JPH11350038A - 延性及び伸びフランジ成形性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
延性及び伸びフランジ成形性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板の製造方法Info
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- JPH11350038A JPH11350038A JP18149598A JP18149598A JPH11350038A JP H11350038 A JPH11350038 A JP H11350038A JP 18149598 A JP18149598 A JP 18149598A JP 18149598 A JP18149598 A JP 18149598A JP H11350038 A JPH11350038 A JP H11350038A
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Abstract
と伸びフランジ成形性がともに優れた複合組織型高張力
鋼板を得る。 【解決手段】 特定の鋼成分と製造条件との組み合わせ
により、980MPa級高張力鋼板において延性と伸び
フランジ成形性を同時に改善したもので、C:0.10
〜0.15%、Si:0.8〜1.5%、Mn:1.5
〜2.0%、P:0.01〜0.05%、S:0.00
5%以下、Sol.Al:0.010〜0.070%、
N:0.01%以下を含有し、これにNb:0.001
〜0.02%、V:0.001〜0.02%、Ti:
0.001〜0.02%のうちの1種または2種以上を
含有し、且つCeq(=C+Mn/6+Si/24)が
0.40〜0.52である鋼を、仕上温度Ar3以上、
巻取温度500〜650℃で熱延し、冷延後の連続焼鈍
においてAc1〜Ac3の温度に均熱した後、580〜7
20℃から室温まで急冷し、引き続き再加熱して230
〜300℃の温度に保持する。
Description
ジ成形性がともに優れ、ドアガードバーやバンパーリィ
ンフォースメントなどの強度部材に好適な引張強度98
0MPa級の複合組織型高張力冷延鋼板の製造方法に関
するものである。
い、人体の安全性を含めた車両の安全性の確保が大きな
課題となっている。エアバックはその一例であるが、車
両本体にも安全を考慮した材料及び構造が求められてい
る。衝突安全性を向上させる最も簡便かつ効果的な方法
は、強度部材として用いられる材料の板厚を増加させる
ことである。しかし、この方法では車体重量の増加を招
き、走行燃費の低下が避けられない。これは排気ガスの
排出量の増加を意味しており、環境保護の観点からも好
ましいことではない。
とにより、板厚を増加させずに衝突安全性の向上と燃費
向上を同時に図る試みが盛んに行われている。しかし、
一般的に材料の高強度化は、強化元素の増加などによっ
て必然的に延性や伸びフランジ成形性などの加工性の劣
化を招いてしまう。したがって、高強度鋼板の開発には
延性や伸びフランジ成形性などの加工性の劣化の抑制が
重要な課題となる。
は、母相のフェライト相の固溶C量を低減させることに
よってフェライト相を軟化させ、第二相であるマルテン
サイト相との硬度の差を大きくすることで実現できると
されている。一方、伸びフランジ成形性を向上させるた
めには組織がより均一である方が望ましいとされてお
り、複合組織を有する高張力冷延鋼板の場合、フェライ
トとマルテンサイトとの硬度差は小さい方が望ましい。
したがって、複合組織型鋼板の延性を向上させる方法と
伸びフランジ成形性を向上させる方法は相反する関係で
あり、両者を同時に改善することは困難であるとされて
きた。
に関しては特開昭61−3843号公報に、また、加工
性に優れた超高強度冷延鋼板の製造方法に関しては特開
平4−99227号公報に、それぞれ鋼成分と製造条件
を規定した技術が開示されている。
61−3843号公報に開示されている製造方法では高
延性高強度鋼板の製造はできたとしても、延性と伸びフ
ランジ成形性がともに優れた高強度鋼板を製造すること
はできない。また、特開平4−99227号公報に開示
されている製造方法では、改善される高張力鋼板の加工
性は主として曲げ加工性であり、延性と伸びフランジ成
形性が同時に改善されるような効果は何ら期待できな
い。
ースメントに必要とされる980MPa級高張力鋼板で
あって、且つ延性と伸びフランジ成形性がともに優れた
複合組織型高張力鋼板の製造方法は全く知られていな
い。したがって本発明の目的は、以上のような従来技術
の課題を解決し、バンパーリィンフォースメントに必要
とされる980MPa級高張力鋼板であって、且つ延性
と伸びフランジ成形性がともに優れた複合組織型高張力
鋼板の製造方法を提供することにある。
と製造条件との組み合わせにより、980MPa級高張
力鋼板において延性と伸びフランジ成形性を同時に改善
できることを見い出しなされたもので、その特徴は、
C:0.10〜0.15wt%、Si:0.8〜1.5
wt%、Mn:1.5〜2.0wt%、P:0.01〜
0.05wt%、S:0.005wt%以下、Sol.
Al:0.010〜0.070wt%、N:0.01w
t%以下を含有し、これにさらにNb:0.001〜
0.02wt%、V:0.001〜0.02wt%、T
i:0.001〜0.02wt%のうちの1種または2
種以上を含有し、且つ、Ceq=C+Mn/6+Si/
24(但し、C:C含有量[wt%]、Mn:Mn含有
量[wt%]、Si:Si含有量[wt%])が0.4
0〜0.52である鋼に対して、熱間圧延を仕上圧延温
度:Ar3以上、巻取温度:500〜650℃の条件で
行い、冷間圧延後の連続焼鈍工程において、鋼板をAc
1〜Ac3の均熱温度に保持した後、580〜720℃の
温度から室温まで急速冷却し、引き続き再加熱して23
0〜300℃の温度に保持することを特徴とする、延性
及び伸びフランジ成形性に優れた複合組織型高張力冷延
鋼板の製造方法である。
ついて説明する。まず、鋼の成分組成の限定理由は以下
の通りである。 C:Cは鋼板の引張強度を支配する重要な元素であり、
高張力鋼板には欠かせない元素である。また、本発明の
ように焼鈍工程で急速冷却を行うとフェライト母相以外
はほとんどマルテンサイト組織を呈するが、マルテンサ
イトの硬さ、すなわち強度はこのC量によってほぼ決定
されるため、Cの含有量が重要である。C量が0.10
wt%未満では十分に硬質な第二相が得られず、強度が
不足するため、下限を0.10wt%とする。一方、C
量が0.15wt%を超えると延性及び伸びフランジ成
形性の著しい低下を招くため、上限を0.15wt%と
する。
な元素である。すなわち、フェライト生成元素であるS
iにより連続焼鈍における加熱均熱段階でのフェライト
+オーステナイト比率を決定し、またフェライト中に固
溶する性質を利用して、フェライトとマルテンサイトと
の硬度差を適正化することによってはじめて、本発明が
課題とする高延性と高伸びフランジ成形性を併せ持つ高
張力鋼板の製造が可能となる。Si量が0.8wt%未
満ではフェライト相の軟化が顕著となり、伸びフランジ
成形性が劣化する。このためSiは0.8wt%以上の
添加が必要である。しかし、Siを1.5wt%を超え
て添加するとフェライト体積率が過剰に増加し、強度確
保が難しくなるばかりでなく、化成処理性の劣化、表面
キズの発生等の問題を招くため、上限を1.5wt%と
する。
あり、十分な硬質第二相の体積率を得るためには1.5
wt%以上の添加が必要である。しかしながら、多量に
添加すると延性及び伸びフランジ成形性の著しい低下を
招き、また第二相体積率の著しい増加をもたらすため、
上限を2.0wt%とする。 S:Sは鋼製造時に不純物元素の一つとして含まれる
が、その含有レベルが高い場合には伸びフランジ成形性
を劣化させることが知られており、本発明鋼種において
も例外ではない。したがって、加工性を確保するために
S量は0〜0.005wt%(無添加の場合を含む)と
する。
あるとともに、NをAlNとして固定するために必要な
元素であり、このためSol.Al量は0.010wt
%以上とする。しかし、Alを多量に添加すると固溶A
lが増加し、フェライト組織の粗大化による伸びフラン
ジ成形性の著しい低下をもたらすため、Sol.Al量
の上限は0.070wt%とする。 N:NはAlおよびTi、Nb、Zr、Vと窒化物を形
成し、フェライトの微細化に寄与する。しかし、N含有
量が多くなると固溶Nが残存してフェライトの微細化効
果が薄れ、むしろ加工性の劣化の方が著しくなるので、
N量は0〜0.01wt%(無添加の場合を含む)とす
る。
Nb、V、Tiの元素の1種または2種以上を微量含む
必要がある。これらの元素は鋼中のCと結びついて微細
な炭化物を生成する。これが結晶粒を微細化させる効果
があり、延性及び伸びフランジ成形性が飛躍的に向上す
る。これらの元素の添加量はNb:0.001〜0.0
2wt%、V:0.001〜0.02wt%、Ti:
0.001〜0.02wt%である。各々の元素の添加
量の下限は結晶粒の微細化効果を発現させるために最低
限必要な添加量であり、一方、各々の元素の添加量の上
限を超えると、結晶粒の微細化効果が飽和するため経済
性を損なうだけでなく、析出物の過剰増加により延性が
低下する。
発明の効果を損なわない限度で不可避的不純物元素等の
他の元素を微量含有することを妨げない。また、本発明
の鋼成分ではC、Mn及びSiの各含有量によって規定
されるCeq=C+Mn/6+Si/24(但し、C:
C含有量[wt%]、Mn:Mn含有量[wt%]、S
i:Si含有量[wt%])が0.40〜0.52であ
ることを条件とする。その限定理由については後に詳述
するが、Ceqが0.40未満では必要な強度レベルを
確保することが難しく、一方、Ceqが0.52を超え
ると目標とするレベルの延性及び伸びフランジ成形性が
得られない。
組成の鋼を素材とし、熱間圧延、冷間圧延及び連続焼鈍
という一連の工程を経て鋼板を製造するものであるが、
要求される引張強度を満足し、且つ延性及び伸びフラン
ジ成形性がともに優れた鋼板を製造するためには、熱延
条件及び焼鈍条件の最適化が必要である。
温度で仕上圧延を行なう。これよりも低い仕上圧延温度
では、仕上圧延の段階で二相組織となるためフェライト
粒の著しい粗大化が起り、冷延+焼鈍を行っても加工性
の良い材料は得られない。また、巻取温度は500〜6
50℃とする。巻取温度が650℃を超えると、大量に
残った未変態オーステナイトが粗大なパーライトに変態
し、加工性の向上がみられなくなる。一方、巻取温度が
500℃未満では熱延板の段階で硬質第二相が発現し、
冷間圧延において余分な圧延負荷をかける必要が生じる
とともに、延性及び伸びフランジ成形性も低下する。
冷間圧延され、次いで連続焼鈍されるが、本発明の製造
方法は、連続焼鈍条件を最適化することにより、この連
続焼鈍工程において目的とする複合組織を得ることに特
徴がある。連続焼鈍工程では鋼板の均熱温度をAc1〜
Ac3の範囲とする。これは、この後行われる焼入れ工
程において安定したフェライト+マルテンサイトの複合
組織を得るために、均熱段階からフェライト+オーステ
ナイトの二相分離を行っておくことが必要だからであ
る。また、均熱時間は特に限定されないが、一般には3
0秒以上が望ましい。
および再加熱処理を行う。本発明者らはCeqが異なる
種々の組成の鋼を実験室レベルで溶製し、これに常法の
熱間圧延、冷間圧延を施して板厚1.4mmの鋼板とし
た後、ソルトバスによる連続焼鈍シミュレーションを行
い、延性と伸びフランジ成形性に優れる鋼板の製造を試
みた。連続焼鈍の条件としては、加熱均熱温度をそれぞ
れの鋼のAc1を超える温度範囲とし、焼入れ開始温度
TQ(以下、単に“TQ”という)を500〜830℃
として焼入れした後、室温まで急速冷却し、次いで20
0〜350℃の再加熱温度TO(以下、単に“TO”と
いう)に再加熱した。
出し、引張強度TS、全伸びElの測定と穴拡げ試験に
よる伸びフランジ成形性の評価を行った。引張試験はJ
IS5号引張試験片形状にて歪速度全域10mm/mi
nで行った。また、穴拡げ試験は100mm角のブラン
クの中央に10mmφの穴を打抜き、平底のポンチを用
いてバリをポンチと反対側にして行い、初期穴径と穴周
辺の全板厚にわたって1mm程度の亀裂が生じた時の穴
径との比を穴拡げ比λとして求めた。
TSとの関係を図1に、また、図1に示される980M
Pa級の引張強度が得られた鋼板について、焼き入れ後
の再加熱処理におけるTOと全伸びEl及び伸びフラン
ジ成形性(穴拡げ比λ)との関係を図2に示す。なお、
この実験ではバンパーリィンフォースメントの成形試験
などで十分な特性を有する条件として、全伸びElは1
5%以上、穴拡げ比λは20%以上を適正範囲とした。
MPa級鋼板とするためのTQ範囲が存在することが判
る。すなわち、Ceqが0.40〜0.52では、98
0MPa級鋼板とするためのTQは580〜720℃の
範囲である。TQが上記温度範囲よりも高温の場合に
は、オーステナイト体積率が増加して980MPa級よ
り高強度となり、一方、TQが上記温度範囲よりも低温
の場合には、フェライト体積率が増加して980MPa
級より低強度となる。また、Ceqが0.40未満で
は、TQを均熱温度とほぼ同等の温度に上昇させても、
980MPa級の引張強度を得ることができなかった。
ジ成形性のバランスが最適となるTOが存在し、且つこ
れはCeqによって変化することが判る。Ceqが0.
52を超えると延性及び伸びフランジ成形性がともに目
標とするレベルに達せず、特性的に劣る。また、Ceq
が0.40〜0.52の範囲にあっても、TOが300
℃を超えると穴拡げ比λには優れるが全伸びElが劣
り、一方、TOが230℃未満では、全伸びElは優れ
るが穴拡げ比λが劣る結果となっている。
ランジ成形性のバランスが最適となり、且つそれぞれの
値も良好となる理由は、以下の通りである。すなわち、
TOが230℃未満では炭化物の析出が十分に起らず、
フェライトとマルテンサイトの硬度差が大きいため、延
性には優れるが伸びフランジ成形性には劣る材料とな
る。一方、TOが300℃を超えると、焼戻し軟化が十
分に起り、炭化物の析出量も多くなるため、フェライト
とマルテンサイトの硬度差は著しく小さくなる。このた
め伸びフランジ成形性には大変優れるが、他方において
延性には劣る材料となる。
(=C+Mn/6+Si/24)を0.40〜0.52
と規定するとともに、焼鈍後の焼き入れ処理におけるT
Qを580〜720℃、TOを230〜300℃とする
こと、すなわち連続焼鈍における均熱後、720〜58
0℃の温度から室温まで急速冷却し、引き続き再加熱し
て230〜300℃の温度に保持する処理を行うことを
条件とした。このような条件を満足することによりはじ
めて、延性及び伸びフランジ成形性がともに優れた98
0MPa級高張力鋼板を得ることができる。再加熱処理
の保持時間は特に限定されないが、経済的な観点からは
15分以下とすることが望ましい。
造されたスラブを熱間圧延、冷間圧延して板厚1.4m
mの鋼板とした後、連続焼鈍を実施した。なお、連続焼
鈍は引張強度TS:980MPa級を得ることを第一優
先にその条件を設定した。製造された鋼板について引張
試験(JIS5号試験片により実施)、穴拡げ試験(試
験方法は、先に述べた試験方法と同様)を実施した。な
お、引張強度が980MPaから大きく外れた鋼につい
ては、穴拡げ試験は実施しなかった。
伸びEl及び穴拡げ比λ(伸びフランジ成形性)を、鋼
板のCeq及び製造条件(熱延条件、連続焼鈍条件)と
ともに表2に示す。これによれば、本発明の成分条件と
製造条件を満足する本発明例は、980MPa級の引張
強度を有し、しかも延性及び伸びフランジ成形性がとも
に比較例よりも格段に優れていることが判る。
れば、バンパーリィンフォースメント等に必要とされる
980MPa級高張力鋼板であって、しかも延性と伸び
フランジ成形性がともに優れた複合組織高張力鋼板を安
定して製造することができる。このため従来では適用す
ることができなかった難成形の部材にも高張力冷延鋼板
を適用することができ、車体重量を増加させることなく
車体の衝突安全性や走行燃費を向上させることができ
る。
TQと引張強度TSとの関係を示すグラフ
いて、焼き入れ後の再加熱処理における再加熱温度TO
と全伸びEl及び伸びフランジ成形性との関係を示すグ
ラフ
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.10〜0.15wt%、Si:
0.8〜1.5wt%、Mn:1.5〜2.0wt%、
P:0.01〜0.05wt%、S:0.005wt%
以下、Sol.Al:0.010〜0.070wt%、
N:0.01wt%以下を含有し、これにさらにNb:
0.001〜0.02wt%、V:0.001〜0.0
2wt%、Ti:0.001〜0.02wt%のうちの
1種または2種以上を含有し、且つ、Ceq=C+Mn
/6+Si/24(但し、C:C含有量[wt%]、M
n:Mn含有量[wt%]、Si:Si含有量[wt
%])が0.40〜0.52である鋼に対して、熱間圧
延を仕上圧延温度:Ar3以上、巻取温度:500〜6
50℃の条件で行い、冷間圧延後の連続焼鈍工程におい
て、鋼板をAc1〜Ac3の均熱温度に保持した後、58
0〜720℃の温度から室温まで急速冷却し、引き続き
再加熱して230〜300℃の温度に保持することを特
徴とする、延性及び伸びフランジ成形性に優れた複合組
織型高張力冷延鋼板の製造方法。
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