JPH11349682A - ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂 - Google Patents

ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂

Info

Publication number
JPH11349682A
JPH11349682A JP15616798A JP15616798A JPH11349682A JP H11349682 A JPH11349682 A JP H11349682A JP 15616798 A JP15616798 A JP 15616798A JP 15616798 A JP15616798 A JP 15616798A JP H11349682 A JPH11349682 A JP H11349682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nylon resin
lactam
base catalyst
producing
resin according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15616798A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhito Tachibana
泰人 立花
Shigeru Okita
茂 沖田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP15616798A priority Critical patent/JPH11349682A/ja
Publication of JPH11349682A publication Critical patent/JPH11349682A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyamides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラクタム類を主成分とする原料組成物から、
塩基触媒を用いてナイロン樹脂を製造する方法により、
熱滞留安定性に優れたナイロン樹脂を高効率で製造でき
る方法を提供する。 【解決手段】 ラクタム類と塩基触媒とからなる原料組
成物を加熱することによりラクタム類を重合した後、不
活性気体流通下もしくは減圧下において加熱してオリゴ
マー及び/又は未反応ラクタム類と塩基触媒とを揮発除
去することにより、ナイロン樹脂を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明はナイロン樹脂の製造方法
及びナイロン樹脂に関する。更に詳細には、溶融滞留時
の粘度安定性に優れたナイロン樹脂をアニオン重合によ
り製造する方法、ならびに溶融滞留時の粘度安定性に優
れたナイロン樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ラクタム類に塩基触媒を添加することに
より急速に重合が進行することは広く知られている(講
座 重合反応論(7)開環重合(II)p145、三枝武
夫著、化学同人、1973年発行)。ラクタム類の塩基
触媒による重合(アニオン重合)は、重合速度が速いこ
と、低い温度でも重合が進行することなどの利点を有す
るものの、一方でアニオン重合により得られるナイロン
樹脂は溶融時の粘度低下や着色という問題点を有する。
これらの問題点は、得られたナイロン樹脂中に塩基触媒
が残存するために、溶融時にナイロンポリマー分子の分
解が起きることに起因している。このため射出成形、押
出成形、ブロー成形、溶融紡糸、溶融製膜など再溶融を
要する用途への展開はなされていないのが現状である。
【0003】これらの課題を解決するために従来より多
くの検討や提案がなされてきた。例えば、アニオン重合
により得られるナイロン樹脂に安定化剤を混合し、溶融
時の粘度低下を防止する方法が提案されており、各種金
属塩化物もしくは塩化アンモニウム(特公昭48−43
396号公報)、燐化合物(特公昭43−4201号公
報)、スルホン酸もしくはその誘導体(特開昭48−3
1296号公報)などが安定化剤として提案されてい
る。また、塩基触媒を用いて重合したナイロン樹脂を熱
水抽出に供し、塩基触媒を抽出除去することも提案され
ている(特公昭46−22215号公報など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、安定化
剤を添加しても安定化剤と触媒が完全に反応しない上
に、塩基触媒と安定化剤の反応生成物が残存するため、
溶融時の粘度低下防止は不十分であり、射出成形、押出
成形、ブロー成形、溶融紡糸、溶融製膜など再溶融を要
する用途に使用できるレベルには到達していない。ま
た、抽出による触媒除去は、安定化剤の添加に比べて溶
融時の粘度低下抑制効果は高いものの、抽出と乾燥の2
つの工程が必要となるため、製造コストの上昇を招く。
また、抽出中にナイロンポリマー分子主鎖のアミド結
合、末端のアシルラクタム構造の加水分解が進行すると
いう問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記のような問題点のないアニオン重合方法およびそれに
よって得られる安定なナイロン樹脂について鋭意検討を
行った結果、本発明を見出すに至った。
【0006】すなわち本発明は、 1.ラクタム類と塩基触媒とからなる原料組成物を加熱
することによりラクタム類を重合した後、不活性気体流
通下もしくは減圧下において加熱してオリゴマー及び/
又は未反応ラクタム類と塩基触媒とを揮発除去すること
を特徴とするナイロン樹脂の製造方法、 2.ラクタム類と塩基触媒とからなる原料組成物の重合
時加熱を50℃以上330℃以下の温度で行う前記1記
載のナイロン樹脂の製造方法、 3.オリゴマー及び/又は未反応ラクタム類と塩基触媒
との揮発除去を130℃以上400℃以下の温度で行う
前記1〜2記載のナイロン樹脂の製造方法、 4.不活性気体が水蒸気、窒素、アルゴン、二酸化炭素
から選ばれる少なくとも1種である前記1〜3記載のナ
イロン樹脂の製造方法、 5.不活性気体が水蒸気、窒素から選ばれる少なくとも
1種である前記4記載のナイロン樹脂の製造方法、 6.オリゴマー及び/又は未反応ラクタム類と塩基触媒
との揮発除去を500mmHg以下の圧力下で行う前記1〜
5記載のナイロン樹脂の製造方法、 7.塩基触媒が有機塩基である前記1〜6記載のナイロ
ン樹脂の製造方法、 8.塩基触媒が窒素含有有機塩基である前記7記載のナ
イロン樹脂の製造方法、 9.塩基触媒が窒素および燐原子を含有する有機塩基で
ある前記8記載のナイロン樹脂の製造方法、 10.塩基触媒がトリアミノホスフィン系有機塩基であ
る前記9記載のナイロン樹脂の製造方法、 11.原料組成物が、さらに、下記一般式(1)で表さ
れる構造部分を有する助触媒を含有することを特徴とす
る前記1〜10記載のナイロン樹脂の製造方法、
【化4】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す)
【0007】12.下記条件(A)〜(C)を同時に満
足するナイロン樹脂、(A)未反応ラクタム類の含有量
≦0.5重量%、(B)オリゴマーの含有量≦2.5重
量%、(C)下記一般式(1)で表されるアシルラクタ
ム末端基を有する、
【化5】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す) 13.更に下記条件(D)をも同時に満足する前記12
記載のナイロン樹脂、(D)下記一般式(1)で表され
るアシルラクタム末端基の濃度とカルボキシル末端基濃
度の比率が(2)式を満足する。
【化6】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す) アシルラクタム末端基/(アシルラクタム末端基+カルボキシル末端基)≧0. 7(mol比) ・・・・・・(2) 14.更に下記条件(E)をも同時に満足する前記12
〜13記載のナイロン樹脂、(E)残存塩基触媒量≦
0.5wt%を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明において「重量」とは「質量」を意味する。本発明
で用いられるラクタム類とは炭素数2以上50以下の環
状アミド化合物を指す。
【0009】本発明で用いられるラクタム類の具体例と
しては、グリシン環状無水物、2−アゼチジノン、2−
ピロリジノン、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタ
ム、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタム、ウ
ンデカラクタム、ラウロラクタムなどがある。中でもε
−カプロラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタム
が好ましく、ε−カプロラクタムが特に好ましい。本発
明で用いられるラクタム類は1種類を単独で用いてもよ
いし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0010】本発明においては、本発明の目的を損なわ
ない程度の範囲でラクタム類以外の他の共重合成分を含
んでいてもよい。共重合成分としては、ラクタム類と共
重合し得る化合物であれば特に制限はないが、アミノ
酸、ジカルボン酸/ジアミン塩が好ましく用いられる。
アミノ酸の具体例としては、グリシン、アラニン、バリ
ン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロ
シン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロ
リン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、シス
チン、システイン、α−アミノ酪酸、アスパラギン酸、
グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒ
ドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、6−アミノ
カプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタ
ン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、1
1−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸など
が挙げられるが、特に6−アミノカプロン酸、11−ア
ミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が好ましく
用いられる。
【0011】ジカルボン酸/ジアミン塩を構成するジカ
ルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデ
カン二酸、プラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデ
カン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカル
ボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸などが
挙げられるが、特にアジピン酸、セバシン酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸が好ましく用いられる。
【0012】ジカルボン酸/ジアミン塩を構成するジア
ミンの具体例としては、1,4−ジアミノブタン、1,
5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2
−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミ
ノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジア
ミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジ
アミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの
脂肪族ジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビス−(4
−アミノヘキシル)メタンなどのような脂環式ジアミ
ン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン
のような芳香族ジアミンなどが挙げられるが、特に1,
6−ジアミノヘキサンが好ましく用いられる。
【0013】共重合量としては特に制限は無いが、通常
は20mol%以下、好ましくは15mol%以下、更
に好ましくは10mol%以下、特に好ましくは5mo
l%以下である。共重合の方法に制限はなく、ラクタム
類にラクタム類以外の共重合成分を混合する方法以外
に、ラクタム類のみで重合を開始し、重合の途中からラ
クタム類以外の共重合成分を導入してもよい。また、そ
の際に共重合成分単独で添加してもよいし、あるいはラ
クタム類と共重合成分の混合物として添加してもよい。
【0014】本発明で用いられる塩基触媒としては、不
活性気体流通下もしくは減圧下において揮発除去可能な
ものであれば特に制限は無いが、通常は有機塩基触媒が
好ましく用いられる。また、その構造中に金属原子を含
有してもしなくてもかまわないが、揮発性の観点からは
金属原子を含有しないものが好ましい。
【0015】有機塩基触媒としては窒素含有化合物が好
ましく、更に窒素と燐を同時に含有する化合物が好まし
く、特にトリアミノホスフィン構造を有する化合物が好
ましい。有機塩基触媒のより具体的な構造としては、1
〜3級アミン、4級アンモニウム塩、1〜3級ホスフィ
ンの他に、下記一般式(3)〜(6)で表される構造部
分を有する化合物が挙げられる。
【0016】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0017】更に具体的な例としては、一般式(7)で
表わされるグアニジン系化合物、
【化11】 (ただし、R1〜R5は、水素または炭素数1〜30の
アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリー
ル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよ
い)。
【0018】一般式(8)に表わされるアミジン系ビシ
クロ化合物、
【化12】 (ただし、p、qは3〜30の整数であり、それぞれ同
一であっても異なっていてもよい)。
【0019】一般式(9)で表わされるプロアザホサフ
ァトラン系化合物などが挙げられる。
【0020】
【化13】 (ただしR6〜R8は水素または炭素数1〜30のアル
キル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基
であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、x、y、zは1〜10の整数であり、それぞれ同
一であっても異なっていてもよい)。
【0021】これらの中でも特に、触媒活性、揮発性の
観点からトリアミノホスフィン化合物が好ましく、その
中でもプロアザホスファトラン系化合物が好ましい。塩
基触媒の使用量については特に制限は無いが、通常は原
料化合物の総重量の1×10-6〜15%、好ましくは1
×10-5〜10%、更に好ましくは1×10-4〜5%、
特に好ましくは1×10-3〜5%である。塩基触媒はそ
のままラクタム類等の原料に混合してもよいし、溶剤に
溶解あるいは分散させてから添加してもよい。
【0022】本発明で用いられる原料組成物には重合速
度の向上のために助触媒を添加することができる。本発
明で用いることのできる助触媒としては特に制限は無い
が、一般式(1)で表わされるアシルラクタム構造を有
する化合物が好ましく用いられる。
【化14】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す)
【0023】助触媒の具体例としては、一般式(10)
で表わされるようなモノカルボン酸とラクタム類との縮
合物、
【化15】 (ただし、R9は水素または炭素数1〜30のアルキル
基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基であ
り、aは1〜50の整数である)。
【0024】一般式(11)で表わされるジカルボン酸
とラクタム類との縮合物、
【化16】 (ただし、R10は炭素数1〜30のアルキレン基、シ
クロアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基であ
る。また、b、cは1〜50の整数であり、それぞれ同
一であっても異なっていてもよい)。
【0025】一般式(12)で表わされるイソシアナー
トとラクタム類の付加物、
【化17】 (ただし、R11は炭素数1〜30のアルキル基、シク
ロアルキル基、アラルキル基、アリール基であり、dは
1〜50の整数である)。
【0026】一般式(13)で表わされるジイソシアナ
ートとラクタム類の付加物、
【化18】 (ただし、R12は炭素数1〜30のアルキレン基、シ
クロアルキレン基、アラルキレン基、アリーレン基であ
る。また、e、fは1〜50の整数であり、それぞれ同
一であっても異なっていてもよい)。
【0027】などが挙げられる。これらの中でも特にN
−アセチルカプロラクタム、N−ベンゾイルカプロラク
タム、テレフタロイルビスカプロラクタム、イソフタロ
イルビスカプロラクタムが好ましい。
【0028】助触媒の添加量は特に制限は無いが、通常
は原料化合物の総重量の1×10-6〜15%、好ましく
は1×10-5〜10%、更に好ましくは1×10-4〜5
%、特に好ましくは1×10-3〜5%である。助触媒は
そのままラクタム類等の原料に混合してもよいし、溶剤
に溶解あるいは分散させてから添加してもよい。
【0029】本発明で用いられる原料組成物の調製は、
溶融されたラクタム類に他の成分を溶解あるいは分散さ
せてもよく、また、固体状態のラクタム類に他の化合物
をドライブレンドしてもよい。
【0030】本発明における重合温度は特に限定されな
いが、本プロセスを工業的に利用するのに実用的な重合
速度を確保するためには、通常は50℃〜330℃、好
ましくは80℃〜320℃、更に好ましくは100℃〜
310℃、とりわけ好ましくは110℃〜300℃であ
る。50℃未満の温度では重合の進行が極めて遅いため
に重合時間が長くなり、330℃を超える温度ではモノ
マーの再生速度が速いため重合が進行せず、重合度が実
用レベルにまで達しない。
【0031】本発明における重合は、溶融状態、固体状
態のいずれでも行うことができる。本発明で用いられる
重合装置は特に限定されないが、各種オートクレーブな
どの通常用いられる加熱装置、ニーダーなど樹脂粉体の
加熱混合装置、押出機など溶融樹脂の混練装置などを用
いることができる。
【0032】本発明のナイロン樹脂の製造方法における
未反応ラクタム類と塩基触媒の除去は、不活性気体流通
下もしくは減圧下において加熱する方法が用いられる。
不活性気体は特に限定されないが、通常は水蒸気、窒
素、アルゴン、二酸化炭素が用いられ、好ましくは水蒸
気、窒素、二酸化炭素、より好ましくは水蒸気、窒素、
特に好ましくは窒素が用いられる。
【0033】減圧下で加熱する方法を用いる場合の温度
条件は特に限定されないが、通常は130℃以上400
℃以下であり、好ましくは140℃以上390℃以下、
更に好ましくは150℃以上380℃以下、とりわけ好
ましくは160℃以上360℃以下である。
【0034】減圧下で加熱する場合の圧力条件は特に制
限されないが、通常は圧力500mmHg以下、好まし
くは400mmHg以下、更に好ましくは300mmH
g以下、とりわけ好ましくは200mmHg以下である。
【0035】本発明における重合と未反応ラクタム類と
塩基触媒の除去は連続的に行われてもよいし、重合後い
ったん樹脂固体を取り出した後、除去工程を行うという
2段階プロセスであってもかまわない。あるいはそれぞ
れの工程を複数の多段階に分割して行ってもかまわな
い。
【0036】本発明においては、除去した未反応ラクタ
ム類と塩基触媒を回収し、必要に応じて分離・精製を行
い、再び重合に供することもできる。
【0037】本発明の製造方法で得られるナイロン樹脂
中の未反応ラクタム類の残存量は0.5重量%以下であ
るが、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは
0.3重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下で
ある。0.5重量%を越えると溶融加工時に未反応ラク
タム類が揮発し、溶融紡糸時に口金に付着して糸切れを
引き起こしたり、溶融製膜時に口金内に堆積物が生成し
てフィルム表面にダイマークのような表面欠点を生成し
たりする。また、長時間の連続射出成形においてモール
ドデポジットが発生し易い等の問題を招く。
【0038】本発明の製造方法で得られるナイロン樹脂
中のオリゴマー含有量は2.5重量%以下であり、好ま
しくは2.0重量%以下、更に好ましくは1.8重量%
以下、とりわけ好ましくは1.6重量%以下である。オ
リゴマー含有量が2.5重量%を越えると溶融加工時に
オリゴマーが侵出して溶融紡糸時に口金に付着して糸切
れを引き起こしたり、溶融製膜時に口金内に堆積してフ
ィルム表面にダイマークのような表面欠点を生成したり
する。また、長時間の連続射出成形においてモールドデ
ポジットが発生し易い等の問題を招く。
【0039】本発明のナイロン樹脂は、下記一般式
(1)に示されるアシルラクタム末端基を含有する。
【化19】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す)
【0040】本発明の製造方法で得られるナイロン樹脂
中の、アシルラクタム末端基とカルボキシル末端基の比
率は以下の式を満たすことが好ましい。 アシルラクタム末端基/(アシルラクタム末端基+カル
ボキシル末端基)≧0.7(mol比)
【0041】アシルラクタム末端基とカルボキシル末端
基の比率は、0.7以上が好ましく、より好ましくは
0.8以上、更に好ましくは0.9以上である。アシル
ラクタム末端基とカルボキシル末端基の比率が0.7未
満となると溶融加工時の溶融粘度が時間と共に上昇する
傾向を示す。
【0042】本発明の製造方法で得られるナイロン樹脂
中に残存する塩基触媒量は0.5重量%以下が好まし
く、より好ましくは0.4重量%以下、更に好ましくは
0.3重量%以下である。ナイロン樹脂中の塩基触媒残
存量が0.5重量%を越えると溶融加工時の溶融粘度が
時間と共に低下する傾向を示す。
【0043】本発明においては、本発明の目的を損なわ
ない程度の範囲で、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒ
ンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト
系、及びこれらの誘導体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物
等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベ
ンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードア
ミン系等)、離型剤及び滑剤(脂肪族アルコール、ビス
尿素、エチレンビスステアロアミド、ポリエチレンワッ
クス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カ
ーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤
(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p
−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホ
ンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型ア
ニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系
帯電防止剤、ポリオキシソルビタンモノステアレートの
ような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止
剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、赤燐、水酸化
マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリ
リン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリ
フェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化
エポキシ樹脂あるいはこれら臭素系難燃剤と三酸化アン
チモンとの組み合わせ等)、充填材(グラファイト、硫
酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニ
ッケル、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ガラス繊
維、炭素繊維、アラミド繊維等の粒子状、繊維状、針
状、板状充填材)、他の重合体(他のポリアミド、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステ
ル、PBT樹脂、PET樹脂、ポリカーボネート、ポリ
フェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、液晶
ポリエステル、液晶ポリアミド、ポリエーテルスルホ
ン、ABS樹脂、SAN樹脂等)を任意の時点で添加す
ることができる。
【0044】
【実施例】以下実施例に従って本発明をさらに具体的に
説明する。重量とは質量を意味する。なお、実施例及び
比較例に記した分析及び測定は次の方法に従って行っ
た。
【0045】(1)相対粘度 得られたナイロン樹脂を粉砕後、メタノールを用いて6
時間ソックスレー抽出を行った。メタノール不溶分を9
0℃、1mmHgで12時間減圧乾燥したのち、オスト
ワルド粘度計を用いて0.01g/mLの98%硫酸溶
液/25℃の相対粘度を測定した。
【0046】(2)未反応ラクタム含量、オリゴマー含
量、塩基触媒残存量 得られたナイロン樹脂を粉砕後、メタノールを用いて6
時間ソックスレー抽出を行った。メタノール抽出液中の
ラクタム量、オリゴマー量、塩基触媒残存量をナフタレ
ンを内標とするガスクロマトグラフ測定にて求めた。測
定条件を下記する。 ガスクロマトグラフ: 島津GC−17A カラム: J&W Scientific社製キャピラ
リーカラム DB−1 インジェクション温度: 250℃ 検出器温度: 250℃ カラム温度: 150〜210℃(昇温速度5℃/min
【0047】(3)アシルラクタム末端基量 13CNMR(VARIAN UNITY INOVA
600型またはUNITY Plus 500型、2
5℃、溶剤:重水素化ヘキサフルオロイソプロパノー
ル、濃度:20mgサンプル/0.6mL溶剤、基準T
MS)によりアミド結合のカルボニル炭素と尿素結合の
カルボニル炭素とのモル比を求め、その数値よりアシル
ラクタム末端基量を算出した。
【0048】(4)カルボキシル末端基量 サンプル0.5gをベンジルアルコール20mLに19
5℃で溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてN
/50規定水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定して
カルボキシル末端基量を求めた。
【0049】(5)融点 一旦溶融させた後、急冷したポリアミド樹脂約7mgを
正確に秤量し、Perkin−Elmer社製DSC−
7を用いて20℃/分の昇温速度で融点を測定した。
【0050】(6) 引張特性 引張強度、引張破断伸度はASTM D638に従って
測定した。 (7)アイゾット衝撃値 ASTM D256に従って測定した。 (8)曲げ特性 ASTM D790に従って測定した。
【0051】(9)連続射出成形時のモールドデポジッ
ト発生状況 3.5オンスの射出成形機を用いて、厚さ2.5mm、
長さ115mm、幅25mmの試験片を樹脂温度257
℃(実施例1〜3、比較例1〜2、参考例1)又は21
0℃(実施例4〜5)、金型温度79℃で連続射出成形
した。成形品表面を目視で観察し、曇りが顕著になって
きたショット数を記録した。
【0052】(10)フィルム押出成形時のダイマーク
発生状況 40mmφ押出機、75mmリングダイスを用いて樹脂
温257℃で50μ厚みのインフレーションフィルムを
連続製膜した。フィルム表面を目視で観察し、ダイマー
クが発生し始めた時間を記録した。
【0053】(11)ペレット色調 目視にて観察した。
【0054】[実施例1〜6、比較例1〜2]東洋精機
製のラボプラストミル(100ccミキサー)を用い、
表1〜2に示される原料組成物・製造条件でナイロン樹
脂の製造を行った。残存モノマーや残存触媒を減圧下で
除去する際には、ラボプラストミル上部の開放部分に減
圧ラインに連結可能なアダプターを設けた金属製の蓋を
装着した。得られたナイロン樹脂の各種評価結果も合わ
せて表1〜2に示す。
【0055】[参考例1]3Lのステンレス製オートク
レーブにε−カプロラクタム1000g、水20g、末
端封鎖剤としての安息香酸5.4gを仕込み、窒素置換
後、密閉して最高温度255℃で15時間重合を行っ
た。重合反応終了後、得られたナイロン樹脂をストラン
ド状に押出し、カッターを用いてペレット化した。この
ペレットを20Lの沸騰水中に投入し、攪拌しながら1
4h抽出を行った。抽出後、80℃で一晩真空乾燥を行
った。得られたナイロン樹脂の各種評価結果も合わせて
表2に示す。
【0056】[参考例2]3Lのステンレス製オートク
レーブにε−カプロラクタム1000g、水20g、末
端封鎖剤としての安息香酸1.2gを仕込み、窒素置換
後、密閉して最高温度255℃で16時間重合を行っ
た。重合反応終了後、得られたナイロン樹脂をストラン
ド状に押出し、カッターを用いてペレット化した。この
ペレットを20Lの沸騰水中に投入し、攪拌しながら2
0h抽出を行った。抽出後、80℃で一晩真空乾燥を行
った。得られたナイロン樹脂の各種評価結果も合わせて
表2に示す。
【0057】実施例1より、本発明の製造方法を用いる
ことにより、極めて短時間で高重合度のナイロン6樹脂
が得られることがわかる。また、得られたナイロン6樹
脂の物性値は、従来の製造方法を用いて得られる参考例
1のナイロン6樹脂に匹敵する物性値であることがわか
る。
【0058】実施例2より、助触媒を変更しても短時間
で優れた物性を有するナイロン6樹脂が得られることが
わかる。
【0059】実施例3より、触媒を変更しても短時間で
優れた物性を有するナイロン6樹脂が得られることがわ
かる。
【0060】実施例4より、本発明の製造方法はラウロ
ラクタムにも適用可能であり、短時間で優れた物性を有
するナイロン12樹脂が得られることがわかる。
【0061】実施例5より、本発明の製造方法は混合ラ
クタムにも適用可能であり、短時間で優れた物性を有す
るナイロン6/ナイロン12共重合樹脂が得られること
がわかる。
【0062】実施例6より、原料仕込み・反応条件のコ
ントロールにより押出用途に適した高粘度ナイロン6樹
脂が得られることがわかる。また、得られたナイロン6
樹脂の物性値は、従来の製造方法を用いて得られる参考
例2のナイロン6樹脂に匹敵する物性値であることがわ
かる。
【0063】比較例1より、重合後に残存触媒の溶融・
減圧処理を行わないと得られるナイロン6樹脂の物性値
が低下することがわかる。
【0064】比較例2より、従来から知られている典型
的なアニオン重合触媒であるナトリウムラクタメートを
用いると溶融・減圧処理を行っても触媒が残存してしま
い、その結果、得られるナイロン6樹脂の物性値が低下
してしまうことがわかる。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】本発明のナイロン樹脂の製造方法を用い
ることにより、短時間でナイロン樹脂を得ることが可能
である。また、得られたナイロン樹脂は機械物性、熱滞
留安定性、連続成形性に優れる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクタム類と塩基触媒とからなる原料組
    成物を加熱することによりラクタム類を重合した後、不
    活性気体流通下もしくは減圧下において加熱してオリゴ
    マー及び/又は未反応ラクタム類と塩基触媒とを揮発除
    去することを特徴とするナイロン樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 ラクタム類と塩基触媒とからなる原料組
    成物の重合時加熱を50℃以上330℃以下の温度で行
    う請求項1記載のナイロン樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 オリゴマー及び/又は未反応ラクタム類
    と塩基触媒との揮発除去を130℃以上400℃以下の
    温度で行う請求項1又は2記載のナイロン樹脂の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 不活性気体が水蒸気、窒素、アルゴン、
    二酸化炭素から選ばれる少なくとも1種である請求項1
    〜3のいずれかに記載のナイロン樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 不活性気体が水蒸気、窒素から選ばれる
    少なくとも1種である請求項4記載のナイロン樹脂の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 オリゴマー及び/又は未反応ラクタム類
    と塩基触媒との揮発除去を500mmHg以下の圧力下で行
    う請求項1〜5のいずれかに記載のナイロン樹脂の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 塩基触媒が有機塩基である請求項1〜6
    のいずれかに記載のナイロン樹脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 塩基触媒が窒素含有有機塩基である請求
    項7記載のナイロン樹脂の製造方法。
  9. 【請求項9】 塩基触媒が窒素および燐原子を含有する
    有機塩基である請求項8記載のナイロン樹脂の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 塩基触媒がトリアミノホスフィン系有
    機塩基である請求項9記載のナイロン樹脂の製造方法。
  11. 【請求項11】 原料組成物が、さらに、下記一般式
    (1)で表される構造部分を有する助触媒を含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のナイ
    ロン樹脂の製造方法。 【化1】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す)
  12. 【請求項12】 下記条件(A)〜(C)を同時に満足
    するナイロン樹脂。 (A)未反応ラクタム類の含有量≦0.5重量%、。 (B)オリゴマーの含有量≦2.5重量%、 (C)下記一般式(1)で表されるアシルラクタム末端
    基を有する、 【化2】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す)
  13. 【請求項13】 更に下記条件(D)をも同時に満足す
    る請求項12記載のナイロン樹脂。 (D)下記一般式(1)で表されるアシルラクタム末端
    基の濃度とカルボキシル末端基濃度の比率が(2)式を
    満足する。 【化3】 (ただし、式中nは1〜50の整数を表す) アシルラクタム末端基/(アシルラクタム末端基+カルボキシル末端基)≧0. 7(mol比) ・・・・・・(2)
  14. 【請求項14】 更に下記条件(E)をも同時に満足す
    る請求項12又は13記載のナイロン樹脂。 (E)残存塩基触媒量≦0.5wt%
JP15616798A 1998-06-04 1998-06-04 ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂 Pending JPH11349682A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15616798A JPH11349682A (ja) 1998-06-04 1998-06-04 ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15616798A JPH11349682A (ja) 1998-06-04 1998-06-04 ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11349682A true JPH11349682A (ja) 1999-12-21

Family

ID=15621823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15616798A Pending JPH11349682A (ja) 1998-06-04 1998-06-04 ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11349682A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11343341A (ja) * 1998-04-03 1999-12-14 Toray Ind Inc ポリアミドの製造方法
JP2014515425A (ja) * 2011-05-30 2014-06-30 ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー キャストポリアミド製造のための新規組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11343341A (ja) * 1998-04-03 1999-12-14 Toray Ind Inc ポリアミドの製造方法
JP2014515425A (ja) * 2011-05-30 2014-06-30 ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー キャストポリアミド製造のための新規組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4491848B2 (ja) ポリアミドの製造方法
JP2834377B2 (ja) 耐薬品性に優れた透明ポリアミド組成物
KR101699558B1 (ko) 폴리아미드를 제조하기 위한 회분식 방법
EA000621B1 (ru) Полиамид, способ его получения и композиция, его содержащая
JPH01135834A (ja) 透明なポリアミドと、その製造方法
EP3081598B1 (en) Polyamide composition, molded article, reflective board for leds, and method for preventing heat-induced reflectivity reduction
JP6377146B2 (ja) 固相重合を含む脂肪族または部分芳香族のポリアミドの製造法
KR20150013748A (ko) 폴리아미드, 폴리아미드 조성물 및 성형품
JP2003528165A (ja) テトラメチレンテレフタルアミドおよびヘキサメチレンテレフタルアミドに基づくコポリアミド
US3294759A (en) Linear copolyamides resistant to boiling water
US3627736A (en) Polyamides from isophorone diamine, hexamethylene diamine, isophthalic acid and terephthalic acid
JPH11349682A (ja) ナイロン樹脂の製造方法及びナイロン樹脂
JP3347545B2 (ja) ランダム共重合ポリアミド樹脂及びその製造法
JPH0627191B2 (ja) 超高分子量ポリアミド成形体の製造方法
JP5669627B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物及び成形品
JP2000038445A (ja) 共重合ポリアミド、その製造方法およびそれから得られる繊維、成形品
JPS6120579B2 (ja)
US2917490A (en) Polyamides from norcamphaneaminocarboxylic acids
JP2534220B2 (ja) 新規な高融点結晶性ポリアミド
JP2001200054A (ja) ナイロン6共重合体の製造方法および繊維
JP2001115017A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2002003600A (ja) ポリアミドの製造方法、それから得られるポリアミドおよびポリアミド成形品
JP2001200055A (ja) ポリアミド樹脂の製造法およびポリアミド繊維
JPH04233970A (ja) 強化材を充填したナイロン−4,6の製造方法
JP2000053762A (ja) 共重合ポリアミド、その製造方法、及びその用途