JPH11343164A - モルタル組成物 - Google Patents

モルタル組成物

Info

Publication number
JPH11343164A
JPH11343164A JP15090998A JP15090998A JPH11343164A JP H11343164 A JPH11343164 A JP H11343164A JP 15090998 A JP15090998 A JP 15090998A JP 15090998 A JP15090998 A JP 15090998A JP H11343164 A JPH11343164 A JP H11343164A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mortar composition
water
cement
weight
separation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15090998A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Nagura
克博 名倉
Yasuhiro Kishi
恭博 喜志
Masanobu Sakamoto
全布 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taisei Corp
Original Assignee
Taisei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taisei Corp filed Critical Taisei Corp
Priority to JP15090998A priority Critical patent/JPH11343164A/ja
Publication of JPH11343164A publication Critical patent/JPH11343164A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成材料の材料分離がなく、流動性に優れ、
変形係数が小さく、破壊ひずみが大きく、残留強度が大
きく、透水係数が小さく、低強度で材齢の経過に伴い強
度増加せず、かつ経済性を有するモルタル組成物を開発
する。 【課題手段】 セメント、微粉材、分離低減剤、細骨材
及び水を主要構成材料とするモルタル組成物Mであっ
て、単位容量の前記モルタル組成物Mを製造する場合に
おいて、セメント30乃至150重量部、微粉材60乃
至200重量部、分離低減剤1.5乃至4.0重量部、
細骨材1200乃至1650重量部の割合により前記各
構成材料を混合し、かつ、製造後のフレッシュモルタル
組成物のスランプフローが40cm乃至73cmの値となる
ように、水重量部を決定して混練することを特徴とする
モルタル組成物Mとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粉材(特に鉱物
性微粉材)及び分離低減剤(特に水溶性高分子化合物)
を含有するモルタル組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ケーソン工事における遮水壁の充填材料
としては、ベントナイトや粘土を含有するモルタル組成
物等が、また、地盤改良工法に用いられる材料としては
セメントを含有するモルタル組成物が一般的に用いられ
ている。しかし、ケーソン工事における遮水壁にベント
ナイトや粘土を含有するモルタル組成物を使用する場合
には、モルタル組成物の有する力学的強度、施工時の安
定性、掘削時の安全性、施工期間の長期性、構成材料の
経済性、構成材料の調達容易性等の観点から、モルタル
組成物が保有していなければならない性質がある。即
ち、破壊強度が所定強度を有していること、構成材料の
材料分離がなく高度の流動性を有していること、長期強
度変化が小さいこと、透水係数が小さいこと、変形係数
が小さいこと、破壊ひずみが大きいこと、残留強度が大
きいこと、構成材料の価格が安価であり、構成材料の調
達、混練製造が容易であること、作業性が良好であるこ
とが必要とされているが、従来はこれらの総ての性質を
満たすべきモルタル組成物は存在していなかった。特
に、ケーソン工事の場合には水中で施工されることが多
いため、水中におけるモルタル組成物の構成材料の材料
分離を防止することが重要な課題となっていた。
【0003】また、地盤改良工法において、セメントを
含有するモルタル組成物を用いる場合についても以下の
ような問題点を有していた。例えば、使用するモルタル
組成物の設計基準強度が10kgf /cm2 であると仮定し
た場合、実際の施工現場における改良地盤の初期時点で
の圧縮強度は、割り増し係数等を考慮すると一般に20
〜40kgf /cm2 となる。更に、当該モルタル組成物は
地盤に注入された後、材齢の経過に伴いその圧縮強度は
増加するため、最終的な圧縮強度は30〜60kgf /cm
2 程度となることが一般的である。従って、施工後に当
該改良地盤を掘削する場合には、圧縮強度が想定値と比
較して必要以上に大きくなってしまうため、通常の機械
では掘削することができなくなり、掘削工事に余分な時
間と費用が必要となっていた。 更に、水位が高く、水を
多量に含む地盤における地盤改良工法にセメントを含有
するモルタル組成物を用いる場合においても、ケーソン
工事の場合と同様に構成材料の材料分離を防止すること
が重要な課題となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記の欠点
を除くためになされたものであり、構成材料の材料分離
がなく、流動性に優れ、変形係数が小さく、破壊ひずみ
が大きく、残留強度が大きく、透水係数が小さく、低強
度で材齢の経過に伴い強度増加せず、かつ経済性を有す
るモルタル組成物を開発し、ケーソン工事や地盤改良工
法等に有効な材料を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】要するに、請求項1記載
の本発明は、セメント、微粉材、分離低減剤、細骨材及
び水を主要構成材料とするモルタル組成物であって、単
位容量の前記モルタル組成物を製造する場合において、
セメント30乃至150重量部、微粉材60乃至200
重量部、分離低減剤1.5乃至4.0重量部、細骨材1
200乃至1650重量部の割合により前記各構成材料
を混合し、かつ、製造後のフレッシュモルタル組成物の
スランプフローが40cm乃至73cmの値となるように、
水重量部を決定して混練することを特徴とするモルタル
組成物を提供するものである。
【0006】即ち、本発明は、モルタル組成物に所定量
の微粉材及び分離低減剤を混合することにより、構成材
料の材料分離を防止し、高度の流動性を有するモルタル
組成物とすると共に、所定の力学的性質を有した(変形
係数が小さい、破壊ひずみが大きい、残留強度が大き
い、透水係数が小さい等)モルタル組成物を提供するも
のである。
【0007】また、請求項2記載の本発明は、珪酸三カ
ルシウムと、珪酸二カルシウムと、アルミン酸三カルシ
ウムと、鉄アルミン酸四カルシウムを主要組成化合物と
する前記セメントであって、前記主要組成化合物の混合
比率として、珪酸三カルシウム60重量%以上、珪酸二
カルシウム10重量%以下、アルミン酸三カルシウム8
重量%以上、鉄アルミン酸四カルシウム8重量%以上を
有するセメントを用いることを特徴とした請求項1記載
のモルタル組成物を提供するものである。
【0008】即ち、本発明は、上記効果に加えて、セメ
ントの主要組成物であり、短期強度の発現に寄与する成
分である珪酸三カルシウムの比率を多くすることによ
り、低強度で材齢の経過に伴い強度増加しないモルタル
組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係るモルタル組成物Mの
実施形態について詳細に説明する。本発明に係るモルタ
ル組成物Mは、セメント、微粉材、分離低減剤、細骨材
及び水を構成材料として、当該総ての構成材料を混練す
ることにより製造されるモルタル組成物Mである。以下
に各構成材料について説明する。
【0010】使用可能なセメントとしては、普通ポルト
ランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポ
ルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、
高炉セメント等の各種のセメントを用いることができる
が、ポルトランドセメント(特に早強ポルトランドセメ
ント)を用いることが好ましいものである。上記ポルト
ランドセメントの主要組成化合物は、珪酸三カルシウ
ム、珪酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム及び鉄
アルミン酸四カルシウムであり、上記主要組成化合物の
混合割合を変化させることにより、セメントの種別及び
性質が異なることになる。
【0011】ここで、ポルトランドセメントを用いる場
合には、上記主要組成化合物の混合比率として、珪酸三
カルシウム60重量%乃至70重量%、珪酸二カルシウ
ム5重量%乃至10重量%、アルミン酸三カルシウム8
重量%以上、鉄アルミン酸四カルシウム8重量%以上を
有するセメントとすることが特に好ましいものである。
珪酸三カルシウムは水和反応速度が速く、材齢28日以
内の短期強度の発現を支配する性質を有しており、その
性質に起因して、材齢の経過に伴い長期強度の変化が少
ない性質をも有している。その一方、珪酸二カルシウム
は水和反応速度が遅く、材齢28日以後の長期強度の発
現に寄与する性質を有するため、材齢の経過に伴い序々
にその強度が増加する性質を有している。そのため、本
発明では、セメントの組成化合物として、短期強度を発
現させ、長期強度の変化が小さい性質を有する珪酸三カ
ルシウムの混合割合を60重量%以上と高め、珪酸二カ
ルシウムの混合割合を10重量%以下と低めることによ
り、材齢の経過に伴い強度増加をしないモルタル組成物
の構成材料としたものである。尚、超早強ポルトランド
セメントにおける珪酸三カルシウムと、珪酸二カルシウ
ムの混合比率としては、珪酸三カルシウム70重量%、
対、珪酸二カルシウム5重量%程度であるため、珪酸三
カルシウムと、珪酸二カルシウムの混合比率の上,下限
値としては、これらの範囲であることが望ましいもので
ある。
【0012】微粉材はモルタル組成物Mを構成する構成
材料の材料分離を防止するために用いる材料である。こ
こで、構成材料の材料分離とは、粘着力や摩擦力等によ
り結合していたモルタル組成物Mを構成する材料のう
ち、その一部が他の構成材料から分離して、モルタル組
成物Mが所定の性質を満たさなくなることであり、本発
明では特にモルタル組成物M中に含まれる水成分(いわ
ゆる自由水3)が分離することにより生じる材料分離
(ブリーディング)を防止する必要がある。上記微粉材
について要求される品質は、セメントの化学反応に悪影
響を及ぼすことなくブリーディングを減少し、吸水量が
少なく、強度増加に寄与しない性質を有する必要があ
る。当該性質を満足する材料としてシリカフューム等も
存在するが、最も適当な材料は高炉スラグ微粉末等の鉱
物系微粉材である。当該微粉材は、モルタル組成物Mの
流動性を改善させると共に、細骨材の間隙部に入り込む
ことによりモルタル組成物Mに存在する空隙部を減少さ
せ、モルタル組成物Mをより密実として、構成材料の材
料分離を減少させるものである。
【0013】上記微粉材の混合割合は、セメント30乃
至150重量部に対し、微粉材60乃至200重量部と
なる範囲内でその混合割合を定め、かつ、他の構成材料
の混合割合を考慮して、製造後のフレッシュモルタル組
成物が所要のスランプフローを達成するように適切に決
定される必要がある。しかし、当該微粉材を上記セメン
トに混合した場合には、その混合量を増加させることに
伴いブリーディング率は減少するが、上記微粉材のみで
は、構成材料の材料分離を完全に防止することができな
い。そのため、以下に示す、分離低減剤を加えることに
より材料分離を防止する必要がある。尚、ここで、スラ
ンプフローとは、コンクリートのスランプフロー試験方
法案(土木学会基準 JSCE−F503−1990)
に基づき測定された値である。
【0014】上記分離低減剤としては、水溶性高分子化
合物が最も有効であり、天然高分子化合物、半合成高分
子化合物、合成高分子化合物が存在する。それらの各種
水溶性高分子化合物のうち、特に半合成高分子化合物に
属するセルロース系の水溶性高分子化合物が有効であ
り、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチル
セルロース等が存在するが、これらのいずれの材料をも
用いることができる。当該分離低減剤を加えることによ
り、モルタル組成物Mの構成材料間の粘着性を増大させ
ることが可能となり、水セメント比が大きいモルタル組
成物Mを水中において打設する場合であっても材料分離
を防ぐことができることになる。
【0015】ここで、図1により、本発明に係るモルタ
ル組成物Mの概念について説明する。本図では、便宜的
にモルタル組成物Mの構成材料は、セメント粒子1と水
(結合水2及び自由水3)と分離低減剤(水溶性高分子
化合物)4に限定して表示されている。ここで、結合水
2は分離低減剤(水溶性高分子化合物)4と結合してお
り、モルタル組成物M中において自由に移動することが
できない水をいい、自由水3はモルタル組成物M中に存
在し、その他の構成材料と十分結合していないため比較
的自由に移動できる水をいう。図1(a)に示す本発明
に係るモルタル組成物では、適量の分離低減剤(水溶性
高分子化合物)4を加えることにより、当該分離低減剤
(水溶性高分子化合物)4がモルタル組成物M中に含ま
れているセメント粒子1及び自由水3を取り囲むように
鎖状に形成されており、両構成材料をその内部に包容す
る構造になっている。そのため、自由水3はモルタル組
成物M中を自由に移動しにくくなっていることから、自
由水3は他の構成材料から分離することができず、材料
分離が生じないことになる。
【0016】これに対し、図1(b)に示すように、分
離低減剤(水溶性高分子化合物)4’の混合量が少ない
従来のモルタル組成物M’は、当該分離低減剤(水溶性
高分子化合物)4’がモルタル組成物M’中に含まれる
自由水3’を取り囲むことができるほど十分含まれてい
ない。そのため、自由水3’はモルタル組成物M’中を
比較的自由に移動することができることから、自由水
3’の分離が生じるため、それに伴い材料分離が生じる
ことになる。その一方、分離低減剤4の混合量が多すぎ
ると、モルタル組成物Mの硬化後の圧縮強度が小さくな
ってしまうため、混合量の上限値が定められることにな
る。
【0017】従って、上記分離低減剤の混合割合は、セ
メント30乃至150重量部に対し、分離低減剤1.5
乃至4.0重量部となる範囲内でその混合割合を決定
し、かつ、他の構成材料の混合割合を考慮して、製造後
のフレッシュモルタル組成物が所要のスランプフローを
達成するように適切に決定される必要がある。
【0018】細骨材は、一般に使用されている骨材を使
用することが可能であり、石質、粒径等について特に制
限はない。上記細骨材の混合割合は、セメント30乃至
150重量部に対し、細骨材1200乃至1650重量
部となる範囲内でその混合割合を決定し、かつ、他の構
成材料の混合割合を考慮して、製造後のフレッシュモル
タル組成物が所要のスランプフローを達成するように適
切に決定される必要がある。
【0019】本発明において、水も当然にモルタル組成
物Mの成形上必要なものであり、水分量が少ないと、施
工後における圧縮強度が増加してしまい、その逆に、水
分量が多いと構成材料の材料分離が生じてしまうことに
なる。従って、上記各構成材料の混合割合を考慮し、か
つ、製造後のフレッシュモルタル組成物のスランプフロ
ーが40cm乃至73cmの値となるように、水重量部を適
切に決定して混練することが必要となる。尚、水は、
油、酸、塩類、有機物等、モルタル組成物Mの品質に影
響を及ぼす物質を含まないものであれば、その種類等に
特に制限はない。
【0020】
【実施例】以下に、本発明のモルタル組成物についての
実施例を示す。圧縮強度が小さい低強度モルタル組成物
を作成するためには、セメント量をできる限り少なくし
て、水セメント比を大きくすることが必要である。例え
ば、圧縮強度5kgf /cm2 のモルタル組成物を製造する
場合には、モルタル組成物1m 3 当たり、セメント量を
50kg/m3 から100kg/m3 として、スランプフロ
ーが45cm以上であることが必要である。しかし、上記
のようにセメント量が少ない場合には構成材料の材料分
離が生じてしまうため、材料分離を防止するために微粉
材及び分離低減剤を混合する必要がある。
【0021】まず、微粉材として鉱物系微粉材のみを用
いたモルタル組成物について説明する。試験に用いたモ
ルタル組成物の基本配合は、製造するモルタル組成物1
3当たり、セメント100kg/m3 、水300kg/m
3 を用い、セメント中の珪酸三カルシウム(以下、表中
記号「C3S」とする)と、珪酸二カルシウム(以下、
表中記号「C2S」とする)の組成化合物の重量比を6
7対9として、分離低減剤は使用せず、鉱物系微粉材
(高炉スラグ微粉末)量及び細骨材量を変化させて、モ
ルタル組成物を作成したものである。尚、鉱物系微粉材
及び細骨材は、ある程度補完的な役割を果たす構成材料
であるため、両材料の混合量を調整して試験を行ってい
る。
【0022】表1は、当該微粉材の混合量の違いによる
フレッシュモルタル試験の結果を示したものである。こ
の結果によると、微粉材量を増加させるとブリーディン
グ率は減少するが、完全に防止する(ブリーディング率
0%)ことはできない。従って、微粉材の他に、分離低
減剤を加えることが必要になることがわかる。しかし、
後述するように分離低減剤を加えすぎるとモルタル組成
物の圧縮強度が低下することになるため、セメント10
0kg/m3 に対し、鉱物系微粉材の混合量を、60kg/
3 (表1には示さず)〜200kg/m3 加え、更に分
離低減剤を使用してブリーディング率を減少させること
にする。
【0023】
【表1】
【0024】次に、表2は、微粉材(鉱物系微粉材)の
他に分離低減剤を加えたモルタル組成物についての場合
であり、分離低減剤の混合量の違いによるフレッシュモ
ルタル試験の結果を示したものである。用いたモルタル
組成物の基本配合は、製造するモルタル組成物1m3
たり、セメント100kg/m3 、鉱物系微粉材100kg
/m3 、水300kg/m3 、細骨材1450kg/m3
用い、セメント中の珪酸三カルシウムと、珪酸二カルシ
ウムの組成化合物の重量比を67対9としたものであ
る。 ここで、材料分離を起こさないことを示す指標の値
としては、ブリーディング率が0%であることが必要で
ある。表2において、これらの値を満足する分離低減剤
の混合量は1.5kg/m3 以上(表2には1.5kg/m
3 の場合は示さず)であることがわかる。特に、懸濁物
質量が80mg/L以下である場合には、全く材料分離が
生じないが、これらの値を満足する分離低減剤の混合量
は3.0kg/m3 以上であることがわかる。 尚、分離低
減剤の混合量が3.0kg/m3 である場合には、ブリー
ディング率が0%であるにもかかわらず、スランプフロ
ーが48.0cmと大きく、流動性が非常に大きいモルタ
ル組成物であることを示している。
【0025】
【表2】
【0026】 次に、表3に分離低減剤混合量の違いによ
るモルタル組成物供試体の一軸圧縮強度試験結果を示
す。用いたモルタル組成物の基本配合は、製造するモル
タル組成物1m3 当たり、セメント100kg/m3 、鉱
物系微粉材100kg/m3 、水300kg/m3 、細骨材
1450kg/m3 を用い、セメント中の珪酸三カルシウ
ムと、珪酸二カルシウムの組成化合物の重量比を67対
9としたものである。 この結果をみると、配合NO1の
場合を除き、他のいずれの配合の場合も材齢の違いによ
る一軸圧縮強度の変化はあまりみられないが、分離低減
剤の混合量が増加すると気中一軸圧縮強度は低下するこ
とがわかる。一方、水中一軸圧縮強度は分離低減剤量が
少ない場合では、水中でモルタル組成物が材料分離を生
じてしまうため小さいが、その量を増加させていくと材
料分離が生じなくなるため序々に増加し、分離低減剤量
2.5kg/m3 〜3.0kg/m3 で最大値となってい
る。これらの結果より、気中及び水中の一軸圧縮強度が
それぞれ、0.8N/mm2以上、0.4N/mm2 以上程
度であり、かつ、材齢により強度増加のないモルタル組
成物における分離低減剤の混合量は1.5kg/m3
4.0kg/m3 が適切であることがわかる。
【0027】
【表3】
【0028】 次に、表4は、セメント組成化合物の違い
によるモルタル組成物供試体の一軸圧縮強度試験結果を
示したものである。用いたモルタル組成物の基本配合
は、製造するモルタル組成物1m3 当たり、セメント1
00kg/m3 、鉱物系微粉材100kg/m3 、分離低減
剤3.0kg/m3 、水300kg/m3 、細骨材1450
kg/m3 を用い、セメント中の主要組成物である珪酸三
カルシウムと、珪酸二カルシウムの重量比を変化させた
ものである。 上述したように、珪酸三カルシウムは水和
反応速度が速く、材齢28日以内の短期強度の発現を支
配する性質を有する。その一方、珪酸二カルシウムは水
和反応速度が遅く、材齢28日以後の長期強度の発現に
寄与する性質を有する。 この結果より、珪酸三カルシウ
ムの化合物を多く含有しているセメントは初期時点での
一軸圧縮強度が大きく、かつ、材齢の経過に伴いその強
度は増加しないことがわかる。また、その逆に、珪酸二
カルシウムの化合物を多く含有しているセメントは初期
時点での一軸圧縮強度は小さいが、材齢の経過に伴いそ
の強度は増加してしまうことがわかる。従って、セメン
ト中における珪酸三カルシウムと、珪酸二カルシウムの
重量比がそれぞれ67対9のものが材齢の経過に伴い強
度増大せず、所望の効果を有するに最適であることがわ
かる。
【0029】
【表4】
【0030】 また、本実験結果には直接的には示されて
いないが、セメント中の主要組成物である珪酸三カルシ
ウムと、珪酸二カルシウムの重量比がそれぞれ67対9
の配合により作成されたモルタル組成物は、変形係数が
小さく、破壊ひずみが大きく、残留強度が大きく、か
つ、透水係数が小さい性質を有しているということが実
証されている。 尚、表4で示した実施例において、セメ
ント中における珪酸三カルシウムと、珪酸二カルシウム
の重量比がそれぞれ50対26の配合は、普通ポルトラ
ンドセメントの配合の一例であり、珪酸三カルシウム
と、珪酸二カルシウムの重量比がそれぞれ67対9の配
合のセメントは早強ポルトランドセメントの配合の一例
である。
【0031】
【発明の効果】 上記のように、本発明に係るモルタル組
成物は、構成材料の材料分離がないことはもちろんであ
り、それに加えて、流動性に優れ、変形係数が小さく、
破壊ひずみが大きく、残留強度が大きく、透水係数が小
さく、低強度で材齢の経過に伴い強度増加せず、かつ経
済性を有するものであるため、ケーソン工事や地盤改良
工法等に用いる材料としては最適である。 特に、本発明
に係るモルタル組成物は水中においても材料分離を生じ
ないため、当該モルタル組成物を用いた場合には、品質
の均一なケーソン遮水壁及び改良地盤が得られることに
なる。
【0032】また、本発明に係るモルタル組成物を地盤
改良工法に用い、改良地盤を掘削する場合には、材齢の
経過に伴い当該改良地盤の圧縮強度が増大しないため掘
削作業が容易となり、作業に要する時間とコストの低減
を図ることが可能となる。更に、本発明に係るモルタル
組成物は特別な構成材料を用いていないため構成材料の
入手が容易であり、市場のプラントを用いて安価に製造
可能である。更に、当該モルタル組成物は流動性が極め
て良好であり、実際の施工時にポンプ圧送する際におけ
るポンプの吐出圧が小さいため、施工に当たり特別な施
工機械を必要とせず、作業を容易に行うことができると
いう効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は適量の分離低減剤量を含んだ本発明に
係るモルタル組成物の概念図であり、(b)は分離低減
剤量の混合量が少ない従来のモルタル組成物の概念図で
ある。
【符号の説明】
1 セメント粒子 2 結合水 3 自由水 4 分離低減剤(水溶性高分子化合物) M モルタル組成物

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント、微粉材、分離低減剤、細骨材
    及び水を主要構成材料とするモルタル組成物であって、 単位容量の前記モルタル組成物を製造する場合におい
    て、セメント30乃至150重量部、微粉材60乃至2
    00重量部、分離低減剤1.5乃至4.0重量部、細骨
    材1200乃至1650重量部の割合により前記各構成
    材料を混合し、かつ、製造後のフレッシュモルタル組成
    物のスランプフローが40cm乃至73cmの値となるよう
    に、水重量部を決定して混練することを特徴とするモル
    タル組成物。
  2. 【請求項2】 珪酸三カルシウムと、珪酸二カルシウム
    と、アルミン酸三カルシウムと、鉄アルミン酸四カルシ
    ウムを主要組成化合物とする前記セメントであって、 前記主要組成化合物の混合比率として、珪酸三カルシウ
    ム60重量%以上、珪酸二カルシウム10重量%以下、
    アルミン酸三カルシウム8重量%以上、鉄アルミン酸四
    カルシウム8重量%以上を有するセメントを用いること
    を特徴とした請求項1記載のモルタル組成物。
JP15090998A 1998-06-01 1998-06-01 モルタル組成物 Pending JPH11343164A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15090998A JPH11343164A (ja) 1998-06-01 1998-06-01 モルタル組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15090998A JPH11343164A (ja) 1998-06-01 1998-06-01 モルタル組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11343164A true JPH11343164A (ja) 1999-12-14

Family

ID=15507048

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15090998A Pending JPH11343164A (ja) 1998-06-01 1998-06-01 モルタル組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11343164A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007523256A (ja) * 2003-09-23 2007-08-16 コールド−ボール・メタラジー・カンパニー・リミテッド 自己還元する低温結合ペレット

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007523256A (ja) * 2003-09-23 2007-08-16 コールド−ボール・メタラジー・カンパニー・リミテッド 自己還元する低温結合ペレット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5165873B2 (ja) 鉄筋継手用充填材を用いた鉄筋継手充填施工方法
CN109293311A (zh) 超高性能混凝土浆料、超高性能混凝土及其制备方法
JPH10152359A (ja) 高流動性セメント組成物
JP5059354B2 (ja) 土質安定用地盤注入材
JP7369849B2 (ja) セメント組成物
KR100814148B1 (ko) 콘크리트 조성물
JP5574758B2 (ja) セメント含有粉体組成物、及び水硬性組成物
JPH11343164A (ja) モルタル組成物
JP2010155758A (ja) セメント混和材及びセメント組成物
JP2010150072A (ja) 鉄筋継手用充填材組成物、それを用いた鉄筋継手用充填材、及びその鉄筋継手充填施工方法
JP2023149814A (ja) コンクリート及びその製造方法
JPH06219809A (ja) 自己充填性コンクリートの製造方法
JP2004284873A (ja) 水硬性複合材料
JP2010285466A (ja) 高炉スラグ組成物を用いた地盤改良用スラリー組成物及びこれを用いたソイルセメントスラリーの調製方法
JP2004002203A (ja) シラスを用いた低強度モルタル充填材
JP3471296B2 (ja) セメントスラリーの製造方法
JP2007176742A (ja) 剪断強度強化型軽量コンクリート
JP2019065638A (ja) コンクリート、トンネル覆工体およびコンクリートの配合設計方法
JP4230158B2 (ja) モルタルの調製方法
JP3103195B2 (ja) コンクリート組成物
JP7403342B2 (ja) セメント組成物及びその製造方法、並びにモルタル
JPH07267700A (ja) 二液性グラウト組成物
JP6797028B2 (ja) 六価クロムの溶出低減剤およびそれを用いた六価クロムの溶出低減方法。
JP2018044123A (ja) 注入材、注入材の充填方法
JP5383045B2 (ja) グラウト用セメント組成物およびそれを用いたグラウト材料