JPH1137070A - 流体圧縮機および圧縮機の給油ポンプ装置 - Google Patents

流体圧縮機および圧縮機の給油ポンプ装置

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JPH1137070A
JPH1137070A JP9189888A JP18988897A JPH1137070A JP H1137070 A JPH1137070 A JP H1137070A JP 9189888 A JP9189888 A JP 9189888A JP 18988897 A JP18988897 A JP 18988897A JP H1137070 A JPH1137070 A JP H1137070A
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JP
Japan
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oil
cylinder chamber
oil cylinder
shaft
rotary shaft
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Application number
JP9189888A
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English (en)
Inventor
Toshiya Yajima
寿也 矢嶋
Masayuki Okuda
正幸 奥田
Hisayoshi Fujiwara
尚義 藤原
Takashi Motokatsu
隆 本勝
Takuya Hirayama
卓也 平山
Moriaki Shimoda
盛彰 下田
Shigeo Kida
成雄 貴田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Publication of JPH1137070A publication Critical patent/JPH1137070A/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/08Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing
    • F04C18/10Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing of internal-axis type with the outer member having more teeth or tooth equivalents, e.g. rollers, than the inner member
    • F04C18/107Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing of internal-axis type with the outer member having more teeth or tooth equivalents, e.g. rollers, than the inner member with helical teeth

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、軸受間の距離が長いヘリカルブレー
ド式圧縮機であることを前提として、低周波数運転にお
いても確実に給油ができ、構成部品が少なくてすむ給油
ポンプ装置を備えた流体圧縮機を提供する。 【解決手段】副軸受8端部に設けられ、回転軸9に対し
て偏心する油シリンダ室Sと、この油シリンダ室の開口
面を閉塞し、回転軸先端面と摺接するスラスト板26
と、油溜り部22から油シリンダ室に連通される油吸込
み通路30と、回転軸の油シリンダ室対向部位に設けら
れる切欠溝31と、この切欠溝に変位自在に掛合され油
シリンダ室を区分して油溜り部の潤滑油を油吸込み通路
から油シリンダ室内に吸込ませるローターピン32と、
油シリンダ室の潤滑油を案内する油吐出通路34と、こ
の油吐出通路から案内される潤滑油を圧縮機構部3へ導
く給油通路33とを具備した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば冷凍サイ
クル装置に用いられ、ヘリカルブレード式の圧縮機構部
を備え、被圧縮ガスとしての冷媒ガスを圧縮する流体圧
縮機と、ヘリカルブレード式とともにスクロール式など
の一般的な圧縮機構部へ給油するための圧縮機の給油ポ
ンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、ヘリカルブレード式圧縮機とも呼
ばれる流体圧縮機が提案されている。これは、密閉ケー
ス内にシリンダが配置され、シリンダ内に回転体である
ローラが偏心して配置され、公転運動する。
【0003】上記ブレードとローラ周面およびシリンダ
内周面との間にブレードが介在され、このブレードによ
って複数の圧縮室が形成される。被圧縮流体である冷凍
サイクルにおける冷媒ガスを上記圧縮室の一端部に吸込
んで、他端部側に徐々に移送しながら圧縮するようにな
っている。
【0004】この種の圧縮機によれば、従来のレシプロ
式やロータリ式の圧縮機におけるシール性不良などを除
去でき、比較的簡単な構成によりシ―ル性を向上させて
効率の良い圧縮が可能であるとともに、部品の製造およ
び組立てが容易となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記圧縮機
構部は、多数の摺動部品が組合わせられたものであるか
ら、これら摺動部品の互いの摺接面に対する給油効率は
十分に確保しなければならない。
【0006】給油構造としては、密閉ケースの内底部に
潤滑油を集溜する油溜り部が形成されていて、回転軸の
下端部は油溜り部の潤滑油中に浸漬している。そして回
転軸の潤滑油浸漬部分には給油ポンプが設けられてい
て、回転軸の回転にともなって給油ポンプが潤滑油を吸
上げ、回転軸から各摺動部分に亘って設けられる給油通
路に潤滑油を導き、各摺動部分へ給油できるようになっ
ている。
【0007】上記給油ポンプとして用いられるのは、遠
心式の羽根ポンプが多い。しかるに、ヘリカルブレード
式圧縮機は軸受間距離が長いことが特徴であり、そのた
め運転周波数が低くなると遠心式ポンプでは急激に給油
量が減少してしまい、給油効率が極端に低下する。
【0008】そこで、運転周波数が低くても急激に給油
量が減少して給油効率を下げることのない信頼性の高い
給油ポンプと、ヘリカルブレード式の圧縮機構部への給
油構造の開発が進められている。
【0009】この種の給油ポンプの一例としては、一般
的な圧縮機に用いられる容積式給油ポンプである特公平
4−68475号公報が開示されている。これは、回転
軸の下端部に設けられたローラを遠心力で回転軸とは偏
心したポンプケースに押し付けることにより、ポンプ内
容積を増していく吸込工程と、ポンプ内容積を減じてい
く吐出工程を経て吸込側経路から吐出側経路へ潤滑油を
供給する。
【0010】このオイルポンプの給油特性は、図13に
破線変化Bで示すように、運転周波数に対して給油量が
一直線状に上昇する。したがって、低周波数運転に対応
した給油量に設定した場合、高周波運転を行なうと給油
過多に陥ってしまうという不具合がある。
【0011】本発明は上記事情にもとづいてなされたも
のであり、その第1の目的とするところは、軸受間の距
離が長いヘリカルブレード式圧縮機であることを前提と
して、低周波数運転においても確実に給油ができ、給油
ポンプ装置の構成部品が少なくてすみ組立ての容易な流
体圧縮機を提供しようとするものである。
【0012】また、第2の目的とするところは、低周波
数運転での給油量は下げることなく高周波数運転での給
油量を低減させ、高周波数運転での過度の給油を阻止し
て信頼性の向上を図った圧縮機の給油ポンプ装置を提供
しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため第1の発明の流体圧縮機は、請求項1として、密
閉ケースと、この密閉ケースに形成され、その内底部に
潤滑油を集溜する油溜り部と、上記密閉ケース内部に収
容され、シリンダと、このシリンダ内に配置され偏心運
動する回転体と、この回転体とシリンダとの間に介在さ
れ複数の圧縮室を区画形成する螺旋状のブレードを備
え、被圧縮流体を上記圧縮室に吸込んで順次圧縮しなが
ら移送するヘリカルブレード式の圧縮機構部と、上記密
閉ケース内部に収容された電動機部と、これら電動機部
と圧縮機構部とを連結する回転軸とを具備した流体圧縮
機において、上記回転軸を受ける軸受の端部に設けら
れ、回転軸の軸心に対して偏心して形成される油シリン
ダ室と、この油シリンダ室の開口面を閉塞するととも
に、回転軸先端面と摺接するスラスト板と、上記油溜り
部から上記油シリンダ室に連通される油吸込み通路と、
上記回転軸の上記油シリンダ室対向部位で、外周面から
径方向に設けられる切欠溝と、この切欠溝に変位自在に
掛合され、回転軸の回転にともなって作用する遠心力も
しくは付勢手段により油シリンダ室内周面に当接して油
シリンダ室を区分し、かつ油溜り部の潤滑油を上記油吸
込み通路から油シリンダ室内に吸込ませる仕切り体と、
上記回転軸の回転にともない、油シリンダ室の潤滑油を
案内する油吐出通路と、この油吐出通路から案内される
潤滑油を、上記圧縮機構部へ導く給油通路とを具備した
をことを特徴とする。
【0014】請求項2として、請求項1記載の流体圧縮
機において、上記回転軸は、主軸部と、クランク軸部お
よび副軸部とを一体に連設されてなり、上記主軸部と副
軸部とは、上記シリンダを構成する主軸受および副軸受
で受けられ、上記クランク軸部は上記シリンダ内の上記
回転体に摺接され、上記シリンダ内での回転軸の軸方向
の動きΔLは、油シリンダ室の長さをLとしたとき、
ΔL≦L/10 に設定されることを特徴とする。
【0015】請求項3として、請求項1記載の流体圧縮
機において、上記回転軸には軸受との摺接面に潤滑油を
導く油溝が形成され、この油溝の端部は油シリンダ室内
に連通することを特徴とする。
【0016】請求項4として、請求項1記載の流体圧縮
機において、上記回転軸は、主軸部と、クランク軸部お
よび副軸部とを一体に連設されてなり、上記主軸部と副
軸部とは、上記シリンダを構成する主軸受および副軸受
で受けられ、上記クランク軸部は上記シリンダ内の上記
回転体に摺接され、上記主軸部と、クランク軸部および
副軸部の少くとも1つの回転軸内の給油通路からそれぞ
れの摺接面に潤滑油を案内する油案内孔は、上記油シリ
ンダ室とは反対側の端部に形成されることを特徴とす
る。
【0017】請求項5として、請求項1記載の流体圧縮
機において、上記回転軸は、主軸部と、クランク軸部お
よび副軸部とを一体に連設されてなり、上記主軸部と副
軸部とは、上記シリンダを構成する主軸受および副軸受
で受けられ、上記クランク軸部は上記シリンダ内の上記
回転体に摺接され、主軸部と、クランク軸部および副軸
部の少くとも1つの回転軸内の給油通路からそれぞれの
摺接面に潤滑油を案内する油案内孔は、上記油シリンダ
室側の端部に形成されることを特徴とする。
【0018】上記第2の目的を達成するため第2の発明
の圧縮機の給油ポンプ装置は、請求項6として、密閉ケ
ース内に回転軸を介して連結される電動機部と圧縮機構
部を収容し、上記回転軸を受ける軸受の端部に設けら
れ、回転軸の軸心に対して偏心して形成される油シリン
ダ室と、この油シリンダ室の開口面を閉塞するととも
に、回転軸先端面と摺接するスラスト板と、上記油溜り
部から上記油シリンダ室に連通される油吸込み通路と、
上記回転軸の上記油シリンダ室対向部位で、外周面から
径方向に設けられる切欠溝と、この切欠溝に変位自在に
掛合され、回転軸の回転にともなって作用する遠心力も
しくは付勢手段により油シリンダ室内周面に当接して油
シリンダ室を区分し、かつ油溜り部の潤滑油を上記油吸
込み部から油シリンダ室内に吸込ませる仕切り体と、上
記回転軸の回転にともない、油シリンダ室の潤滑油を案
内する油吐出通路と、この油吐出通路から案内される潤
滑油を、上記圧縮機構部へ導く給油通路とを具備し、上
記油吸込み通路における潤滑油の流通抵抗を、給油通路
における潤滑油の流通抵抗に比べて大とすることを特徴
とする。
【0019】請求項7として、請求項6記載の圧縮機の
給油ポンプ装置において、上記油シリンダ室の排除容積
がVmlであり、上記油吸込み通路の有効断面積がYmm2
であるとき、以下の条件を満足することを特徴とする。
【0020】Y ≦ (V(2/3) )/7.7 請求項8として、請求項6もしくは請求項7記載の圧縮
機の給油ポンプ装置において、上記油吸込み通路は、上
記油シリンダ室内周と回転軸との間に形成される隙間に
対向するように、上記スラスト板に設けられることを特
徴とする。
【0021】請求項9として、請求項6記載もしくは請
求項7記載の圧縮機の給油ポンプ装置において、上記油
吸込み通路は、回転軸の軸方向とは直交する方向に、上
記油シリンダ室に開口するよう上記軸受に設けられるこ
とを特徴とする。
【0022】このような課題を解決する手段を備えるこ
とにより、請求項1ないし請求項5記載の発明では、軸
受間の距離が長いヘリカルブレード式圧縮機であるにも
関わらず、低周波数運転においても潤滑油が途中で溜る
ことなく円滑に導かれて確実に給油ができ、入力低減お
よび振動低減をなし、構成部品が少なくてすむ。また、
請求項6ないし請求項9の発明によれば、低周波数運転
側の給油量は下げることなく高周波数運転側の給油量を
低減させ、過度の給油を阻止する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面にもとづいて説明するに、ここに開示されるヘリカル
ブレード式圧縮機は、たとえば空気調和機の冷凍サイク
ルに用いられるものとする。したがって、被圧縮流体は
冷媒ガスとなる。
【0024】図1に示すように、密閉ケース1は、軸方
向を鉛直方向に向け両端が開口するケース本体1aと、
このケース本体1aの上端開口部を閉塞する上蓋1b
と、下端開口部を閉塞する下蓋1cとから構成される。
【0025】この密閉ケース1内には、ヘリカルブレー
ド式の圧縮機構部3と、電動機部4が収容される。すな
わち、密閉ケース1の軸方向ほぼ中央部を境に、図にお
いて下側の部分が圧縮機構部3、上側の部分が電動機部
4となる。
【0026】図2にも拡大して示すように、上記圧縮機
構部3は、両側端が開口する中空筒体であり、かつその
両側端の外周面に一対の鍔部5a,5bが突設されたシ
リンダ5を有している。このシリンダ5の少なくとも一
方の鍔部5aは、上記密閉ケース1を構成するケース本
体1aに圧入嵌着され、シリンダ5の位置決め固定がな
されている。
【0027】上記シリンダ5の上方側の端面には、主軸
受6が固定具7を介して取付け固定され、シリンダ5の
上端開口部が閉成される。下方側の端面には、副軸受8
が固定具7を介して取付け固定され、シリンダ5の下端
開口部が閉成される。
【0028】このような主軸受6と副軸受8の軸芯に沿
って回転軸9が挿通され、回転自在に支持される。回転
軸9は、上記主軸受6に枢支される主軸部9aと、上記
副軸受8に枢支される副軸部9bと、これら主軸部9a
と副軸部9bとの間に形成されるクランク軸部9cとか
ら構成される。
【0029】回転軸9の上記主軸部9aは、主軸受6か
ら図の上部方向に突設され、上記電動機部4の一部を構
成する。上記クランク軸部9cは、シリンダ5内に貫通
し、かつ主,副軸部9a,9b軸芯とは所定寸法だけ偏
心している。
【0030】このクランク軸部9cの上下部両側の部位
に隣接して、第1のカウンタバランサ部9dと、第2の
カウンタバランサ部9eが、回転軸9と一体に設けられ
る。これらのカウンタバランサ部9d,9eは、上記ク
ランク軸部9cの偏心方向とは軸芯を介して反対側の周
面部位に偏心している。
【0031】回転軸9と上記シリンダ5との間の空間部
には、その材質が鉄よりも比重の小さな、たとえばアル
ミニウム合金材が選択される、回転体であるローラ11
が介在される。ローラ11は、両端が開口する円筒体で
あり、この軸方向長さL1 はシリンダ5の軸方向長さL
1 と一致する。
【0032】ローラ11内周部の上記回転軸9のクラン
ク軸部9cと対向する部位は、クランク軸部9cと同一
幅で、かつ外周面と回転自在に摺接する内腔枢支部11
aが形成されている。
【0033】このことにより、ローラ11の軸芯はクラ
ンク軸部9cの軸芯と一致し、シリンダ5などの軸芯に
対して所定寸法だけ偏心していることになる。そして、
ローラ11の外周壁一部はシリンダ5の内周壁一部に軸
方向に沿って転接するように寸法設定されている。
【0034】上記ローラ11は、その下端部が上記副軸
受8に支持されていて、ローラ11の下端面がスラスト
面11bとなる。ローラ下端部と副軸受8との間には、
ローラ11の自転を規制するオルダム機構13が介設さ
れる。
【0035】回転軸9が回転するとクランク軸部9cが
偏心回転をなし、かつこのクランク軸部9cの外周面に
枢支されるローラ11が偏心移動である公転運動をな
す。ローラ11の公転運動にともなって、ローラ11外
周壁のシリンダ5内周壁に対する転接部位は、シリンダ
5の周方向に沿って漸次移動する。
【0036】上記ローラ11の外周面には、副軸受8取
付け側端部から主軸受6取付け側端部へ徐々にピッチを
小とする螺旋状溝14が設けられ、この溝に螺旋状のブ
レ−ド15が出入り自在に巻装される。
【0037】上記ブレード15は、たとえば弗素樹脂な
ど高滑性素材が用いられ、内径寸法はローラ11の外径
寸法よりも大に形成される。すなわち、ブレード15は
強制的に直径を縮小した状態で螺旋状溝14に嵌め込ま
れており、その結果、ローラ11ごとシリンダ5内に組
み込まれた状態でブレード15の外周面が常にシリンダ
内周壁に弾性的に当接するよう膨出変形している。
【0038】上述したように、ローラ11が公転運動し
てシリンダ5に対する転接位置が移動すると、転接部位
が接近するのにともなってブレード15は螺旋状溝14
内に没入し、転接位置でブレード外周面はローラ外周面
と完全に同一になる。
【0039】逆に、転接部位が通過すれば、ここからの
距離に応じてブレード15は螺旋状溝14から突出し、
転接部位とは軸芯を介して180°対向する部位で、ブ
レード15の突出長さが最大になる。この後は、再び転
接部位に接近して行くので、上述の作用になる。
【0040】一方、上記シリンダ5とローラ11を径方
向に沿って断面してみると、シリンダ5に対してローラ
11が偏心して収容され、かつローラの周面一部がシリ
ンダに転接状態にあるところから、これらシリンダとロ
ーラとの間に三ケ月状の空間部が形成される。
【0041】上記空間部を軸方向に沿ってみると、ロー
ラ11の螺旋状溝14にブレード15が巻装され、その
外周面がシリンダ5内周壁に転接しているところから、
ローラ11とシリンダ5との間はブレード15によって
複数の空間部に仕切られる。これら仕切られた空間部
を、圧縮室16と呼ぶ。
【0042】各圧縮室16の容積は、上記螺旋状溝14
の設定から副軸受8側端部から主軸受6側端部に亘っ
て、徐々に容積が小となる。そして、螺旋状溝14のピ
ッチの設定から、下部側の圧縮室16が吸込み部Aとな
り、上部側の圧縮室16が吐出部Bとなる。
【0043】一方、上記密閉ケース1を構成する下蓋1
cの側面には、冷凍サイクルに連通される吸込み管17
が貫通して設けられる。吸込み管17は、密閉ケース1
内部において、上記シリンダ5の下端鍔部5b周面に設
けられる接続部18に接続される。
【0044】接続部18は、シリンダ5の内周面に貫通
して設けられる開口部であって、ローラ11の外周面に
対して開口している。すなわち、接続部18はローラ1
1とシリンダ5との間に形成される圧縮室16に冷媒ガ
スを吸込み案内するガス吸込み部となっている。(以
下、接続部をガス吸込み部と言う)上記主軸受6には、
軸方向と平行に吐出用孔20が設けられていて、上記圧
縮室16で圧縮された高圧ガスを密閉ケース1内に吐出
案内するようになっている。図1のみに示すように、密
閉ケース1を構成する上蓋1bには、吐出管21が接続
されていて、冷凍サイクルに連通される。
【0045】一方、密閉ケース1の内底部には潤滑油を
集溜する油溜り部22が形成される。この油溜り部22
の潤滑油油面高さは、シリンダ5の上部鍔部5aよりも
わずかに低い程度であり、シリンダ5の大部分と、ガス
吸込み部18および副軸受8が潤滑油中に浸漬される。
【0046】上記副軸受8には、その上下端面に貫通す
る図示しない油導通用孔が設けられていて、潤滑油を上
記オルダム機構13との掛合面と、上記ローラ11のス
ラスト面11bに導く。
【0047】上記回転軸9においては、その下端面から
軸方向に沿って給油ポンプ装置Pが設けられる。つぎ
に、給油ポンプ装置Pについて詳述する。図3(A)
(B)にも示すように、上記回転軸9の一部を枢支する
副軸受8の枢支孔8a下端部には、この軸心に対して偏
心する凹溝部24が設けられる。この凹溝部24に上記
回転軸9端部が挿入されると、回転軸9と凹溝部24と
の間に三ケ月状の空間部が形成される。この空間部を油
シリンダ室Sと呼ぶ。
【0048】この油シリンダ室Sの開口面は、副軸受8
の下端面に取付けねじ25を介して取付けられるスラス
ト板26によって閉塞される。したがって、回転軸9の
先端面である下端面は、回転軸9の回転にともなってス
ラスト板26と摺接するようになっている。
【0049】上記凹溝部24の周部には油吸込み用切欠
部27が設けられていて、油シリンダ室Sに対向する。
そして、油吸込み用切欠部27と連通する上記スラスト
板26部位には、長孔である油吸込み孔28が設けられ
ていて、これらで上記油溜り部22から油シリンダ室S
に連通する油吸込み通路30が形成される。
【0050】さらに、上記回転軸9の下端部である油シ
リンダ室S対向部位には、その外周面から径方向の中途
部まで切欠溝31が設けられる。この切欠溝31は、回
転軸9周面から中途部までは完全な平行面を有するよう
形成され、先端部においては平行面相互の間隔寸法を直
径とする半円状になっている。
【0051】上記切欠溝31には、仕切り体であるロー
ターピン32が変位自在に掛合される。このローターピ
ン32の軸方向長さは上記切欠溝31の深さ寸法と一致
する。そして、ローターピン32の直径は切欠溝31端
部に形成される半円部の直径よりもごくわずか小さく、
したがって切欠溝31に対して移動自在に収容されるこ
とになる。
【0052】上記回転軸9の下端面から先に示した圧縮
機構部3に亘って、かつこの軸方向に沿って縦孔からな
る給油通路33が設けられる。この給油通路33の下端
部で、回転軸9の軸方向とは直交する方向に、給油通路
33と油シリンダ室Sとを連通する油吐出通路34が設
けられる。
【0053】副軸受8において、副軸受枢支孔8aと摺
接する回転軸副軸部9bの周面には油溝35が設けられ
る。この油溝35の一端部は上記油シリンダ室S内に連
通しており、油シリンダ室Sから給油ポンプ装置Pとは
離間する方向へ螺旋状に形成される。この油溝35の油
シリンダ室S開口端は、図4にも示すように上記油吐出
通路34の開口端よりも回転方向側に位置されている。
【0054】また、回転軸主軸部9a周面と、回転軸ク
ランク軸部9c周面にも、それぞれ油溝36,37が設
けられる。それぞれの油溝36,37は、主軸部9aと
クランク軸部9cの上端部において回転軸9の軸方向と
は直交する方向に設けられる油案内孔38,39を介し
て上記給油通路33と連通する。
【0055】このようにして構成される給油ポンプ装置
Pに対して、上記電動機部4は主軸受け6から突出する
回転軸9の主軸部に嵌着されるロータ40と、このロー
タの外周面と所定の間隙を存して上記ケース本体1a内
周面に嵌着されるステータ41とからなる。
【0056】しかして、電動機部4に通電してロータ4
0とともに回転軸9を一体に回転駆動する。この回転軸
9の回転力は、クランク部9cを介してローラ11に伝
達される。
【0057】クランク部9cは偏心しており、ローラ1
1の内腔枢支部11aが回転自在に掛合しているので、
ローラ11はクランク軸部9cに押される。しかも、ロ
ーラ11と副軸受8との間に介在されるオルダム機構1
3はローラの自転を規制するところから、ローラ11は
公転運動をなす。
【0058】吸込み管17から低圧の冷媒ガスが吸込ま
れ、ガス吸込み部18から吸込み部A側の圧縮室16に
導かれる。ローラ11の公転運動にともなって、ローラ
11のシリンダ5内周面に対する転接位置が周方向に漸
次移動し、ブレ−ド15は螺旋状溝14に対して出入り
する。すなわち、ブレード15はローラの径方向に突没
移動する。
【0059】吸込み部A側の圧縮室16に導かれた冷媒
ガスは、ブレード15が螺旋状に形成されるところか
ら、ローラ11の公転運動にともなって吐出部B方向の
圧縮室16に順次移送される。
【0060】上記ブレード15は吸込み部Aから吐出部
B側へ順次ピッチが小さくなるよう設定され、このブレ
ードによって仕切られる圧縮室16の容積は順次縮小さ
れるので、冷媒ガスは圧縮室を順次移送される間に圧縮
され、最も吐出部B側の圧縮室において所定圧まで上昇
し高圧化する。
【0061】高圧ガスは、吐出部Bの圧縮室16から吐
出され、主軸受6の吐出用孔20を介して上部の電動機
部4側の密閉ケース1空間部に導かれる。そして、密閉
ケース1の上端部に設けられる吐出管21から凝縮器へ
導出される。
【0062】一方、給油ポンプ装置Pにおいては、回転
軸9が油シリンダ室Sの周面一部に転接した状態で回転
する。この回転にともなってローターピン32に対して
遠心力が作用し、ローターピン32は常に油シリンダ室
S周面に転接した状態で回転軸9とともに回転(公転)
する。そして、上記ローターピン32が回転軸9と油シ
リンダ室S周面との転接部位と一致したとき以外は、ロ
ーターピン32は油シリンダ室Sを2分する。
【0063】なお説明すれば、図4(a)に示す状態で
は、ローターピン32が油吸込み通路30を通過した直
後の状態であり、こことローターピン32との間の油シ
リンダ室S部位が負圧状態になっており、その結果、油
溜り部22の潤滑油を油吸込み通路30を介して油シリ
ンダ室Sに吸込む。
【0064】また、ローターピン32によって回転軸9
の回転方向側に区分される油シリンダ室S部分には、既
に潤滑油が吸込まれており、ある程度圧縮された状態で
一部は油吐出通路34および給油通路35を介して上記
圧縮機構部3に給油され、各摺動部品の円滑な作用を保
証する。
【0065】同図(a)の位置から回転軸9が図におい
て時計回り方向へ回転し、同図(b)位置まで90°変
位すると、油吸込み通路30と連通する油シリンダ室S
部分の容量が拡大して、さらに多くの潤滑油を油溜り部
22から吸込む。一方、回転方向側のシリンダ室S部分
では、容量がさらに縮小化して、油吐出通路34へ圧送
される潤滑油量が多くなる。
【0066】同図(c)に示すように、回転軸9が90
°回転すると、油吸込み通路30と連通する油シリンダ
室S部分の容量がほとんど最大限状態に拡大して、さら
に多くの潤滑油を油溜り部22から吸込む。一方、回転
方向側のシリンダ室S部分では、容量がさらに縮小化し
て、油吐出通路34へ圧送される潤滑油量がほとんど無
くなる。
【0067】同図(d)に示すように、さらに回転軸9
が90°変位した位置では、ローターピン32の油シリ
ンダ室S周面に対する転接部位が、回転軸9と油シリン
ダ室S周面との転接部位と一致し、油吸込み通路30と
連通する油シリンダ室Sが全てとなる。その一方で、油
吸込み通路30と油吐出通路34とは連通して、油吐出
通路34へ圧送される潤滑油量はない。
【0068】ついで、再び同図(a)の状態に戻って、
上述の給油作用を繰り返す。このようにして、給油ポン
プ装置Pは給油通路33に対して極めて効率のよい給油
作用を継続する。
【0069】油シリンダ室Sから直接油溝35を介して
回転軸副軸部9b周面に導かれる潤滑油があり、副軸部
9b周面と副軸受枢支孔8aとの摺接面への給油をな
す。この油溝35の端部を油吐出通路34の開口端より
も回転方向側に設定したので、油溝35端部は常に潤滑
油の充満している油シリンダ室S部位に連通することに
なり、油溝35へは安定した給油がなされるとともに、
油吐出通路34への給油量も減少せずにすむ。
【0070】また、油吐出通路34からの潤滑油は給油
通路33から油案内孔38と回転軸主軸部9aの油溝3
6を介して、主軸部9a周面と主軸受6の枢支孔6aと
の摺接面に給油される。さらに、潤滑油の一部は給油通
路33から油案内孔39と回転軸クランク軸部9cの油
溝37を介して、クランク軸部9c周面とローラ内腔枢
支部11aとの摺接面に給油される。
【0071】いずれの油溝36,37においても、油シ
リンダ室S、すなわち給油ポンプ装置Pとは反対側の部
位から給油ポンプ装置Pへ向かって給油案内するように
なっている。
【0072】したがって、主軸部9aとの摺接面を給油
した潤滑油は、直接密閉ケース1内に導かれることな
く、ローラ11の内周部に導かれるので、密閉ケース1
から冷凍サイクル構成部品へ吐出される潤滑油量(以
下、吐油量と呼ぶ)が少なくてすむ。
【0073】潤滑油は、直接密閉ケース1内に導かれる
ことなく、ローラ11の内周側のクランク軸部9c下部
に導かれるので、圧縮機構部3から密閉ケース1内に出
難く、よって吐油量が少なくてすむ。
【0074】なお、この種の給油ポンプ装置P構造で
は、回転軸9がスラスト方向に移動してスラスト板26
との隙間が大きくなる恐れがあり、このときは潤滑油の
漏れが増加して体積効率が低くなる。
【0075】そこで、回転軸9のスラスト方向の動きを
規制する手段を採用している。すなわち、特に図2に示
すように、回転軸9先端面とスラスト板26との隙間Δ
Lがローターピン32の全長(油シリンダ室Sの長さで
もある)L5 の 1/10 以上になると急激に体積効率が落
ちるとの実験結果を得たので、上記隙間ΔLがそれ以下
となるように設定する。
【0076】具体的には、ローラ11長さをL1 、主軸
受6のシリンダ5当接面からの突出部長さをL2 、副軸
受8のスラスト面11bからの突出部長さをL3 、回転
軸9の副軸部9b側スラスト面から主軸部9a側スラス
ト面までの長さをL4 としたとき、回転軸9先端面とス
ラスト板26との隙間ΔLは、以下の式から設定され
る。
【0077】ΔL = L1 −(L2 +L3 +L4 )
≦ L5 /10 なお、給油ポンプ装置Pとして、図5以下に述べるよう
な構成であってもよい。ただし、先に図1ないし図4で
説明したものと相違する以外は全て同一の構成と作用を
なすので、ここでは主要の構成部品にのみ同番号を付
し、新たな説明は省略する。
【0078】図5に示すように、回転軸9の下端面から
軸心に沿って設けられる縦孔である給油通路33aは、
先に説明したものよりも短く形成され、その先端部は主
軸受6の突出部に対向する。
【0079】回転軸副軸部9bの周面に設けられる油溝
35aは、その上端部が給油通路33aと副軸部9b周
面との間に設けられる油案内孔50に連通し、その下端
部のシリンダ室Sへの開口端はローターピン32よりも
回転方向の反対側に位置されている。したがってこの油
溝35aは、給油ポンプ装置Pとは反対側端部から油シ
リンダ室Sに向かって潤滑油を導通させるようにした。
【0080】このことにより、低周波運転が継続した場
合などに、ローラ11の内周部に潤滑油が溜ったとして
も、この溜った潤滑油をローラ11外部へ出すことがで
き、第2のカウンタバランサ部9eが潤滑油を掻き回す
ことを防止して入力低減と振動低減を図れる。
【0081】回転軸9の主軸部9aとクランク軸部9c
に設けられる油溝36a,37aにおいては、それぞれ
油案内孔38a,39aの位置を変えることにより、給
油ポンプ装置P側から同装置とは反対側の端部に向けて
潤滑油を導く構造となっている。
【0082】主軸部9aの油溝36a構造により、同圧
縮機のごとき縦置き形であり揚程が長くなることによる
給油不足をなくすことができる。クランク軸部9cの油
溝37a構造により、低周波運転が継続した場合など
に、給油した潤滑油がローラ11内周下部に溜って第2
のカウンタバランサ部9eにより掻き回され入力アップ
や、振動の原因となることが防止される。
【0083】図6に示すように、回転軸主軸部9aに設
けられる油溝36aは、図5で説明したのと同様、油案
内孔38aとの連通部である給油ポンプ装置P側から同
装置Pとは離間する方向に向けて給油案内する。
【0084】また、回転軸クランク部9cに設けられる
油溝37は、図2で説明したものと同様、油案内孔39
の位置から給油ポンプ装置Pとは離間する位置から同ポ
ンプ装置P方向へ向けて給油案内する。
【0085】したがって、各油溝36a,37に連通す
る油案内孔38a,39の位置が互いに近接することに
なり、主軸部9a摺接面とクランク軸部9c摺接面への
給油に差が開かないようになるとともに、揚程が長くな
ることによる給油不足をなくすことができる。
【0086】図7に示すように、回転軸9には第1の給
油通路33bと第2の給油通路33cとに分けて設けら
れる。第1の給油通路33bは回転軸9の下端部からク
ランク軸部9cの下部まで設けられ、第2の給油通路3
3cは第1の給油通路33b上端部と所定間隔を存して
いて、クランク軸部9cから主軸部9aに亘って設けら
れる。
【0087】上記クランク軸部9cにおける第1の給油
通路33bの上端部と、第2の給油通路33cの下端部
のそれぞれには、クランク軸部9c周面に亘って油案内
孔39a,39bが設けられる。そして、クランク軸部
9c周面における各油案内孔39a,39bの開口端を
連通する油溝37bが設けられる。
【0088】副軸部9bと主軸部9aにそれぞれ設けら
れる油溝35a,36aは、先に図5で説明したものと
同一であるので、新たな説明は省略する。第1の給油通
路33bから油溝37bに導かれる潤滑油はクランク軸
部9c周面とローラ内腔枢支部11aとの潤滑をなした
あと、一旦、第2の給油通路33cに導かれ主軸部9a
の油溝36aを介して主軸受6との潤滑に用いられる。
したがって、クランク軸部9cを出たあとの潤滑油がロ
ーラ11内周部に溜り難くなって、入力低減と、振動低
減を図ることができる。
【0089】図8および図9に示すような給油ポンプ装
置であってもよい。なお、以下の給油ポンプ装置は、上
述の実施形態でのヘリカル式の圧縮機に限らず、容積式
給油ポンプを備えたものであれば、スクロール式やロー
タリ式などの一般的な圧縮機構部を有する流体圧縮機に
適用することができる。
【0090】油シリンダ室Sを仕切る仕切り体は、ここ
では先のローターピン32に換わってベーン32Aが用
いられる。このベーン32Aは付勢体である圧縮ばね5
1によって、その先端部が油シリンダ室Sの内周面に当
接するよう弾性的に押圧付勢される。
【0091】油シリンダ室Sの開口部を閉塞するととも
に回転軸9下端面を受けるスラスト板26は、上記油シ
リンダ室Sに連通する油吸込み通路30Aが設けられる
ことは勿論であるが、ここではその中途部に絞り部52
を有している。
【0092】このような構成であれば、絞り部52を有
する油吸込み通路30Aを通過することによって、潤滑
油の圧力はいくらか減圧され、油シリンダ室Sに流入す
ることになる。
【0093】実際の圧縮運転にともなう給油ポンプ装置
Pの給油時では、低周波数運転の際には油シリンダ室S
に流れる潤滑油流量が少ないため、上記絞り部52によ
って発生する抵抗は小さく、潤滑油自体の減圧量も少な
い。
【0094】したがって、油シリンダ室Sにおける油吸
込み工程と吐出工程間の差圧もわずかであり、これらの
工程間のシール部R、すなわち油シリンダ室Sに対する
回転軸9の転接部でのクリアランスでの潤滑油の漏れは
小さい。
【0095】しかるに、高周波数運転では上記油シリン
ダ室Sに流れる潤滑油流量が多くなり、上記絞り部52
によって発生する抵抗も大きく、潤滑油自体の減圧量も
多くなる。
【0096】すると、油シリンダ室Sにおける油吸込み
工程が吐出工程に対して低圧となり、両工程間の差圧が
大きくなり、これら工程間のシール部R、すなわち油シ
リンダ室Sに対する回転軸9の転接部のクリアランスに
おいて高圧側の吐出工程から低圧側の油吸込み工程へと
潤滑油が多量に漏れることになる。
【0097】このように、通常は油吸込み工程と吐出工
程間にほとんど差圧が生じない油ポンプにおいて、上記
絞り部52を設けて両工程間に差圧を生じさせることに
よって、図13の実線変化Aに示すように、一般的な容
積給油ポンプ装置の破線変化Bに対して、低周波運転時
の給油量を減らすことなく確保しながら、高周波数運転
時の給油量を減らすことができるとともに、過度の給油
による圧縮空間への潤滑油巻き込みを抑制して信頼性の
向上を図れる。
【0098】なお、上記油吸込み通路30Aに絞り部5
2を設けることのほかに、以下に説明するような構成を
採用しても、図13の実線変化Aで示すような作用効果
を得られる。
【0099】図10に示すように、油シリンダ室Sの排
除容積をVmlとし、スラスト板26に設けられる油吸込
み通路30の有効断面積をYmm2 とすると、 Y ≦( V(2/3) )/7.7 の条件を満たす関係に設定する。
【0100】すなわち、先に説明した油吸込み通路30
Aの長さがとれずに短い場合は、当然、絞り部52を形
成できない。そこで、上記油吸込み通路30Aの断面積
を上記条件を満たすよう小さくすれば、先に説明したも
のと同様の作用効果を得られる。
【0101】また、油吸込み通路30Aの絞り部52を
孔部で構成すると、油シリンダ室Sの排除容積が小さい
場合は、上記孔部52の直径がごく小さいものとなって
加工が困難になる。
【0102】そこで図11に示すように、油吸込み通路
30Bは、油シリンダ室S内周と回転軸9周面との間に
形成される隙間qに対向するように設ける。すなわち、
ハッチングで示す油シリンダ室Sと回転軸9との隙間q
に対向する部分が油吸込み通路30Bの有効断面積とな
って絞り部を設けた場合と同様の効果を有し、よって油
吸込み通路30Bはより大きな直径で設けることがで
き、加工し易い。
【0103】図12に示すように、油吸込み通路30C
を副軸受8に設けられる細管に換えてもよい。上記油吸
込み通路30Cは回転軸9の軸方向とは直交する方向で
ある水平方向に設けられ、一方の開口端は副軸受8外周
面に位置し、他方の開口端は図示しない油シリンダ室に
開口することになる。
【0104】このような油吸込み通路30Cの構成であ
れば、細管として長くすることにより流通抵抗が大にな
り、より大きな絞りが確保できて、上述のような特別な
絞り部が不要となる。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、軸
受間の距離が長いヘリカルブレード式圧縮機であるにも
関わらず、比較的簡単な構成の給油ポンプ装置で、様々
なタイプの圧縮機に採用でき、しかも運転周波数に関わ
らず確実な給油を可能化して、信頼性の向上を得るなど
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す、ヘリカルブレー
ド式圧縮機の断面図。
【図2】同実施の形態を示す、圧縮機構部を拡大した断
面図。
【図3】(A)は、同実施の形態を示す、副軸受を断面
した斜視図。(B)は、副軸受に対する回転軸とスラス
ト板の組立てを説明する図。
【図4】(a)ないし(d)は、同実施の形態を示す、
圧縮機構部の作用を順に説明する図。
【図5】他の実施の形態を示す、ヘリカルブレード式圧
縮機の一部省略した断面図。
【図6】さらに他の実施の形態を示す、ヘリカルブレー
ド式圧縮機の一部省略した断面図。
【図7】さらに他の実施の形態を示す、ヘリカルブレー
ド式圧縮機の一部省略した断面図。
【図8】さらに他の実施の形態を示す、給油ポンプ装置
の断面図。
【図9】同実施の形態を示す、給油ポンプ装置の平面
図。
【図10】さらに他の実施の形態を示す、給油ポンプ装
置の一部分解した斜視図。
【図11】さらに他の実施の形態を示す、給油ポンプ装
置の一部平面図。
【図12】さらに他の実施の形態を示す、給油ポンプ装
置の断面図。
【図13】給油ポンプ装置における圧縮機の運転周波数
に対する給油量の特性図。
【符号の説明】
1…密閉ケース、 22…油溜り部、 5…シリンダ、 11…回転体(シリンダ)、 16…圧縮室、 15…ブレード、 3…圧縮機構部、 4…電動機部、 9…回転軸、 6…主軸受、 8…副軸受、 S…油シリンダ室、 26…スラスト板、 30…油吸込み通路、 31…切欠溝、 32…仕切り体(ローターピン、ベーン)、 34…油吐出通路、 33…給油通路、 35,36,37…油溝、 9a…主軸部、 9c…クランク軸部、 9b…副軸部、 38,39…油案内孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本勝 隆 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 (72)発明者 平山 卓也 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 (72)発明者 下田 盛彰 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 (72)発明者 貴田 成雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密閉ケースと、 この密閉ケースに形成され、その内底部に潤滑油を集溜
    する油溜り部と、 上記密閉ケース内部に収容され、シリンダと、このシリ
    ンダ内に配置され偏心運動する回転体と、この回転体と
    シリンダとの間に介在され複数の圧縮室を区画形成する
    螺旋状のブレードを備え、被圧縮流体を上記圧縮室に吸
    込んで順次圧縮しながら移送するヘリカルブレード式の
    圧縮機構部と、上記密閉ケース内部に収容された電動機
    部と、これら電動機部と圧縮機構部とを連結する回転軸
    とを具備した流体圧縮機において、 上記回転軸を受ける軸受の端部に設けられ、回転軸の軸
    心に対して偏心して形成される油シリンダ室と、 この油シリンダ室の開口面を閉塞するとともに、回転軸
    先端面と摺接するスラスト板と、 上記油溜り部から上記油シリンダ室に連通される油吸込
    み通路と、 上記回転軸の上記油シリンダ室対向部位で、外周面から
    径方向に設けられる切欠溝と、 この切欠溝に変位自在に掛合され、回転軸の回転にとも
    なって作用する遠心力もしくは付勢手段により油シリン
    ダ室内周面に当接して油シリンダ室を区分し、かつ油溜
    り部の潤滑油を上記油吸込み通路から油シリンダ室内に
    吸込ませる仕切り体と、 上記回転軸の回転にともない、上記油シリンダ室の潤滑
    油を案内する油吐出通路と、 この油吐出通路から案内される潤滑油を、上記圧縮機構
    部へ導く給油通路とを具備したをことを特徴とする流体
    圧縮機。
  2. 【請求項2】上記回転軸は、主軸部と、クランク軸部お
    よび副軸部とを一体に連設されてなり、 上記主軸部と副軸部とは、上記シリンダを構成する主軸
    受および副軸受で受けられ、上記クランク軸部は上記シ
    リンダ内の上記回転体に摺接され、 上記シリンダ内での回転軸の軸方向の動きΔLは、油シ
    リンダ室の長さをLとしたとき、 ΔL≦L/10 に
    設定されることを特徴とする請求項1記載の流体圧縮
    機。
  3. 【請求項3】上記回転軸には軸受との摺接面に潤滑油を
    導く油溝が形成され、 この油溝の端部は油シリンダ室内に連通することを特徴
    とする請求項1記載の流体圧縮機。
  4. 【請求項4】上記回転軸は、主軸部と、クランク軸部お
    よび副軸部とを一体に連設されてなり、 上記主軸部と副軸部とは、上記シリンダを構成する主軸
    受および副軸受で受けられ、上記クランク軸部は上記シ
    リンダ内の上記回転体に摺接され、 上記主軸部と、クランク軸部および副軸部の少くとも1
    つの回転軸内の給油通路からそれぞれの摺接面に潤滑油
    を案内する油案内孔は、上記油シリンダ室とは反対側の
    端部に形成されることを特徴とする請求項1記載の流体
    圧縮機。
  5. 【請求項5】上記回転軸は、主軸部と、クランク軸部お
    よび副軸部とを一体に連設されてなり、 上記主軸部と副軸部とは、上記シリンダを構成する主軸
    受および副軸受で受けられ、上記クランク軸部は上記シ
    リンダ内の上記回転体に摺接され、 主軸部と、クランク軸部および副軸部の少くとも1つの
    回転軸内の給油通路からそれぞれの摺接面に潤滑油を案
    内する油案内孔は、上記油シリンダ室側の端部に形成さ
    れることを特徴とする請求項1記載の流体圧縮機。
  6. 【請求項6】密閉ケース内に回転軸を介して連結される
    電動機部と圧縮機構部を収容し、 上記回転軸を受ける軸受の端部に設けられ、回転軸の軸
    心に対して偏心して形成される油シリンダ室と、 この油シリンダ室の開口面を閉塞するとともに、回転軸
    先端面と摺接するスラスト板と、 上記油溜り部から上記油シリンダ室に連通される油吸込
    み通路と、 上記回転軸の上記油シリンダ室対向部位で、外周面から
    径方向に設けられる切欠溝と、 この切欠溝に変位自在に掛合され、回転軸の回転にとも
    なって作用する遠心力もしくは付勢手段により油シリン
    ダ室内周面に当接して油シリンダ室を区分し、かつ油溜
    り部の潤滑油を上記油吸込み部から油シリンダ室内に吸
    込ませる仕切り体と、 上記回転軸の回転にともない、上記油シリンダ室の潤滑
    油を案内する油吐出通路と、 この油吐出通路から案内される潤滑油を、上記圧縮機構
    部へ導く給油通路とを具備し、 上記油吸込み通路における潤滑油の流通抵抗を、給油通
    路における潤滑油の流通抵抗に比べて大とすることを特
    徴とする圧縮機の給油ポンプ装置。
  7. 【請求項7】上記油シリンダ室の排除容積がVmlであ
    り、上記油吸込み通路の有効断面積がYmm2 であると
    き、以下の条件を満足することを特徴とする請求項6記
    載の圧縮機の給油ポンプ装置。 Y ≦ (V(2/3) )/7.7
  8. 【請求項8】上記油吸込み通路は、上記油シリンダ室内
    周と回転軸との間に形成される隙間に対向するように、
    上記スラスト板に設けられることを特徴とする請求項6
    もしくは請求項7記載の圧縮機の給油ポンプ装置。
  9. 【請求項9】上記油吸込み通路は、回転軸の軸方向とは
    直交する方向に、上記油シリンダ室に開口するよう上記
    軸受に設けられることを特徴とする請求項6記載もしく
    は請求項7記載の圧縮機の給油ポンプ装置。
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