JPH11346613A - 両軸受リールのクラッチ操作機構 - Google Patents

両軸受リールのクラッチ操作機構

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JPH11346613A
JPH11346613A JP16493698A JP16493698A JPH11346613A JP H11346613 A JPH11346613 A JP H11346613A JP 16493698 A JP16493698 A JP 16493698A JP 16493698 A JP16493698 A JP 16493698A JP H11346613 A JPH11346613 A JP H11346613A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メインギアが大径化してもリール本体の大型
化を抑制できるようにする。 【解決手段】 両軸受リールのクラッチ操作機構22
は、両軸受リールのリール本体に設けられたスプールと
ハンドルとを連結及び遮断するクラッチ機21構を操作
するための機構であって、揺動するクラッチ操作部材4
0と、1対のガイド軸50と、クラッチヨーク43と、
クラッチプレート42と、クラッチ復帰機構45とを備
えている。クラッチプレートは、1対のガイド軸間でス
プール軸25を挟んで配置されクラッチヨークに接触し
てクラッチヨークをスプール軸方向に移動させるための
1対のカム部を有する本体部42aと、本体部からガイ
ド軸のクラッチ操作部材側で分岐してガイド軸の外方を
通ってハンドル軸30側に延びる連結部42bとを有
し、クラッチ操作部材の揺動に連動してスプール軸に対
して接離する方向で遮断位置と連結位置とに往復移動す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ操作機
構、特に、両軸受リールのリール本体に設けられたスプ
ールとハンドルとを連結及び遮断するクラッチ機構を操
作するための両軸受リールのクラッチ操作機構に関す
る。
【0002】
【従来の技術】両軸受リールは、一般に、1対の側板を
有するリール本体と、リール本体の側板間に回転自在に
配置されたスプールと、リール本体の一側に設けられた
ハンドルとを備えている。リール本体のハンドル装着側
の側板は、側カバーにより覆われている。ハンドルの回
転は側カバーと側板との間に配置された回転伝達機構に
よりスプールに伝達される。この回転伝達機構には、ハ
ンドル軸に装着されたメインギアと、スプール軸に回転
自在かつ軸方向移動自在に装着されメインギアに噛み合
うピニオンギアと、ハンドルとスプールとを連結及び遮
断するクラッチ機構とが設けられている。このクラッチ
機構を操作することにより釣り糸をスプールから繰り出
したりスプールに釣り糸を巻き付けたりできる。
【0003】クラッチ機構は、一般に、ピニオンギア
と、スプール軸に設けられた径方向に延びるピンとから
構成されている。ピニオンギアの端面には、ピンが係合
可能な係合溝が形成されており、ピニオンギアを軸方向
に移動させることでクラッチ機構が連結・遮断(オンオ
フ)する。クラッチ機構を遮断状態に操作するためのク
ラッチ操作機構は、たとえば、連結姿勢と遮断姿勢との
間でリール本体に揺動自在に装着されたクラッチレバー
と、クラッチレバーの揺動によりスプール軸に向けて移
動するクラッチプレートと、クラッチプレートの移動に
よりスプール軸方向に移動するクラッチヨークと、クラ
ッチヨークをスプール軸方向に案内するガイドピンとを
有している。
【0004】クラッチプレートは、クラッチ操作レバー
の揺動によりピニオンギアに対して接近・離反する方向
に往復移動自在であり、クラッチ操作レバーに係合する
位置からスプール軸側に延びている。クラッチプレート
は、ピニオンギアを跨ぐように途中で2股に分かれガイ
ドピンの内側で先端がクラッチヨークに接触可能な位置
まで延びている。クラッチプレートの2股に分かれたク
ラッチヨークに接触可能な位置には、たとえば傾斜カム
が形成されている。
【0005】クラッチヨークは、ピニオンギアを軸方向
に移動可能なようにピニオンギアに係合しており、リー
ル本体にスプール軸を挟んで両側に立設された2本のガ
イド軸によりスプール軸方向に移動自在に案内されてい
る。クラッチヨークのクラッチプレートとの接触面には
傾斜カムに面して傾斜カム受けが設けられている。クラ
ッチヨークは、通常、ガイドピンの外周側に巻回された
コイルばねによりクラッチ連結方向(ピニオンギアがピ
ンに係合する方向)に付勢されている。
【0006】さらに、クラッチ復帰機構を有する両軸受
リールでは、クラッチプレートの一方の先端は、クラッ
チヨークからさらに延びて揺動し、ハンドル軸に回転不
能に装着されたラチェットホイールの側面に配置されて
いる。ラチェットホイールの外周面には糸繰り出し方向
の回転を禁止するためのラチェット歯が形成されてお
り、ラチェット歯に噛み合うラチェット爪が外周面に対
向して配置されている。ラチェットホイールの側面に
は、クラッチプレートの先端に当接可能なリターンピン
が立設されている。このような構成のクラッチ復帰機構
では、クラッチ機構が遮断状態のときラチェットホイー
ルが糸巻取方向に回転するとリターンピンがクラッチプ
レートの先端に接触してクラッチプレートを連結位置側
に押圧してクラッチ機構を連結状態に復帰させる。この
リターンピンの位置はなるべく径方向外方にあるほう
が、クラッチプレートを押圧するストロークに対するハ
ンドルの回動量を減じることができる。また、先端が揺
動するクラッチプレートでは、その揺動軸をメインギア
に干渉しない位置に配置する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】最近、釣り用リールで
は、ギア比のハイスピード化、つまりハンドル1回転当
たりのスプールの回転数を増加させることが要望されて
いる。とくに、バーチカルジギングやスパイラルジャー
キング等に使用されるリールでは、5:1(ハンドル1
回転当たりスプール5回転)以上のギア比が必要にな
る。このため、ピニオンギアの小型化とともにメインギ
アが大型化している。
【0008】メインギアが大型化すると、クラッチ連結
時にクラッチプレートの先端部をメインギアの外方に位
置させるためには、クラッチプレートの先端をメインギ
アの中心からメインギアとスプール軸とを結ぶ線分と直
交する方向にできるだけ離した方がよい。しかし、傾斜
カムが設けられたクラッチプレートの先端をメインギア
の中心から離れた方向に向けると、クラッチヨークの長
さを長くする必要が生じ、ガイドピンの間隔も長くな
る。クラッチヨークの長さが長くなると、スプール軸方
向に移動するクラッチヨークの移動スペースを確保する
ためにリール本体内の空間が大きくなり、リールの大型
化を招くことになる。
【0009】本発明の課題は、メインギアが大径化して
もリール本体の大型化を抑制できるようにすることにあ
る。、
【0010】
【課題を解決するための手段】発明1に係る両軸受リー
ルのクラッチ操作機構は、両軸受リールのリール本体に
設けられたスプールとハンドルとを連結及び遮断するク
ラッチ機構を操作するための機構であって、クラッチ操
作部材と、1対のガイド部材と、クラッチ切換部材と、
クラッチプレート部材と、クラッチ復帰機構とを備えて
いる。クラッチ操作部材はリール本体に連結姿勢と遮断
姿勢との間で移動自在に装着された部材である。1対の
ガイド部材は、リール本体にスプールの回転軸芯を挟ん
で回転軸芯に沿って配置された部材である。クラッチ切
換部材は、ガイド部材に案内されて回転軸芯に沿う方向
に移動自在であり、クラッチ機構に係合してクラッチ機
構を連結状態と遮断状態とに切り換える部材である。ク
ラッチプレート部材は、1対のガイド部材間で回転軸芯
を挟んで配置されクラッチ切換部材に接触してクラッチ
切換部材を回転軸芯に沿う方向に移動させるための1対
のカム部を有する本体部と、本体部からガイド部材のク
ラッチ操作部材側で分岐してガイド部材の外方を通って
ハンドル側に延び先端が揺動する連結部とを有し、クラ
ッチ操作部材の移動に連動して回転軸芯に対して接離す
る方向で遮断位置と連結位置とに往復移動する部材であ
る。クラッチ復帰機構は、連結部に接触可能であり、ハ
ンドルの糸巻取り方向の回転に連動してクラッチプレー
ト部材を遮断位置から連結位置に移動させる機構であ
る。
【0011】この操作機構では、クラッチ操作部材を遮
断姿勢側に移動させると、クラッチプレート部材が、た
とえば回転軸芯に接近する遮断位置に移動し、本体部の
カム部にクラッチ切換部材が乗り上げてクラッチ切換部
材が切換位置に移動しクラッチ機構が遮断状態になる。
このとき、ガイド部材の外方を通って連結部もハンドル
に接近する位置に移動する。そしてハンドルが糸巻取り
方向に回転すると、クラッチ復帰機構が連結部に接触し
てクラッチプレート部材を連結位置側に移動させる。こ
こでは、クラッチプレート部材の連結部がガイド部材の
外方を通ってハンドル側に延びているので、メインギア
がギア比の高速化に対応して大径化してもガイド部材の
間隔を長くする必要がなくなり、クラッチ切換部材の長
さも長くする必要がない。このため、リール本体の大型
化を抑えることができる。
【0012】発明2に係る両軸受リールのクラッチ操作
機構は、発明1に記載の機構において、クラッチ操作部
材は、リール本体に揺動自在に装着されている。この場
合には、クラッチ操作部材の移動が容易であり移動のた
めの構造が簡素になる。発明3に係る両軸受リールのク
ラッチ操作機構は、発明1に記載の機構において、クラ
ッチ操作部材は回転軸芯に対して接離する方向に移動
し、クラッチ操作部材とクラッチプレート部材とは一体
的に形成されている。この場合には、クラッチプレート
部材とクラッチ操作部材とが一体で形成されるので、操
作機構の構成が簡素になる。
【0013】発明4に係る両軸受リールのクラッチ操作
機構は、発明1から3のいずれかに記載の機構におい
て、クラッチ操作部材を連結姿勢と遮断姿勢とに付勢す
るトグルばね機構をさらに備える。この場合には、クラ
ッチ操作部材が両姿勢を確実に維持できるとともに、移
動途中に付勢方向が変化してクラッチ操作を確実に行え
る。
【0014】発明5に係る両軸受リールのクラッチ操作
機構は、発明1から4のいずれかに記載の機構におい
て、連結部は、本体部から分岐して延びる固定アーム部
と、固定アーム部の先端に揺動自在に装着され先端がク
ラッチ復帰機構に接触可能な揺動アーム部とを有する。
この場合には、クラッチプレート部材の連結部の先端が
揺動するので、前進した遮断位置にあるとき揺動アーム
をクラッチ復帰機構に向けて揺動させることで、クラッ
チプレートの移動距離を小さくすることができ、クラッ
チ操作部材の移動量も小さくなる。また、クラッチプレ
ート部材が揺動するので、ハンドルの逆転防止用に遊び
が少ないタイプのワンウェイクラッチを用いてもクラッ
チプレート部材を遮断位置に移動させる途中でクラッチ
復帰機構と干渉するようなことがなく、クラッチ機構を
確実に遮断状態にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1において、本発明の一実施形
態を採用した両軸受リールは、たとえば、5号の釣り糸
を300m程度巻き付け可能な中型の丸型リールであ
る。丸型リールは、リール本体1と、リール本体1の側
方に配置されたスプール回転用のハンドル組立体2と、
ハンドル組立体2のリール本体1側に配置されたスター
ドラグ3とを備えている。リール本体1には、スプール
15が回転自在に装着されている。リール本体1は、竿
取付脚4を介して釣り竿Rに装着され得る。
【0016】リール本体1は、図2に示すように、所定
の間隔をあけて配置された左右1対の側板10,11と
側板10,11を連結する複数の連結部材12とを有す
るフレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1
カバー13及び第2カバー14と、第2カバー14に装
着された機構装着板16とを有している。機構装着板1
6は側板11に接触して配置され、機構装着板16と第
2カバー14との間には、後述する各種機構を収納する
ための空間が形成されている。
【0017】フレーム5はダイキャスト成形により得ら
れ、第2側カバー14は、金属薄板をプレス成形して得
られる。1対の側板10,11及び第1カバー13は、
それぞれ側面から見て円形をなしており、外周面はたと
えば旋盤等を用いて機械加工されている。第2カバー1
4及び機構装着板16は、図3及び図4に示すように、
側面から見て円形の一部が径方向に突出した形状であ
る。第2側カバー14は、ハンドル軸30(後述)の装
着部分を中心に軸方向外方にも膨出している。
【0018】連結部材12は、両側板10,11の外周
に沿う形状で両側板10,11と一体で形成された板状
の部材であり、たとえばリール本体1の後部と下部と上
部との3か所で1対の側板10,11を連結している。
このように側板10,11と複数の連結部材12とを一
体で形成することで、リール本体1に大きな荷重が作用
しても撓み等の変形が生じがたく、巻上げ効率の低下が
抑制される。この連結部材12の外周部も側板10,1
1及び第1カバー13と一体で機械加工されている。
【0019】下部の連結部材12には竿取付脚4が固定
されている。竿取付脚4は、フレーム5の側板10,1
1間の中心位置Cに沿って配置されている。この中心位
置Cは、スプール15の糸巻部分の中心位置でもある。
後部の連結部材12には、リールを釣り竿とともに保持
するための合成樹脂製のサムレスト17が装着されてい
る。
【0020】サムレスト17は、連結部材12の上部と
後部とに接するように形成され、かつ後部が側板10,
11から径方向外方、つまり後方に突出している。サム
レスト17の上面後部は、下方に凸に湾曲しながら傾斜
している。また、サムレスト17の上面後部の左端及び
右端は、後方への突出量が左側にいくにつれて徐々に減
少している。
【0021】このような形状のサムレスト17を設け、
このサムレスト17にたとえば左手の親指を置いて他の
指で釣り竿Rをつかみ釣り竿Rとともにリールを握るこ
とで、バーチカルジギング時等に釣り竿Rをリールとと
もに確実に保持できる。ハンドル組立体2は、図1〜図
3に示すように、ハンドル軸30の先端に回転不能に装
着されたクランクアーム6と、クランクアーム6の一端
にクランクアーム6の一端部と直交する第1軸回りに回
転自在に装着されたハンドル把手7とを有している。ハ
ンドル組立体2において、ハンドル把手7の基端部の回
転平面がクランクアーム6のハンドル軸30への固定部
分の回転平面よりリール本体1側に接近している。この
ことにより、ハンドル把手7と釣り竿Rとの距離が従来
に比べて近くなり、ハンドル把手7を回して釣り糸を巻
き上げたときの釣り竿Rを回す方向のトルクが小さくな
り、ハンドル巻き上げ効率の低下を効果的に抑えること
ができる。
【0022】スプール15は、図2に示すように、1対
の側板10,11間に回転自在に配置されている。スプ
ール15の中心にはスプール軸25が貫通して固定され
ている。スプール軸25は第1カバー13及び機構装着
板16に軸受26a,26bを介して回転自在に支持さ
れている。機構装着板16と第2カバー14の間の空間
には、ハンドル組立体2からのトルクをスプール15に
伝えるための回転伝達機構20と、回転伝達機構20内
に設けられたクラッチ機構21と、クラッチ機構21を
オンオフ操作するためのクラッチ操作機構22とが配置
されている。
【0023】回転伝達機構20は、スプール15からハ
ンドル組立体2側にトルクが逆に伝達された場合のトル
クを規制するための回転制御機構23を含んでいる。ま
た、側板11の中心部には糸繰り出し方向に自由回転す
るスプール15を制動するための遠心ブレーキ機構24
が配置されている。側板10の外側で第1カバー13内
には、スプール15回転時に発音させる発音機構や根が
かりしたとき等にスプール15を完全にロックして糸切
れしやすくするためのロック機構等が配置されている。
【0024】回転伝達機構20は、一端にハンドル組立
体2が固定されたハンドル軸30と、ハンドル軸30の
他端に回転制御機構23を介して連結されたメインギア
31と、メインギア31に噛み合うピニオンギア32と
を有している。ピニオンギア32とメインギア31との
ギア比は、1:5以上であり、スプール12のハイスピ
ード化を図っている。
【0025】ハンドル軸30は、スプール軸25と平行
に配置されており、一端側が機構装着板16に回転自在
に支持されている。メインギア31は、ハンドル軸30
の一端側に回転制御機構23を介して相対回転不能に連
結することが可能である。このような構成では、クラッ
チ機構21がオンされた状態では、ハンドル組立体2か
らのトルクがスプール15に直接伝達される。
【0026】クラッチ機構21は、スプール軸25の外
周部にスライド自在に装着された筒状のピニオンギア3
2と、ピニオンギア32の一部に配置された係合溝32
aとスプール軸25に配置されたピン33とを有してい
る。スプール軸25に沿ってピニオンギア32を摺動さ
せて、係合溝32aをピン33と係合すれば、スプール
軸25とピニオンギア32との間で回転力が伝達され
る。この状態が連結状態(クラッチオン状態)である。
係合溝32aとピン33の係合を外せば、スプール軸2
5とピニオンギア32との間で回転力は伝達されない。
この状態が遮断状態(クラッチオフ状態)である。クラ
ッチオフ状態では、スプール15は自由に回転する。ピ
ニオンギア32は、クラッチ操作機構22により係合溝
32aとピン33とが係合する方向すなわちクラッチオ
ン状態に付勢されている。
【0027】回転制御機構23は、ハンドル軸30を糸
巻取方向にのみ回転させる(糸繰り出し方向の回転を禁
止する)ローラ型のワンウェイクラッチ機構55と、ス
プール15の糸繰り出し方向の回転に対して設定した制
動力を作用させるためのドラグ機構57と、ハンドル軸
30を糸巻取方向にのみ回転させる爪式のラチェット機
構60とを有している。ラチェット機構60は、図4に
示すように、ハンドル軸30に回転不能に装着されたラ
チェットホイール61とラチェットホイール61に噛み
合い可能なラチェット爪62とを有している。ラチェッ
ト爪62は、ラチェットホイール61側に付勢されてい
る。
【0028】なお、ハンドル軸30の逆転(糸繰り出し
方向の回転)を禁止するだけであれば、ラチェット機構
60のみを設けてワンウェイクラッチ機構55を省いて
もよい。しかし、ラチェット機構60は、ラチェット爪
62がラチェットホイール61に噛み合ったり外れたり
する動作にある程度の時間がかかる。釣りの動作に要求
される迅速で滑らかな逆転禁止動作を果たすには、前記
のようなローラ型のワンウェイクラッチ機構55が好ま
しく、ワンウェイクラッチ機構55では負担できないよ
うな過大な力をラチェット機構60で負担することが有
効である。
【0029】クラッチ操作機構22は、図4に示すよう
に、リール本体1の第2カバー14に図4(a)に示す
連結姿勢と図4(b)に示す遮断姿勢との間で揺動自在
に装着されたクラッチ操作部材40と、揺動支持部材4
1と、クラッチ操作部材40の揺動により移動するクラ
ッチプレート42と、クラッチプレート42の移動によ
り移動するクラッチヨーク43と、クラッチ操作部材4
0を付勢するトグルばね44と、クラッチ復帰機構45
とを備えている。
【0030】クラッチ操作部材40は、図5に詳しく示
すように、第2カバー14の外側で揺動する合成樹脂製
のレバー部46と、レバー部46とインサート成形によ
り一体に形成され第2カバー14に揺動支持部材41を
介して揺動自在に装着された金属製の揺動軸47と、揺
動軸47の他端に固定ボルト48により回転不能に装着
された金属製のカム板49とを有している。
【0031】レバー部46は、基端に形成された有底筒
状のボス部46aとボス部46aから径方向に延びるア
ーム部46bとから構成されている。揺動軸47は、鍔
部47aと鍔部47aより小径の軸部47bとを有する
軸である。揺動軸47は、鍔部47aがレバー部46に
インサート成形されてレバー部46と一体で揺動する。
軸部47bの先端にはカム板49を回転不能に係止する
ための平行な面取り部47cが形成されている。
【0032】カム板49はほぼ円形の板状部材であり、
中心に面取り部47cに係止される小判孔49aが形成
されている。カム板49のレバー部46と逆側の面に
は、カムピン49bが立設されている。カムピン49b
は、クラッチプレート42に係止され、揺動軸47の揺
動によりクラッチプレート42を前後に移動させる。ま
た、カム板49の端縁には、径方向に突出する2つの突
起が両端に配置された扇状の凹部49cが形成されてい
る。この凹部49cは、揺動支持部材41に形成された
角度規制突起41eに係止されることでクラッチ操作部
材40の揺動角度を規制するために設けられている。さ
らに、カム板49の端縁には、トグルばね44の他端を
係止するばね係止孔49dが形成されている。このカム
板49を固定ボルト48で揺動軸47に装着すると、カ
ム板49とボス部46aとの間に、揺動支持部材41と
第2カバー14とワッシャ53(後述)とが挟まれて揺
動支持部材41が第2カバー14に装着される。
【0033】揺動支持部材41は、第2カバー14に形
成されたボス孔14aにはめ込まれる合成樹脂製の雨滴
状の板状部材である。揺動支持部材41の基端部には、
クラッチ操作部材40の揺動軸47の軸部47bが貫通
する貫通孔41aが形成されている。また、揺動支持部
材41の外側面にはボス孔14aにはめ込まれる筒部4
1bが形成されている。筒部41bの外周部には、ボス
孔14aに形成された切欠き14bに係止される回り止
め突起41cが形成されている。これにより揺動支持部
材41は、第2カバー14に回転不能に装着される。こ
のように、揺動支持部材41側に回り止め突起41cを
設けることで、揺動支持部材41を簡単に回転不能に係
止できる。しかも、金属薄板製の第2カバー14に余分
なボスや立ち起こしを形成する必要がないので、係止構
造を簡素な構成で実現できる。
【0034】揺動支持部材41の先端には、トグルばね
44の一端を係止する係止孔41dが形成されている。
さらに揺動支持部材41の内側面には、クラッチ操作部
材40の揺動角度を規制するための角度規制突起41e
が形成されている。ここで、筒部41bの外周側の軸方
向長さは、第2カバー14の厚みよりやや長い。このた
め、筒部41bの外周側において第2カバー14とボス
部46aとの間にはワッシャ53が装着されている。
【0035】トグルばね44は、前述のように一端が揺
動支持部材41に他端がカム板49にそれぞれ係止さ
れ、クラッチ操作部材40を遮断及び連結の両姿勢側に
付勢する、たとえばねじりコイルばねである。トグルば
ね44は、クラッチ操作部材40が一方の姿勢から他方
の姿勢に揺動するとき、死点(ねじりコイルばねがもっ
ともねじれた位置)を越えるまでは一方の姿勢側に、死
点を越えると他方の姿勢側にクラッチ操作部材40をそ
れぞれ付勢する。この結果、クラッチ操作部材40の揺
動操作を確実に行えるとともにクラッチ操作部材40を
各姿勢に維持できる。この死点の角度位置は、トグルば
ね44の両端の係止位置によって決定され、たとえば揺
動支持部材41における係止位置を図4に示す位置より
右側に移動させると、死点の位置が連結姿勢側に近づ
く。
【0036】ここでは、揺動軸47の先端に装着された
カム板49とレバー部46のボス部46aとの間に揺動
支持部材41と第2カバー14とを挟み込むことで、揺
動支持部材41を固定している。そしてこの揺動支持部
材41にトグルばね44の一端を係止している。このた
め、薄板金属製で軽量化を図った第2カバー14にばね
係止用の厚肉部を設けることなくトグルばね44を係止
できる。しかも、揺動支持部材41において、係止孔4
1dの位置を変更することでトグルばね44の死点を自
由に設定でき、クラッチの操作感を第2カバー14に関
わりなく変更できる。さらに、固定ボルト48で内側か
らこれらを装着しているので、リール本体1の外部にネ
ジ頭が現れず、リールの美観が向上する。
【0037】また、合成樹脂製の揺動支持部材41でト
グルばね44を係止するとともに、クラッチ操作部材4
0を支持しているので、トグルばねの係止位置とクラッ
チ操作部材40の揺動中心との位置精度を維持でき、精
度の違いによるクラッチ操作感の変動を抑えることがで
きる。しかも、金属製の揺動軸47を合成樹脂製の揺動
支持部材41で支持しているのでクラッチ操作部材40
の揺動が滑らかになる。
【0038】クラッチヨーク43は、図4及び図5に示
すように、クラッチプレート42の移動によりスプール
軸25の軸方向に移動し、クラッチ機構21をクラッチ
オン状態とクラッチオフ状態とに切り換える。クラッチ
ヨーク43は、機構装着板16に立設された1対のガイ
ド軸50によりスプール軸25の軸方向に沿って案内さ
れる。クラッチヨーク43は、ガイド軸50が貫通する
1対のボス部43aと、ボス部43a間をつなぐ係止部
43bとを有している。ガイド軸50は、スプール軸2
5を挟んでスプール軸25に平行に配置されている。ガ
イド軸50の周囲には、コイルばね51が巻回されてい
る。コイルばね51は、第2カバー14の内側面とボス
部43aとに挟まれて圧縮状態で装着されており、クラ
ッチヨーク43をクラッチオン側に付勢している。
【0039】係止部43bは、スプール軸25に装着さ
れたピニオンギア32を迂回して湾曲しており、この係
止部43bがピニオンギア32に係合してピニオンギア
32をスプール軸25に沿って軸方向に往復移動させ、
クラッチ機構21をオンオフする。また、係止部43b
のクラッチプレート42に対向する面には、傾斜カム4
2c(後述)に係合する傾斜受け面43cが形成されて
いる。
【0040】クラッチプレート42は、クラッチ操作部
材40の揺動により、図4(a)に示す連結位置と、図
4(b)に示す遮断位置との間でスプール軸25に接近
・離反する方向に直線的に往復移動する。クラッチプレ
ート42は、機構装着板16に設けられた複数の突起1
6aにより案内される。クラッチプレート42は、カム
板49に面して配置された本体部42aと、本体部42
aから分かれてハンドル軸30側に延びる連結部42b
とを有している。本体部42aは、カム板49に面する
基端部からスプール軸25に向かって1対のガイド軸5
0間でピニオンギア32を挟んで2つに分岐して延びて
いる。この分岐部分にクラッチヨーク43に接触してク
ラッチヨーク43を回転軸芯に沿う方向に移動させるた
めの1対の傾斜カム42cが形成されている。また、本
体部42aの基端部には、カム板49に立設されたカム
ピン49bが貫通する長孔42dが形成されている。こ
の長孔42dとカムピン49bとの係合により、クラッ
チ操作部材40の揺動運動がクラッチプレート42の直
線運動に変換される。
【0041】連結部42bは、本体部42aから図4下
側のガイド軸50のクラッチ操作部材40側で分岐して
ガイド軸50の外方を通ってハンドル軸30側に延びて
いる。連結部42bは、本体部42aから分岐して延び
る固定アーム部42eと、固定アーム部42eの先端に
図4(a)に示す解除姿勢と図4(b)に示す当接姿勢
とに揺動自在に装着され先端がクラッチ復帰機構45に
接触可能な揺動アーム部42fとを有している。揺動ア
ーム部42fは、トグルばね52により、両姿勢側に付
勢されている。このトグルばね52の一端は機構装着板
16に係止され、他端は揺動アーム部42fに係止され
ている。
【0042】このように、クラッチプレート42の連結
部42bがガイド軸50の外方を通ってハンドル軸30
側に延びているので、メインギア31のギア比が高速化
に対応して大径化しても1対のガイド軸50の間隔を長
くする必要がなくなり、クラッチヨーク43の長さを長
くする必要がない。このため、リール本体1の大型化を
抑えることができる。
【0043】また、クラッチプレート42の連結部42
bの先端の揺動アーム部42fが前進した遮断位置にあ
るとき揺動するので、クラッチプレート42の移動距離
を小さくすることができ、クラッチ操作部材40の揺動
量も小さくなる。また、クラッチプレート42の先端が
揺動するので、ハンドル軸30の逆転防止用に遊びが少
ないローラ型のワンウェイクラッチ機構55を用いても
クラッチプレート42を遮断位置に移動させる途中でク
ラッチ復帰機構と干渉するようなことがなく、クラッチ
機構21を確実に遮断状態にすることができる。
【0044】クラッチ復帰機構45は、ハンドル組立体
2の糸巻取り方向の回転に連動してクラッチプレート4
2を遮断位置から連結位置に移動させる機構である。ク
ラッチ復帰機構45は、ラチェットホイール61の側面
に立設されたリターンピン63を備えている。リターン
ピン63は、クラッチオフ時にハンドル軸30が糸巻取
方向(図4の時計回り)に回転すると当接姿勢にある揺
動アーム部42fの先端に当接してクラッチプレート4
2を連結姿勢側に押圧する。
【0045】次に、釣用リールの使用時におけるリール
の動作について説明する。釣り糸を繰り出す時には、ク
ラッチ操作部材40を連結姿勢から遮断姿勢側に揺動さ
せる。すると、トグルばね44の死点を越えた時点でク
ラッチ操作部材40が遮断姿勢側に付勢されクラッチ操
作部材40が図4(b)に示す遮断姿勢に維持される。
この揺動時にカムピン49bと長孔42dとの係合によ
りクラッチプレート42がスプール軸25側に前進す
る。クラッチプレート42が前進すると、クラッチヨー
ク43が傾斜カム42cに乗り上げスプール軸25の軸
方向外方にコイルばね51の付勢力に抗して移動する。
クラッチヨーク43が外方に移動すると、クラッチヨー
ク43に係止されたピニオンギア32が軸方向外方に移
動し、ピン33と係合溝32aとの係合が解除され、ク
ラッチ機構21がクラッチオフ状態になる。これにより
スプール15が自由回転状態になり、ジグ(仕掛け)の
自重によりスプール15が糸繰り出し方向に回転し、釣
り糸がスプール15から繰り出される。このとき、連結
部42bも前進して揺動アーム部42fが当接姿勢に揺
動してトグルばね52によりその姿勢を維持する。
【0046】ジグが海底に到達するとハンドル組立体2
を糸巻取方向に回転させてバーチカルジギングを開始す
る。ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると、ラ
チェットホイール61も同方向に回転し、クラッチ復帰
機構45のリターンピン63により揺動アーム部42f
が押圧されてクラッチプレート42が後退し、クラッチ
ヨーク43がコイルばね51により付勢されてクラッチ
オン状態になる。
【0047】バーチカルジギングを行うときには、たと
えば、左の脇に釣り竿Rの図示しない後端部を挟み、リ
ール本体1の後部に固定されたサムレスト17に左手の
親指を置き、残りの指で釣り竿Rを掴んでリールと釣り
竿Rとを保持し、左手で釣り竿Rをしゃくりつつ右手で
ハンドル組立体2のハンドル把手7をつまみ、高速でハ
ンドル軸30を回すポンピング動作を繰り返す。
【0048】ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させ
ると、ハンドル組立体2の回転がハンドル軸30からワ
ンウェイクラッチ機構55、ドラグ機構57を介してメ
インギア31にそのまま伝達される。このときクラッチ
機構21はクラッチオン状態であるため、メインギア3
1の回転はピニオンギア32からスプール15に伝達さ
れて、釣り糸が巻き上げられる。このとき、ワンウェイ
クラッチ機構55及びラチェット機構60では、回転が
糸巻取方向であるので回転を許容する。
【0049】次に、魚の引きなどで釣り糸が繰り出され
る際には、スプール15の回転がメインギア31に伝達
され、ドラグ機構57を介してハンドル軸30およびワ
ンウェイクラッチ機構55に伝わる。ワンウェイクラッ
チ機構55ではハンドル軸30の逆転が禁止される。魚
の引きが弱ければ、スプール15は回転せず釣糸が引き
出されることもない。そして、魚の引きが強くなりスプ
ール15の回転力が大きくなると、伝達される回転力が
ドラグ機構57の設定回転抵抗力を超える。すると、ド
ラグ機構57で滑りが生じるので、メインギア31を含
むスプール15側は回転を始める。このとき、スプール
15には常にドラグ機構57から一定の抵抗力すなわち
ドラグ力が作用する。
【0050】〔他の実施形態〕 (a) 前記実施形態では、クラッチプレート42とク
ラッチ操作部材40とを別体で構成し、クラッチ操作部
材40の揺動に連動してクラッチプレート42を前後動
させたが、クラッチプレート42とクラッチ操作部材4
0とを一体で形成し、クラッチ操作部材40をスプール
軸25に対して前後動させるようにしてもよい。この場
合、クラッチ操作部材40は、クラッチ機構21を連結
状態から遮断状態にするときにだけ操作し、遮断状態か
ら連結状態への復帰はクラッチ復帰機構45で行っても
よい。
【0051】(b) 前記実施形態では、クラッチ復帰
機構45をラチェットホイール61に設けたリターンピ
ン63で構成したが、クラッチプレート42の先端をラ
チェットホイール61の外周面に当接させる構成でもよ
い。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、クラッチプレート部材
の連結部がガイド部材の外方を通ってハンドル側に延び
ているので、メインギアがギア比の高速化に対応して大
径化してもガイド部材の間隔を長くする必要がなくな
り、クラッチ切換部材の長さも長くする必要がない。こ
のため、リール本体の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による両軸受リールの斜視
図。
【図2】その平面断面図。
【図3】その側面図。
【図4】その側面断面図。
【図5】クラッチ操作機構の分解斜視図。
【図6】他の実施形態のクラッチ操作機構の側面図。
【符号の説明】
1 リール本体 2 ハンドル組立体 5 フレーム 10,11 側板 14 第2カバー 15 スプール 21 クラッチ機構 22 クラッチ操作機構 25 スプール軸 40 クラッチ操作部材 41 揺動支持部材 41c 回り止め突起 42 クラッチプレート 42a 本体部 42b 連結部 42e 固定アーム部 42f 揺動アーム部 43 クラッチヨーク 44 トグルばね 45 クラッチ復帰機構 50 ガイド軸 63 リターンピン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両軸受リールのリール本体に設けられたス
    プールとハンドルとを連結及び遮断するクラッチ機構を
    操作するための両軸受リールのクラッチ操作機構であっ
    て、 前記リール本体に連結姿勢と遮断姿勢との間で移動自在
    に装着されたクラッチ操作部材と、 前記リール本体に前記スプールの回転軸芯を挟んで前記
    回転軸芯に沿って配置された1対のガイド部材と、 前記ガイド部材に案内されて前記回転軸芯に沿う方向に
    移動自在であり、前記クラッチ機構に係合して前記クラ
    ッチ機構を連結状態と遮断状態とに切り換えるクラッチ
    切換部材と、 前記1対のガイド部材間で前記回転軸芯を挟んで配置さ
    れ前記クラッチ切換部材に接触して前記クラッチ切換部
    材を前記回転軸芯に沿う方向に移動させるための1対の
    カム部を有する本体部と、前記本体部から前記ガイド部
    材の前記クラッチ操作部材側で分岐して前記ガイド部材
    の外方を通って前記ハンドル側に延び先端が揺動する連
    結部とを有し、前記クラッチ操作部材の移動に連動して
    前記回転軸芯に対して接離する方向で遮断位置と連結位
    置とに往復移動するクラッチプレート部材と、 前記連結部に接触可能であり、前記ハンドルの糸巻取り
    方向の回転に連動して前記クラッチプレート部材を前記
    遮断位置から連結位置に移動させるクラッチ復帰機構
    と、を備えた両軸受リールのクラッチ操作機構。
  2. 【請求項2】前記クラッチ操作部材は、前記リール本体
    に揺動自在に装着されている、請求項1に記載の両軸受
    リールのクラッチ操作機構。
  3. 【請求項3】前記クラッチ操作部材は前記回転軸芯に対
    して接離する方向に移動し、前記クラッチ操作部材と前
    記クラッチプレート部材とは一体的に形成されている、
    請求項1に記載の両軸受リールのクラッチ操作機構。
  4. 【請求項4】前記クラッチ操作部材を前記連結姿勢と遮
    断姿勢とに付勢するトグルばね機構をさらに備える、請
    求項1から3のいずれかに記載の両軸受リールのクラッ
    チ操作機構。
  5. 【請求項5】前記連結部は、前記本体部から分岐して延
    びる固定アーム部と、前記固定アーム部の先端に揺動自
    在に装着され先端が前記クラッチ復帰機構に接触可能な
    揺動アーム部とを有する、請求項1から4のいずれかに
    記載の両軸受リールのクラッチ操作機構。
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