JPH1135714A - 親水化被覆フィルム - Google Patents

親水化被覆フィルム

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JPH1135714A
JPH1135714A JP9191703A JP19170397A JPH1135714A JP H1135714 A JPH1135714 A JP H1135714A JP 9191703 A JP9191703 A JP 9191703A JP 19170397 A JP19170397 A JP 19170397A JP H1135714 A JPH1135714 A JP H1135714A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラスチックフィルム表面に親水性塗膜を形成
してなる被覆フィルムであって、特に耐屋外暴露汚染性
の要求される用途に有用な親水化被覆フィルムを提供す
る。 【解決手段】プラスチックフィルム上に、反応硬化型樹
脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、下記一般
式 Si(OR)4 (式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるア
ルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物を0.5〜5
0重量部を配合してなる被覆用組成物を塗布した後、そ
の被膜表面を酸で処理し、水洗してなる親水化被覆フィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックフィ
ルム表面に親水性塗膜を形成してなる被覆フィルムに関
し、特に耐屋外暴露汚染性の要求される用途に有用な親
水化被覆フィルムに関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】プラスチックフィルムは、各
種用途に応じて多様な材質のものが製造されており、例
えば表面被覆に利用されるものとしては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ
エチレンテレフタレ−ト(PET)、エチレン・テトラ
フルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフ
ルオロエチレン・パ−フルオロプロポキシビニルエ−テ
ル共重合体(PFA)等が挙げられ、一般包装材料まで
用途を拡げると、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタ
ン、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリビニルアルコ−ル
(PVA)、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体(E
VOH)等が挙げられる。
【0003】近年、ラミネ−ト鋼板や化粧板等の外装建
材用途や、窓ガラス等への貼着シ−ト、農業用ビニルハ
ウス等の用途などでは、プラスチックフィルムの機能と
して耐汚染性、防曇性等が要求され、それに伴ってフィ
ルム表面に親水性を付与する処理が行われている。
【0004】プラスチックフィルム自体ではPVAフィ
ルムが最も親水性であるが、これをそのまま用いるとフ
ィルム全体が吸水し屋外用途では乾湿の影響で急速に劣
化してしまう。またEVOHフィルムでも親水性は不十
分である。そこでプラスチックフィルム表面を親水化す
る手段としては、従来、プラズマ処理、コロナ処理等の
表面処理や、フィルム上に更に親水性を有する被膜を形
成する方法などが知られている。
【0005】表面処理を施す方法では親水性が長く持続
できないという問題があり、またフィルム上に更に親水
性を有する被膜を形成する方法、例えば被膜中にエチル
シリケートオリゴマーを混入させておき、表面に滲出し
たエチルシリケートオリゴマーを雨、空気中の水分など
によって加水分解しシラノール基を生成させて被膜表面
を親水化する方法では、被膜表面が親水化するまでに屋
外放置で3〜6ヶ月間を必要とし、それまでは表面が疎
水性で表面の耐暴露汚染性が悪く、表面に顕著な汚れを
生じやすいという問題があった。
【0006】本発明の目的は、余分な工程を必要とする
ことなく、屋外での使用において初期から被膜表面を親
水化できて耐暴露汚染性に優れ、かつ耐久性等の膜性能
も良好な被膜をプラスチックフィルム表面に形成してな
る親水化被覆フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討した結果、オルガノシリケ−ト及
び/又はその低縮合物を配合してなる被覆用組成物を塗
布後その被膜表面を酸処理することによって、膜表面が
初期から親水化された被覆フィルムが得られることを見
出し本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、プラスチックフィルム
上に、反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分100重量部
に対して、下記一般式 Si(OR)4 (式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるア
ルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物を0.5〜5
0重量部を配合してなる被覆用組成物を塗布した後、そ
の被膜表面を酸で処理し、水洗してなる親水化被覆フィ
ルムを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】上記被覆用組成物に使用される反
応硬化型樹脂組成物としては、従来公知の樹脂組成から
適宜選択して使用できるが、耐汚染性の面からは、水酸
基含有樹脂を基体樹脂とする樹脂組成物が好適である。
【0010】水酸基含有樹脂としては、例えば、アクリ
ル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコ−ン樹
脂などを挙げることができる。アクリル樹脂はウレタン
変性などの変性をされたものであってもよく、ポリエス
テル樹脂は、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性ア
ルキド樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン
変性アルキド樹脂などのいずれであってもよい。該水酸
基含有樹脂は、数平均分子量が1,000〜100,0
00、水酸基価が2〜200mgKOH/gの範囲であ
ることが好ましい。
【0011】これらのうちアクリル樹脂としては、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有モノマ−
と、スチレンや(メタ)アクリル酸のアルキルエステル
等の他のモノマ−との共重合体などが例示できる。
【0012】上記水酸基含有樹脂は架橋剤と組合せて使
用することができ、該架橋剤としては、例えばアミノ樹
脂及びポリイソシアネート化合物などが挙げられ、特に
ポリイソシアネ−ト化合物が好適である。該ポリイソシ
アネート化合物は、フリーのイソシアネート基を有する
ポリイソシアネート化合物であってもイソシアネート基
をブロック化剤によってブロック化したものであっても
よい。
【0013】上記ブロック化する前のポリイソシアネー
ト化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネ
ートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
トの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレ
ンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネー
トの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイ
ソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有
機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジ
イソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステ
ル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き
各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソ
シアネート・ビウレット体等が挙げられる。
【0014】イソシアネート基をブロックするブロック
化剤としては、例えばフェノール系、ラクタム系、アル
コール系、オキシム系、活性メチレン系などのブロック
化剤を使用することができる。
【0015】また上記被覆用組成物に用いられる反応硬
化型樹脂組成物として、シラノ−ル基及び/又は加水分
解性シリル基、水酸基及びエポキシ基を必須官能基成分
として、同一樹脂内又は混合樹脂内に含有し、さらに硬
化触媒を含有する樹脂組成物が使用できる。かかる基体
樹脂としては、例えば水酸基含有樹脂、エポキシ基含
有樹脂、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基含
有樹脂の3成分を含有する樹脂混合物、エポキシ基含
有樹脂、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基含
有樹脂の2成分の樹脂混合物であって、両者のいずれか
一方又は両方に水酸基を含有する樹脂混合物、水酸
基、エポキシ基、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シ
リル基を含有する樹脂が挙げられる。
【0016】上記〜の樹脂としては、例えば特開平
2−160879号公報に示されているように、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有モノマ−;グ
リシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエー
テル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレート等のエポキシ基含有モノマ−;γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、p−(トリメトキ
シシリルプロピル)−α−メチルスチレン、これらに基
づくポリシロキサン系マクロモノマー等のシラン化合
物;スチレンや(メタ)アクリル酸のアルキルエステル
等の他のモノマ−から適宜選択し共重合させて得られる
ものが例示できる。
【0017】硬化触媒として、アルミニウムキレート化
合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレー
ト化合物及び錫キレート化合物から選ばれる少なくとも
1種のキレート化合物を含有することが好ましい。上記
キレート化合物の配合量は、樹脂固形分100重量部に
対して0.2〜5重量%の範囲とすることが好適であ
る。
【0018】上記被覆用組成物に使用されるアルキルシ
リケ−ト及び/又はその低縮合物は、下記一般式 Si(OR)4 (式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるア
ルキルシリケ−ト及び/又はこれを縮合反応させて得ら
れる約2〜10量体なる低縮合物である。該アルキル基
としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル基
が挙げられる。該アルキルシリケ−ト及び/又はその低
縮合物中の(OR)基は加水分解によって一部シラノ−
ル基を生成していてもよい。
【0019】上記アルキルシリケ−トの好ましい具体例
としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、テトラプロポキシシラン、ジメトキシジエト
キシシラン及びこれらの縮合物が挙げられる。これらの
ものは1種もしくは2種以上組み合わせたものも使用で
きる。
【0020】上記アルキルシリケ−ト及び/又はその低
縮合物は、前記反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分10
0重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは3
〜40重量部配合される。該配合量が0.5未満では、
被膜層の耐汚染性に劣り、一方50重量部を越えると被
膜物性が低下するの好ましくない。
【0021】上記被覆用組成物には、さらに必要に応じ
て、有機溶剤、着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、
紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0022】本発明では、プラスチックフィルム表面
に、上記被覆用組成物をスプレー、刷毛、ローラー、ナ
イフコ−タ−、リップコ−タ−、グラビアコ−タ−など
従来公知の手段によって塗布して被膜層を設けるもので
ある。被膜層の膜厚は特に限定されるものではないが、
通常、乾燥膜厚で0.5〜200ミクロン、好ましくは
3〜100ミクロンの範囲であることが好適である。ま
た被膜層は、常温〜200℃で約10秒〜10時間程度
乾燥させる(熱風又は赤外線加熱)ことにより硬化させ
ることができる。
【0023】次いで本発明では、得られた被膜表面を酸
で処理した後、該被膜表面に付着した酸を水洗して除去
する。酸処理の方法としては、0.0001〜5N、好
ましくは0.001〜1Nの硫酸や塩酸水溶液などを必
要に応じて常温〜80℃に加温して用いて、約10秒〜
10時間浸漬或いは噴霧などを行なうことが挙げられ
る。生産ラインの適性からは浸漬或いは噴霧を約5分以
内、好ましくは約2分以内に行うことが望ましい。水洗
後の乾燥は常温〜80℃で約1分〜1時間程度(熱風又
は赤外線加熱)行なうことができる。
【0024】上記プラスチックフィルムとしては、従来
公知のものが使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ酢酸
ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル(PV
F)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、エチレ
ン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポ
リテトラフルオロエチレン・パ−フルオロプロポキシビ
ニルエ−テル共重合体(PFA)、ナイロン、ポリスチ
レン、ポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリ
ビニルアルコ−ル(PVA)、エチレン・ビニルアルコ
−ル共重合体(EVOH)、ポリカ−ボネ−ト、ポリア
セタ−ル、AS樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、アク
リル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル
樹脂等の熱可塑型プラスチックもしくは架橋型プラスチ
ックフィルムなどを挙げることができる。またこれらプ
ラスチックフィルムは紫外線吸収剤、充填剤、熱安定剤
などを含むものであってもよい。これらのうち酸に弱い
PETやEVALなどを用いる場合には酸処理時の液濃
度や処理時間に留意する必要がある。
【0025】また塗布に先立って、該プラスチックフィ
ルム表面をコロナ放電などによる表面処理を施しておい
てもよい。さらに必要に応じてプライマ−塗装、着色塗
装などの下地塗装を施しておいてもよい。
【0026】本発明のフィルムは、また必要に応じて、
プラスチックフィルム層の片面(上記組成物による被膜
と反対の面)に、接着剤層を介して、天然紙、合成紙な
どの紙類、及びこれらを組み合わせてなるフィルム類な
どを積層してもよく、また接着剤層を介してラミネ−ト
金属板を形成してもよい。
【0027】本発明の親水化被覆フィルムを適当な基材
にラミネ−トするなどの方法を用いて外装建材用途など
の屋外用途に供すると、親水性被膜層によって汚れが雨
水などによって洗い流されやすくなり、良好な耐暴露汚
染性を示すものである。
【0028】本発明のフィルムは、外装建材用途だけで
なく、防曇性が要求される農業用フィルムや結露防止が
要求される浴室回りや窓ガラス、熱交換器などにも用い
ることができる。
【0029】屋外暴露による被膜層の汚れの評価方法
は、例えば、鋼橋塗装 Vol.21 No.4に建設省土木研究
所、片脇氏らによって記載されており、目視官能評価と
最も高い相関性を示したのは、明度差の測定結果であ
り、汚れを定量的に評価する方法として明度差(Δ
* )が最もよいことが記載されている。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。「部」及び「%」は、それぞれ重量基準によ
るものとする。
【0031】被覆用組成物の作成 作成例1 加熱、保持したエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテート100部中で、γ−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン20部、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート5部、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチルメタクリレート20部、スチレン15部、メチ
ルメタクリレート10部及びエチルアクリレート30部
のモノマー混合物を重合開始剤の存在下にて重合して固
形分50%のアクリル樹脂溶液(1)を得た。得られた
樹脂溶液(1)の樹脂固形分は、数平均分子量約6,0
00であり、エポキシ基量1.1当量/kg、珪素原子
に直接結合するメトキシ基量2.9当量/kgを有して
いた。
【0032】上記で得た固形分50%のアクリル樹脂溶
液(1)200部に、硬化触媒であるトリス(アセチル
アセトナト)アルミニウム2部、及び「エチルシリケ−
ト48」(コルコ−ト社製、テトラエチルシリケ−トの
縮合物)10部を混合、撹拌して被覆用組成物を得
た。
【0033】作成例2 加熱、保持したエチレングリコールモノエチルエーテル
100部中で、スチレン30部、メチルメタクリレート
30部、エチルアクリレート30部及び2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート10部のモノマー混合物を重合開
始剤の存在下にて重合して固形分50%のアクリル樹脂
溶液(2)を得た。得られた樹脂溶液(2)の樹脂固形
分は、数平均分子量約2,000、水酸基価43mgK
OH/gを有していた。
【0034】上記で得た固形分50%のアクリル樹脂溶
液(2)を200部、「TPA−90E」(旭化成工業
社製、N,N´,N''−トリス(6−イソシアネ−トヘ
キシル)イソシアネ−ト、固形分90%)30部、ジブ
チル錫ジラウレート0.065部、及び「エチルシリケ
−ト48」(コルコ−ト社製、テトラエチルシリケ−ト
の縮合物)10部を混合、撹拌して被覆用組成物を得
た。
【0035】作成例3 作成例1において、「エチルシリケ−ト48」10部の
かわりに、テトラエチルシリケートを加水分解触媒であ
る塩酸、少量の水及びエタノールの存在下に加水分解縮
合して得られる固形分50%のエチルシリケート縮合体
溶液20部を用いる以外は作成例1と同様にして被覆用
組成物を得た。
【0036】該エチルシリケート縮合体は平均約4量体
であり、示性式 Si(OC2 51.5 (OH)0.5
で表されるものであり、珪素原子に直接結合するエト
キシ基の量は12.5当量/kgであった。
【0037】作成例4 作成例2において、「エチルシリケ−ト48」10部の
かわりに、作成例3で得た固形分50%のエチルシリケ
ート縮合体溶液20部を用いる以外は作成例2と同様に
して被覆用組成物を得た。
【0038】作成例5、6 作成例1及び作成例2において、夫々「エチルシリケ−
ト48」10部を除く以外は作成例1及び作成例2と同
様にして被覆用組成物、を得た。
【0039】被覆フィルムの製造 実施例1〜8及び比較例1〜11 上記作成例で得た被覆用組成物〜を、透明で紫外線
吸収剤を配合した厚さ25μmのポリエチレンテレフタ
レ−トフィルム(PET)(コロナ放電処理済)又は透
明な厚さ50μmの塩化ビニルフィルム(PVC)に対
して、乾燥膜厚で5μmとなるようバ−コ−タ−にて塗
布し、同表に示す乾燥条件で焼き付けた後、必要に応じ
て該被覆フィルムを60℃に加温した0.1N硫酸水溶
液に2分間浸漬し水洗・乾燥して各親水化被覆フィルム
を製造した。
【0040】次いで「レタンPG−80ホワイト」(ア
クリルウレタン塗料、関西ペイント社製)が塗装された
錫メッキ鋼板(厚さ0.8mm)上にアクリル系接着剤
を乾燥膜厚で約10μmになるように塗布し、この上か
ら上記で得た各親水化被覆フィルムの被膜層を有さない
面を重ね合わせて圧力をかけラミネ−トした後、約10
0℃で1分間乾燥して各試験板を作成し、これを下記試
験に供した。尚、比較例11ではETFEフィルムをラ
ミネ−トして試験に供した。結果を表1に示す。
【0041】試験方法 初期被膜の外観:各試験板の被膜表面のチヂミ、ツヤボ
ケを目視で観察し下記基準で評価した。
【0042】○:全く異常が認められない △:チヂミ、ツヤボケが認められる ×:チヂミ、ツヤボケが著しく認められる 初期フィルムの透明性:各試験板フィルムの透明性を目
視で観察し下記基準で評価した。
【0043】 ○:透明、異常なし ×:透明性が若干劣る 初期フィルムの光沢:JIS K−5400に従って6
0度グロスを測定した。
【0044】初期被膜の付着性:JIS K−5400
8.5.3のクロスカットテ−プ法に従って行った。
評価は10点満点で行った。
【0045】初期の水接触角:塗装直後の試験板を温度
20℃、湿度60%RHの室内に約1時間放置した後、
試験板の被膜面に、0.03ccの脱イオン水の水滴を
形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクト
アングルメータCA−X150型にて測定した。接触角
が小さくなると親水性が強くなる。
【0046】屋外暴露性:関西ペイント(株)東京工
場、南面30度の角度に試験板を設置し、屋外暴露試験
を行った。屋外暴露2週間後及び2年後の試験板の被膜
表面について、(1)水接触角及び(2)暴露汚染性に
ついて評価を行った。
【0047】(1)水接触角:上記初期板の水接触角の
試験方法と同様に水滴の接触角を測定した。
【0048】(2)暴露汚染性:暴露した試験板の暴露
汚染性を目視で、及び暴露していない初期塗板との明度
差(CIE表色系における明度差ΔL* 値)で評価し
た。ΔL* 値が大きいほど汚れが目立つ。目視による評
価は下記基準にて行った。
【0049】○:被膜面がほとんど汚れていない(ΔL
* 値が3未満程度) △:被膜面が少し汚れている(ΔL* 値が3以上、10
未満程度) ×:被膜面が著しく汚れている(ΔL* 値が10以上程
度)
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、オルガノシリケ−ト及
び/又はその低縮合物を配合してなる被覆用組成物をプ
ラスチックフィルムに塗布後その被膜表面を酸処理する
ことによって、膜表面が初期から親水化された被覆フィ
ルムが得られる。該フィルムは屋外においても親水性が
持続して、表面の汚れが雨水などによって洗い流されや
すくなり、良好な耐暴露汚染性を長期にわたって示すも
のである。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルム上に、反応硬化型
    樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、下記一
    般式 Si(OR)4 (式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるア
    ルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物を0.5〜5
    0重量部を配合してなる被覆用組成物を塗布した後、そ
    の被膜表面を酸で処理し、水洗してなる親水化被覆フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 反応硬化型樹脂組成物が、水酸基含有樹
    脂及びポリイソシアネ−ト化合物を含有するものである
    請求項1記載の親水化被覆フィルム。
  3. 【請求項3】 反応硬化型樹脂組成物が、シラノ−ル基
    及び/又は加水分解性シリル基、水酸基及びエポキシ基
    を必須官能基成分として、同一樹脂内又は混合樹脂内に
    含有し、さらに硬化触媒を含有するものである請求項1
    記載の親水化被覆フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012040687A (ja) * 2010-08-12 2012-03-01 Mitsubishi Plastics Inc 外装用シートおよび外装用シート積層鋼板並びにその製造方法
JP2015017262A (ja) * 2014-08-28 2015-01-29 大日本印刷株式会社 親水性コーティングフィルム及び化粧シート

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