JPH11349881A - 熱溶融性インキ及び熱転写シート - Google Patents

熱溶融性インキ及び熱転写シート

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JPH11349881A
JPH11349881A JP16307598A JP16307598A JPH11349881A JP H11349881 A JPH11349881 A JP H11349881A JP 16307598 A JP16307598 A JP 16307598A JP 16307598 A JP16307598 A JP 16307598A JP H11349881 A JPH11349881 A JP H11349881A
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wax
resin
weight
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JP16307598A
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Keisuke Eiki
啓介 栄木
Masafumi Hayashi
雅史 林
Fumihiko Mizukami
文彦 水上
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散性に優れた熱溶融性インキと、印字品
質、耐性が良好であり、かつ製造コストの低い熱転写シ
ートを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の熱溶融性インキは、少なくとも
着色剤と、2種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂と1種類以上の直鎖低密度ポリエチレン樹脂をバイ
ンダー樹脂として、そして分散助剤及びワックスを含有
させた。従来着色剤を被覆するために用いてきたバイン
ダー樹脂のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に替え、
大量かつ安価に製造されている直鎖低密度ポリエチレン
樹脂類を用いた場合、基材への密着性を向上させるため
に配合を行うエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を、酢
酸ビニル成分の重量比率(VA)の低い物と高い物を混
合することにより、前記ポリエチレンとの相溶性を高め
ることが可能となり、インキの安定性を保つことが可能
になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱溶融性インキ及び
熱転写シートに関し、特に優れた分散性を有する熱溶融
性インキと、耐擦過性に優れ印字品質が良好な熱転写シ
ートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューターやワードプロセッ
サー等の出力プリント等に、熱溶融転写方式を利用した
熱転写シートが使用されている。一般に、熱溶融転写方
式を利用した熱転写シートは、基材として厚さ3〜20
μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムのよう
な耐熱性基材を用い、この基材に熱溶融性インキを塗布
して熱溶融性インキ層を形成したものである。
【0003】従来の熱転写シートに用いられる熱溶融性
インキは、バインダ樹脂やワックスに着色剤を分散させ
たものであるが、印字濃度が高く、印字品質の良好な熱
転写シートを作製するためには着色剤の分散性が優れた
熱溶融性インキを使用する必要がある。また、熱溶融性
インキ層は、基材の裏面側からのサーマルヘッドの加熱
によって、いわゆる白抜けや欠けを生じることなく、被
転写体に転写することが要求される。さらに、熱転写シ
ートに対する低価格化の要請も近年高いものとなってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来より一般的には、
良好な黒印字を達成するために、カーボンブラックを熱
溶融性インキ中に均一分散させる必要がある。しかしな
がら、カーボンブラックはその凝集力が高いため、その
他の材料、例えば、ワックス類、バインダ樹脂を単純に
加熱混合するだけでは均一な分散系を得ることは難し
い。そこで、カーボンブラックをバインダ樹脂で被覆
し、必要に応じてエステル系ワックスで分散性、相溶性
を向上させる手法を用い、安価な熱溶融性インキが作製
されてきた。これは、予め加熱混合し、チップ化する手
法であるため、着色剤を被覆するバインダ樹脂には比較
的低融点で流動性の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)が用いられており、他の樹脂類は分散性、ワ
ックスとの相溶性の点でバインダ樹脂としての使用は不
可能であった。さらに、上述したようにEVAによる着
色剤の被覆だけでは着色剤の分散性が不十分な場合、エ
ステル系ワックス、特にカルナバワックスが分散助剤と
して使用され、EVAとともに加熱混合しチップ化され
て使用されてきた。
【0005】しかしながら、これらのバインダ樹脂やエ
ステル系ワックスはコストも高く、バインダ樹脂が限定
されているため、安価で付加価値を付与した熱溶融性イ
ンキを作製するには限界があった。また、熱溶融性イン
キは転写後に耐擦過性を求められることが多く、その点
でもEVAのみをバインダ樹脂に使用した熱溶融性イン
キは耐性が不十分であった。本発明は、上記のような実
情に鑑みてなされたものであり、分散性に優れた熱溶融
性インキと、印字品質、耐性が良好であり、かつ製造コ
ストの低い熱転写シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の熱溶融性インキは、少なくとも着色剤、2
種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と、1種
類以上の直鎖低密度ポリエチレン樹脂、分散助剤及びワ
ックスを含有していることを特徴とする。また、前記の
直鎖低密度ポリエチレン樹脂のメルトインデックス(M
I)が50〜200の範囲内であることが好ましい。さ
らに、前記の2種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂は、一方はメルトインデックス(MI)が150
0〜3000の範囲内で、酢酸ビニル成分の重量比率
(VA比)が10〜20%、もう一方はMIが1500
〜3000の範囲内で、VA比が20〜30%であるこ
とが好ましい。
【0007】また、前記の分散助剤はウレタン変成ワッ
クス成分を含有していることが好ましい。また、前記着
色剤を1〜80重量%、前記2種類以上のエチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂と1種類以上の直鎖低密度ポリエ
チレン樹脂を含むバインダー樹脂を1〜70重量%、分
散助剤を0.1〜50重量%の範囲で含有することが好
ましい。さらに、本発明の熱転写シートは、基材の一方
の面に上記に記載する熱溶融性インキからなる層を備え
たことを特徴とする。
【0008】本発明の作用は、以下の通りである。本発
明の熱溶融性インキは、上記の課題を解決し、目的を達
成するために、少なくとも着色剤と、2種類以上のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体樹脂と1種類以上の直鎖低密
度ポリエチレン樹脂をバインダー樹脂として、そして分
散助剤及びワックスを含有させた。従来着色剤を被覆す
るために用いてきたバインダー樹脂のエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂に替え、大量かつ安価に製造されてい
る直鎖低密度ポリエチレン樹脂類を用いた場合、基材へ
の密着性を向上させるために配合を行うエチレン−酢酸
ビニル共重合体樹脂を、酢酸ビニル成分の重量比率(V
A比)の低い物と高い物を混合することにより、前記ポ
リエチレンとの相溶性を高めることが可能となり、イン
キの安定性を保つことが可能になった。また、分散助剤
としてウレタン変成ワックス成分を使用することで、着
色剤、特にカーボンブラックの各材料への分散性、相溶
性が格段に向上することを見い出した。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。本発明の熱溶融性インキは、少なくとも
着色剤、2種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂と、1種類以上の直鎖低密度ポリエチレン樹脂、分散
助剤及びワックスを含有しているが、熱溶融性インキを
構成する各成分について説明する。 (着色剤)着色剤は、カーボンブラック、あるいは、イ
エロー、マゼンタ、シアン等の有彩色顔料を使用するこ
とができる。これらの着色剤の含有量は、熱溶融性イン
キに対し、1〜80重量%程度、好ましくは5〜25重
量%程度とすることができる。
【0010】(バインダー樹脂)本発明の熱溶融性イン
キは、2種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂
と1種類以上の直鎖低密度ポリエチレン樹脂をバインダ
ー樹脂として含む。直鎖低密度ポリエチレン樹脂は、直
鎖ポリエチレン構造で、密度が0.91〜0.94の低
密度のものを意味している。そして、直鎖低密度ポリエ
チレン樹脂はメルトインデックス(MI)が50〜20
0の範囲内であることが好ましく、着色剤を均一に被覆
できる。また、2種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重
合体樹脂は、メルトインデックス(MI)が1500〜
3000の範囲内で、酢酸ビニル成分の重量比率(VA
比)が10〜20%の樹脂と、MIが1500〜300
0の範囲内で、VA比が20〜30%の樹脂を少なくと
も含むことが好ましい。
【0011】従来において、着色剤を被覆するために用
いてきたバインダー樹脂のエチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂に替え、大量かつ安価に製造されている直鎖低密
度ポリエチレン樹脂類を用いた場合に、基材との密着性
が低下する問題がある。それに対し、本発明では基材へ
の密着性を向上させるために配合を行うエチレン−酢酸
ビニル共重合体樹脂を、上記のように酢酸ビニル成分の
重量比率(VA比)の低い物と高い物を混合することに
より、前記ポリエチレンとの相溶性を高めることが可能
となり、インキの安定性を保つことが可能になった。
【0012】また、バインダー樹脂として、上記樹脂に
加えて、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポ
ロプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、
エチレン−アクリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ
スチレン樹脂等の比較的融点の低い熱可塑性樹脂を、分
散性、安定性に優れた本発明の熱溶融性インキに支障が
出ない範囲で、使用することができる。熱溶融性インキ
のバインダ樹脂含有量は1〜70重量%、好ましくは2
〜20重量%程度とすることができる。
【0013】(分散助剤)本発明の熱溶融性インキを構
成する分散助剤は、ウレタン変成ワックス、カルナバワ
ックス、ステロールワックス、ライスワックス等が挙げ
られる。中でも、ウレタン変成ワックス成分が好ましく
用いられる。ウレタン変成ワックス成分を使用すること
により、樹脂とワックス類の相溶性、着色剤と樹脂類、
着色剤とワックス類、あるいはそれら3成分の分散性や
相溶性等が格段に向上する。なお、ウレタン変成ワック
スは、日本精蝋(株)製のNPS6115等で市販され
ているので、容易に入手することができ、またワックス
をウレタン変成して合成することもできる。
【0014】ウレタン変成ワックスは、ウレタンオリゴ
マー、ウレタン多量体、ウレタン単量体、ウレタンポリ
マー等が挙げられるが、それらの中でも、1分子当りの
平均水酸基数が0.3〜1.0個の第2級アルコール
と、イソシアネート系有機化合物との反応生成物が好ま
しく用いられる。水酸基数が前記範囲より少ないと所望
の分散性を有するワックスが得られがたく、一方前記範
囲より多いと最終生成物の溶融粘度が高くなりすぎ、好
ましくない。この反応生成物のウレタン変成ワックス
は、脂肪族炭化水素をホウ酸および無水ホウ酸の存在下
で分子状酸素含有ガスで液相酸化して得ることが好まし
い。上記の特定の第2級アルコールをイソシアネート系
有機化合物と反応させて得られるウレタン変成ワックス
がカーボンブラックなどの着色剤の分散性に優れた効果
が見出された。脂肪族炭化水素をホウ酸および無水ホウ
酸の存在下で分子状酸素含有ガスで液相酸化することに
より、脂肪族炭化水素を高い転化率で第2級アルコール
に変換することができる。
【0015】このような脂肪族炭化水素を元にして得ら
れるウレタン変成ワックスは、ワックスとしての適正な
範囲の融点、溶融粘度等の物性値を有し、かつ着色剤の
分散性が優れている。例えば、エチレン重合法や石油系
炭化水素の熱分解によるオレフィン化法で得られる二重
結合を1個以上有する平均炭素数20以上の高級脂肪族
不飽和炭化水素を、原材料とすることができる。この場
合は、その高級脂肪族不飽和炭化水素はオレフィン、特
にα−オレフィンが好ましく用いられる。
【0016】上記のイソシアネート系有機化合物として
は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、ナフチ
レン−1,5−ジイソシアネート等が好ましく用いられ
る。中でも分散性が特に優れたワックスが得られる点か
ら、トリレンジイソシアネートが好ましい。イソシアネ
ート系有機化合物の第2級アルコールに対する添加率は
水酸基価当量の30〜100%が好ましい。イソシアネ
ート系有機化合物の添加率が前記範囲より少ないと所望
の分散性を有するワックスが得られがたく、前記範囲よ
り多いと未反応のイソシアネート系有機化合物からの不
純物が多くなるので好ましくない。このようなウレタン
変成ワックスは、60〜120℃の範囲の融点のものが
好ましい。
【0017】熱溶融性インキ中の分散助剤の含有量を
0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%程度と
することができる。分散助剤の含有量が0.1重量%未
満の場合、樹脂とワックスあるいは樹脂と着色剤の分散
性、相溶性が足りず、所望する印字濃度や転写性が得ら
れない。また、50重量%を超えるとウレタン変成ワッ
クス成分が過剰になり、その結果熱転写インキの耐性が
低下し、擦過性を著しく低下させる。本発明で使用され
るウレタン変成ワックス類を含むワックスは、通常熱転
写に使用されるワックス類と同等の融点を持つことが好
ましく、実験から50〜80℃に融点を示している。
(DSC法、昇温7.5℃/min)
【0018】(ワックス)熱溶融性インキを構成するワ
ックスは、印字の際の転写性向上のために使用される。
使用するワックスとしては、マイクロクリスタリンワッ
クス、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッ
シャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレ
ン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロ
ウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロ
ラクタム、ポリエステルワックス、部分変性ワックス、
脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ステロールワックス、
シュガーケーンワックス等を挙げることができる。本発
明では、熱溶融性インキ中のワックスの含有量は、要求
される熱溶融性インキの粘度に応じて適宜設定すること
ができるが、例えば、1〜90重量%程度、好ましくは
20〜80重量%程度とすることができる。尚、本発明
の熱溶融性インキは、上述の着色剤、バインダー樹脂、
分散助剤およびワックスの他に、さらに必要に応じて種
々の添加剤を加えることができる。
【0019】本発明の熱転写シートは、基材の一方の面
に本発明の熱溶融性インキからなる層、すなわち熱溶融
性インキ層を備えた構成を有する。 (基材)本発明の熱転写シートで用いられる基材として
は、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基
材をそのまま用いることが出来ると共に、その他のもの
も使用することが出来、特に制限されない。好ましい基
材の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロ
ピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロー
ス、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナ
イロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル
アルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等の
プラスチック、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィ
ン紙等の紙類、不織布等があり、又、これらを複合した
基材であってもよい。この基材の厚さは、その強度及び
熱伝導性が適切になるように材料に応じて、適宜変更す
ることができ、例えば1〜100μm程度とすることが
できる。
【0020】基材上に本発明の熱溶融性インキを用いて
熱溶融性インキ層を形成する方法としては、熱溶融性イ
ンキを溶融液体にして塗布するホットメルトコートの他
に、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビア
リバースコート、ロールコート、エマルジョンコート、
その他の公知の手段が挙げられる。上述のようにして形
成する熱溶融性インキ層の厚さは、0.5〜20μm程
度が好ましい。本発明の熱転写シートは、基材と、この
基材の一方の面に剥離層を介して積層された熱溶融性イ
ンキ層と、基材の他方の面に背面層を設けても良い。
【0021】(剥離層)剥離層は、熱転写時にサーマル
ヘッドによって加熱された領域の熱溶融性インキ層を被
転写体に転写し易くするための層であり、ワックス類、
シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ア
クリル樹脂等の剥離剤から形成する。剥離層の形成方法
は、上記のような樹脂に必要な添加剤を加えたものを適
当な溶剤に溶解または分散して調製したインキを、基材
上に公知の手段により塗布、乾燥させて形成する。この
ような剥離層の厚さは、0.1〜5μm程度が好まし
い。
【0022】(背面層)基材の他方の面に、サーマルヘ
ッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良くするために、
背面層を設けることが可能である。この背面層は、バイ
ンダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒
子、顔料等を添加したものを、好適に使用し、形成され
る。背面層に使用されるバインダー樹脂は、例えば、エ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セル
ロース、酢酪酸セルロース、硝化綿などのセルロース系
樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピ
ロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体などのビニル系樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性ま
たはフッ素変性ウレタン樹脂などが、あげられる。
【0023】これらのなかで、数個の反応性基、例え
ば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、
ポリイソシアネートなどを併用して、架橋樹脂を使用す
ることが好ましい。背面層を形成する手段は、上記のご
とき、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒
子、有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中
に溶解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液
をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーな
どの慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥するものであ
る。
【0024】また、本発明の熱転写シートは、基材と、
この基材の一方の面にマット層を介して熱溶融性インキ
層を形成することができる。 (マット層)マット層は、熱転写時にサーマルヘッドに
よって印字された印字物にマット感を与え、また、熱転
写シートに帯電防止効果をもたせている層である。この
マット層は、一般に着色剤や無機または有機フィラーを
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等に分散させたもので
あり、0.1〜5μm程度の厚みを有している。マット
層の塗工手段としては、グラビアダイレクト方式、グラ
ビアリバース方式が一般的である。
【0025】さらに、本発明の熱転写シートは、基材
と、この基材の一方の面に熱溶融性インキ層を形成し、
熱溶融性インキ層の上に表面層を積層しても良い。 (表面層)表面層は、比較的目の粗い被転写体への良好
な転写を可能とし、また、ロール状にされた状態でブロ
ッキングが発生するのを防止することができる。表面層
は、従来の熱転写シートに形成されていた表面層と同様
のもの、例えば、ワックス類を厚み0.1〜10μm程
度に塗布したものであってもよいが、接着性樹脂および
離型性樹脂とから構成することもできる。この場合、接
着性樹脂としては、比較的低融点の熱可塑性樹脂を用い
ることができる。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−アクリレート共重合体、ポリブテ
ン、石油樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
酢酸ビニル等が挙げられ、上記の熱溶融性インキ層の形
成に使用するバインダ樹脂よりも溶融粘度の高い樹脂が
好ましい。
【0026】また、離型性樹脂は、シリコーン系樹脂を
使用することができる。シリコーン樹脂としては、例え
ばシリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性ウレタ
ン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性
ウレア樹脂等を挙げることができる。表面層中の接着性
樹脂および離型性樹脂の割合は、固形分比で接着性樹
脂:離型性樹脂=10:0.1〜10:20の範囲が好
ましい。さらに、表面層には、帯電防止剤等の他の必要
な添加剤を添加してもよい。このような表面層の厚さ
は、0.1〜5μm程度が好ましい。
【0027】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更
に具体的に説明する。 (実施例1)熱溶融性インキの作製 まず、本発明の熱溶融性インキとして、下記の各組成の
インキ(インキ試料1〜3)を作製した。
【0028】 (熱溶融性インキの組成(インキ試料1)) ・カーボンブラック(平均粒径75nm) 11重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 4.5重量% (メルトインデックス(MI)が2500で酢酸ビニル成分の重量比率(VA 比)が28%) ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 3.0重量% (MIが2500、酢酸ビニル成分のVA比が19%である) ・直鎖低密度ポリエチレン樹脂 7.4重量% (メルトインデックス(MI)が155) ・ウレタン変成ワックス 3.0重量% (融点77℃、粘度29cps/120℃) ・ポリエチレンワックス 1.6重量% (融点80℃、粘度10cps/120℃) ・パラフィンワックス 27.5重量% (融点160F°、粘度5cps/120℃) ・マイクロクリスタリンワックス 42.0重量% (融点155F°)
【0029】 (熱溶融性インキの組成(インキ試料2)) ・カーボンブラック(平均粒径75nm) 15重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 4.5重量% (メルトインデックス(MI)が2500で酢酸ビニル成分の重量比率(VA 比)が28%) ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 3.0重量% (MIが2500、酢酸ビニル成分のVA比が19%である) ・直鎖低密度ポリエチレン樹脂 7.4重量% (メルトインデックス(MI)が155) ・ウレタン変成ワックス 3.0重量% (融点77℃、粘度29cps/120℃) ・ポリエチレンワックス 1.6重量% (融点80℃、粘度10cps/120℃) ・パラフィンワックス 27.5重量% (融点160F°、粘度5cps/120℃) ・マイクロクリスタリンワックス 38.0重量% (融点155F°)
【0030】 (熱溶融性インキの組成(インキ試料3)) ・カーボンブラック(平均粒径45nm) 15重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 4.5重量% (メルトインデックス(MI)が2500で酢酸ビニル成分の重量比率(VA 比)が28%) ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 3.0重量% (MIが2500、酢酸ビニル成分のVA比が19%である) ・直鎖低密度ポリエチレン樹脂 7.4重量% (メルトインデックス(MI)が155) ・ウレタン変成ワックス 5.0重量% (融点77℃、粘度29cps/120℃) ・ポリエチレンワックス 1.6重量% (融点80℃、粘度10cps/120℃) ・パラフィンワックス 27.5重量% (融点160F°、粘度5cps/120℃) ・マイクロクリスタリンワックス 36.0重量% (融点155F°)
【0031】また、比較として下記の各組成の熱溶融性
インキ(比較インキ試料1、2)を調製した。 (熱溶融性インキの組成(比較インキ試料1)) ・カーボンブラック(平均粒径75nm) 15重量% ・直鎖状低密度ポリエチレン(MI=50) 5重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 10重量% (MIが2400で酢酸ビニル成分の重量比率(VA比)が28%) ・カルナバワックス 10重量% ・パラフィンワックス(融点=69℃) 60重量%
【0032】 (熱溶融性インキの組成(比較インキ試料2)) ・カーボンブラック(平均粒径75nm) 15重量% ・直鎖状低密度ポリエチレン(MI=50) 20重量% ・パラフィンワックス(融点=69℃) 65重量% 次に、上述のように作製した各熱溶融性インキ(インキ
試料1〜3、比較インキ試料1、2)について、下記の
方法によりカーボンブラックの分散性、インキ流動性お
よびインキ安定性を評価し、その結果を下記の表1に示
した。
【0033】(分散性の評価方法)各熱溶融性インキを
150℃のオーブンで溶融し、バーコーターを用いて2
5μm厚のPETフィルム上に塗布(5g/m2 )して
光学顕微鏡を用いて、目視にてカーボンブラックの分散
性を評価した。 評価基準 ◎:分散性が良好である。 ○:多少凝集しているが問題なし。 △:凝集物が見られる。 ×:分散できていない。
【0034】(流動性の評価方法)回転粘度計(HAA
KE社製Viscometers)を用いて130℃の
条件下で回転数対粘度の関係を実験により求めた。 評価基準 ◎:熱溶融性インキとしての流動性が良好である。 ○:熱溶融性インキとしての流動性がほぼ良好である。 △:熱溶融性インキとして使用に適さない。 ×:熱溶融性インキとして使用不可能である。
【0035】(インキ安定性の評価方法)インキを14
0℃のオーブン内にて溶融状態で放置し、1日毎に上澄
み液をサンプリングし、バーコーターを用いて25μm
厚のPETフィルム上に5g/m 2 塗布して光学顕微鏡
を用いて、目視にてカーボンブラックの分散性を評価
し、また、透過濃度を目視にて評価した。 評価基準 ◎:3〜6日間の安定性あり。 ○:3日間の安定性あり。 △:2日間の安定性あり。 ×:安定性が2日間に達しない。
【0036】(熱転写シートの作製)基材として厚さ
6.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東
レ(株)製ルミラー)上に、上述のように作製した各熱
溶融性インキ(インキ試料1〜3、比較インキ試料1、
2)を用いてホットメルト法により塗布量が5.0g/
2 となるように塗布して熱溶融性インキ層を形成し
た。また、基材の裏面に下記組成の背面層用インキをグ
ラビアダイレクト法により塗布量が0.2g/m2 とな
るように塗布して背面層を形成して、熱転写シート(試
料1〜3、比較試料1、2)を得た。
【0037】 (背面層用インキの組成) ・シリコーン変性ウレタン樹脂 10重量部 ・ポリイソシアネート 5重量部 ・メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 85重量部
【0038】上記のように作製した各熱転写シート(試
料1〜3、比較試料1、2)を用いて、下記の印字条件
で印字を実施し、印字品質を評価して、下記の表1に結
果を示す。 (印字条件) ・印字装置 : 試作機 ・印字エネルギー: 0.4mJ/dot (300dpi厚膜サーマルヘッド) ・印圧 : 4kg ・印字速度 : 10mm/秒 ・被転写体 : PPC用紙(ベック平滑度=30秒)
【0039】(印字品質の評価方法)ベタ・細線・パタ
ーンを連続で5枚印字し、ベタ転写性、細線のからみ、
再現性を判断した。 評価基準 (ベタ部) − (細線部) ◎:問題なし。 −からみもなく良好である。 ○:多少白くなるがほぼ問題なし。−少しからむ又は欠ける。 △:白抜けが目立つ。 −からみ又は欠けが多い。 ×:かなり白抜けが発生する。 −かなりからむ又は未転写である。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示されるように、2種類以上のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体樹脂と、1種類以上の直鎖低
密度ポリエチレン樹脂、分散助剤及びワックスを含有し
ている本発明の熱溶融性インキ(インキ試料1〜3)
は、分散性、インキ流動性およびインキ安定性が良好で
あり、均一な熱溶融性インキ層を備えた熱転写シートの
形成が可能である。また、本発明の熱溶融性インキ(イ
ンキ試料1〜3)を用いて形成された熱転写シート(試
料1〜3)は、いずれも印字品質が良好であった。ま
た、耐擦過性についても、試料1〜3の熱転写シートは
良好である。
【0042】一方、2種類以上のエチレン−酢酸ビニル
共重合体樹脂、1種類以上の直鎖低密度ポリエチレン樹
脂、分散助剤としてのウレタン変成ワックスのいずれか
を使用していない熱溶融性インキ(比較インキ試料1、
2)は、インキ分散性、インキ流動性およびインキ安定
性のいずれかにおいて実用レベルに到達しないものであ
った。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、以上説明したように、
熱溶融性インキは、少なくとも着色剤と、2種類以上の
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と1種類以上の直鎖
低密度ポリエチレン樹脂をバインダー樹脂として、そし
て分散助剤及びワックスを含有させた。従来着色剤を被
覆するために用いてきたバインダー樹脂のエチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂に替え、大量かつ安価に製造され
ている直鎖低密度ポリエチレン樹脂類を用いた場合、基
材への密着性を向上させるために配合を行うエチレン−
酢酸ビニル共重合体樹脂を、酢酸ビニル成分の重量比率
(VA比)の低い物と高い物を混合することにより、前
記ポリエチレンとの相溶性を高めることが可能となり、
インキの安定性を保つことが可能になった。また、分散
助剤としてウレタン変成ワックス成分を使用すること
で、着色剤、特にカーボンブラックの各材料への分散
性、相溶性が格段に向上することを見い出した。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも着色剤、2種類以上のエチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体樹脂と、1種類以上の直鎖低密
    度ポリエチレン樹脂、分散助剤及びワックスを含有して
    いることを特徴とする熱溶融性インキ。
  2. 【請求項2】 前記の直鎖低密度ポリエチレン樹脂のメ
    ルトインデックス(MI)が50〜200の範囲内であ
    ることを特徴とする上記の請求項1に記載する熱溶融性
    インキ。
  3. 【請求項3】 前記の2種類以上のエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体樹脂は、一方はメルトインデックス(MI)
    が1500〜3000の範囲内で、酢酸ビニル成分の重
    量比率(VA比)が10〜20%、もう一方はMIが1
    500〜3000の範囲内で、VA比が20〜30%で
    あることを特徴とする上記の請求項1または2に記載す
    る熱溶融性インキ。
  4. 【請求項4】 前記の分散助剤はウレタン変成ワックス
    成分を含有していることを特徴とする上記の請求項1〜
    3のいずれかに記載する熱溶融性インキ。
  5. 【請求項5】 前記着色剤を1〜80重量%、前記2種
    類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と1種類以
    上の直鎖低密度ポリエチレン樹脂を含むバインダー樹脂
    を1〜70重量%、分散助剤を0.1〜50重量%の範
    囲で含有することを特徴とする上記の請求項1〜4のい
    ずれかに記載する熱溶融性インキ。
  6. 【請求項6】 基材の一方の面に請求項1〜5のいずれ
    かに記載する熱溶融性インキからなる層を備えたことを
    特徴とする熱転写シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014105334A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Xerox Corp エチレン酢酸ビニルを含む相変化インク
JP2015082003A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 ワックスマスターバッチ、トナー、及びトナーの製造方法

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