JPH11345485A - 磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記憶装置

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JPH11345485A
JPH11345485A JP10151368A JP15136898A JPH11345485A JP H11345485 A JPH11345485 A JP H11345485A JP 10151368 A JP10151368 A JP 10151368A JP 15136898 A JP15136898 A JP 15136898A JP H11345485 A JPH11345485 A JP H11345485A
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insulating film
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H10B61/10Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices comprising components having two electrodes, e.g. diodes or MIM elements

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Abstract

(57)【要約】 【課題】データ転送線に複数のTMRメモリセルを接続
した場合に、大きな読み出し信号を得る。 【解決手段】4本のデータ選択線11(選択データ選択
線11sel ,非選択データ選択線11unsel )が、それ
ぞれ整流素子12及びメモリセル13(選択メモリセル
13sel ,非選択メモリセル13unsel )を介して1本
のデータ転送線14に接続されている。なお、整流素子
12の整流方向は全て同じである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、読み出し時の出力
信号が大きく高集積化が容易な磁気記憶装置(Magn
etic RAM)に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性薄膜の磁化状態をディジタルビット
の情報格納として用い、その抵抗変化を記憶情報読み出
しに用いた磁気記憶メモリセルが、例えば特願平5−1
01641号に開示されている。ところが、従来のメモ
リセルの構成では、2枚の磁性体薄膜で金属薄膜を挟ん
でいるために、磁性体の抵抗の面抵抗が、例えば、10
0Ω/sheet以下と小さく、磁性体薄膜の抵抗変化
量に対応した出力電圧振幅も数十mV以下と小さかっ
た。そのため、従来の半導体を用いたセンスアンプで
は、十分な信号を得られず、高速に読み出し動作できな
い欠点があった。
【0003】そこで、絶縁膜を2枚の磁性体薄膜で挟ん
だメモリセルを用いることによって、磁性体薄膜間の抵
抗を大きくし、出力信号電圧をより大きくする構造(以
後tunneling magnetic resistance;以後TMRと記)
が提案され、マトリクスアレイ状に形成することによっ
てメモリセルアレイを形成することが報告されている
(王 智剛・中村慶久、“GMR人工格子メモリーの記
憶メカニズム”、日本応用磁気学会誌20,369−3
72(1996))。このTMRの物理的機構について
は、例えば、Mark Johnson and John Clarke Spin-pola
rized scanning tunneling microscope: Concept, desi
gn, and preliminary results from a prototype opera
ted in air J. Appl. Phys. 67(10),6141(1990) にも記
載されている。
【0004】図30は、従来のTMRメモリセルの構成
を示す模式図である。11はデータ選択線、301,3
03はそれぞれ20Oe以上のほぼ同じ保磁力を有し強
磁性体膜からなる第1及び第2の磁性体膜、302は非
磁性絶縁膜、14はデータ転送線である。第1の磁性体
膜301,非磁性絶縁膜302及び第2の磁性体膜30
3は積層構造で磁気状態によって抵抗変化を生ずるメモ
リセル13を形成している。
【0005】磁性体膜301,303の磁化容易方向が
選択データ選択線11sel と平行に形成されており、磁
性体膜301,303の磁化の向きをそれぞれの膜で全
体として前記磁化容易方向に沿って1つの向き及び逆の
向きに記憶することによって、例えば、2つの状態、つ
まり、“0”及び“1”の状態に対応する1ビットの論
理情報を記憶する。ここで、第1の磁性体膜301の磁
化の向きは、記憶保持状態において、第2の磁性体膜3
03の磁化の向きとほぼ平行または反平行となるように
形成されている。さらに、第1の磁性体膜301と第2
の磁性体膜303の磁化の向きが平行の場合は、反平行
な場合に比較して、第1の磁性体膜301と第2の磁性
体膜303とのスピンまで考慮した状態密度(density
of states )がより一致するため、より第1の磁性体膜
301と第2の磁性体膜303との間のトンネル電流が
大きくなる。よって、磁化の向きが平行な場合、反平行
な場合に比較して、選択データ選択線11sel とデータ
転送線14との抵抗が高くなり、磁化の状態を抵抗値変
化で読み出すことができる。
【0006】また、図31に、メモリセルマトリクスを
形成した回路図を模式的に表す。2本のデータ転送線1
4(14sel ,14unsel )と4本のデータ選択線11
(11sel ,11unsel )の交点にそれぞれメモリセル
13(13sel ,13unsel)が形成されている。選択
データ選択線11sel に接続されたメモリセル13se l
に選択的にデータを書き込み及び読み出しを行う。一
方、非選択データ選択線11unsel に接続されたメモリ
セル13unsel には、誤書き込みや誤読み出し、及びデ
ータ破壊を防ぐよう回路構成及びタイミング調整をする
必要がある。データ選択線11の一方は、いわゆるアド
レスデコーダに接続され、選択データ選択線11sel
電流を排他選択的に供給する。
【0007】また、データ転送線14には、メモリセル
13が並列に接続されている。さらに、データ転送線1
sel ,14unsel の一端は、それぞれ、差動センスア
ンプ16sel ,16unsel の入力端子17sel ,17
unsel に接続されている。差動センスアンプ16sel
16unsel には、それぞれ入力端子17sel ,17unse
l とそれぞれ対となるデータ転送線18sel ,18
unsel が接続されている。
【0008】しかし、本発明者は、上述した構成で選択
メモリセル13sel の読み出し動作を行った場合、デー
タ転送線14に並列に接続されている非選択メモリセル
13unsel によってメモリセル読み出し信号の電圧振幅
が小さくなることを詳細検討の上見いだした。
【0009】以下にこのことを説明する。選択メモリセ
ル13sel の“0”に対応する抵抗値をRsel −ΔR
sel 、“1”状態に対応する抵抗値をRsel 、複数の非
選択メモリセル13unsel の抵抗値の加算平均値をR
unsel 、選択データ選択線11se l に印加する電圧をV
DD、非選択データ選択線11unsel に印加する電圧を0
Vとする。データ転送線14に並列に接続されているメ
モリセルの個数をm個とし、センスアンプ16に流れる
電流をIとすると、図32のような等価回路が成り立
つ。電流Iとしては、読み出し電位を与えるためのバイ
アス電流源に流れる電流やセンスアンプの入力端子に流
れるオフセット電流を含めることとする。なお、図32
(a)は“0”状態のデータを読み出す場合の等価回路
図、図32(b)は“1”状態のデータを読み出す場合
の等価回路図である。
【0010】選択メモリセル13sel の“0”に対応す
るデータ転送線14の電圧V0 は、以下のようになる。
【0011】
【数1】
【0012】また、メモリセル13の“1”に対応する
データ転送線14の電圧V1 は、以下のようになる。
【0013】
【数2】
【0014】選択メモリセル13sel の“1”及び
“0”を正しく弁別できるためには、V0 及びV1 が非
選択メモリセル13unsel の抵抗Runsel の状態によら
ず重なる領域ができないことが必要となる。
【0015】ここで、メモリセル13の抵抗の非線型性
が小さい場合を考える。この時、V0 はRunsel =(R
sel −ΔRsel )となる場合に最小値をとり、V1はR
unse l =Rsel となる場合に最大値をとる。この条件の
時、V0 及びV1 が最も接近する。そこで、この場合の
0 とV1 との差、ΔVが最小出力信号電圧振幅とな
り、以下のようになる。
【0016】
【数3】
【0017】式(3)より、従来構成では、読み出し電
流I及びΔRsel が一定の条件では、並列接続されたメ
モリセル13の個数mが増大すると、mに反比例して最
小出力信号電圧振幅が小さくなる。従って、信号電圧振
幅がアレイノイズなどの雑音程度になると、誤読み出し
が生じたり、読み出しが困難になるという問題が生じ
る。
【0018】一般的には、αを1以上の数として、V0
のRunsel がα(Rsel −ΔRsel)、V1 のRunsel
がαRsel となる場合に、ΔV=IΔRsel /(m−1
+α)となり前記の問題が生じる。
【0019】なお、メモリ素子がトンネル電流を用いた
TMR素子であって、TMR素子の両電極の電圧が低い
場合、より実効抵抗が大きくなり、αが大きくなるの
で、前記問題が同様に生じる。
【0020】さらに、本問題は、TMRメモリセルであ
る場合により顕著となる。なぜなら、TMR素子では、
その両端の電圧差が小さい時に、両電極のスピンを考慮
した状態密度の重なりが大きくなるため、トンネル抵抗
値の相対変化率が最大となるためである。
【0021】この状態は、例えば、α,βを1以上の数
として、V0 のRunsel がα(Rse l −βΔRsel
に、V1 のRunsel がαRsel になる場合を考えれば良
い。この場合、V0 はRunsel =α(Rsel −Δ
sel )となる場合、V1 はRunsel=αRsel となる
場合よりも、式(3)から、ΔVがより小さくなること
は明らかであり、より電圧マージンが小さくなる。
【0022】また、並列接続されたメモリセルの数mが
増えるのに従って、非選択メモリセル13unsel の容量
が増加し、データ転送線14の容量が増大するため、高
速で読み出すことができなくなる。また、逆に並列数m
を減らすと、センスアンプやデータ選択へのスイッチ回
路の割合が増大し、高集積化が困難となる問題が生じた
り、ビット線抵抗が上昇して電流が流せない問題が生じ
る。
【0023】なお、以上の問題は、差動センスアンプ以
外のセンスアンプ、例えば、サンプル/ホールド型セン
スアンプを用いた場合にも生ずる。このサンプル/ホー
ルド型センスアンプは、メモリセル13sel の“0”及
び“1”の抵抗値の差を時系列で読み出し、それぞれを
比較することによってデータの弁別を行うもので、例え
ばUSP−4,829,476で公知の回路である。
【0024】さらに、読み出し信号量ΔVを増やすため
に、読み出し電流Iを増大させると、データ転送線14
の電流上昇によるエレクトロマイグレーションが起こり
やすくなり信頼性が低下する。また、データ選択線の発
生する熱によって、抵抗変化率が減少または、局所的に
変化したり、読み出し回数によって、温度上昇の程度が
異なるため、読み出しの履歴に依存した抵抗変化が生じ
てしまう。そこで、読み出しデータの信号出力が変化し
たり、近隣のメモリセルの抵抗値が変化する。そこで、
高集積化を図ると、アレイノイズが上昇して読み出しが
困難になる問題が生ずる。もちろん、読み出し電流Iを
増加させると、メモリセルの消費電力が大きくなるとい
う問題が生ずる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のTM
Rを用いたメモリセルでメモリセルアレイに形成する
と、並列数が増大するにしたがって大きな読み出し信号
を得つつ高集積化を図るのが困難であるという問題があ
った。
【0026】本発明の目的は、複数のTMRを用いたメ
モリセルを接続しても、大きな読み出し信号を得られ高
速動作可能で、かつ、高密度メモリセルを形成できる磁
気記憶装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】[構成]本発明は、上記
目的を達成するために以下のように構成されている。
【0028】(1) 本発明(請求項1)の磁気記憶装
置は、第1の磁性体と第2の磁性体との間に介在するよ
うに非磁性絶縁膜が形成されたメモリセルと、このメモ
リセルの一端に接続されたデータ選択線と、前記メモリ
セルの他端に接続されたデータ転送線とを具備し、複数
の前記データ選択線が、それぞれ前記メモリセルを介し
て1本のデータ転送線に接続された磁気記憶装置であっ
て、前記データ選択線と各メモリセルとの間,前記デー
タ転送線と各メモリセルとの間、又は各メモリセル中に
は、それぞれ整流方向が一致する整流素子が挿入されて
いる。
【0029】(2) 本発明(請求項2)の磁気記憶装
置は、第1の磁性体膜,非磁性絶縁膜及び第2の磁性体
膜が順次積層されて形成されたメモリセルと、第1の磁
性体膜に接続されたデータ選択線と、第2の磁性体膜に
接続されたデータ転送線とを具備し、複数の前記データ
選択線が、それぞれ前記メモリセルを介して1本のデー
タ転送線に接続された磁気記憶装置であって、第1の磁
性体膜に対する前記非磁性絶縁体の障壁高さは、第2の
磁性体膜に対する前記非磁性絶縁体の障壁高さと異なる
ことを特徴とする。
【0030】(3) 本発明(請求項3)の磁気記憶装
置は、第1の磁性体と第2の磁性体との間に非磁性絶縁
膜が介在するように形成されたメモリセルと、このメモ
リセルの一端に形成されたデータ選択線と、前記メモリ
セルの他端に接続されたメモリセルとを具備した磁気記
憶装置において、電流出力端子の一端が前記データ転送
線に接続され、しきい値がVthであるトランジスタと、
このトランジスタの制御入力端子に電圧Vc を供給する
電圧ノードとを具備し、前記メモリセルからのデータの
読み出し動作時、該トランジスタの電流出力端子の他端
の電圧は、Vc −Vthより高いことを特徴とする。
【0031】本願発明の好ましい実施態様を以下に記
す。
【0032】前記メモリセルの整流性接合にある順方向
の電流Iを流した場合の抵抗とメモリセルの抵抗の和
が、前記メモリセルの整流性接合に逆方向の電流−Iを
流した場合の抵抗よりも小さい。
【0033】前記データ選択線とデータ転送線が直交す
る。
【0034】前記データ選択線に増幅器の入力が接続さ
れている。
【0035】前記非磁性絶縁膜の伝導電子のスピン緩和
長は、非磁性絶縁膜の膜厚より大きい。
【0036】[作用]本発明は、上記構成によって以下
の作用・効果を有する。
【0037】本発明の構造を用いれば、並列に接続する
メモリセル数を増やしても、並列に接続した選択されて
いないメモリセルの状態の依存せず、読み出し信号量も
大きく確保できる。従って、メモリセルの雑音が大きく
ても安定した読み出し動作を実現できる。
【0038】また、信号電圧振幅が大きいため、サンプ
ル/ホールド型センスアンプを用いなくても、差動セン
スアンプを用いてメモリセルの読み出しを行うことがで
き、時系列でデータを読み出す必要がなく、より高速に
メモリセルの読み出しを行うことができる。
【0039】また、時系列でデータを読み出す必要がな
いため、サンプル/ホールド間での電源電圧の変動を受
けることが少なく、安定なメモリセル動作が実現でき
る。また、配線やメモリセル素子の絶対寸法ばらつきが
あっても、各素子のバラツキの共通オフセット分を差動
センスアンプを用いて相殺することができ、安定したメ
モリセル動作が実現できる。
【0040】また、並列に接続するメモリセルの個数を
増大させても、読み出し出力を大きく確保でき、より並
列にするメモリセルの個数を増大させることができ、セ
ンスアンプや周辺回路の面積に対するメモリセルの面積
の比率を増大させることができ、メモリセルの占有率を
増大させることができる。
【0041】本発明のメモリセルの構造を用いれば、デ
ータ読み出し時のデータ転送線の電流が小さくても、デ
ータ“1”と“0”とで十分な抵抗差を得ることができ
る。そこで、読み出し時に、データ選択線の電流上昇に
よるエレクトロマイグレーションが起こりやすくなり信
頼性が低下する問題や、データ選択線の発生する熱によ
って、抵抗変化率が減少または、局所的に変化したり、
読み出し回数によって、温度上昇の程度が異なるため、
読み出しの履歴に依存した抵抗変化が生ずる問題を減少
できる。また、データ選択線の発生する熱によって、読
み出しデータの信号出力が変化したり、近隣のメモリセ
ルの抵抗値が変化する問題を減少できる。そこで、高集
積化しても、アレイノイズが上昇して読み出しが困難に
なりにくくなる。
【0042】また、非選択メモリセルに流れる電流が減
少するので、消費電力を小さくすることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に図面
を参照して説明する。
【0044】[第1実施形態]先ず、本発明の概要につ
いて等価回路図を用いて説明する。図1は、本発明の第
1実施形態に係わるTMRメモリセルのメモリセルマト
リクスの読み取り動作を行う回路構成を模式的に示す図
である。
【0045】4本のデータ選択線11(選択データ選択
線11sel ,非選択データ選択線11unsel )が、それ
ぞれ整流素子12及びメモリセル13(選択メモリセル
13sel ,非選択メモリセル13unsel )を介して1本
のデータ転送線14に接続されている。なお、整流素子
12の整流方向は全て同じである。
【0046】ここで、選択データ選択線11sel に接続
された選択メモリセル13sel に対して選択的に、デー
タの書き込み及び読み出しが行われる。一方、非選択デ
ータ選択線11unsel に接続された非選択メモリセル1
unsel には、誤書き込みや誤読み出し、及びデータの
破壊を防ぐよう回路構成及びタイミング調整をする必要
がある。
【0047】ここで、1つのメモリセル13と、メモリ
セル13に接続された1つの整流素子12とが1組とな
って1つのメモリセルブロックを形成している。従っ
て、本回路図では、4つのメモリセルブロックがデータ
転送線14に接続されている。
【0048】データ転送線14に4つのメモリセル13
が接続され、1x4のメモリセル構成となっている。図
では簡単のために記していないが、データ選択線11に
は、並列にメモリセル13が接続されていることが高密
度メモリセルを形成するのに望ましい。もちろん、デー
タ転送線14及びデータ選択線11に接続されるメモリ
セルの数は4つに限らず複数であればよく、2n 個(n
は正の整数)であることがアドレスデコードをする上で
望ましい。
【0049】またさらに、図示されていないが、データ
選択線11は、いわゆるアドレスコーダに接続され、選
択データ選択線11sel に対して電流を排他選択的に供
給する。このアドレスデコーダについては、Dynam
ic RAMやStaticRAM等で周知の回路を用
いればよい。
【0050】さらに、データ転送線14の一方は、n型
MISFETからなる第1のトランジスタ15のゲート
電極に接続されている。また、第1のトランジスタ15
のソース電極は、例えば0Vの一定電圧の電圧ノードに
接続され、そのドレイン電極は、差動センスアンプ16
の入力端子17に接続されている。
【0051】第1のトランジスタ15は、4つのメモリ
セルブロックの何れかから読み出され、データ転送線1
4に流れる信号電圧を増幅し、差動センスアンプ16の
入力信号余裕を大きく確保するためのものである。
【0052】また、差動センスアンプ16に、入力端子
17とそれぞれ対となるデータ転送線18が接続されて
いる。さらに、データ転送線14には、n型MISFE
Tからなる第2のトランジスタ19のソース電極に接続
されている。また、第2のトランジスタ19のドレイン
電極は、例えば電圧VDDとなる電圧ノード20に接続さ
れている。電圧VDDは、選択データ選択線11sel に加
わる電圧の最大値以下で、且つ選択データ選択線11
sel の電圧の最小値以上となっている。第2のトランジ
スタ19は、データ転送線14を通じて選択メモリセル
13sel に読み出し電流を流すためのものである。
【0053】次に、本回路の動作を図2のタイミングチ
ャートを用いて説明する。先ず、選択データ選択線11
sel の電位VWLsel 及び非選択データ選択線11unsel
の電位VWLunsel を、後述するデータ転送線14のプリ
チャージ電圧、例えばVDD以上にすることによって、デ
ータ転送線14からデータ選択線11sel,11unsel
に流れる電流を遮断し、データ転送線14を浮遊状態に
する。
【0054】次いで、トランジスタ19のゲート電圧V
readを0からVDDにしてトランジスタ19をon状態に
し、データ転送線14と電圧ノード20とを接続し、デ
ータ転送線14の電位VBLをプリチャージ電圧VDDに充
電する。
【0055】そして、選択データ選択線11sel の電位
WLsel を前記プリチャージ電圧よりも低い電位である
0Vにし、選択メモリセル13sel に電流を流す。この
時、非選択データ選択線11unsel の電位V
WLunsel は、プリチャージ電圧以上の電圧に保ったまま
にする。
【0056】選択メモリセル13sel に電流を流した
際、選択メモリセル13sel のデータ状態が“0”の場
合、選択メモリセル13sel の抵抗は、“1”の状態の
選択メモリセル13sel の抵抗より低いため、データ転
送線14の電位VBLは、“1”の状態よりも電圧降下量
が大きくなる。
【0057】トランジスタ19のドレイン電極からソー
ス電極に流れる電流をIとし、メモリセル13sel
“0”に対応する抵抗値をRsel −ΔRsel 、“1”状
態に対応する抵抗値をRsel とし、非選択メモリセル1
unsel の抵抗値の平均値をRunsel とし、選択データ
選択線11sel に印加する電圧を0V、非選択データ選
択線11unsel に印加する電圧をVDDとする。また、直
列に接続された整流素子の順方向の電流を流した場合の
抵抗をRF 、逆方向に電流を流した場合の抵抗をRB
し、データ転送線14に並列に接続されているメモリセ
ルの個数をm個とする。
【0058】ここで、選択メモリセル13sel の“0”
に対応するデータ転送線14の電圧V3 は、以下のよう
になる。
【0059】
【数4】
【0060】また、選択メモリセル13sel の“1”に
対応するデータ転送線14の電圧V4は、以下のように
なる。
【0061】
【数5】
【0062】選択メモリセル13sel の“1”及び
“0”の状態をそれぞれ正しく弁別するためには、V3
とV4 とが非選択メモリセル13unsel のデータ転送線
14に並列に接続されている抵抗Runsel によらず重な
る領域ができない、つまり抵抗Runsel の値によらず常
にV4 >V3 であることが必要である。
【0063】ここで、非選択メモリセル13sel の抵抗
unsel の最大値をRunselmaxとすると、データ転送線
14の電圧V4 は最小値V4min をとり、式(5)よ
り、
【数6】
【0064】となる。ここで、α=(Runselmax
B )/(Rsel +RF )である。
【0065】一方、非選択メモリセル13sel の抵抗R
unsel の最小値をRunselminとすると、V3 は最大値V
3max をとり、V3max とV4min とが最も接近する。従
って、V4min >V3max であれば、選択メモリセル13
sel の状態を判別することができる。
【0066】ここで、Runselmin=Runselmax−αΔR
sel となる条件では、V4min とV3 max との差である最
小出力信号電圧振幅ΔV’は以下のように表される。
【0067】 ΔV’=V4min −V3max =IΔRsel α/(m+α−1) (6) この値は、α=1とすると整流素子12を入れない場合
の式(3)の値に等しい。
【0068】以上から、RunselminとRunselmaxとがR
unselmin=Runselmax−ΔRsel となるように固定した
場合と比較して、(Runselmax+RB )>(Rsel +R
F )つまりα>1となるように、RB とRF とを調整す
ることによって、Runselmin>Runselmax−αΔRsel
となるため、α=1の場合の式(3)のΔVよりもより
大きなΔV’を得ることができ、より信号出力が大きく
なる。
【0069】さらに、mRsel +(m−1)RF <<R
B 、つまり整流性接合を逆方向に流れる場合の抵抗RB
が、整流性接合を順方向に流れる場合の抵抗RF よりも
十分高い場合を考えると、式(4)及び式(5)から以
下のようになる。
【0070】 ΔV’=V4 −V3 〜ΔRsel {VDD(m−1)/RB +I} (7) 式(7)では、ΔV’はIΔRsel より必ず大きくな
り、式(3)のΔV=IΔRsel /mと比較して、mが
増えてもΔV’が減少することなく、安定した読み出し
出力を得ることができる。
【0071】さらに、mRsel +(m−1)RF <<R
B の場合、非選択メモリセル13un sel に流れる電流を
整流素子12を接続しない場合よりも小さくできるた
め、非選択メモリセル13unsel の誤読み出しや、消費
電力の増大を防ぐことができる。
【0072】次に、本発明のメモリセルブロックの具体
的な構成を説明する。図3は本発明の第1実施形態に係
わる磁気記憶装置のメモリセルブロックの構成を示す図
である。図3(a)は平面図、図3(b)は同図(a)
のA−A’部の断面図、図3(c)は同図(a)のB−
B’部の断面図である。
【0073】B又はInが1016〜1018cm-3添加さ
れたp型シリコン基板31上に、Sb,PまたはAsを
不純物濃度として1016〜1021cm-3添加され厚さ1
0〜500nmのn+ 型シリコン層32、及びSb,P
又はAsを不純物濃度として1015〜1018cm-3添加
され厚さ5〜100nmのn型シリコン層33が順次積
層されている。なお、n+ 型シリコン層32及びn型シ
リコン層33はライン状に2本形成され、n+ 型シリコ
ン層32は、データ選択線として機能する。このデータ
選択線のn層32,33は、p型シリコン基板と逆バイ
アスを印加することにより、互いに電気的に分離されて
いる。
【0074】2本のn+ 型シリコン層32及びn型シリ
コン層33からなるライン状の積層構造は、p型シリコ
ン基板31上に形成された第1の素子分離絶縁膜34に
よって互いに絶縁分離されている。なお、第1の素子分
離絶縁膜34の厚さは10〜500nmであり、その表
面はn型シリコン層33の表面と同じか表面より高い位
置にある。
【0075】n型シリコン層33上の所定領域に、導電
体層35及び第1のバリアメタル層36が積層されてい
る。なお、導電体層35とn型シリコン層33とは、シ
ョットキー接合となっており、n型シリコン層33をカ
ソードとするショットキーダイオード(整流素子)37
が形成されている。また、導電体層35及び第1のバリ
アメタル層36の周囲は、厚さ50〜1000nmの第
2の素子分離絶縁膜38が形成されている。
【0076】第1のバリアメタル層36及び第2の素子
分離絶縁膜38上の所定領域に、第1の磁性体膜39,
非磁性絶縁膜40,第2の磁性体膜41及び第2のバリ
アメタル層42が形成されている。第1の磁性体膜3
9,非磁性絶縁膜40及び第2の磁性体膜41は、格子
状に形成され、その1辺の方向はn型シリコン層33の
長手方向と平行であることが望ましい。第1の磁性体膜
39,非磁性絶縁膜40,第2の磁性体膜41及び第2
のバリアメタル層42の周囲は、厚さ10〜500nm
の第3の素子分離絶縁膜43が形成されている。
【0077】そして、第2のバリアメタル層42及び第
3の素子分離絶縁膜43上にB−B’方向に長手方向を
有するデータ転送線14が形成されている。
【0078】図3において、第1の磁性体膜39は強磁
性体で構成され、第2の磁性体膜41は、第1の磁性体
膜39と比べて保持力が小さい強磁性体、若しくは保磁
力が小さい、例えば20Oe以下の保持力を有する軟磁
性体で構成されている。
【0079】ここで必要なのは、第2の磁性体膜41の
保磁力が、第1の磁性体膜39の保磁力よりも小さいこ
とであり、必ずしも第1の磁性体膜39が強磁性体で第
2の磁性体膜41が軟磁性体である必要はなく、第1お
よび第2の磁性体膜39,41が共に強磁性体であって
も良いし、第1および第2の磁性体膜39,41が共に
軟磁性体であっても良い。
【0080】ここで、第1の磁性体膜39としては、例
えば厚さ0.5〜500nmのFe,Ni,Co,C
r,Mnやそれらの合金NiFeやCoFe,NiFe
Co,CoPtおよびこれらの積層膜を用いることが可
能である。
【0081】また、第2の磁性体膜41としては、保磁
力が第1の磁性体膜39よりも小さく、磁化は同程度で
あることが望ましく、厚さ0.5〜500nmのNiF
e,CoFe,NiFeCo,CoTaZr,CoNb
Zr,FeTaN、またはCoZrNb/NiFe/C
oFe等の積層膜を用いることが可能である。
【0082】第2の磁性体膜41の保磁力を第1の磁性
体膜39の保磁力よりも小さくするには、例えば第2の
磁性体膜41の材質を変えるだけでなく、同じ組成を用
いても第2の磁性体膜41の膜厚を第1の磁性体膜39
のそれよりも薄くすることによって実現することができ
る。
【0083】第2の磁性体膜41および第1の磁性体膜
39は、非磁性絶縁膜40を挟んでおり、第1の磁性体
膜39から第2の磁性体膜41へと流れる電流は、非磁
性絶縁膜40を伝導電子のスピンを反転することなく流
れる電流成分が存在する。つまり、非磁性絶縁膜40の
伝導電子のスピン緩和長は、非磁性絶縁膜40の膜厚よ
りも大きくなる。例えば、非磁性絶縁膜40としては、
厚さ0.2〜50nmのシリコン酸化膜,シリコン窒化
膜,Ti酸化膜,またはアルミ酸化膜を用いることが可
能である。
【0084】ここで、第1の磁性体膜39,非磁性絶縁
膜40,第2の磁性体膜41からなる積層構造で磁気状
態によって磁気抵抗が生じる磁気記憶部を形成してい
る。これらは、データ選択線が積層して形成された場所
で磁気状態を記憶するメモリセル13となっている。こ
こで、第1及び第2の磁性体膜39,41の磁化方向が
平行な場合に、第1及び第2の磁性体膜39,41のス
ピンを考慮した状態密度が一致するため、第1の磁性体
膜39と第2の磁性体膜41との間に流れる電流の抵抗
が低くなる。また、第1及び第2の磁性体膜39,41
の磁化方向が反平行な場合に、第1の磁性体膜39と第
2の磁性体膜41との間に流れる電流の抵抗が高くな
る。また、第1の磁性体膜39と第2の磁性体膜41と
の交換磁界は、第2の磁性体膜41の保磁力よりも弱い
ことが、それぞれの膜の磁化を独立に制御できるために
望ましい。
【0085】また、磁気記憶部の中心部分でデータ転送
線14に沿った縁部分の磁化と独立にデータ選択線方向
に沿った磁化を記憶できるようにするために、第1及び
第2の磁性体膜39,41の膜厚を厚くすることによっ
て、ネール磁壁の厚さを小さくしデータ転送線の幅を大
きくすることが望ましい。
【0086】ここで、第1のバリアメタル層36は、例
えば、厚さ1〜100nmのTaNやTiN、TaWか
らなり、上部構造を形成する場合の不純物汚染を防ぎ、
配線間の密着性を向上する役割がある。また、データ転
送線14は、例えば、50〜1000nmからなるW、
Al、AlCuまたはCuから形成され、データ転送線
のメモリセル同士の接続領域の寄生抵抗を削減する役割
がある。p型シリコン基板31に逆バイアスを印加する
ことによって、n+ 型シリコン層32とp型シリコン基
板31とが電気的に分離されるように形成されている。
図3においては、隣接する2本のデータ選択線にそれぞ
れ、1つのメモリセルが2つ形成されている。また、素
子分離絶縁膜34,38,43は、例えば、シリコン酸
化膜、チタン酸化膜、アルミ酸化膜、またはシリコン窒
化膜からなる。
【0087】ここで、第1の磁性体膜39及び第2の磁
性体膜41の磁化容易方向がn+ 型シリコン層32の長
手方向と平行に形成されている。この磁化容易方向を形
成する方法としては、例えばNiFeでは、磁場を磁化
容易方向に印加しながら膜堆積を行うことによって5〜
15Oe程度の異方性磁界を作りつけることができる。
また、第1及び第2の磁性体膜39,41の磁化の向き
を全体として磁化容易方向に沿って1つの向き及び逆の
向きに記憶することによって、例えば、2つの状態、す
なわち、1ビットの論理情報を記憶している。
【0088】次に、図4〜7の工程図を用いて、図3に
示した磁気記憶装置の製造工程を説明する。図4〜7に
おいて、(a),(b),(c)は、それぞれ図3
(a),(b),(c)に対応する図である。
【0089】先ず、図4(a)に示すように、例えば、
シリコン基板の表面にボロン濃度1015cm-3のp型層
を形成したp型シリコン基板31を準備する。そして、
p型シリコン基板31の表面を酸化し、例えば0.01
〜0.05μmの厚さの熱酸化膜(不図示)を形成す
る。さらに、シリコン窒化膜又はシリコン酸化膜からな
る絶縁膜を例えば0.03〜0.5μm堆積した後、絶
縁膜のパターニングを行ってマスク材(不図示)を形成
する。そして、マスク材をマスクにp型シリコン基板3
1を選択的にエッチングし、深さ0.05〜0.5μm
程度のトレンチを形成する。
【0090】そして、シリコン酸化膜またはシリコン窒
化膜からなる絶縁膜を0.1〜1μm堆積する。この
後、シリコン基板31表面に比べ±0.3μmの高さの
範囲に入るようにエッチバックまたはポリッシングによ
ってトレンチ内以外の絶縁膜取り除いて、第1の素子分
離絶縁膜34を形成する。そして、マスク材及び熱酸化
膜を、例えば、反応性エッチングによって取り除く。
【0091】次いで、露出するp型シリコン基板31の
表面を酸化し、例えば0.01〜0.05μmの厚さの
犠牲酸化膜となるシリコン酸化膜を作成する。レジスト
を全面に塗布した後、リソグラフィ技術を用いて所定パ
ターンのレジストパターンを形成し、次いで、ボロンや
インジウムを、例えば、加速電圧30〜2000eV、
1012〜1016cm-2イオン注入してp型シリコン基板
31の不純物濃度を最適化する。
【0092】なお、イオン注入の際、少なくとも第1の
素子分離絶縁膜34の底面より下に最適化されたp型層
が形成されるように、イオンの打ち込み深さを調節する
ことが望ましい。また、濃度は1016〜1018cm-3
なるようにし、複数の第1の素子分離絶縁膜34の下に
最適化されたp型領域が連続して形成されるようにす
る。この後に、イオン注入欠陥回復のための700〜1
100度、10秒〜60分程度の熱工程を加えても良
い。
【0093】次いで、図5に示すように、例えばリン,
砒素又はアンチモンを加速電圧50〜2000eV、ド
ーズ量1013〜1016cm-2程度でイオン注入してp型
シリコン基板31の表面にn+ 型シリコン層32を形成
する。
【0094】なお、イオン注入の際、第1の素子分離絶
縁膜34の底面より上にn型層が形成されるように、イ
オンの打ち込み深さを調節する。そして、第1の素子分
離絶縁膜34によって、n+ 型シリコン層32が他のn
+ 型シリコン層32と互いに分離され、複数のデータ選
択線を形成する。なお、リンまたは砒素は一価の正イオ
ンではなく、二価の正イオンを用いて加速電圧を下げて
もよい。
【0095】さらに、例えば、リン、砒素、またはアン
チモンを例えば、加速電圧30〜1000eV、ドーズ
量1012〜1015cm-2程度でイオン注入してn+ 型シ
リコン層32より基板表面に近い領域にn型シリコン層
33を形成する。
【0096】イオン注入の際、n型シリコン層33が、
+ 型シリコン層32よりも基板31の表面に近い領域
に形成され、且つn+ 型シリコン層32よりも不純物濃
度が小さくなるようにする。リンまたは砒素は一価の正
イオンではなく、二価の正イオンを用いて加速電圧を下
げてもよい。また、n+ 型シリコン層32及びn型シリ
コン層33を形成するイオン注入は、2回に分ける必要
はなく一回で行っても良い。この後に、イオン注入欠陥
回復のための700〜1100℃、10秒〜60分程度
の熱工程を加えても良い。さらに、例えば、弗化アンモ
ニウム溶液や希フッ酸水溶液を用いて犠牲酸化膜を選択
的に取り除く。
【0097】次いで、図6に示すように、例えばシリコ
ン酸化膜,シリコン窒化膜,PSG又はBPSGを厚さ
50〜1000nm堆積し、第2の素子分離絶縁膜38
を形成する。そして、コンタクト孔の開口パターンを有
するレジストパターンを形成した後、第2の素子分離絶
縁膜38をエッチングしてn型シリコン層33に接続す
るコンタクト孔を形成する。
【0098】さらに、Ti,TiN,TiSi,WS
i,W,Cu,Al又はAlSiからなる電極材を全面
に50〜1000nmの厚さで堆積した後、CMP又は
エッチバックによって第2の素子分離絶縁膜38上の電
極材を除去し、コンタクト孔に導電体層35を埋め込み
形成する。このとき、導電体層35の表面が、第2の素
子分離絶縁膜38の表面より僅かに下にあるようにす
る。
【0099】なお、導電体層35としては、単一組成の
膜ではなく、例えば、バリアメタルとなるTiNやT
i、Ta、TaNまたはその積層膜を、1〜70nm堆
積した後、導電体層35となる電極材を堆積してもよ
い。
【0100】そして、第1のバリアメタル層36となる
TaNやTi、TiN、TaWから導電膜を、例えば、
厚さ1〜100nm堆積し、CMP又はエッチバックに
よって、前記コンタクト孔に第1のバリアメタル層36
を埋め込み形成する。
【0101】また、導電膜を全面に堆積した後、リソグ
ラフィ及びエッチングを行って第1のバリアメタル層3
6を形成しても良い。なお、第2の素子分離絶縁膜38
の表面と第1のバリアメタル層36の表面との高さを一
致させることによって、下地段差を小さくし、段差被覆
率が良くないスパッタ等の成膜方法で第1の磁性体膜3
9を形成しても、膜厚及び組成の均一性が良い膜を形成
することができる。
【0102】次いで、図7に示すように、例えば、第1
の磁性体膜39として、Fe,Ni,Co,Cr,Mn
やそれらの合金NiFeやCoFe、NiFeCo、C
oPt又はこれらの積層膜を厚さ500〜0.5nm、
スパッタリング方法等によって堆積する。
【0103】次いで、非磁性絶縁膜40となるシリコン
酸化膜、シリコン窒化膜、チタン酸化膜、アルミ酸化膜
等の非磁性の絶縁膜を厚さ0.2〜50nm、CVD又
はスパッタリング法によって堆積する。
【0104】次に、第2の磁性体膜41として、NiF
e、CoFe、NiFeCo、CoTaZr、CoNb
Zr、FeTaNまたは、CoZrNb/NiFe/C
oFeなどの積層膜を厚さ500〜0.5nmを、例え
ば、CVDまたはスパッタリングによって堆積する。さ
らに、第2のバリアメタル層42として、例えばTaN
やTiN、TaWまたはその積層膜を厚さ1〜100n
mで、例えば、CVDまたはスパッタリング法によって
形成する。
【0105】そして、リソグラフィ技術を用いて第2の
バリアメタル層にマスクを形成した後、イオンミリング
によって、第2のバリアメタル層42,第2の磁性体膜
41,非磁性絶縁膜40,第1の磁性体膜39をエッチ
ングし、図7に示す形状を得る。
【0106】ここで、第1のバリアメタル層36をパタ
ーニングによって形成する場合、第1のバリアメタル層
36を第1の磁性体膜39を堆積する前にあらかじめパ
ターニングするのではなく、第1の磁性体膜39のパタ
ーニングと同時にイオンミリングによって、第1のバリ
アメタル層36のパターニングを第1のバリアメタル層
36等のパターニング時に行うことも可能である。
【0107】この後、例えば、第3の素子分離絶縁膜4
3として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、チタン酸
化膜、アルミ酸化膜を厚さ3〜1100nmで全面に堆
積した後、例えば、第2のバリアメタル層42が表面に
出るまでCMPまたはエッチバックによって第3の素子
分離絶縁膜43を埋め込み形成する。
【0108】さらに、例えば、W、Al、AlCuまた
はCuを厚さ50〜1000nm全面堆積した後、パタ
ーニングすることでA−A’方向に長手方向を有するデ
ータ転送線14を形成する。
【0109】なお、上述した本製造方法では、図5と図
6に示した工程の間に、MISFETのゲート電極及び
ソース・ドレイン層を形成する工程を追加することによ
って、MISFET及び配線層をメモリセルと同時に形
成できる。
【0110】図8は、p型MISFETをメモリセルブ
ロックと同時形成した場合の図である。なお、図8
(a),(b),(c)は、それぞれ図3(a),
(b),(c)の部位に対応する図である。
【0111】n型シリコン層33上にゲート絶縁膜81
が形成され、ゲート絶縁膜81及び第1の素子分離絶縁
膜34上にゲート電極82が形成されている。ゲート電
極82の両脇のn型シリコン層83の表面にp型ソース
・ドレイン層83が形成されている。
【0112】なお、ゲート絶縁膜81は、厚さが3〜2
0nmのシリコン酸化膜,シリコン窒化膜,タンタル酸
化膜,チタン酸化膜,(Ba,Sr)TiO3 、SrT
iO3 からなる。さらに、ゲート電極82は、例えば、
n型またはp型ポリシリコンを用いて30〜500nm
の厚さで形成されている。
【0113】この形成法としては、第1の素子分離絶縁
膜34の形成後に、n型シリコン層33の表面を酸化又
は窒化して厚さ3〜20nmのゲート絶縁膜となる絶縁
膜を形成する。そして、ゲート電極82となる多結晶シ
リコン膜を30〜500nm全面に堆積し、リン,砒
素,又はボロンをイオン注入して多結晶シリコン膜を低
抵抗化する。なお、多結晶シリコン膜上に、例えばシリ
コン酸化膜やシリコン窒化膜からなる絶縁膜を、10〜
300nm全面に堆積しても良い。さらに、リソグラフ
ィーと反応性イオンエッチングにより絶縁膜及び多結晶
シリコン膜をパターニングして、ゲート電極82及びゲ
ート絶縁膜81を形成する。
【0114】そして、リソグラフィ技術を用いて所定領
域にマスクとなるレジストパターンを形成した後、p型
不純物であるボロン,又はBF2 を例えば、加速電圧1
〜30eV、ドーズ量1013〜1016cm-2程度でイオ
ン注入してp型ソース・ドレイン層83を作成する。そ
して、この後、図7以降の導電体層35の形成を行えば
よい。
【0115】なお、p型ソース・ドレイン層83の形成
後に、イオン注入欠陥回復のための700〜1100
℃、10秒〜60分程度の熱工程を加えても良い。ま
た、例えば、CoかTiを0.01〜0.3um全面堆
積し、600度以上の熱工程を経ることによって選択的
にソース・ドレイン層上にCoシリサイドを形成し、残
った金属をエッチングによって取り除き、ソース・ドレ
イン層を低抵抗化してもよい。
【0116】またさらには、データ転送線14を前記M
ISFETトランジスタ回路の配線層として用いること
もできる。データ転送線14をトランジスタの配線層と
して用いると、工程をさらに短縮し、他の半導体回路と
同一基板上に集積化することができる。
【0117】図9は、データ転送線14をゲート電極8
2とp型ソース・ドレイン層83に対する配線層として
用いた例を示す図である。なお、図9(a),(b),
(c)は、それぞれ図3(a),(b),(c)に対応
する部位であり、図9(d)は同図(b)のC−C’部
の断面図である。
【0118】ゲート電極82が、導電体層35及び第1
のバリアメタル層36を介して、データ転送線14に接
続されており、p型ソース・ドレイン層83が、導電体
層35及び第1のバリアメタル層36を介して、データ
転送線14に接続されている。つまり、p型ソース・ド
レイン層83とゲート電極82とが、データ転送線14
を介して接続されている。勿論、データ転送線14が複
数のp型ソース・ドレイン層83と、複数のゲート電極
82とに接続されていても良い。
【0119】この形成法としては、図6に示した工程の
代わりに以下の工程を用いればよい。図8に示したMI
SFETのゲート電極82及びp型ソース・ドレイン層
83の形成後にシリコン酸化膜,シリコン窒化膜,PS
G又はBPSGからなる第2の素子分離絶縁膜38を例
えば、厚さ50〜1000nm堆積する。
【0120】そして、コンタクト孔のマスクパターンを
形成した後、マスクパターンをマスクにゲート電極82
及びp型ソース・ドレイン層83が露出するまで第2の
素子分離絶縁膜38をエッチングする。この際、メモリ
セル部分のコンタクト孔では、図9に示すようにn型シ
リコン層33が露出するまでエッチングを行えば、これ
ら構造はメモリセルとは同時形成できる。これには、例
えば、第2の素子分離絶縁膜38とシリコンとの選択比
が大きなエッチングを行えばよい。さらに、導電材を厚
さ50〜1000nm堆積した後、CMPまたはエッチ
バックによって、前記コンタクト孔に導電体層35を埋
め込み形成する。
【0121】さらに、第1のバリアメタル層36となる
TaNやTi、TiN、Tawから導電膜層を、例え
ば、厚さ1〜100nm堆積し、CMPまたはエッチバ
ックによって、前記コンタクト孔に第1のバリアメタル
層36を導電体層35上に埋め込み形成する。これら工
程で、TMRメモリセル部分では、図6(a),
(b),(c)の形状を得ることができる。
【0122】さらに、第2のバリアメタル層膜42,第
2の磁性体膜41,非磁性絶縁膜40及び第1の磁性体
膜39の堆積及びエッチングする工程は、図6から図7
までの工程と同じである。この時、周辺回路部で第2の
バリアメタル層膜42,第2の磁性体膜41,非磁性絶
縁膜40及び第1の磁性体膜39がエッチングされるよ
うにする。
【0123】さらに、第3の素子分離絶縁膜43を厚さ
3〜1100nm全面堆積する。その後、磁気メモリセ
ル部で第2のバリアメタル層42が露出するまで第3の
素子分離絶縁膜43をエッチングする。さらに、パター
ニングを行うことにより、第3の素子分離絶縁膜43
に、図9に示すような第1のバリアメタル層36に接続
するコンタクト孔を形成する。さらに、例えば、W、A
l、AlCuまたはCuを厚さ50〜1000nm全面
堆積した後、リソグラフィによってA−A’方向にパタ
ーニングすることでデータ転送線14を形成する。これ
により、データ転送線14と第1のバリアメタル層36
が電気的に接触することになる。
【0124】以上述べたように、トランジスタを形成す
る工程と配線層を形成する工程を組み合わせることによ
って、データ転送線と磁気メモリセルと読み出し回路や
センスアンプを集積化することができ、センスアンプと
磁気メモリセルとの間の距離を小さくすることができ、
より寄生容量及び配線抵抗を小さくすることができる。
寄生容量を減らすことによって、充電を行う必要が少な
くなるため、より低消費電力、且つ配線遅延の小さな高
速、高密度のメモリセルが実現することができる。本実
施形態では整流素子に半導体を用いたダイオードを用い
ている。従って、半導体の不純物添加量を変化させるこ
とにより、RF 及びRB を再現性良く制御することがで
きる。また、高いRB を得ることが容易に実現できる。
【0125】(変形例1)次に、本実施形態の変形例1
について説明する。図10は、本変形例の読み出し回路
の構成を示す図である。なお、図10において、図1と
同一の部分には、同一符号をつけて詳しい説明は省略す
る。
【0126】本変形例では、図1に示した回路図と、整
流素子の整流方向及び整流素子がpn接合ダイオード1
01で構成されている点が異なる。
【0127】次に、本回路の動作を図11のタイミング
チャートを用いて説明する。先ず、選択データ選択線1
sel の電位VWLsel 及び非選択データ選択線11
unsel の電位VWLunsel を、データ転送線14のプリチ
ャージ電圧以下である、例えば0Vにすることによっ
て、データ転送線14からデータ選択線11に流れる電
流を遮断し、データ転送線14を浮遊状態にする。
【0128】次いで、トランジスタ19のゲート電圧V
readを0VからVDDにすることによって、トランジスタ
19をon状態にし、データ転送線14の電位VBLをプ
リチャージ電圧である、例えば0Vに充電する。
【0129】次いで、選択データ選択線11sel の電位
WLsel をプリチャージ電圧よりも高い電圧であるVDD
にし、選択メモリセル13sel に選択的に電流を流す。
なお、非選択データ選択線11unsel の電圧VWLunsel
は、プリチャージ電圧以下の電圧に保ったままとする。
【0130】選択メモリセル13sel に電流を流した
際、選択メモリセル13sel のデータ状態が“0”の場
合、“1”の状態のメモリセル13sel の抵抗より低い
ため、データ転送線14の電圧は、データ状態が“0”
の場合は“1”の場合よりも電圧降下量が大きくなる。
【0131】トランジスタ19のドレイン電極からソー
ス電極に流れる電流をIとすると、選択メモリセル13
sel の“0”に対応する抵抗値をRsel −ΔRsel
“1”状態に対応する抵抗値をRsel とし、非選択メモ
リセル13unsel の抵抗値の平均値をRunsel とし、選
択データ選択線11sel に印加する電圧をVDD、非選択
データ選択線11unsel に印加する電圧を0Vとする。
【0132】また、直列に接続されたpn接合ダイオー
ド101の順方向に電流を流した場合の抵抗をRF 、逆
方向に電流を流した場合の抵抗をRB とし、データ転送
線14並列に接続されているメモリセルの個数をm個と
する。
【0133】ここで、選択メモリセル13sel の“0”
に対応するデータ転送線14の電圧VBLは、以下のよう
になる。
【0134】
【数7】
【0135】また、選択メモリセル13sel の“1”に
対応するデータ転送線14の電圧V6は、以下のように
なる。
【0136】
【数8】
【0137】選択メモリセル13sel の“1”及び
“0”の状態をそれぞれ正しく弁別するためには、V5
及びV6 が、データ転送線14に並列に接続されている
他の非選択メモリセル13unsel の状態によらず重なる
領域ができない、つまり抵抗Run sel の値によらず常に
6 >V5 であることが必要である。
【0138】ここで、非選択メモリセル13sel の抵抗
unsel の最大値をRunselmaxとすると、データ転送線
14の電圧V6 は最小値V6minをとる。
【0139】一方、非選択メモリセル13sel の抵抗R
unsel の最小値をRunselminとすると、V5 はこの最大
値V5maxをとり、V5 及びV6 が最も接近する。ここで
un sel =Runselmax−αΔRsel となる条件では、V
6minとV5maxとの差である最小出力信号電圧振幅ΔV”
は以下のように表される。ここで、α=(Runselmax
B )/(Rsel +RF )である。
【0140】 ΔV”=V5max−V6min=IΔRsel α/(m+α−1) (10) この値は、pn接合ダイオード101を入れない従来例
(3)の値に等しい。
【0141】以上から、RunselminとRunselmaxとがR
unsel =Runselmax−Rsel となるように固定した場合
と比較して、(Runselmax+RB )>(Rsel
F )、つまりα>1となるようにRB とRF とを調整
することによって、Runselmin>Runselmax−αΔR
sel となる条件を満たすことができ、α=1の場合の式
(10)のΔV”よりもより大きなΔV”を得ることが
できる。
【0142】さらに、例えば、mRsel +(m−1)R
F <<RB の条件、つまり整流性接合を逆方向に流れる
場合の抵抗が、整流性接合を順方向に流れる場合の抵抗
よりも十分高い場合を考えると、式(8)及び式(9)
から以下のようになる。
【0143】 ΔV”=V5 −V6 〜IΔRsel (11) 式(11)でのΔV”はΔRsel 程度であり、式(3)
のΔV=IΔRsel /mと比較してmが増えてもΔV”
が減少することなく、安定した読み出し出力を得ること
ができる。
【0144】さらに、mRsel +(m−1)RF <<R
B の場合、非選択メモリセル13un sel に流れる電流
を、整流性接合を接続しない場合よりも小さくできるた
め、非選択メモリセル13unsel の誤読み出しや、消費
電力の増大を防ぐことができる。
【0145】図12に本発明の第1実施形態の変形例1
の具体的構成を示す。図12(a)は平面図、図12
(b)は同図(a)のA−A’部の断面図、図12
(c)は同図(a)のB−B’部の断面図である。な
お、図3と同一の部分には、同一符号をつけて詳しい説
明は省略する。
【0146】本変形例では、p型シリコン基板31の代
わりに、n型シリコン基板121を用い、n+ 型シリコ
ン層32及びn型シリコン層33が形成されていた領域
に、p+ 型シリコン層122,p型シリコン層123が
形成され、導電体層35に接触するp型シリコン層の表
面にn型シリコン層124が形成されている。p型シリ
コン層123とn型シリコン層124とは、pn接合を
形成し、pn接合ダイオード101となっている。
【0147】なお、n型シリコン基板121は、Sb,
PまたはAsを不純物濃度として1015〜1018cm-3
添加されたものである。又、p+ 型シリコン層122
は、B又はInを不純物濃度として1016〜1021cm
-3添加され、p型シリコン層123と合わせた厚さが1
0〜500nmである。p型シリコン層123は、B又
はInが1016〜1018cm-3程度添加されたものであ
る。又、n型シリコン層124は、Sb,P又はASを
1015〜1018cm-3程度添加され、厚さが5〜100
nmである。
【0148】さらに、n型シリコン基板121に逆バイ
アス電圧を印加することによって、p+ 型シリコン層1
22とn型シリコン基板121とが電気的に分離される
ように形成されている。
【0149】p+ 型シリコン層122は、データ選択線
として機能し、データ転送線14と直交する方向、つま
り、図12(a)ではB−B’方向にパターニングされ
て形成されている。図12においては、隣接する2本の
データ選択線にそれぞれ、1つのメモリセル2つが形成
されている。
【0150】次に、図13を用いて本変形例の磁気記憶
装置のメモリセルブロックの製造工程を説明する。先
ず、リン又はアンチモンの濃度が1015〜1016cm-3
であるn型シリコン基板121に素子分離絶縁膜34を
形成する。この工程は、第1実施形態の図4に示した工
程において、n型シリコン基板31がp型シリコン基板
に変わっただけなので、詳細な説明を省略する。
【0151】次いで、露出するn型シリコン基板121
の表面を酸化し、たとえば0.01〜0.05μmの厚
さのシリコン酸化膜を作成する。そして、レジストを全
面に塗布後、リソグラフィ技術を用いて所定領域にレジ
ストパターンを形成した後、Sb,P又はAsを、例え
ば加速電圧30〜2000eV、ドーズ量1012〜10
16cm-2程度でイオン注入してn型シリコン基板121
の不純物濃度を最適化する。
【0152】なお、イオン注入の際、少なくとも第1の
素子分離絶縁膜34の底面より下に最適化されたn型層
が形成されるように、イオンの打ち込み深さを調節する
ことが望ましい。また、濃度は1016〜1018cm-3
なるようにし、複数の第1の素子分離絶縁膜34の下に
最適化されたn型領域が連続して形成されるようにす
る。この後に、イオン注入欠陥回復のための700〜1
100度、10秒〜60分程度の熱工程を加えても良
い。
【0153】次いで、半導体領域の表面を酸化し、例え
ば0.01〜0.05μmの厚さのイオン注入の犠牲酸
化膜となるSi酸化膜を作成する。そして、B又はIn
を例えば加速電圧50〜2000eV、ドーズ量1013
〜1016cm-2程度でイオン注入してn型シリコン基板
121の表面にp+ 型シリコン層122を形成する。
【0154】なお、イオン注入の際、第1の素子分離絶
縁膜34の底面より上にp型層が形成されるように、イ
オンの打ち込み深さを調節する。そして、第1の素子分
離絶縁膜34によって、p+ 型シリコン層122が他の
+ 型シリコン層122と互いに分離され、複数のデー
タ選択線を形成する。
【0155】さらに、B又はInを例えば、加速電圧3
0〜1000eV、ドーズ量1012〜1015cm-2程度
でイオン注入してp+ 型シリコン層122の表面にp型
シリコン層123を形成する。
【0156】イオン注入の際、p型シリコン層123
が、p+ 型シリコン層122よりも基板121の表面に
近い領域に形成され、且つp+ 型シリコン層122より
も不純物濃度が小さくなるようにする。また、p+ 型シ
リコン層122及びp型シリコン層123を形成するイ
オン注入は、2回に分ける必要はなく1回で行っても良
い。
【0157】さらに、リン,砒素又はアンチモンを例え
ば、加速電圧5〜100eV、ドーズ量1014〜1017
cm-2程度でイオン注入してp型シリコン層123の表
面にn型シリコン層124を形成する。イオン注入後、
イオン注入欠陥回復のための700〜1100度、10
秒〜60分程度の熱工程を加えても良い。そしてさら
に、例えば、弗化アンモニウム溶液や希フッ酸によって
犠牲酸化膜を取り除く。
【0158】その後、図6以降に示した製造工程と同一
な工程を経て本変形例の磁気記憶装置が形成される。な
お、n型シリコン層124は、第2の素子分離絶縁膜3
8に形成されたコンタクト孔に導電体層35となる金属
を堆積する前に、例えば、リン、砒素、またはアンチモ
ンを例えば、加速電圧5〜100eV、1014〜1017
cm-2イオン注入することによって形成してもよい。
【0159】本変形例では、ショットキー接合ダイオー
ドではなくpn接合ダイオードを用いているため、逆方
向電流をより小さく保つことができる。よって、順方向
電流に対する逆方向電流の比をより大きく確保できる。
また、非選択メモリセルに流れる逆方向電流を小さく保
つことができ、より多くのメモリセルを並列接続させる
ことができ、よりメモリセルの高密度に配置することが
できる。
【0160】またさらに、非選択データ選択線を第1実
施形態よりも低い電圧にすることができ、選択したデー
タ選択線のみ、VDDに充電することができる。よって、
第1実施形態よりも、より、データ選択線を充実するた
めの電流を小さくでき、消費電力を低く保つことができ
る。また、一つのデータ選択線のみをVDDにすればよい
ので、第1実施形態よりもデータ選択線からのリーク電
流を低く抑えることができる。
【0161】(変形例2)図13に本発明の第1実施形
態の変形例2の構造を示す。図13(a)は平面図を、
図13(b)は同図(a)のA−A’部の断面図、図1
3(c)は同図(a)のB−B’部の断面図である。な
お、図3と同一の部分には、同一符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0162】本変形例の基本的な構造は、図3に示した
第1実施形態とほぼ同一であるが、n型シリコン層32
がp型シリコン基板31上ではなく、絶縁体層131上
に形成されている点が異なっている。
【0163】なお、絶縁体層131は、例えば、10〜
400nmの厚さのシリコン酸化膜,シリコン窒化膜又
はアルミ酸化膜で形成されている。また、素子分離絶縁
膜34は絶縁体層131に接するように形成され、隣接
するn+ 型シリコン層32及びn型シリコン層33は素
子分離絶縁膜34及び絶縁体層131によって互いに分
離されている。
【0164】本変形例の製造工程は、第1実施形態に示
した製造工程において、例えば、p型シリコン基板31
の代わりに、10〜400nmの厚さの埋め込み酸化膜
上に10〜200nmの厚さの表面シリコン膜が形成さ
れたSOI(siliconon insulato
r)基板を用い、素子分離絶縁膜34が埋め込み酸化膜
に接するように形成すればよく、埋め込み酸化膜が絶縁
体層131となる。
【0165】本変形例では、データ選択線となるn+
シリコン層32及びn型シリコン層33が、絶縁体層1
31上に形成されているため、データ選択線(n+ 型シ
リコン層32)の容量を小さくすることができる。従っ
て、データ選択線の充放電をより高速に行うことがで
き、充放電に必要な電荷量をより少なくすることができ
る。さらに、データ選択線からのリーク電流を防止で
き、結合容量によるノイズも小さくでき、データ選択線
間の距離も小さくできる。以上から、第1実施形態に示
した磁気記憶装置よりも、より高速低消費電力、及び高
密度化が実現できる。
【0166】(変形例3)図14は、第1実施形態の変
形例3に係わるメモリセルマトリクスの読み取り動作を
行う回路構成を模式的に示す図である。なお、図1と同
一の部分には、同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0167】本変形例は、図10に示した変形例1と比
べて、整流素子がショットキーダイオード12で形成さ
れている点、並びにメモリセル13と整流素子(ショッ
トキーダイオード12)との配置関係が逆になっている
点が異なっている。
【0168】次に、本回路の動作は図15に示したタイ
ミング図のようになる。このタイミングについては、図
11に示したタイミングと同じなので説明は省略する。
【0169】さらに、図16に本変形例3のTMRメモ
リセルブロックの具体的な構成例を示す。ここで、図1
6(a)は平面図を、図16(b)は同図(a)のA−
A’部の断面図、図16(c)は同図(a)のB−B’
部の断面図を示している。なお、図16において、図3
と同一部分には、同一符号を付し詳細な説明は省略す
る。
【0170】本変形例は、基本的な構成は第1実施形態
と同じであるが、データ転送線(n+ 型シリコン層3
2)が、図16(a)のB−B’方向に延在して形成さ
れており、データ選択線11は、図16(a)A−A’
方向に延在して磁気メモリセルの上方に形成されている
点が異なっている。
【0171】すなわち、図16においては、B−B’方
向に磁気メモリセルがデータ転送線に並列接続され、A
−A’方向に二つの磁気メモリセルがデータ選択線11
に並列接続され、全体として2×2の磁気メモリセルア
レイがクロスポイント形成されている。なお製造方法に
ついては、第1実施形態でデータ転送線(n+ 型シリコ
ン層32)とデータ選択線11とを組み替えて形成すれ
ばよく、同一なので省略する。
【0172】本変形例においては、例えばデータ選択線
11にAlやCuなどの金属を使うことによって、デー
タ選択線11の抵抗を小さく保つことができ、データ選
択線11に流す電流を増加させることができるため、デ
ータ選択線11に接続するメモリセルの数を増やすこと
ができ、高密度化が実現できる。さらに、データ選択線
11に対する寄生容量や抵抗も小さくすることができる
ため、より消費電力が小さく高速に動作するメモリセル
を実現できる。
【0173】[第2実施形態]第2実施形態では、TM
Rメモリセルに整流素子を接続するのではなく、TMR
メモリセル自体が整流作用を有する構造について説明す
る。図17は、本発明の第2実施形態に係わるTMRメ
モリセル部分の熱平衡状態のバンドダイアグラムを示す
図である。
【0174】本ダイアグラムでは、強磁性体で形成され
た第1の磁性体膜171のフェルミエネルギーと非磁性
絶縁膜172とのエネルギー障壁qΦ1 と、強磁性体で
形成された第2の磁性体膜173のフェルミエネルギー
と非磁性絶縁膜172とのエネルギー障壁qΦ2 とが異
なっている。
【0175】熱平衡状態では、非磁性絶縁膜172は、
非対称なトンネルバリアを形成している。なお、このΦ
1 とΦ2 の大小関係は、Φ2 >Φ1 でなくとも、Φ2
Φ1でも構わず、非対称なトンネルバリアが形成されれ
ばよい。
【0176】非磁性絶縁膜172の非対称なトンネルバ
リアによって、TMRメモリセルに順方向に電流を流し
た場合と、逆方向に電流を流した場合とで、抵抗値に差
ができる。つまり、TMRメモリセルが整流性を有す
る。そこで、第1実施形態で述べたように、(R
unselmax+RB )>(Rsel +RF )となるようにRB
とRFとを調整し、整流性が存在することによってより
信号出力を従来よりも増大させることができる。
【0177】本実施形態では、非対称なトンネルバリア
を用いることで、第1実施形態のようにメモリセルに直
列に整流素子を接続しなくても、整流性を得ることがで
きる。これを以下に説明する。
【0178】図18(a)に図17に示したダイアグラ
ムの第2の磁性体膜173に正電圧Vを印加した場合の
TMRメモリセルのバンドダイアグラムを、また、図1
8(b)に第2の磁性体膜173に負電圧−Vを印加し
た場合のTMRのバンドダイアグラムを図示する。
【0179】第2の磁性体膜173に正電圧Vを印加し
た場合、図18(a)に示すように、第1の磁性体膜1
71から第2の磁性体膜173へトンネルする電流は、
すべて非磁性絶縁膜172の厚さdだけダイレクトトン
ネリングする。
【0180】一方、第2の磁性体膜173に負電圧−V
を印加した場合、図18(b)に示すように、第2の磁
性体膜173から第1の磁性体膜171には、非磁性絶
縁膜172の厚さdよりも薄いd’の領域をトンネルし
たキャリアによって、ファウラー・ノルドハイム(Fowl
er-Nordheim )電流が流れる。
【0181】従って、第2の磁性体膜173に負電圧−
Vを印加した場合(図18(b))、正電圧Vを印加し
た場合(図18(a))よりも、より大きな電流が流れ
る。従って、絶対値が等しく向きが異なる電圧を第1の
磁性体膜171と第2の磁性体膜173との間に加える
ことによって、電流の向きによって抵抗値に差を持たせ
ることができる。
【0182】また、第1の磁性体膜171と第2の磁性
体膜173との間の電圧差V’(<V)が、両方向の電
流ともダイレクトトンネリングするような場合であって
も、やはりトンネル電流の方向によって非対称性が存在
する。
【0183】これを、正電圧V’が加えられた場合(図
19(a))と、負電圧−V’が加えられた場合(図1
9(b))で説明する。なお、説明を簡単にするため
に、qV’=qΦ2 −qΦ1 とし、qΦ1 =qΦ2 /2
とする。ここで、WKB近似では、ポテンシャルバリア
をx方向に通過する電子のトンネル確率Pは、トンネル
する距離をd、位置xにおける電子の減衰定数をk
(x)として、
【数9】
【0184】で与えられる。ここで、図19(a)にお
いて、フェルミ面の電子がトンネルすることを考える
と、k(x)は、位置xにおける前記電子の障壁高さ
E’を用いて、電子の有効質量をm、プランク定数をh
として、 2π(2mE’)0.5 /h となる。そこで、図19(a),(b)の場合にトンネ
ル確率Pの指数の中の項を計算すると、位置xにおける
障壁高さE’が異なるために、前者は後者の1.06倍
あり、より電流が減少する。
【0185】従って、トンネル障壁に非対称性がある場
合には、障壁幅が等しい場合にもトンネル電流に非対称
性が生じ、電流の向きによって抵抗値に差を持たせるこ
とができる。
【0186】次に、本実施形態の具体的なTMRメモリ
セルの構成を説明する。図20は、本発明の第2実施形
態に係わる磁気記憶装置の具体的な構成を示す図であ
る。図20(a)は平面図を、図20(b)は同図
(a)のA−A’部の断面図、図20(c)は同図
(a)のB−B’部の断面図である。
【0187】絶縁層201中に、B−B’方向に沿って
2本のデータ選択線202が形成されている。各データ
選択線202上に、データ選択線202の長手方向に沿
った方向に、第1のバリアメタル層203が形成されて
いる。第1のバリアメタル層203の膜厚が厚く形成さ
れた領域上に、強磁性体からなる第1の磁性体膜20
4,非磁性絶縁膜205,強磁性体からなる第2の磁性
体膜206,及び第2のバリアメタル層207が積層さ
れている。
【0188】そして、第2のバリアメタル層207の表
面とほぼ同じ高さに、素子分離絶縁膜208が形成され
ている。そして、第2のバリアメタル207及び素子分
離絶縁膜208上に、A−A’方向に沿ってデータ転送
線14が形成されている。
【0189】本実施形態で必要なのは、非磁性絶縁膜2
05と第2の磁性体膜206との障壁高さが、非磁性絶
縁膜205と第1の磁性体膜204との障壁高さと異な
り、非磁性絶縁膜205の障壁が第1の磁性体膜204
と第2の磁性体膜206との印加電圧が0Vである場合
に非対称になることである。
【0190】なお、非磁性絶縁膜205としては、厚さ
0.2〜50nmのシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、
チタン酸化膜、アルミ酸化膜を用いることが可能であ
る。
【0191】なお、第1の磁性体膜204としては、例
えば、厚さ500〜0.5nmのFe,Ni,Co,C
r,Mnやそれらの合金NiFeやCoFe、NiFe
Co、CoPt及びこれらの積層膜を用いることが可能
である。また、第2の磁性体膜206としては、厚さ5
00〜0.5nmの、NiFe、CoFe、NiFeC
o、CoTaZr、CoNbZr、FeTaNまたは、
CoZrNb/NiFe/CoFe等の積層膜を用いる
ことが可能である。
【0192】なお、第2の磁性体膜206の非磁性絶縁
膜205に対する障壁と、第1の磁性体膜204の非磁
性絶縁膜205に対する障壁とが異なる値を持つよう、
第2の磁性体膜206と第1の磁性体膜204と異なる
材料又は組成のものを選択する必要がある。
【0193】第1の磁性体膜204及び第2の磁性体膜
206は、非磁性絶縁膜205を挟んでおり、第1の磁
性体膜204から第2の磁性体膜206へと流れる電
流、及び第2の磁性体膜206から第1の磁性体膜20
4へと流れる電流は、非磁性絶縁膜205を伝導電子の
スピンを反転することなく流れる電流成分が存在する。
つまり、非磁性絶縁膜205の伝導電子のスピン緩和長
は前記非磁性絶縁膜の膜厚より厚くなる。
【0194】ここで、第1の磁性体膜204,非磁性絶
縁膜205及び第2の磁性体膜206が積層された構造
が、磁気状態によって抵抗変化が生じるメモリセル13
を構成している。ここで、第1の磁性体膜204及び第
2の磁性体膜206の磁化が平行の場合に、第1の磁性
体膜204と第2の磁性体膜206とのスピンを考慮し
た状態密度が一致するため、非磁性体膜205を介して
第1の磁性体膜204と第2の磁性体膜206との間に
流れる電流の抵抗が低くなる。また逆に、それぞれの第
1及び第2の磁性体膜204,206の磁化方向が反平
行な場合、非磁性絶縁膜205を介して第1の磁性体膜
204と第2の磁性体膜206とに流れる電流の抵抗が
最も高くなる。
【0195】また、第2の磁性体膜206に第1の磁性
体膜204に比べてVの電圧を印加した場合に流れる電
流は、第2の磁性体膜206に第1の磁性体膜204に
比べて−Vの電圧を印加した場合に流れる電流と異なる
値を持つ。
【0196】また、磁気記憶部中心部分でデータ転送線
14に沿った縁部分の磁化と独立にデータ選択線方向に
沿った磁化を記憶できるようにするために、第1の磁性
体膜204及び第2の磁性体膜206の膜厚を厚くする
ことによって、ネール磁壁の厚さよりもデータ転送線の
幅を大きくすることが望ましい。
【0197】また、第2のバリアメタル層207は、例
えば、厚さ1〜100nmのTaNやTiN、TaWか
らなり、上部構造を形成する場合の不純物汚染を防ぎ、
配線間の密着性を向上する役割がある。また、データ転
送線14は、例えば厚さ50〜1000nmからなる
W、Al、AlCuまたはCuから形成され、データ転
送線のメモリセル同士の接続領域の寄生抵抗を削減する
役割がある。
【0198】第1のバリアメタル層203は、例えば厚
さ1〜100nmのTaNやTi、TiN、TaWから
なり、上部構造からの不純物汚染を防ぎ配線間の密着性
を向上する役割がある。また、データ選択線202は、
例えば厚さ50〜1000nmからなるTi、W、C
u、TiN、TiSi、WSi、W、Al、AlSiか
ら形成される。
【0199】図20において、隣接する2本のデータ選
択線202にそれぞれ、メモリセルが1つ形成され、1
つのデータ転送線14に並列接続されている。この1つ
のデータ転送線14に並列接続されているメモリセル1
3において、第2の磁性体膜206と第1の磁性体膜2
04の積層の順番が一致している。
【0200】また、絶縁層201及び素子分離絶縁膜2
08は、例えば、シリコン酸化膜、チタン酸化膜、アル
ミ酸化膜、またはシリコン窒化膜からなる絶縁膜層であ
る。ここで、本実施形態では、第1の磁性体膜204及
び第2の磁性体膜206の磁化容易方向がデータ選択線
202と平行に形成されている。第1の磁性体膜204
及び第2の磁性体膜206に、磁化容易方向を形成する
方法としては、例えばNiFeでは、磁化容易方向に磁
場を印加しながら膜堆積を行うことによって5〜15O
e程度の異方性磁界を作りつけることができる。第1の
磁性体膜204及び第2の磁性体膜206の磁化の向き
を全体として前記磁化容易方向に沿って1つの向き及び
逆の向きに記憶することによって、例えば、2つの状
態、すなわち、1ビットの論理情報を記憶している。
【0201】次に、図21,22を用いて、本実施形態
のTMRメモリセルの製造工程を説明する。なお、図2
1,22における(a),(b)、(c)に示す部位
は、それぞれ図20(a),(b),(c)に示した部
位に対応している。
【0202】先ず、図21に示すように、基体(不図
示)上に例えばシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜,
PSG,BPSGからなる絶縁層201が、例えば厚さ
50〜1000nm堆積されたものを用意する。
【0203】次いで、配線が形成される領域に開口部を
有するマスクパターンを形成した後、マスクパターンを
マスクに絶縁膜201をエッチングし、例えば深さ40
〜800nmの溝を形成する。エッチングの際、絶縁層
201は、エッチング溝の下部に残っているのが望まし
い。
【0204】さらに、Ti、TiN、TiSi、WS
i、W、CuまたはAl、AlSiから形成された導電
体材料を、例えば、厚さ50〜1000nm堆積した
後、CMPまたはエッチバックすることによって、溝に
データ選択線202を埋め込み形成する。なお、データ
選択線202としては、単一組成の膜ではなく、例え
ば、バリアメタルとなるTiNやTi、Ta、TaNま
たはその積層膜を、例えば、1〜70nm堆積して、そ
の後に、AlやW、AlSi、AlCuSiなどを堆積
してもよい。
【0205】なお、この形成方法の代わりに、絶縁層2
01の一部となる第1の絶縁膜及びデータ選択線202
となる導電体材料を順次全面に堆積した後、パターンニ
ングしてデータ選択線202の一部を部分的に残し、さ
らに、絶縁層201の一部となる第2の絶縁膜を堆積
し、CMPまたはエッチバックによって、データ選択線
202が形成されていない部分に第2の絶縁膜を埋め込
み形成し、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とから絶縁層2
01を形成してもよい。
【0206】次いで、図22に示すように、TaNやT
i、TiN、TaWからなる導電体材料を厚さ1〜10
0nm堆積した後、パターニングを行って少なくともデ
ータ選択線202を含む領域上に導電体材料を残し、第
1のバリアメタル層203を形成する。なお、各データ
選択線202上の第1のバリアメタル層203はそれぞ
れ分離されている。
【0207】そして、第1の磁性体膜204となる、F
e,Ni,Co,Cr,Mnやそれらの合金NiFeや
CoFe、NiFeCo、CoPt,またはこれらの積
層膜を厚さ500〜0.5nm、例えばスパッタリング
方法によって堆積する。そして、非磁性絶縁膜205と
なるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、チタン酸化膜、
アルミ酸化膜を厚さ0.2〜50nm、CVDまたはス
パッタリングによって堆積する。次に、第2の磁性体膜
206となる、NiFe、CoFe、NiFeCo、C
oTaZr、CoNbZr、FeTaNまたは、CoZ
rNb/NiFe/CoFeなどの積層膜を厚さ500
〜0.5nmを、例えば、CVDまたはスパッタリング
によって堆積する。さらに、第2のバリアメタル層20
7として、例えばTaNやTiN、TaWまたはその積
層膜を厚さ1〜100nmで、例えば、CVDまたはス
パッタリングによって形成する。
【0208】この後、絶縁層201上の積層構造物をパ
ターニングし、データ選択線202上に第1のバリアメ
タル層203が形成され、第1のバリアメタル層203
上の一部に選択的に、第1の磁性体膜204,非磁性絶
縁膜205,第2の磁性体膜206及び第2のバリアメ
タル層207が形成された構造を得る。
【0209】この後、シリコン酸化膜,シリコン窒化
膜,チタン酸化膜又はアルミ酸化膜を厚さ3〜1100
nm全面に堆積した後、例えば、第2のバリアメタル層
207が表面に出るまでCMPまたはエッチバックする
ことによって素子分離絶縁膜208を埋め込み形成す
る。さらに、例えば、W,Al,AlCu又はCuを厚
さ50〜1000nm全面堆積した後、パターニングす
ることでデータ転送線14を形成する。
【0210】本実施形態の回路構成としては、第2の磁
性体膜206に第1の磁性体膜204に比べて+Vの正
電圧を印加した場合に流れる電流が、第2の磁性体膜2
06に第1の磁性体膜204に比べて−Vの負電圧を印
加した場合に流れる電流よりも小さい場合には、第1実
施形態の図1に示した回路図で、整流素子12と磁気メ
モリセル13とを、本実施形態の磁気メモリセル13に
置き換えた回路を用いればよい。なお、読み出し回路の
動作タイミングについては、図2と同じでよい。
【0211】また、第2の磁性体膜206に第1の磁性
体膜204に比べて+Vの正電圧を印加した場合に流れ
る電流が、第2の磁性体膜206に第1の磁性体膜20
4に比べて−Vの負電圧を印加した場合に流れる電流よ
りも大きい場合には、第1実施形態の変形例1の図10
に示した回路図で、整流素子12とメモリセル13と
を、第2実施形態のメモリセル13に置き換えた回路を
用いればよい。なお、読み出し回路の動作タイミングに
ついては、図11と同じでよい。
【0212】本実施形態では、半導体基板が無くても、
整流素子をメモリセルとを絶縁膜中に集積でき、配線層
にメモリセルが実現できる。よって、配線層と積層して
センスアンプなどの半導体回路を形成し、例えば前記半
導体回路に積層してメモリセルを形成することで、より
周辺回路を含めたメモリセルの面積を小さくすることが
できる。さらに、メモリセルを複数層に渡って積層する
ことも可能である。
【0213】また、データ転送線とデータ選択線に抵抗
の低い金属配線を用いて、クロスポイントセルが実現で
きる。よって、より、基板と配線との間の容量が低減
し、容量を充電するための電荷が低減するため、より高
速及び低消費電力なメモリセルが実現できる。さらに、
金属配線は半導体配線よりも、同断面積で抵抗が小さい
ため、より寄生抵抗を小さくでき、一つのデータ転送線
及びデータ選択線に接続されるメモリセルの接続個数を
増大させることができる。
【0214】(変形例1)図23は、第2実施形態の変
形例1に係わるTMRメモリセルのバンドダイアグラム
を示す図である。図23のバンドダイアグラムは、図1
7のバンドダイアグラムに対応するものであるが、非磁
性絶縁膜231が、バリア高さの異なる多層膜で形成さ
れており、第1の磁性体膜171と第2の磁性体膜17
3に対して非対称なバリアを形成している。
【0215】ここで、例えば、第1の磁性体膜171に
接する第1の非磁性絶縁膜231aの障壁高さとしては
qΦ1 となっている。一方、第2の磁性体膜173に接
する第2の非磁性絶縁膜の障壁高さは、qΦ2 となって
おり、qΦ1 とは異なる。
【0216】第2の非磁性絶縁膜231bと第1の非磁
性絶縁膜231aの組み合わせとしては、例えば、シリ
コン酸化膜とシリコン窒化膜、シリコン窒化膜とタンタ
ル酸化膜、シリコン窒化膜とチタン酸化膜、シリコン窒
化膜とBSTO強誘電体膜、シリコン酸化膜とタンタル
酸化膜,シリコン酸化膜とチタン酸化膜等が挙げられ
る。
【0217】本変形例の場合、第1の磁性体膜171と
第2の磁性体膜173とが、同じ材料で形成されていて
もよく、例えば、第1及び第2の磁性体膜171,17
3の材料としては、例えば、NiFe、CoFe、Ni
FeCo、CoTaZr、CoNbZr、FeTaNま
たは、CoZrNb/NiFe/CoFeなどの積層膜
を用いることが可能である。
【0218】図24に本発明の本変形例の具体的な構造
例を示す。図24(a)は平面図、図24(b)は同図
(a)のA−A’部の断面図を、図24(c)は同図
(a)のB−B’部の断面図である。なお、図24にお
いて、図20と同一の部分には同一符号を付し、詳しい
説明は省略する。
【0219】本変形例の特徴は、図22に示したTMR
メモリセルの非磁性絶縁膜205の代わりに、障壁高さ
が異なる2層の絶縁膜、第1の非磁性絶縁膜245a及
び第2の非磁性絶縁膜245bが形成されていることで
ある。
【0220】第1の非磁性絶縁膜245aと第2の非磁
性絶縁膜245bの材料が異なるため、第2の磁性体膜
206と第2の非磁性絶縁膜245bとの障壁高さが、
第1の非磁性絶縁膜245aと第1の磁性体膜204と
の障壁高さと異なり、第1の非磁性絶縁膜245aの障
壁が第1の磁性体膜204と第2の磁性体膜206との
印加電圧が0Vである場合にトンネル絶縁膜のバンドダ
イアグラムが非対称になる。
【0221】本変形例の磁気記憶装置の製造方法は、第
2実施形態で説明した製造方法とほぼ同一であるが、非
磁性絶縁膜205を堆積する代わりに、例えば、厚さ
0.2〜50nmのシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、
タンタル酸化膜、チタン酸化膜、アルミ酸化膜からなる
第1の非磁性絶縁膜245aと、厚さ0.2〜50nm
のシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、タンタル酸化膜、
チタン酸化膜、アルミ酸化膜からなる第2の非磁性絶縁
膜245bとを順次堆積すればよい。なお、第1の非磁
性絶縁膜245aと第2の非磁性絶縁膜245bとは、
それぞれ第1及び第2の磁性膜204,206に対し
て、異なる障壁高さを与えるように選ばれる。
【0222】本変形例では、第1の磁性体膜204と第
2の磁性体膜206とが同じ組成の磁性膜であっても、
第1及び第2の磁性膜245a,245bを適当に選ぶ
ことによって、非対称なトンネルバリアを形成すること
ができる。
【0223】従って、第1及び第2の磁性体膜204,
206の異方性磁化や保持力などの磁気特性を揃えるこ
とができ、プロセス構成元素も統一化できるので、より
汚染の問題が小さく、プロセスばらつきに対して安定な
成膜ができる。また、非磁性絶縁膜が、積層膜で形成さ
れているので、非磁性トンネル絶縁膜のピンホールなど
の点欠陥を通じた絶縁破壊やリーク電流の問題も、積層
膜を構成するそれぞれ膜のピンホールの位置が変わるた
め、小さくすることができる。
【0224】(変形例2)図25は、第2実施形態の変
形例2に係わるTMRメモリセルの構成を示す断面図で
ある。
【0225】表面がほぼ平坦な第1の磁性体膜251上
に、表面に凹凸を有する非磁性絶縁膜252が形成され
ており、更にその上に第2の磁性体膜253が形成され
ている。
【0226】非磁性絶縁膜252に形成された凹凸の曲
率半径rは、非磁性絶縁膜252の平均厚さをdとし
て、r<<dとなるように形成されることが望ましく、
例えば、100nm以下の曲率半径を持つ凹凸となって
いる。このような条件では、非磁性絶縁膜252の電界
は、表面の凸凹による電界集中のため、図26(a)の
ダイアグラムに示すように、第2の磁性体膜253付近
で大きな傾きを持つ。この電界集中の増加係数は、電界
集中がない場合に比べて、ほぼ、r/d×ln(1+d
/r)に比例するので、r<<dとなるように形成され
ることが望ましい。
【0227】図26において、図26(a)は第2の磁
性体膜253に第1の磁性体膜251に比較して負の電
圧−Vを印加した場合、図26(b)は第2の磁性体膜
253に第1の磁性体膜251に比較して正の電圧+V
を印加した場合を示している。
【0228】第2の磁性体膜253に第1の磁性体膜2
51に比較して負の電圧−Vを印加した場合(図26
(a))、第2の磁性体膜253に接した部分の電界集
中のため、第2の磁性体膜253のフェルミ面からトン
ネルするバリア厚さは、第2の磁性体膜253に第1の
磁性体膜251に比較して正の電圧+Vを印加した場合
(図26(b))に比較して薄くなる。
【0229】従って、第2の磁性体膜253に第1の磁
性体膜251に比較して負の電圧−Vを印加した場合
(図26(a))には、第2の磁性体膜253に第1の
磁性体膜251に比較して正の電圧+Vを印加した場合
(図26(b))に比較して大きな電流が流れ、印加電
圧の絶対値が等しくても、電流の非対称性が生じる。
【0230】また、電流の非対称性を得るには、第1の
磁性体膜251の凹凸が、第2の磁性体膜253のそれ
よりも大きくなってもよい。ここで、第1及び第2の磁
性体膜251,253としては、例えば、厚さ500〜
0.5nmのFe,Ni,Co,Cr,Mnやそれらの
合金NiFeやCoFe、NiFeCo、CoPt及び
これらの積層膜を用いることが可能である。また、第1
の磁性体膜251と第2の磁性体膜253とは、異なる
組成でも良いし、同じ組成でも良い。
【0231】また、非磁性絶縁膜252としては、厚さ
0.2から50nmのシリコン酸化膜、シリコン窒化
膜、タンタル酸化膜、チタン酸化膜、アルミ酸化膜が挙
げられる。
【0232】製造方法は、第2実施形態の製造方法とほ
ぼ同一であるが、非磁性絶縁膜252を堆積する時に、
例えば、表面凹凸が増加する条件で堆積すれば良い。例
えばAlやpolySi等を窒化または酸化すると絶縁
膜となる金属または半導体を、表面凝集が起きる条件で
堆積し、その後窒化又は酸化を行うことによって、表面
に凹凸を有する非磁性絶縁膜を形成することが可能であ
る。
【0233】本変形例では、第1の磁性体膜251と第
2の磁性体膜253とに同じ組成の磁性膜を用いても、
非磁性絶縁膜の表面に凹凸を形成することによって、非
対称なトンネルバリアを形成することができる。従っ
て、第1及び第2の磁性体膜251,253の異方性磁
化や保持力などの磁気特性を揃えることができ、プロセ
ス構成元素も統一化できるので、より汚染の問題が小さ
く、プロセスばらつきに対して安定な成膜ができる。
【0234】さらに、積層膜を非磁性絶縁膜として用い
る変形例1と異なり、非磁性絶縁膜を単層膜で形成する
ことができ、第1の非磁性絶縁膜と第2の非磁性絶縁膜
との成長界面の汚染の影響がない。
【0235】[第3実施形態]図27は、TMRメモリ
セル13の典型的な電流−電圧特性を示す特性図であ
る。TMRメモリセル13に流れるトンネル電流Iは、
端子間の電圧Vの増加に応じてトンネル電流に寄与でき
る状態密度が増加するため、電圧Vに比例せず、より増
加する現象が一般的に生じる。従って、TMRメモリセ
ルでは、その両端に印加する電圧が大きければ等価抵抗
V/Iが小さく、電圧が小さければ等価抵抗V/Iが大
きくなる。
【0236】図28は、上述した特徴を引き出すように
形成された、TMRメモリセルの読み出し回路を示す図
である。なお、図28において、図1と同一な部分には
同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0237】本回路では、選択メモリセル13sel 及び
非選択メモリセル13unsel は、図27に示すように、
TMRメモリセルの両端に印加する電圧が大きい場合
に、等価抵抗V/Iが小さく、電圧が小さい場合の等価
抵抗V/Iが大きくなるようになっている。
【0238】データ転送線14の一方は、トランジスタ
281のソース・ドレイン層の一端に接続されている。
また、トランジスタ281のソース・ドレイン層のもう
他端は、例えば、差動センスアンプ16の入力端子17
に接続されている。さらに、トランジスタ281のゲー
ト電極は、トランジスタ281のしきい値よりも高い電
圧Vcを持つ電圧ノードに接続されている。なお、トラ
ンジスタ281のしきい値をVthとして、Vc −Vth
(後述するトランジスタ282のドレイン電圧)が成立
するようにVc が定められている。
【0239】さらに、センスアンプの入力端子17は、
n型MISFETからなるトランジスタ282のソース
電極に接続されている。また、トランジスタ282のド
レイン電極は、例えば電圧VDDの一定電圧の電圧ノード
と接続されている。この電圧VDDは、データ選択線11
の電圧の最大値にトランジスタ281のしきい値を加え
た値以下で、且つデータ選択線11の電圧の最小値以上
となっている。
【0240】以上のような構成にすることで、読み出し
時のデータ転送線14の電圧と非選択データ選択線11
unsel の電圧との差をデータ転送線14の電圧と選択デ
ータ選択線11sel の電圧との差より低く保つことによ
って、非選択メモリセル13unsel の等価抵抗を高く保
ちつつ、選択メモリセル13sel の等価抵抗を低くする
ことができ、読み出し信号電圧振幅ΔVを従来よりも大
きく確保することができる。
【0241】なお、非選択メモリセル13unsel の抵抗
を選択メモリセル13sel の抵抗よりも高く保つことに
より、読み出し信号振幅ΔVが増大し非選択メモリセル
13unsel の記憶状態による擾乱を受けることが少なく
なることは、第1実施形態において(Runselmax
B )>(Rsel +RF )となるようにRB とRF とを
調整することによって、式(10)のΔV”よりもより
大きなΔV”を得ることができることを示したことで明
らかであるので、説明を省略する。
【0242】次に、本回路の動作を図29のタイミング
チャートを用いて説明する。先ず、選択データ選択線1
sel 及び非選択データ選択線11unsel を、後述する
データ転送線14のプリチャージ電圧Vc −Vthにする
ことによって、データ転送線14からデータ選択線11
に流れる電流を減少させ、データ転送線14の電圧VBL
が速やかにVc −Vthとなるようにする。
【0243】次に、トランジスタ282のゲート電圧V
pre を0VからVbiasにした後、再び0Vとすることに
よって、トランジスタ282をon状態にし、データ転
送線14の電位VBLをプリチャージ電圧に充電する。こ
のプリチャージ電圧は、トランジスタ281のしきい値
をVthとすると、Vc −Vthとなり、トランジスタ28
1はoff状態となり、差動センスアンプ16の入力端
子17の電位Vinはトランジスタ282のドレイン電圧
であるVDDとなる。
【0244】次いで、選択データ選択線11sel の電位
WLsel をプリチャージ電圧よりも低い電圧である、例
えば0Vにし、選択メモリセル13sel に電流を供給す
る。この時、非選択データ選択線11unsel の電位V
WLunsel は、プリチャージ電圧以上の電圧に保ったまま
とする。
【0245】選択メモリセル13sel に電流を供給した
際、選択メモリセル13sel のデータ状態が“0”の場
合は、“1”の場合よりも抵抗が低いため、データ転送
線14の電圧VBLは、データ状態が“0”の場合は
“1”の場合よりも電圧降下量が大きくなる。
【0246】この後、データ転送線14の電位VBLが低
下するため、トランジスタ281が再びon状態とな
り、差動センスアンプ16からデータ転送線14に電流
が流れる。ここで、トランジスタ281に流れる電流I
は、トランジスタ281が飽和領域で動作しているた
め、(Vc −Vth−VBL2 に比例する。そのため、V
BLが(Vc −Vth)より小さくなるのに従って、トラン
ジスタ281のコンダクタンスがより大きくなる。
【0247】従って、選択データ選択線11sel から流
れる電流によってデータ転送線14の電位VBLが低下す
ると、トランジスタ281に流れる電流が増大し、デー
タ転送線14の電位VBLをVc −Vthに維持しようとす
る。そこで、データ転送線14の電位VBLが低下するの
を防止することができる。
【0248】従って、読み出し動作の間、データ転送線
14と非選択データ選択線11unse l の間の電位差を従
来例よりも小さく保つことができ、非選択メモリセル1
un sel の抵抗ばらつきによる読み出しマージンの低下
を抑えることができる。
【0249】また、データ転送線14の電位VBLがより
一定になるため、データ転送線14と非選択データ選択
線11unsel との間の電位差を読み出し動作の間、従来
よりも一定に保つことができる。従って、選択メモリセ
ル13sel に印加される電圧をより一定にすることがで
き、読み出し動作をより安定に行うことができる。
【0250】一方、入力端子17の電圧は、トランジス
タ282によるプリチャージ以後、選択メモリセル13
sel を経て供給される電流による放電によって低下す
る。この低下量をΔVa 、入力端子17の容量をC、メ
モリセル13sel に流れる電流をI、選択データ選択線
11sel を選択してからの経過時間をtとすると、デー
タ転送線14がトランジスタ183に流れる電流でほぼ
(Vc −Vth)に再充電された場合に、ΔVa =It/
Cで表せる。
【0251】従って、入力端子17の容量Cを十分小さ
くすることで、入力端子17の電圧の低下量ΔVa を大
きくすることができ、データ転送線14の容量に依存せ
ず、大きな信号出力を入力端子17で取り出すことがで
きる。
【0252】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。例えば、非磁性絶縁膜や素子分離絶縁
膜等の絶縁膜としては、熱酸化によって形成された酸化
膜、30keV程度の低加速エネルギーで酸素を注入し
た酸化膜、スパッタ法等の成膜手法によって形成された
シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の絶縁膜であっても
よいし、またこれらを組み合わせて形成されたものであ
ってもよい。また、絶縁膜自体は、磁性膜や金属膜を絶
縁膜に変換するこれら以外の方法、例えば堆積した磁性
膜に酸素イオンを注入する方法や、堆積した磁性膜を酸
化する方法を用いてもかまわない。また、もちろん、レ
ジスト,Spin−on−glass,シリコン窒化
膜,タンタル酸化膜、またはAl2 3 の単層膜、或い
はそれらの複合膜を用いることもできる。
【0253】また、第1及び第2の磁性体膜は、希薄磁
性半導体であるHgMnTeやCdMnSe、InMn
As、GaMnAsでも良い。この場合、非磁性絶縁膜
としては、n型またはp型にドープしたHgCdTe、
InGaAsでもよい。また、第1及び第2の磁性体膜
は、MnFe2 4 、Fe3 4 、CoFe2 4 、N
iFe2 4 などのスピネルフェライトでもよい。ま
た、第1の磁性体膜と第2の磁性体膜との上下関係は入
れ替えてもかまわない。
【0254】また、第1及び第2の磁性体膜に挟まれた
非磁性絶縁膜は、半導体膜でも良く、前記磁性体膜の面
抵抗よりも絶縁膜の面抵抗の方が大きくなればよい。
【0255】さらに、第1及び第3実施形態のTMRメ
モリセル構造の第1の磁性体膜,非磁性絶縁膜及び第2
の磁性体膜の積層構造を、グラニュラー薄膜で置き換え
てもよい。グラニュラー膜の構成としては、例えば、非
磁性絶縁膜としてAl2 3やSiO2 ,MgO,Hf
2 などからなる非磁性絶縁体母相中に、Co等の強誘
電体材料からなる直径0.1μm以下の第1の磁性粒子
と、第1の磁性粒子と保持力が異なり、直径0.1μm
以下のFe等の磁性粒子とを分散させた構造にするとよ
い。すると、第1の磁性体膜と第2の磁性体膜との磁化
ベクトルの配列変化に応じて抵抗変化が生ずる。
【0256】グラニュラー膜では、磁性粒子の間隔によ
って抵抗変化量が決まるので、グラニュラー膜の薄膜
は、非磁性絶縁膜ほど薄くする必要がなく、10nm程
度でもよい。このため、より成膜条件のばらつきを抑え
ることができる。
【0257】本実施形態では、トランジスタ15,1
9,282としてn型MISFETを用いたが、ゲート
入力を反転すれば、p型MISFETを用いてもよい。
また、n型MISFETでなく、例えばnpnバイポー
ラトランジスタでもよいし、pnpバイポーラトランジ
スタでもよい。
【0258】その他、本発明は、その要旨を逸脱しない
範囲で、種々変形して実施することが可能である。
【0259】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、デ
ータ転送線とデータ選択線に、整流作用を有する素子を
挿入することによって、データ転送線に複数のTMRメ
モリセルを接続しても、大きな読み出し信号を得つつ高
集積化を図ることができる。
【0260】また、その電流出力端子の一端が前記デー
タ転送線に接続され、しきい値がVthであるトランジス
タと、このトランジスタの制御入力端子に電圧Vc を供
給する電圧ノードとを具備しする磁気記憶装置におい
て、メモリセルからのデータの読み出し動作時、該トラ
ンジスタの電流出力端子の他端の電圧を、Vc −Vth
り高くすることによって、データ転送線に複数のTMR
メモリセルを接続しても、大きな読み出し信号を得つつ
高集積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係わるTMRメモリセルのメモ
リセルマトリクスの読み取り動作を行う回路構成を模式
的に示す図。
【図2】図1の回路の読み出し動作を説明するためのタ
イミングチャートを示す図。
【図3】第1実施形態に係わる磁気記憶装置のメモリセ
ルブロックの構成を示す図。
【図4】図3のメモリセルブロックの製造工程を示す工
程図。
【図5】図3のメモリセルブロックの製造工程を示す工
程図。
【図6】図3のメモリセルブロックの製造工程を示す工
程図。
【図7】図3のメモリセルブロックの製造工程を示す工
程図。
【図8】p型MISFETを図3に示したメモリセルブ
ロックと同時形成した場合の構成を示す図。
【図9】データ転送線をゲート電極とp型ソース・ドレ
イン層に対する配線層として用いた例を示す図。
【図10】変形例1に係わる磁気記憶装置のメモリセル
ブロックを含む読み出し回路の構成を示す図。
【図11】図10の回路の動作を説明するためのタイミ
ングチャートを示す図。
【図12】図10に示した磁気記憶装置のメモリセルブ
ロックの具体的な構成を示す図。
【図13】図12のメモリセルブロックの製造工程を示
す図。
【図14】第1実施形態の変形例3に係わるメモリセル
マトリクスの読み取り動作を行う回路構成を示す図。
【図15】図15の動作を説明するためのタイミングチ
ャートを示す図。
【図16】図14の回路図のメモリセルブロックの具体
的な構成を示す図。
【図17】第2実施形態に係わるTMRメモリセル部分
の熱平衡状態のバンドダイアグラムを示す図。
【図18】図17において、±Vの電圧を印加した場合
のTMRメモリセルのバンドダイアグラムを示す図。
【図19】図17において、±V’(<V)の電圧を印
加した場合のTMRメモリセルのバンドダイアグラムを
示す図。
【図20】第2実施形態に係わる磁気記憶装置のTMR
メモリセルの構成を示す図。
【図21】図20に示したTMRメモリセルの製造工程
を示す図。
【図22】図20に示したTMRメモリセルの製造工程
を示す図。
【図23】第2実施形態の変形例1に係わるTMRメモ
リセルのバンドダイアグラムを示す図。
【図24】図23のTMRメモリセルの具体的な構成を
示す図。
【図25】第2実施形態の変形例2に係わるTMRメモ
リセルの構成を示す断面図。
【図26】図25に示したTMRメモリセルに電圧を印
加した場合のダイアグラムを示す図。
【図27】TMRメモリセルの典型的な電流−電圧特性
を示す特性図。
【図28】第3実施形態に係わるTMRメモリセルの読
み出し回路を示す図。
【図29】図28の回路の動作を説明するためのタイミ
ングチャートを示す図。
【図30】従来のTMRメモリセル,データ選択線及び
データ転送線の構成を示す模式図。
【図31】従来のメモリセルマトリクスを形成した回路
図を模式的に示す図。
【図32】データ転送線14に並列にm個のメモリセル
が接続された場合、メモリセルのデータを読み出す際の
等価回路を示す図。
【符号の説明】
11…データ選択線 12…整流素子 13…メモリセル 14…データ転送線 31…基板 31…p型シリコン基板 32…n+ 型シリコン層 33…n型シリコン層 34…素子分離絶縁膜 35…導電体層 36…第1のバリアメタル層 37…ショットキーダイオード 38…第2の素子分離絶縁膜 39…第1の磁性体膜 40…非磁性絶縁膜 41…磁性体膜 42…第2のバリアメタル層 43…第3の素子分離絶縁膜 81…ゲート絶縁膜 82…ゲート電極 83…p型ソース・ドレイン層 101…pn接合ダイオード 121…n型シリコン基板 122…p+ 型シリコン層 123…p型シリコン層 124…n型シリコン層 131…絶縁体層 171…第1の磁性体膜 172…非磁性絶縁膜 173…第2の磁性体膜 183…トランジスタ 201…絶縁層 202…データ選択線 203…第1のバリアメタル層 204…第1の磁性体膜 205…絶縁膜 205…非磁性絶縁膜 206…第2の磁性体膜 207…第2のバリアメタル層 208…素子分離絶縁膜 231…非磁性絶縁膜 245a,b…非磁性体絶縁膜 251…第1の磁性体膜 252…非磁性体絶縁膜 253…第2の磁性体膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の磁性体と第2の磁性体との間に介在
    するように非磁性絶縁膜が形成されたメモリセルと、こ
    のメモリセルの一端に接続されたデータ選択線と、前記
    メモリセルの他端に接続されたデータ転送線とを具備
    し、 複数の前記データ選択線が、それぞれ前記メモリセルを
    介して1本のデータ転送線に接続された磁気記憶装置で
    あって、 前記データ選択線と各メモリセルとの間,前記データ転
    送線と各メモリセルとの間、又は各メモリセル中には、
    それぞれ整流方向が一致する整流素子が挿入されている
    ことを特徴とする磁気記憶装置。
  2. 【請求項2】第1の磁性体膜,非磁性絶縁膜及び第2の
    磁性体膜が順次積層されて形成されたメモリセルと、第
    1の磁性体膜に接続されたデータ選択線と、第2の磁性
    体膜に接続されたデータ転送線とを具備し、 複数の前記データ選択線が、それぞれ前記メモリセルを
    介して1本のデータ転送線に接続された磁気記憶装置で
    あって、 第1の磁性体膜に対する前記非磁性絶縁体の障壁高さ
    は、第2の磁性体膜に対する前記非磁性絶縁体の障壁高
    さと異なることを特徴とする磁気記憶装置。
  3. 【請求項3】第1の磁性体と第2の磁性体との間に非磁
    性絶縁膜が介在するように形成されたメモリセルと、こ
    のメモリセルの一端に形成されたデータ選択線と、前記
    メモリセルの他端に接続されたメモリセルとを具備した
    磁気記憶装置において、 電流出力端子の一端が前記データ転送線に接続され、し
    きい値がVthであるトランジスタと、このトランジスタ
    の制御入力端子に電圧Vc を供給する電圧ノードとを具
    備し、 前記メモリセルからのデータの読み出し動作時、該トラ
    ンジスタの電流出力端子の他端の電圧は、Vc −Vth
    り高いことを特徴とする磁気記憶装置。
  4. 【請求項4】複数の前記データ選択線が、それぞれ前記
    メモリセルを介して1本のデータ転送線に接続されてい
    ることを特徴とする請求項3に記載の磁気記憶装置。
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