JPH1134623A - トーションビーム式リヤサスペンションとその製造方法 - Google Patents

トーションビーム式リヤサスペンションとその製造方法

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JPH1134623A
JPH1134623A JP19251897A JP19251897A JPH1134623A JP H1134623 A JPH1134623 A JP H1134623A JP 19251897 A JP19251897 A JP 19251897A JP 19251897 A JP19251897 A JP 19251897A JP H1134623 A JPH1134623 A JP H1134623A
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JP
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groove
rear suspension
section
type rear
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JP19251897A
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Isamu Yuki
勇 結城
Hiroyuki Totsuka
博之 戸塚
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一対のトレーリングアームと、該トレーリン
グアームを連結するトーションビームとからなるトーシ
ョンビーム式リヤサスペンションの前記トーションビー
ムに開き断面の先端部近傍に前記トーションビームの軸
方向に沿って部分的に溝を設けることにより前記トーシ
ョンビームの疲労強度を向上させることを目的とする。 【構成】 左右に隔置された一対のトレーリングアーム
20L及び20Rを連結してトーションビーム10が左
右の端部にて溶接されており、該トーションビーム10
のA−A’断面では溝はないが、B−B’断面では例え
ば開き断面の上部先端部外周に先端に極めて近い場所に
て溝40を設けてある。この溝40は前記トーションビ
ーム10の軸方向にほぼ左右対称に設けられているが中
央部付近では設けられていない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は車両のトーション
ビーム式リヤサスペンション装置とその製造方法に関わ
る。
【0002】
【従来の技術】 車両のリヤサスペンション装置の種類
は各種のものが有り、車両の操縦性や乗心地特性や振動
騒音特性等の要求に合わせて適宜その種類を選択して採
用される。トーションビーム式リヤサスペンションはそ
の中の一つの種類のものであるが、同じトーションビー
ム式リヤサスペンションと言っても細かくはトーション
ビームの断面において開いている側が前か後か上か下か
でいろいろに分かれる。この開いている側が前の場合を
前開きタイプと称するが、例えば特開平5−69713
に示すようなものである。(特開平5−69713では
トーションビームのことをツイストビームと呼んでいる
が同じ部材に対する呼称の違いに過ぎない。)
【0003】ここでは前述の特開平5−69713の事
例そのものではないが、前開きタイプのトーションビー
ム式リヤサスペンションの代表的な一例を図12に示
す。図12に従って説明すると車両の左右方向にそれぞ
れ左のトレーリングアーム120Lと右のトレーリング
アーム120Rが隔置されている。該トレーリングアー
ム120L及びトレーリングアーム120Rの前端には
弾性部材を有するキャリヤブッシュ121Lおよび12
1Rが結合されていて車両の図示しないアンダーボデー
に結合されているやはり図示しないサイドメンバーに枢
支されている。一方前記トレーリングアーム120R及
び120Lの後端部にはショックアブソーバ支持体12
3R及び123L(図12では隠れて見えないが123
Rと左右対称の位置にある。)が結合されており、その
先端はショックアブソーバ支持ピン124R及び124
L(図12では隠れて見えないが124Rと左右対称の
位置にある。)が車両内向きに略水平に延びていて、図
示しないショックアブソーバの下端を支持している。前
記ショックアブソーバ支持体123R及び123Lより
やや前方ではあるが、前記トレーリングアーム120R
及び120Lの後端近くにはリヤアクスルハブキャリヤ
122R及び122L(図12では見えないが122R
と左右対称の位置にある。)が結合されていて、該リヤ
アクスルハブキャリヤ122R及び122Lにはリヤア
クスルハブウィズブレーキドラム150R及び150L
が回転可能に支持されている。該リヤアクスルハブウィ
ズブレーキドラム150R及び150Lに図示しないデ
ィスクホイールとタイヤをナットで結合することによっ
て車輪が構成される。
【0004】前記の一対のトレーリングアーム120L
及び120Rの前端部の近くでは左右を連結するトーシ
ョンビーム110が差し渡されており、該トーションビ
ーム110の左右の端部であるトーションビーム左端部
112L及び右端部112Rでそれぞれ前記トレーリン
グアーム120L及び120Rに溶接で結合されてい
る。前記トーションビーム110において車両の前後方
向に沿って垂直な面で切った断面は図12の場合は略V
字形をしており前方に向かって開いている前開きタイプ
である。後方は閉じているが、前記トーションビーム左
端部112Lと前記トレーリングアーム120Lとの間
を差し渡して、平面視でやじりに似た形状のガセット1
30Lが前記トーションビーム左端部112L及び前記
トレーリングアーム120Lに溶接で結合されている
が、これは連結強度を高める為である。同様に右側にお
いてもガセット130Rが前記トーションビーム右端部
112Rと前記トレーリングアーム120Rとに溶接で
結合されている。
【0005】前記トーションビーム110の直ぐの後方
では先端部が半円形で根本部が矩形をしていて、側面に
略垂直なガイド板を持った略水平なコイルブラケット1
25L及び125Rが前記トレーリングアーム120L
及び120Rに根本部で溶接で結合されていて、図示し
ないコイルの下端を支持している。
【0006】前述のような構成のトーションビーム式リ
ヤサスペンションを搭載した車両が走行中に左右逆位相
の凹凸のある路面上に来ると左右の車輪が逆位相で上下
する。即ち車輪がアンダーボデーに対して相対的に近づ
いたり離れたりする動きが発生し、バウンドやリバウン
ドをすると言う訳である。また旋回時においては遠心力
の働きにより左旋回であれば車体がロールし、右の車輪
がバウンドし左の車輪がリバウンドすることになる。右
旋回時は逆に左の車輪がバウンドし右の車輪がリバウン
ドする。このような車輪の上下の動きは前記リヤアクス
ルハブウィズブレーキドラム150L及び150Rそし
てリヤアクスルハブキャリヤ122L及び122Rを介
して前記トレーリングアーム120L及び120Rの後
方部を上下に動かす作用を与える。
【0007】次にトーションビーム110の製造方法に
ついて述べると、プレス機によって素材を打ち抜いて粗
形材を造り、これを折り曲げ工程に掛け開き断面が略V
字形であるトーションビーム110を造り上げる。前記
トーションビーム110の開き断面の先端部の側面が切
断面ではなくなるように素材を造る時の圧延段階から側
面を押しつぶす工程を入れたり、または折り曲げ工程が
終わった後で側面にできた小さな切欠きを押しつぶす工
程を追加することによって側面の小さな切欠きをなく
し、圧縮残留応力を付与することもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 このような従来の構
成になるトーションビーム式リヤサスペンションにおい
ては、前述の如く旋回時に発生するトランピング作用の
繰り返しが疲労強度に大きく影響するものの一つであ
る。これはトランピングにより図12に示すトーション
ビーム上部側面116Uあるいはトーションビーム下部
側面116Bあるいはこれらの近傍に、あるいは以上の
場所の複数箇所にて大きな歪みが発生するからである。
この歪みの大きさは前記トーションビームの軸方向にお
いては同じ値ではなく部分的に大きな値が発生する。前
記トーションビームの開き断面の先端部の側面は切断面
となっていて、微視的に見ると小さな切欠きが数多く存
在するので、前述のような大きな歪みが繰り返し加えら
れると、この切欠きを起点として亀裂が発生し進展して
行く恐れがあった。そこでトーションビームの開き断面
に亀裂が発生したとしても、亀裂の伝播経路を断ち亀裂
を発生場所近傍で止めてしまうことにより従来以上の疲
労強度を達成するトーションビームとすることを目的と
する。
【0009】また従来の製造方法のように前記トーショ
ンビームの側面の小さな切欠きをなくす工程を追加しな
いでも済み、従ってコストの上昇を招かないことも目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】 第1の発明は、車両の
左右方向にて互いに隔置され前端にて弾性部材を介して
枢支され後端にて車輪を回転可能に支持する一対のトレ
ーリングアームと、一対の該トレーリングアームを連結
し開き断面を有するトーションビームとからなるトーシ
ョンビーム式リヤサスペンションにおいて、前記トーシ
ョンビームの開き断面の先端部近傍の外周あるいは内周
の少なくとも一方に、前記トーションビームの軸方向に
沿って部分的に溝を設けることを特徴とするトーション
ビーム式リヤサスペンションである。
【0011】第2の発明は、第1の発明に記載のトーシ
ョンビーム式リヤサスペンションにおいて、前記溝の断
面形状が略台形あるいは半円形あるいは略楕円形をなす
ことを特徴とするトーションビーム式リヤサスペンショ
ンである。
【0012】第3の発明は、トーションビーム式リヤサ
スペンションの製造方法において、トーションビームの
粗形材を形成するプレス加工と同時に、前記トーション
ービームの軸方向に沿って部分的に溝を前記プレス加工
で形成することを特徴とするトーションビーム式リヤサ
スペンションの製造方法である。
【0013】
【発明の作用と効果】 上記のように構成された発明の
トーションビーム式リヤサスペンションにおいて、車両
が凹凸路面を走行したり左右の旋回を繰り返すと、左右
の車輪の上下によってバウンドやリバウンドをすること
によってトーションビームが捩じられ前記トーションビ
ームの開き断面の先端部側面やその近傍の外周あるいは
内周あるいは外周及び内周に大きな歪みが発生する。こ
の開き断面の先端部の側面は切断面となっているから微
視的に見ると小さな切欠きが数多く存在する。従ってこ
の場所の中で最も大きな歪みが加えられる位置において
は疲労強度上最も辛くなるので、繰り返し回数を重ねて
行くとその切欠きを起点として亀裂が発生し、その亀裂
が進展して行く恐れがある。
【0014】そこで本発明によれば、前記トーションビ
ームの開き断面の先端部近傍の外周あるいは内周あるい
は外周及び内周において必要なところに、前記トーショ
ンビームの軸方向に沿って部分的に溝を設けているの
で、この溝の近傍には圧縮残留応力が付与されており、
引張りの応力に対する抵抗力が増しているので引張り圧
縮応力の繰り返しに対する疲労強度が向上する。またた
とえ切欠きを起点として亀裂が発生したとしても、局部
的に大きな応力となっている切欠きの先端が進展し、前
記の溝に到達した途端に一気に亀裂の先端の鋭利な裂け
目はなくなってしまう為に、局部的な大きな応力は消え
去る。その為亀裂の進展は前記溝に来て止まる。
【0015】このように特別に厚い板厚のトーションビ
ームとしなくても高い疲労強度を得られる効果を持ち、
同じ疲労強度を得るのであればグレードの低い材質の鉄
板の採用も可能となってコスト低減が可能となる。
【0016】また製造方法についてはトーションビーム
の粗形材をプレスで形成する時に同時に前記の溝を形成
してしまえるので、この溝を加工する為の特別の工程を
必要とせずコストの上昇を招かずに済む。また前記のト
ーションビームの疲労強度を向上させる為に、このトー
ションビームの開き断面の側面を形成する時に発生する
切り傷を押しつぶして圧縮残留応力を付与するような工
程を後から特別に追加したり、または前記トーションビ
ームの素材を造る時に、側面を切欠きがないように押し
つぶす圧延加工の工程を必要としないから加工コストの
上昇を招かない。
【0017】また前記溝のプレス加工においてはトーシ
ョンビームの軸方向に沿って部分的に溝を設けるので、
全体に溝を設けるのに比べて大きな荷重を必要としな
い。
【0018】
【発明の実施の形態】 発明の実施の形態について示し
たトーションビーム式リヤサスペンションの平面図が図
1であり、トーションビーム10の中央部付近のA−
A’断面を示したものが図2である。また前記トーショ
ンビーム10の右端の近くのB−B’断面を示したもの
が図3である。図1に示すトーションビーム式リヤサス
ペンションの構造は基本的には前述の従来技術の説明で
記した図12のものと同様である。
【0019】図1において左右方向にそれぞれ左のトレ
ーリングアーム20Lと右のトレーリングアーム20R
が隔置されている。該トレーリングアーム20L及びト
レーリングアーム20Rの前端には弾性部材を有するキ
ャリヤブッシュ21Lおよび21Rが結合されていて車
両の図示しないアンダーボデーに結合されているやはり
図示しないサイドメンバーに枢支されている。一方前記
トレーリングアーム20L及び20Rの後端部にはショ
ックアブソーバ支持体23L及び23Rが結合されてお
り、その先端はショックアブソーバ支持ピン24L及び
24Rが車両内向きに略水平に延びていて図示しないシ
ョックアブソーバの下端を支持している。前記ショック
アブソーバ支持体23L及び23Rよりやや前方ではあ
るが、前記トレーリングアーム20L及び20Rの後端
近くにはリヤアクスルハブキャリヤ22L及び22Rが
結合されていて、該リヤアクスルハブキャリヤ22L及
び22Rには図示しないリヤアクスルハブウィズブレー
キドラムが回転可能に支持されている。該リヤアクスル
ハブウィズブレーキドラムにはやはり図示しないディス
クホイールとタイヤがナット結合されていて、車輪が回
転可能に保持されている。
【0020】前記の一対のトレーリングアーム20L及
び20Rの前端部近くでは左右を連結するトーションビ
ーム10が差し渡されており該トーションビーム10の
左右の端部であるトーションビーム左端部12L及び右
端部12Rでそれぞれ前記トレーリングアーム20L及
び20Rに溶接で結合されている。前記トーションビー
ム10の左右両端部のトーションビーム左端部12L及
びトーションビーム右端部12Rにおいては開き断面の
先端部近傍には軸方向の外周に沿って、ほぼ左右対称に
部分的に溝40が設けられている。
【0021】前記トーションビーム10において車両の
前後方向に沿って垂直な面で切った断面はこの場合は略
V字形をしており前方に向かって開いているので、前開
きタイプと称しているが、断面が略U字形でもまたコの
字形でも良く、また後開きタイプのものや下開きタイプ
のものや更には上開きタイプのものであっても良い。図
1のものでは後方は閉じているが、前記トーションビー
ム左端部12Lと前記トレーリングアーム20Lとの間
を差し渡して、平面視でやじりに似た形状のガセット3
0Lが前記トーションビーム左端部12Lの後方側及び
前記トレーリングアーム20Lの右側に溶接で結合され
ている。同様に右側においてもガセット30Rが前記ト
ーションビーム右端部12Rと前記トレーリングアーム
20Rとに溶接で結合されている。
【0022】前記トーションビーム10の直ぐの後方で
は先端部が半円形で根本部が矩形をしていて、側面に略
垂直なガイド板を持った略水平なコイルブラケット25
L及び25Rが前記トレーリングアーム20L及び20
Rにやはり溶接結合されていて、図示しないコイルの下
端を筒状に設けられたコイル座26L及び26Rにて支
持している。
【0023】図2は前記トーションビーム10のほぼ中
央であるトーションビーム中央部11付近のA−A’断
面で切った略V字形の開き断面を示す。前方に開いた前
開きなので略V字の一辺をなす側は上部となりトーショ
ンビーム上部13Uを構成する。該トーションビーム上
部13Uの先端部の外周はトーションビーム上部先端部
外周14U、内周はトーションビーム上部先端部内周1
5U、側面はトーションビーム上部側面16Uである。
同じように略V字の下側の一辺を構成するのはトーショ
ンビーム下部13Bであり、その先端部の外周はトーシ
ョンビーム下部先端部外周14B、内周はトーションビ
ーム下部先端部内周15B、側面はトーションビーム下
部側面16Bである。図2に示すように前記トーション
ビーム10の中央付近であるトーションビーム中央部1
1には、溝は設けられていない。
【0024】図3は図1のトーションビーム10をB−
B’断面にて切った断面図を示す。本発明の例ではトー
ションビーム上部13Uの先端部のトーションビーム上
部先端部外周14Uにおいてトーションビーム上部側面
16Uに極めて近い位置にて前記トーションビームの軸
方向に沿って図10(B)の歪みの大きくなる範囲をカ
バーする長さだけ溝40Aが設けられている。前記溝4
0がトーションビーム上部先端部外周14Uに設けられ
た場合を40Aとしているが、これは図1に示すように
前記トーションビーム10の左右にて、ほぼ対称に2本
の溝が設けられている。
【0025】また前記トーションビーム式リヤサスペン
ションの構造によっては前記トーションビームの下部で
あるトーションビーム下部先端部外周14Bの方が歪み
が大きくなる場合もあるが、その時には溝40はこのト
ーションビーム下部先端部外周14Bにおいて左右に2
本設けられる。
【0026】図4はやはりB−B’断面図であるが、ト
ーションビーム10の溝40の設け方の別の例として前
記トーションビーム上部先端部外周14Uに溝40A
を、トーションビーム下部先端部外周14Bには溝40
Bを共に設けた場合を示す。この時もトーションビーム
10の左右ではそれぞれ別に溝を設けている。
【0027】更に別の例として示すB−B’断面図の図
5の場合では前記トーションビーム上部13Uの先端部
のトーションビーム上部先端部内周15Uにおいて、ト
ーションビーム上部側面16Uに極めて近い位置にて溝
を設けた場合を示す。前述の如くトーションビーム下部
先端部内周15Bに溝40を設けても良い。
【0028】図6も同様にB−B’断面図であるが、こ
の例では前記トーションビーム10トーションビーム上
部先端部内周15U及びトーションビーム下部先端部内
周15Bに溝40C及び溝40Dを設けた場合である。
【0029】トーションビーム10の開き断面の先端部
では上部、下部、外周、内周と4つの面がありトランピ
ングにてどの面の先端部の歪みが最も大きな引張り圧縮
の振幅を受けるかはトーションビーム10の形状やトレ
ーリングアーム20L及び20Rとの結合の仕方等の影
響を受けるが、前述の4つの面全てについて溝40を設
けてやれば安心である。その例として前記トーションビ
ーム10のトーションビーム上部先端部外周に溝40A
を、トーションビーム下部先端部外周に溝40Bを、ト
ーションビーム上部先端部内周に溝40Cを、トーショ
ンビーム下部先端部内周に溝40Dを設けたところを示
すB−B’断面図が図7である。この場合も前述までの
各例と同じく前記トーションビーム10の軸方向にそれ
ぞれほぼ対称に溝を設けている。
【0030】以上迄に述べて来た溝40のトーションビ
ーム10の軸方向の長さについてであるが、図10
(A)及び(B)に示すようにガセット30L及び30
Rとトーションビーム10との溶接による結合が切れる
境の点Pに対応する開き断面側の点Qの近傍が最大の歪
みの点となるので、例えば前記トーションビーム10の
軸方向に3分割して中央部を除き左右の1/3ずつにつ
いてトーションビーム10の軸方向に沿って溝を設けれ
ばQ点を含むことになるから、このような溝の設け方も
一つの方法である。または歪みの最大値となるQ’点の
歪みの値の1/2以上の歪みの値が発生する部分につい
て軸方向に溝を設けても良い。またある決められた歪み
の値以上の歪みが発生する部分について溝を設けるやり
方もある。
【0031】前述迄のトーションビーム式リヤサスペン
ションにおいてはトーションビーム10とトレーリング
アーム20L及び20Rを補強する為にガセット30L
及び30Rを有しているが、図11に示すように必ずし
もガセットを有しないものもある。その時においてもト
ーションビーム10’の開き断面の先端部の歪みは図1
0(B)に示したグラフと基本的には変わらない。トー
ションビーム10’の開き断面面積はガセットに相当す
る場所において、左右端部に近づくに連れて大きくなり
変化する形状になっていて、変化の始まる付近で歪みの
値は最大値となる。従って前述の溝40の設け方は前記
ガセット30L及び30Rのあるタイプと同様に考えて
良い。
【0032】次に溝40の形状についてであるが、図8
に示すような略台形あるいは図9に示す略半円形あるい
は図示しない略楕円形等がプレスの型を製作する上で造
りやすさと亀裂の進展を防止する上で望ましい。
【0033】また前記溝40をトーションビーム上部側
面16Uあるいはトーションビームの下部側面16Bか
らどの程度近くに設けるかについて述べる。図8あるい
は図9において前記トーションビーム10の開き断面の
側面と溝のある面との交点をS点とし、溝40のS点か
ら近い側の溝表面の点をT点、S点から遠い側の溝表面
の点をW点とする時、S点とT点との距離は約5ミリメ
ートル以内とし、また溝40の幅であるT点とW点との
距離は約10ミリメートル以内としている。
【0034】また前述迄のトーションビーム式リヤサス
ペンションではトーションビーム10がトレーリングア
ーム20L及び20Rのやや前方にて連結されている
が、これは必ずしも前方のみに限定される訳ではなく中
央付近でもまた後方にて連結されていても良いことは言
うまでもない。
【0035】次に前記のトーションビーム10の溝40
の製造方法に述べる。まず鉄板を巻いたロール材あるい
は平板の鉄板のシート材をプレス機で打ち抜いて矩形の
平板を造る。次にこの矩形の平板をプレス機に掛けて、
トーションビーム10の粗形材を打ち抜きで造る。これ
をブランキングと称しているが、次にこれを軸方向に沿
って幅のほぼ中央付近を境として折り曲げる工程をプレ
ス機によって行い、略V字形の開き断面を有したトーシ
ョンビーム10を造り上げる。この折り曲げる工程は一
度でなく複数回を経て最終形状を形成する場合もある。
前述のようにトーションビームの開き断面が略V字形で
はなく略U字形あるいはコの字形の場合であっても同様
の工程で製造される。このような従来の工程に対して当
初のブランキングの時に同時に前述の溝40をプレス機
で形成するのが本発明である。溝を設ける場所について
は前述の各種の例がある。
【0036】次に上記のような実施の形態におけるトー
ションビーム式リヤサスペンションの作用について説明
する。前記トレーリングアーム20L及び20Rに結合
されたリヤアクスルハブキャリヤ22L及び22Rに回
転自在に取り付けられた車輪及びリヤアクスルハブウィ
ズブレーキドラムが旋回時のバウンド、リバウンドや路
面の凹凸に応じて上下動し、前記の左右のトレーリング
アーム10が逆位相で上下動する。この時は前記トーシ
ョンビーム10の軸方向に直角な平面で切った断面形状
において開き断面となるトーションビーム上部先端部外
周14Uやトーションビーム下部先端部外周14Bある
いはトーションビーム上部先端部内周15Uやトーショ
ンビーム下部先端部内周15Bあるいはトーションビー
ム上部側面16Uやトーションビーム下部側面16Bに
おいて、最も大きな引張り応力と圧縮応力の振幅繰り返
しが作用される。
【0037】車両の旋回時を模擬して試験機に取り付け
た前記トーションビーム式リヤサスペンションに左右の
車輪相当位置から逆位相に上下の荷重を負荷してトーシ
ョンビーム10の開き断面の先端部において、軸方向に
沿った歪みを測定すると前記の開き断面の2つの先端部
の外周でも内周でも、図10(B)に示すようなグラフ
のデータが計測される。図10(B)には左半分しか示
していないが右半分については負の歪みが計測される。
しかしちょうど図10(B)のグラフを負側に写した形
を取るが絶対値としては通常必ずしも同じとはならな
い。図10(B)では最大値を発生する時で示している
が、トランピングによって刻々と変化して行くものであ
り、歪みが正の時即ち引張り応力から減少して行き歪み
が負の値即ち圧縮応力になり再び正の値を取るように変
化して行く。
【0038】図10(B)で分かるように前記トーショ
ンビームの軸方向には最大値の応力の発生する位置はト
ーションビームの断面形状が変化するP点に対応する開
いている側のQ点にほぼ一致しているが、前記トーショ
ンビームは一般に左右対称であるから軸方向に2ケ所大
きな応力が発生する。そのため開き断面の先端部のこの
左右2ケ所が疲労強度上もっとも配慮せねばならない場
所と言える。この開き断面の先端部の側面は切断面とな
っているから微視的に見ると小さな切欠きが数多く存在
する。従ってこの場所の中で最も大きな歪みの引張りと
圧縮の振幅が加えられる位置においては疲労強度上最も
辛くなるので、繰り返し回数を重ねて行くと最初にその
切欠きを起点として亀裂が発生し、その亀裂が進展して
行く恐れがある。そこで前記トーションビームの開き断
面の先端部近傍の外周あるいは内周の歪みの大きくなる
側に、あるいは心配される側の全てにおいて、前記トー
ションビームの軸方向に沿って部分的にほぼ左右対称に
溝40が設けてある。従ってこの溝40の近傍には圧縮
残留応力が付与されていて疲労強度が向上しており、更
にたとえ切欠きを起点として亀裂が発生したとしても、
切欠きの先端が進展し、前記溝に到達すると亀裂先端部
の鋭利な裂け目がなくなるので大きな応力が消え去り亀
裂の進展がくい止められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のトーションビーム式リ
ヤスペンションの平面図である。
【図2】 図1においてトーションビーム10の中央付
近のA−A’断面でトーションビーム10を切った断面
図である。
【図3】 図1においてトーションビーム10の右端部
に近いB−B’断面でトーションビーム10を切った断
面図である。
【図4】 図3と同じくトーションビーム10の開き断
面を示すものであるが、溝が開き断面の上下の先端部の
外周に設けられている例を示す断面図である。
【図5】 図3と同じくトーションビーム10の開き断
面を示すものであるが、溝が開き断面の上部の先端部の
内周に設けられている例を示す断面図である。
【図6】 図3と同じくトーションビーム10の開き断
面を示すものであるが、溝が開き断面の上下の先端部の
内周に設けられている例を示す断面図である。
【図7】 図3と同じくトーションビーム10の開き断
面を示すものであるが、溝が開き断面の上下の先端部の
内外周に設けられている例を示す断面図である。
【図8】 図3に示す溝の形状が台形であることを示す
詳細断面図である。
【図9】 図3に示す溝の形状が図8に示す例と異なり
半円形であることを示す詳細断面図である。
【図10】 トーションビーム10の開き断面の先端部
の上部あるいは下部の外周あるいは内周の歪みをトラン
ピング状態で最も大きな歪みが発生する時をトーション
ビーム10の軸方向に左端から中央部付近までの歪み量
でトーションビーム10の軸方向に対応させて示したグ
ラフが図10(B)であり、対応してトーションビーム
式リヤサスペンションの左半分の平面図を示したものが
図10(A)である。
【図11】 ガセットを用いていなくてトーションビー
ムが後開きになっているタイプのトーションビーム式リ
ヤサスペンションの平面図が図11である。
【図12】 車両に採用されている従来技術のトーショ
ンビーム式リヤサスペンションの斜視図である。
【符号の説明】
10、110・・・トーションビーム 11・・・トーションビーム中央部 12L、12R・・・トーションビーム左端部、トーシ
ョンビーム右端部 13U、13B・・・トーションビーム上部、トーショ
ンビーム下部 14U、14B・・・トーションビーム上部先端部外
周、トーションビーム下部先端部外周 15U、15B・・・トーションビーム上部先端部内
周、トーションビーム下部先端部内周 16U、16B・・・トーションビーム上部側面、トー
ションビーム下部側面 20L、120L・・・トレーリングアーム(左) 20R、120R・・・トレーリングアーム(右) 22R、122R・・・リヤアクスルハブキャリヤ
(右) 23R、123R・・・ショックアブソーバ支持体
(右) 24R、124R・・・ショックアブソーバ支持ピン
(右) 25R、125R・・・コイルブラケット(右) 30L、30R・・・ガセット(左)、ガセット(右) 40、40A、40B、40C、40D・・・溝 150L、150R・・・リヤアクスルハブウィズブレ
ーキドラム(左)、リヤアクスルハブウィズブレーキド
ラム(右)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の左右方向にて互いに隔置され前端
    にて弾性部材を介して枢支され後端にて車輪を回転可能
    に支持する一対のトレーリングアームと、一対の該トレ
    ーリングアームを連結し開き断面を有するトーションビ
    ームとからなるトーションビーム式リヤサスペンション
    において、前記トーションビームの開き断面の先端部近
    傍の外周あるいは内周の少なくとも一方に、前記トーシ
    ョンビームの軸方向に沿って部分的に溝を設けることを
    特徴とするトーションビーム式リヤサスペンション。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のトーションビーム式リ
    ヤサスペンションにおいて、前記溝の断面形状が略台形
    あるいは半円形あるいは略楕円形をなすことを特徴とす
    るトーションビーム式リヤサスペンション。
  3. 【請求項3】 トーションビーム式リヤサスペンション
    の製造方法において、トーションビームの粗形材を形成
    するプレス加工と同時に、前記トーションービームの軸
    方向に沿って部分的に溝を前記プレス加工で形成するこ
    とを特徴とするトーションビーム式リヤサスペンション
    の製造方法。
JP19251897A 1997-07-17 1997-07-17 トーションビーム式リヤサスペンションとその製造方法 Pending JPH1134623A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002274134A (ja) * 2001-03-16 2002-09-25 Katsumi Nakagawa 車のホイールアライメント調整用スペーサ
KR20020086095A (ko) * 2001-05-11 2002-11-18 현대자동차주식회사 소형자동차의 리어현가장치
KR20040048642A (ko) * 2002-12-04 2004-06-10 현대자동차주식회사 토션 빔식 현가장치
CN106828009A (zh) * 2017-03-03 2017-06-13 袁璐 后悬架扭力梁结构

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