導体膜4,6を形成し、他
方の面(裏面)に導体膜5,7を形成することにより、
導体膜4,5の間に第1のコンデンサ,導体膜5,6の
間に第2のコンデンサ,導体膜6,7の間に第3のコン
デンサ,導体膜4,7の間に第4のコンデンサに関する
それぞれの静電容量が持たされるようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として無線通信
システム等の中間周波帯域に適用されるナイキスト特性
を有する群遅延時間等化型誘電体フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無線通信の分野では、無線で高速
にデータを送受信できる通信システムの開発が盛んに行
われており、将来的にはこうした無線通信システムの汎
用化が予測される。無線通信を行う場合に重要なこと
は、制約された有限な周波数資源を効果的に利用し、で
きるだけ狭い周波数帯域で所定の信号を送信することで
ある。
【0003】ところで、時間領域のオンオフ信号に周波
数帯域の制限を加えた場合、過渡現象のために信号が歪
を受けることを回避できないため、送信信号の間で互い
に干渉を生じて信号誤りが生じることがある。この信号
誤りは通常符号間干渉と呼ばれている。
【0004】そこで、上述したように周波数を制限した
場合には過渡現象を回避することが原理的に不可能であ
るが、仮にオンオフ信号が或るクロック周波数に同期し
て送信されるときにはその送信信号を判定する時間のタ
イミングの時に過渡現象が丁度ゼロになっていれば良
く、これを利用して符号間干渉を少なくする(理論的に
はゼロの)条件が提案されている。この条件はナイキス
ト条件と呼ばれ、第1に振幅特性が後述する周波数特性
を持つこと(以下、第1の条件とする)と、第2に群遅
延時間特性が平坦であること(以下、第2の条件とす
る)による二つの条件を満たすものとなっている。
【0005】即ち、無線通信システムにおいて符号間干
渉を少なくするためには、何らかの形の変調として例え
ばQPSK変調された信号が送出され、受信側でQPS
K復調される寸前までの総合特性がナイキスト条件を持
つことが望ましく、このためにナイキスト条件を持った
フィルタを通信装置内に配備する必要がある。
【0006】このようなナイキスト条件を持ったフィル
タの例としては、SAW(表面弾性波)フィルタが挙げ
られる。このSAWフィルタの中でもトランスバーサル
型と呼ばれるタイプのものは、振幅特性及び位相特性が
独立に設計できることが利点となっている。
【0007】その他の例としては、TBT(Trans
itional Butteworth−Thomso
n)特性を持った誘電体フィルタが挙げられる。ここで
Butterworth特性とは振幅特性が最大平坦と
なる特性であり、Thomson特性とは群遅延時間が
最大平坦となる特性であり、TBT特性はその中間の特
性を意味している。このような誘電体フィルタの場合、
挿入損失が少なく、しかも高い周波数帯域で構成するこ
とができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したトランスバー
サル型のSAWフィルタの場合、挿入損失が大であるこ
とや、構成可能な周波数帯域が比較的低いこと等の欠点
がある。即ち、挿入損失が大であることは高価な低雑音
の増幅器を必要とすることを意味し、構成可能な周波数
帯域が比較的低いものであれば例えば受信機側の構成と
して1段の中間周波数処理部では受信処理が不可能とな
るために2段の中間周波数処理部が必要となって構成が
複雑になることを意味するため、好ましくない。
【0009】又、TBT特性を持った誘電体フィルタの
場合、結局Butterworth特性とThomso
n特性との中間特性を選ぶだけなので、ナイキスト条件
の二つの条件のうちの一方を満たすことができても、双
方を同時に充分に満たすことが困難となっている。
【0010】具体的に云えば、ナイキスト条件の二つの
条件において、例えば第2の条件である群遅延時間が平
坦であることが要求されるときにはThomson特性
とする必要があるが、こうした場合に第1の条件からは
むしろButterworth特性に近い特性が要求さ
れる。こうした場合、結局TBT特性では、二つのナイ
キスト条件を妥協的に満たすことしか出来ないことにな
る。これは実際にはTBT特性を有するフィルタの場合
だけでなく、最小位相推移回路が持つ一般的な制約であ
る。
【0011】因みに、既存の誘電体フィルタの回路は全
て最小位相推移回路に属し、あらゆる場合において上述
したTBT特性を有するものと同様に、振幅特性を決め
ると位相特性(即ち、群遅延時間特性も含む)が一義的
に決定されてしまい、選択の余地が無いようになってい
る。このように、既存の誘電体フィルタの回路では、ナ
イキスト条件の二つの条件を満たすことができないよう
になっている。
【0012】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、誘電体共振を利用
してナイキスト条件の二つの条件を同時に満たし得る簡
素な構成の群遅延時間等化型誘電体フィルタを提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、主要な
共振素子にTEMモードの複数の誘電体共振器を用いた
誘電体フィルタにおいて、複数の誘電体共振器のうちの
特定のものに接続されて群遅延時間を等化するための群
遅延時間等化回路をフィルタ回路の局部として有し、更
に、群遅延時間等化回路は、第1のコンデンサ,第1の
誘電体共振器,第2のコンデンサ,第2の誘電体共振
器,第3のコンデンサ,及び第4のコンデンサから成る
と共に、該第1のコンデンサ,該第1の誘電体共振器,
該第2のコンデンサ,該第2の誘電体共振器,及び該第
3のコンデンサをこの順で互いに連鎖状に直列結合した
直列結合部に該第4のコンデンサを並列に接続して成
り、且つ該第1のコンデンサ,該第2のコンデンサ,該
第3のコンデンサ,及び該第4のコンデンサはそれぞれ
誘電体基板上に形成された導体膜から成ることを特徴と
する群遅延時間等化型誘電体フィルタが得られる。
【0014】又、本発明によれば、上記遅延時間等化型
誘電体フィルタにおいて、第1のコンデンサ,第2のコ
ンデンサ,及び第3のコンデンサは第1の誘電体基板上
に形成される第1の導体膜から成り、第4のコンデンサ
は第2の誘電体基板上に形成された第2の導体膜から成
り、更に、第1の誘電体基板及び第2の誘電体基板にお
ける導体部間はそれぞれ導通部材により相互に接続され
て成る遅延時間等化型誘電体フィルタが得られる。
【0015】更に、本発明によれば、上記遅延時間等化
型誘電体フィルタにおいて、導通部材は複数の誘電体共
振器の中心導体に接続される接続端子である遅延時間等
化型誘電体フィルタが得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明の群
遅延時間等化型誘電体フィルタについて、図面を参照し
て詳細に説明する。
【0017】最初に、この群遅延時間等化型誘電体フィ
ルタの概要を簡単に説明する。この群遅延時間等化型誘
電体フィルタは、ワイヤレスLAN等の無線式高速デー
タ通信装置に適用されるもので、それぞれ幾つかの誘電
体共振器,コイル等のインダクタ,及びコンデンサ(キ
ャパシタンス)から構成されており、群遅延時間の等価
回路区間に相当する非最小位相推移回路をフィルタ回路
中に導入して群遅延時間を平坦化することにより、ナイ
キスト条件の二つの条件を同時に満たすこと(即ち、充
分なナイキスト特性を持たせること)を可能にしてい
る。
【0018】そこで、以下は本発明の群遅延時間等化型
誘電体フィルタに持たせたナイキスト特性の技術的背景
を説明する。既存のフィルタ回路(最小位相推移回路)
においては、群遅延時間等化回路区間無しの状態で振幅
特性をナイキスト条件に合わせると、一般的なバンドパ
スフィルタの群遅延時間特性は、図9(a)に示される
周波数に対する損失曲線D1 及び遅延曲線J1 から明ら
かであるように、帯域の端で大きく、帯域の中心で小さ
くなる形となってしまう。
【0019】ここで、図9(a)に示されるような群遅
延時間特性を、一定な群遅延時間特性にするためには、
群遅延時間等化回路部分の群遅延時間特性を図9(b)
に示されるように、遅延曲線J2 が帯域の中心で大き
く、帯域の端で小さくなるようにする必要がある。そこ
で、図9(a)に示す遅延曲線J1 の特性と図9(b)
に示す遅延曲線J2 の特性とを合わせると、全体的回路
の遅延曲線Jは図9(c)に示されるように一定なもの
となる。
【0020】群遅延時間等化回路に関して、図10は一
例を説明するために示したもので、図11は他例を説明
するために示したもので、図12は別例を説明するため
に示したものであるが、何れの場合も各図における
(a)は等価回路に関するもの,(b)は群遅延時間特
性に関するものをそれぞれ示している。
【0021】図10の場合は架橋容量Cb とするコンデ
ンサが存在しないため、損失曲線Di 及び遅延曲線Ji
からは無極のフィルタ回路となることが判る。又、図1
1の場合のように1:−1の理想変成器を介して位相反
転して架橋容量Cb のコンデンサを付加すると損失曲線
j 及び遅延曲線Jj からは通過帯域の上側と下側とに
それぞれ1個の減衰極を生じることが判る。これに対し
て図12の場合のように位相反転しないで架橋容量Cb
のコンデンサを付加すると、損失曲線Dk 及び遅延曲線
k からは減衰量は無極の場合よりもむしろ減ってしま
うが、群遅延時間特性が帯域の中央で高く、帯域の端部
で少ない形になる。これは群遅延時間等化回路の持つべ
き特性に一致し、群遅延時間等化回路として有効に利用
できるものとなる。
【0022】ここで、図12では減衰極は現われていな
いが、実際にはp平面の虚軸上に伝達関数の極が存在し
ないだけで、p平面の右半平面に極を生じている。最小
位相推移回路の条件は、伝達関数の極が右半平面に存在
しないことであり、p平面の右半平面に伝達関数の極を
持つことは、この回路が非最小位相推移回路であること
を意味している。最小位相推移回路と非最小位相推移回
路とが組み合わされた回路は全体として非最小位相推移
回路となることが知られているので、本発明では非最小
位相推移回路をフィルタ回路中に導入することを特色と
している。
【0023】図1は、本発明の一実施例に係る群遅延時
間等化型誘電体フィルタの等価回路を示したものであ
る。
【0024】この等価回路は、通過帯域下側減衰極回路
区間,群遅延時間等化回路区間,及び通過帯域上側減衰
極回路区間に区別され、これらの区間にそれぞれ配備さ
れた通過帯域下側減衰極形成回路1,群遅延時間等化回
路2,及び通過帯域上側減衰極回路3と、これらの回路
間にそれぞれ配備された誘電体共振器4とから構成され
ている。
【0025】このうち、群遅延時間等化回路2は、第1
のコンデンサC1 ,第1の誘電体共振器151 ,第2の
コンデンサC2 ,第2の誘電体共振器152 ,第3のコ
ンデンサC3 ,及び第4のコンデンサC4 から成ると共
に、これらのうちの第1のコンデンサC1 ,第1の誘電
体共振器151 ,第2のコンデンサC2 ,第2の誘電体
共振器152 ,及び第3のコンデンサC3 をこの順で互
いに連鎖状に直列結合した直列結合部に第4のコンデン
サC4 を並列に接続して成っている。このようにフィル
タ回路に群遅延時間等化回路2を接続することによっ
て、フィルタ回路は全体的に非最小位相推移回路とな
る。
【0026】又、減衰極を保有形成するための減衰極保
有形成回路としてフィルタ回路の局部に備えられた通過
帯域に関して下側周波数用の通過帯域下側減衰極形成回
路1は、第5のコンデンサC5 ,第3の誘電体共振器1
3 ,第6のコンデンサC6,及び第7のコンデンサC
7 から成ると共に、これらのうちの第5のコンデンサC
5 ,第3の誘電体共振器153 ,及び第6のコンデンサ
6 をこの順で互いに連鎖状に直列結合した直列結合部
に第7のコンデンサC7 を並列に接続して成っている。
【0027】更に、減衰極を保有形成するための減衰極
保有形成回路としてフィルタ回路の局部に備えられた通
過帯域に関して上側周波数用の通過帯域上側減衰極形成
回路3は、第8のコンデンサC8 ,第4の誘電体共振器
154 ,第9のコンデンサC9 ,及び第1のインダクタ
1 から成ると共に、これらのうちの第8のコンデンサ
8 ,第4の誘電体共振器154 ,及び第9のコンデン
サC9 をこの順で互いに連鎖状に直列結合した直列結合
部に第1のインダクタL1 を並列に接続して成ってい
る。
【0028】これらの通過帯域下側減衰極形成回路1及
び通過帯域上側減衰極形成回路3の減衰極周波数はそれ
ぞれフィルタ中心周波数に対してほぼ対称な位置に形成
されている。
【0029】図2は、群遅延時間等化回路2の外観構成
を示した斜視図である。この群遅延時間等化回路2は、
第1のコンデンサC1 ,第2のコンデンサC2 ,第3の
コンデンサC3 ,及び第4のコンデンサC4 をそれぞれ
一枚の誘電体基板8上に形成された導体膜4,5,6,
7から成るようにしている。
【0030】具体的に云えば、誘電体基板8の一方の面
(表面)には導体膜4,6が形成され、他方の面(裏
面)には導体膜5,7が形成されており、導体膜4,5
の間に第1のコンデンサC1 の静電容量が持たされ、導
体膜5,6の間に第2のコンデンサC2 の静電容量が持
たされ、導体膜6,7の間に第3のコンデンサC3 の静
電容量が持たされ、導体膜4,7の間に第4のコンデン
サC4 の静電容量が持たされるようになっている。
【0031】このように群遅延時間等化回路2を一体型
誘電体基板8で構成すると、素子値のバラツキが少なく
なり、安定した群遅延時間特性を具現できる。
【0032】図3は、図2に示した群遅延時間等化回路
2とは他の構成による群遅延時間等化回路を含む群遅延
時間等化型誘電体フィルタの外観構成を例示した斜視図
である。
【0033】この群遅延時間等化型誘電体フィルタは、
実装基板13上に図1の等価回路に示した全部の誘電体
共振器(15,151 〜154 )に対応する総計6個の
共振器体9と、第1の誘電体基板10及び第2の誘電体
基板11とが実装され、第1の誘電体基板10及び第2
の誘電体基板11における導通部間を相互に接続するた
めの導通部材として、それぞれ全部の誘電体共振器の中
心導体に接続される総計6個の接続端子14を用いて接
続を行うことにより、第1の誘電体基板10がそれぞれ
接続端子14を介して全部の共振器体9及び第2の誘電
体基板11に接続される構成となっている。又、第1の
誘電体基板10の両端における導通部と実装基板13の
端部の2箇所に設けられた入出力端子12とを導電性金
属板等の導電部材で電気的に接続することによって、入
出力端子12間でフィルタ回路として機能するようにな
っている。
【0034】即ち、ここでの群遅延時間等化誘電体フィ
ルタにおける群遅延時間等化回路は、図2に示した一枚
の誘電体基板8を用いた構成とは異なり、第1の誘電体
基板10及び第2の誘電体基板11の二枚を用いるもの
とし、第1のコンデンサC1,第2のコンデンサC2
及び第3のコンデンサC3 を第1の誘電体基板10上に
形成される第1の導体膜としての導体膜4,5,6から
成るものとし、第4のコンデンサC4 を第2の誘電体基
板11上に形成された第2の導体膜としての導体膜7か
ら成るものとしている。
【0035】このような群遅延時間等化回路による構成
は、複雑な回路構成のフィルタ回路を具現する場合、誘
電体基板を複数に分割することによって、フィルタ回路
の素子間干渉を低減させ、安定した周波数特性及び群遅
延時間特性とすることができる。
【0036】尚、ここでの群遅延時間等化回路では、部
品点数の削減のために共振器体9用の接続端子14を直
接的に第1の誘電体基板10及び第2の誘電体基板11
における導通部間を相互に接続するための導通部材とし
て用いたが、これに代えて基板の導通部間の相互接続を
別途な導通部材として他の導体線や導体板を用いて行う
構成、即ち、例えばワイヤボンディング等による導体線
やジャンパー線,或いは導体板や実装基板13の配線パ
ターン等を用いるようにしても良い。
【0037】この群遅延時間等化型誘電体フィルタに関
して、周波数[MHz]に対する減衰[dB]特性は図
4に示されるようになり、周波数[MHz]に対する遅
延(群遅延時間)[ns]特性は図5に示されるように
なった。図4では、Aで示した部分が減衰極Bによって
波形がルートコサインカーブに近似されており、減衰極
B及び減衰極B′がフィルタ中心周波数1600[MH
z]に対してほぼ対称な周波数位置(1630[MH
z]及び1570[MHz])に形成された状態のルー
トコサインロールオフフィルタが具現されていることを
示している。図5では、このときの群遅延時間特性がフ
ィルタ通過帯周波数においてほぼ一定の特性が具現され
ていることを示している。
【0038】尚、図4の振幅特性は、このようなフィル
タが送り側と受け側との双方に分割されていることを前
提とする群遅延時間等化型誘電体フィルタの周波数特性
に関して、フィルタの振幅特性絶対値|H(f)|がフ
ィルタ中心周波数を基準とした周波数をf,通過するデ
ジタル信号のシンボル周期をTとした場合、ルートナイ
キスト条件として知られる数1式で表わされる特性を持
つように設計されたものを用いていることを前提として
いる。
【0039】
【数1】
【0040】因みに、フィルタが1個のみで用いられる
場合には、フィルタの振幅特性絶対値|H(f)|は、
フィルタ中心周波数を基準とした周波数をf,通過する
デジタル信号のシンボル周期をTとした場合、近似的に
ナイキスト条件として知られる下記の数2式で表わされ
るナイキスト特性を持つように設計されたものを用いて
も有効である。
【0041】
【数2】
【0042】又、矩形波パルスを信号として用いる場合
には、矩形波パルス信号をインパルス信号に変換するこ
とと、ルートコサイン特性を兼ねた数3式で表わされる
特性を持つように設計されたものを用いても有効であ
る。
【0043】
【数3】
【0044】更に、矩形波パルスを信号として用いると
共に、フィルタが1個のみ用いられる場合には、数4式
で表わされる特性を持つように設計されたものを用いて
も有効である。
【0045】
【数4】
【0046】ところで、上述した通過帯域下側減衰極形
成回路1や通過帯域上側減衰極形成回路3は他の形態と
して構成することも可能である。
【0047】例えば、図4は通過帯域下側減衰極形成回
路1の他例に係る等価回路を示したものである。この等
価回路は、第10のコンデンサC10,接地された第5の
誘電体共振器155 ,第11のコンデンサC11,及び第
12のコンデンサC12から成ると共に、これらのうちの
第10のコンデンサC10,第5の誘電体共振器155
及び第11のコンデンサC11をこの順で互いに連鎖状に
直列結合した直列結合部に第12のコンデンサC12を並
列に接続して成っている。
【0048】又、図5は通過帯域上側減衰極形成回路3
の他例に係る等価回路を示したものである。この等価回
路は、第13のコンデンサC13,接地された第6の誘電
体共振器156 ,第14のコンデンサC14,及び第2の
インダクタL2 から成ると共に、これらのうちの第13
のコンデンサC13,第6の誘電体共振器156 ,及び第
14のコンデンサC14をこの順で互いに連鎖状に直列結
合した直列結合部に第2のインダクタL2 を並列に接続
して成っている。
【0049】更に、図6は通過帯域上側減衰極形成回路
3の別例に係る等価回路を示したものである。この等価
回路は、第15のコンデンサC15,接地された第7の誘
電体共振器157 ,第3のインダクタL3 ,及び第16
のコンデンサC16から成ると共に、これらのうちの第1
5のコンデンサC15,第7の誘電体共振器157 ,及び
第3のインダクタL3 をこの順で互いに連鎖状に直列結
合した直列結合部に第16のコンデンサC16を並列に接
続して成っている。
【0050】こうした他の形態の通過帯域下側減衰極形
成回路や通過帯域上側減衰極形成回路を用いても、フィ
ルタの振幅特性絶対値|H(f)|は数1や数2に示し
た特性を有する。
【0051】尚、このフィルタ回路中における少なくと
も第1の誘電体共振器41 及び第2の誘電体共振器42
(或いは誘電体共振器の全部であっても良い)に関して
は、同軸型TEMモード共振器を用いるものとするが、
これに代えて平板型TEMモード共振器を用いても同様
に構成できる。
【0052】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明の群遅延時間
等化型誘電体フィルタによれば、フィルタ回路全体を非
最小位相推移回路とするための群遅延時間等化回路をフ
ィルタ回路中に設け、しかも群遅延時間等化回路におけ
るコンデンサを誘電体基板状上に形成された導体膜から
成るものとした上、誘電体基板における導体部間を接続
するための導通部材を誘電体共振器の中心導体に接続さ
れる接続端子としているので、簡素に構成され得るよう
になる。この結果、群遅延時間等化型誘電体フィルタは
例えばシンボルレート40MHzを持ち、中心周波数
1.6GHzとする場合に挿入損失約7dBのルートナ
イキスト特性を持つものとなり、ナイキスト条件の二つ
の条件を同時に満たし得るものとなるため、こうした性
能の具現によって、中間周波変換段数が1段であると共
に、中間周波数処理に際しての増幅器への負担を軽減で
きる無線通信システムを構築できるようになる。一例と
して、無線LAN通信システムへ適用してQPSK変調
精度を実測した結果、変調精度が約4%であることを確
認できたため、無線LAN通信システムとして充分実用
に耐える性能を持つことが判明した。従って、この群遅
延時間等化型誘電体フィルタは、従来のSAWフィルタ
を適用した場合には実現できなかった1段のみの中間周
波数処理の無線通信システムを具現できると共に、1段
の中間周波数処理で構成した無線通信システムの中にあ
っては既存の誘電体フィルタを用いては実現できなかっ
た優れた変調歪を呈するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る群遅延時間等化型誘電
体フィルタの等価回路を示したものである。
【図2】図1に示す群遅延時間等化型誘電体フィルタに
備えられる群遅延時間等化回路の外観構成を例示した斜
視図である。
【図3】図2に示す群遅延時間等化回路とは他の構成に
よる群遅延時間等化回路を含む群遅延時間等化型誘電体
フィルタの外観構成を例示した斜視図である。
【図4】図1に示す群遅延時間等化型誘電体フィルタに
おける減衰特性を示したものである。
【図5】図1に示す群遅延時間等化型誘電体フィルタに
おける群遅延時間特性を示したものである。
【図6】図1に示す群遅延時間等化型誘電体フィルタに
備えられる通過帯域下側減衰極形成回路の他例に係る等
価回路を示したものである。
【図7】図1に示す群遅延時間等化型誘電体フィルタに
備えられる通過帯域上側減衰極形成回路の他例に係る等
価回路を示したものである。
【図8】図1に示す群遅延時間等化型誘電体フィルタに
備えられる通過帯域上側減衰極形成回路の別例に係る等
価回路を示したものである。
【図9】既存の誘電体フィルタのフィルタ回路における
群遅延時間特性を説明するために示したもので、(a)
は群遅延時間等化回路区間無しの最小位相推移回路部分
の特性に関するもの,(b)は群遅延時間等化回路部分
の特性に関するもの,(c)は全体的な回路の特性に関
するものである。
【図10】既存の誘電体フィルタのフィルタ回路におけ
る群遅延時間等化回路の一例を説明するために示したも
ので、(a)はその等価回路に関するもの,(b)はそ
の群遅延時間特性に関するものである。
【図11】既存の誘電体フィルタのフィルタ回路におけ
る群遅延時間等化回路の他例を説明するために示したも
ので、(a)はその等価回路に関するもの,(b)はそ
の群遅延時間特性に関するものである。
【図12】既存の誘電体フィルタのフィルタ回路におけ
る群遅延時間等化回路の別例を説明するために示したも
ので、(a)はその等価回路に関するもの,(b)はそ
の群遅延時間特性に関するものである。
【符号の説明】
1 通過帯域下側減衰極形成回路 2 群遅延時間等化回路 3 通過帯域下側減衰極形成回路 4〜7 導体膜 8,10,11 誘電体基板 9 共振器体 12 入出力端子 13 実装基板 14 共振器接続端子 15,151 〜157 誘電体共振器 A ルートコサインカーブ B,B′ 減衰極 C1 〜C16 コンデンサ L1 〜L3 インダクタ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主要な共振素子にTEMモードの複数の
    誘電体共振器を用いた誘電体フィルタにおいて、前記複
    数の誘電体共振器のうちの特定のものに接続されて群遅
    延時間を等化するための群遅延時間等化回路をフィルタ
    回路の局部として有し、更に、前記群遅延時間等化回路
    は、第1のコンデンサ,第1の誘電体共振器,第2のコ
    ンデンサ,第2の誘電体共振器,第3のコンデンサ,及
    び第4のコンデンサから成ると共に、該第1のコンデン
    サ,該第1の誘電体共振器,該第2のコンデンサ,該第
    2の誘電体共振器,及び該第3のコンデンサをこの順で
    互いに連鎖状に直列結合した直列結合部に該第4のコン
    デンサを並列に接続して成り、且つ該第1のコンデン
    サ,該第2のコンデンサ,該第3のコンデンサ,及び該
    第4のコンデンサはそれぞれ誘電体基板上に形成された
    導体膜から成ることを特徴とする群遅延時間等化型誘電
    体フィルタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の群遅延時間等化型誘電体
    フィルタにおいて、前記第1のコンデンサ,前記第2の
    コンデンサ,及び前記第3のコンデンサは第1の誘電体
    基板上に形成される第1の導体膜から成り、前記第4の
    コンデンサは第2の誘電体基板上に形成された第2の導
    体膜から成り、更に、前記第1の誘電体基板及び前記第
    2の誘電体基板における導体部間はそれぞれ導通部材に
    より相互に接続されて成ることを特徴とする群遅延時間
    等化型誘電体フィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の群遅延時間等化型誘電体
    フィルタにおいて、前記導通部材は前記複数の誘電体共
    振器の中心導体に接続される接続端子であることを特徴
    とする群遅延時間等化型誘電体フィルタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1071156A2 (en) * 1999-07-22 2001-01-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. In-band-flat-group-delay type dielectric filter and linearized amplifier using the same
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