JPH1135492A - 副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有するカルシウム 拮抗剤・およびその製造方法ならびにその用途 - Google Patents
副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有するカルシウム 拮抗剤・およびその製造方法ならびにその用途Info
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- JPH1135492A JPH1135492A JP10136187A JP13618798A JPH1135492A JP H1135492 A JPH1135492 A JP H1135492A JP 10136187 A JP10136187 A JP 10136187A JP 13618798 A JP13618798 A JP 13618798A JP H1135492 A JPH1135492 A JP H1135492A
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Abstract
焼成した物の酸抽出物からなる副甲状腺ホルモンの分泌
抑制作用を有するカルシウム拮抗剤・およびその製造方
法ならびにその用途である吸収利用率を高めたカルシウ
ム製剤を提供する。 【解決手段】 植物由来のカルシウム含有物質を真空下
で焼成し、さらに酸抽出した水溶液からなることを特徴
とする副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有するカルシ
ウム拮抗剤またはカルシウム吸収利用促進剤。前記カル
シウム吸収利用促進剤を、カルシウム製剤に添加したこ
とを特徴とする吸収利用促進を高めたカルシウム製剤。
植物由来のカルシウム含有物質を、300ないし100
0℃で、好ましくは減圧ないし真空下で焼成した後、こ
れを強酸中に浸漬して抽出することを特徴とするカルシ
ウム吸収利用促進剤の製造方法。
Description
の分泌を抑制する作用を有し、細胞へのカルシウムの流
入を抑制するカルシウム拮抗剤およびその製造方法、な
らびに上記カルシウム拮抗剤をカルシウムに添加した時
に人体へのカルシウムの吸収利用を促進するカルシウム
吸収利用促進剤、さらにこれをカルシウムに添加してカ
ルシウムの有効利用率を高めたカルシウム製剤に関する
ものであって、より詳しくは、植物由来のカルシウム含
有物質を特定方法で焼成した物の酸抽出物からなる副甲
状腺ホルモンの分泌を抑制する作用を有するカルシウム
拮抗剤およびその製造方法、ならびに上記カルシウム拮
抗剤の好適な用途であるカルシウムの吸収利用促進剤お
よびこれを従来公知のカルシウムに添加したカルシウム
製剤に関する。
骨や歯の形成に不可欠の成分であることは広く認識され
ていたが、最近ではそれのみならず、あらゆる生命現象
を支える最も重要な栄養素であることが解明され、いま
やカルシウムは医学の最前線で注目されている。
[『Clinical Calcium』−特集−カルシウムパラドック
ス/1996年1月号]には、「栄養学と細胞生物学の
接点」と題した、カルシウムパラドックスに関するさま
ざまな研究成果が発表されている。
果たす機能は、計り知れないほどに多く解明されてきて
いる。特に、人間の健康のカギは、カルシウムと副甲状
腺ホルモンの関係を抜きにしては考えられないほどに、
重要なものであることがわかってきている。人体の生命
活動は、食べたものの消化、吸収、排泄、ホルモンの合
成分泌、さらには、免疫機能から、ものを見たり、考え
たりすることまで、すべての機能がカルシウムの働きに
依存し、細胞はすべて血液の中のカルシウムの出す信号
(情報)によってコントロールされており、心臓や脳が
働くのもカルシウムの働きであることが報告されてい
る。
ためには血液中のカルシウム濃度が常に一定のレベルに
保たれていることが必要であり、細胞の内と外(血液の
中)のカルシウムの濃度差を略1:10,000に維持
することが必要であることも明らかにされている。言い
換えれば、カルシウムの出す信号を細胞が正しくキャッ
チするためには、細胞の中のカルシウム濃度は、細胞の
外のカルシウム濃度の略1/10,000という、ごく
微量でなければならず、この濃度差が保たれているかぎ
り、1つ1つの細胞は正しい情報伝達のもとでそれぞれ
の役割を果たすことができるものである。
すると、心臓も脳も働きが止まってしまうため、生命維
持のために副甲状腺ホルモン(PTH)が働いて骨から
カルシウムを溶かして血液の中に補う仕組みになってい
る。骨には、人体のカルシウムの99%が蓄えられてい
るが、その骨からのカルシウムの溶出が続けば、骨がす
かすかになる骨粗鬆症を引き起こすだけにとどまらず、
更に、重大な弊害を人体にもたらす。すなわち、血液の
なかにカルシウムが補われたことによって、心臓は止ま
ることなく生命は維持されるのであるが、副甲状腺ホル
モンが出ると、細胞の中に過剰のカルシウムを流入さ
せ、そのために前述した細胞の中と外のカルシウム濃度
のバランスが大きく崩れてしまい、細胞間の情報伝達が
混乱し細胞は正常に機能しなくなる。この現象は、カル
シウムパラドックスと言われている。
血液中のカルシウム濃度が低下し、その結果、副甲状腺
ホルモンが分泌して細胞内にカルシウムが増えることが
原因で引き起こされる疾病はカルシウムパラドックスと
いわれ、症状として、頭痛、痴呆症、白内障、貧血、高
血圧/脳卒中、難聴、低血圧、肩こり、免疫異常、骨粗
鬆症、ストレス、動脈硬化/心筋梗塞、胃潰瘍/十二指
腸潰瘍、感染症/風邪・肺炎等、ガン、アレルギー/ア
トピー、腎臓結石、前立腺肥大、爪が弱い、肝炎/肝硬
変、神経痛/慢性関節リウマチ、通風などに表れる。
は、細胞が病気になったり、老化して行くことを意味す
るものであり、細胞内のカルシウムが増え続ければ生命
を支えている細胞は死んでしまい、もちろん人命そのも
のの死につながることが明らかである。
いるといわれる人体にとって、カルシウムは、丈夫な骨
を支えるだけでなく、心臓、脳を初めとしてすべてのか
らだの働きを支えている大切な栄養素であり、不足しな
いように常に外から補給していかなければならない重要
な栄養成分である。
われわれの食生活は、近年とみに、加工食品などの横行
で、カルシウムの摂取率は十分なものとは言えない状況
にある。食事から摂取するカルシウムが不足すると、単
に、身体の中のカルシウムが少なくなるだけでなく、細
胞内、血液、骨に一定の割合で蓄えられているカルシウ
ムのバランスが崩れ、前述したように、人体にとって深
刻な状況を引き起こすことになる。
の好ましい比率は、略1:10,000:100,00
0,000であると言われている。この比率で存在する
ことにより、細胞内、血液、骨において、カルシウムは
それぞれの働きを正しく行っている。
きは、 ・細胞内のあらゆる働きを支え、情報を受け取る。 ・細胞の分裂、増加、運動、分泌、興奮、代謝のもとに
なる。
在し、これによって、 ・心臓や脳を動かし、細胞の働きをコントロールし、情
報を伝える。 ・カルシウムを体内各所に運ぶ。 ・血液中のカルシウム濃度を常に一定濃度に保つ。
体の99%であり、 ・体を支え、骨を強くする。 ・血液中のカルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホル
モンが出てきて骨からカルシウムを溶かして不足分を補
い血液中のカルシウム濃度を一定に保つ働きをする。
解されるように、血液中のカルシウム濃度が一定量から
低下しないだけのカルシウムを常に外から補給していれ
ば、副甲状腺ホルモンが分泌されることもなく、したが
って、細胞内にカルシウムが増加することもなく、人体
のすべての機能が正常に働くことになる。
りのカルシウムの所要量は、800mgであるといわれ
ている。ところが、食品や飲料に含まれるカルシウム
は、そのすべてが人体に吸収されるわけではなく、通
常、食品や飲料に表示されるカルシウム含量と、実際に
人体に吸収されるカルシウムの量は大幅に異なることが
わかってきている。したがって、このカルシウムの所要
量を、日常の食事から摂取しようとすると、とてつもな
く大量のカルシウム含有食品を摂らなければならないこ
とになる。
として知られている牛乳のカルシウムの含有量は100
mg/100ml程度であり、牛乳中に含まれるカルシ
ウムは蛋白質と結合しているため、吸収性がよいとされ
てはいるものの、人体に対する吸収率は最大でも50
%、つまり100ml当たり50mgしか吸収されない
ことになる。しかも、牛乳中にカルシウムと結合状態で
存在する蛋白質は、消化吸収されると、最後に乳酸、酪
酸、焦性ブドー酸、硫酸、リン酸を発生するため、前記
50mgのカルシウムの大半はこれらの酸を中和するた
めに消費され、結局、牛乳100ml中の人体に吸収さ
れるカルシウム分は精々20mg程度にしかすぎないと
いう報告も見られる。
量を補うことができないのは当然であり、その他の飲食
品から、不足分のカルシウムを摂ろうとしても、カルシ
ウム含有食品として知られている煮干し、マイワシ、ひ
じき、焼きのりなどでさえ、そのカルシウム含有量は、
到底前記一日の所要量には遠く及ばず、結局、通常の食
事からカルシウムの所要量を摂取することは困難な状況
にある。その結果、慢性のカルシウム不足状態になり、
その結果、血液中のカルシウム濃度が低下し、それを補
うために副甲状腺ホルモンが分泌されることが繰り返さ
れ、前述したような各種の疾病を引き起こす原因となっ
ている。
牛乳の消費量が我が国の3倍ないし5倍といわれている
ヨーロッパや欧米においてさえ、カルシウム不足によっ
て引き起こされることが明らかな骨粗鬆症が我が国の2
倍も発生しているという事実があり、このことからも、
牛乳などのカルシウム高含有飲食品を摂取しただけでは
カルシウム不足を解消することは不可能であることが理
解される。
が知られているビタミンDの場合についてみると、ビタ
ミンDは体内のプロビタミンDから日光照射によって生
成される他に、食品からも摂取できるもので、肝臓や腎
臓の働きによって、それが活性型ビタミンDとなりカル
シウムの腸管からの吸収を助けるものであるが、加齢と
共にその機能は著しく低下する。また、合成された活性
型ビタミンDを摂取することは副作用が大きく、高カル
シウム血症、尿毒症、骨軟化症などを引き起こすことが
問題となっている。
ンの分泌を抑制し、細胞内へのカルシウムの流入を抑制
するカルシウム拮抗剤・カルシウム吸収利用促進剤なら
びにその製造方法を提供し、また、これを従来知られた
カルシウムに添加することにより、ビタミンDの助けを
借りることなく、かつ、運動をしなくても、さらには、
日光の助けを借りなくても、人体へのカルシウムの吸収
効率を著しく高め、かつ吸収されたカルシウムの体内有
効利用率が著しく高いために骨形成に有効な、副作用の
全くないカルシウム製剤を提供することにある。
成するために提案されたものであって、特定の製造方法
で得られた植物由来のカルシウム含有物質の焼成物の酸
抽出物からなる、副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有
するカルシウム拮抗剤ならびにカルシウム吸収利用促進
剤およびその製造方法を基本発明とし、これを従来公知
のカルシウムに添加したカルシウム製剤を第2の発明と
する。
ルシウム含有物質を焼成し、それを酸抽出した水溶液か
らなることを特徴とする副甲状腺ホルモンの分泌を抑制
する作用を有するカルシウム拮抗剤が提供される。
ウム含有物質を焼成し、それを酸抽出した水溶液からな
ることを特徴とするカルシウム吸収利用促進剤が提供さ
れる。
ルシウム含有物質が、海藻類、豆類、禾本科類、ゴマ、
茶および炭化植物からなる群より選ばれた少なくとも1
種である上記カルシウム吸収利用促進剤が提供される。
収利用促進剤の焼成が、減圧ないし真空下に行われたも
のである上記カルシウム吸収利用促進剤が提供される。
収利用促進剤の焼成後の酸抽出物が、上記カルシウム含
有物質に強酸を作用させた後、抽出生成物に、ほぼ等量
の水を添加して得られた上記カルシウム吸収利用促進剤
が提供される。
収利用促進剤を、カルシウムに添加したことを特徴とす
る吸収利用促進を高めたカルシウム製剤が提供される。
が、植物または動物由来のカルシウム含有物質の焼成に
よって得られたものである上記吸収利用促進を高めたカ
ルシウム製剤。
またはカルシウム吸収利用促進剤を添加したカルシウム
製剤が、スプレードライヤによる粒状化によって多孔化
された粉末である上記カルシウム製剤が提供される。
ウム含有物質を焼成した後、これを強酸中に浸漬して抽
出することを特徴とするカルシウム拮抗剤の製造方法が
提供される。
0ないし1000℃で減圧ないし真空下で行われるもの
である上記カルシウム拮抗剤の製造方法が提供される。
ルシウム含有物質を焼成した後の酸抽出物が、上記カル
シウム含有物質に強酸を作用させて得られた抽出生成物
に、前記酸とほぼ同量の水を添加して得られたものであ
る上記カルシウム拮抗剤の製造方法が提供される。
のカルシウムウム含有物質を特定の方法によって焼成
し、かつ、特定の方法によって酸抽出された生成物が、
副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用に優れ、その結果、カ
ルシウム拮抗剤として機能し、かつ、これを従来より知
られているカルシウムに添加した時には、著しく優れた
カルシウム吸収促進剤としての機能を果たすことを見い
だした点にある。かくして得られた本発明のカルシウム
製剤は、従来の一般のカルシウム製剤のように、人体へ
の吸収を高めるためにビタミンDの併用を行ったり、日
光の助けを借りたりすることなく、ただ服用するだけ
で、著しく優れたカルシウムの吸収促進を示し、かつ、
吸収されたものが体内で有効に利用され、若年者はもと
より高齢者であっても、骨形成に極めて有効な結果を示
すものである。
促進剤>本発明のカルシウム拮抗剤・カルシウム吸収利
用促進剤の原料として用いられる植物由来のカルシウム
含有物質としては、ひじきなどの海藻類、大豆などの豆
類、麦、笹の葉などの禾本科類、ゴマ、茶、その他のミ
ネラル含油植物および亜炭などの炭化植物からなる群よ
り選ばれたものが例示され、これらは単独であるいは2
種以上を組み合わせて用いることができる。
焼成し、更にそれを酸によって抽出するものであり、な
かでも、ひじきなどが好ましく用いられる。焼成は、通
常上記原料を300ないし1000℃程度の範囲の高温
で行うが、この焼成は、減圧ないし真空下に酸素遮断下
で行うことが好ましい。焼成時間は、原料の量や種類に
もよるが、通常、約1時間程度で十分である。
を、さらに酸による抽出を行う点にあり、酸としては、
例えば、硫酸、果実から産出した酵素などが好ましく用
いられる。酸による抽出は、前記焼成物を該酸に約24
時間程度浸漬しておけば良く、抽出が完了したら水を加
えて水溶液とする。水の量は特に制限されるものではな
いが、前記酸に対して1ないし3倍程度、とくに前記酸
とほぼ同量程度であることが好ましい。かくして得られ
た水溶液を本願明細書においては、Heat Alga
e Ingredientの頭文字をとって『HAI』
の略称で呼ぶ。
ホルモンの分泌抑制作用に優れ、その結果カルシウム拮
抗剤としての優れた機能を示す。カルシウム拮抗剤と
は、細胞中にカルシウムが流入するのを抑制する働きを
持つ剤をいう。すなわち、前述したように、カルシウム
欠乏症により血液中のカルシウム濃度が低下すると、生
命維持のメカニズムにより副甲状腺ホルモンが分泌さ
れ、骨に蓄えられているカルシウムが溶け出して血液中
のカルシウム濃度のバランスをとろうとする働きがなさ
れる。この時に、後述する実施例3からも明らかなよう
に、副甲状腺ホルモンは細胞の中に余分なカルシウムを
取り込む作用があり、骨から溶け出したカルシウムは、
細胞中へも流入され、細胞中のカルシウムが増加するこ
とが知られている。
収縮し動脈硬化を起こすなど、あらゆる細胞に障害が起
こり、脳細胞をはじめとしてその他の細胞も死に至らし
めることが知られており、これを予防するために、カル
シウム拮抗剤の研究が盛んに行われているところであ
る。しかしながら、現状においてカルシウム拮抗剤とし
ては合成のものがわずかに知られているが、天然素材か
らのカルシウム拮抗剤は知られていないし、いわんや、
天然素材から得られる副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用
を有する製剤は知られていない。そして、合成のカルシ
ウム拮抗剤は、合成であるがために副作用を伴う虞はぬ
ぐい去れず、結論として、人体に副作用をもたらさずに
優れたカルシウム拮抗作用を持つ製剤はまだ知られてい
ない。
た、第17回アメリカ骨代謝学会において、カルシウム
補給をしている女性は死亡率が低いという興味深い研究
成果が発表されている。これによると、副甲状腺ホルモ
ンが低い(20単位/デシリットル以下)人は、副甲状
腺ホルモンがそれよりも高い人に比べて全体の死亡率が
69%低いことを明らかにしている。また、カルシウム
補給を受けている人は、カルシウム補給を受けていない
人比べて、死亡率が18%低かったこと、さらに、カル
シウム補給を受けている人の血中の副甲状腺ホルモンは
低く、死亡率も低かったことが明らかにされている。
き起こされる副甲状腺ホルモンの分泌、さらにはそれに
伴う細胞内へのカルシウムの流入という悪循環を断ち切
るには、まず第1に体内においてカルシウム欠乏症を起
こさないようにカルシウムの必要量を十分に摂取するこ
とが重要であり、それと同時に副甲状腺ホルモンの分泌
を抑制する作用を発揮し細胞内にまでカルシウムが流入
される事態を防止することのできるカルシウム拮抗作用
が不可決のものである。
源のものであり、その焼成・酸抽出によって生成される
ものであるから、人体に対する副作用が全くなく副甲状
腺ホルモンの分泌を抑制する作用があり、これによって
細胞内へのカルシウムの流入を抑制するカルシウム拮抗
剤として優れた働きをすることになる。また、本発明の
上記HAIは、これをカルシウム製剤に添加した時に
は、人体へのカルシウムの吸収を著しく促進する作用を
示す。
命維持に必要な二つの働き、すなわち、副甲状腺ホルモ
ンの分泌を抑制することによって細胞中へのカルシウム
の流入を抑制し、これをカルシウム製剤に添加した時に
は、カルシウムの人体への吸収を著しく促進する、とい
う働きをするものであり、しかも、これによって体内に
吸収されたカルシウムは、骨形成に著しく優れた成果を
示すことになる。もちろん、HAIをカルシウムに添加
したカルシウム製剤は、吸収性が著しく優れていると共
に、カルシウム拮抗剤としての作用を併せ持つものであ
ることは言うまでもない。
シウムとしては、従来から市販されているカルシウムが
なんら制限なく使用されるが、とくに、本発明者らによ
って提案された、植物または動物由来のカルシウム含有
物質の焼成物がより好ましい(特開平5−161480
号公報の実施例参照)。
による粒状化は、前記カルシウム製剤、またはこれにH
AIを添加したものを有機酸または有機酸含有液体に溶
解した後、スプレードライヤによる顆粒化によって水分
のみを蒸発させることによって行われる。前記カルシウ
ムを溶解する有機酸または有機酸含有液体としては、発
酵乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸などの有機酸、およ
び該有機酸を含有する液体が挙げられる。
などの果物の搾汁、つまり、果汁が用いられ、とくに、
カルシウムの溶解度ならびに生成顆粒の味感の点で、乳
酸を主成分とするパパイヤの皮部を含んだ搾汁が最も好
ましく使用される。
は、有機酸の種類によって溶解度が異なるが、溶解度の
如何にかかわらず均一な溶液状態を形成していれば、こ
れから水分のみを蒸発させることによって、カルシウム
と有機酸成分とが結合した状態の水溶性の粉末とするこ
とができる。本発明において生成した水溶性カルシウム
粉末は、スプレードライヤあるいは流動層造粒によって
粒状化することが好ましい。スプレードライヤによる方
法は、水分のみを蒸発させる工程において不快味や不快
臭の成分も同時に飛ばされ、まろやかな味の顆粒状製剤
となるばかりでなく、イオン化しやすい性状となること
から、体内での吸収利用率を一層高めることができる。
の上方から前記カルシウム溶解液を霧状に流下させ、上
方側面及び下方側面から吹き込まれる熱風によって水分
のみを蒸発させ、カルシウムと有機酸成分のみを瞬時に
顆粒状にする方式であり、その中間において、必要に応
じて、デキストリン、カルボキシメチルセルロースなど
のバインダー、またはアスコルビン酸や果糖などを随時
注加させてもよい。
大きくする上で効果的であり、注加する量も目的とする
生成物の粒径に合わせて適宜変更することができる。ち
なみに、バインダーを注加しない場合の生成物の粒径
は、0.005mmないし0.02mm程度であり、こ
れより大粒径のものを得たい場合に、前記バインダーを
注加させてやることによって、0.01mmないし2m
m程度の粒径を有する生成物が得られる。
用いたカルシウム溶解液は、果汁に含まれる糖分が適度
のバインダーとして機能し、やや大きな粒径を有し、表
面が多孔性で、ほぼ球形状の顆粒状の粉末を形成するこ
とができる。スプレードライヤによって粒状化した有機
酸含有のカルシウム製剤は、形状がほぼ球形状の顆粒
で、多孔性構造を有することが重要な特徴であり、この
構造が、水に対して速やかに、優れた溶解性を示す要因
になる。
粉末、発酵乳酸およびデキストリンとを流動層造粒機
(例えば、フローコーター300型)に投入し、流動層
内でエアーミキシングで混合し、温水を噴霧液として、
噴霧しながら造粒するものである。造粒後、乾燥・冷却
して篩で篩過することによって多孔性顆粒粉末が得られ
る。この粉末はさわやかな酸味を有し、水に対して素早
く溶解し透明溶液を形成するので、とくに、クッキング
用のカルシウム製剤として好適である。
実施例は、本発明の好適な態様を示すためのものであ
り、これに限定されるものではない。
>乾燥したひじき1kgを、加熱装置を備えた真空炉の
トレー状に載置し、真空条件2×10-2TORRで、750
℃で約1時間焼成した。得られた焼成物を、2.6リッ
トルの濃硫酸中に浸漬し、24時間酸による抽出を行っ
た。得られた抽出物をろ過して、約2.6リットル水を
加え、約5リットルの生成物を得た。これをHAI液と
いう。
部分を取り除いた後、粉砕機で5cm×5cm程度の大
きさに砕いた。次に、50cm×50cm×5cmの大
きさのチタントレーに前記粉砕した牡蠣殻約8kgをの
せ、電気炉で950℃で1時間焼成した。焼成後の牡蠣
殻をコロイドミルで粉砕し、平均粒径が約200メッシ
ュの酸化カルシウムの白色粉末を得た。これをカルシウ
ム粉末Aという。
カルシウム粉末A100重量部とパパイヤ果汁(皮の部
分を同時に搾汁したもの)900重量部とを常温にて混
和し、次第に上温させていったところ、70℃近辺で完
全に溶解した。このカルシウム溶解液を75±5℃に保
温してろ過し、ろ液をスプレードライヤに供給して粒状
化し、平均粒径約7μの多孔性で球形状顆粒粉末を得
た。この粉末は、口当たりのさわやかな酸味を有してお
り、水100ccに対して3000mgまでは素早く溶
解し、透明な溶液を形成した。
に,HAI液1gを添加したものを上記と同様にスプレ
ードライヤにより、粒状化した。これを「試料」とす
る。得られた試料を、平均年齢82才の高齢者(3人)
に900mg/1日の割合で12か月(96才の方には
さらに12か月)投与を続け、骨量の変化を測定し、そ
の結果を図1に示した。この結果から、上記試料がカル
シウムの吸収を促進し、その結果として骨量の著しい増
加をもたらすことが確認された。
900mg/1日を18か月投与した平均年齢82才の
高齢者(第1群)のプラズマによるPTHレベル(pg
/ml/PTH)を測定した。なお、比較として、第2
群の入院患者3人(平均年齢81才)に炭酸カルシウム
900mg/1日を、第3群の入院患者3人(平均年齢
84才)にプラセボ(カルシウム約600mg/1日に
相当する食事)を投与し、それぞれ18か月後のプラズ
マによるPTHレベル(pg/ml/PTH)を測定し
た。結果を図2に併せて示した。この結果から、上記試
料を投与した第1群は、第2群および第3群に比べて、
PTH(副甲状腺ホルモン)の分泌抑制効果が優れてい
ることが確認された。
料25mgを、副甲状腺を摘去したラットに経口投与
し、1時間後、および2時間後の腸管カルシウム吸収効
果を試験した。なお、比較として、参考例2で得られた
焼成牡蠣殻カルシウムのみを経口投与したもの、および
何も投与しなかったものについて、同様に試験した。結
果を図3に示した。
において、HAIの濃度を1/100、1/1,00
0,1/3,000,1/5,000としたもの、およ
びコントロールについて、下記の方法によりカルシウム
拮抗作用を試験し、結果を図4ないし図8に示した。本
試験では、培養された海馬培養細胞に50mMの等張K
Cl液を適用することによって電位依存性カルシウムチ
ャンネルを開口させた場合に生ずる細胞内のカルシウム
濃度の激しい上昇に対してHAI液がどのような作用を
及ぼすかを検討した。
行ったが、ほとんどが同じような変化を示しており、図
には、そのなかの7例のチャートを示した。
のであり、KClの30秒間適用を10分間隔で2回行
い、その結果を示している。この2回目の反応をHAI
適用後のコントロール反応とした。
回目のKCl適用と第2回目の適用の間で細胞に与えて
おく、HAI液1/100希釈液存在下で、2回目のK
Clを適用する。2回目のKClによるカルシウム濃度
の上昇はほとんど抑制されている。合計10個の細胞で
の平均反応は、コントロールの25%程度であった。
1回目のKCl適用と第2回目の適用の間で細胞に与え
ておく、HAI液1/1000希釈液存在下で、2回目
のKClを適用する。2回目のKClによるカルシウム
濃度の上昇は強く抑制されている。合計10個の細胞で
の平均反応は、コントロールの29%程度であった。
1回目のKCl適用と第2回目の適用の間で細胞に与え
ておく、HAI液1/3000希釈液存在下で2回目の
KClを適用する。2回目のKClによるカルシウム濃
度の上昇はかなり抑制されている。合計10個の細胞で
の平均反応は、コントロールの57%程度であった。
1回目のKCl適用と第2回目の適用の間で細胞に与え
ておく、HAI液1/5000希釈液存在下で2回目の
KClを適用する。2回目のKClによるカルシウム濃
度の上昇はかなり抑制されている。合計10個の細胞で
の平均反応は、コントロールの82%程度であった。
培養細胞の脱分極時のカルシウム流入を非常に強力に抑
制していることが理解される。この事実は、HAIが腸
管でのカルシウムの吸収を促進すると共に、脳において
は、危険な細胞内への過剰なカルシウム流入を抑制する
ことを意味するものである。したがって、これらの結果
は、HAIが、副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用によっ
てカルシウムパラドックスに起因する細胞内カルシウム
の上昇を予防することを明瞭に裏付けている。
泌抑制作用の著しく優れ、さらに細胞へのカルシウムの
流入を抑制するカルシウム拮抗剤が提供される。また、
更にこれをカルシウムに添加した時には、カルシウムの
吸収利用促進が著しく改善されたカルシウム吸収利用促
進剤が提供される。つまり、本願発明によって提供され
るHAIは、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する作用が
優れていることから、生命維持のメカニズムにおいて極
めて重要な、細胞内へカルシウムの流入を抑制するカル
シウム拮抗剤としての作用を有し、かつ、これを従来の
カルシウムに添加したものは、カルシウムの吸収が著し
く向上するだけでなく、高齢者においても骨量の増加が
明瞭に認められるカルシウム製剤を提供することがで
き、いずれにしても、生命維持に不可決な人体における
カルシウムのコントロールを司る働きをする。
のである。
カルシウムの腸管吸収効果を試験した結果を示すグラフ
である。
いた細胞内へのカルシウムの流入状態を表すグラフであ
る。
剤作用を示すためのラットの海馬培養細胞を用いた細胞
内へのカルシウムの流入状態を表すグラフである。
抗剤作用を示すためのラットの海馬培養細胞を用いた細
胞内へのカルシウムの流入状態を表すグラフである。
抗剤作用を示すためのラットの海馬培養細胞を用いた細
胞内へのカルシウムの流入状態を表すグラフである。
抗剤作用を示すためのラットの海馬培養細胞を用いた細
胞内へのカルシウムの流入状態を表すグラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 植物由来のカルシウム含有物質を焼成
し、それを酸抽出した水溶液からなることを特徴とする
副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する作用を有するカルシ
ウム拮抗剤。 - 【請求項2】 植物由来のカルシウム含有物質を焼成
し、それを酸抽出した水溶液からなることを特徴とする
カルシウム吸収利用促進剤。 - 【請求項3】 前記植物由来のカルシウム含有物質が、
海藻類、豆類、禾本科類、ゴマ、茶および炭化植物から
なる群より選ばれた少なくとも1種である請求項2記載
のカルシウム吸収利用促進剤。 - 【請求項4】 前記カルシウム吸収利用促進剤の焼成
が、減圧ないし真空下に行われたものである請求項2ま
たは3記載のカルシウム吸収利用促進剤。 - 【請求項5】 前記カルシウム吸収利用促進剤の焼成後
の酸抽出物が、上記カルシウム含有物質に強酸を作用さ
せた後、抽出生成物に、ほぼ等量の水を添加して得られ
た請求項2ないし4のいずれか1記載のカルシウム吸収
利用促進剤。 - 【請求項6】 前記カルシウム吸収利用促進剤を、カル
シウムに添加したことを特徴とする吸収利用促進を高め
たカルシウム製剤。 - 【請求項7】 前記カルシウムが、植物または動物由来
のカルシウム含有物質の焼成によって得られたものであ
る請求項6記載の吸収利用促進を高めたカルシウム製
剤。 - 【請求項8】 前記カルシウム、またはカルシウム吸収
利用促進剤を添加したカルシウム製剤が、スプレードラ
イヤによる粒状化によって多孔化された粉末である請求
項6または7記載のカルシウム製剤。 - 【請求項9】 植物由来のカルシウム含有物質を焼成し
た後、これを強酸中に浸漬して抽出することを特徴とす
るカルシウム拮抗剤の製造方法。 - 【請求項10】 前記焼成が、300ないし1000℃で
減圧ないし真空下で行われるものである請求項9記載の
カルシウム拮抗剤の製造方法。 - 【請求項11】 前記植物由来のカルシウム含有物質を焼
成した後の酸抽出物が、上記カルシウム含有物質に強酸
を作用させて得られた抽出生成物に、前記酸とほぼ同量
の水を添加して得られたものである請求項9または10
記載のカルシウム拮抗剤の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13618798A JP4001676B2 (ja) | 1997-05-21 | 1998-05-19 | 副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有するカルシウム 拮抗剤・およびその製造方法ならびにその用途 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-130907 | 1997-05-21 | ||
JP13090797 | 1997-05-21 | ||
JP13618798A JP4001676B2 (ja) | 1997-05-21 | 1998-05-19 | 副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有するカルシウム 拮抗剤・およびその製造方法ならびにその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1135492A true JPH1135492A (ja) | 1999-02-09 |
JP4001676B2 JP4001676B2 (ja) | 2007-10-31 |
Family
ID=26465899
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13618798A Expired - Lifetime JP4001676B2 (ja) | 1997-05-21 | 1998-05-19 | 副甲状腺ホルモンの分泌抑制作用を有するカルシウム 拮抗剤・およびその製造方法ならびにその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4001676B2 (ja) |
-
1998
- 1998-05-19 JP JP13618798A patent/JP4001676B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4001676B2 (ja) | 2007-10-31 |
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