JPH11350170A - 鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液 - Google Patents
鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液Info
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- JPH11350170A JPH11350170A JP17063098A JP17063098A JPH11350170A JP H11350170 A JPH11350170 A JP H11350170A JP 17063098 A JP17063098 A JP 17063098A JP 17063098 A JP17063098 A JP 17063098A JP H11350170 A JPH11350170 A JP H11350170A
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Abstract
境汚染の問題になるフッ素を含まず、かつ表面の平滑化
に優れた安定性の良い鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液
を提供する。 【解決手段】 前記鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液
は、過酸化水素、硫酸、及びグルタル酸を含有し、その
濃度は、それぞれ0.5〜10重量%、0.5〜20重
量%、及び0.5〜20重量%であることが好ましい。
Description
学的溶解処理液に関するものである。
は、機械、電気、電子部品の表面清浄化やバリ取り、メ
ッキの前処理などに使用されている。従来、硝酸−フッ
酸液、クロム酸液、塩酸を含む液などが使用されていた
が、これらの溶解処理液は処理時に有毒なNOxガス、
塩化水素ガス、フッ化水素ガスなどを発生するため、環
境面及び安全衛生面において好ましくなく、過酸化水素
を酸化剤とする溶解処理液に代替されてきている。
在広く使用されているものは、過酸化水素−フッ化水素
アンモニウムを基本成分とするものである。しかしなが
ら、この溶解処理液は環境汚染で問題になるフッ素を含
むため、該排水中のフッ素は完全に除去する必要があ
り、その処理費用が多くかかることから、フッ素を含ま
ない処理液が求められている。
溶解処理液として、過酸化水素とシュウ酸からなるマー
シャル液と称される処理液が知られているが、この処理
液は、溶解処理が進行するにつれて溶解した鉄イオンに
より過酸化水素が著しく分解してしまう欠点を有してい
る。
処理時に有害なガスの発生がなく、しかも環境汚染の問
題になるフッ素を含まず、かつ表面の平滑化に優れた安
定性の良い鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液を提供する
ことにある。
め、本発明は、過酸化水素、硫酸、及びグルタル酸を含
有すること、を特徴とする鉄又は鉄合金の化学的溶解処
理液である。
鉄合金を溶解させることはできるが、ムラのない平滑な
金属表面は得られない。この溶液にグルタル酸を含有さ
せることによって、ムラのない平滑な金属表面を得るこ
とができる。また、グルタル酸には過酸化水素の分解を
抑える効果もある。そのため、溶解処理液中における過
酸化水素、硫酸、及びグルタル酸の濃度は、それぞれ
0.5〜10重量%、0.5〜20重量%、及び0.5
〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは、
0.5〜5重量%、1〜12重量%、及び1〜10重量
%である。残りは、通常、水である。
硫酸濃度が上記の範囲にあっても、溶解速度が極めて遅
く実用的でない範囲があることが分かった(図1参
照)。実用的な溶解速度が得られる範囲は、過酸化水素
濃度(A重量%)、硫酸濃度(B重量%)の関係が、
(A×A)/B<kでほぼ数式化され、kは定数で、合
金の種類、処理液中の他成分及び処理温度等の処理条件
等によって変わる。過酸化水素濃度と硫酸濃度が上記の
関係式から外れた範囲の溶解速度は、極めて遅いので実
用的ではない。過酸化水素の濃度が低い時は、選択でき
る硫酸の濃度範囲は広くなるが、このときの溶解速度は
小さい。過酸化水素濃度を高くすると、選択できる硫酸
の濃度範囲は狭くなるが、溶解速度は大きくなる。
する液に、過酸化水素の安定剤として1−ヒドロキシエ
チリデン−1,1−ジホスホン酸を含有させることで、
処理液中の鉄イオンなどが増えても過酸化水素の分解を
抑制することができる。1−ヒドロキシエチリデン−
1,1−ジホスホン酸の含有量は0.05〜5重量%で
あることが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%
である。本発明における鉄合金としては、例えば、42
アロイ、コバール等の鉄−ニッケル合金が挙げられる。
0℃が好ましく、より好ましくは、20〜40℃であ
る。処理時間は10秒〜10分が好ましく、より好まし
くは、20秒〜5分である。
高純度のものが得がたく、また得られたとしても高価で
ある。グルタル酸は、グルタル酸、コハク酸、アジピン
酸の混合物としてグルタル酸含有量が60〜70重量%
のものが工業的に安価に入手できるため、この混合物を
使用し、化学的溶解処理液を調製することができる。こ
の場合、この混合物を水に加温溶解後、冷却して、析出
した溶解度の低いコハク酸、アジピン酸を除去すること
もできる。
表面を活性化させ、確実で再現性のある溶解速度を得る
ために、特に42アロイに対しては、前処理として希硫
酸又は希塩酸処理を行うことが好ましい。本発明の化学
的溶解処理液に、界面活性剤を添加すると処理液の表面
張力を減少させることができ、金属表面での溶解作用を
均一化することができる。また、より均一で良好な表面
状態を得るために、さまざまな添加剤、例えばエチレン
グリコールなどのアルコール類、硫酸アンモニウムや、
尿素などを添加することができる。
説明する。 実施例1〜2、及び比較例1 過酸化水素2重量%、硫酸4.5重量%、及びグルタル
酸(グルタル酸の濃度は表1に示す通り)を含有する試
験溶液を調製し、これに42アロイ(ニッケル42%−
鉄58%の合金)の板(20×26×0.3mm)をア
ルカリ脱脂及び希硫酸洗いの前処理を行った後、30℃
で1分浸漬処理した。溶解速度、表面粗さ、光沢度及び
表面状態を測定した。溶解速度(μm/分)は、処理前
後の42アロイ板の重量減より求め、表面粗さはJIS
B0601に準拠した平均粗さRaとして表面粗さ計
により測定し、光沢度はJIS Z8741に準拠した
光沢度計により測定した。尚、表面状態は目視により観
察した。その結果は表1に示す。比較例1で用いた試験
溶液は、過酸化水素2重量%、及び硫酸4.5重量%
(グルタル酸は含まない)を含有する溶液であり、実施
例1〜2と全く同様に試験した。
バルト16%−鉄55%の合金)の板(10×50×
0.3mm)を用いた以外は実施例1〜2、及び比較例
1と全く同様に試験した。その結果を表2に示す。
mm)を用いた以外は実施例1〜2、及び比較例1と全
く同様に試験した。その結果を表3に示す。
重量%の濃度で含有する試験溶液、及びこの溶液に1−
ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を0.5
重量%添加した試験溶液、及び比較例4として過酸化水
素2重量%、硫酸4.5重量%の溶液に1−ヒドロキシ
エチリデン−1,1−ジホスホン酸を0.5重量%添加
した試験溶液を調製した。それぞれの試験溶液200ミ
リリットル中に42アロイ板を1g入れて完全に溶解し
た後、これらの試験溶液を30℃で24時間放置し、そ
の放置前後の過酸化水素の濃度から過酸化水素残存率
(%)を求めた。その結果を表4に示す。
酸を表5に示すような濃度で含有する試験溶液を調製
し、実施例1と同じ42アロイ板をアルカリ脱脂及び希
硫酸洗いの前処理を行った後、30℃で1分浸漬処理し
た。処理前後の42アロイ板の重量減より溶解速度(μ
m/分)を算出した。また、それぞれの処理液の過酸化
水素濃度(A重量%)、硫酸濃度(B重量%)から(A
×A)/Bの値を計算した。結果を表5及び図2に示
す。この結果から、(A×A)/Bの値が1.5を境に
して実用溶解領域と非実用溶解領域に分けることができ
る。つまり、(A×A)/B<kを満足する範囲が実用
溶解領域とするとkは、ほぼ1.5ということになる。
また、過酸化水素濃度が低い場合、溶解が起る硫酸濃度
の範囲は広いが、このときの溶解速度は小さい。過酸化
水素濃度が高い場合は、溶解が起る硫酸濃度は高い濃度
の狭い範囲になるが、溶解速度は大きくなる。
して過酸化水素は表6に示すような濃度で含有する試験
溶液を調製し、実施例3と同じコバール板をアルカリ脱
脂、希硫酸洗いの前処理を行った後、30℃、1分浸漬
処理した。処理前後のコバール板の重量減より溶解速度
(μm/分)を算出した。また、それぞれの処理液の過
酸化水素濃度(A重量%)、硫酸濃度(B重量%=4.
5重量%)から(A×A)/Bの値を示した。結果を表
6に示す。この結果から、(A×A)/Bの値が4〜5
を境にして実用溶解領域と非実用溶解領域に分けること
ができる。つまり、(A×A)/B<kを満足する範囲
が実用溶解領域とするとkは4〜5ということになる。
均一に溶解することができるため、平滑な金属表面を得
ることができ、また、処理時に有害なガスを発生するこ
ともなく、しかもフッ素化合物を含んでいないので、そ
の排水処理も簡単である。
との関係を示すグラフである。
及び溶解速度の関係を実施例9〜28の結果から示した
グラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 過酸化水素、硫酸、及びグルタル酸を含
有すること、を特徴とする鉄又は鉄合金の化学的溶解処
理液。 - 【請求項2】 過酸化水素、硫酸、及びグルタル酸の濃
度が、それぞれ0.5〜10重量%、0.5〜20重量
%、及び0.5〜20重量%である請求項1に記載の化
学的溶解処理液。 - 【請求項3】 安定剤として1−ヒドロキシエチリデン
−1,1−ジホスホン酸を更に含有する請求項1又は2
に記載の化学的溶解処理液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17063098A JPH11350170A (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17063098A JPH11350170A (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11350170A true JPH11350170A (ja) | 1999-12-21 |
Family
ID=15908442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17063098A Pending JPH11350170A (ja) | 1998-06-03 | 1998-06-03 | 鉄又は鉄合金の化学的溶解処理液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11350170A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10151180A1 (de) * | 2001-10-17 | 2003-04-30 | Norbert Nowack | Verfahren zur Entmetallisierung von metallischen Gegenständen |
JP2008101272A (ja) * | 2006-09-19 | 2008-05-01 | Poligrat Gmbh | 金属含有酸性研磨浴の安定剤 |
CN106148971A (zh) * | 2016-07-04 | 2016-11-23 | 中山市高新创世化工科技有限公司 | 一种环保药水 |
-
1998
- 1998-06-03 JP JP17063098A patent/JPH11350170A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10151180A1 (de) * | 2001-10-17 | 2003-04-30 | Norbert Nowack | Verfahren zur Entmetallisierung von metallischen Gegenständen |
DE10151180A8 (de) * | 2001-10-17 | 2010-03-18 | Nowack, Norbert, Prof. Dr.-Ing. | Verfahren und Lösung zur Entschichtung von metallischen Gegenständen mit Nickel-Korrosionsschutzbeschichtung |
DE10151180B4 (de) * | 2001-10-17 | 2010-05-12 | Nowack, Norbert, Prof. Dr.-Ing. | Verfahren und Lösung zur Entschichtung von metallischen Gegenständen mit Nickel-Korrosionsschutzbeschichtung |
JP2008101272A (ja) * | 2006-09-19 | 2008-05-01 | Poligrat Gmbh | 金属含有酸性研磨浴の安定剤 |
CN106148971A (zh) * | 2016-07-04 | 2016-11-23 | 中山市高新创世化工科技有限公司 | 一种环保药水 |
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