JPH113839A - 容量可変素子及びその製造方法 - Google Patents

容量可変素子及びその製造方法

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JPH113839A
JPH113839A JP15262497A JP15262497A JPH113839A JP H113839 A JPH113839 A JP H113839A JP 15262497 A JP15262497 A JP 15262497A JP 15262497 A JP15262497 A JP 15262497A JP H113839 A JPH113839 A JP H113839A
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隆介 喜多
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義行 増田
Yoshiyuki Matsu
良幸 松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック基板上にも容易に形成でき、小型
で、低電圧で容量変化が大きく、10GHz以上の周波
数でもキャパシタ特性が劣化しない低電圧で容量変化が
大きく、小型で優れた容量可変素子及びその製造方法を
提供すること。 【解決手段】 基板1上に少なくとも下部電極2、誘電
体薄膜4及び上部電極6を順次備えてなり、誘電体薄膜
4が、ゾルゲル法で形成された多層の誘電体薄膜からな
る容量可変素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波素子用キャ
パシタ等に用いることができる容量可変素子及びその製
造方法に関し、より詳細には、電圧印加によりその容量
を大きく変化させることが可能な容量可変素子及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
容量可変素子として、(a)バリキャップダイオードや
バラクタなどのSiやGaAs半導体のpn接合を用い
るもの、(b)バルクの強誘電体に電圧を印加し、誘電
率が減少することを利用した可変コンデンサなどがあ
る。これら容量可変素子のうち、(a)は、一般に、S
iやGaAsの単結晶ウエハから作製しており、セラミ
ック基板の上にSiやGaAsの単結晶を薄膜成長させ
てモノリシックに形成することができないため、セラミ
ック基板上に集積化デバイスとして形成できないという
課題がある。
【0003】また、上記(b)の可変コンデンサとして
は、例えば、特開昭62−259417号公報において
提案されているものがある。この可変コンデンサは、図
7に示すように、バルクの強誘電体14(厚さ45μm
程度)が上下の電極間に挟持された構造であり、下部電
極として下部容量電極13及び下部バイアス電極13’
を備え、上部電極として上部容量電極16及び上部バイ
アス電極16’を備えている。この下部バイアス電極1
3’と下部容量電極13との間、上部バイアス電極1
6’と上部容量電極16との間には、直流バイアスを印
加し、これにより強誘電体14の誘電率を変化させ、下
部バイアス電極13’と下部容量電極13との間、上部
バイアス電極16’と上部容量電極16との間の容量を
可変とするものである。
【0004】なお、上記可変コンデンサでは、強誘電体
セラミック粉末をポリビニルアルコールなどの合成樹脂
をバインダーとして、厚さ45μm程度のシート状にし
たものを強誘電体14として用いている。このように、
(b)の可変コンデンサでは、バルクの強誘電体セラミ
ック材を用いているため、薄膜デバイスとして小型化す
ることが困難であり、強誘電体自体の膜厚が厚いため、
印加する電圧も大きく、低電圧化も困難である。また、
強誘電体を用いているため、1GHz以上の周波数では
キャパシタとして動作しない等の欠点がある。
【0005】一方、強誘電体であるチタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO3)薄膜の電圧印加による誘電率変化
が報告されているが(A. Walkenhorst et. al., Appl.
Phys. Lett. 60 (1992) 1744)、この場合の誘電率変化
はバルクと比べて小さいという問題がある。また、バル
クのチタン酸ストロンチウムの場合には、大きな誘電率
変化を得ることができるが、このように大きな誘電率変
化を得るためには30Kという低温にする必要があり、
容量可変素子としては応用できないのが現実である。
【0006】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたものであって、セラミック基板上にも容易
に低コストで形成でき、小型、低電圧で大きな容量変化
が得られ、10GHz以上の周波数でもキャパシタ特性
が劣化しない容量可変素子を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基板上
に少なくとも下部電極、誘電体薄膜層及び上部電極を順
次備えてなり、前記誘電体薄膜層が多層の誘電体薄膜か
らなる容量可変素子が提供される。また、(i) 基板上に
下部電極を形成し、(ii)ゾルゲル法により、誘電体薄膜
を構成する元素の前駆体溶液を調製して前記下部電極上
に塗布、乾燥して薄膜化し、熱処理により薄膜中の有機
物を分解除去し、(iii) さらに前記工程(ii)を1回又は
複数回繰り返し、(iv)得られた多層の誘電体薄膜上に上
部電極を形成する前又は後に、熱処理を施して前記誘電
体薄膜を結晶化させることからなる容量可変素子の製造
方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における容量可変素子は、
主として基板上に、下部電極、誘電体薄膜層及び上部電
極が順次形成されて構成される。本発明の容量可変素子
に使用することができる基板としては、特に限定される
ものではなく、例えば、ガラス基板、樹脂基板、セラミ
ック基板等の絶縁性基板、半導体基板及び化合物半導体
基板等を用いることができるが、なかでも、強度、耐熱
性、コスト等の点でセラミック基板が好ましい。また、
本発明に使用する基板は、その表面にSiN、SiO2
等の絶縁膜、所望の回路を構成する素子やこれらを被覆
する層間絶縁膜、基板上に形成する電極層との密着性を
良好にするための接着層(例えば、タンタル、チタン、
窒化チタン等)又はこれらが組み合わされて形成されて
いてもよい。
【0009】本発明の容量可変素子における下部電極と
しては、通常電極材料として使用することができ、後工
程における熱処理に耐えることができるものであれば、
その材料は特に限定されるものではなく、例えば、アル
ミニウム、銅、銀、白金;チタン、タンタル、タングス
テン等の高融点金属;RuO2、IrO2等の導電性酸化
物等種々の金属を使用することができる。この下部電極
の膜厚は、特に限定されるものではなく、例えば50n
m〜1μm程度の膜厚とすることができる。下部電極の
形状は、得ようとする容量、用途等に応じて適宜調整す
ることができる。また、上述したように、下部電極の接
着性等を改善するために、接着層等を下部電極直下に形
成してもよい。
【0010】誘電体薄膜層としては、多層の誘電体薄膜
が挙げられる。ここで、多層の誘電体薄膜とは、2層又
は3層以上の薄膜からなる誘電体薄膜であり、例えば、
2層〜6層程度、好ましくは3層又は4層程度のものが
挙げられる。誘電体薄膜層の膜厚は、容量可変素子の大
きさ、印加電圧、用途、形成方法等に応じて適宜調整す
ることができるが、各誘電体薄膜の膜厚は、例えば50
nm〜100nm程度、総膜厚は、100nm〜1μm
とすることが好ましい。なお、各誘電体薄膜の膜厚は略
等しい膜厚で多層としてもよいし、それぞれ異なる膜厚
で多層としてもよい。また、2層以上の薄膜からなる誘
電体薄膜層としては、各層を構成する元素の種類と割合
と共に同じもの、種類と割合のいずれかが異なるもの、
種類と割合がいずれも異なるもの、あるいは2層以上の
薄膜のすべてが異なるもの、一部の層のみ異なるもの
等、種々の組み合わせの多層の誘電体薄膜がすべて包含
される。具体的には、同じ薄膜を2〜6層程度積層する
薄膜、2種の異なる薄膜を交互に繰り返して2層〜6層
程度積層する薄膜等が挙げられる。
【0011】このような多層の誘電体薄膜は、公知の方
法、例えばスパッタ法、蒸着法、ゾルゲル法、MOCV
D法等種々の方法で形成することができるが、なかで
も、ゾルゲル法により形成することが好ましい。誘電体
薄膜の種類としては、高周波数特性が得られるものであ
れば特に限定されるものではなく、例えばゾルゲル法に
より形成することができる誘電体が好ましく、例えば、
Bax Sr1-x TiO3 (0<x≦0.8)、(Pb
1-x Lax)Zr0.46Ti0.363 (1≧x≧0.0
2)、(Pb1-x Erx )Zr0.46Ti0.363 (0.
02≦x≦0.1)が挙げられる。具体的には、SrT
iO3、SrBi2Ta29、SrBi2Nb29、Sr
Bi2(Ta,Nb)29、Bi4Ti312、SrBi4
Ti415、SrBi4(Ti,Zr)415、CaBi 2
Ta29、BaBi2Ta29、BaBi2Nb29等が
挙げられる。なかでも、SrTiO3 、Ba0.7Sr0.3
TiO3 がより好ましい。
【0012】本発明の容量可変素子における上部電極と
しては、下部電極と同様の材料のものを同様に用いるこ
とができる。ただし、上部電極材料が下部電極材料と同
じである必要はない。また、上述したように、上部電極
の接着性等を改善するために、接着層等を上部電極直下
に形成してもよい。さらに、上部電極の形状としては、
得ようとする容量、用途、印加電圧等により適宜調整す
ることができ、上部電極の全面が誘電体薄膜と接触して
いる形状、誘電体全面を被覆する形状、誘電体との間の
一部にエアーブリッジを有する形状等種々の形状が挙げ
られる。
【0013】本発明における容量可変素子は、GHz帯
までの容量可変素子として動作させることができる形状
及び構造であれば、それらは特に限定されるものではな
く、例えば、下部電極、誘電体薄膜及び上部電極が順次
積層されてなる一般的なキャパシタ構造、縦型キャパシ
タ構造、上部電極の少なくとも一端部にエアーブリッジ
が形成された構造等の種々の形状及び構造のものが含ま
れる。
【0014】また、本発明における容量可変素子は、上
下部電極の少なくとも一方にバイアス電圧を印加するこ
とにより容量を変化させることができるものであり、さ
らにはこのバイアス電圧の印加により、誘電体薄膜の比
誘電率を電圧の変化に応じて変化させることができるも
のである。上下部電極に印加する電圧は、誘電体材料、
膜厚又は用途等により適宜調整することができるが、例
えば、誘電体のリーク電流、実用性等の観点から、20
V程度以下、好ましくは16V程度以下、さらに好まし
くは−16〜+16V程度が挙げられる。また、印加電
圧に対応して変化する容量は、大きければ大きいほど好
ましく、例えば−50%程度以上、より好ましくは−1
00%程度が挙げられる。さらに、上記印加電圧に応じ
て変化する誘電体の比誘電率は、誘電体材料等により異
なるが、例えば、50〜1000程度が挙げられる。
【0015】また、本発明の上記容量可変素子の製造方
法の工程(i) においては、基板上に下部電極を形成す
る。この際の形成方法は、上記の電極材料を公知の方
法、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、電子ビーム蒸着
法等種々の方法で所望の膜厚に形成することができ、例
えばフォトリソグラフィ及びエッチング法、リフトオフ
法等により所望の形状にパターニングすることができ
る。
【0016】工程(ii)においては、まず、ゾルゲル法に
より、誘電体薄膜を構成する元素の前駆体溶液を調製す
る。前駆体溶液は、例えば、Ba、Bi、Sr、Ta、
Nb、Ti、Zr、Ca、Pb、Er等のカルボン酸塩
又はアルコキシドを、適当な濃度、適当な温度、適当な
配合割合で、適当な水性媒体又は有機溶媒に溶解させて
調製することができる。この際、使用することができる
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール等の低級アルコール、キシレン、酢酸エス
テル等が挙げられる。前駆体溶液の調製は、例えば、強
誘電体を構成する金属元素の各溶液を、最終的に得よう
とする強誘電体の組成により異なるが、0.1〜5mo
l/リットル程度、好ましくは0.1〜2mol/リッ
トル程度で別々に調製し、例えば200℃程度以下、好
ましくは150℃程度以下で十分加熱するとともに、5
時間程度、好ましくは1〜3時間程度攪拌しながら適宜
混合し、さらに混合液を1時間〜1昼夜程度攪拌する方
法等が挙げられる。なお、前駆体溶液は、任意に濾過、
溶媒の蒸留、濃度の調整等を行うことが好ましい。
【0017】次に、得られた前駆体溶液は、下部電極上
に、例えばスピンコート法、印刷法、ロールコート法等
の種々の方法により一層あたり20〜200nm程度の
膜厚で塗布することができる。ただし、一層あたりの膜
厚が厚いと乾燥工程でクラックを発生しやすいため、一
層あたりの塗布する膜厚は100nm程度以下がより好
ましい。なお、特に印刷法の場合には、前駆体溶液は、
アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール等の有機バインダ
樹脂及びアルコール系、エーテル系、エステル系等の有
機溶剤を適宜混合することにより、その粘度を調整する
ことができる。また、下部電極との接着性を高めるた
め、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸
ガラス等のガラス成分を混合してもよい。
【0018】さらに、塗布した前駆体溶液を乾燥する。
乾燥の方法は、前駆体溶液として用いた有機溶媒の種
類、前駆体溶液の組成等により適宜選択することができ
るが、例えば、80℃〜300℃、好ましくは100℃
〜200℃程度の温度範囲、大気中で10秒〜60分
間、好ましくは15分間程度以下、熱処理することによ
り行うことができる。熱処理は、公知の方法、例えば赤
外線加熱炉、抵抗加熱炉等を使用して、均一の温度で一
定時間行ってもよいし、温度を異ならせて行ってもよ
い。
【0019】続いて、熱処理により薄膜中の有機物を分
解除去する。この際の熱処理方法は、薄膜中に存在する
有機物が充分に分解する温度で、かつ結晶化が始まらな
い温度範囲で行うことが好ましく、具体的には、400
℃〜550℃程度の温度範囲、大気中又は不活性ガス雰
囲気中等で10〜60分間程度行うことができる。上記
工程(ii)は、得ようとする誘電体薄膜の積層数に応じて
2回以上繰り返して行う。この際の上記(ii)の工程は、
同じ種類及び組成比の誘電体薄膜を得るために、全く同
じ条件で繰り返してもよいし、誘電体薄膜の種類及び組
成比に応じてその条件等を適宜調整して繰り返してもよ
い。
【0020】工程(iv)において、得られた誘電体薄膜層
上に上部電極を形成する。上部電極を形成する方法は、
下部電極と同様に行うことができる。この上部電極の形
成は、上記工程(iii) の後、かつ後述する誘電体薄膜の
結晶化の前に行ってもよいし、誘電体薄膜層の結晶化の
後に行ってもよい。誘電体薄膜の結晶化は、酸素雰囲
気、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気下、常圧又は減圧
下、好ましくは常圧下、550℃〜800℃以下の温度
範囲で、30秒間〜60分間程度行うことができる。こ
の際の熱処理方法は、上述の方法の他、RTA法等を用
いることができる。
【0021】なお、本発明の容量可変素子の製造方法に
おいては、薄膜中の有機物の分解除去のための熱処理と
結晶化のための熱処理とを、適当な条件を適宜選択する
ことにより兼ねて行うこともできる。例えば、工程(ii)
において前駆体溶液を塗布した後、大気中、100℃程
度の温度で5〜20分間程度で乾燥し、続いて600℃
程度の温度範囲、常圧、大気中で20〜60分間程度熱
処理を行い、誘電体薄膜層を結晶化する方法が挙げら
れ、これを2回以上繰り返す方法が挙げられる。但し、
結晶化が進む前に薄膜中の有機物の分解除去が充分に行
うことができる条件を選択することが必要となる。
【0022】本発明の容量可変素子の作用は以下のよう
に考えられる。一般に、SrTiO3や(Ba0.7Sr
0.3)TiO3等の常誘電体(あるいは常誘電相)におい
て電界Eと分極P及び比誘電率εrの関係は、 ε0εrE=εE+P (1) が成立する。ここでε0は真空の誘電率を表す。
【0023】また、一般的に、常誘電体(あるは常誘電
相)では、 E=aP(aは定数) (2) の関係が成立する(ただし、SrTiO3では相転移温
度(105K)以上)。従って(1)及び(2)式より
比誘電率は電界に依存せず一定となる。ところが、本発
明のように誘電体薄膜を多層積層した場合、バルクや薄
膜単層と比べて、全体の自由エネルギーに対する界面エ
ネルギーの寄与が大きくなるため、(2)式のようなE
とPとの線形性が成立しなくなり、例えば(3)式のよ
うにPの非線形成分を含むようになる。
【0024】 E=aP+bP3+cP5(a、b、cは定数) (3) これにより(1)式より比誘電率が電界依存性を持つよ
うになる。また、本発明の可変容量素子の製造方法にお
ける誘電体薄膜は、ゾルゲル法を用い、ゾル状態の誘電
体の前駆体溶液を塗布、乾燥した後、薄膜中の有機物を
加熱処理により分解除去する工程を2回以上繰り返し行
い、その後熱処理を施すことにより結晶化させて多層に
形成しているため、特に、各誘電体薄膜間にはバルクや
薄膜単層には存在しない界面が形成される。このため、
界面エネルギーの寄与が一層大きくなる。
【0025】上述のように、本発明の容量可変素子は、
上部電極に印加するバイアス電圧により素子全体の容量
を大きく変化させることができ、容量が高周波回路の特
性に影響するとき、例えば高周波フィルター、インピー
ダンスアンテナ等の容量を変化させることにより、フィ
ルター透過特性、検出周波数等を変化させることが可能
となり、種々の高周波デバイスに応用することができ
る。以下、本発明の容量可変素子及びその製造方法を図
面に基づいて説明する。
【0026】実施の形態1 図1は、本発明の容量可変素子の概略断面図である。こ
の容量可変素子は、セラミック基板1上に、Ta下部電
極接着層2、Pt下部電極層3、誘電体多層薄膜4、エ
アーブリッジ5、Ta下部電極接着層6、Pt上記電極
層7が順次形成されてなる。
【0027】以下に、上記容量可変素子の製造方法につ
いて説明する。まず、セラミック基板1上に、通常のフ
ォトリソグラフィによるリフトオフ法を用い、下部電極
レジストパターンを形成し、スパッタ法を用いてTa下
部電極接着層2、Pt下部電極層3をそれぞれ膜厚20
nm及び100nm形成した後、下部電極レジストパタ
ーンをリフトオフすることにより、Ta下部電極接着層
2及びPt下部電極層3からなる下部電極パターンを形
成した。
【0028】次に、このようにして形成したPt下部電
極層3上に、SrTiO3の金属アルコキシドからなる
ゾル状態の前駆体溶液をスピンコートし(プロセス
1)、これを100℃で10分間の熱処理により乾燥を
行った乾燥ゲル薄膜を作製した(プロセス2)。次にこ
のようにして作製した乾燥ゲルの薄膜中の有機物の熱分
解を行うため、400℃で10分間、大気圧の大気中で
熱処理を行った(プロセス3)。
【0029】上記プロセス1からプロセス3までを3回
繰り返した後、有機物を除去した多層膜の結晶化を行う
ため、1気圧の酸素雰囲気中600℃で30分間熱処理
を行った。これにより、膜厚210nmのSrTiO3
からなる誘電体多層薄膜4を得た。この誘電体多層薄膜
4は、エッチングにより所定の形状になるように加工し
た。
【0030】次に、誘電体多層薄膜4上に、エアーブリ
ッジ形成用レジストを用いてエアーブリッジレジストパ
ターンを形成した後、下部電極パターン形成方法と同様
のリフトオフ法を用いて上部電極レジストパターンを形
成し、スパッタ法を用いてTa上部電極接着層6、Pt
上部電極層7をそれぞれ膜厚20nm及び500nm形
成した。その後、エアーブリッジレジストパターン及び
上部電極レジストパターンをリフトオフすることによ
り、Ta上部電極接着層6及びPt上部電極層7からな
る上部電極パターンを形成した。
【0031】上記のような方法で作製した容量可変素子
のPt上部電極層6とPt下部電極層3との間にバイア
ス電圧を印加し、室温で10GHzでの容量のバイアス
電圧依存性を測定した。測定結果を図2に示す。得られ
た誘電体多層薄膜4の比誘電率は160であり、印加電
圧16Vにおいて67容量変化率Cv/Co×100
〔%〕=−62%の容量変化特性が得られ、このときの
比誘電率は67であった(ただしCvは電圧を印加した
ときの容量、Coは電圧を印加しないときの容量を表
す)。
【0032】比較例1 比較のために、誘電体薄膜として、スパッタ法により作
製したSrTiO3薄膜を用いた以外は、上記実施の形
態1と同様に容量可変素子を製造した。
【0033】SrTiO3薄膜の作製方法はスパッタタ
ーゲットとしてSrTiO3のセラミック焼結体を用
い、スパッタガスとしてO2ガスのみを用い、スパッタ
ガス圧2Pa、基板温度400℃で膜厚210nm形成
した。このようにして製造した容量可変素子の容量変化
特性を測定した。その結果を図3に示す。
【0034】得られたSrTiO3薄膜の比誘電体率は
150であり、印加電圧16Vでも容量変化率は−9%
と実施の形態1に示す容量可変素子と比べて低い変化特
性であった。
【0035】実施の形態2 実施の形態1におけるSrTiO3からなる誘電体多層
薄膜に代えて、ゾルゲル法により形成したチタン酸バリ
ウムストロンチウム((Ba0.7Sr0.3)TiO3)多
層薄膜を用いて容量可変素子を作製した。この実施の形
態の容量可変素子の作製方法は、第1の実施の形態の容
量可変素子の作製方法とはプロセス1における金属アル
コキシドからなるゾル状態の前駆体溶液がSrTiO3
でなく、(Ba0.7Sr0.3)TiO3の金属アルコキシ
ドからなるゾル状態の前駆体溶液を用いる点で異なるの
みであり、これ以外は第1の実施形態の容量可変素子の
作製方法と同様の方法を用いた。
【0036】上記のような方法で作製した容量可変素子
の10GHzでの容量のバイアス電圧依存性を測定し
た。測定結果を図4に示す。得られた(Ba0.7
0.3)TiO3多層薄膜の比誘電率は180であり、印
加電圧16Vで容量変化率=−60%の容量変化特性が
得られ、このときの比誘電率は67であった。
【0037】比較例2 比較のために、誘電体薄膜として、スパッタ法により作
製した(Ba0.7Sr0 .3)TiO3薄膜を用いた以外
は、上記実施の形態1と同様に容量可変素子を製造し
た。
【0038】(Ba0.7Sr0.3)TiO3薄膜の作製方
法はスパッタターゲットとして(Ba0.7Sr0.3)Ti
3のセラミック焼結体を用い、スパッタガスとしてO2
ガスのみを用い、スパッタガス圧2Pa、基板温度40
0℃で膜厚210nm形成した。このようにして製造し
た容量可変素子の容量変化特性を測定した。得られた
(Ba0.7Sr0.3)TiO3薄膜の比誘電率は170で
あり、印加電圧16Vでも容量変化率は−10%と実施
の形態2に示す容量可変素子と比べて低い変化特性であ
った。
【0039】実施の形態3 実施の形態1におけるSrTiO3からなる誘電体多層
薄膜に代えて、ゾルゲル法により形成したSrTiO3
薄膜とチタン酸バリウムストロンチウム((Ba0.7
0.3)TiO3)とを交互に積層した多層薄膜を用いて
容量可変素子を作製した。
【0040】実施の形態3の容量可変素子の作製方法
は、誘電体多層薄膜の作製方法以外は第1及び第2の実
施形態の容量可変素子の作製方法と同様の方法を用い
た。第3の実施形態の容量可変素子の誘電体多層薄膜は
以下のようにして作製した。Pt下部電極層3上に、S
rTiO3の金属アルコキシドからなるゾル状態の前駆
体溶液をスピンコートし(プロセス1)、これを100
℃で10分間の熱処理による乾燥を行い乾燥ゲル薄膜を
作製する(プロセス2)。次に400℃で10分間、大
気圧の大気中で熱処理を行った(プロセス3)。
【0041】次に、(Ba0.7Sr0.3)TiO3の金属
アルコキシドからなるゾル状態の前駆体溶液をスピンコ
ートし(プロセス4)、これを100℃で10分間の熱
処理による乾燥を行う乾燥ゲル薄膜を作製する(プロセ
ス5)。次にこのようにして作製した乾燥ゲルを、40
0℃で10分間、大気圧の大気中で熱処理を行った(プ
ロセス6)。
【0042】さらに、SrTiO3の金属アルコキシド
からなるゾル状態の前駆体溶液をスピンコートし(プロ
セス7)、これを100℃で10分間の熱処理による乾
燥を行い乾燥ゲル薄膜を作製する(プロセス8)。次に
400℃で10分間、大気圧の大気中で熱処理を行った
(プロセス9)。この後、1気圧の酸素雰囲気中600
℃で30分間熱処理を行った。これにより、全体の膜厚
が210nmであるSrTiO3と(Ba0.7Sr0.3
TiO3が交互に積層された構造を持つ誘電体多層薄膜
4を得た。
【0043】上記のような方法で作製した容量可変素子
の10GHzの容量のバイアス電圧依存性を測定した。
測定結果を図6に示す。得られたSrTiO3と(Ba
0.7Sr0.3)TiO3が交互に積層された構造を持つ多
層薄膜の比誘電率は170であり、印加電圧16Vで容
量変化率=−60%の容量変化特性が得られ、このとき
の比誘電率は67であった。
【0044】
【発明の効果】本発明の容量可変素子によれば、基板上
に少なくとも下部電極、誘電体薄膜及び上部電極を順次
備えてなり、誘電体薄膜が多層の誘電体薄膜からなるた
め、低電圧で容量の大きな変化を可能とするとともに、
小型・軽量化が実現できる。また、SiやGaAs単結
晶材料を用いなくてもよいため、セラミック基板上にも
容易かつ安価に形成できる。
【0045】また、多層の誘電体薄膜が特にゾルゲル法
により形成される場合には、結晶化する際に各層の界面
で特有の界面状態が形成されるため、より容量変化を顕
著に得ることができる。さらに、誘電体薄膜が、多層の
チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチ
ウム又はこれらの組み合わせによる場合には、これらは
常誘電体又は常誘電相であるため、10GHz以上の周
波数でもキャパシタ特性が劣化しない容量可変素子を得
ることが可能となる。
【0046】また、容量可変素子が、少なくとも下部電
極及び上部電極の一方に電圧を印加することにより容量
を変化させるものであるため、電圧で容量の大きさを制
御することができるチューナブルな高周波フィルター、
遅延素子、アレイアンテナ、結合型ストリップ線路等の
高周波デバイスに広く応用が可能となる。また、本発明
の容量可変素子の製造方法によれば、上述のような特別
な機能及び作用を有する容量可変素子を容易に実現する
ことができる製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容量可変素子を示す要部の概略断面図
である。
【図2】本発明の第1の実施形態の容量可変素子の容量
変化特性を示す図である。
【図3】本発明の比較例1の容量可変素子の容量変化特
性を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の容量可変素子の容量
変化特性を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の容量可変素子の容量
変化特性を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の容量可変素子の容量
変化特性を示す図である。
【図7】従来の容量可変素子を示す要部の概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1 セラミック基板 2 Ta下部電極接着層 3 Pt下部電極層 4 誘電体多層薄膜 5 エアーブリッジ 6 Ta上部電極接着層 7 Pt上部電極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大谷 昇 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも下部電極、誘電体薄
    膜層及び上部電極を順次備えてなり、前記誘電体薄膜層
    が多層の誘電体薄膜からなることを特徴とする容量可変
    素子。
  2. 【請求項2】 誘電体薄膜が、ゾルゲル法により形成さ
    れてなる請求項1記載の容量可変素子。
  3. 【請求項3】 誘電体薄膜層が、多層のチタン酸ストロ
    ンチウム膜からなる請求項1記載の容量可変素子。
  4. 【請求項4】 誘電体薄膜層が、多層のチタン酸バリウ
    ムストロンチウム膜からなる請求項1記載の容量可変素
    子。
  5. 【請求項5】 誘電体薄膜層が、チタン酸ストロンチウ
    ム膜とチタン酸バリウムストロンチウム膜とが交互に積
    層した多層である請求項1記載の容量可変素子。
  6. 【請求項6】 容量可変素子が、少なくとも下部電極及
    び上部電極の一方に電圧を印加することにより容量を変
    化させるものである請求項1〜5のいずれか1つに記載
    の容量可変素子。
  7. 【請求項7】 (i) 基板上に下部電極を形成し、(ii)ゾ
    ルゲル法により、誘電体薄膜を構成する元素の前駆体溶
    液を調製して前記下部電極上に塗布、乾燥して薄膜化
    し、熱処理により薄膜中の有機物を分解除去し、(iii)
    さらに前記工程(ii)を1回又は複数回繰り返し、(iv)得
    られた多層の誘電体薄膜上に上部電極を形成する前又は
    後に、熱処理を施して前記誘電体薄膜を結晶化させるこ
    とからなる容量可変素子の製造方法。
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