JPH11342727A - 車輌用熱発生装置 - Google Patents

車輌用熱発生装置

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JPH11342727A
JPH11342727A JP15619398A JP15619398A JPH11342727A JP H11342727 A JPH11342727 A JP H11342727A JP 15619398 A JP15619398 A JP 15619398A JP 15619398 A JP15619398 A JP 15619398A JP H11342727 A JPH11342727 A JP H11342727A
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JP
Japan
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heat generating
motor
rotor
heat
engine
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Application number
JP15619398A
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English (en)
Inventor
Takashi Ban
孝志 伴
Tatsuyuki Hoshino
辰幸 星野
Shigeru Suzuki
鈴木  茂
Tatsuya Hirose
達也 廣瀬
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハイブリッド車の暖房装置に適した車輌用熱発
生装置を提供する。 【解決手段】エンジン71、熱発生装置77及び暖房ユ
ニット80により暖房システムが構成される。熱発生装
置77は、ロータで粘性流体を機械的に剪断することで
熱を発生する剪断発熱部30と、内部駆動源としてのモ
ータ部20と、電磁クラッチ部60とを有する。電磁ク
ラッチ部60は外部駆動源としてのエンジン71と作動
連結され、そのエンジン71の駆動力を剪断発熱部30
に選択的に供給する。剪断発熱部30は、エンジン71
の停止時には内部駆動源たるモータ部20から動力供給
され、エンジン71の駆動時には電磁クラッチ部60を
介して外部駆動源たるエンジン71から動力供給されて
作動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車や
電気自動車等の新世代の自動車の暖房システムに有用な
車輌用熱発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の車輌用内燃機関(エンジン)は効
率があがって余分な熱を発生しなくなったため、エンジ
ンの余熱を利用した車室暖房に不足を感じるという新た
な問題が持ち上がった。このため、車輌用暖房装置に必
要な熱量を補う補助熱源装置が求められている。そのよ
うな補助熱源装置として実用化が有力視されているもの
に、ハウジング内に収容した高粘性流体(例えばシリコ
ーンオイル)をロータにより機械的に強制剪断すること
で流体摩擦に基づく熱を発生させる車輌用熱発生器があ
る(例えば特開平2−246823号公報参照)。この
種の熱発生器は、車輌のエンジンルーム内に収める補機
として位置付けられ、走行用動力源としてのエンジンを
駆動源としている。より具体的には、熱発生器のロータ
をベルト伝達機構を介してエンジンと作動連結し、エン
ジンのクランク軸の回転動力の一部を熱発生器に供給し
てロータを回転させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の省資源、省エネ
ルギー、環境保全重視(二酸化炭素の排出削減等)の社
会的風潮をうけて、車輌の走行用動力源も内燃機関一辺
倒ではなくなってきている。例えば、脱内燃機関の方向
性を示した新世代の自動車として、モータを動力源とし
た電気自動車や、モータと内燃機関とを組み合わせたハ
イブリッド車が市販されるに到っている。
【0004】ところで、従来の車輌用エンジンにはアイ
ドリングというものがあり、車輌が路上に一時停止して
いるときでもエンジンの回転は常に保たれる。このた
め、車輌の一時停止時でもエンジンから動力供給を受け
て熱発生器を駆動させ、車室内の暖房を維持することが
できた。即ち、エンジンを走行用動力源としてのみなら
ず常にヒータ用駆動源として利用することができた。
【0005】しかし、新世代自動車の走行用動力源に
は、そもそも従来のような意味でのアイドリングという
ものが無い。電気自動車は当然のことながら、ハイブリ
ッド車の内燃機関も常に駆動しているわけではない。例
えば市販されているハイブリッド車は原則として、低速
時はモータのみで走行し、所定の速度(例えば20km
/h程度)に達するとエンジンが始動してエンジン及び
モータでの走行に切り替わる。即ち、車輌の停止時や渋
滞でのノロノロ運転時(超低速運転時)には、エンジン
は停止しており、まさに電気自動車として機能するので
ある。
【0006】それ故、従来のように走行用動力源をヒー
タ用駆動源としても同時に利用するという考え方では、
車輌の一時停止時やノロノロ運転時には、暖房システム
が全く働かないという事態も生じ得る。車輌の走行状態
とは無関係に搭乗者(人間)が暖を欲する以上、新世代
の自動車には、その駆動システムの特殊事情を考慮した
新たな車輌用熱発生装置が必要となる。
【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、新世代の自動車の暖房システムに
有用な車輌用熱発生装置を提供することにある。より具
体的には、エンジン等の外部駆動源の駆動状況とは無関
係に作動させることができる車輌用熱発生装置を提供す
ることにある。又、外部駆動源と内部駆動源との間で動
力供給源の適切な選択を可能として、必要なときに必要
な熱量を迅速に発生させることができる車輌用熱発生装
置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、供給
された機械的動力を熱に変換する発熱手段と、前記発熱
手段に機械的動力を供給可能な内部駆動源としてのモー
タと、前記内部駆動源としてのモータ以外の外部駆動源
と作動連結されてその外部駆動源からの機械的動力を前
記発熱手段に選択的に供給可能なクラッチ機構と、前記
内部駆動源としてのモータ及び前記クラッチ機構に電気
的に接続され、該モータ及びクラッチ機構の少なくとも
一方から前記発熱手段への動力供給を制御する制御手段
とを備えてなる車輌用熱発生装置をその要旨とする。
【0009】この構成によれば、クラッチ機構を介して
の外部駆動源及び/又は内部駆動源としてのモータから
発熱手段への動力供給が制御手段によって制御される。
例えばモータを利用する際には、制御手段はクラッチ機
構を遮断状態として外部駆動源から発熱手段を切り離す
とともに、モータへの通電制御を行ってモータ(内部駆
動源)から発熱手段に動力を供給する。他方、外部駆動
源を利用する際には、制御手段はクラッチ機構を接続状
態として外部駆動源から発熱手段へ直接動力を供給す
る。この場合、内部駆動源たるモータへの通電は通常停
止されるが、同時にモータへの通電制御を行って補助的
にモータから発熱手段に動力を供給してもよい。このよ
うに、制御手段によって発熱手段の駆動源を適宜切り替
えることができるので、外部駆動源の駆動状況にかかわ
らず、必要なときに発熱手段を作動させて必要な熱量を
迅速に発生させることができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1に記載の車輌
用熱発生装置において、前記発熱手段は、前記モータ又
は前記外部駆動源からの動力によって回転駆動されるロ
ータを備え、この回転するロータで粘性流体を機械的に
剪断することにより流体摩擦に基づく熱を発生させる機
械装置であることを特徴とする。
【0011】この構成によれば、モータ又は外部駆動源
からの動力を受けて発熱手段のロータが回転駆動され、
そのロータによる粘性流体の機械的剪断によって熱が発
生する。かかる流体摩擦に基づく発熱原理によれば、機
械的動力が効率的に熱に変換される。
【0012】請求項3の発明は、請求項2に記載の車輌
用熱発生装置において、前記内部駆動源としてのモータ
と、前記発熱手段のロータとは、共通の駆動軸で結合さ
れていることを特徴とする。
【0013】この構成によれば、モータへの通電が停止
された状態でクラッチ機構を介して外部駆動源から発熱
手段に直接動力を供給した場合、モータとロータとが共
有する駆動軸を介してモータへも同時に動力が提供され
る。この場合、モータは起電装置として作用するが、生
じた電流の逃げ場がないためにその電気エネルギーは熱
に変換される。即ち、モータは一種の渦電流型ヒータと
化してロータ内蔵の発熱手段に次ぐ第2の発熱手段とし
て機能し、発熱を補助する。
【0014】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
か一項に記載の車輌用熱発生装置において、前記発熱手
段は、その発熱能力の可変調節機構を備え、その可変調
節機構は前記制御手段からの司令によって発熱手段の発
熱能力を調節することを特徴とする。
【0015】この構成によれば、制御手段からの司令に
よって発熱手段の発熱能力が適宜調節され、熱発生装置
の利便性が高まる。請求項5の発明は、請求項1に記載
の車輌用熱発生装置において、前記発熱手段は、発熱室
と、前記発熱室内に収容されて前記モータ又は前記外部
駆動源からの動力によって回転駆動されるロータと、前
記発熱室内に収容されて前記ロータによる機械的剪断を
受けて流体摩擦に基づく熱を発生する粘性流体と、前記
制御手段からの司令に応じて前記ロータの剪断作用面と
それに対向する発熱室の内壁面との間のクリアランスを
可変調節する可変調節機構とにより構成されていること
を特徴とする。
【0016】発熱室内に収容された粘性流体をロータで
機械的に剪断することにより流体摩擦に基づく熱を発生
するという構成では、一般にロータを駆動するのに必要
なトルク(流体摩擦トルク)及び剪断発熱量は、ロータ
の剪断作用面と発熱室の内壁面との間のクリアランス
(C)に反比例する。即ち、クリアランスCが大きいほ
ど、ロータは粘性流体の拘束を受け難くなる一方で剪断
発熱量も小さくなる。
【0017】請求項5の構成によれば、制御手段からの
司令に応じてロータの剪断作用面と発熱室の内壁面との
間のクリアランスCを可変調節できるため、使用してい
るロータ駆動源の特性に応じて前記クリアランスCを最
適化することができる。例えば、使用する駆動源が低負
荷で高速回転するタイプの場合には、クリアランスCを
大きくすることで流体摩擦トルクを小さくして駆動源の
単位回転当りの負荷を軽減してロータの起動を容易にす
る。その代わりに、ロータの回転数を上げて必要な発熱
量を確保することが可能となる。逆に、使用する駆動源
が高速回転は無理でも高負荷に打ち勝つだけのトルクを
発生するタイプの場合には、クリアランスCを小さくす
ることで必要な発熱量を確保することが可能となる。
【0018】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
か一項に記載の車輌用熱発生装置において、前記車輌用
熱発生装置は、前記発熱手段及び前記内部駆動源として
のモータを包含するハウジングを備えており、そのハウ
ジング内には、前記発熱手段及び前記モータで生じた熱
が伝えられる循環流体の流通を許容する循環流体通路が
設けられていることを特徴とする。
【0019】この構成によれば、発熱手段及びモータで
生じた熱が、ハウジング内に設けられた循環流体通路を
流れる循環流体に伝達され、その循環流体によって熱を
必要とする領域に移送される。
【0020】なお、前記循環流体通路は、前記発熱手段
の周囲及び前記モータの周囲を経由するように設定され
ることが好ましい。この場合、循環流体への熱伝達が効
率的に行われる。
【0021】請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれ
か一項に記載の車輌用熱発生装置において、前記外部駆
動源は内燃機関であることを特徴とする。この場合、当
該熱発生装置はハイブリッド車に適したものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、ハイブリッド車の暖房シス
テムに組み込まれる車輌用熱発生装置に本発明を具体化
した一実施形態を図1〜図8を参照して説明する。
【0023】(ハイブリッド車における暖房システムの
構築例)図7に示すハイブリッド車は、THS(トヨタ
ハイブリッドシステム)方式の複合駆動系を採用してお
り、エンジン71と、動力分割機構72と、動力モータ
73と、発電機74と、インバータ75と、バッテリ7
6とを備えている。第1の走行用動力源としてのエンジ
ン71は、アトキンソンサイクルのガソリンエンジンで
あり、最高出力回転数を約4000rpmに制限して1
000〜3000rpmの回転域での効率を高めた設計
となっている。エンジン71のアイドリング回転数は7
00〜1000rpmの範囲に設定されており、エンジ
ン71は当然のことながらこのアイドリング回転数以上
でトルクを発生する。そして、回転数の増大とともにト
ルクを増し、約4000rpmで約10.4kgmの最
大トルクを発生する。動力モータ73は、単独で又はエ
ンジン71を補助して駆動輪を回転駆動するための第2
の走行用動力源である。この動力モータ73は最高回転
数が約2000rpmに設計され、0〜940rpmの
範囲で比較的フラットに最大トルク(約31kgm)を
発生し、940rpm以上では回転数の増大とともにト
ルクが次第に低下するという特性を持つ。
【0024】このハイブリッド車の暖房システムは、外
部駆動源としてのエンジン71と、熱発生装置77と、
暖房ユニット80とを循環流体回路79で連結して構築
されている。
【0025】車輌用熱発生装置77は、エンジン71と
動力分割機構72とをつなぐ動力伝達経路に作動連結さ
れている。この点を図7では、エンジン71の近傍に配
置されたプーリ78を介して熱発生装置77が連結され
ているように便宜上描いているが、このようなプーリ7
8が必ず存在するという意味ではない。そして、暖房ユ
ニット80とは、公知のヒータコアやエアミックスドア
を含む室内吹き出し用の熱交換機器類をいう。循環流体
回路79を流れる循環流体は、本実施形態ではエンジン
71の冷却水(エンジンクーラント)である。エンジン
71及び/又は熱発生装置77によって加熱されたエン
ジン冷却水が暖房ユニット80に供給され、その熱が車
室内の暖房等に供せられる。
【0026】(車輌用熱発生装置の全体構成)図1に示
す車輌用熱発生装置のハウジングは、図1の左寄りに配
置された有底筒状の第1ハウジング部材11と、その第
1ハウジング部材11の筒部11aを包囲する筒部12
aを有する第2ハウジング部材12と、該第2ハウジン
グ部材12と対向配置された第3ハウジング部材13と
から構成されている。これら三つのハウジング部材1
1,12及び13は、対向面間にOリング14やガスケ
ット15を介在させた状態で複数本の通しボルト16
(本実施形態では三本使用、図4参照)により相互締結
されている。第1,第2及び第3ハウジング部材の各々
には軸受け17a,17b及び17cが設けられ、これ
ら軸受けによってハウジング内には駆動軸18が回動可
能に支持されている。
【0027】そして、この熱発生装置は、前記ハウジン
グの略中央部に設けられた剪断発熱部30と、その剪断
発熱部のリヤ側(図の左側)に配置されたモータ部20
と、剪断発熱部のフロント側(図の右側)に配置された
電磁クラッチ部60とから成り立っている。なお、剪断
発熱部30が発熱手段に相当し、モータ部20が「内部
駆動源としてのモータ」に相当し、電磁クラッチ部60
が「外部駆動源からの機械的動力を発熱手段に選択的に
供給可能なクラッチ機構」に相当する。
【0028】(モータ部)図2に示すように、第1及び
第2ハウジング部材11,12によって区画される収納
空間内には、駆動軸18の後半部(左半部)が収納され
ている。この駆動軸18上には長尺環状の回転子21が
一体回転可能に設けられている。他方、その回転子21
を包囲するように第1ハウジング部材11の筒部11a
の内周域には固定子22が設けられている。固定子22
は第1ハウジング部材11の底壁部11bから導出され
る給電線23と接続されており、これらの給電線23を
介して図8に示す駆動回路82及びバッテリ76と接続
されている。そして、第1ハウジング部材11、回転子
21及び固定子22により駆動軸18を電磁気的に駆動
させるモータ部20が構成されている。
【0029】このモータ部20は、最大回転数が1万r
pm以上に設定された小型の超高速モータであり、低負
荷状態で超高速回転が可能という特性を持つ。当然なが
ら、このモータ部20は走行用の動力モータ73に比べ
てはるかに小型であり、消費電力も非常に少ない。
【0030】(剪断発熱部)図1に示すように、第3ハ
ウジング部材13は、前方(右方向)に向かって突出し
た中空筒状のボス部13aと、該ボス部13aの基壁1
3bから後方(左方向)に向かって張り出した碗状部1
3cとを有している。その碗状部13cの後端面は、ガ
スケット15を介して第2ハウジング部材12の前端面
に接合されている。そして、第2及び第3ハウジング部
材12,13によって区画される収納空間内には、固定
側板31と可動側板32とが内装され、これらにより剪
断発熱部30が構成されている。
【0031】図3に示すように、固定側板31は、駆動
軸18を包囲する円筒状のボス部31aと、そのボス部
から駆動軸18の半径方向に延在する直立円盤壁31b
と、その直立円盤壁の最外周においてその前後に延在す
る環状のリム部31cとを有している。そして、この固
定側板31は、第2及び第3ハウジング部材12,13
内に嵌合されている。即ち、固定側板31のボス部31
aは、第2ハウジング部材12の基壁12bに形成され
た凹部に嵌入されると共に、リム部31cは、第2及び
第3ハウジング部材12,13の対向壁面間に挟着され
ている。これにより、固定側板31は両ハウジング部材
12,13に対して移動不能に位置決めされている。
【0032】固定側板31のリム部31cの内周側に
は、直立円盤壁31bよりも前方において規制段部31
dが形成されている。また、固定側板31の環状リム部
31c内には、可動側板32が、規制段部31dよりも
前方領域において駆動軸18の軸線方向に往復摺動可能
に嵌め込まれている。
【0033】可動側板32は、駆動軸18を包囲する円
筒状のボス部32aと、そのボス部から駆動軸18の半
径方向に延在する直立円盤壁32bと、その直立円盤壁
32bの前面側に突設された円環状の摺動案内部32c
とを有している。可動側板32の直立円盤壁32bの外
周縁は、Oリングシール33を介して前記リム部31c
の内周面に摺動可能に密合している。可動側板32の後
方への移動は、直立円盤壁32bが規制段部31dに当
接することで規制される。他方、可動側板32の前方へ
の移動は、直立円盤壁32bの前面が、第3ハウジング
部材13の基壁13bの後端面側に突設された環状突起
13dの頂上に当接することで規制される。
【0034】図3に示すように、固定側板31の直立円
盤壁31bと可動側板32の直立円盤壁32bとの間の
領域には、発熱室34が区画形成されている。発熱室3
4の前方側は、可動側板のボス部32aの内周面と駆動
軸18の外周面との間に配設された第1環状シール35
によって封止されている。他方、発熱室34の後方側
は、固定側板のボス部31aの内周面と駆動軸18の外
周面との間に配設された第2環状シール36によって封
止されている。従って、発熱室34は、可動側板32の
前後摺動に伴って内容積が変化する液密な内部空間とな
っている。
【0035】発熱室34内には、駆動軸18上に圧入固
定された円板状のロータ37が収容されている。ロータ
37の前後各端面は、ロータの回転時に剪断作用面とし
て機能する。ロータ37の後端面とそれに対向する発熱
室の内壁(固定側板31の直立円盤壁31b)との間の
クリアランスC1は一定であるのに対し、ロータ37の
前端面とそれに対向する発熱室の内壁(可動側板32の
直立円盤壁32b)との間のクリアランスC2は、可動
側板32の前後摺動に伴って変化する。クリアランスC
2は、可動側板32が規制段部31dに当接したときに
最小値C2minとなり(図5参照)、可動側板32が
環状突起13dの頂上に当接したときに最大値C2ma
xとなる(図6参照)。通常、前記クリアランスC1は
数十〜数百μmの範囲内の特定値に設定される。他方、
前記クリアランスC2の最小値C2minがその特定値
と同じとされた場合、該C2の最大値C2maxは、数
百μmから1又は2mmの範囲に設定される。なお、規
制段部31dは、発熱室34の最小幅員を決定する役目
を担う。
【0036】ロータ37を収容した発熱室34内には、
粘性流体としてのシリコーンオイル(図示略)が所要量
充填される。発熱室34の内容積が最小(即ちC2=C
2min)の場合の発熱室内空き容積をVminとする
と、シリコーンオイルの充填量は、そのVminの約8
0〜95%程度となるように決められている。オイル充
填量を100%としないのは、剪断発熱時のオイルの体
膨張を考慮してのことである。
【0037】図3に示すように、可動側板32と第3ハ
ウジング部材13との間において環状突起13dの内側
に区画された略環状の空洞領域は、付勢圧制御室38と
して提供されている。付勢圧制御室38の前方側は、第
3ハウジング部材13の内周面と駆動軸18の外周面と
の間に配設された第3環状シール39によって封止さ
れ、その付勢圧制御室38の後方側は前記第1環状シー
ル35によって封止されている。又、環状突起13dと
可動側板32の摺動案内部32cとの間の気密性はOリ
ングシール42によって確保されている。従って、付勢
圧制御室38は気密な空洞領域となっている。
【0038】付勢圧制御室38の内部には、可動側板3
2を固定側板31に向けて付勢する付勢部材としてのコ
イルバネ41が配設されている。なお、図4ではコイル
バネ41及びOリングシール42の図示は省略されてい
る。
【0039】図8に示すように、付勢圧制御室38は、
第3ハウジング部材13内に形成された導圧通路43
と、その導圧通路につながれた導圧管44を経て吸引ポ
ンプ45に接続されている。前記導圧通路43の途中の
分岐点には三方向弁46が設けられている。この三方向
弁46は、導圧通路43を吸引ポンプ45又は外気に選
択的に接続するための切替え弁である。三方向弁46
は、正逆回転可能な制御モータ47(好ましくはステッ
ピングモータ)と作動連結されており、モータ47の作
動に応じてその配置を大気開放位置と吸引減圧位置との
間で切り替える。故に、付勢圧制御室38はモータ47
の作動に応じて吸引ポンプ45又は外気と接続される。
【0040】本実施形態では、三方向弁46を切替え制
御することにより、可動側板32の位置決め、即ちクリ
アランスC2の可変調節が可能となる。即ち、切替え弁
46により付勢圧制御室38を大気開放することで、そ
の大気圧とバネ41の付勢力とにより発熱室34のオイ
ル圧に抗して可動側板32が規制段部31dに当接する
位置に配置され、クリアランスC2が最小(C2mi
n)となる。他方、切替え弁46によって付勢圧制御室
38が吸引ポンプ45による吸引減圧状態に置かれる
と、バネ41の付勢力に抗して可動側板32が環状突起
13dの頂上に当接するまで前進して(図6参照)、ク
リアランスC2が拡大される。
【0041】このように、可動側板32、付勢圧制御室
38、コイルバネ41、吸引ポンプ45、三方向弁46
及び制御モータ47により、「ロータの剪断作用面とそ
れに対向する発熱室の内壁面との間のクリアランスを可
変調節する可変調節機構」が構成される。
【0042】ところで、円板形のロータ37の各端面で
の流体摩擦トルクT及び有効発熱量Qは一般に、 T=kπμωR4 /C, Q=k’Tω =kk’πμω2 4 /C, で表される。上記式中、k及びk’は比例定数、πは円
周率、μは粘性流体の粘性係数、ωはロータの角速度、
Rはロータの半径、Cはロータの端面とそれに対向する
発熱室内壁面との間隔(即ちロータクリアランス)であ
る。
【0043】上記流体摩擦トルクTの式からわかるよう
に、摩擦トルクTは、ロータクリアランスCと反比例の
関係にある。換言すれば、ロータクリアランスCが小さ
くなるほどロータに作用する流体摩擦抵抗は大きくな
り、ロータクリアランスCが大きくなるほど該流体摩擦
抵抗は小さくなる(即ちロータの回転負荷が小さい)。
従って、前記可変調節機構は、ロータ37の回転負荷を
調節するための可変機構と位置付けることができる。
【0044】又、上記有効発熱量Qの式からわかるよう
に、発熱量Qは、ロータクリアランスCと反比例の関係
にある。即ち、ロータクリアランスCが小さくなるほど
発熱量Qは増大傾向となり、ロータクリアランスCが大
きくなるほど発熱量Qは減少傾向にある。従って、前記
可変調節機構は、発熱手段としての剪断発熱部30の発
熱能力を調節する可変機構と位置付けることができる。
そして、発熱室34、ロータ37及び当該可変調節機構
によって広義の発熱手段が構成されているとみることが
できる。
【0045】(熱発生装置のウォータジャケット)図2
に示すように、第2ハウジング部材12の基壁12bと
固定側板31の直立円盤壁31bとの間には、発熱室3
4のリヤ側に隣接する円環状のウォータジャケット51
が区画されている。又、可動側板32の直立円盤壁32
bと第3ハウジング部材の基壁13bとの間には、発熱
室34のフロント側に隣接する円環状のウォータジャケ
ット52が区画されている。両ウォータジャケット5
1,52は発熱室34に隣接する放熱室を構成する。
【0046】図4及び図2に示すように、可動側板32
には、フロント側ウォータジャケット52を区画して半
径方向に延びるように形成された隔壁32dと、環状の
摺動案内部32cの外側に沿って周方向に延びる同心円
弧状のガイドフィン32eとが突設されている。同様
に、固定側板31には、リヤ側ウォータジャケット51
を区画して半径方向に延びるように形成された隔壁31
eと、ボス部31aの外側に沿って周方向に延びる2条
の同心円弧状のガイドフィン31fとが突設されてい
る。隔壁31e及びガイドフィン31fの各先端は、図
2に示すように、第2ハウジング部材12の内壁面に当
接されている。
【0047】第1ハウジング部材11の筒部11aの外
周面上には、螺旋状の突条11cが、第2ハウジング部
材12の筒部12aの内周面に当接するように形成され
ている。そして、第1及び第2ハウジング部材の各筒部
11a,12aの間には、突条11cによって螺旋状に
経路設定されたモータ部ウォータジャケット53が設け
られている。このモータ部ウォータジャケット53は、
モータ部20における放熱室を構成する。更に第2ハウ
ジング部材12の筒部12aの後端には、循環流体回路
79(図7参照)からモータ部ウォータジャケット53
に循環流体としてのエンジン冷却水を取り入れる第1ポ
ート54が形成されている。
【0048】図2に示すように、モータ部ウォータジャ
ケット53と発熱室リヤ側のウォータジャケット51と
は、第2ハウジング部材12の基壁12bに貫通形成さ
れた連通孔55を介して連通している。又、図2及び図
4に示すように、固定側板31のリム部31c並びに第
2及び第3ハウジング部材12,13には、リヤ側ウォ
ータジャケット51とフロント側ウォータジャケット5
2とを連通する連通路56が形成されている。連通路5
6はガスケット15を貫通している。更に、第3ハウジ
ング部材13の上部には第2ポート57が形成され、固
定側板のリム部31cには第2ポート57と連通する孔
58が貫通形成されている。フロント側ウォータジャケ
ット52内のエンジン冷却水は、孔58及び第2ポート
57を介して循環流体回路79に送り出される。
【0049】従って、第1ポート54からモータ部ウォ
ータジャケット53の後端域に導入されたエンジン冷却
水(循環流体)は、該ジャケット53内をその前端域に
向かって螺旋経路に沿って流れた後、連通孔55を経て
リヤ側ウォータジャケット51に導入される。そして、
円弧状のガイドフィン31fに沿ってリヤ側ウォータジ
ャケット51内を一巡した後に連通路56に到り、この
連通路56を経由してフロント側ウォータジャケット5
1に導入され、その後フロント側ウォータジャケット5
1内を円弧状ガイドフィン32eに沿って一巡した後、
第2ポート57へ導出される。このように、モータ部ウ
ォータジャケット53並びにリヤ側及びフロント側ウォ
ータジャケット51,52は、熱発生装置のハウジング
内において循環流体の流通を許容する循環流体通路を構
成する。
【0050】なお、本実施形態では第1ポート54から
第2ポート57に向かって循環流体を流通させたが、循
環流体の流通方向を逆にし第2ポート57から第1ポー
ト54に向かって流通させるようにしてもよい。但し、
モータ部20の周辺温度は低い方が好ましいため、循環
流体がモータ部20の周囲を流れた後に発熱室34前後
のウォータジャケット51,52に導入される本実施形
態の流通方向がより好ましいであろう。
【0051】(電磁クラッチ部)図1に示すように、駆
動軸18の外端部(図の右端)近傍には電磁クラッチ部
60が設けられている。図5に拡大して示すように、そ
の電磁クラッチ機構は、アンギュラベアリング61を介
して第3ハウジング部材のボス部13a上に回転可能に
支持されたプーリ62と、駆動軸18の外端部に止着さ
れた支持リング63上に前後摺動可能に設けられた円板
形状のクラッチ板64とを備えている。クラッチ板64
の背面側には板バネ65が配設されている。この板バネ
65は、その略中央部において支持リング63に固定さ
れると共に、その周縁部(図5では上下両端部)はクラ
ッチ板64の外周部に対しリベット等で連結されてい
る。クラッチ板64の正面はプーリ62の側端面62a
と対向しており、当該プーリ側端面62aが動力被伝達
側のクラッチ板としての役目を果たす。板バネ65の付
勢力はクラッチ板64をプーリ62から離間させる方向
に作用する。
【0052】プーリ62は、動力伝達ベルト66を介し
て外部駆動源としての車輌エンジン71に作動連結され
ている。又、第3ハウジング部材13の基壁13bに
は、ブラケット68を介して環状のソレノイドコイル6
7が支持されている。該ソレノイドコイル67は、プー
リ62の外周部とアンギュラベアリング61との間にお
いてプーリ62内に入り込むように配置されており、プ
ーリ側端面62aを通してクラッチ板64に電磁吸引力
を及ぼす。即ち、ソレノイドコイル67が通電される
と、その電磁吸引力により、図5に示すようにクラッチ
板64が板バネ65の付勢力に抗してプーリ62の側端
面62aに吸引接合される。クラッチ板64とプーリ6
2との接合により、プーリ62の回転(即ちエンジンの
回転駆動力)がクラッチ板64及び支持リング63を介
して駆動軸18に伝達され、ロータ37が回転される。
他方、ソレノイドコイル67への通電が停止されると、
電磁吸引力が消失し、図6に示すようにクラッチ板64
が板バネ65のバネ力によってプーリ62の側端面62
aから離間され、プーリ62から駆動軸18及びロータ
37への動力伝達が遮断される。
【0053】(熱発生装置の制御系)図8は熱発生装置
77を制御するための電気的及び機械的制御系統(制御
系)の概要を示す。制御手段としてのヒータコントロー
ラ81は、駆動回路82,83,84及び85を介して
前記モータ部20、制御モータ47、吸引ポンプ45及
び電磁クラッチ部60と接続されている。駆動回路82
〜85はバッテリ76から電力供給を受けている。又、
ヒータコントローラ81の入力側には、ヒータスイッチ
86、温度設定器87及び室温センサ88が接続され、
更にはTHSECU90を介して、イグニションキース
イッチ91、回転数センサ92及び水温センサ93とも
接続されている。
【0054】ヒータスイッチ86は搭乗者が暖房システ
ムをON/OFFするためのスイッチである。温度設定
器87は搭乗者が所望の室内温度を設定するための入力
装置である。室温センサ88は室内の温度を検出するセ
ンサである。THSECU90は、ハイブリッド車の複
合駆動系を総合的に統御するための電子制御ユニットで
ある。THSECU90はヒータコントローラ81と相
互にデータ通信可能であり、ヒータコントローラ81が
必要とする情報を適宜提供する。回転数センサ92はエ
ンジン71及び/又は動力モータ73の回転数を検出す
る。又、水温センサ93はエンジン71の冷却水系に設
けられてエンジン冷却水(循環流体)の温度を検出す
る。
【0055】(作用)次に本実施形態の作用を各場面毎
に説明する。 (場面1:イグニションキーのON時)人がハイブリッ
ド車に乗り込む前(車輌の停止時)、モータ部20への
通電、吸引ポンプ45への通電および電磁クラッチ部6
0のソレノイドコイル67への通電はすべて停止されて
おり、図6に示すように、電磁クラッチ部60のプーリ
62とクラッチ板64とは離間され、熱発生装置77と
エンジン71とは動力遮断状態にある。
【0056】操縦者によってイグニションキースイッチ
91がONされると、動力モータ73がスタータモータ
となってエンジン71が起動される。これはエンジン7
1の暖気運転と排気ガス浄化触媒の加熱とを意図しての
ものである。水温センサ93によってエンジン71内冷
却水が所定温度に暖まったことが判明すると、THSE
CU90はエンジン71を停止する。ただし、エンジン
71の駆動又は停止にかかわらず、操縦者がアクセルを
踏み込んで発進の意志表示をすると、ハイブリッド車
は、動力モータ73の駆動力で発進する。なお、ヒータ
スイッチ86がOFFされている限り、ヒータコントロ
ーラ81は作動しない。
【0057】(場面2:エンジン停止状態でのヒータス
イッチON)信号待ち又は交通渋滞での車輌の一時停止
時や、動力モータ73による低速走行時(例えば20k
m/h未満での走行時)には原則として、THSECU
90により、エンジン71は停止されている。
【0058】このエンジン停止状態において、ヒータス
イッチ86がONされると、ヒータコントローラ81
は、駆動回路84を介して吸引ポンプ45を作動させる
とともに、駆動回路83を介して制御モータ47を駆動
させ、三方向弁46を大気開放位置から吸引ポンプ45
での吸引減圧位置に切り替える。そして、付勢圧制御室
38を吸引減圧状態として図6に示す位置に可動側板3
2を前進させ、フロント側ロータクリアランスC2を最
大(C2max)とする。
【0059】それとともに、ヒータコントローラ81
は、駆動回路82を介してモータ部20の固定子22へ
の通電を開始する。この通電によって回転子21、駆動
軸18及びロータ37が回転を開始する。このとき、発
熱室34内のフロント側ロータクリアランスC2は最大
となっているため、粘性流体によるロータ37の拘束力
が比較的緩和されている(即ち流体摩擦トルクTが小さ
い)。故に、静止状態にあるロータ37が円滑に起動さ
れる。回転子21、駆動軸18及びロータ37は回転開
始直後から次第に回転数を高め、駆動回路82からモー
タ部20への電流供給量次第で最終的には1万rpm以
上の回転数に達する。
【0060】ロータ37の回転に伴い、シリコーンオイ
ルがロータ37の前後端面と発熱室34の内壁面(即ち
直立円盤壁31b,32bの内壁面)との間の各クリア
ランス領域において剪断されて発熱する。ロータ37の
回転数が1万rpm以上まで高くなれば、フロント側ロ
ータクリアランスC2が大きくても十分な発熱量を確保
することができる(前記発熱量Qの式参照)。発熱室3
4で生じた熱は固定側板31及び可動側板32を介して
前後ウォータジャケット51,52内を流れる循環流体
に伝達される。
【0061】温度設定器87の設定温度に対して室温セ
ンサ88での検出温度がかなり低い場合には、ヒータコ
ントローラ81は、モータ部20への通電開始から所定
時間経過後(例えばロータ回転数が1万rpmに達する
までの時間の経過後)に、制御モータ47によって三方
向弁46を大気開放位置に切り替える。そして、付勢圧
制御室38を大気圧状態として、可動側板32を図5に
示す位置に後退させ、フロント側クリアランスC2を最
小(C2min)とする。これにより、ロータ37のフ
ロント側における剪断発熱効率が高まり、剪断発熱部3
0での発熱量を更に増大させることができる。又、ヒー
タコントローラ81は、駆動回路82からモータ部20
への電流供給量を制御することにより、ロータ37の回
転数を調節して剪断発熱部30での発熱量を適宜制御す
ることができる。
【0062】なお、エンジン71が停止している限り、
電磁クラッチ機構は図6に示すような遮断状態に保たれ
る。 (場面3:エンジン駆動状態でのヒータスイッチON)
ハイブリッド車の車速が所定速度(例えば20km/
h)に達すると、THSECU90により、エンジン7
1が起動されると共に走行中の負荷に応じたエンジン回
転数の制御が開始される。
【0063】このエンジン駆動状態においてヒータスイ
ッチ86がONされたとき、又は、前記場面2の低速走
行時において既にヒータスイッチ86がONされており
車速が前記所定速度に達してエンジン71が駆動された
とき、ヒータコントローラ81は、モータ部20への通
電を停止するとともに、駆動回路85を介して電磁クラ
ッチのソレノイドコイル67への通電を開始する。そし
て、コイル67の生ずる電磁吸引力によりクラッチ板6
4をプーリ62の側端面62aに接合させ、動力伝達ベ
ルト66を介してプーリ62に伝達されているエンジン
71の駆動力を駆動軸18に伝達する。その結果、駆動
軸18及びロータ37は、エンジン71から直接動力を
受けて回転駆動される。
【0064】それとともに、ヒータコントローラ81
は、制御モータ47を駆動させて三方向弁46を吸引減
圧位置から大気開放位置に切り替えると共に、吸引ポン
プ45を停止する。そして、付勢圧制御室38を大気圧
状態として図5に示す位置に可動側板32を後退させ、
発熱室34におけるフロント側ロータクリアランスC2
を最小(C2min)とする。
【0065】モータ部20による回転時に比べ、エンジ
ン71から直接動力を受けてロータ37を回転駆動する
場合、ロータの回転数は1000〜4000rpm程度
となるに過ぎない。しかしながら、この場合には、フロ
ント側ロータクリアランスC2を最小とすることで、ロ
ータ37による粘性流体の機械的剪断の効率を向上させ
ており、この場合でも必要な発熱量Qを確保することが
できる(前記発熱量Qの式参照)。発熱室34で生じた
熱は、固定側板31及び可動側板32を介して前後ウォ
ータジャケット51,52内を流れる循環流体に伝達さ
れる。場面3の場合には、ヒータコントローラ81の制
御により、駆動回路82の内部スイッチが遮断状態とな
ってモータ部20とバッテリ76との間の電気的接続が
絶たれている。このような状態で、エンジン71からの
動力伝達により、回転子21が駆動軸18と一体回転さ
れるとき、固定子22側には磁界の変化に基づく渦電流
が生じて発熱する。換言すれば、回転子21がエンジン
71によって受動回転されるときに生ずる電流の逃げ場
がない場合、モータ部20は一種の渦電流型ヒータと化
し、第2の発熱手段として機能することになる。この第
2の発熱手段たるモータ部20で生じた熱は、モータ部
ウォータジャケット53を流れる循環流体に伝達され
る。
【0066】(場面4:ヒータスイッチON状態でエン
ジン停止)ヒータスイッチ86がONされた状況下にお
いて、THSECU90の制御によりエンジン71が停
止されたとき、ヒータコントローラ81は、電磁クラッ
チ部60への通電を停止して該クラッチ機構を動力遮断
状態にする。更に、吸引ポンプ45の駆動及び三方向弁
46の吸引減圧位置への切替えを司令してフロント側ロ
ータクリアランスC2を拡大するとともに、モータ部2
0への通電を開始して駆動軸18及びロータ37をモー
タ駆動に切り替える。
【0067】(場面5:ヒータスイッチのOFF時)ヒ
ータスイッチ86がOFFされた場合、ヒータコントロ
ーラ81は、次の処置により熱発生装置の発熱動作を停
止させる。
【0068】駆動軸18及びロータ37がモータ部20
によって駆動されている場合には、モータ部20への通
電を停止する。更に、三方向弁46を大気開放位置に切
り替えて付勢圧制御室38を大気圧状態に戻した後、吸
引ポンプ45を停止する。
【0069】駆動軸18及びロータ37がエンジン71
によって駆動されている場合には、電磁クラッチ部60
のソレノイドコイル67への通電を停止して電磁クラッ
チを遮断状態(図6参照)にする。
【0070】(効果)本実施形態によれば、以下のよう
な効果を得ることができる。 ○ 電磁クラッチの遮断時にモータ部20の駆動力で駆
動軸18及びロータ37を起動する場合には、ロータク
リアランスの可変調節機構によって発熱室34のフロン
ト側ロータクリアランスC2を拡大して、シリコーンオ
イルの粘性抵抗(拘束力)によってロータ37の起動が
極力阻害されないようにしている。従って、モータ部2
0を起動トルクの小さな小型モータとして構成すること
ができ、比較的小型で発生トルクの小さなモータ部でも
静止状態にあるロータ37を円滑に起動させることがで
きる。
【0071】○ モータ部20を小型化する前提として
ロータクリアランスC2を拡大可能としたが、ロータク
リアランスの拡大は剪断発熱効率という観点からは不利
な選択となる。しかし、モータ部20を高速回転可能な
モータ特性としたので、ロータ37の回転数をかなり高
めることができ、ロータクリアランスC2の拡大にもか
かわらず、必要な発熱量を得ることができる。
【0072】○ エンジン71が停止状態にあってハイ
ブリッド車が動力モータ73のみで駆動される場合に
は、熱発生装置77は内部駆動源たるモータ部20によ
りロータ37を低負荷状態(即ちC2=C2max)で
比較的高速回転させることにより必要な発熱量を確保す
ることができる。他方、ハイブリッド車のエンジン71
が駆動している場合には、熱発生装置77は外部駆動源
たるエンジン71によりロータ37を高負荷状態(即ち
C2=C2min)で比較的低速回転させることにより
必要な発熱量を確保することができる。このように本実
施形態によれば、ハイブリッド車の走行用動力源の稼動
状況に応じて内部駆動源と外部駆動源とを適宜使い分け
ることができ、どのような状況下でも必要な発熱量を確
保することができ、ハイブリッド車に適した車輌用熱発
生装置となっている。
【0073】○ モータ部20への電力供給が絶たれた
状態で外部駆動源たるエンジン71からの動力によって
駆動軸18が回転駆動される場合には、それによって受
動回転される回転子21を含むモータ部20は渦電流型
ヒータとして機能する。この場合、モータ部20で生じ
た熱はモータ部ウォータジャケット53を流れる循環流
体に伝達されて循環流体の加熱に利用される。故にこの
熱発生装置によれば、すべてのエネルギーが有効利用さ
れ無駄がない。
【0074】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ○ 上記実施形態では、エンジン71の動力でロータ3
7を駆動する場合にはモータ部20を渦電流型ヒータと
して機能させたが、エンジン動力でロータ37及び駆動
軸18を駆動中に、モータ部20で生じた電流でバッテ
リ76を充電するように構成してもよい。あるいは、エ
ンジン動力でロータ37を駆動中に、モータ部20に電
力を供給してエンジン71とモータ部20の双方でロー
タ37を駆動するようにしてもよい。
【0075】○ 駆動軸18と円板状ロータ37とはス
プライン結合されてもよい。 ○ 上記実施形態では、機械的剪断を受けて熱を発生す
る粘性流体(即ちシリコーンオイル)と、熱を暖房ユニ
ット80に搬送する循環流体(即ちエンジン冷却水)と
を別個に用意したが、熱発生媒体である流体がそのまま
熱搬送流体として用いられてもよい。
【0076】○ 上記実施形態では、ロータクリアラン
スCを調節することで流体摩擦トルク及び発熱量を調節
したが、前記流体摩擦トルクTの式および前記有効発熱
量Qの式からわかるように、ロータの半径Rを調節可能
とすることで流体摩擦トルクや発熱量を調節するように
してもよい。
【0077】○ 発熱量の調整を粘性流体の公称粘度を
変化させることで行ってもよい。 ○ エンジンが駆動されている場合でも、車輌加速時等
のエンジンの高負荷時には、モータ部20のみでロータ
37を駆動するようにしてもよい。
【0078】○ 本明細書で言う「粘性流体」とは、ロ
ータの剪断作用を受けて流体摩擦に基づく熱を発生する
あらゆる媒体を意味するものであり、高粘度の液体や半
流動体に限定されず、ましてやシリコーンオイルに限定
されるものではない。
【0079】
【発明の効果】以上詳述したように各請求項に記載した
車輌用熱発生装置によれば、エンジン等の外部駆動源の
駆動状況とは無関係に作動させることができるととも
に、外部駆動源と内部駆動源との間で動力供給源の適切
な選択を可能として、必要なときに必要な熱量を迅速に
発生させることができ、新世代の自動車の暖房システム
に極めて適したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に従う車輌用熱発生装置の縦断面
図。
【図2】熱発生装置のモータ部及び剪断発熱部を示す断
面図。
【図3】熱発生装置の剪断発熱部を示す断面図。
【図4】図2及び図3におけるIV−IV線での横断面
図。
【図5】熱発生装置の剪断発熱部及び電磁クラッチ部を
示す断面図。
【図6】熱発生装置の剪断発熱部及び電磁クラッチ部を
示す断面図。
【図7】ハイブリッド車における暖房システムの構築例
を示す平面図。
【図8】熱発生装置の制御系の概要を示すブロック図。
【符号の説明】
11…第1ハウジング部材、12…第2ハウジング部
材、13…第3ハウジング部材(11,12及び13は
ハウジングを構成する)、18…駆動軸、20…モータ
部(内部駆動源としてのモータ)、30…剪断発熱部
(発熱手段)、32…可動側板、34…発熱室、37…
ロータ、38…付勢圧制御室、41…コイルバネ、45
…吸引ポンプ、46…三方向弁、47…制御モータ(3
2,38,41,45,46及び47は可変調節機構を
構成し、34,37及び前記可変調節機構は広義の発熱
手段を構成する)、51…リヤ側ウォータジャケット、
52…フロント側ウォータジャケット、53…モータ部
ウォータジャケット(51,52及び53はハウジング
内の循環流体通路を構成する)、60…電磁クラッチ部
(クラッチ機構)、71…外部駆動源としてのエンジ
ン、81…ヒータコントローラ(制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 達也 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 供給された機械的動力を熱に変換する発
    熱手段と、 前記発熱手段に機械的動力を供給可能な内部駆動源とし
    てのモータと、 前記内部駆動源としてのモータ以外の外部駆動源と作動
    連結されてその外部駆動源からの機械的動力を前記発熱
    手段に選択的に供給可能なクラッチ機構と、 前記内部駆動源としてのモータ及び前記クラッチ機構に
    電気的に接続され、該モータ及びクラッチ機構の少なく
    とも一方から前記発熱手段への動力供給を制御する制御
    手段とを備えてなる車輌用熱発生装置。
  2. 【請求項2】 前記発熱手段は、前記モータ又は前記外
    部駆動源からの動力によって回転駆動されるロータを備
    え、この回転するロータで粘性流体を機械的に剪断する
    ことにより流体摩擦に基づく熱を発生させる機械装置で
    あることを特徴とする請求項1に記載の車輌用熱発生装
    置。
  3. 【請求項3】 前記内部駆動源としてのモータと、前記
    発熱手段のロータとは、共通の駆動軸で結合されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用熱発生装置。
  4. 【請求項4】 前記発熱手段は、その発熱能力の可変調
    節機構を備え、その可変調節機構は前記制御手段からの
    司令によって発熱手段の発熱能力を調節することを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車輌用熱発
    生装置。
  5. 【請求項5】 前記発熱手段は、 発熱室と、 前記発熱室内に収容されて前記モータ又は前記外部駆動
    源からの動力によって回転駆動されるロータと、 前記発熱室内に収容されて前記ロータによる機械的剪断
    を受けて流体摩擦に基づく熱を発生する粘性流体と、 前記制御手段からの司令に応じて前記ロータの剪断作用
    面とそれに対向する発熱室の内壁面との間のクリアラン
    スを可変調節する可変調節機構とにより構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用熱発生装置。
  6. 【請求項6】 前記車輌用熱発生装置は、前記発熱手段
    及び前記内部駆動源としてのモータを包含するハウジン
    グを備えており、そのハウジング内には、前記発熱手段
    及び前記モータで生じた熱が伝えられる循環流体の流通
    を許容する循環流体通路が設けられていることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれか一項に記載の車輌用熱発生
    装置。
  7. 【請求項7】 前記外部駆動源は内燃機関であることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車輌用
    熱発生装置。
JP15619398A 1998-06-04 1998-06-04 車輌用熱発生装置 Pending JPH11342727A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115465089A (zh) * 2022-09-26 2022-12-13 潍柴动力股份有限公司 混合动力车辆的热管理系统控制方法及混合动力车辆

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