JPH11348321A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法並びにインクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法並びにインクジェット記録ヘッド

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JPH11348321A
JPH11348321A JP10160366A JP16036698A JPH11348321A JP H11348321 A JPH11348321 A JP H11348321A JP 10160366 A JP10160366 A JP 10160366A JP 16036698 A JP16036698 A JP 16036698A JP H11348321 A JPH11348321 A JP H11348321A
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昌也 永田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度な微細加工技術を必要とせず、液敵の吐
出孔部分を可逆的に撥水あるいは親水性に制御すること
により、吐出させる液滴径を任意に変えることができる
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法並
びにインクジェット記録ヘッドを提供することである。 【解決手段】 インク吐出孔Aと、前記インク吐出孔A
へのインク流路5と、前記インク流路5内に設けられた
インク吐出用エネルギー発生手段31と、を有する記録
ヘッド1を備えてなるインクジェット記録装置であっ
て、刺激供与手段と、刺激除去手段と、を設け、さらに
前記記録ヘッド1の少なくともインク吐出孔Aを含み、
該インク吐出孔Aからインク流路5内の所定位置までの
内壁面は、前記刺激供与手段あるいは刺激除去手段によ
る刺激供与の有無によりインクの前記内壁面への接触角
が可逆的に変化する部材で形成されてなることで実現す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク小滴を吐出
して画像記録を行うインクジェット記録装置及びインク
ジェット記録方法並びにインクジェット記録ヘッドに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、数μmの大きさの微粒子を作製す
る方法として、画像記録分野においては、液体として着
色インクを用い、直径数十μm程度の小さいノズルから
インクを押し出してインク粒子を形成、飛翔させて、記
録媒体上に文字や画像を得る方法がある。
【0003】この方法は、一般的にインクジェット方式
と呼ばれ、 A)圧電素子を用いて着色インクに機械的振動または変
位を与えることによりインクの吐出を実現する方法 B)熱エネルギーを用いて、液体としてのインクを加熱
して発泡させる圧力を利用することによりインクの吐出
を実現する方法等のインクを吐出させる方法に分類され
る。
【0004】上記インクジェット記録ヘッドを用いた方
式に関する技術としては、色々開示・提案されている。
【0005】1)特開平6−31910号公報では、イ
ンクジェットヘッドにおいて、大きさの異なる粒子を作
製する方法として、必要とする液滴径に合わせてノズル
を複数形成する方法が開示されている。
【0006】2)特開平6−191142号公報では、
ヘッドの温度を変化させることにより液滴径を可変する
方法が開示されている。
【0007】3)特開平6−286138号公報では、
複数のノズルから吐出されるインクを個々に、またはそ
のいずれかを合体させることにより液滴径を可変する方
法が開示されている。
【0008】4)特開平6−191026号公報では、
上記1)から3)のように液滴径を可変とすることはで
きないが、インク吐出孔付近を撥水処理することで従来
と同様のサイズのヘッドを用いながら微小液滴を生成す
るための技術が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記イ
ンクジェット記録装置及びインクジェット記録方法並び
にインクジェット記録ヘッドにおいては、なお以下のよ
うな問題を有している。
【0010】前記1)においては、粒子径の数に応じた
ノズル径を有するヘッドが必要になるため、装置が大型
化、複雑化する。また、インクジェットヘッドによって
より微小径の液体を作製するには、ヘッドをさらに微細
加工する必要があり、製造及び加工技術上困難である。
さらに、この時の加工精度により、作製される粒子の大
きさが影響を受け、安定かつ均一な粒径を得ることは困
難である。
【0011】前記2)においては、ヘッドの温度制御が
難しく、環境温度の変化によって液滴径が変わってしま
うという問題が存在する。
【0012】前記3)においては、1つのインク吐出部
に対し2つ以上のインク吐出孔を形成しておかなければ
ならず、微細加工が要求され、高解像度化に対応できな
いといった問題が存在する。
【0013】前記4)においては、本発明に対して最も
近い技術であり、インク吐出孔の内壁を撥液処理するこ
とにより従来と同サイズのヘッドを用いつつ、より小さ
な液滴を生成することは可能である。しかし、ヘッド製
造後に液滴の大きさを任意に変えることができないとい
う問題を有している。
【0014】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その目的とするところは、高度な
微細加工技術を必要とせず、刺激供与の有無によりイン
クの吐出孔子部分の内壁面での接触角を可逆的に変化さ
せる、つまり液敵の吐出孔部分を可逆的に撥水あるいは
親水性に制御することにより、吐出させる液滴径を任意
に変えることができるインクジェット記録装置及びイン
クジェット記録方法並びにインクジェット記録ヘッドを
提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載に
係るインクジェット記録装置は、インク吐出孔と、前記
インク吐出孔へのインク流路と、前記インク流路内に設
けられたインク吐出用エネルギー発生手段と、を有する
記録ヘッドを備えてなるインクジェット記録装置であっ
て、刺激供与手段と、刺激除去手段と、を設け、さらに
前記記録ヘッドの少なくともインク吐出孔を含み、該イ
ンク吐出孔からインク流路内の所定位置までの内壁面
は、前記刺激供与手段あるいは刺激除去手段による刺激
供与の有無によりインクの前記内壁面への接触角が可逆
的に変化する部材で形成されてなることを特徴とする。
【0016】本発明の請求項2記載に係るインクジェッ
ト記録装置は、請求項1記載のインクジェット記録装置
において、刺激供与手段は、インクの内壁面への接触角
が可逆的に変化する部材に電荷を与えて帯電させること
を特徴とする。
【0017】本発明の請求項3記載に係るインクジェッ
ト記録装置は、請求項1記載のインクジェット記録装置
において、刺激除去手段は、インクの内壁面への接触角
が可逆的に変化する部材に帯電している電荷を除去する
ことを特徴とする。
【0018】本発明の請求項4記載に係るインクジェッ
ト記録装置は、請求項2または3記載のインクジェット
記録装置において、インクの内壁面への接触角が可逆的
に変化する部材は、絶縁性部材であることを特徴とす
る。
【0019】本発明の請求項5記載に係るインクジェッ
ト記録装置は、請求項2または3記載のインクジェット
記録装置において、インクの内壁面への接触角が可逆的
に変化する部材は、光導電性部材であることを特徴とす
る。
【0020】本発明の請求項6記載に係るインクジェッ
ト記録装置は、請求項5記載のインクジェット記録装置
において、光導電性部材は、導電層、電荷輸送層、電荷
発生層の順で積層されてなる多層構造であることを特徴
とする。
【0021】本発明の請求項7記載に係るインクジェッ
ト記録方法は、画像記録信号に応じて記録媒体上へ吐出
させるインク量を変えて画像を記録するインクジェット
記録方法であって、刺激としての電荷を帯電させる処理
を行う刺激供与ステップと、前記帯電した電荷を除去す
る処理を行う刺激除去ステップと、前記画像記録信号に
応じて電荷の有無を制御し、該電荷の有無によりインク
の吐出孔内壁面への接触角を可逆的に変化させてインク
の吐出量を制御する刺激制御ステップと、を含むことを
特徴とするインクジェット記録方法。
【0022】本発明の請求項8記載に係るインクジェッ
ト記録ヘッドは、インク吐出孔と、前記インク吐出孔へ
のインク流路と、前記インク流路内に設けられたインク
吐出用エネルギー発生手段と、を有する記録ヘッドであ
って、前記記録ヘッドの少なくともインク吐出孔を含
み、該インク吐出孔からインク流路内の所定位置までの
内壁面は、インクの該内壁面への接触角が可逆的に変化
する部材で形成されてなることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明におけるインクジェ
ット記録装置及びインクジェット記録方法並びにインク
ジェット記録ヘッドの実施形態について図面を用いて説
明する。
【0024】まず、本発明におけるインクジェット記録
装置及びインクジェット記録方法並びにインクジェット
記録ヘッドの特徴を記載する。
【0025】該特徴は、インク流路内壁をインクに対し
親液性とし、インク吐出孔の最表層の内壁の一部を非帯
電状態では撥水性のためにインクの漏出を阻止してメニ
スカスをインク吐出孔内部に形成し、また、帯電状態で
はインク吐出孔内壁に対するインクの接触角を低下せし
めてインクをインク吐出孔表面まで漏出させてメニスカ
スをインク吐出孔表面に形成することにより、吐出され
るインクの量を変化させるようにした点である。このイ
ンク量の可変制御によって、画像解像度あるいは画像階
調を変えることができることである。
【0026】次に、本発明におけるインクジェット記録
装置で用いる撥水性/親水性に関する基本原理について
記載する。
【0027】図1は、フィルム面上に液滴を与えた場合
の状態を示した図である。
【0028】図1(a)に示すように、撥液性絶縁フィ
ルム9の表面に液滴Dを置くとフィルム面9における接
触角θは90゜より大きくなる。しかし、液滴Dはフィ
ルム面9は濡らさない。一方、図1(b)に示すよう
に、撥液性絶縁フィルム9に電荷10を与えて帯電させ
るとフィルム面9と液滴Dとの接触角θは減少し、やが
て90゜以下となりフィルム面9を濡らすようにするこ
とができる。
【0029】この性質は、フィルム面9の撥液性の強弱
と液体Dの種類及び印可する電圧によって異なるが、例
えば3フッ化塩化エチレン樹脂フィルムに水滴をおいた
場合、帯電前にθ=110゜であった接触角はマイナス
500Vの電圧を加えることによりθ’=55゜に低下
してフィルム面9を濡らすようになる。
【0030】さらに、図1(c)に示すように、帯電さ
れた撥液性絶縁フィルム9の電荷を除去すると、図1
(d)に示すように再びフィルム面9における液滴Dの
接触角θは90゜より大きくなる。
【0031】以上の原理をインクジェット記録装置及び
インクジェット記録方法で利用することで吐出させるイ
ンク滴の大きさを可変にすることができる。
【0032】以下に、本発明の目的とするインクジェッ
ト記録装置及びインクジェット記録方法並びにインクジ
ェット記録ヘッドについて実施例及び適用例を用いて詳
細に説明する。
【0033】(第1の実施例)本発明の第1の実施例に
ついて説明する。
【0034】図2は、本実施例におけるインクジェット
記録装置のヘッドでのインク液量可変吐出方法を示した
ものである。
【0035】インクジェット記録ヘッド1は、上ヘッド
2及び下ヘッド3から構成され、インク吐出孔Aより内
側であって下ヘッド3上にエネルギー発生手段31が設
けられている。さらにインク流路5内には、インクIN
Kが充填されており図示しないインク室(インクリザー
バ)からインクINKが供給されるようになっている。
またインク吐出孔Aの記録媒体Pに対向する表面上に撥
液性絶縁材料からなる機能層4が形成されている。
【0036】ここで機能層4は、無帯電時には該層の部
分Bがその撥液性のためにインクINKを排除し、図2
(a)に示すようにインクメニスカスM1はインク吐出
孔Aから後退した位置に形成される。この状態でエネル
ギー発生手段31を駆動すると、インク滴D1が記録媒
体Pに向かって飛翔する。
【0037】一方機能層4は、帯電させると、該層の部
分Bが親液性となり、インクINKをインク吐出孔Aま
で漏出させることができ、その結果図2(b)に示すよ
うにインクメニスカスM2はインク吐出孔A表面付近に
形成される。この状態でエネルギー発生手段31を駆動
すると、インク滴D2が記録媒体Pに向かって飛翔す
る。
【0038】ここで上記機能層4を帯電させていない状
態と帯電させた状態とでは、吐出されるインク滴の大き
さは各々異なり、それぞれD1(体積:V1’)とD2
(体積:V2’)となる。さらに、V1’<V2’とな
るので、記録媒体P上に形成されるインクドットの大き
さもそれに応じた大きさとなる。つまり、帯電時は無帯
電の場合に比べて大きなインク滴を吐出することが可能
となる。
【0039】このようにして、インク吐出孔A表面に形
成した撥液性絶縁材料に刺激、ここでは帯電を与えるこ
とにより、帯電を与えない場合に比べて記録媒体P上に
形成されるインク滴径を変化させることができる。
【0040】なお、上記上ヘッド2及び下ヘッド3で形
成されたインク流路5は、インクに対して親液性を有す
る導電性の基板により形成されているものとする。ま
た、エネルギー発生手段31は、例えば電気−熱変換体
であるヒーターであってもよいし、あるいは電気−振動
変換体である圧電素子等であってもよい。
【0041】次に、上記図2に示した内容をさらに具体
的な動作として説明する。
【0042】図3は、インクジェット記録ヘッドでのイ
ンク液量可変吐出方法の動作シーケンスを示したもので
ある。
【0043】図3(a)は、インクジェット記録ヘッド
1に負圧状態でインクINKを充填した状態である。
【0044】絶縁性部材4が帯電していない場合には、
該部分BはインクINKに対し撥液性を示すのでインク
メニスカスM1は、図のように吐出孔Aから後退した位
置に形成される。この場合、吐出されるインク滴D1の
体積V1’はメニスカスM1とインク吐出手段31との
間のインク体積V1を用いて、 V1’=k・V1 … となる。ここで、kは定数であり、一般には、V1’=
10数pl(ピコリットル)である。
【0045】この状態でエネルギー発生手段31を駆動
することにより、液滴D1が記録媒体Pに向かって飛翔
し、該記録媒体P上に画像を形成する。
【0046】次に、図3(b)に示すように、外部の刺
激供与手段6により絶縁性部材4に刺激SAを与えた場
合には、該部分BはインクINKに対し親液性となりメ
ニスカスM2はインク吐出孔Aの最表層に形成されるこ
とになる(図3(c))。このとき吐出されるインク滴
D2の体積V2’は、メニスカスM2とインク吐出手段
31との間のインク体積V2を用いて、 V2’=k・V2 > V1’ … となる。ここで、kは定数であり、このとき、V2’=
数10plとなる。また、上記式及びでの係数kは
簡略化して同一とした。
【0047】上記刺激供与手段6は、刺激SAとして帯
電現象を利用した場合、例えば帯電器を用いることがで
きる。この帯電器は、電子写真方式の記録装置等で一般
的に用いられている非接触式あるいは接触式のいずれの
帯電装置であってもよい。
【0048】この状態でインク吐出手段31を駆動する
ことにより、液滴D2が記録媒体Pに向かって飛翔し、
該記録媒体P上に画像を形成する。このとき、吐出され
るインク滴D2の体積V2’はインク滴D1の体積V
1’よりも大きいので、記録媒体P上に形成されるイン
ク滴も大きくなる。
【0049】このようにメニスカスMとエネルギー発生
手段(インク吐出手段)31との間のインク体積Vが吐
出するインクの体積V’に大きく依存することから、絶
縁性部材4に電荷を与えない状態では小さな吐出インク
体積とすることができ、一方、絶縁性部材4を帯電する
ことにより、吐出インク体積を大きくすることができ
る。
【0050】以上は、メニスカスがM1の状態からM2
の状態に変化させる場合について説明を行ったが、次に
メニスカスがM2の状態からM1の状態に変化させる場
合について説明する。
【0051】メニスカスがM2の状態では、絶縁性部材
4がすでに帯電しているので、図3(d)に示すよう
に、刺激除去手段7によって刺激SBを与えて該帯電電
荷を除去する。その結果、図3(e)に示すように、機
能層4に帯電した電荷は除去されて、再び(a)と同じ
状態となる。つまりこの状態では、絶縁性部材4はイン
クINKに対し再び撥液性となるので、メニスカスはM
1となる。インク滴D1の吐出体積はV1’となり、小
さなインク滴が吐出される。
【0052】上記刺激除去手段7は、除電器を用いてい
る。除電器としてはコロトロン、スコロトロン、ダイコ
ロトロン等の帯電器もしくは鋸歯状の帯電器または除電
ブラシもしくは除電ブレード等を用いることができる。
また、刺激供与時に使用した帯電器の帯電電極に帯電時
とは逆極性の電圧を印可することにより絶縁性部材4の
帯電電荷が打ち消されて除去される方法でもよい。
【0053】ここで、上記刺激供与手段6及び刺激除去
手段7は、実際にはインクジェット記録ヘッド1の近傍
あるいはその一部分として配置されていてもよい。
【0054】次に、上記インクジェット記録ヘッド1の
要部詳細構造に関して説明する。
【0055】図4は、上記図2、3でのインクジェット
記録ヘッド1の要部構成を示した側面断面図である。
【0056】インクジェット記録ヘッド1は、インクI
NKに対し親液性を有する導電性の上ヘッド2と下ヘッ
ド3と、下ヘッド3内部に設けられたエネルギー発生素
子31とから構成されている。
【0057】〈1〉上ヘッド2について 上ヘッド2としては、該ヘッドを構成する基板は、アル
ミニウム、鉄及びそれらを含めた各種金属の合金を用い
ることができる。さらに、導電処理を施したガラスある
いはポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリビニルアル
コール、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合体、エ
チレン酢酸ビニル重合体、デンプン、ポリビニルブチラ
ール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビアゴ
ム、カルボキ シメチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン、ポリアクリルアミド、フェノール、メラミン、エ
ポキシ、αオレフィン、ビニルウレタン、セルロース混
合エステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ弗
化ビニルデン等の樹脂あるいはセラミック等を用いるこ
とができる。
【0058】該ヘッド基材2上に親水性層を形成する方
法としては、上記親水性材料とバインダー混合スラリー
をロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、
スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法等
の公知の方法により、基材2上に塗工し、乾燥する方法
を用いることができる。バインダーとしては、一般にデ
ンプンやその変性物、ポリビニルアルコールやその変性
物、SBRラテックス、NBRラテックス、ヒドロキシ
セルロース、ポリビニルピロリドン等の有機物を用いる
ことができる。
【0059】なお、上記導電性を有するヘッド2の基板
は装置筐体に電気的に接地されている。
【0060】〈2〉下ヘッド3について 下ヘッド3としては、該ヘッドを構成する基板は、上記
上ヘッド2を構成している基板と同じである。ただし、
下ヘッド3には、下記〈3〉に記載のエネルギー発生素
子31が内部に埋め込まれた構造で構成されている。
【0061】〈3〉エネルギー発生素子31について エネルギー発生素子31としては、電気−熱変換素子を
用いており、このエネルギー発生素子31である発熱素
子31は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等
で形成される保護層32、アルミニウム、金、窒化アル
ミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板36上
に成り立っている。なお、34は発熱抵抗体層、35は
蓄熱層である。
【0062】ここで発熱素子31を構成する電極33に
上記下ヘッド3からパルス状の電気信号が印可される
と、この発熱素子31の発熱部37の領域が急速に発熱
し、発熱部分37の表面に接しているインクINKに気
泡が発生し、その圧力でメニスカスMが突出し、インク
吐出孔Aよりインク液滴となり、記録媒体Pに向かって
飛翔する。
【0063】なお、ここではエネルギー発生手段31と
して電気−熱変換体である素子を用いたが、これに限ら
ず、電気−変位変換体である圧電機能を有した素子を用
いてもよい。
【0064】〈4〉インク吐出孔Aについて 上下ヘッド2、3のインク吐出孔A近傍に、機能層4と
して撥液性絶縁材料を積層し、両者を貫通するインク吐
出孔Aを形成する。インク吐出孔Aの大きさは、必要と
する画像解像度から決定され、10から100μm程度
である。
【0065】最後に、本実施例で使用したインクINK
について記載する。
【0066】本実施例において良好に使用されるインク
INKとしては、インク吐出孔A内壁の撥液性部分Bに
対しては少なくとも90゜以上の接触角を示し、電荷を
授与した後の接触角は90゜以下でなければならない。
【0067】撥液性材料がポリエチレン、ポリスチレ
ン、4フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、シリコ
ンワニス、アルキッド樹脂である場合、液体としては
水、グリセリン、エチレングリコール等を使用すること
ができる。
【0068】着色剤としては、溶液状または縣濁状のい
ずれでもまたは両者の混合物を使用してもよい。
【0069】そのため、液体として水を使用する場合
は、直接染料、酸性染料、含金属酸性染料、塩基性染
料、カチオン染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイッ
ク染料、可溶性硫化染料、反応性染料等の水溶性染料
を、また接触角調整剤として少量のアルコールを含む場
合には、ピグメントグリーン、カーミンFB等のアルコ
ール可溶染料が用いられる。
【0070】また、懸濁着色剤としては,カーボンブラ
ック、フタロシアニン、その他の有機または無機の顔料
を分散剤を用いて液体中に分散して用いる。
【0071】以上のように、インク吐出孔Aの表層に形
成した絶縁材料からなる機能層4に与える刺激を制御す
ることにより、インクジェット記録ヘッド1から吐出さ
れるインクドットの大きさを不可逆的に変化させること
ができる。
【0072】なお、上記では単一のインク吐出孔につい
て説明を行ったが、例えば、図5に示すように前記図2
から4で説明したインクジェット記録ヘッド1を複数有
したマルチヘッドタイプのものに対しても適用できる。
なお、インク吐出孔Aの配列は、図に示したライン状に
限らず、マトリクス状に配列されていてもよい。
【0073】つまり、これは文字あるいは画像記録にお
いて、記録の主走査方向に複数のインク吐出孔Aが形成
されたライン状のインクジェット記録ヘッド1、あるい
は記録の副走査方向に複数のインク吐出孔Aが形成され
主走査方向にインクジェット記録ヘッド1が移動するシ
リアルタイプのインクジェット記録ヘッド、あるいは記
録の主走査方向及び副走査方向に複数のインク吐出孔A
がマトリクス状に形成されたインクジェット記録ヘッド
1であっても、各吐出孔Aの絶縁性部材に対し同様に適
用すればよい。
【0074】以上、本実施例においては、インク吐出孔
の内壁面で吐出孔から所定位置を撥液性と親液性を該刺
激の有無によって制御することで、インク吐出量をオン
デマンド的に可変とすることができる効果を有してい
る。さらに、インクジェット記録ヘッドは、インク吐出
手段が電気エネルギーを与えることによって発熱し、イ
ンクに状態変化を生じせしめて吐出を行わせるための電
気−熱変換体であるので、高速なインク吐出を行うこと
ができる。また、刺激供与手段は絶縁性部材を帯電する
ための帯電器により行われ、刺激除去手段は絶縁性部材
に帯電している電荷を除去するための除電器により行わ
れるので、同一の部材、例えばコロナ帯電器を用いて帯
電及び除電を行うことができる効果も有している。ま
た、機能層として絶縁性部材を用いていることから、構
造的にも容易に実現できる。
【0075】(第2の実施例)本発明の第2の実施例に
ついて説明する。
【0076】図6は、本実施例におけるインクジェット
記録装置のヘッドでのインク液量可変吐出方法を示した
ものである。なお、ここでは、前記実施例と異なってい
る部分のみ説明する。
【0077】相違点は、機能層4が光導電性を有する材
料で形成されていることである。
【0078】まず、光導電性を有する材料からなる機能
層4について説明する。
【0079】この光導電性を有する材料からなる機能層
である光導電層(感光層)4は、粉末光導電体と樹脂溶
液の混合物を静電塗布によって所定の厚みに塗布するか
噴霧塗装法によって基板と反対極性の電荷を霧滴に与え
て基板に電着させて形成されたものである。あるいは、
無定形セレンのような金属光導電体を該層4とする場合
は電圧を印可して真空蒸着を行うことにより容易に形成
することができる。
【0080】ここで、上記光導電層4に撥液性を与える
にはポリエチレン、3フッ化エチレン樹脂のような撥液
性樹脂をバインダーとして光導電層4を作ってもよい
が、光導電層4の表面に前記撥液性樹脂の被膜を形成し
てもよい。
【0081】インク吐出孔Aは、このようにして光導電
層4を形成した後に形成する。
【0082】一方、上記方法とは逆に、インク吐出孔A
を形成した後に、ディッピング、印刷、転写、スプレー
コート等の方法により光導電層(感光層)4を形成する
ことも可能である。
【0083】なお、撥液性を有する光導電層(感光層)
4を形成するに当たっては、上記方法に限定されるもの
ではない。
【0084】次に、本実施例におけるインクジェット記
録装置のヘッドでのインク液量可変吐出方法について説
明する。
【0085】図6(a)に示すように、インクINK
は、機能層である光導電層4が撥液性のためにインク吐
出孔A表面層まで到達することができず、インクメニス
カスM1はインク吐出孔Aから後退した位置に形成され
る。このため、この状態でエネルギー発生手段31を駆
動すると、エネルギー発生手段31とインクメニスカス
M1の間に存在するインク(体積V1)が吐出されるよ
うになる。
【0086】次に図6(b)に示すように、撥液性の光
導電層4の表面に光導電層4に応じた方法によって刺激
を与え、静電潜像IMGを形成することにより、インク
INKは潜像電荷の電場によって撥液性内壁Bに対する
接触角が90゜以下に低下して該内壁を濡らし、インク
吐出孔A表面にインクメニスカスM2が形成されること
になる。なお、刺激を供与する刺激供与手段は、前記実
施例に記載の帯電器による帯電であってもよい。この状
態でエネルギー発生手段31を駆動すると該エネルギー
発生手段31とインク吐出孔A表面の間に存在するイン
ク(体積V2)が吐出されるようになる。
【0087】この結果、光導電層(感光層)4を帯電さ
せていない状態と帯電させた状態とでは、吐出されるイ
ンク滴の大きさは各々異なり、それぞれD1(体積:V
1’)とD2(体積:V2’)となる。ここでは、V
1’<V2’となるので、記録媒体P上に形成されるイ
ンクドットの大きさもそれに応じた大きさとなる。つま
り、帯電時は無帯電時の場合に比べて大きなインク滴を
吐出することが可能となる。
【0088】このようにして、インク吐出孔A表面に形
成した撥液性光導電性材料に刺激、ここでは帯電を与え
ることにより、帯電を与えない場合に比べて記録媒体P
上に形成されるインク滴径を変化させることができる。
【0089】その後、インク吐出孔A表層に形成された
光導電層(感光層)4全面に一様に光照射を行うことに
よって静電潜像IMGの残留電荷を除去すると撥液性を
回復して、インクメニスカスM1は後退する。つまり図
6(a)の状態に戻る。この状態でエネルギー発生手段
31を駆動すると該エネルギー発生手段31とインクメ
ニスカスM1の間に存在するインク(体積V1)が吐出
されるようになる。このとき、V1<V2であるので、
小さなインク滴を吐出することが可能である。
【0090】なお、この場合の刺激除去方法としては、
光を照射することにより行う、いわゆる光除電法を用い
る。
【0091】以上のように、インク吐出部Aの内壁の一
部を光導電性部材により形成し、該部材の帯電及び光除
電操作を行うことにより、形成されるメニスカスの位置
を制御することによって吐出インク量を制御することが
可能となる効果を有している。さらに、除電方法として
光除電法を用いることができ、その結果、高電圧を発生
する必要がなく、使用者に対し安全である。また、ノイ
ズが発生しないので電気回路が誤動作することがなく信
頼性に優れている効果を有している。このことは、EM
I(ElectroMagnetic Interfe
rence:電磁妨害雑音)が少ないので環境面でも優
れている。
【0092】(第3の実施例)本発明の第3の実施例に
ついて説明する。
【0093】図7は、本実施例におけるインクジェット
記録装置のヘッドでのインク液量可変吐出方法を示した
ものである。なお、ここでは、前記実施例と異なってい
る部分のみ説明する。
【0094】相違点は、機能層4が光導電性樹脂により
インク吐出孔に積層されて形成されていることである。
すなわち、ヘッド基体2、3に対しインク吐出孔1の表
面層が光導電性樹脂により形成されており、該光導電性
樹脂はさらに多層構造となっていることである。
【0095】機能層4は、上下ヘッド2、3の各基板上
に導電層41、電荷輸送層(CTL)42、電荷発生層
(CGL)43、表面保護層44の順で積層し構成さ
れ、電荷発生層43は電荷発生物質であるπ型無金属フ
タロシアニンをメラミン変性熱硬化型樹脂に分散したも
のを用い、電荷輸送層42は、電荷輸送物質であるテト
ラフェニルブタジエン誘導体をポリカーボネート樹脂
に、分散したものを用いている。なお、上記機能層4は
多層構造よりなる機能分離構造としたがこれに限るもの
ではない。
【0096】本実施例においても、前記実施例と同様
に、刺激供与手段としては、帯電器を用い、このとき光
導電層4の表面電位は−500〜−900Vの範囲内で
帯電された。また、本実施例では負帯電型の光導電層4
を想定したが、正帯電型の光導電層4であってもよい。
【0097】上記ヘッド1を用いたところ、帯電なしの
状態でインクメニスカスはM1となり、この状態でのイ
ンク吐出量は数100plであった。
【0098】実際には帯電手段により光導電層(感光
層)4部分を350Vに帯電したところ、インクは該光
導電層(感光層)4部分も濡らすようになり、インクメ
ニスカスはM2となり、この状態でのインク吐出量は数
10plであった。
【0099】さらに刺激除去手段として半導体レーザ光
のような光供与手段を用い、光導電層(感光層)4部分
に光を照射したところ、帯電電荷が除電されて再びイン
クメニスカスはM1となり、この状態でのインク吐出量
は数100plとなった。
【0100】ここで光供与手段としては半導体レーザに
限定されることはなく、光導電層(感光層)4、より詳
細には電荷発生層(CGL)43に用いられる材料の分
光感度特性に一致する光源を用いればよい。すなわち6
00〜900nm(ナノメータ)の波長範囲に分光感度
を有する材料の場合は、本実施例同様市販の半導体レー
ザを利用することができ、633nmであればHe−N
eレーザが、441nmであればHe−Cdレーザが、
また400〜500nmであれば半導体レーザの第2高
調波発生(SHG)により可能である。また、本実施例
ではレーザとしての特性を必要とするわけではないの
で、LED(Light Emitting Diod
e)あるいは紫外線ランプあるいはハロゲンランプ、蛍
光灯ランプ、冷陰極管、赤、緑などのネオンランプ等の
可視光光源等のインコヒーレント光を利用することがで
きる。
【0101】以上のように、本実施例においても前記第
2の実施例同様に、インク吐出孔Aの表層内部に形成し
た光導電層(感光層)4部分を帯電及び光除電すること
により、インクメニスカスの位置を可変することがで
き、その結果吐出インク量を可変とすることができる効
果を有している。さらに、除電方法として光除電法を用
いることができ、その結果、高電圧を発生する必要がな
く、使用者に対し安全である。また、ノイズが発生しな
いので電気回路が誤動作することがなく信頼性に優れて
いる効果を有している。このことは、EMI(Elec
troMagnetic Interference:
電磁妨害雑音)が少ないので環境面でも優れている。
【0102】以下、本発明におけるインクジェット記録
装置及びインクジェット記録方法並びにインクジェット
記録ヘッドを実際に画像記録装置に適用した場合の適用
例についてその実施形態を説明する。
【0103】(適用例1)適用例1について説明する。
【0104】特に本適用例は、画像情報を基に液滴の大
きさを制御する高解像度記録方法について図面を参照し
て説明する。なお、説明にあたって前記各実施例と重な
る部分に関してはその説明は省略する(説明にあたって
は分かりやすくするために上記いずれかの図面で使用し
た番号を用いることとする)。
【0105】図8は、本発明におけるインクジェット記
録ヘッド1を用いたインクジェット記録装置の一例を示
している。また、図9は、その主要構成要素の機能ブロ
ック図であり、図10はそのフローチャートを示してい
る。
【0106】ここで、図9に示されている刺激制御手段
102、刺激供与手段103A、刺激除去手段103B
は、構成上実際にはインクジェット記録ヘッド1の近傍
あるいはその一部分として配置されていてもよい。
【0107】図9に示すように、オペレーター、他の制
御機器あるいはネットワークを介して入力信号101が
制御手段102に印字動作信号S1として入力される
と、該制御手段102は印字付加情報を基に記録解像度
を決定する。ここで、印字付加情報とは、印字解像度が
例えば150DPI(dot per inch)、3
00DPI、600DPI、…であるかの情報、あるい
は印字階調数が24=16色、28=256色、216=6
5000色、…であるかの情報等である。
【0108】本適用例においては、説明を簡単にするた
め、例えば、入力付加情報が、 1) 解像度150DPI 2) 解像度300DPI の2つである場合に、それぞれに応じた動作について説
明する。
【0109】入力信号S1として上記1)が入力された
場合、制御手段102は制御信号として刺激供与手段1
03Aに対し駆動信号S2Aを出力する。これにより刺
激供与手段103A、例えばコロナ帯電器はインクジェ
ット記録ヘッド1の吐出孔Aの最表面部に形成されてい
る機能層4を帯電させることにより、インクメニスカス
M2がインク吐出孔A表層に形成される(図3を参
照)。
【0110】次に上記制御手段102は、エネルギー発
生手段104に対して駆動信号S3を出力することによ
り、画像データに応じてエネルギー発生手段104が駆
動され、インクが吐出される(図10の経路AAのシー
ケンス)。
【0111】このとき吐出されるインクドットの大きさ
は記録媒体P到達時において、150DPIの解像度が
得られる大きさであり、例えば240μmとなるように
インクジェット記録ヘッド1を設計しておく。
【0112】図8において、インクジェット記録ヘッド
1が例えば図5に示すような複数のインク吐出孔Aを有
している場合には、各インク吐出孔Aに対して設けられ
た個別のエネルギー発生手段31を画像データに応じて
駆動し、さらにインクジェット記録ヘッド1を矢印A1
の主走査方向に移動させることにより主走査方向に印字
が行われる。さらに、記録媒体Pを矢印A2方向に搬送
させることによって副走査方向への印字が行われ、最終
的に2次元の画像が得られる。
【0113】この結果、画像解像度が150DPIであ
る画像を形成することができる。
【0114】次に、入力信号S1として上記2)が入力
された場合、制御手段102は制御信号として刺激除去
手段103Bに対し駆動信号S2Bを出力する。これに
より刺激除去手段103B、例えば光除電器はインク吐
出孔A最表面部に形成されている機能層4の帯電電荷を
除去させることにより、インクメニスカスM1がインク
吐出孔内部に形成される(図3を参照)。
【0115】その後上記制御手段102は、エネルギー
発生手段104に対して駆動信号S3を出力することに
より、画像データに応じてエネルギー発生手段104が
駆動され、インクが吐出される(図10の経路BBのシ
ーケンス)。
【0116】この場合、1)の場合に比べ吐出されるイ
ンクドットの大きさは小さく、記録媒体P上で例えば1
20μmとなるように機能層4の厚み等を設計してお
く。
【0117】この結果、画像解像度が300DPIであ
る画像を形成することができる。
【0118】上記1)及び2)における記録媒体P上で
のインクドットの概念図を図11に示す。図11(a)
が解像度300DPIでの印字結果、図11(b)が解
像度150DPIでの印字結果を示す。
【0119】なお、上記1)及び2)においてインクジ
ェット記録ヘッド1を矢印A1の主走査方向へ移動する
速度あるいは1画素を記録する印字タイミング及び記録
媒体Pを矢印A2の副走査方向へ搬送する速度はそれぞ
れにおいて所望の解像度が得られるように調節する。
【0120】このように高精細な印字を行う用途にあっ
ては、高解像度で印字を行い、印字時間を短縮する目的
の場合には、低解像度で印字を行うという印字方法が可
能となる。
【0121】以上は、単一のインクジェット記録ヘッド
1を有するインクジェット記録装置の場合について説明
したが、これに限らず、イエロー(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)等のカラーインクをそれぞれ備え
た複数のインクジェット記録ヘッド1を有するインクジ
ェット記録装置の場合には、各色を重ね合わせることに
よりフルカラー印字が可能となる。
【0122】また、本適用例においては液体インクを基
に説明を行ってきたが、室温で固体であるインクを用い
てもよい。この場合、使用時において該固体インクを加
熱し、溶融状態として吐出を行うようにする。
【0123】以上のことから、画像解像度に基づいて刺
激供与ステップ及び刺激除去ステップのどちらか一方を
駆動させるような制御を行うので、文字等の高精細な印
字を行う用途にあっては、小さなインクを生成すること
により高解像度で印字を行い、また、印字時間を短縮す
る目的の場合には、低解像度で印字を行うという印字方
法の選択が可能となる効果を有している。
【0124】(適用例2)適用例2について説明する。
【0125】特に本適用例は、画像情報を基に液滴の大
きさを制御する高階調記録方法について図面を参照して
説明する。なお、説明にあたって前記各実施例や適用例
と重なる部分に関してはその説明は省略する(説明にあ
たっては分かりやすくするために上記いずれかの図面で
使用した番号を用いることとする)。
【0126】前記適用例1においては、画像解像度に応
じて、刺激供与手段103Aを駆動するかあるいは刺激
除去手段103Bを駆動するかの選択を行った。これに
対し本適用例においては、画像階調数に応じて刺激供与
手段103Aを駆動するかあるいは刺激除去手段103
Bを駆動するかの選択を行うことにより、画像階調数を
制御する方法について説明を行う。
【0127】本適用例においては簡単のため、例えば、
入力付加情報が、 3) 階調数4 4) 階調数16 の2つである場合に、図9、10を用いてそれぞれに応
じた動作について説明する。このとき両者の解像度は同
じとする。
【0128】インクジェット方式のプリンタにおいて階
調を表現するには、一般に面積階調法が用いられる。こ
れは1画素に対してm×nのマトリックスを対応させ、
複数の面積パターンで表現するものである。
【0129】入力信号S1として上記3)が入力された
場合、制御手段102は制御信号として刺激供与手段1
03Aに対し駆動信号S2Aを出力する。これにより刺
激供与手段103A、例えば帯電器はインクジェット記
録ヘッド1の吐出孔A最表面部に形成されている機能層
4を帯電させることにより、インクメニスカスがインク
吐出孔A表層に形成される(図3を参照)。
【0130】次に上記制御手段102は、エネルギー発
生手段104に対して駆動信号S3を出力することによ
り、画像データに応じてエネルギー発生手段104が駆
動され、インクが吐出される(図10の経路AAのシー
ケンス)。
【0131】このとき吐出されるインクドットの大きさ
は記録媒体P到達時において、例えば120μmとなる
ようにヘッド1を設計しておく。
【0132】この結果、画像解像度が300DPI相当
のインクドットを形成することができる。これは、前記
適用例1で説明した通りである。
【0133】異なる点は、階調表現(ここではm=n=
2とし、m×n=4のマトリクス)を行うために記録す
る1画素に対し、4つのインクドットを使用することで
ある。図12は、この様子を示したものである。したが
って、この場合の実質的な解像度は、 300/4=75 DPI となる。
【0134】この結果、記録1画素に対して4階調表現
を行うことができる。
【0135】次に、入力信号S1として上記4)が入力
された場合、制御手段102は制御信号として刺激除去
手段103Bに対し駆動信号S2Bを出力する。これに
より刺激除去手段103B、例えば光除電器はインクジ
ェット記録ヘッド1の吐出孔A最表面部に形成されてい
る機能層4の帯電電荷を除去させることにより、インク
メニスカスがインク吐出孔A内部に形成される(図3を
参照)。
【0136】その後上記制御手段102は、エネルギー
発生手段104に対して駆動信号S3を出力することに
より、画像データに応じてエネルギー発生手段104が
駆動され、インクが吐出される(図10の経路BBのシ
ーケンス)。
【0137】この場合、3)の場合に比べ吐出されるイ
ンクドットの大きさは小さく、記録媒体P上で例えば3
0μmとなるように機能層4の厚み等を設計しておく。
【0138】この結果、画像解像度が1200DPI相
当のインクドットを形成することができる。
【0139】この場合、16個のインクドット(m=n
=4とし、m×n=16のマトリクス)によって1画素
を表現するため、実際の解像度は、 1200/16=75 DPI となる。つまり3)と同じ解像度を維持したまま、4倍
(=16/4)の階調表現が可能となる。図13は、こ
のときの階調表現を示したものである。
【0140】以上の結果、画像解像度を変化することな
く階調数のみを変化させることができる。
【0141】なお、本適用例においても、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)等のカラーイン
クを備えたインクジェット記録ヘッド1を有するインク
ジェット記録装置において、各色に対し上記方法を適用
することにより、写真ライクな高画質記録が必要な場合
には高階調モードで印字を行い、また、それほど高画質
が必要でない場合、あるいは印字に要する時間を短縮す
る場合等においては低階調モードで印字を行うといった
使い方が可能である。
【0142】また、本適用例においては液体インクを基
に説明を行ってきたが、室温で固体であるインクを用い
てもよい。この場合、使用時において該固体インクを加
熱し、溶融状態として吐出を行うようにする。
【0143】さらに、実運用においては、前記適用例1
と本適用例とを組み合わせた形態で使用することも可能
である。
【0144】以上のことから、画像階調数に基づいて刺
激供与ステップ及び刺激除去ステップのどちらか一方を
駆動させるような制御を行うので、必要に応じて階調数
を変化することができる効果を有している。
【0145】なお、ここまで挙げた実施形態における実
施例及び適用例を含めた内容は、本発明の主旨を変えな
い限り、上記記載内容に限定されるものではない。
【0146】
【発明の効果】本発明におけるインクジェット記録装置
及びインクジェット記録方法並びにインクジェット記録
ヘッドは、各請求項において以下の効果が得られる。
【0147】本発明の請求項1においては、インク吐出
孔の内壁面で吐出孔から所定位置までの部分を、該部分
への刺激の有無によってインクの内壁面に対する接触角
を制御することで、インク吐出量をオンデマンド的に可
変とすることができる効果を有している。
【0148】本発明の請求項2、3においては、刺激の
供与/除去手段として電荷を供与/除去する一般的な帯
電器が使用できる利点を有している。これより、装置構
成も容易に実現できる。
【0149】本発明の請求項4においては、部材が絶縁
性部材であるため、装置の構造が容易に実現できる。さ
らに、刺激の供与/除去の手段においても電荷を供与/
除去する一般的な帯電器が使用できる利点を有してい
る。
【0150】本発明の請求項5、6においては、部材が
光導電性部材であるため、刺激除去方法として光除電法
を用いることができ、その結果、高電圧を発生する必要
がなく、使用者に対し安全である。また、ノイズが発生
しないので電気回路が誤動作することがなく信頼性に優
れている効果を有している。また、EMI(Elect
roMagnetic Interference:電
磁妨害雑音)が少ないので環境面でも優れている。
【0151】本発明の請求項7においては、刺激制御ス
テップが刺激供与ステップと刺激除去ステップのいずれ
かをコントロールすることで、吐出するインク量を可変
に制御することができる。これは、画像信号に応じて刺
激供与と刺激除去の動作を制御しているので、画像解像
度または画像階調数をユーザの好みによって選択するこ
とが可能となる効果を有している。
【0152】つまり、画像解像度に基づいて刺激供与ス
テップと刺激除去ステップのどちらか一方を選択して処
理させるような制御を行うので、文字等の高精細な印字
を行う用途にあっては、小さなインクを生成することに
より高解像度で印字を行い、また、印字時間を短縮する
目的の場合には、低解像度で印字を行うという印字方法
の選択が可能となる。また、画像階調数に基づいて刺激
供与ステップと刺激除去ステップのどちらか一方を選択
して処理させるような制御を行うので、必要に応じて階
調数を変化することができる。
【0153】本発明の請求項8においては、インク吐出
孔の内壁面で吐出孔から所定位置までの部分を、該部分
への刺激の有無によってインクの内壁面に対する接触角
を制御することで、インク吐出量をオンデマンド的に可
変とすることができる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液量可変方法の原理を説明するた
めの図である。
【図2】本発明によるインクジェット記録ヘッドでの液
量可変方法の概要を説明するための図である。
【図3】本発明によるインクジェット記録ヘッドでの液
量可変方法の詳細を説明するための図である。
【図4】本発明によるインクジェット記録ヘッドの構造
の一例を示した図である。
【図5】本発明によるインクジェット記録ヘッドの外観
の一例を示した図である。
【図6】本発明による別のインクジェット記録ヘッドで
の液量可変方法の概要を説明するための図である。
【図7】本発明による別のインクジェット記録ヘッドで
の液量可変方法の概要を説明するための図である。
【図8】本発明によるインクジェット記録装置の要部を
示す概略斜視図である。
【図9】本発明によるインクジェット記録装置の機能制
御ブロックを示した図である。
【図10】本発明によるインクジェット記録装置の機能
制御ブロックでの制御シーケンスを示した図である。
【図11】本発明によるインクジェット記録装置におけ
る記録解像度の違いによる印字サンプルの概念図であ
る。
【図12】本発明によるインクジェット記録装置におけ
る低階調表現時の様子を示すための図である。
【図13】本発明によるインクジェット記録装置におけ
る高階調表現時の様子を示すための図である。
【符号の説明】 1 インクジェット記録ヘッド 2 上ヘッド 3 下ヘッド 4 機能層 5 インク流路 6 刺激供与手段 7 刺激除去手段 A インク吐出孔 M メニスカス

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク吐出孔と、前記インク吐出孔への
    インク流路と、前記インク流路内に設けられたインク吐
    出用エネルギー発生手段と、を有する記録ヘッドを備え
    てなるインクジェット記録装置であって、 刺激供与手段と、刺激除去手段と、を設け、さらに前記
    記録ヘッドの少なくともインク吐出孔を含み、該インク
    吐出孔からインク流路内の所定位置までの内壁面は、前
    記刺激供与手段あるいは刺激除去手段による刺激供与の
    有無によりインクの前記内壁面への接触角が可逆的に変
    化する部材で形成されてなることを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  2. 【請求項2】 刺激供与手段は、インクの内壁面への接
    触角が可逆的に変化する部材に電荷を与えて帯電させる
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装
    置。
  3. 【請求項3】 刺激除去手段は、インクの内壁面への接
    触角が可逆的に変化する部材に帯電している電荷を除去
    することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記
    録装置。
  4. 【請求項4】 インクの内壁面への接触角が可逆的に変
    化する部材は、絶縁性部材であることを特徴とする請求
    項2または3記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 インクの内壁面への接触角が可逆的に変
    化する部材は、光導電性部材であることを特徴とする請
    求項2または3記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 光導電性部材は、導電層、電荷輸送層、
    電荷発生層の順で積層されてなる多層構造であることを
    特徴とする請求項5記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 画像記録信号に応じて記録媒体上へ吐出
    させるインク量を変えて画像を記録するインクジェット
    記録方法であって、 刺激としての電荷を帯電させる処理を行う刺激供与ステ
    ップと、前記帯電した電荷を除去する処理を行う刺激除
    去ステップと、前記画像記録信号に応じて電荷の有無を
    制御し、該電荷の有無によりインクの吐出孔内壁面への
    接触角を可逆的に変化させてインクの吐出量を制御する
    刺激制御ステップと、を含むことを特徴とするインクジ
    ェット記録方法。
  8. 【請求項8】 インク吐出孔と、前記インク吐出孔への
    インク流路と、前記インク流路内に設けられたインク吐
    出用エネルギー発生手段と、を有する記録ヘッドであっ
    て、 前記記録ヘッドの少なくともインク吐出孔を含み、該イ
    ンク吐出孔からインク流路内の所定位置までの内壁面
    は、インクの該内壁面への接触角が可逆的に変化する部
    材で形成されてなることを特徴とするインクジェット記
    録ヘッド。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005081672A (ja) * 2003-09-08 2005-03-31 Fuji Photo Film Co Ltd 静電吐出型インクジェットヘッド
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JP2010194750A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Fujifilm Corp インクジェットヘッド及びインクジェット記録方法
JP2016041489A (ja) * 2014-08-18 2016-03-31 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法

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