JPH11354322A - プレーナインダクタおよびその磁性体膜の磁化容易化方法 - Google Patents

プレーナインダクタおよびその磁性体膜の磁化容易化方法

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JPH11354322A
JPH11354322A JP15463498A JP15463498A JPH11354322A JP H11354322 A JPH11354322 A JP H11354322A JP 15463498 A JP15463498 A JP 15463498A JP 15463498 A JP15463498 A JP 15463498A JP H11354322 A JPH11354322 A JP H11354322A
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JP
Japan
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4center
magnetic film
coil
planar inductor
magnetic field
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JP15463498A
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Akira Ishiguro
陽 石黒
Hiroshi Tomita
宏 富田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インダクタンスの低下を抑制しつつ、直流重
畳特性の安定性を改善できるプレーナインダクタを提供
すること。 【解決手段】 巻き線方向が互いに逆向きとされた第
1、第2のスパイラル部を有するコイル1と、このコイ
ル1を絶縁物を介して挟む磁性体膜3、4(4LEFT、4
CENTER-1、4CENTER-2、4RIGHT )とを具備する。そし
て、第1、第2のスパイラルに挟まれた領域CENTERに応
じた磁性体膜4CENTERを、複数の部分4CENTER-1、4CE
NTER-2に分割したことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はプレーナインダク
タに係わり、特にプレーナインダクタの磁性体膜の着磁
強度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】プレーナインダクタは、巻き線コイルを
使用した一般的なインダクタに比べて小形、かつ薄くで
きる利点を有している。この利点より、インダクタが使
用される電子機器、例えばDC−DCコンバータ(直流
電源)等に利用され、その小型化等に貢献している。
【0003】図8(A)は従来のプレーナインダクタの
平面図、図8(B)は図8(A)中の8B−8B線に沿
う断面図である。図8(A)、(B)に示すように、プ
レーナインダクタは、巻き線方向が互いに逆向きとさ
れ、平面から見て長軸、短軸を有する矩形状の第1、第
2のスパイラルを持つコイル101を有している。第
1、第2のスパイラルの中心部をそれぞれ参照符号S
1、S2により示す。このようなコイル101は、“長
方形ダブルスパイラルコイル”とも呼ばれている。長方
形ダブルスパイラルコイル101は、層間絶縁膜102
を介して下層磁性体膜103と上層磁性体膜104とに
より挟まれている。これら下層磁性体膜103、上層磁
性体膜104はともに磁気異方性を有しており、その磁
化容易軸は、第1、第2のスパイラルの長軸に沿った方
向に設定されている。上層磁性体膜104は、3つの上
層磁性体膜104LEFT、104CENTER、104RIGHT に
分割されており、それぞれ第1のスパイラルの中心部S
1から紙面左側の領域“LEFT”、第1のスパイラルの中
心部S1と第2のスパイラルの中心部S2とに挟まれた
領域“CENTER”、第2のスパイラルの中心部S2から紙
面右側の領域“RIGHT ”を覆っている。
【0004】このようなプレーナインダクタにおいて、
コイル101に直流電流IDCを流すと、領域“LEFT”、
“CENTER”、“RIGHT ”それぞれに磁界が発生する。こ
の磁界の分布を図9に示す。
【0005】図9は磁界の分布を図8(B)に示す断面
と対応させながら示した図である。図9に示すように、
コイル101に直流電流IDCを流した時、最も大きな磁
界が発生する領域は、第1、第2のスパイラルそれぞれ
の中心部S1、S2に挟まれた領域“CENTER”である。
その上部に形成された上層磁性体膜104CENTERは、領
域“CENTER”に発生した磁界H1によって磁化される。
そして、コイル101に流す直流電流IDCを増加させて
いくと、領域“CENTER”に発生する磁界H1は大きくな
り、これに伴って上層磁性体膜104CENTERはより大き
く磁化され、やがて飽和する。上層磁性体膜104CENT
ERの磁化曲線を図10に示す。
【0006】図10は上層磁性体膜104CENTERの磁化
曲線を示す図である。図10の縦軸Mは磁化で横軸Hは
磁界である。図10に示すように、上層磁性体膜104
CENTERの磁化が飽和した時の磁界を“Hk”とする。こ
こで、直流電流IDCを増加させると、領域“CENTER”に
発生した磁界H1はやがて飽和した磁界Hkを越える。
磁界H1が磁界Hkを越えると、プレーナインダクタの
インダクタンスLが減少し出すようになる。図11にこ
の様子を示す。
【0007】図11は直流電流IDCとインダクタンスL
との関係(直流重畳特性)を示す図である。図11には
磁界H1が磁界Hkを越えた時の直流電流値を、臨界値
Ikとして示している。同図中の特性曲線(I)に示す
ように、直流電流IDCが臨界値Ikを越えると、それま
で安定していたインダクタンスLは急速に減少し出し、
直流重畳特性の安定性が損なわれだす。
【0008】このようなインダクタの直流重畳特性の安
定性を改善するための手段としては、層間絶縁膜102
の厚みt(図8(B)参照)を薄くする方法がある。図
11中の特性曲線(II)は、層間絶縁膜102の厚みt
を薄くした時のものである。
【0009】図11中の特性曲線(II)に示すように、
層間絶縁膜102の厚みtを薄くすることにより臨界値
Ik’は、臨界値Ikよりも高くすることができる。こ
の結果、直流重畳特性の安定性は改善される。しかしな
がら、層間絶縁膜102の厚みtを薄くしない場合に比
べて、そのインダクタンスLは極度に低くなり、インダ
クタの直流重畳特性は、かえって劣化する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来のプ
レーナインダクタでは、直流重畳特性の安定性が悪くな
る傾向を有する。しかも、この安定性を改善しようとす
るとインダクタンスLが極度に低下し、直流重畳特性が
かえって劣化する、という事情があった。
【0011】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、インダクタンスの低下
を抑制しつつ、直流重畳特性の安定性を改善できるプレ
ーナインダクタおよびその磁性体膜の磁化容易化方法を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明では、巻き線方向が互いに逆向きとされた
第1、第2のスパイラル部を有するコイルと、前記コイ
ルを、絶縁物を介して挟む磁性体膜とを具備する。そし
て、前記磁性体膜を、前記第1、第2のスパイラル部に
挟まれた領域に応じた部分において、複数に分割するこ
とを特徴としている。
【0013】上記構成を有するプレーナインダクタによ
れば、第1、第2のスパイラル部に挟まれた領域に応じ
た部分において、磁性体膜を複数に分割するので、磁性
体膜を分割にしない場合に比べて、磁性体膜の面積を小
さくできる。面積の小さい磁性体膜は面積の大きい磁性
体膜よりも磁化しやすい。このため、磁性体膜各々が磁
化されることによって生ずる磁界は、磁性体膜を複数に
分割しない場合に比べて強くなる。これにより、直流電
流IDCの臨界値をより高めることができ、直流重畳特性
の安定性を高めることが可能である。しかも絶縁膜を薄
くする必要もないので、インダクタンスの低下も抑制可
能である。したがって、直流重畳特性の安定性を改善で
きると同時に、インダクタンスの低下を抑制できるプレ
ーナインダクタを得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を、図
面を参照して説明する。 [第1の実施形態]図1(A)はこの発明の第1の実施
形態に係るプレーナインダクタの平面図、図1(B)は
図1(A)中の1B−1B線に沿う断面図である。
【0015】図1(A)、(B)に示すように、この発
明の第1の実施形態に係るプレーナインダクタは、巻き
線方向が互いに逆向きとされ、平面から見て長軸、短軸
を有する矩形状の第1、第2のスパイラルを持つコイル
1を有している。第1、第2のスパイラルの中心部をそ
れぞれ参照符号S1、S2により示す。
【0016】コイル1は、層間絶縁膜2を介して下層磁
性体膜3と上層磁性体膜4(4LEFT、4CENTER-1、4CE
NTER-2、4RIGHT )とにより挟まれている。これら下層
磁性体膜3、上層磁性体膜4はともに磁気異方性を有し
ており、その磁化容易軸は、第1、第2のスパイラルの
長軸に沿った方向に設定されている。
【0017】上層磁性体膜4は、3つの上層磁性体膜4
LEFT、4CENTER、4RIGHT に分割されており、それぞれ
第1のスパイラルの中心部S1から紙面左側の領域“LE
FT”、第1のスパイラルの中心部S1と第2のスパイラ
ルの中心部S2とに挟まれた領域“CENTER”、第2のス
パイラルの中心部S2から紙面右側の領域“RIGHT ”を
覆っている。コイル1に直流電流IDCを流した時、最も
大きな磁界が発生する領域は、第1、第2のスパイラル
の中心部S1、S2に挟まれた領域“CENTER”である。
この第1の実施形態では、最も大きな磁界が発生する領
域“CENTER”を覆う上層磁性体膜4CENTERを、上記第
1、第2のスパイラルの長軸に沿って上層磁性体膜4CE
NTER-1、4CENTER-2の2つに分割している。
【0018】この第1の実施形態に係るプレーナインダ
クタのコイル1に直流電流IDCを流した時に発生する磁
界の分布を図2に示す。図2は磁界の分布を図1(B)
に示す断面と対応させながら示した図である。
【0019】図2に示すように、コイル1に直流電流I
DCを流すと、領域“CENTER”の上部に形成された上層磁
性体膜4CENTER-1、4CENTER-2はそれぞれ、領域“CENT
ER”に発生した磁界H1によって磁化される。そして、
コイル1に流す直流電流IDCを増加させていくと、領域
“CENTER”に発生する磁界H1は大きくなり、これに伴
って上層磁性体膜4CENTER-1、4CENTER-2はともに作用
する磁界が大きくなる。上層磁性体膜4CENTER-1の磁化
曲線を図3に示す。
【0020】図3は上層磁性体膜4CENTER-1の磁化曲線
を示す図である。図3の縦軸Mは磁化で横軸Hは磁界で
ある。図3に示すように、上層磁性体膜4CENTER-1の磁
化は、あるところで飽和する。上層磁性体膜4CENTER-1
の磁化が飽和した時の磁界を“Hk’”とする。
【0021】ここで、直流電流IDCを増加させると、領
域“CENTER”に発生した磁界H1は、従来の飽和した時
の磁界Hkを越える。しかしながら、この第1の実施形
態では、磁性体膜4CENTER-1、4CENTER-2をそれぞれよ
り強く磁化できる。このため、従来、飽和した時の磁界
Hkを越えるような直流電流IDCをコイル1に流したと
しても、図3に示すように、飽和した時の磁界Hk’を
越えないようにできる。これにより、直流重畳特性の安
定性を改善することができる。
【0022】なお、この第1の実施形態に係るプレーナ
インダクタにおける上層磁性体膜4CENTER-1、4CENTER
-2はともに、同じ軟磁性材料により構成され、同方向に
設定された磁化容易軸を持つ。しかもこの第1の実施形
態ではコイル1の巻き線方向が変わる軸、例えば領域
“CENTER”の中心線10に沿って左右対称の形状であ
る。このため、上層磁性体膜4CENTER-1、4CENTER-2は
どちらも実質的に同じ磁化曲線を有する。
【0023】図4は直流電流IDCとインダクタンスLと
の関係(直流重畳特性)を示す図である。この図4に示
す特性曲線(I)、(II)はそれぞれ、図11中に示し
た特性曲線(I)、(II)と同じものである。特性曲線
(III )が第1の実施形態に係るプレーナインダクタの
特性曲線である。
【0024】図4中の特性曲線(III )に示すように、
直流電流IDCの臨界値Ik’は、従来の特性極性(I)
よりも高く、直流重畳特性の安定性は改善される。ま
た、臨界値Ik’を越えると、安定していたインダクタ
ンスLは、従来の特性曲線(II)と同様に低下し出す。
しかしながら、安定するインダクタンスLの値は、従来
の特性曲線(II)よりも高い値を保っており、実用上、
問題のない直流重畳特性を実現できる。これは、例えば
層間絶縁膜2の厚みt(図1(B)参照)を薄くする必
要が特にないためである。
【0025】このように第1の実施形態に係るプレーナ
インダクタでは、直流重畳特性の安定性を改善できると
同時に、インダクタンスLの低下をも抑制できる、とい
う効果を得ることができる。
【0026】なお、この第1の実施形態では上層磁性体
膜4CENTER−1、4CENTER−2それぞれの第1、第2の
スパイラルの長軸に沿った長さは、特に図1(A)に示
す平面から明らかなように、第1、第2のスパイラルの
短軸に沿った幅よりも大きい。即ちより長尺な長方形で
ある。このような形状は、正方形に近い形状よりも磁化
され易い。したがって、上層磁性体膜4CENTERを分割す
る際には、この第1の実施形態のように、長軸に沿った
長さを、短軸に沿った幅よりも大きくし、より長尺な長
方形とされることが好ましい。
【0027】[第2の実施形態]第2の実施形態は、上
層磁性体膜4CENTERの他の分割方法に関する。この第2
の実施形態は、より長尺な長方形をした磁性体膜の方が
磁化し易いという事項に着目し、コイルに電流を流すこ
とによって領域“CENTER”に発生する磁界のうち、もっ
とも磁界が強いところに、より長尺な長方形をした磁性
体膜を配置するようにしたものである。これにより、磁
性体膜をより強く磁化できるとともに、磁化された磁性
体膜によって発生する磁界をより強くできる。
【0028】図5(A)はこの発明の第2の実施形態に
係るプレーナインダクタの平面図、同図(B)は同図
(A)中の5B−5B線に沿う断面図である。図5
(A)、(B)に示すように、第2の実施形態に係るプ
レーナインダクタでは、例えば領域“CENTER”において
コイル1の巻き線方向が変わる軸、例えば領域“CENTE
R”の中心線10に近いものから順に、スパイラルの短
軸に沿った幅が広くなるように、上層磁性体膜4CENTER
を“4CENTER-11 〜4CENTER-13 ”、および“4CENTER
-21 〜4CENTER-23 ”に分割している。
【0029】上層磁性体膜4CENTER-11 〜4CENTER-13
の短軸に沿った幅はそれぞれ“w1〜w3”である。ま
た、図5(B)には特に示さないが、上層磁性体膜4CE
NTER-21 〜4CENTER-23 の短軸に沿った幅もまた、例え
ばそれぞれ“w1〜w3”である。即ち第2の実施形態
では、上層磁性体膜4CENTER-11 〜4CENTER-13 と、上
層磁性体膜4CENTER-21 〜4CENTER-23 とが、コイル1
の巻き線方向が変わる軸、例えば中心線10を境にして
対象なパターンになっている。
【0030】この第2の実施形態に係るプレーナインダ
クタの、コイル1に直流電流IDCを流した時に発生する
磁界の分布を図6に示す。なお、以下の説明では、上層
磁性体膜4CENTER-11 〜4CENTER-13 についてのみ説明
するが、この第2の実施形態では、上層磁性体膜4CENT
ER-21 〜4CENTER-23 についても説明と同様であること
はもちろんである。
【0031】図6は磁界の分布を図5(B)に示す断面
と対応させながら示した図である。図6に示すように、
コイル1に直流電流IDCを流すと、領域“CENTER”の上
部に形成された上層磁性体膜4CENTER-11 〜4CENTER-1
3 、4CENTER-21 〜4CENTER-23 はそれぞれ、第1の実
施形態と同様に領域“CENTER”に発生した磁界によって
磁化される。
【0032】この時の磁界は、上層磁性体膜4CENTER-1
1 の下において“H1”、上層磁性体膜4CENTER-12 の
下において“H2”、上層磁性体膜4CENTER-13 の下に
おいて“H3”となる。これらコイル1に直流電流IDC
を流すことによって発生した各箇所における磁界H1〜
H3の関係は“H1>H2>H3”である。
【0033】また、上層磁性体膜4CENTER-11 〜4CENT
ER-13 の磁化が飽和した時の磁界をそれぞれ“Hk
1”、“Hk2”、“Hk3”とする。なお、図6には
磁界Hk1のみを示す。
【0034】この場合に、上記磁界H1〜H3と上記磁
界Hk1〜Hk3とが、下記の式(1)に示す関係を満
足するように、上層磁性体膜4CENTER-11 〜4CENTER-1
3 の幅w1〜w3をそれぞれ設定する。
【0035】 0≧(H1−Hk1)≧(H2−Hk2)≧(H3−Hk3) … (1) 即ち、幅w1〜w3の関係を“w1≦w2≦w3”とす
る。このようにコイル1の巻き線方向が変わる軸、例え
ば領域“CENTER”の中心線10に近いものから順に、幅
が広くなるように上層磁性体膜4CENTERを“4CENTER-1
1 〜4CENTER-13 ”に分割することにより、磁性体膜4
CENTER-11 〜4CENTER-13 をそれぞれ強く磁化できると
ともに、磁化された磁性体膜4CENTER-11 〜4CENTER-1
3 によって発生する磁界Hk’(磁界Hk1〜Hk3が
合成された磁界)をより強くできる。上層磁性体膜4CE
NTER-11 の磁化曲線を図7に示す。
【0036】図7は上層磁性体膜4CENTER-11 の磁化曲
線を示す図である。図7の縦軸Mは磁化で横軸Hは磁界
である。図7に示すように、上層磁性体膜4CENTER-11
の磁化は、第1の実施形態と同様にあるところで飽和す
る。上層磁性体膜4CENTER-11 の磁化が飽和した時の磁
界を上記の通り“Hk1”とする。
【0037】ここで、直流電流IDCを増加させると、領
域“CENTER”に発生した磁界H1は、従来の飽和した時
の磁界Hkを越える。しかしながら、この第2の実施形
態では、第1の実施形態と同様に磁性体膜4CENTER-11
をより強く磁化できる。このため、従来、飽和した時の
磁界Hkを越えるような直流電流IDCをコイル1に流し
たとしても、図7に示すように、飽和した時の磁界Hk
1を越えないようにできる。これにより、直流重畳特性
の安定性を改善することができる。
【0038】なお、この第2の実施形態に係るプレーナ
インダクタにおける上層磁性体膜4CENTER-12 、4CENT
ER-13 、4CENTER-21 〜4CENTER-23 もまた、上層磁性
体膜4CENTER-11 と同様に、図8(A)、(B)に示し
た磁性体膜4CENTERよりもより長尺な長方形を為してい
る。よって、これらの磁化の強さはそれぞれ、図8
(A)、(B)に示した磁性体膜4CENTERよりも強くで
きる。
【0039】したがって、第2の実施形態においても、
第1の実施形態と同様に、直流重畳特性の安定性を改善
できると同時に、インダクタンスLの低下をも抑制でき
る、という効果を得ることができる。
【0040】また、第2の実施形態においては、磁性体
膜4CENTERを、例えば中心線10を境にして左右3つの
部分に分割したが、左右3つ以上の部分、例えばn個に
分割することも可能である。この場合には、下記の式
(2)に示す関係を満足するように、上層磁性体膜4CE
NTER-11 〜4CENTER-1n の幅w1〜wnをそれぞれ設定
れば良い。
【0041】 0≧(H1−Hk1)≧(H2−Hk2)≧…≧(Hn−Hkn)…(2) このようにスパイラルの短軸に沿った幅“w1〜wn”
を、コイル1の巻き線方向が変わる軸、例えば領域“CE
NTER”の中心線10に近いもの、即ち領域“CENTER”の
うち、コイル1に直流電流IDCを流した時に発生する磁
界が最も強い箇所から弱い箇所に向かって順に“w1≦
w2≦…≦wn”の関係を有して磁性体膜4CENTERを分
割すれば良い。
【0042】また、磁性体膜4CENTERを、例えば中心線
10を境にして左右2つの部分に分割することも可能で
ある。この場合には、下記の式(3)に示す関係を満足
するように、上層磁性体膜4CENTER-11 、4CENTER-12
の幅w1、w2をそれぞれ設定れば良い。
【0043】 0≧(H1−Hk1)≧(H2−Hk2) …(3) 即ち、磁性体膜4CENTERは、第1、第2のスパイラルの
中心部S1、S2に挟まれた領域“CENTER”において、
スパイラルの短軸に沿った幅wが、コイルに電流を流し
た時に発生する磁界が最も強い箇所から弱い箇所に向か
って順に広くなる関係を有して分割されていれば良い。
【0044】[製造方法]この発明に係るプレーナイン
ダクタの製造方法は、例えば図8(A)、図8(B)に
示した従来のプレーナインダクタと同様の工程を経て形
成することができる。異なるところは、層間絶縁膜2上
にスパッタ法等を用いて形成した上層磁性体膜4のパタ
ーニングを、図1(A)、(B)に示すように、例えば
巻き線方向が変わる軸、例えば中心線10に沿ってさら
に分割するか、あるいは図5(A)、(B)に示すよう
に、スパイラルの短軸に沿った幅が、コイル1に直流電
流IDCを流した時に発生する磁界が最も強い箇所から弱
い箇所に向かって順に広くなる関係を有して分割するか
である。
【0045】即ち、この発明に係るプレーナインダクタ
を得るために、格別製造工程を増やす必要は無く、例え
ば製造コストが増加はすることもない。また、上記実施
形態では、上層磁性体膜4CENTERを分割する例を説明し
たが、下層磁性体膜3を、第1、第2の実施形態により
説明したパターンで分割するようにしても良い。
【0046】さらに、上層磁性体膜4CENTERとともに、
下層磁性体膜3を第1、第2の実施形態により説明した
パターンで分割するようにして良い。また、この場合に
は、上層磁性体膜4CENTERの分割パターンと、下層磁性
体膜3の分割パターンとは、上記第1、第2の実施形態
を様々に組み合わせることが可能である。
【0047】また、この発明に係るプレーナインダクタ
は、上記第1、第2の実施形態により説明した構造のプ
レーナインダクタに限定されることはなく、公知のプレ
ーナインダクタであれば、上記の効果を有して適用する
ことはもちろんである。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、インダクタンスの低下を抑制しつつ、直流重畳特性
の安定性を改善できるプレーナインダクタおよびその磁
性体膜の磁化容易化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)はこの発明の第1の実施形態に係る
プレーナインダクタの平面図、図1(B)は図1(A)
中の1B−1B線に沿う断面図。
【図2】図2は磁界の分布を断面に対応させて示す図。
【図3】図3は磁性体膜の磁化曲線を示す図。
【図4】図4はコイルに流れる直流電流とインダクタン
スとの関係を示す図。
【図5】図5(A)はこの発明の第2の実施形態に係る
プレーナインダクタの平面図、図5(B)は図5(A)
中の5B−5B線に沿う断面図。
【図6】図6は磁界の分布を断面に対応させて示す図。
【図7】図7は磁性体膜の磁化曲線を示す図。
【図8】図8(A)は従来のプレーナインダクタの平面
図、図8(B)は図8(A)中の8B−8B線に沿う断
面図。
【図9】図9は磁界の分布を断面に対応させて示す図。
【図10】図10は磁性体膜の磁化曲線を示す図。
【図11】図11はコイルに流れる直流電流とインダク
タンスとの関係を示す図。
【符号の説明】
1…コイル、2…層間絶縁膜、3…下層磁性体膜、4CE
NTER-1、4CENTER-2、4CENTER-11 、4CENTER-12 、4
CENTER-13 、4CENTER-21 、4CENTER-22 、4CENTER-2
3 …分割された上層磁性体膜。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻き線方向が互いに逆向きとされた第
    1、第2のスパイラル部を有するコイルと、 前記コイルを、絶縁物を介して挟む磁性体膜とを具備
    し、 前記磁性体膜が、前記第1、第2のスパイラル部に挟ま
    れた領域に応じた部分において、複数に分割されている
    ことを特徴とするプレーナインダクタ。
  2. 【請求項2】 前記磁性体膜は、前記第1、第2のスパ
    イラル部に挟まれた領域に応じた部分において、前記コ
    イルの巻き線方向が変わる軸に沿って分割されているこ
    とを特徴とするプレーナインダクタ。
  3. 【請求項3】 前記第1、第2のスパイラル部はそれぞ
    れ、平面から見て長軸、短軸を有する形状を有し、 前記磁性体膜は、前記長軸に沿って分割されていること
    を特徴とする請求項1および請求項2いずれかに記載の
    プレーナインダクタ。
  4. 【請求項4】 前記磁性体膜は、前記第1、第2のスパ
    イラル部に挟まれた領域に応じた部分において、前記短
    軸に沿った幅が、前記コイルに電流を流した時に発生す
    る磁界が最も強い箇所から弱い箇所に向かって順に広く
    なる関係を有して分割されていることを特徴とする請求
    項3に記載のプレーナインダクタ。
  5. 【請求項5】 巻き線方向が互いに逆向きとされた第
    1、第2のスパイラル部を有するコイルと、 前記コイルを、絶縁物を介して挟む磁性体膜とを具備す
    るプレーナインダクタの磁性体膜の磁化容易化方法であ
    って、 前記磁性体膜を、前記第1、第2のスパイラル部に挟ま
    れた領域に応じた部分において複数に分割することを特
    徴とするプレーナインダクタの磁性体膜の磁化容易化方
    法。
JP15463498A 1998-06-03 1998-06-03 プレーナインダクタおよびその磁性体膜の磁化容易化方法 Pending JPH11354322A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011193093A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Institute Of National Colleges Of Technology Japan 磁性薄膜を用いた伝送線路デバイス

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