JPH11354040A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地磁気等の外部磁界を良好に遮蔽でき、整形
性にも優れた磁気遮蔽体を備えたカラー受像管を提供す
る。 【解決手段】 内面に蛍光体スクリーン３が形成された
矩形状のパネル１と、パネル１に接合された漏斗状のフ
ァンネル２と、前記ファンネル２のネック部７に配置さ
れ、電子ビーム８Ｒ等を放出する電子銃８と、前記ファ
ンネル２の内部に配置され、相対向する２つの長辺部と
相対向する２つの短辺部とを有し管軸方向の電子銃９側
を小開口部２２とし、前記パネル１側を大開口部２１と
し四隅に対角軸を有する矩形状の中空台形の磁気遮蔽体
２０とから構成されるカラー受像管であって、前記磁気
遮蔽体２０の大開口部面法線と大開口部側の対角軸がな
す角度は、前記小開口部面法線と小開口部側の対角軸が
なす角度より小さい構造としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管に関
し、特に外部磁界の影響を軽減して良好なランディング
特性が得られるカラー受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】カラー受像管において、３電子ビームの
通過領域に地磁気や外部回路等から発生する不所望な磁
界が入り込むと、３電子ビームはその不所望な磁界の影
響を受けて本来の軌道から外れ、いわゆるミスランディ
ングを起こし、色純度の劣化を招く。このため、カラー
受像管においては、通常、３電子ビームが最も磁界の影
響を受けやすいファンネルの内部に磁気遮蔽体が配置さ
れている。

【０００３】この磁気遮蔽体は、矩形状で中空台形形状
を基本構造としているが、この基本構造では外部磁界の
遮蔽が十分でないため、外部磁界をより適切に遮蔽する
各種形状、構造の磁気遮蔽体が開発されている。

【０００４】例えば、特開平５−１５９７１３号公報に
は、図１１に示すように、小開口部４２と大開口部４３
とにより形成される長辺部４４と短辺部４６がともに管
軸Ｚに対して傾斜した平面をなし、かつ、長辺部４４、
短辺部４６の小開口部４２側に各々切欠部４７、４８を
設けたカラー受像管用の磁気遮蔽体４１が開示されてい
る。

【０００５】しかし、このような磁気遮蔽体４１の構造
では、長辺部４４と短辺部４６がともに平面をなし、か
つ、切欠部４７、４８を設けたものであるため、磁気遮
蔽体４１の整形性は良いものの、外部磁界の磁気遮蔽効
果を十分に得ることができない。

【０００６】また、特開平４−２９８９３９号公報に
は、図１２に示すように、小開口部５２が偏向磁界の領
域６０に沿って傾斜した縁をもっている磁気遮蔽体５１
を備えたカラー受像管５０が開示されている。

【０００７】しかし、このような磁気遮蔽体５１の構造
では、磁気遮蔽効果を管軸方向に大きくする場合、小開
口部５２の付近での電子ビームの軌道を維持するため
に、ファンネル５３の内面と磁気遮蔽体５１の縁との距
離が近くなり接する危険性がある。このため、小開口部
５２に寸法的な制約が生じ磁気遮蔽効果を狭めざるを得
なくなる。このことは偏向角が９０度以上のカラー受像
管５０では３電子ビームのミスランディングを防止する
上で大きな問題となる。

【０００８】尚、図１２において、５４はパネル、５５
は蛍光体スクリーン、５６はシャドウマスク、５７はネ
ック、５８は電子銃、５９は電子ビームである。

【０００９】さらに、図１３に示すように、ファンネル
５３の形状に沿った形状の磁気遮蔽体７１もカラー受像
管７０も考慮されているが、この磁気遮蔽体７１の場
合、磁気遮蔽範囲は大きく取れるものの製造上の成形性
が難しく、磁気材料の厚さを大きく取らなければならな
い。また、小開口部７２の角度が水平軸に平行に近くな
ってしまい、電子ビームとの距離が大きく、磁気遮蔽効
果は図１１に示す磁気遮蔽体４１より少ない。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の各種の磁気遮蔽体の構成では、いずれも不所望な磁界
を十分に遮蔽できず、特に管軸方向に入射する地磁気が
電子ビームの軌道を大きく反らすために色純度が劣化
し、良好な画像が得られないという問題があった。

【００１１】また、従来の磁気遮蔽体の構造では、成形
性や小開口部の寸法的制約の点でも問題があった。

【００１２】本発明は、上記の問題点を解決するもので
あり、地磁気等の外部磁界を良好に遮蔽でき良好な画像
を得ることができるとともに、成形性にも優れた磁気遮
蔽体を備えたカラー受像管を提供することを目的とする
ものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
内面に蛍光体スクリーンが形成された矩形状のパネル
と、前記パネルに接合された漏斗状のファンネルと、前
記ファンネルのネック部に配置され、電子ビームを放出
する電子銃と、前記ファンネルの内部に配置され、相対
向する２つの長辺部と相対向する２つの短辺部とを有し
管軸方向の前記電子銃側を小開口部とし、前記パネル側
を大開口部とし四隅に対角軸を有する矩形状の中空台形
の磁気遮蔽体とから構成されるカラー受像管であって、
前記磁気遮蔽体の大開口部面法線と大開口部側の対角軸
がなす角度は、前記小開口部面法線と小開口部側の対角
軸がなす角度より小さいことを特徴とするものである。

【００１４】この発明によれば、矩形状の中空台形の磁
気遮蔽体における大開口部面法線と大開口部側の対角軸
がなす角度を、前記小開口部面法線と小開口部側の対角
軸がなす角度より小さく設定した構造としているので、
面倒な曲線加工を要することなくこの磁気遮蔽体を形成
でき整形性に優れるとともに、漏斗状のファンネルの内
部にこの磁気遮蔽体を前記電子ビームに対して適切な間
隔をもって配置し地磁気等の外部磁界を良好に遮蔽する
ことができる。

【００１５】請求項２記載の発明は請求項１記載のカラ
ー受像管において、前記大開口部面法線と大開口部側の
対角軸とは平行に設定され、前記大開口部面法線と大開
口部側の対角軸とのなす角度は、前記小開口部面法線と
小開口部側の対角軸がなす角より小さいことを特徴とす
るものである。

【００１６】この発明によれば、矩形状の中空台形の磁
気遮蔽体を、大開口部面法線と大開口部側の対角軸とは
平行に設定し、かつ、前記両対角軸の角度関係を請求項
１記載の場合と同様にした形状に構成して、請求項１記
載の場合と同様な作用を発揮させることができる。

【００１７】請求項３記載の発明は、請求項１記載のカ
ラー受像管において、前記大開口部面法線と大開口部側
の対角軸とのなす角度は４０度乃至８０度であり、前記
小開口部面法線と小開口部側の対角軸がなす角は９０度
以下でかつ４０度乃至８０度よりも大きい角度であるこ
とを特徴とするものである。

【００１８】この発明によれば、大開口部面法線と大開
口部側の対角軸とのなす角度は４０度乃至８０度とし、
前記小開口部面法線と小開口部側の対角軸がなす角は９
０度以下でかつ４０度乃至８０度よりも大きい角度とし
た構成の磁気遮蔽体により、請求項１記載の場合と同様
な作用を発揮させることができる。

【００１９】請求項４記載の発明は、請求項１乃至３記
載のカラー受像管において、前記磁気遮蔽体の小開口部
側の対角軸と大開口部側の対角軸との境界は、小開口部
から大開口部へ向かう管軸方向の１／３の領域に設定し
たことを特徴とするものである。

【００２０】この発明によれば、小開口部側の対角軸と
大開口部側の対角軸との境界を、小開口部から大開口部
へ向かう管軸方向の１／３の領域に設定した磁気遮蔽体
を漏斗状のファンネルの内部に配置し、前記電子ビーム
に対して作用しようとする地磁気等の外部磁界を良好に
遮蔽することができる。

【００２１】請求項５記載の発明は、内面に蛍光体スク
リーンが形成された矩形状のパネルと、前記パネルに接
合された漏斗状のファンネルと、前記ファンネルのネッ
ク部に配置され、電子ビームを放出する電子銃と、前記
ファンネルの内部に配置され、相対向する２つの長辺部
と相対向する２つの短辺部とを有し管軸方向の前記電子
銃側を小開口部とし、前記パネル側を大開口部とする矩
形状の中空台形の磁気遮蔽体であって、小開口部の対角
端部から前記長辺部及び短辺部にそれぞれ所定の切り込
み角度で所定の切り込み深さの切欠部が設けられた磁気
遮蔽体とから構成されるカラー受像管であって、前記前
記磁気遮蔽体の大開口部面法線と大開口部側の対角軸が
なす角度は、前記小開口部面法線と小開口部側の対角軸
がなす角度より小さいことを特徴とするものである。

【００２２】この発明によれば、矩形状の中空台形で、
小開口部の対角端部から前記長辺部及び短辺部にそれぞ
れ所定の切り込み角度で所定の切り込み深さの切欠部が
設けられた磁気遮蔽体における大開口部面法線と大開口
部側の対角軸がなす角度を、前記小開口部面法線と小開
口部側の対角軸がなす角度より小さく設定した構造とし
ているので、請求項１記載の発明の場合と同様、面倒な
曲線加工を要することなくこの磁気遮蔽体を形成でき整
形性に優れるとともに、漏斗状のファンネルの内部にこ
の磁気遮蔽体を前記電子ビームに対して適切な間隔をも
って配置し地磁気等の外部磁界を良好に遮蔽することが
できる。

【００２３】請求項６記載の発明は、請求項５記載のカ
ラー受像管において、前記大開口部面法線と大開口部側
の対角軸とは平行に設定され、前記大開口部面法線と大
開口部側の対角軸とのなす角度は、前記小開口部面法線
と小開口部側の対角軸がなす角より小さいことを特徴と
するものである。

【００２４】この発明によれば、矩形状の中空台形の磁
気遮蔽体を、大開口部面法線と大開口部側の対角軸とは
平行に設定し、かつ、前記両対角軸の角度関係を請求項
１記載の場合と同様にした形状に構成して、請求項１記
載の場合と同様な作用を発揮させることができる。

【００２５】請求項７記載の発明は、請求項５記載のカ
ラー受像管において、前記大開口部面法線と大開口部側
の対角軸とのなす角度は４０度乃至８０度であり、前記
小開口部面法線と小開口部側の対角軸がなす角は９０度
以下でかつ４０度乃至８０度よりも大きい角度であるこ
とを特徴とするものである。

【００２６】この発明によれば、大開口部面法線と大開
口部側の対角軸とのなす角度は４０度乃至８０度とし、
前記小開口部面法線と小開口部側の対角軸がなす角は９
０度以下でかつ４０度乃至８０度よりも大きい角度とし
た構成の磁気遮蔽体により、請求項１記載の場合と同様
な作用を発揮させることができる。

【００２７】請求項８記載の発明は、請求項５乃至７の
いずれかに記載のカラー受像管において、前記磁気遮蔽
体の小開口部の対角端部から前記長辺部及び短辺部に亘
ってそれぞれ設ける切欠部は、小開口部から大開口部へ
向かう管軸方向の１／３の領域又はその近辺の領域に至
る切り込み深さを有することを特徴とするものである。

【００２８】この発明によれば、前記小開口部の対角端
部から前記長辺部及び短辺部に亘ってそれぞれ設ける切
欠部を、小開口部から大開口部へ向かう管軸方向の１／
３の領域又はその近辺の領域に至る切り込み深さとして
いるので、地磁気等の外部磁界を小開口部の対角端部に
効果的に誘導して、外部磁界の電子ビームに対する磁気
遮蔽を行うことができる。

【００２９】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。

【００３０】図１は本実施の形態のカラー受像管の概略
断面図である。このカラー受像管は略矩形状のパネル
（ガラスパネル）１と、このパネル１に対して一体に接
合された漏斗状のファンネル２とからなる外囲器を有
し、パネル１の内面に三色蛍光体層からなる蛍光体スク
リーン３が形成され、この蛍光体スクリーン３に対向し
て、その内側に略矩形状のシャドウマスク４が配置され
ている。

【００３１】このシャドウマスク４は、多数の電子ビー
ム通過孔の形成された略矩形状のマスク本体５と、この
マスク本体５の周辺部に取り付けられた断面略Ｌ字型の
略矩形状のマスクプレート６とを備えている。

【００３２】前記ファンネル２のネック部７内には、３
電子ビーム８Ｒ、８Ｇ、８Ｂを放出する電子銃９が配置
されている。さらに、ファンネル２の内側に、前記電子
銃９から放出される３電子ビーム８Ｒ、８Ｇ、８Ｂを地
磁気などの外部磁界から遮蔽するための磁気遮蔽体２０
が配置されている。

【００３３】この磁気遮蔽体２０は、厚さ０．１ｍｍ乃
至０．３ｍｍ程の金属磁性体板を成形することにより形
成され、図１に示すようにパネル１側を大開口部２１と
し、電子銃９側を小開口部２２とする矩形で中空台形状
に形成されている。

【００３４】ここで、図２乃至図４を参照して磁気遮蔽
体２０について詳述する。

【００３５】図２は磁気遮蔽体２０の拡大斜視図、図３
は長辺部２４が管軸Ｚに対して傾斜している状態を管軸
Ｚに平行な面に投影した状態を示す説明図、図４は短辺
部２６が管軸Ｚに対して傾斜している状態を管軸Ｚに平
行な面に投影した状態を示す説明図である。

【００３６】磁気遮蔽体２０は、図２に示すように、第
一の辺部としての長辺部２４、及び第二の辺部としての
短辺部２６に、各々小開口部２２側を底辺側とする略台
形状の切欠部２８ａ、２８ｂを有し、図３に示すよう
に、切欠部２８ａは長辺部２４の中心軸２５に対して切
り込み角度αをなし、図４に示すように、切欠部２８ｂ
は短辺部２６の中心軸２７に対して切り込み角度βをな
して切り込まれている。

【００３７】また、図２に示すように、長辺部２４と大
開口底面とは角度γ（大開口底面の法線に対しては９０
−γ）をなしており、短辺部２６と大開口底面とは角度
δ（大開口底面の法線に対しては９０−δ）をなしてお
り、対角軸３０と大開口底面とは角度ε（大開口底面の
法線に対しては９０−ε）をなしている。

【００３８】また、前記磁気遮蔽体２０の管軸Ｚに沿っ
た高さをｈ、長辺部２４の切欠部２８ａの切り込み深さ
をｄ1 、短辺部２６の切欠部２８ｂの切り込み深さｄ2
とすると、管軸Ｚに直交する切り込み深さｄ1 、ｄ2 付
近の面と長辺部２４とは角度γ’（小開口底面の法線に
対しては９０−γ’）をなしており、切り込み深さｄ1
、ｄ2 付近の面と短辺部２６とは角度δ’（小開口底
面の法線に対しては９０−δ’）をなしており、対角軸
３０の小開口部２２側の稜線３０ａについては管軸Ｚに
直交する切り込み深さｄ1 、ｄ2 付近の面と角度ε’
（小開口底面の法線に対しては９０−ε’）をなしてい
る。

【００３９】そして、これらの各角度は、γ≧γ’、δ
≧δ’、ε≧ε’となるように設定されている。

【００４０】また、図５乃至７に示す磁気遮蔽体２０Ａ
のように、ｄ1 ＝ｄ2 、α＞βとし、管軸Ｚに直交する
切り込み深さｄ1 、ｄ2 の領域がなす面に対し、角度
ε’をなす対角軸３０の小開口部２２側の稜線３０ａの
近辺領域だけを折曲した形状とすることもできる。

【００４１】さらに、前記長辺部２４と大開口底面との
角度γを９０度（大開口底面の法線に対しては０度で、
長辺部２４が大開口底面の法線と平行）とした磁気遮蔽
体２０を形成することももちろん可能である。

【００４２】このように、前記各角度γ、δ、ε、角度
γ’、δ’、ε’を適正化することができる。

【００４３】尚、前記磁気遮蔽体２０又は２０Ａにおい
て、切欠部２８ａ、２８ｂを設けない構造とすることも
できる。

【００４４】ところで、一般に、電子ビームに及ぼす地
磁気の影響を少なくするためには、電子ビームが地磁気
から受ける電磁力を小さくすればよい。即ち、図４に示
すように、電子ビームＩに対して地磁気Ｂが角度ψで鎖
交するとすると、この地磁気Ｂのうち電子ビームＩが地
磁気Ｂから受ける電磁力を小さくするためには、電子ビ
ームに直交する成分Ｂ１を小さくすることが必要であ
る。そのためには、地磁気Ｂを電子ビームＩに平行にな
るように誘導して電子ビームＩと鎖交する角度ψを小さ
くすれば良いことになる。

【００４５】このような観点から、前記磁気遮蔽体２０
の電子銃９側となる小開口部２２の四つの対角端２３か
らの長辺部２４及び短辺部２６の切欠部２８ａ、２８ｂ
の切り込み角度α、β、及び切り込み深さｄ1 、ｄ2 、
稜線３０ａの角度ε’を最適に設定して、地磁気Ｂを電
子ビーム８Ｒ、８Ｇ、８Ｂに平行になるように小開口部
２２の各対角端２３に誘導することにより、電子ビーム
８Ｒ、８Ｇ、８Ｂに対する地磁気Ｂの影響を軽減するこ
とができる。

【００４６】尚、磁気遮蔽体２０の内部では、管軸Ｚ方
向の地磁気（以下Ｎ／Ｓ地磁気とする）による影響が非
常に大きく、管軸Ｚ方向に直角で水平方向の地磁気（以
下Ｅ／Ｗ地磁気とする）はランディング移動量に顕著な
作用を及ぼさないため、Ｎ／Ｓ地磁気の影響によるラン
ディング移動量を軽減する必要がある。

【００４７】そこで、Ｎ／Ｓ地磁気の影響によるランデ
ィング移動量と管軸Ｚに垂直な面と小開口部２２の対角
端２３の角度ε’との関係について説明する。

【００４８】例として偏向角１００度の４１ｃｍ管を用
い、磁気遮蔽体２０のネック部７側の稜線３０ａの角度
（Ｈ軸、Ｖ軸角度もそれに伴う）ε’を３９度から−１
０度まで可変したときのランディング移動量を図９の表
及び図１０のグラフに示す。

【００４９】即ち、磁気遮蔽体２０の長辺部２４に形成
される切欠部２８ａ及び短辺部２６に形成される切欠部
２８ｂに深さｄ1 、ｄ2 を設け、深さｄ1 、ｄ2 付近で
対角軸３０を管軸Ｚの方向に折り曲げ、稜線３０ａの角
度ε’を３９度から−１０度小さくしていった場合のＮ
／Ｓ地磁気の影響によるランディング移動量を示もので
ある。

【００５０】図９、図１０から角度ε’が２６度のとき
が最もランディング移動量が少なく３０度から１０度付
近の範囲に亘って地磁気の影響を軽減できることが分か
る。

【００５１】尚、図９の表における改善量（％）は、角
度ε’＝３９度のときを基準としたランディング移動量
の低減の状態を求めたものである。

【００５２】このようなランディング移動量の軽減効果
は電子ビーム８Ｒ、８Ｇ、８Ｂの偏向角が９０度以上の
場合に有効な手段となる。

【００５３】通常、９０度管は対角軸３０の角度εが４
５度付近（４３乃至４８度）である。これは機構的な制
約と偏向磁界領域の制約に基づくもので、これ以上小さ
くすることができない。しかし、偏向角が９０度以下で
あれば地磁気によるランディング移動量を十分軽減する
ことが出来る。

【００５４】一方、偏向角が大きくなると従来の磁気遮
蔽体の形状では対角軸の角度εは３６度から４０度とな
る。しかし、磁界領域は９０度とほぼ同じで、磁気遮蔽
体の管軸Ｚ方向の高さに制限があり、十分に地磁気を遮
蔽することが困難となる。

【００５５】そこで、本実施の形態では、磁気遮蔽体２
０の稜線３０ａを折り曲げ、前記角度ε’を対角軸３０
の角度εより小さくしてやることで、地磁気の影響を軽
減するものである。

【００５６】上述した実施の形態では、４１ｃｍ管を例
として説明したが、地磁気の軽減効果は大型管となるほ
ど大きくなることが実験により判明した。

【００５７】また、地磁気を遮蔽する効果は、小開口部
２２から大開口部２１へ管軸Ｚ方向の１／３の領域が利
くことが実験により明らかになり、この場合角度ε’を
ある所定の角度とすることが必要である。

【００５８】

【発明の効果】上記説明したように、本発明によれば、
面倒な曲線加工を要しない簡略な形状からなるため整形
性に優れるとともに、地磁気等の外部磁界を良好に遮蔽
し、蛍光体スクリーンに良好な画像を形成することが可
能となる磁気遮蔽体を備えたカラー受像管を提供するこ
とができる。

【００５９】また、本発明によれば、小開口部の対角端
部から長辺部及び短辺部にそれぞれ亘って所定の切り込
み深さの切欠部を設けた簡略な形状で整形性に優れ、か
つ、地磁気等の外部磁界を良好に遮蔽して蛍光体スクリ
ーンに良好な画像を形成することが可能となる磁気遮蔽
体を備えたカラー受像管を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態のカラー受像管の概略断面図であ
る。

【図２】本実施の形態のカラー受像管の磁気遮蔽体の拡
大斜視図である。

【図３】本実施の形態の磁気遮蔽体の長辺部が管軸に対
して傾斜している状態を管軸に平行な面に投影した状態
を示す説明図である。

【図４】本実施の形態の磁気遮蔽体の短辺部が管軸に対
して傾斜している状態を管軸に平行な面に投影した状態
を示す説明図である。

【図５】本実施の形態のカラー受像管の磁気遮蔽体の他
例を示す拡大斜視図である。

【図６】図５に示す磁気遮蔽体の長辺部が管軸に対して
傾斜している状態を管軸に平行な面に投影した状態を示
す説明図である。

【図７】図５に示す磁気遮蔽体の短辺部が管軸に対して
傾斜している状態を管軸に平行な面に投影した状態を示
す説明図である。

【図８】地磁気と電子ビームのなす角についての説明図
である。

【図９】本実施の形態の磁気遮蔽体の対角軸の折り曲げ
角度と地磁気によるランディング移動量との関係を示す
表である。

【図１０】本実施の形態の磁気遮蔽体の対角軸の折り曲
げ角度と地磁気によるランディング移動量との関係を示
すグラフである。

【図１１】従来のカラー受像管の磁気遮蔽体を示す斜視
図である。

【図１２】従来のカラー受像管の磁気遮蔽体を示す概略
断面図である。

【図１３】従来のカラー受像管の磁気遮蔽体を示す概略
断面図である。

【符号の説明】

１ ガラスパネル ２ ファンネル ３ 蛍光体スクリーン ４ シャドウマスク ５ マスク本体 ６ マスクプレート ７ ネック部 ８Ｒ 電子ビーム ８Ｇ 電子ビーム ８Ｂ 電子ビーム ９ 電子銃 ２０ 磁気遮蔽体 ２０Ａ 磁気遮蔽体 ２１ 大開口部 ２２ 小開口部 ２３ 対角端 ２４ 長辺部 ２５ 中心軸 ２６ 短辺部 ２７ 中心軸 ２８ａ 切欠部 ３０ 対角軸 ３０ａ 稜線

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内面に蛍光体スクリーンが形成された矩
   形状のパネルと、 前記パネルに接合された漏斗状のファンネルと、 前記ファンネルのネック部に配置され、電子ビームを放
   出する電子銃と、 前記ファンネルの内部に配置され、相対向する２つの長
   辺部と相対向する２つの短辺部とを有し管軸方向の前記
   電子銃側を小開口部とし、前記パネル側を大開口部とし
   四隅に対角軸を有する矩形状の中空台形の磁気遮蔽体
   と、 から構成されるカラー受像管であって、 前記磁気遮蔽体の大開口部面法線と大開口部側の対角軸
   がなす角度は、前記小開口部面法線と小開口部側の対角
   軸がなす角度より小さいことを特徴とするカラー受像
   管。
2. 【請求項２】 前記大開口部面法線と大開口部側の対角
   軸とは平行に設定され、前記大開口部面法線と大開口部
   側の対角軸とのなす角度は、前記小開口部面法線と小開
   口部側の対角軸がなす角より小さいことを特徴とする請
   求項１記載のカラー受像管。
3. 【請求項３】 前記大開口部面法線と大開口部側の対角
   軸とのなす角度は４０度乃至８０度であり、前記小開口
   部面法線と小開口部側の対角軸がなす角は９０度以下で
   かつ４０度乃至８０度よりも大きい角度であることを特
   徴とする請求項１記載のカラー受像管。
4. 【請求項４】 前記磁気遮蔽体の小開口部側の対角軸と
   大開口部側の対角軸との境界は、小開口部から大開口部
   へ向かう管軸方向の１／３の領域に設定したことを特徴
   とする請求項１乃至３いずれか記載のカラー受像管。
5. 【請求項５】 内面に蛍光体スクリーンが形成された矩
   形状のパネルと、 前記パネルに接合された漏斗状のファンネルと、 前記ファンネルのネック部に配置され、電子ビームを放
   出する電子銃と、 前記ファンネルの内部に配置され、相対向する２つの長
   辺部と相対向する２つの短辺部とを有し管軸方向の前記
   電子銃側を小開口部とし、前記パネル側を大開口部とす
   る矩形状の中空台形の磁気遮蔽体であって、小開口部の
   対角端部から前記長辺部及び短辺部にそれぞれ所定の切
   り込み角度で所定の切り込み深さの切欠部が設けられた
   磁気遮蔽体と、 から構成されるカラー受像管であって、 前記前記磁気遮蔽体の大開口部面法線と大開口部側の対
   角軸がなす角度は、前記小開口部面法線と小開口部側の
   対角軸がなす角度より小さいことを特徴とするカラー受
   像管。
6. 【請求項６】 前記大開口部面法線と大開口部側の対角
   軸とは平行に設定され、前記大開口部面法線と大開口部
   側の対角軸とのなす角度は、前記小開口部面法線と小開
   口部側の対角軸がなす角より小さいことを特徴とする請
   求項５記載のカラー受像管。
7. 【請求項７】 前記大開口部面法線と大開口部側の対角
   軸とのなす角度は４０度乃至８０度であり、前記小開口
   部面法線と小開口部側の対角軸がなす角は９０度以下で
   かつ４０度乃至８０度よりも大きい角度であることを特
   徴とする請求項５記載のカラー受像管。
8. 【請求項８】 前記磁気遮蔽体の小開口部の対角端部か
   ら前記長辺部及び短辺部に亘ってそれぞれ設ける切欠部
   は、小開口部から大開口部へ向かう管軸方向の１／３の
   領域又はその近辺の領域に至る切り込み深さを有するこ
   とを特徴とする請求項５乃至７のいずれかに記載のカラ
   ー受像管。