JPH1136727A - 簡易複層ガラス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】シングルシールタイプの複層ガラスに関する。 【解決手段】対向する２枚のガラス板の周端辺に、乾燥
剤入りのコ字状スペーサの開口部を外側にして挟むよう
に設け、該スペーサの両側面と、前記ガラス板の周端辺
とを接着シートを介して接着させ、空気層を密封シール
するようにし、前記簡易複層ガラスの外周端縁および端
面を複層ガラスの板厚より幅広の接着テープで被覆カバ
ーするように接着させる、または前記複層ガラスの外周
端縁をクリップ部材で挟持被覆するようにし、かつ該ク
リップ部材の内側底部に設けた凸部と簡易複層ガラス間
に接着したコ字状スペーサーの開口部とを嵌合するよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はシングルシールタイ
プの複層ガラスに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、採光や、デザイン的効果を目
的として建物等の外装材にガラス板が多く用いられてき
たが、特に近年では省エネルギー効果を目的として、複
層ガラスの使用が増加する傾向にある。

【０００３】建物等の窓やトップライト等の開口部に用
いる複層ガラスは、通常２枚のガラス板を対向させ各々
の端縁部間に沿って配設された乾燥剤入りのスペーサー
にて所定の間隔に保持すると共に接着シール（一次シー
ル）させ、さらにその周囲を弾力性のシーリング材で気
密に封止（二次シール）して、２枚のガラス板間の空気
を乾燥状態に保つようにしたものが一般的であり良く知
られている。

【０００４】これらの複層ガラスは一次シール、二次シ
ールの２段階のシールを備え、ＪＩＳ規格で定められた
露点規定値をはるかに上回る性能を満たしている。製造
コストは二次シール時にかかる作業費が大きく、二次シ
ール工程の自動化で作業費の削減も可能であるが、設備
投資も必要になり、コスト低減もままならない。

【０００５】このためコスト低減策として二次シールを
省略し、一次シールのみとした簡易型の複層ガラスが各
社で検討されている。例えば、本出願人による実公昭６
２−３５１０号公報において、予め２枚の対向するガラ
ス板内側面の周縁および端面に密着された側壁と、前記
ガラス板の外側面の延長上に面を有し該外側面と一面と
なる外壁と、前記対向する２枚のガラス板内にあって該
ガラス板を離隔する内壁とにより一体に形成されるスペ
ーサを設け、これらスペーサの少くとも一辺のスペーサ
の前記内壁にガラス板間空間に通ずる開口部を設け、前
記外壁、側壁および内壁で形成される開放空間に吸湿材
を収納して後、前記開放空間を外端から密封する外蓋を
設けてなる複層ガラスを開示している。

【０００６】また、実開平７−３１８３２号公報には、
二枚のガラス板の周縁部間に介装して複層ガラスを形成
する合成樹脂製のスペーサーであって、前記二枚のガラ
ス板間に配置される硬質の本体部と、該本体部の一側か
ら延出して両ガラス板の端面を覆う被覆辺とを一体形成
し、前記本体部の両側壁部を両面接着テープにより両ガ
ラス板に固着して両ガラス板を所定間隔に保持するとと
もに、前記被覆辺で両ガラス板の端面を覆うように構成
した複層ガラス用スペーサーが開示されている。

【０００７】さらに、複層ガラスの周縁部を保護テープ
や枠等で覆うものとして、例えば、実開平３−１０１７
９３号公報には、対向配置した一対のガラス板の周縁部
間にスペーサが介在されると共に、該スペーサ外面と両
ガラス板内面との間で形成される溝部に封着材が充填さ
れ、その全周にわたり周端面と両ガラス板外面周縁部を
覆う保護テープが貼着されてなる複層ガラスが開示され
ている。

【０００８】また、実開昭６２−７３０９０号公報に
は、複数枚のガラス板と該ガラス板の相対向する全縁開
口部に介装するＵ字状のサッシュと、このサッシュに充
填する軟質性のシール部材成型品と、このシール部材を
圧接し、前記ガラス板の外周に装着する額縁とを備えて
なる複層ガラスが開示されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】実公昭６２−３５１０
号公報のもの、および実開平７−３１８３２号のもの
は、スペーサーの外周にさらにシール材を充填するとい
う二次シールはなく、一次シールのみとしているためシ
ンプルな構造の複層ガラスとなっているが、スペーサー
の側壁のガラスと接着させる部分をガラス板の厚み分だ
け薄くしてガラス板を接着剤で接着させるため、ガラス
板の厚みが変化するとそれに応じてスペーサーを幾種類
も用意し、取り替えねばならないという問題点があっ
た。

【００１０】また、実開平３−１０１７９３号のもの、
及び実開昭６２−７３０９０号のものは、一対のガラス
板の周縁部に設けたスペーサーの外周部に二次シールと
してシール材を充填させ、さらにガラス板の外面周縁部
に保護テープを貼着したり、あるいはガラス板の外周に
額縁を挿着させたもので、いずれも二次シールを充填さ
せるものであり、複雑な工程となっているため、生産
性、コスト面において問題点があった。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、二次シール工
程を省いたシンプルな構成にして、複層ガラスの持つ断
熱性能、透視性を損なわず、およびガラスの板厚に左右
されないスペーサーを用い、複層ガラスの低コスト化を
目的として、対向する２枚のガラス板の周端辺に、乾燥
剤入りのコ字状スペーサの開口部を外側にして挟むよう
に設け、該スペーサの両側面と、前記ガラス板の周端辺
とを接着シートを介して接着させ、空気層を密封シール
するようにし、または、前記簡易複層ガラスの外周端縁
および端面を複層ガラスの板厚より幅広の接着テープで
被覆カバーするように接着させ、あるいはまた、前記複
層ガラスの外周端縁をクリップ部材で挟持被覆するよう
にし、かつ該クリップ部材の内側底部に設けた凸部と簡
易複層ガラス間に接着したコ字状スペーサーの開口部と
を嵌合するようにした簡易複層ガラスを提供する。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の複層ガラスは、図１、図
２に示すようにガラス板２を２枚対向させ、その周端辺
内側に乾燥剤入りの断面コ字状のスペーサー３の開口部
を外周側にして挟むように設け、該スペーサー３の両側
面と、前記ガラス板２、２の周端辺とを両面接着シート
４を介して接着させ、ガラス板２、２間の空気層を密封
シールするようにしたものである。

【００１３】前記コ字状のスペーサー３は乾燥剤５の収
納部分の両側面がガラス板２、２との接触面となるのみ
ならず、さらに両端部を長くしてガラス板２、２との接
触面積を大幅に大きくし、接触部全面をブチルからなる
接着シート４により接着するようにしたので、通常一般
的に行われているスペーサー３の外周に充填する２次シ
ールを省略してもシール性能が低下することはない。

【００１４】また、前記スペーサー３を接着させた簡易
複層ガラス１の外周端縁および端面を図３に示すように
全周囲にわたって複層ガラス１の板厚より幅広の接着テ
ープ７で被覆しカバーするように接着させれば、２次シ
ールのシール材の充填を省略した１次シールの接着シー
ト４だけのものよりシール性は一段と向上する。

【００１５】前記接着テープ７を簡易複層ガラス板１に
施す場合は、全周囲４辺が望ましいが、対向する２辺で
もよい。あるいは、簡易複層ガラス１の外周端縁を、図
４に示すようにクリップ部材６で挟持被覆するように
し、かつ該クリップ部材６の内側底部に設けた凸部と簡
易複層ガラス１のガラス板２、２間に接着したコ字状ス
ペーサー３の開口部とを嵌合させると、１対のガラス板
２、２とその間に挟持接着したスペーサー３の接着剥離
を防止でき、一層強固なものとすることができる。

【００１６】クリップ部材６はＳＵＳ等の金属製のもの
を用いるが、樹脂製でも良い。またクリップ部材６を複
層ガラスの端縁部に嵌合させた場合に抜け落ちないよう
に、クリップ部材６の先端をわずかに狭めてバネ力を持
たせるようにした。

【００１７】前記クリップ部材６を設ける場合、簡易複
層ガラス１の少なくとも対向する２辺以上とし、図２に
示す簡易複層ガラス１の外周部に設ける。あるいは図３
に示すような複層ガラス１の外周部に接着テープ７を被
着したものに加えて、図７に示すようにさらにクリップ
部材６にて複層ガラス１の周縁部を挟持させるようにし
てもよい。この場合接着テープ７によりスペーサーの開
口部が塞がれるため、クリップ部材の底部内側に凸部を
設けないタイプで被着させるようにする。

【００１８】さらに、コ字状スペーサー３はアルミの押
し出し成型品としたが、合成樹脂製でも良く、さらにア
ルミ以外の金属としても良い。また、複層ガラス１を構
成するガラス板２、２の片側を網入りガラスまたは線入
りガラスとすれば、破損時の飛散防止となり、さらにま
た複層ガラス１の室外側のガラス板２を熱線反射ガラス
とすれば、省エネルギー効果が一層高められることにな
る。

【００１９】複層ガラス１の外周部に被覆接着させる接
着テープ７の幅は複層ガラス１の板厚より幅広とした
が、図５に示すように複層ガラス１の板厚と同じとして
も良い。また、図６で示すように複層ガラス１の各ガラ
ス板２の周端部を別々に接着テープ７で被覆させるよう
にしてもよい。

【００２０】尚、複層ガラス１の空気層はスペーサー３
の内部に収納した乾燥剤５によりスペーサー３の空気層
側に設けた孔部、あるいはスリットを通して乾燥状態を
保たれる。

【００２１】

【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。 実施例１ 例えば厚さ３ｍｍと３ｍｍの２枚のガラス板２を６ｍｍ
の空気層を設けて対向させ、その周囲４辺内側に乾燥剤
５入りのコ字状の両端部を長くしてガラスとの接触面積
を大きくしたアルミ製のスペーサー３の開口部を外周側
にして挟むように設け、該スペーサー３の両側面と、前
記ガラス板２、２の周端辺とを厚さ０．５〜２ｍｍ程度
のブチルゴムからなる両面接着シート４によりスペーサ
ー３とガラス板２、２とを接着させ、ガラス板２、２間
の空気層を密封シールさせた。

【００２２】また、縦辺と横辺のスペーサー３とスペー
サー３の接続部分にはコーナーキーを設け、コーナーキ
ーにもスペーサー３と同様に接着シートを介してガラス
板２、２と接着させ、気密性を持たせるようにした。

【００２３】さらに前記スペーサー３を接着させた簡易
複層ガラス１の外周端縁および端面を図３に示すように
全周囲にわたって複層ガラス１の板厚より幅広の接着テ
ープ７で被覆しカバー接着させた。 実施例２ 実施例１で作製した簡易複層ガラスの外周に設けた幅広
の接着テープによるカバー接着に代えて、簡易複層ガラ
ス１の外周端縁を、図４に示すようにクリップ部材６で
挟持被覆するようにし、かつ該クリップ部材６の内側底
部に設けた凸部と簡易複層ガラス１のガラス板２、２間
に接着したコ字状スペーサー３の開口部とを嵌合させ、
１対のガラス板２、２とその間に挟持接着したスペーサ
ー３の接着剥離を防止させるとともに、ガラス板とスペ
ーサーとの密着性を強固となるようにした。

【００２４】このようにして作製した実施例１、および
実施例２のいずれも、複層ガラス板の露点は初期で−５
０℃、ＪＩＳ加速耐久試験（３類）後で−５５℃とな
り、いずれもＪＩＳ規格の−３５℃をクリアしており、
断熱性能は合格した。

【００２５】また、従来の１次シールと２次シールの両
方を備えたダブルシールのものに比べても遮音性は大差
がなかった。以上好適な実施例について述べたが、本発
明はこれに限定されるものではなく種々の応用が考えら
れるものである。

【００２６】複層ガラスを構成するガラス板としては生
板ガラス、半強化ガラス、強化ガラス板、網入りガラ
ス、線入りガラスあるいは前記ガラス板を組み合わせＰ
ＶＢ、ＥＶＡで接着した合わせガラス板であっても良
く、また、ガラス板面に飛散防止膜を貼着したものも含
まれる。

【００２７】さらには、ガラス板表面に熱線反射膜や紫
外線反射膜等を塗布又は真空蒸着により設けたものであ
っても良い。

【００２８】

【発明の効果】本発明は、二次シール工程を省いたシン
プルな構成にして、複層ガラスの持つ断熱性能、透視性
を損なうことなく、またスペーサーがガラスの板厚に左
右されることがない為、スペーサーの共通化が図れ、低
コストの複層ガラスが実現でき、省エネ効果も高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の簡易複層ガラスの斜視図。

【図２】本発明の簡易複層ガラスの断面図。

【図３】本発明の簡易複層ガラスの周端辺に接着テープ
を接着した断面図。

【図４】本発明の簡易複層ガラスの周端辺にクリップ部
材を装着した断面図。

【図５】本発明の変形実施例を示す簡易複層ガラスの断
面図。

【図６】本発明の変形実施例を示す簡易複層ガラスの断
面図。

【図７】本発明の変形実施例を示す簡易複層ガラスの断
面図。

【符号の説明】

１ 複層ガラス ２ ガラス板 ３ スペーサー ４ 接着シート ５ 乾燥剤 ６ クリップ部材 ７ 接着テープ

【手続補正書】

【提出日】平成９年８月４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図３

【補正方法】変更

【補正内容】

【図３】

【手続補正２】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図６

【補正方法】変更

【補正内容】

【図６】

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】対向する２枚のガラス板の周端辺に、乾燥
   剤入りのコ字状スペーサの開口部を外側にして挟むよう
   に設け、該スペーサの両側面と、前記ガラス板の周端辺
   とを接着シートを介して接着させ、空気層を密封シール
   するようにしたことを特徴とする簡易複層ガラス。
2. 【請求項２】前記簡易複層ガラスの外周端縁および端面
   を複層ガラスの板厚より幅広の接着テープで被覆カバー
   するように接着させたことを特徴とする請求項１記載の
   簡易複層ガラス。
3. 【請求項３】前記複層ガラスの外周端縁をクリップ部材
   で挟持被覆するようにし、かつ該クリップ部材の内側底
   部に設けた凸部と簡易複層ガラス間に接着したコ字状ス
   ペーサーの開口部とを嵌合するようにしたことを特徴と
   する請求項１乃至２記載の簡易複層ガラス。