JPH1134198A - シート状複合材、複合管及び建造物の補強・補修方法 - Google Patents

シート状複合材、複合管及び建造物の補強・補修方法

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JPH1134198A
JPH1134198A JP19221297A JP19221297A JPH1134198A JP H1134198 A JPH1134198 A JP H1134198A JP 19221297 A JP19221297 A JP 19221297A JP 19221297 A JP19221297 A JP 19221297A JP H1134198 A JPH1134198 A JP H1134198A
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JP
Japan
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sheet
fiber
composite material
reinforcing
fibers
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JP19221297A
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English (en)
Inventor
Shintaro Ikeda
新太郎 池田
Toru Fukusato
亨 福里
Kenzo Uchida
健三 内田
Masahiko Kido
賢彦 城戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kokan Koji KK
Nippon Felt Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kokan Koji KK
Nippon Felt Co Ltd
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Publication date
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  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通電によって発熱する導電性繊維シートに電
極を容易に密着して設けることができるように構成され
たシート状複合材を提供する。また、簡単に製造可能な
パイプを提供する。さらに、迅速・簡易な施工が可能な
建造物の補強・補修方法を提供する。 【解決手段】 シート状複合材を構成する繊維シート材
が通電によって発熱する導電性繊維からなる基布2を有
し、この基布2に金属繊維の繊維束からなる電極3を積
層してニードリングにより接合するものとする。特に、
電極3をなす金属繊維を切削繊維とし、基布2をなす導
電性繊維を炭素繊維とし、含浸する合成樹脂材を熱硬化
性樹脂とする。また、このようにしてなるシート状複合
材を筒状に曲成してパイプとする。あるいは、このシー
ト状複合材を建造物に固着して補強・補修層を形成する
ものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維シート材に合
成樹脂材を含ませてなるシート状複合材と、このシート
状複合材から形成される複合管と、シート状複合材を用
いて行われる建造物の補強・補修方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】橋梁やビルといった建造物の補強・補修
を行うにあたり、建造物の躯体表面に合成樹脂材で補強
層を形成するようにした補強・補修方法がある。これに
よると、建造物の形状に柔軟に対応可能で施工性が向上
する上に、強化繊維を含む複合材を用いれば高強度の補
強層を形成することが可能である。そして、合成樹脂材
に熱硬化性樹脂を使用し、これを加熱して硬化させるよ
うにすれば、常温硬化式に比較して施工時間の短縮を図
ることができる。ところが、樹脂硬化のための加熱作業
は、特殊な熟練を要することから施工が面倒であり、ま
た、より一層の時間短縮が望まれる。そこで、通電によ
って発熱する導電性繊維を強化繊維に用い、これが発熱
することで熱硬化性樹脂を硬化させるものとすれば、現
場での樹脂硬化作業を迅速・簡易に行うことが可能とな
り、施工性を向上させる上で大きな効果が期待される。
【0003】また、繊維強化された合成樹脂製のパイプ
を製作するには、フィラメントワインディング法がある
が、シート状の複合材を筒状に丸めて形成するのが簡易
である。この場合、熱硬化性樹脂を加熱硬化させるため
の加熱機能を金型等の成形装置に付加する必要があり、
装置が複雑化することから、前記と同様に、通電によっ
て発熱する導電性繊維を強化繊維に用いるのが良い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、導電性繊維
がシート状の場合、この導電性繊維シートの全面に渡っ
て均等に通電されるように、導電性繊維に比較して導電
性に富む材料からなる電極を導電性繊維シートの側縁部
に配する必要がある。ところが、導電性繊維に密着して
電極を形成するのが難しく、特に導電性繊維に炭素繊維
を用いた場合、電極の接着が極めて面倒である。
【0005】本発明は、このような発明者の知見に基づ
き案出されたものであり、その第1の目的は、導電性繊
維シートに電極を容易に密着して設けることができるよ
うに構成されたシート状複合材を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記シート状複合材を用
いて簡単に製造可能な複合管を提供することにある。さ
らに、本発明の第3の目的は、前記シート状複合材を用
いて迅速・簡易な施工が可能な建造物の補強・補修方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、シート状複合材を構成する
繊維シート材が通電によって発熱する導電性繊維からな
る基布を有し、この基布に比較して高い導電性を有する
金属繊維の繊維束からなる電極が基布に積層されてニー
ドリングにより接合されたものとした。これによると、
ニードリングによって基布の導電性繊維と電極の金属繊
維とが互いに絡み合わされているため、両者の接触性が
良好になる。しかも、基布と電極とを接合するニードリ
ング作業は多くの工数を要しないため、製造コストの低
減が可能となる。その上、電極は金属繊維の繊維束で可
とう性を有しているため、成型時の型材に対する加工性
に優れており、しかも成形品の剛性が不均一となるのを
防止し得る。なお、樹脂を含浸させながら繊維シート材
を型材に貼り合わせる成型法も可能であるが、予め繊維
シート材に樹脂を含浸させた中間素材、いわゆるプリプ
レグシートとした上で所定の成形加工を行うようにする
と、取扱性が良くなり成形作業の効率を高める上で望ま
しい。
【0007】特に、前記電極をなす金属繊維が切削繊維
であると好ましい。この切削繊維は、金属板ロールの端
面を切刃で切削して得られる極細の連続繊維であり、柔
軟性に富み、かつ安価に製造可能である。そして、この
切削金属繊維を電極に用いると、前記のニードリングに
よって容易にかつ密に基布繊維と絡み合わせることがで
き、接触性をより一層向上させることができる。
【0008】その上、前記基布をなす導電性繊維が炭素
繊維であると良い。基布をなす導電性繊維は、金属繊維
等の通電によって所要の熱を発生可能なものであれば特
に限定されないが、炭素繊維とすると、成型品の引張強
度を効果的に高めることができる。しかも、本シート状
複合材では、ニードリングにて基布に電極繊維を絡めて
接合し、さらに電極に切削繊維を用いるようにしたた
め、高剛性で延伸性の乏しい炭素繊維に対して十分な接
触性を確保することができる。なおこの場合、ニードリ
ングによって炭素繊維が折損するのを抑制するため、予
め炭素繊維をシリコンオイル系の調合油に浸漬する等の
潤滑処理を行うと良い。
【0009】これに加えて、前記合成樹脂材が、前記基
布への通電による発熱によって硬化する熱硬化性樹脂で
あると好ましい。これによると、基布の発熱によって合
成樹脂材を加熱硬化させるため、シート状複合材を簡易
・迅速に硬化させることができる。その上、加熱温度、
すなわち導電性繊維の発熱温度は電流で精度良く調整可
能であり、しかも発熱体となる基布が全面に配されてい
ることから合成樹脂材を均一に加熱することができるた
め、加熱硬化作業に特殊な熟練は不要である。
【0010】また、前記第2の目的を果たすために、本
発明においては、前記のシート状複合材を筒状に曲成し
て複合管を形成するものとした。これによると、電極が
柔軟な繊維束で形成されているため、剛性を略均一にす
ることができる。特に、合成樹脂材が熱硬化性樹脂であ
ると、型材によって所定の筒状に保形した状態で通電す
るだけで成形され、簡易な製造設備で製造可能となる。
【0011】さらに、前記第3の目的を果たすために、
本発明においては、前記のシート状複合材を建造物に固
着して補強・補修層を形成して建造物の補修・補強を行
うものとした。これによると、電極が柔軟な繊維束であ
るため、建造物の外面形状に柔軟に対応可能となり、施
工性が高められる。特に、合成樹脂材が熱硬化性樹脂で
あると、シート状複合材を合成樹脂材が未硬化の状態で
建造物に貼り付けた後、電極を介して基布に通電して合
成樹脂材を加熱硬化させることで強固な補強・補修層が
形成される。このため、施工機材を簡略化すると共に、
迅速でかつ熟練を要しない施工が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明の構成を詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明に基づき構成されたシート
状複合材を示している。このシート状複合材1は、炭素
繊維のマルチフィラメント糸を平織して形成されたカー
ボンクロス2と、カーボンクロス2の全面に渡って均等
に通電可能なようにカーボンクロス2の両側縁部に接合
された一対の金属繊維電極3と、カーボンクロス2の一
方の面に積層された厚手のポリエステル繊維集合体4
と、カーボンクロス2の他方の面に積層された薄手のポ
リエステル繊維集合体5とからなる積層シート6にマト
リックス樹脂を含浸させてなるものである。積層シート
6をなすカーボンクロス2と金属繊維電極3とポリエス
テル繊維集合体4・5とはニードリングにより繊維が相
互に絡み合った状態になっている。
【0014】カーボンクロス2は、一対の金属繊維電極
3を介して通電することで電流に応じた温度に発熱する
ものであり、マトリックス樹脂にエポキシ樹脂等の熱硬
化性樹脂を採用することにより、カーボンクロス2への
通電によってマトリックス樹脂を加熱硬化させるように
なっている。なお、カーボンクロス2の目付、繊維径、
織物組織、並びにポリエステル繊維集合体4・5の目
付、繊維長、繊維径は、成形品に要求される強度や厚さ
等、用途に応じて適宜選択される。
【0015】金属繊維電極3は、銅製の切削繊維の繊維
束からなっている。この切削繊維は、金属板ロールの端
面を切刃で切削することで得られる極細の連続繊維であ
り、この切削繊維を複数本、縒りや平編等にて適宜結束
することで金属繊維電極3が形成される。切削繊維の線
径や本数は、成形品の形状等、用途に応じて適宜選択さ
れる。なお、この金属繊維電極3は切削繊維の不織布を
帯状に形成したものであっても良い。また、材質は銅の
他、スチール等でも良い。さらに、成形時に支障がなけ
れば、金属繊維電極3に銅棒からなる心材を設けるよう
にしても良い。
【0016】このようにしてなるシート状複合材1は以
下に説明する手順に従って製造することができる。
【0017】まず、図2に示すように、所定の目付とな
るように形成された厚手のポリエステル繊維集合体4の
上面にカーボンクロス2を重ねる。このカーボンクロス
2は、ニードリングによる炭素繊維の損傷を抑えるた
め、予めシリコン系の調合油に所定時間(例えば一昼
夜)浸漬する等して炭素繊維表面を潤滑処理しておく。
【0018】次に、金属繊維電極3を、給電装置との結
線が可能なように端部がはみ出した状態でカーボンクロ
ス2の両側部に重ねておき、比較的軽くニードリングを
行い、ポリエステル繊維集合体4にカーボンクロス2と
金属繊維電極3とを絡ませる。このとき、針深は比較的
短くして、カーボンクロス2の炭素繊維がポリエステル
繊維集合体4の裏面から突き出ないようにする。また、
ニードリング中は金属繊維電極3を引張しておく。
【0019】こうしてポリエステル繊維集合体4にカー
ボンクロス2と金属繊維電極3とが一体化されると、カ
ーボンクロス2の上面に薄手のポリエステル繊維集合体
5を重ねて置き、軽くニードリングを行い、各々の繊維
を相互に絡ませて一体化する。
【0020】以上のようにして積層シート6が製作され
ると、室温硬化樹脂によるハンドレイアップによりマト
リックス樹脂を含浸して所望の成形品を得る他、含浸さ
せたマトリックス樹脂が可塑状態のままのプリプレグシ
ートとした上で、所望の成形加工を行えば良い。本シー
ト状複合材1は、平板や後記のパイプ、あるいは波板
等、種々の形状に容易に成形可能である。
【0021】マトリックス樹脂に熱硬化性樹脂を使用し
た場合、オートクレーブやホットプレス等の加熱成形法
にて成形することも可能であるが、本シート状複合材1
は、カーボンクロス2に通電した際の発熱によってマト
リックス樹脂を加熱硬化させることが可能であり、型材
と給電装置とがあれば成形加工を行うことができ、製造
設備を極めて簡易なものとすることができる。
【0022】積層シート6にマトリックス樹脂を含浸さ
せてプリプレグシートを作成するには、例えば積層シー
ト6を二つ折りにした上でポリエチレン製のスリーブに
入れ、このスリーブの一端からマトリックス樹脂を流し
込む一方で、他端からスリーブ内の空気を真空ポンプで
吸引すれば、容易に積層シート6に樹脂を含浸させるこ
とができる。
【0023】図3は、本発明によるシート状複合材1の
中間素材であるプリプレグシート11を用いた複合管の
製作状況を示している。
【0024】まず、プリプレグシート11をコアシリン
ダ12に巻き付ける。このとき、厚手のポリエステル繊
維集合体4側を外にして、金属繊維電極3を軸線方向に
配置すると共に、この金属繊維電極3が設けられた両端
縁が所定幅に渡って互いに重なり合うように巻き付け
る。コアシリンダ12は、両端が閉止された円筒部材1
3の外周面に、ゴムチューブ14が両端全周を気密接着
された状態で装着されたものである。このコアシリンダ
12にプリプレグシート11を巻き付けるにあたり、ゴ
ムチューブ14の表面にはシリコンオイル等の剥離剤を
予め塗布しておく。
【0025】ついで、プリプレグシート11が巻き付け
られたコアシリンダ12を、二つ割りの金型15内に挿
入する。そして、コアシリンダ12内にコンプレッサ1
6からの圧縮空気を導入する。すると、図4に示すよう
に、円筒部材13の周壁部分に多数開設された通気孔1
7を経て圧縮空気がゴムチューブ14内に導入され、ゴ
ムチューブ14が膨張する。これにより、プリプレグシ
ート11が拡径して、その外面が金型15の内面に圧接
し、所定の口径、管厚に保形される。このとき、プリプ
レグシート11の両端の重合部ではポリエステル繊維集
合体4・5が適当に収縮するため、段差のない全周に渡
って略均一な管厚にすることができる。
【0026】この状態で、直流電源装置18を作動させ
て金属繊維電極3を介してカーボンクロス2に通電する
と、カーボンクロス2が発熱してマトリックス樹脂が硬
化する。これで、所定口径、管厚を有する繊維補強され
た合成樹脂製の複合管が得られる。
【0027】また、これと同様な方法で、ヒューム管等
のコンクリート管の内面に本シート状複合材からなる樹
脂ライニング層を形成することができ、これにより、高
強度で、かつ耐薬品性並びにシール性に優れた二重管を
簡単に製造することができる。この場合、金型15に代
わってコンクリート管の内部にコアシリンダ12を挿入
し、ゴムチューブ14を膨張させてプリプレグシート1
1をコンクリート管の内面に圧接させた上で、プリプレ
グシート11を加熱・硬化させれば良い。
【0028】図5は、本発明によるシート状複合材1の
中間素材であるプリプレグシート21を用いて、橋脚等
のコンクリート柱22を全体的に被覆補強する状況を示
している。所定寸法のプリプレグシート21をコンクリ
ート柱22の全周に巻き付け、給電ケーブル23を介し
て金属繊維電極3に通電してプリプレグシート21を加
熱硬化させる。この場合、加熱硬化に先だって脱泡ロー
ラで脱泡した上で仕上げローラで外面を平滑に仕上げる
ようにすると良い。
【0029】図6は、型枠を用いる場合を示している。
ここでは、前記と同様に所定寸法のプリプレグシート2
1をコンクリート柱22の全周に巻き付けた上で、方形
状断面をなすコンクリート柱22の各面に対応した型枠
パネル24を、その内面がプリプレグシート21に密着
するように建て込む。金属繊維電極3に接続された給電
ケーブル23は、型枠パネル23の上下の端部に設けら
れた切り欠きから引き出されており、これに接続された
直流電源装置18を作動してプリプレグシート21を加
熱硬化させる。なお、型枠パネル23の離型を容易にす
るため、型枠パネル23の内面にフッ素系またはシリコ
ン系の離型剤、あるいは油脂類を予め塗布しておく。
【0030】これにより厚みのある補強層がコンクリー
ト柱22の外周に形成されるが、より一層厚みのある補
強層を形成したい場合には、図7に示すように、コンク
リート柱22に巻き付けられたプリプレグシート21の
外面に対して所定寸法(例えば、5〜6mm)の間隔を
おいて、コ字形状断面をなす型枠パネル25を建て込
み、この型枠パネル25とプリプレグシート21との間
隙に、プリプレグシート21のマトリックス樹脂と同系
統の低粘性樹脂を充填する。このとき、型枠パネル25
の下端部に設けられた注入管26から注入された樹脂が
型枠パネル25の上端からオーバーフローするまで樹脂
をゆっくりと注入する。なお、前記と同様に型枠パネル
25の内面に離型剤等を予め塗布しておく。
【0031】図8は、本発明によるシート状複合材1の
中間素材であるプリプレグシート31を用いて、コンク
リート桁やビル壁といったコンクリート構造物32を部
分的に補修する状況を示している。この場合、コンクリ
ート構造物32の劣化部分を除去した後、下地処理剤3
3を塗布した上で急結性セメントモルタル等の充填材3
4を充填する。そして、平滑仕上げを行った上で、所定
寸法のプリプレグシート31をその粘着性を利用して貼
り付ける。この状態で、カーボンクロス2に通電してプ
リプレグシート31を加熱硬化する。
【0032】これによりコンクリート構造物32の表面
に強固な厚みのある補強層が形成されるが、より一層厚
みのある補強層を形成したい場合には、図9に示すよう
に、プリプレグシート31を覆うように押さえパネル3
5を設け、この押さえパネル35とプリプレグシート3
1との間の間隙に、プリプレグシート31のマトリック
ス樹脂と同系統の樹脂を充填する。押さえパネル35
は、ホールインアンカーボルト36でコンクリート構造
物32に対して固定されているが、近くの不動な物に一
端を固定した控え棒によって支持固定するようにしても
良い。
【0033】なお、以上の説明では、織布からなる基布
としてカーボンクロス2を用いたが、コストを削減する
ために縦糸のみが炭素繊維からなる織布でも良い。さら
に、電磁波シールド等の目的で高い導電性が要求される
場合等には、基布に金属繊維を用いるようにしても良
い。
【0034】また、本シート状複合材1は、使用状態で
カーボンクロス2に常時通電する構成とすればプレート
ヒータになり、融雪ヒータ等の種々の発熱装置に適用可
能である。特に、加工特性に優れていることから、比較
的複雑な形状のものにも適用可能であり、例えば屋根瓦
に適用すれば、高い強度と融雪機能とを併せ持つ利便性
の高いものとすることができる。また、パイプに適用す
れば、内部の流体を保温する機能を付加することがで
き、寒冷地に敷設されたパイプラインや水道管の凍結防
止に好適である。
【0035】
【実施例】前記のように構成されたシート状複合材1か
ら複合管を実際に製作した。まず、積層シート6の製作
例について以下に示す(図2参照)。
【0036】カーボンクロス2には、繊維径7μ、フィ
ラメント数6,000本のカーボン糸(東レ社製トレカ
T300)で、目付が480g/m2となるように平織
されたものを使用した。ポリエステル繊維集合体4・5
には、繊維長51mm、繊維径6デニールのポリエステ
ル繊維を使用し、厚手のポリエステル繊維集合体4は、
目付を1,000g/m2、薄手のポリエステル繊維集
合体5は、目付を50g/m2とした。金属繊維電極3
には、繊維径30μの銅製連続繊維を30本束ねたもの
を使用した。
【0037】厚手のポリエステル繊維集合体4は、前記
のポリエステル繊維をカードに通して製作された、見掛
けの厚さ2mm、目付200g/m2の綿状のバット
(ウェブ)を5枚積層して形成した。まず、ニードル条
件を植毛本数30万本/m2、針深15mmとして1枚
のバットに対してニードリングを行い、これに別のバッ
トを重ね合わせて前記と同様のニードル条件でニードリ
ングを行い、以下バットを1枚ずつ順次積層しながらニ
ードリングを繰り返し行って5枚のバットを一体化し
た。さらに、バットを載せずにニードリングを行う空打
を植毛本数40万本/m2、針深10mmのニードル条
件で4回行い、目付1,000g/m2のポリエステル
繊維集合体4を得た。
【0038】カーボンクロス2とポリエステル繊維集合
体4と金属繊維電極3とを一体化するニードリングは、
植毛本数40万本/m2、針深6mmのニードル条件で
2回行った。薄手のポリエステル繊維集合体5を一体化
するニードリングも、同様の植毛本数40万本/m2
針深6mmのニードル条件で1回行った。これで、各繊
維が相互に絡み合って一体化した積層シート6を得た。
【0039】次に、この積層シート6を用いた複合管の
製作例について説明する(図3参照)。
【0040】まず、軸方向長さ400mm、周方向長さ
815mmの積層シート6にエポキシ樹脂を含浸させて
プリプレグシート11を作成した。含浸樹脂量は、主剤
が730g、硬化剤が320gであった。
【0041】ついで、このプリプレグシート11を両端
部が40〜50mmの幅で重なり合うように外径φ21
0mmのコアシリンダ12に巻き付け、内径φ250m
mの金型15に挿入した。そして、カーボンクロス2に
通電してエポキシ樹脂を硬化させた。このとき、電圧
4.5V、電流8A、30分間の通電で完全硬化した。
また、電圧4V、電流6Aで10分間の通電の後、電圧
3V、電流4Aで20分間の通電を行い、合計30分間
の通電で完全硬化した。これにより、内径240mm、
管厚5mmのパイプを得た。
【0042】
【発明の効果】このように本発明によれば、ニードリン
グによって基布の導電性繊維と電極の金属繊維とが互い
に絡み合わされているため、両者の接触性を高める上に
極めて顕著な効果がある。特に、電極をなす金属繊維が
切削繊維であると、ニードリングによって容易にかつ密
に基布繊維と絡み合わせることができ、接触性をより一
層向上させることができる。その上、基布をなす導電性
繊維が炭素繊維を含むものであると、強度を高める上で
効果的であり、さらに合成樹脂材が基布への通電による
発熱によって硬化する熱硬化性樹脂であると、成形加工
が容易になり、工数削減並びに成形装置の簡略化を図る
上で大きな効果がある。
【0043】また、前記のシート状複合材を筒状に曲成
して形成された複合管では、剛性を略均一にすることが
できる上に、簡易な製造設備で製造可能となり、製造コ
ストを低減する上で大きな効果がある。さらに、前記の
シート状複合材を建造物に固着して補強・補修層を形成
するものとすると、建造物の外面形状に柔軟に対応可能
である上に、合成樹脂材の硬化作業も簡単に行うことが
でき、迅速でかつ熟練を要しない施工が可能となり、施
工性を高める上で極めて大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシート状複合材を示す断面図。
【図2】図1に示したシート状複合材の製造過程を示す
斜視図。
【図3】本発明による複合管の製造過程を示す斜視図。
【図4】図3に示した複合管の製造過程の断面図。
【図5】本発明によるコンクリート柱の全体的な補強状
況の第1例を示す断面図。
【図6】同じく本発明によるコンクリート柱の全体的補
強状況の第2例を示す断面図。
【図7】同じく本発明によるコンクリート柱の全体的補
強状況の第3例を示す断面図。
【図8】本発明によるコンクリート構造物の部分的補修
状況の第1例を示す断面図。
【図9】同じく本発明によるコンクリート構造物の部分
的補修状況の第2例を示す断面図。
【符号の説明】
1 シート状複合材 2 カーボンクロス 3 金属繊維電極 4・5 ポリエステル繊維集合体 6 積層シート 11 プリプレグシート 12 コアシリンダ 13 円筒部材 14 ゴムチューブ 15 金型 16 コンプレッサ 17 通気孔 18 直流電源装置 21 プリプレグシート 22 コンクリート柱 23 給電ケーブル 24 型枠パネル 25 型枠パネル 26 注入管 31 プリプレグシート 32 コンクリート構造物 33 下地処理剤 34 充填材 35 押さえパネル 36 アンカーボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 健三 埼玉県蕨市南町2−11−7−301 (72)発明者 城戸 賢彦 埼玉県鴻巣市原馬室88番地 日本フエルト 株式会社埼玉工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑状態の合成樹脂材を繊維シート材
    に含ませてなるシート状複合材であって、 前記繊維シート材が通電によって発熱する導電性繊維か
    らなる基布を有し、該基布に金属繊維の繊維束からなる
    電極を積層してニードリングにより接合したことを特徴
    とするシート状複合材。
  2. 【請求項2】 前記電極をなす金属繊維が切削繊維で
    あることを特徴とする請求項1に記載のシート状複合
    材。
  3. 【請求項3】 前記基布をなす導電性繊維が炭素繊維
    であることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記
    載のシート状複合材。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂材が、前記基布への通電
    による発熱によって硬化する熱硬化性樹脂であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシ
    ート状複合材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載のシート状複合材を筒状に曲成してなることを特徴と
    する複合管。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載のシート状複合材を建造物に固着して補強・補修層を
    形成することを特徴とする建造物の補強・補修方法。
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