JPH11343445A - 焼成色鉛筆芯の製造方法 - Google Patents

焼成色鉛筆芯の製造方法

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JPH11343445A
JPH11343445A JP15309498A JP15309498A JPH11343445A JP H11343445 A JPH11343445 A JP H11343445A JP 15309498 A JP15309498 A JP 15309498A JP 15309498 A JP15309498 A JP 15309498A JP H11343445 A JPH11343445 A JP H11343445A
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core
baked
pencil lead
metal
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JP15309498A
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Katsunori Kitazawa
勝徳 北澤
Masaaki Hoshiba
正昭 干場
Noboru Kanba
昇 神庭
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な発色性、描線濃度をもちながら、機械
的強度、即ち、曲げ強度、引張強度及び衝撃強度等に優
れた焼成芯体にインクを含浸した焼成色鉛筆芯の製造方
法を提供する。 【解決手段】 少なくとも体質材と有機質の賦形材を含
む配合組成物を混練、押出成形、非酸化性雰囲気で焼成
して第1焼成芯体を得、該第1焼成芯体を酸化雰囲気中
で加熱して炭化物のバインダーを酸化除去させた第2焼
成芯体を得、該第2焼成芯体の気孔内に金属キレート、
金属カルボキシレート、金属アルコキシドよりなる群よ
り選んだ少なくとも一種の溶液を含浸して加熱処理した
第3焼成芯体を得、更に該第3焼成芯体の気孔内にイン
クを充填させることを特徴とする焼成色鉛筆芯の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、十分な発色性、描
線濃度をもちながら、機械的強度、即ち、曲げ強度、引
張強度及び衝撃強度等に優れた焼成芯体にインクを含浸
した焼成色鉛筆芯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の焼成色鉛筆芯は、結合材として一
種及び/又は二種以上の粘土等が用いられ、これに窒化
硼素等の体質材、更に必要に応じて耐熱性の顔料、反応
促進材を添加、配合した配合組成物を混練し、この混練
物を押出成形した後、熱処理を経て多孔質焼成芯体と
し、この芯体の気孔中に染料および顔料から成るインク
等を充填させて色鉛筆芯としていた。この時、色鉛筆芯
の重要特性としては、機械的強度が強く、発色性が良
く、筆記描線の濃度が濃いものが要求されている。
【0003】ところが、従来の焼成色鉛筆芯は、機械的
強度が充分でなく、濃度および発色性においても充分な
ものが得られていないのが現状である。そこで、上記の
要求を達成するためには、充分な機械的強度を保持しつ
つ気孔率を増加させることにより、芯体に充填されるイ
ンク量を多くする必要がある。また、従来結合材として
用いられている粘土等による焼成芯体は、窒化硼素等の
体質材と粘土等の結合材の焼結力が弱く、粘土等自身の
強度も低いため、得られる焼成色鉛筆芯は実用強度に達
していないのが現状である。更に、粘土は不純物を含ん
でいるため、得られる焼成芯体は一般に有色となり、描
線の発色性に悪影響を与えることとなる。特に、淡色系
の描線のくすんだ色の原因となっている。
【0004】これまでに高強度の焼成色鉛筆芯を得る方
法としては、例えば、多孔質焼結体の気孔中に熱処理に
より白色もしくは無色あるいは着色剤の一部となる固形
の無機金属化合物を生成する金属含有液を含浸せしめ、
加熱処理して高強度の焼成色鉛筆芯を得る方法が知られ
ている(特公平3−52506号公報)。しかしなが
ら、この方法では、ベースの芯は相変わらず、従来の粘
土(実施例ではベントナイトを例示)による強度、気孔
率とも不十分な芯であり、更にこの不十分な芯の気孔内
に金属含有液を含浸させるため、さらに気孔率が低下し
て、強度は向上してもインク充填量が不十分で描線濃度
が薄くなるという課題がある。また、特開平6−287
500号公報には、有機物を結合材として炭素化した炭
素質骨格の連通気孔焼結体に金属アルコシドを含浸し、
酸化性雰囲気で熱処理を施した後、着色材を含浸させる
焼成色鉛筆芯の製造方法が開示されているが、この製造
方法では、得られる連通気孔焼結体の気孔は炭素化時に
結合材が収縮してできる気孔だけであり、その気孔径、
気孔率では十分な強度を発現させるために必要な金属ア
ルコシドを含浸させるには不十分である。
【0005】本発明者らは、上記の課題等を解決する方
法として、少なくとも体質材からなる第2焼成芯体の気
孔内に窒化ケイ素の前駆体物質であるペルヒドロポリシ
ラザン含有液を含浸し、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中
又はアンモニアガス雰囲気中で熱処理することにより、
結合材として窒化ケイ素を生成させ、芯体の気孔中にイ
ンクを充填させてなる焼成色鉛筆芯及びその製造方法を
提案している(特開平8−48931号公報)。この製
造方法等により得られる焼成色鉛筆芯は、十分な発色
性、描線濃度をもちながら、機械的強度等に優れたもの
であるが、結合材の原料であるペルヒドロポリシラザン
が高価である点、また、加水分解しやすく保存安定性が
やや低い点に若干の課題がある。
【0006】また、比較的安価な材料として本発明者ら
は、ジルコニウムの有機化合物及びアルミニウムの有機
化合物よりなる群より選んだ少なくとも一種を加熱した
ものを結合材として用いた焼成色鉛筆芯を提案している
(特開平9−67540号公報)。この方法等も、十分
な発色性、描線濃度をもちながら、機械的強度等に優れ
た焼成色鉛筆芯が得られるものであるが、使用する有機
化合物を体質材、有機補助バインダー、有機溶剤等と混
練、成形、加熱処理を施すものであるため、混練、成形
時に該有機化合物をゲル化させる際、粘度調整に熟練を
要し、強度、硬さのバラツキが大きくなりやすいという
点に若干の課題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の焼成色鉛筆芯又はその製造方法等の課題を解決す
ることであり、格段に優れた機械的強度及び優れた発色
性、滑らかな書き味を有する焼成色鉛筆芯の製造方法を
安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、少なくとも体
質材からなる第2焼成芯体の気孔内に金属キレート溶液
等を含浸して加熱処理等をすることによって、上記目的
の焼成色鉛筆芯の製造方法が得られることを見い出し、
本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明
の焼成色鉛筆芯の製造方法は、少なくとも体質材と有機
質の賦形材を含む配合組成物を混練、押出成形、非酸化
性雰囲気で焼成して第1焼成芯体を得、該第1焼成芯体
を酸化雰囲気中で加熱して炭化物のバインダーを酸化除
去させた第2焼成芯体を得、該第2焼成芯体の気孔内に
金属キレート、金属カルボキシレート、金属アルコキシ
ドよりなる群より選んだ少なくとも一種の溶液を含浸し
て加熱処理した第3焼成芯体を得、更に該第3焼成芯体
の気孔内にインクを充填させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明の焼成色鉛筆芯の製造方法は、少
なくとも体質材と有機質の賦形材を含む配合組成物を混
練、押出成形、非酸化性雰囲気で焼成して第1焼成芯体
を得、該第1焼成芯体を酸化雰囲気中で加熱して炭化物
のバインダーを酸化除去させた第2焼成芯体を得、該第
2焼成芯体の気孔内に金属キレート、金属カルボキシレ
ート、金属アルコキシドよりなる群より選んだ少なくと
も一種の溶液を含浸して加熱処理した第3焼成芯体を
得、更に該第3焼成芯体の気孔内にインクを充填させる
ことを特徴とするものである。従って、本発明の焼成色
鉛筆芯の製造は、上述の如く、順次第1焼成芯体、第2
焼成芯体、第3焼成芯体を得た後、該第3焼成芯体の気
孔内にインクを充填することにより行われる。
【0010】本発明において、先ず第1焼成芯体は、少
なくとも体質材と有機質の賦形材を含む配合組成物を原
料とし、この配合組成物を混練、押出成形、非酸化性雰
囲気で焼成することにより得られる。第1焼成芯体に用
いる体質材としては、従来焼成型の色鉛筆芯に使用され
ているものであれば、いずれも使用可能である。例え
ば、酸化チタン、雲母、タルク、窒化硼素、シリカ、ア
ルミナ、炭酸カルシウム等白色系のものや、色相によっ
ては二硫化モリブデン、二硫化タングステン等有色系の
ものも使用することができ、当然これら数種類の混合物
も使用できる。また、これらの体質材に、必要に応じて
耐熱性顔料を配合してもよい。
【0011】また、第1焼成芯体に用いる有機質の賦形
材としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ
塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性
樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂など
の熱硬化性樹脂、リグニン、セルロース、トラガントガ
ムなどの天然高分子物質、石油アスファルト、コールタ
ールピッチ、ナフサ分解ピッチ、合成樹脂の乾留ピッチ
などのピッチ類等いずれも使用可能で、当然これら数種
類の混合物も使用できる。更に、高せん断力を加えて行
う混練時の特性向上及び押出成形の特性向上の目的で、
水、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、リン酸トリクレジル(TCP)、アジ
ピン酸ジオクチル(DOA)、プロピレンカーボナー
ト、アルコール類、ケトン類、エステル類など有機質の
賦形材の可塑剤又は溶剤の一種又は二種以上を、必要に
応じて上記配合組成物に添加しても良い。
【0012】これらの配合組成物をヘンシェルミキサ
ー、加圧ニーダー、二本ロール等で十分混練した後、押
出成形機により細線状等に押出成形し、次いで、窒素雰
囲気中又はアルゴンガスなどの不活性ガス中等の非酸化
性雰囲気中で焼成することにより、有機質の賦形材が炭
化され炭素をバインダーとする第1焼成芯体が得られ
る。上記で得られた第1焼成芯体を酸化雰囲気中で加熱
して、炭素のバインダーを酸化除去させることにより多
数の気孔を備えた多孔質芯体からなる第2焼成芯体が得
られる。なお、上記で得られた第1焼成芯体に、後述す
る金属キレート、金属カルボキシレート、金属アルコキ
シドよりなる群より選んだ少なくとも一種の溶液を含浸
して、酸化雰囲気中で加熱し、第1焼成芯体の炭化物の
バインダーを酸化除去するとともに該金属化合物をセラ
ミックス化させた焼成芯体とし、次工程の金属キレー
ト、金属カルボキシレート、金属アルコキシドよりなる
群より選んだ少なくとも一種の溶液の含浸前の焼成芯体
の強度を満足できる範囲内で強めてもよい。
【0013】本発明において、金属キレート、金属カル
ボキシレート、金属アルコキシドよりなる群より選んだ
少なくとも一種の溶液を含浸し、加熱処理により高強度
の焼成芯体を得るのに有用な芯体は、気孔が微細で充分
に存在し、且つ均一に分散していて、体質材が高配向し
ている芯体であることが必要である。この芯体を使用す
ることにより、結合材となる生成した金属化合物は、芯
体中に微細で均一に分散して存在することとなり、さら
に、体質材が高配向しているため少量の結合材で芯体の
強度を発現しやすく、芯体の崩れも均一となる。本発明
における第1焼成芯体は、上述の如く、従来の焼成で発
生した気孔と炭化物のバインダーが微細で充分に存在
し、且つ均一に分散していて、体質材が高配向している
芯体であり、炭化物のバインダーを酸化除去することに
より得られた第2焼成芯体の気孔は微細で充分に存在
し、且つ均一に分散しているものである。これより、第
1焼成芯体から得られる第2焼成芯体は、金属キレー
ト、金属カルボキシレート、金属アルコキシドよりなる
群より選んだ少なくとも一種の溶液を含浸させ、加熱処
理により高強度の焼成芯体を得るのに有用な芯体となる
ものである。
【0014】本発明において、第2焼成芯体への金属キ
レート、金属カルボキシレート、金属アルコキシドより
なる群より選んだ少なくとも一種の溶液の充填量が大き
いほど、第3焼成芯体は機械的強度の強いものとなる。
ここで金属キレート、金属カルボキシレート、金属アル
コキシドよりなる群より選んだ少なくとも一種の溶液を
充填するための本発明における第2焼成芯体の気孔は、
上述の如く、体質材と有機質の賦形材とからなる混練物
を、非酸化性雰囲気で焼成することによって得られる気
孔と、前記炭化物のバインダーを除去することにより得
られる気孔の両者から構成されている。第2焼成芯体の
気孔率の調整は、主に有機質の賦形材の配合割合を調整
することにより行われるものであるが、他に炭素粒状物
質等の気孔成形材を適宜添加してもかまわない。なお、
全気孔に対する炭素のバインダーの除去による気孔の量
は全く任意である。
【0015】本発明において、第2焼成芯体の気孔内に
金属キレート、金属カルボキシレート、金属アルコキシ
ドよりなる群より選んだ少なくとも一種の溶液を含浸し
て加熱処理すると、結合材となる金属化合物、例えば、
ジルコニア、アルミナ、シリカ等及びこれらの固溶体を
第2焼成芯体中に均一に分散することができ、濃い描線
濃度を得るのに必要なインクを充填する気孔を保持した
まま、安価で高強度の焼成芯体が得られるものとなる。
第2焼成芯体に含浸する金属キレートとしては、例え
ば、ジルコニウムアセチルアセトネート・エチルアセト
アセテート、アルミニウムジイソプロピレート・エチル
アセトアセテート、亜鉛アセチルアセトネート等が挙げ
られるが、これらの金属キレートに限定されるものでは
なく、その他の金属キレートも使用可能である。また、
第2焼成芯体に含浸する金属カルボキシレートとして
は、例えば、酢酸ジルコニウム、酢酸アルミニウム等が
挙げられるが、これらの金属カルボキシレートキレート
に限定されるものではなく、その他の金属カルボキシレ
ートも使用可能である。更に、第2焼成芯体に含浸する
金属アルコキシドとしては、例えば、ジルコニウムn−
プロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、テトラ
エトキシシラン等が挙げられるが、これらの金属アルコ
キシドに限定されるものではなく、その他の金属アルコ
キシドも使用可能である。
【0016】これらの金属キレート、金属カルボキシレ
ート、金属アルコキシドは、2種類以上混合して使用す
ることができ、n−ブチルアルコール等に溶解させて、
第2焼成芯体に含浸しやすい濃度の金属キレート等含有
溶液に調製される。特に、第2焼成芯体に含浸する上記
金属キレート、金属カルボキシレート、金属アルコキシ
ドにおいて、好ましくは、反応性を制御しやすく、高強
度の芯体が得られるジルコニウムキレート、アルミニウ
ムキレートの使用が特に望ましい。
【0017】また、得られる結合材である金属化合物の
物性向上等のため、上記で例示しなかったその他の有機
金属化合物を上記溶液中等に適宜添加することができ
る。例えば、ジルコニアの安定性向上のためのカルシウ
ムカルボキシレート、ジルコニアの高強度化のためのイ
ットリウムカルボキシレート、イットリウムアルコキシ
ド、アルミナの緻密化のためのマグネシウムカルボキシ
レート、マグネシウムアルコキシド等である。なお、芯
体の亀裂防止等の目的で更にジメチルフォルムアミド、
アセチルアセトンの添加も効果的である。
【0018】第2焼成芯体に金属キレート、金属カルボ
キシレート、金属アルコキシドよりなる群より選んだ少
なくとも一種の溶液を含浸する方法としては、例えば、
第2焼成芯体を金属キレート、金属カルボキシレート、
金属アルコキシドよりなる群より選んだ少なくとも一種
の溶液中に、水と触媒である塩酸などの酸又はアンモニ
アを適量添加して更に加熱して加水分解、重縮合させた
溶液に浸漬し、必要に応じて加熱、減圧、加圧等の条件
下で含浸させる方法が挙げられる。
【0019】これらの金属キレート、金属カルボキシレ
ート、金属アルコキシドよりなる群より選んだ少なくと
も一種の溶液を含浸せしめた第2焼成芯体を加熱処理す
ることにより、目的の第3焼成芯体を得ることができ
る。更に、高強度の第3焼成芯体を得るために必要に応
じて金属キレート、金属カルボキシレート、金属アルコ
キシドよりなる群より選んだ少なくとも一種の溶液の含
浸、加熱工程を繰り返し行ってもよい。
【0020】本発明の焼成色鉛筆芯は、上記で得られた
第3焼成芯体の気孔内にインクを充填させることにより
得られる。第3焼成芯体に含浸するインクとしては、従
来から公知のものであればいずれも使用することができ
る。例えば、染料及び/又は顔料等の着色剤を動植物
油、合成油、アルコール類、炭化水素油、水等に溶解、
分散させ、あるいは必要に応じて樹脂、界面活性剤等を
さらに添加し製造された一般的に用いられている印刷用
インク、スタンプインク、ボールペンインク、水性筆記
用インク等が用いられる。インクを含浸する方法として
は、例えば、第3焼成芯体をインク中に浸漬し、加熱、
減圧、加圧等の条件下で気孔内に充填させる。さらに、
繰り返し含浸を行ってもよい。
【0021】このように構成される本発明の焼成色鉛筆
芯の製造方法では、下記(1)及び(2)の作用等を有するこ
ととなる。 (1) 第2焼成芯体は、気孔が微細で充分に存在し、且つ
均一に分散していて、体質材が高配向しているため、結
合材となる金属化合物を第2焼成芯体中に少量存在させ
るだけで、濃い描線濃度を得るのに必要なインクを充填
する気孔を保持したまま、安価で高強度の焼成芯体が得
られることとなる。 (2) 書き味は、結合材に粘土等を用いた従来の焼成色鉛
筆芯と比較しても同等以上で良好となる。これは、第3
焼成芯体中に結合材である金属化合物が微細且つ均一に
分散して存在することにより、高配向した体質材が均一
に崩れるため書き味は良好となる焼成芯体が得られるこ
ととなる。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により、更
に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何
等限定されるものではない。
【0023】 (実施例1) 窒化硼素 44重量% 塩化ビニル樹脂 40重量% ジオクチルフタレート(DOP) 15重量% ステアリン酸亜鉛 1重量% 上記配合組成物をヘンシェルミキサーで混合分散し、加
圧ニーダー、二本ロールで混練した後、細線状に押出成
形し、これから残留する可塑剤を除去すべく空気中で1
80℃で加熱処理して、しかるのち窒素雰囲気中にて1
000℃まで昇温させた後、1000℃にて焼成して第
1焼成芯体を得た。
【0024】この第1焼成芯を酸化雰囲気で約700℃
で加熱焼成して残留している炭素化した樹脂分を除去し
て白色の第2焼成芯体を得た。次いで、この第2焼成芯
体に、2%の水と0.5%の塩酸(36%)を添加して
35℃で1時間加熱したジルコニウムアセチルアセトネ
ート・エチルアセトアセテートのn−ブチルアルコール
溶液(35%)を室温下で3時間含浸後、アルゴンガス
中にて1700℃まで昇温して1700℃で焼成した。
さらに、酸化雰囲気で700℃で焼成して焼成芯体を得
た。上記ジルコニウムアセチルアセトネート・エチルア
セトアセテートのn−ブチルアルコール溶液(35%)
の含浸処理、焼成工程をさらに1回繰り返し、直径0.
57mmの白色の第3焼成芯体を得た。次に、赤色イン
クに上記第3焼成芯体を浸し、70℃で24時間放置し
た。この赤色インクが充填された第3焼成芯体表面をア
ルコールで洗浄し、直径0.57mmの赤色の焼成色鉛
筆芯を得た。
【0025】(比較例1) 〔配合組成物A〕下記配合組成物Aを35℃にて1時間
加熱した。 ジルコニウムアセチルアセトネート・エチルアセトアセテート 30.00重量% 水 1.75重量% 塩酸(36%) 0.45重量% n−ブチルアルコール 44.30重量% 上記配合組成物Aを35℃にて1時間加熱した。 〔配合組成物B〕 窒化硼素 13.00重量% ポリビニルブチラール 6.60重量% テトラエチレングリコール 3.90重量% 上記配合組成物Bに加熱が終了した上記配合組成物Aを
加え、これらをミキサーで混合分散し、二本ロールで混
練し、溶剤量を調整した後、細線状に押出成形し、残留
する溶剤、可塑剤を除去すべく空気中で200℃で乾燥
した後、アルゴンガス雰囲気中で1700℃まで昇温し
て、1700℃にて焼成した。さらに空気中で700℃
まで昇温して700℃で焼成し、直径0.57mmの白
色の焼成芯体を得た。次に、上記実施例1と同様に赤色
インクに上記焼成芯体を浸し、70℃で24時間放置し
た。この赤色インクが充填された焼成芯体表面をアルコ
ールで洗浄し、直径0.57mmの赤色の焼成色鉛筆芯
を得た。
【0026】 (比較例2) 窒化硼素 40重量% ベントナイト 35重量% ポリビニルアルコール 18重量% ポリエチレングリコール 7重量% 上記配合組成物と同重量の水とをヘンシェルミキサーで
混合分散し、二本ロールで混練し、水分調整した後、細
線状に押出成形し、これから残留する水を除去すべく、
空気中で105℃にて乾燥して、しかる後アルゴンガス
内にて1100℃まで昇温して1100℃で1時間焼成
した。さらに、酸化雰囲気で700℃で焼成し、炭素化
物を除去して直径0.57mmの白色焼成芯体を得た。
【0027】この白色焼成芯体に、2%の水と0.5%
の塩酸(36%)を添加して35℃で1時間加熱したジ
ルコニウムアセチルアセトネート・エチルアセトアセテ
ートのn−ブチルアルコール溶液(35%)を室温で3
時間含浸後、アルゴンガス中にて1100℃まで昇温し
て1100℃で焼成した。さらに、酸化雰囲気で700
℃で焼成し、炭素化物を除去して直径0.57mmの白
色焼成芯体を得た。次に、上記実施例1と同様に赤色イ
ンクに上記焼成芯体を浸し、70℃で24時間放置し
た。この赤色インクが充填された焼成芯体表面をアルコ
ールで洗浄し、直径0.57mmの赤色の焼成色鉛筆芯
を得た。
【0028】 (比較例3) 窒化硼素 46重量% 塩化ビニル樹脂 38重量% ジオクチルフタレート(DOP) 15重量% ステアリン酸亜鉛 1重量% 上記配合組成物とその合計量の75重量%のメチルエチ
ルケトンをヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニー
ダー、二本ロールで混練した後、細線状に押出成形し、
これから残留する可塑剤を除去すべく、空気中で180
℃にて加熱処理して、しかる後窒素雰囲気中にて100
0℃まで昇温させた後、1000℃にて焼成し、黒色の
焼成芯体を得た。これに、2%の水と0.5%の塩酸
(36%)を添加して35℃で1時間加熱したジルコニ
ウムアセチルアセトネート・エチルアセトアセテートの
n−ブチルアルコール溶液(35%)を室温で24時間
含浸後、空気中にて1700℃まで昇温して1700℃
で焼成し、直径0.57mmの白色の焼成芯体を得た。
次に、上記実施例1と同様に赤色インクに上記焼成芯体
を浸し、70℃で24時間放置した。この赤色インクが
充填された焼成芯体表面をアルコールで洗浄し、直径
0.57mmの赤色の焼成色鉛筆芯を得た。
【0029】上記実施例1及び比較例1〜3で得られた
焼成色鉛筆芯について、JIS−S−6005−198
9に準拠して曲げ強度(MPa)、官能評価による書き
味、描線の発色について評価した。これらの結果を下記
表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】(表1の考察)上記表1に示した結果から
明らかなように、本発明範囲の実施例1の焼成色鉛筆芯
は、本発明の範囲外となる比較例1〜3の焼成色鉛筆芯
に較べて、曲げ強度に優れ、書き味も良く、描線発色性
が鮮明で、かつ、1バッチ内のばらつきが小さいことが
判明した。比較例を個別的にみると、比較例1は金属キ
レートであるジルコニウムアセチルアセトネート・エチ
ルアセトアセテート(溶液)を体質材等と共に配合して
得た配合組成物を焼成した焼成芯体を使用するものであ
り、また、比較例2は結合材として従来の粘土の一種で
あるベントナイトを体質材等と共に配合して得た配合組
成物を焼成した焼成芯体を使用するものであり、これら
の場合は共に曲げ強度、書き味及び描線発色性の全てを
満足できるものではなかった。比較例3は、炭素質骨格
の連通気孔焼結体に金属キレートを含浸させたものであ
るが、描線は鮮明であるものの、金属キレートの含浸量
が十分でなく、その強度は満足できるものではなかっ
た。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも体質材から
なる多孔質焼結芯体に、結合材となる金属キレート、金
属カルボキシレート、金属アルコキシドよりなる群より
選んだ少なくとも一種の溶液を含浸せしめ、加熱処理を
することにより、気孔率が大きくても機械的強度に優れ
実用上折れ難く、更にインク充填量が多くなることによ
り、きわめて優れた発色が得られると同時に、良好な書
き味を有する焼成色鉛筆芯の製造方法が提供される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも体質材と有機質の賦形材を含
    む配合組成物を混練、押出成形、非酸化性雰囲気で焼成
    して第1焼成芯体を得、該第1焼成芯体を酸化雰囲気中
    で加熱して炭化物のバインダーを酸化除去させた第2焼
    成芯体を得、該第2焼成芯体の気孔内に金属キレート、
    金属カルボキシレート、金属アルコキシドよりなる群よ
    り選んだ少なくとも一種の溶液を含浸して加熱処理した
    第3焼成芯体を得、更に該第3焼成芯体の気孔内にイン
    クを充填させることを特徴とする焼成色鉛筆芯の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6709501B2 (en) 2001-05-25 2004-03-23 Mitsubishi Pencil Kabushiki Kaisha Baked color pencil lead and process for producing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6709501B2 (en) 2001-05-25 2004-03-23 Mitsubishi Pencil Kabushiki Kaisha Baked color pencil lead and process for producing the same

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