JPH11348271A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法および画像形成装置

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JPH11348271A
JPH11348271A JP16083698A JP16083698A JPH11348271A JP H11348271 A JPH11348271 A JP H11348271A JP 16083698 A JP16083698 A JP 16083698A JP 16083698 A JP16083698 A JP 16083698A JP H11348271 A JPH11348271 A JP H11348271A
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JP
Japan
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surface acoustic
acoustic wave
ink
image forming
comb
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JP16083698A
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English (en)
Inventor
Shuzo Kaneko
修三 金子
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面弾性波を用いる画像形成において、温度
変化に伴う音速変化を小さくするとともに、近接する表
面弾性波の干渉を受けにくくする。 【解決手段】 圧電素子からなる表面弾性波伝播体1上
に、複数の表面弾性波発生部5が設けられている。各表
面弾性波発生部5は、表面弾性波伝播体1端面からの距
離が、少なくとも隣り合う表面弾性波発生部5において
互いに異なっており、1対の櫛形電極2が設けられてい
る。表面弾性波伝播体1の下方にはインク溜り9が設け
られており、インク溜り9内のインクはスリット部に供
給される。櫛形電極2は、個別に信号を供給するドライ
バ4a〜4fに接続され、時分割駆動される。表面弾性
波発生部5のうち表面弾性波伝播体1端面からの距離が
長いものほど、早いタイミングでドライバ4a〜4fか
ら駆動信号が供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、ファク
シミリ、複写機などに用いられる画像形成方法および画
像形成装置、特に、微細なインク滴を記録紙に転移させ
て画像を記録するインクジェット方式の画像形成方法お
よび画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録方式として
は、ヒータによりインク中にバブルを形成して、この気
泡発生の圧力によりインクをノズルから吐出させるバブ
ルジェット方式や、ピエゾ素子(圧電素子)のバルク振
動による圧力を利用してインクを吐出させるピエゾジェ
ット方式等があり、この中には常にインクを吐出するコ
ンティニュアス型、または必要に応じてインク吐出を行
うオンデマンド型とがある。この様なインクジェット方
式の画像形成方法および装置が、広く商品化され、ま
た、その画質向上のための技術的改良が続けられてい
る。
【0003】インクジェット方式においては、細かい画
素ドットを形成して画質を向上させるために、ノズルや
ヒータまたはピエゾ素子をさらに微細化することが求め
られている。そのためにさらに精密な加工技術を必要と
し、具体的には、各ノズルに対応して設けられるドライ
バの実装やヒータやピエゾ素子などのインク加圧手段の
形成がより困難になる。また、ノズルが微細であると、
インクによる目詰まりの引き起こしやすいという問題が
ある。この結果、高密度で長尺マルチ化した印字ヘッド
(画像形成装置)を形成することは困難である。
【0004】そこで、近年では、新しいインクジェット
方式も提案されている。たとえば、電子情報通信学会技
術研究報告、US89−51、P41−46、塩川祥子
氏ほか:「SAWストリーミング現象の解明とその応
用」には表面弾性波をインク中に放出させてインクを飛
翔させる基本現象の確認が報告されており、この現象を
応用したノズルレスインクジェット方式としての形態
が、特開平2−269058号公報や特開平4−189
145号公報などに記載されている。
【0005】このような、表面弾性波エネルギーを用い
てインクを飛翔させる方式の画像形成装置は、弾性体の
表面に集中した弾性波エネルギーを高効率で吸収してイ
ンクの飛翔エネルギを得ることが出来るため、前記のピ
エゾ素子のバルク振動を利用するものに比較して、入力
パワーの点で有利である。また、微細なヒーターや、ピ
エゾ素子の加工が不必要で、現状の通常の技術レベルに
より容易に行いうる微細電極パターニング工程により印
字ヘッド(画像形成装置)がマルチヘッドとして形成し
うる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一方、表面弾
性波エネルギーを用いてインクを飛翔させる方式の画像
形成装置は、表面弾性波の性質上、その音速が温度変化
に対して大きく変化する点や、または近接する表面弾性
波の干渉などを非常に受けやすい欠点がある。
【0007】本発明の目的は、表面弾性波を用いるイン
クジェット方式において、音速の変化をもたらす温度変
化を抑え、近接する表面弾性波の干渉を受けにくく、安
定した長尺マルチヘッドを提供するに有利な画像形成方
法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の画像形成方法
は、表面弾性波エネルギーをインク中に注入し、画像信
号に対応したインクをインク飛翔部より記録紙上に飛翔
せしめることにより画像を形成する方法であって、 複
数の表面弾性波発生部を、隣り合う該表面弾性波発生部
の前記インク飛翔部からの距離が異なるように配置し、
複数の該表面弾性波発生部を時分割駆動することを特徴
とする。
【0009】また、本発明の画像形成装置は、表面弾性
波エネルギーをインク中に注入し、該インクをインク飛
翔部より記録紙上に飛翔せしめる表面弾性波発生部を有
し、複数の表面弾性波発生部を、隣り合う該表面弾性波
発生部の前記インク飛翔部からの距離が異なるように配
置され、複数の該表面弾性波発生部を時分割駆動する駆
動手段を有することを特徴とする。
【0010】そして望ましくは、上記複数の表面弾性波
発生部を、前記インク飛翔部へ向かう方向に対して複数
列形成するように配置し、該複数列を各列単位で時分割
駆動するようにする。
【0011】または、前記複数の表面弾性波発生部のう
ち上記インク飛翔部からの距離が長いものほど、相対的
に早いタイミングで駆動するのが好ましい。
【0012】さらに望ましくは、、前記表面弾性波発生
部は圧電体上に形成され、該表面弾性波発生部と 前記
インク飛翔部との間の距離が、上記圧電体表面の音速と
時分割走査周波数とに応じて設定されているものであ
る。
【0013】また、前記表面弾性波発生部は圧電体上に
設けた一対の櫛歯状電極からなり、該1対の櫛歯状電極
の一方の櫛形電極に高周波信号を印加し他方の櫛形電極
に該高周波信号と同一の位相の高周波信号を印加する状
態と、一方の櫛形電極に高周波信号を印加し他方の櫛形
電極に該高周波信号と逆相もしくは異なる位相の信号を
印加する状態とを切り替えることにより、上記表面弾性
波発生部による表面弾性波の発生を制御するのが好適で
ある。
【0014】上記インク飛翔部は、さらに具体的な形態
例として、表面弾性波発生部が形成された圧電体端部に
インクが接触供給されるスリット部からなる。
【0015】上記によれば、隣り合う表面弾性波発生部
はインク飛翔部からの距離が互いに異なるように配置
し、さらに時分割駆動しているため、高密度の画像形成
に際して表面弾性波の励振発生を安定して制御できる。
【0016】すなわち、櫛形電極の交差幅を大きくとる
ことができるので、表面弾性波を安定して発生させるこ
とができる。
【0017】また、隣接する表面弾性波発生部は時分割
で駆動されるので、互いに同じタイミングで強く励振さ
れることはなく、 夫々安定した伝播方向とエネルギー
を持つことができる。
【0018】また、複数の表面弾性波発生部を、時分割
で励振するために表面弾性波伝播体の温度上昇が軽減さ
れ、音速が均一化され高品質の記録画像が得られる。
【0019】さらに時分割の効果として、電力消費を小
さくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形
態の画像形成装置を示す構成図、図2は第1の実施形態
の画像形成装置による画像形成工程を示す該略図であ
る。
【0021】本発明の画像形成装置(印字ヘッド)は、
表面弾性波伝播体1と、表面弾性波伝播体1の表面に形
成されている櫛歯状電極(IDT)2と駆動手段4とを
有している。
【0022】表面弾性波伝播体1は圧電体からなり、具
体的には、128度YカットX伝播あるいは、Y軸カッ
トZ伝播のLiNbO3またはLiTaO3や、水晶(S
iO 2)などの圧電性単結晶やPZTなどの圧電性セラ
ミクス、または、ガラスなどの上にZnOなどの圧電体
膜を設けたものが使用しうる。表面弾性体1の表面上に
設けられている櫛歯状電極2は、使用する表面弾性波伝
播体1の音速とマッチングが取れる形でその電極間の間
隔が設定されている。この櫛歯状電極2に10MHzな
いしは1GHz程度の高周波信号電圧が印加されると、
表面弾性波伝播体1は図中、矢印3方向に伝播する表面
弾性波を励振する。すなわち、この櫛歯状電極2が設け
られている部分が表面弾性波発生部5である。
【0023】表面弾性波発生部5は、画像印字幅に沿っ
て複数並べられており、各表面弾性波発生部5の表面弾
性波伝播体1端面からの距離は、少なくとも隣接する表
面弾性波発生部5において互いに異なるように構成され
ている。本例においては、表面弾性波伝播体1端面から
の距離が、3列千鳥状に隣接する各表面弾性波発生部5
間で異なるように配列され、すなわち、表面弾性波伝播
体1端面に向かう方向に3列の表面弾性波発生部5の列
が形成される。なお、1つの表面弾性波発生部5には、
互いに対向する1対の櫛歯状電極2が対応するように配
置されて、それぞれの対をなす一方の櫛形電極として、
複数の表面弾性波発生部5の列にまたがって共通に結線
された接地電極20が使用され、それぞれの対をなす他
方の櫛形電極は、それぞれ後述する駆動手段4に接続さ
れる。
【0024】上記、表面弾性波伝播体1の端面には、ス
リット部が形成されており、表面弾性波伝播体1の該端
面下方には、インクを貯蔵可能なインク溜り9が設けら
れている。インク溜り9中のインクは、スリット部にお
いて、浸透圧により表面弾性波伝播体1の端面および各
スリット6に供給される。本例では、各スリット6は、
各表面弾性波発生部5と1対1で対応するように設けられ
ている。
【0025】上記構成において、表面弾性波が励振発生
されると矢印3方向に伝播し、その先に設けられたスリ
ット部のスリット6に対応する表面弾性波伝播体1端部
に供給されているインクに表面弾性波が注入され、この
圧力により、インクが第2図における矢印14のように
飛翔し記録紙10上に印字されるものである。すなわ
ち、表面弾性波伝播体1端部に設けられたスリット部の
スリット6がインク飛翔部である。
【0026】表面弾性波伝播体1の表面上には、櫛歯状
電極2の後方(スリット6の反対側)に、ダンパー8が設
けられる。このダンパー8は、1例として樹脂やゴム等
を表面弾性波伝播体1上に塗布したもので、後方に伝播
する表面弾性波(以下SAWと記す)が吸収され、不要
な反射波が櫛歯状電極2側に戻らないように作用するも
のである。
【0027】駆動手段4は、各櫛歯状電極2に個別に信
号を供給するドライバ4a〜4fと、接地線4hとから
なる。ここで、表面弾性波伝播体1の端面のスリット部
からの距離が等しい櫛歯状電極2(すなわち同じ列をな
す複数の表面弾性波発生部5)に接続されたドライバ
は、それぞれ同じタイミングで作動する。
【0028】図2に示すように、本画像形成装置は、プ
ラテンローラ11上に位置する記録媒体(記録紙10)
と各スリット6とが対向するように配設されている。記
録紙10は不図示のステッピングモータにより回転駆動
されるプラテンローラー11の回転駆動により矢印13
方向に送り走査される。
【0029】次に本実施形態の具体的な画像形成方法お
よび作用について説明する。なお、以下の各実施形態の
説明においては、多数のスリット6および表面弾性波発
生部5およびドライバ4のうちの6つ、すなわち、スリ
ット6a〜6fおよび表面弾性波発生部5a〜5fおよび
ドライバ4a〜4fを例にとって説明する。
【0030】本例における画像形成方法としての駆動法
の特徴としては、異なる表面弾性波発生部5の列の記録
駆動を時分割で行うものである。具体的には、スリット
6からの距離が遠い列をなす表面弾性波発生部5a、5d
を早いタイミングで駆動し、次に5b、5eからなる
列、その後5c、5fからなる列へと順次駆動する。
【0031】図3のタイミングチャートを参照してさら
に具体的に説明すると、インク飛翔部(スリット部)よ
り距離が遠い列をなす表面弾性波発生部5a,5dが、まず
最初のタイミングで駆動選択される。このタイミングに
おいて、たとえば70MHzの高周波信号が、ドライバ
4aから櫛形電極2aに印加され、一方、インクを吐出しな
いスリット6dに対応する表面弾性波発生部5dの櫛形電極
2dには、ドライバ4dから接地信号が与えられる。これに
より、表面弾性波発生部5aからはSAWの励振が矢印3
方向に伝播し、スリット6a内のインクに注入される。
このSAWの圧力によりインクが図2に示す矢印14方向
に飛翔し、記録紙10上に印字される。
【0032】次のタイミングではドライバ4b,4eにより
同様に高周波信号もしくは接地信号が別の1つの列(中
間の列)をなす表面弾性波発生部5b,5eの櫛形電極2b,2e
に与えられ、SAWの励振の有無によりスリット6b,6e
からのインクの吐出が決められる。ここではスリット6b
からインクが吐出し印字される例とした。
【0033】更に次のタイミングにおいて、ドライバ4
c,4fからインク飛翔部(スリット部)より距離が近い列
をなす表面弾性波発生部5c,5fの櫛形電極2c,2fへ与えら
れる同様の信号選択により、スリット6fからのインクの
吐出を行った。
【0034】上記実施例は、スリット6との間の距離に
より区分された複数列をなす表面弾性波発生部5のう
ち、ある距離の列の駆動が行われるタイミングでは、他
の列は駆動されないようにしたものである。また、スリ
ット6側に対し反対側に伝播しようとしたSAWはダン
パー8により吸収され、反射波が表面弾性波発生部に戻
る恐れが無く、画像記録に悪影響を及ぼすことがない。
【0035】以上のの動作周期を1走査周期とする。こ
こで、上記の1走査周期の間は記録紙は静止しておくこ
とが望ましい。上記1走査周期終了後、不図示のステッ
ピングモータにより、記録紙10が矢印13方向へ1ライ
ン分送られ、次ラインの画像記録動作に備える。この後
の次のタイミングでは、再びドライバ4a,4dからの信号
により表面弾性波発生部5a,5dからのSAWの励振が制
御され、次の1走査周期の時分割駆動が開始されること
になり、以下、同様に紙送りが行われ、順次、各ライン
の印字記録が繰り返される。
【0036】本実施形態のように、隣接する表面弾性波
発生部5を、互いにスリット6からの距離を違えて配置
(千鳥配置)し、さらに、これら表面弾性波発生部5を
時分割駆動で行う特有の作用効果は、特に高密度の画素
の記録にあたりSAWの励振発生を安定して制御できる
ことにある。
【0037】その第1に、表面弾性波発生部5を千鳥配
置したために、図1に示すように、櫛歯状電極2の交差
幅Wを大きくとることができる。すなわち、本実施形態
によれば、上記Wを画素ピッチ(もしくはスリット6の
ピッチ)の2倍近くまで大きくすることができ、 SAW
を安定して励振発生させることが出来る。
【0038】第2にSAWはその進行方向に対しある程
度の広がりを持つ場合がある。このため、従来は隣接す
る表面弾性波発生部5への入力信号が互いに干渉して、
SAWの励振自体が不安定になり易かった。しかし、本
実施形態によれば、隣接する表面弾性波発生部5は時分
割で駆動されることにより、互いに同じタイミングで強
く励振されることはなく、 それぞれの表面弾性波発生
部5毎に安定した伝播方向とエネルギーを持つことがで
きる。
【0039】さらに第3にSAWの音速は温度変化に伴
う変動が比較的大きいが、本実施形態では、表面弾性波
発生部5を時分割で励振するために、複雑な記録パター
ンに対しても伝播体の温度上昇が軽減される。その結
果、インク中への放射レイリー角が安定し各インクスリ
ット6からの飛翔方向のばらつきが抑制されることによ
り、均一な高品質の記録画像が得られる。
【0040】さらに本実施形態では、時分割駆動を行う
ことにより、電力消費を小さくすることができる。
【0041】また、SAWの伝播状態は伝播体固有の音
速で決まる。図1のように複数の表面弾性波発生部5を
千鳥配置した場合、各櫛歯状電極2からスリット6のイ
ンクまでの距離が異なるために、駆動信号供与タイミン
グとインク飛翔のタイミングとにズレが生じる。そこ
で、本実施形態では、図3に示すように、対応するスリ
ット6からの距離がより遠い櫛歯状電極2に早いタイミ
ングで駆動信号を印加し、スリット6からの距離がより
近い櫛歯状電極2に、遅いタイミングで駆動信号を印加
するようにして、各表面弾性波発生部5による一様なイ
ンク吐出を可能にしている。
【0042】具体的には、表面弾性波伝播体1として、
LiNbO3の基板を用いた場合、SAWの音速は約4
000m/secである。たとえば、ライン走査周波数を
約100KHzとし、図1に示すように3列の表面弾性
波発生部5による画素列により、3時分割で約300K
Hzの時分割信号周波数で励振高周波(70MHz)の
スイッチング駆動を行った場合、隣接する櫛歯状電極2
間では、時分割タイミングの時間的ズレが、互いにSA
Wの伝播距離として約13mm分のズレとして算出される。
したがって、この時分割周波数で駆動する場合は、各列
の櫛歯状電極2の相対形成ピッチL1を約13mmとな
るように形成することで、1ラインの記録濃度安定性が
高まることになる。
【0043】また櫛歯状電極2の交差長L2は十分なパ
ワーを得る上ではある程度大きい方が良い。ここで、上
記のようにたとえば13mmのピッチL1で表面弾性波
発生部5の列を形成した場合、このピッチL1に近い大
きな交差長L2を確保することができる。このように、
使用する表面弾性波伝播体1の音速に基づいて表面弾性
波発生部5の相対位置関係を設定して形成することによ
り、よりよい印字安定性を得ることが出来る。
【0044】なお、上記時分割周波数が小さい場合には
(上記時分割周期が長い場合)、表面弾性波発生部5の
櫛歯状電極2の相対形成ピッチL1分のずれはさほど問
題にならなくなるが、この場合でも上記したように各々
対応するスリットより遠い表面弾性波発生部5の櫛歯状
電極2に早いタイミングで駆動信号(SAW励振信号)
を印加するようにしたほうが、厳密に印字安定性を高め
られる。
【0045】次に図4、図5に示す第2の実施形態につ
いて説明する。
【0046】図4に示すように、本実施形態では、スリ
ット6からの距離が等しい列をなす表面弾性波発生部5
の各櫛歯状電極2の一方の櫛形電極(2aと2d、2bと2e、
2cと2f)を各画素列毎共通結線し、これをコモンドライ
バ30(30a、30b、30c)に接続し、ドライバ30毎に駆
動タイミングをずらすことにより、時分割駆動が行われ
る。
【0047】また、各画素列の他方の櫛形電極(2a’〜
2c’、2d’〜2f’)は、各画素列にまたがり共通結線
し、これを情報信号ドライバ40(40a、40b)に接続し、
駆動信号を印加する構成としたものである。
【0048】このように各表面弾性波発生部5の一方の
櫛形電極2a〜2fを共通結線し、時分割駆動することで、
必要な信号印加用のドライバの数は大幅に減少できる。
たとえば本例の様に3時分割で行えれば、1ラインの画
素数に対応したインクスリット6の数をN個とすると、
共通結線しない場合には1対1でN個のドライバ4が必
要(図1に対応)であるのに対し、図4に示すように、
共通結線する場合には(N/3)個のドライバ40と、3
個のドライバ30があれば良く、すなわち、M時分割す
れば、駆動手段50としてのドライバの数はトータルで
(N/M)+M個に縮小される。特に本実施形態のよう
に、SAWの発生源として櫛歯状電極2を利用した場合
には、配線や実装においてピッチを大きくとることが出
来、面積的に余裕が持て、作業行程が簡単になる。。ま
た、高周波信号のスイッチングを行う上では、時分割駆
動を行うことにより相互干渉を抑制し、さらに駆動信号
供給パターンが簡略化出来るなどの大きな効果がある。
【0049】図5は、図4に示す実施形態の駆動タイミ
ングチャートである。
【0050】本実施形態においては、300KHzの時
分割周波数(すなわち時分割周期は1/(3×105)(s
ec))で、70MHzの高周波のコモン信号をドライバ
30により順次走査する。これに対して、情報信号ドラ
イバ40により、情報信号を入力して、スリット部の各
スリット6からのインクの吐出のオン、オフを決める。
本実施形態では、図5(b)に示すように、情報信号とし
て上記コモン信号と同位相の高周波信号入力では、イン
クは吐出せず、情報信号として、上記コモン信号と逆位
相の高周波信号入力によりインクが吐出する様にしたも
のである。すなわち、上記同位相の情報信号では、コモ
ン信号との合成により櫛歯状電極2には振幅の小さい高
周波が印加され、逆位相の情報信号ではコモン信号との
合成により、吐出のしきい値を越える大きな振幅の高周
波が印加されるようにしたものである。ここでは、それ
だけではインク吐出のしきい値は越えないように情報信
号の振幅は決められる。なお、上記インク吐出のしきい
値は、スリット6が形成された部材の材質や、使用する
インクの表面張力などにより決まるが、印加する高周波
信号の周波数や時分割周期などによって調整可能であ
る。
【0051】図5(a)に、各櫛歯状電極2に入力し
た、上記、コモン信号と逆位相あるいは同位相の情報信
号の印加状態例を示し、対応するスリット6におけるイ
ンク吐出のオン(○)、オフ(×)を示す。
【0052】各ドライバ毎に出力されるコモン信号は、
ドライバ30a、30b、30cの順番に出力され、1つのドライ
バがコモン信号を出力している時には、他の2つのドラ
イバはコモン信号を出力しない。
【0053】一方、情報信号は、コモン信号と同期して
出力される。つまり、スリット6dからインク吐出する
場合は、このスリット6dと対応する一方の櫛形電極2
dに、ドライバ30aからコモン信号が入力されるタイ
ミングに合わせて、このスリット6dと対応する他方の
櫛形電極2d’に情報信号ドライバ40bから逆位相の
情報信号を供給する。同様に、スリット6bからインク
吐出する場合は、このスリット6bと対応する一方の櫛
形電極2bに、ドライバ30bからコモン信号が入力さ
れるタイミングに合わせて、このスリット6bと対応す
る他方の櫛形電極2b’に情報信号ドライバ40aから
逆位相の情報信号を供給する。このように、1ライン走
査周期中にスリット6からインク吐出を行う駆動方法が
示されている。
【0054】1ライン走査周期終了後には、記録紙10
が1ライン分送られて、次タイミング走査が行われる。
次ライン走査周期においても、コモン信号がドライバ30
a、30b、30cの順番に出力される。そして、ドライバ30a
からコモン信号が出力される時に情報信号ドライバ40
a、40bの両方から逆位相の情報信号を出力することによ
り、スリット6a、6dからインクを吐出させる。次に、ド
ライバ30bからコモン信号が出力される時には情報信号
ドライバ40bのみから逆位相の情報信号を出力し、スリ
ット6eのみからインク吐出させる。さらにドライバ30c
からコモン信号が出力される時には情報信号ドライバ40
aのみから位相の情報信号を出力し、スリット6cのみか
らインク吐出させる。このようにして、ドライバ30およ
び情報信号ドライバ40によりスリット6からのインクの
吐出が制御され、所望の画像が形成される。なお、前記
の説明で、情報信号ドライバ40a、40bが逆位相の情報信
号を送出しない時は、コモン信号と同位相の情報信号を
送出している。
【0055】なお、図5には、2ライン走査周期分のタ
イミングチャートを示したが、紙送りは不図示のステッ
ピングモータおよび、プラテンローラ11により、1ラ
イン走査周期毎に行われる。したがって、紙送り動作時
間として必要な時間幅を各ライン走査周期間に設けるこ
とが好ましい。
【0056】ここで、本実施形態に示した駆動方式の別
の効果としては、コモン信号が印加されていないときに
おいても、常に情報信号により各画素は弱く励振されて
おり、次の吐出に対しての応答性が高められる。
【0057】図6は、本発明の第3の実施形態における
信号供与方法を示す。本実施形態は、情報信号として、
コモン信号に対して逆位相となるデューティを変調した
各信号波形例である。1つの表面弾性波発生部5の時分
割周期中に、このような情報信号の変調を行うことで対
応する各スリット吐出時間幅を制御することにより、階
調記録を可能とした。
【0058】なお、前記した各実施形態において、吐出
オンの情報信号としては、コモン信号の逆相の高周波信
号としたが、吐出しきい値を越えるためにコモン信号と
位相がずれた情報信号であれば、コモン信号との合成信
号として振幅の大きな成分は得られる。したがって、変
調方法として位相を変える方式をオン、オフ信号とし
て、または、インク吐出によって形成されるドットの階
調の制御のために、位相のずれの大きさを制御した階調
信号を画像形成のパラメータとして設定することも可能
である。
【0059】これにより、たとえば、A4サイズの画像
幅をライン走査しうるフルマルチのプリンタヘッドの作
製が可能になり、これをたとえば、イエロー、マゼン
タ、シアン、ブラックなどの複数色分配列することで、
高速な高品位印字ヘッドとして構成しうる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
簡易な構成でインクの飛翔を制御しうるSAWを用いた
印字ヘッドを、さらに高密度にまた安定性の良好なもの
として、さらにはドライバコストや、実装の困難性を大
幅に改善したものとして実現作製しうる新規な画像形成
方法を提供する。また、インク吐出源として、高周波信
号を使用するので高帯域の信号デューティ幅を容易に分
割しうることを利用して、高階調な画像形成が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の概略
斜視図である。
【図2】第1の実施形態の画像形成装置による画像形成
状態を示す概略斜視図である。
【図3】第1の実施形態の駆動タイミングチャートであ
る。
【図4】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の概略
斜視図である。
【図5】第2の実施形態の駆動タイミングチャートであ
る。
【図6】第3の実施形態のコモン信号および情報信号を
示す駆動タイミングチャートである。
【符号の説明】
1 表面弾性波伝播体 2 櫛形電極(櫛歯状電極) 2a,2b,2c,2d,2e,2f 一方の櫛形
電極(櫛歯状電極) 2a’,2b’,2c’,2d’,2e’,2f’
他方の櫛形電極(櫛歯状電極) 3 矢印 4 駆動手段 4a,4b,4c,4d,4e,4f ドライバ 4h 接地線 5,5a,5b,5c,5d,5e,5f 表面弾
性波発生部 6,6a,6b,6c,6d,6e,6f スリッ
ト 8 ダンパー 9 インク溜り 10 記録紙(記録媒体) 11 プラテンローラ 13 矢印 14 矢印 30,30a,30b,30c ドライバ 40,40a,40b 情報信号ドライバ 50 駆動手段

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面弾性波エネルギーをインク中に注入
    し、画像信号に対応したインクをインク飛翔部より記録
    紙上に飛翔せしめることにより画像を形成する画像形成
    方法であって、 複数の表面弾性波発生部を、隣り合う該表面弾性波発生
    部の前記インク飛翔部からの距離が異なるように配置
    し、 複数の該表面弾性波発生部を時分割駆動することを特徴
    とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 上記複数の表面弾性波発生部を、前記イ
    ンク飛翔部へ向かう方向に対して複数列形成するように
    配置し、該複数列を各列単位で時分割駆動することを特
    徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の表面弾性波発生部のうち上記
    インク飛翔部からの距離が長いものほど、相対的に早い
    タイミングで駆動する請求項1〜2のいずれか1項に記
    載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記表面弾性波発生部は圧電体上に形成
    され、該表面弾性波発生部と 前記インク飛翔部との間
    の距離が、上記圧電体表面の音速と時分割走査周波数と
    に応じて設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 前記表面弾性波発生部は圧電体上に設け
    た一対の櫛歯状電極からなり、 該1対の櫛歯状電極の一方の櫛形電極に高周波信号を印
    加し他方の櫛形電極に該高周波信号と同一の位相の高周
    波信号を印加する状態と、一方の櫛形電極に高周波信号
    を印加し他方の櫛形電極に該高周波信号と逆相もしくは
    異なる位相の信号を印加する状態とを切り替えることに
    より、上記表面弾性波発生部による表面弾性波の発生を
    制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方
    法。
  6. 【請求項6】 上記インク飛翔部は、表面弾性波発生部
    が形成された圧電体端部にインクが接触供給されるスリ
    ット部からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像
    形成方法。
  7. 【請求項7】 表面弾性波エネルギーをインク中に注入
    し、該インクをインク飛翔部より飛翔せしめる表面弾性
    波発生部を有する画像形成装置であって、 複数の表面弾性波発生部を、隣り合う該表面弾性波発生
    部の前記インク飛翔部からの距離が異なるように配置
    し、 複数の該表面弾性波発生部を時分割駆動する駆動手段を
    有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 上記複数の表面弾性波発生部を、前記イ
    ンク飛翔部へ向かう方向に対して複数列形成するように
    配置し、該複数列を各列単位で時分割駆動することを特
    徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 前記複数の表面弾性波発生部のうち上記
    インク飛翔部からの距離が長いものほど、相対的に早い
    タイミングで駆動する請求項7〜8のいずれか1項に記
    載の画像形成装置。
  10. 【請求項10】 前記表面弾性波発生部は圧電体上に形
    成され、該表面弾性波発生部と 前記インク飛翔部との
    間の距離が、上記圧電体表面の音速と時分割走査周波数
    とに応じて設定されている請求項7〜9のいずれか1項
    に記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記表面弾性波発生部は圧電体上に設
    けた一対の櫛歯状電極からなり、 該1対の櫛歯状電極の一方の櫛形電極に高周波信号を印
    加し他方の櫛形電極に該高周波信号と同一の位相の高周
    波信号を印加する状態と、一方の櫛形電極に高周波信号
    を印加し他方の櫛形電極に該高周波信号と逆相もしくは
    異なる位相の信号を印加する状態とを切り替えることに
    より、上記表面弾性波発生部による表面弾性波の発生を
    制御する請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形
    成装置。
  12. 【請求項12】 上記インク飛翔部は、表面弾性波発生
    部が形成された圧電体端部にインクが接触供給されるス
    リット部からなる請求項7〜11のいずれか1項に記載
    の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11648768B2 (en) 2020-03-04 2023-05-16 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Liquid ejection apparatus

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