JPH11339311A - 光学情報記録媒体およびその記録再生方法 - Google Patents

光学情報記録媒体およびその記録再生方法

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JPH11339311A
JPH11339311A JP11079928A JP7992899A JPH11339311A JP H11339311 A JPH11339311 A JP H11339311A JP 11079928 A JP11079928 A JP 11079928A JP 7992899 A JP7992899 A JP 7992899A JP H11339311 A JPH11339311 A JP H11339311A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーバーライト歪みを抑制しながら、かつ速
い結晶化速度を得るべく高速で情報を記録できる相変化
形の光学情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 記録層3が結晶状態であるときのこの記
録層におけるレーザ光の吸収率Acを、記録層がアモル
ファス状態であるときのこの記録層におけるレーザ光の
吸収率Aaよりも大きくなるように設定し、かつ記録層
3の両側に接して、アモルファス状態から結晶状態への
記録層の変化を促進する結晶化促進層7、8を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光線の照
射等の光学的な手段を用い、高密度、高速度での情報の
記録再生、書き換えが可能な相変化形の光学記録情報媒
体、及びその記録再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】情報を大容量に記録でき、高速での再生
及び書き換えが可能な媒体として、光磁気記録媒体や相
変化形記録媒体等が知られている。これらの可搬性に優
れた大容量記録媒体は、高度情報化社会において今後ま
すます需要が増し、アプリケーションの高機能化や、扱
う映像情報の高性能化等に伴い、さらなる高容量化、高
速度化が望まれている。
【0003】これらの光記録媒体は、レーザー光を局所
的に照射することにより生じる記録材料の光学特性の違
いを記録として利用したものである。例えば光磁気記録
媒体では、磁化状態の違いにより生じる反射光偏光面の
回転角の違いを記録として利用している。相変化形記録
媒体は、特定波長の光に対する反射光量が、結晶状態と
非晶質状態とで異なることを記録として利用しているも
のであり、レーザーの出力パワーを変調させることによ
り記録の消去と上書きの記録を同時に行うことができる
ため、高速で情報信号の書き換えが可能であるという利
点がある。
【0004】従来の光学情報記録媒体の代表的な層構成
例を図10に示す。基板101には例えばポリカーボネ
ート、ポリメチルメタクリレート(以下PMMA)等の
樹脂またはガラス等が用いられ、レーザー光線を導くた
めの案内溝が施されている。保護層102,104につ
いては後述する。記録層103は光学特性の異なる状態
を有し、この状態間を可逆的に変化し得る物質からな
る。書き換え型の相変化形光記録材料の場合、記録層1
03の材料としては、TeもしくはSeを含むいわゆる
カルコゲナイド系材料またはSbを含む材料、例えばT
e−Sb−Ge、Te−Sn−Ge、Te−Sb−Ge
−Se、Te−Sn−Ge−Au、Ag−In−Sb−
Te、In−Sb−Se、In−Te−Se等を主成分
とする材料を用いることができる。反射層105は、例
えばAu、Al、Cr等の金属、又はこれら金属の合金
よりなり、放熱効果や記録薄膜の効果的な光吸収を目的
として設けられるが、必須の層ではない。また、図中で
は省略したが、光学情報記録媒体の酸化、腐食やほこり
等の付着の防止を目的として、反射層105の上にオー
バーコート層を設けた構成、或いは紫外線硬化樹脂を接
着剤として用い、ダミー基板を貼り合わせた構成を採用
してもよい。
【0005】また、例えば図11に示すように、基板1
01と記録層103との間の保護層を、保護層102と
保護層106とに2層化した記録媒体も提案されてい
る。例えば特開平5−217211号公報では、Agを
含有する記録層の保護層として、記録層に接する第1の
保護層にSiNもしくはAlNの窒化物、またはSiC
の炭化物を設け、その外側の第2の保護層にZnSまた
はZnSを含有する複合化合物を設けた構成が開示され
ている。第1の保護層は、第2の保護層の構成原子のS
と記録層の構成原子のAgとの反応を抑制するために形
成されている。別の例として例えば特開平6−1957
47号公報では、図11に示すように記録層103と基
板101との間の保護層を2層化し、記録層103に接
する第1の保護層106をSi34、基板101と接す
る第2の保護層102にZnS−SiO2を適用する構
成が開示されている。
【0006】保護層102、104、106は記録層1
03の材料の酸化、蒸発や変形を防止するといった記録
層103の保護機能を担う。また、保護層102、10
4、106の膜厚を調節することによって、光学情報記
録媒体の吸収率や、記録部と消去部の間の反射率差を調
節でき、媒体の光学特性の調節機能も担っている。保護
層102、104、106を構成する材料の条件として
は、上記目的を満たすばかりでなく、記録材料や基板1
01との接着性が良いこと、保護層102、104、1
06自身がクラックを生じない耐候性の良い膜であるこ
とが要求される。また、これらの保護層102、10
4、106が記録層103に接して用いられる場合は、
記録材料の光学的変化を損なわない材料でなければなら
ない。保護層102、104、106の材料としては、
ZnS等の硫化物、SiO2、Ta25、Al23等の
酸化物、GeN、Si34、Al34等の窒化物、Ge
ON、SiON、AlON等の窒酸化物、その他炭化
物、弗化物等の誘電体、或いはこれらの適当な組み合わ
せが提案されている。
【0007】従来より、記録の書き換えを行った場合、
書き換え後のマーク位置が微妙にずれ、いわゆるオーバ
ーライト歪み(記録マークの歪み)が生じるという現象
が知られていた。この歪みが生じる原因は、書き換え前
の状態がアモルファスであるか、結晶であるかによっ
て、レーザー照射時の温度上昇の様子が異なり、書き換
え後のマークが所定の長さよりずれることにある。これ
を解決するために、アモルファス部の吸収率をAa、結
晶部の吸収率をAcとしたとき、Ac/Aaを1より大
きいある一定の範囲に保つという、いわゆる吸収補正が
可能な構成をとると、マーク部分での温度上昇が均一と
なり、書き換えのマーク歪みが生じ難くなる。
【0008】例えば、特開平7−78354号公報に
は、基板上に順に金属層、保護層、記録層、反射層を有
し、記録後の反射率を記録前の反射率より大きくする提
案がなされている。
【0009】また、特開平7−105574号公報に
は、基板上にTiからなる光吸収層を設けた構成で、記
録層での結晶状態の光吸収率を、非晶質状態での吸収率
よりも大きくし、記録マークの位置ずれを生じ難くする
提案が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特に高速で記録の書き
換えを行うと、上述のオーバーライト歪みが生じ易くな
ってしまう。しかし、これを解決するために、単に、A
c/Aa>1としたのでは、消去率が十分に得られない
という課題がある。その一方、消去率を上げるために結
晶化速度が速い記録層組成を用いると、記録信号の十分
な信頼性を得ることが困難であった。
【0011】そこで、本発明は、上記課題を解決し、オ
ーバーライト歪みを抑制しながら、かつ速い結晶化速度
を得るべく高速で情報を記録できる光学情報記録媒体と
その記録再生方法を提供することを目的とする。また、
結晶化速度が速い場合であっても、記録信号の信頼性が
高い光学情報記録媒体とその記録再生方法を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光学情報記録媒体は、結晶状態とアモルフ
ァス状態との間を可逆的に変化する記録層を含み、前記
記録層に所定波長のレーザ光を入射させることにより、
前記記録層を前記結晶状態および前記アモルファス状態
から選ばれるいずれか一方から他方へと変化させる光学
情報記録媒体であって、前記記録層が前記結晶状態であ
るときの前記レーザ光の前記記録層における吸収率Ac
が、前記記録層が前記アモルファス状態であるときの前
記レーザ光の前記記録層における吸収率Aaよりも大き
く、前記記録層の両側に接して、前記記録層の前記アモ
ルファス状態から前記結晶状態への変化を促進する結晶
化促進層が設けられていることを特徴とする。
【0013】これにより、高速条件下での記録の書き換
えにおいても高い消去率が得られる媒体を提供すること
ができる。
【0014】また、上記目的を達成するため、本発明の
光学情報の記録再生方法は、結晶状態とアモルファス状
態との間を可逆的に変化する記録層を含み、前記記録層
に所定波長のレーザ光を入射させることにより、前記記
録層が前記結晶状態および前記アモルファス状態から選
ばれるいずれか一方から他方へと変化し、前記記録層が
前記結晶状態であるときの前記レーザ光の前記記録層に
おける吸収率Acが、前記記録層が前記アモルファス状
態であるときの前記レーザ光の前記記録層における吸収
率Aaよりも大きく、前記記録層の両側に接して結晶化
促進層を設けた光学情報記録媒体を用いた光学情報の記
録再生方法であって、光学系により微小スポットに絞り
込んだレーザー光の照射により前記記録層のうちの局所
的な一部分が結晶状態からアモルファス状態へと可逆的
に変化し得るアモルファス状態生成パワーレベルを
1、前記レーザー光の照射により前記記録層の局所的
な一部がアモルファス状態から結晶状態へと可逆的に変
化し得る結晶状態生成パワーレベルをP2、前記P1およ
び前記P2のいずれのパワーレベルよりも低く、前記レ
ーザー光の照射によって前記記録層の光学的状態が影響
を受けず、かつその照射によって光学情報の再生のため
に十分な反射が得られる再生パワーレベルをP3とした
とき、前記レーザー光のパワーレベルを前記P1と前記
2との間で変調させることにより光学情報の記録、消
去または上書きを行い、前記P3のパワーレベルの前記
レーザー光を照射することにより光学情報の再生を行う
ことを特徴とする。
【0015】これにより、オーバーライト歪みを抑制し
ながら、情報信号の高速度での記録、再生が可能とな
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に関する光学情報記録媒体
の層構成の一例を図1〜図3に示す。図1に示す光学情
報記録媒体は、基板1上に、光吸収補正層9、保護層
2、第1の結晶化促進層7、記録層3、第2の結晶化促
進層8、反射層5がこの順に積層された構成を有する。
また、図2に示す光学情報記録媒体は、基板1上に、保
護層2、第1の結晶化促進層7、記録層3、第2の結晶
化促進層8、光吸収補正層9がこの順に積層された構成
を有する。また、図3に示す光学情報記録媒体は、基板
1上に、保護層2、第1の結晶化促進層7、記録層3、
第2の結晶化促進層8、光吸収補正層9、反射層5がこ
の順に積層された構成を有する。
【0017】但し、本発明は上記構成に限定されるもの
ではない。例えば、図1において、基板1と光吸収補正
層9との間に層を設ける構成、第2の結晶化促進層8と
反射層5との間に別の層を設ける構成、保護層2をすべ
て第1の結晶化促進層7で置き換えた構成、反射層のな
い構成等種々の構成に適用することが可能である。図2
および図3においても種々の構成を適用できる。例え
ば、図2または図3において、第2の結晶化促進層8と
光吸収補正層9との間に第2の保護層を設けてもよい。
【0018】基板1の材料には、ポリカーボネート、P
MMA等の樹脂、またはガラス等が用いられ、レーザー
光線を導くための案内溝が施されていることが好まし
い。
【0019】保護層2は、記録層3での効果的な光吸収
を可能にする光学特性の調節を主な目的として設けられ
る。保護層2の材料としては、ZnS等の硫化物、Si
2、Ta25、Al23等の酸化物、GeN(但し、
価数は任意)、Si34、Al34等の窒化物、GeO
N、SiON、AlON(但し、価数は任意)等の窒酸
化物、その他炭化物、フッ化物等の記録再生消去に適用
するレーザー光を透過するいわゆる誘電体、或いはこれ
らの適当な組み合わせ(例えばZnS−SiO 2等)な
ど、上記目的が達成可能な材料を用いる。
【0020】第1および第2の結晶化促進層7、8は、
記録層3の酸化、腐食、変形等の防止といった記録層保
護の役割を担うとともに、以下に述べるように、記録層
3に接して設けられるがゆえの、重要な2つの役割を担
っている。
【0021】1つ目は、記録層3と保護層2との間の原
子拡散または原子移動、特に保護層2中に硫黄または硫
化物が含まれる場合、これらの成分が記録層3へと拡散
または移動することを防止するという役割である。この
保護層2及び/又は記録層3の構成原子が他方の層へ原
子拡散または原子移動(以下、「原子拡散」と称する)
を防止することにより、媒体の繰り返し特性は飛躍的に
向上する。原子拡散の防止という点からいえば、結晶化
促進層7、8を設ける位置は、記録層3のいずれか一方
であっても両側であってもよいが、より効果的に防止す
るためには、両側に設けることが好ましい。原子拡散の
防止については、記録層3界面での熱の負荷が大きくか
かる側、すなわち、記録または消去時における記録層3
界面での温度上昇が高い方(多くの場合、これはレーザ
ー光入射側となる)の界面に設けた場合(すなわち、第
1の結晶化促進層7)、非常に顕著にその効果が現れ
る。なお、結晶化促進層7、8中に含有される成分が、
情報の繰り返し記録に伴い記録層3に拡散または移動す
る場合もありうる。このような観点からは、記録層3の
光学変化を妨げにくい材料(例えば、Ge、Cr、S
i、Al)を結晶化促進層7、8の構成材料として用い
ることが好ましい。
【0022】結晶化促進層7、8の2つ目の重要な役割
は、記録層3に接して設けた場合、記録マーク(アモル
ファス部分)の熱的安定性を損なわずに、記録材料の結
晶化を促進する効果を発揮することである。これによ
り、さらなる高速消去が可能となる。この効果は特に、
記録層3の温度上昇の低い側の界面、すなわち、多くの
場合でレーザー入射側と反対側の記録層3界面に設けた
場合(すなわち、第2の結晶化促進層8)に顕著となる
場合が多い。
【0023】図4に示したように、記録の書き換えを行
う場合、書き換え前後での記録マーク(アモルファス部
分)が重なっていると、記録層では、アモルファス状態
から結晶状態への移行(領域21)、結晶状態からアモ
ルファス状態への移行(領域23)のみならず、アモル
ファス状態からアモルファス状態への移行(領域22)
が生じる。
【0024】このとき、オーバーライト歪みは、主とし
て、領域21と領域22との境界24で生じる。この理
由を以下に述べる。領域22では書き換えの前後がとも
にアモルファス状態であるため、結晶状態からアモルフ
ァス状態へと相変化する領域23に比べて、結晶が溶融
するための潜熱を必要としない。このため、書き換えの
際に、領域22と領域23とに同量の熱量が与えられた
場合は、領域22で余分な熱量が生じる。この余剰熱量
は領域21をアモルファス化してしまい、このため、境
界24が領域21の方向へとずれることになる。
【0025】ここで、Ac/Aa>1とすると、書き換
え前の領域22での光吸収が、領域23でのそれよりも
少なくなるため、境界24の位置のずれを少なくするこ
とができる。しかし、Aaが相対的に小さくなるため、
領域21が結晶化するための十分な光吸収ができず、結
晶化が困難になってしまう。このため、境界24の位置
のずれは生じにくくなるものの、領域21の結晶化が不
十分となることにより、オーバーライト後で高い消去率
を得ることが困難であった。
【0026】上記課題を解決するための案として、少な
い光吸収でも結晶化が可能である、結晶化速度の速い記
録層組成を用いることが考えられる。この場合は、領域
21が結晶化し易くなり、より高い消去率が得られるよ
うになる。しかし、結晶化を速めている分、アモルファ
スの熱的安定性が損なわれるため、記録マークが長時間
の保存に耐えることが困難になるという新たな課題が生
じてしまう。
【0027】そこで、本発明では、結晶化促進層を設け
ることにより、少ない光吸収でも十分にアモルファス状
態から結晶状態へと変化しうるようにした。したがっ
て、結晶化速度が比較的遅い記録層組成を用いてアモル
ファス部分の熱的安定性を十分に得た場合でも、結晶化
を速くすることが可能となり、高い消去率を得ることが
できる。
【0028】また、高速での良好な書き換え特性と、良
好な繰り返し特性との両方を兼ね備えるため、本発明で
は、結晶化促進層を記録層3の両側に設けることとし
た。
【0029】結晶化促進層7、8に適用する材料は、上
記の2つの役割を果たす材料であればよいが、窒化物、
窒酸化物、酸化物または炭化物のいずれかを主成分とす
る材料であれば好ましい。例えば、窒化物としては、G
eN、CrN、SiN、AlN、NbN、MoN、Fe
N、TiN、ZrN(但し、価数は任意。以下同じ)
等、窒酸化物としては、GeON、CrON、SiO
N、AlON、NbON、MoON(但し、価数は任
意。以下同じ)等、酸化物としては、SiO2、Ta2
5、Al23等、炭化物としてはCrC、SiC、Al
C、TiC、TaC、ZrC(但し、価数は任意。以下
同じ)等を用いることができ、或いは、これらの適当な
混合物としてもよい。いずれにせよ、結晶化促進層7、
8の材料としては、記録層3と保護層2との構成原子の
原子拡散を起こしにくい材料であるか、または仮に記録
層3に拡散した場合でも記録層3の光学変化を妨げにく
い材料であり、記録層3と接して設けた場合に、記録層
3の結晶化を促進する材料が好ましい。
【0030】結晶化促進層7、8を構成する材料とし
て、GeおよびNを含む材料、具体的には例えば、Ge
N、GeON、GeXN、GeXON(但し、XはC
r、Mo、Mn、Ni、CoおよびLaから選ばれる少
なくとも1つの元素を含む材料)のうちの少なくとも1
つを主成分とする材料を用いた場合に、特に優れた繰り
返し特性及び耐候性を得ることができる。ただし、結晶
化促進の効果は、GeN、GeON、GeXN、GeX
ONのいずれを用いてもほぼ同様に得られる。なお、物
質XはGeN膜またはGeON膜の耐候性向上を主な目
的として添加される物質である。上記6元素を含む材料
の他にもY、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、Cu、Z
n、Pd、Ag、Cd、Hf、Wを含む材料としてもよ
いが、上記の6元素(Cr、Mo、Mn、Ni、Co、
La)のうちの少なくとも1元素を含む場合、より効果
的に耐候性が向上する。
【0031】また、結晶化促進層7、8を構成する材料
としては、ZnS−SiO2を主成分とする材料を用い
てもよい。特に、結晶化促進層7、8中でのZn含有量
のS含有量に対する比((Zn含有量)/(S含有
量))が1より大きい材料(以下、Znリッチと称
す)、或いは、O含有量のSi含有量に対する比((O
含有量)/(Si含有量))が2より大きい材料(以
下、Oリッチと称す)を用いることが好ましい。Znリ
ッチ組成またはOリッチ組成を有するZnS−SiO2
層は、記録層3と接して設けられた場合に、記録層3の
結晶化促進の効果があり、しかも保護層2と記録層3と
の原子拡散を抑制する効果を有するため、結晶化促進層
7、8として適している。
【0032】結晶化促進層7、8の膜厚は、原子拡散防
止効果を確実にするために、その膜厚の下限は1nm以
上(さらに5nm以上)であることが好ましい。また、
結晶化促進層7、8は記録再生消去に必要なレーザービ
ームが記録層3に透過すればよく、従ってその膜厚の上
限は特に限定されるものではない。
【0033】次に、記録層3の材料としては、光学特性
が可逆的に変化する材料を用いる。相変化形記録媒体の
場合、Sb系またはTe、Seを主成分とするカルコゲ
ナイド系材料を用いることが好ましい。例えばTe−S
b−Ge、Te−Sn−Ge、Te−Sb−Ge−S
e、Te−Sn−Ge−Au、Ag−In−Sb−T
e、In−Sb−Se、In−Te−Se等を主成分と
する材料が挙げられる。
【0034】或いは、高密度化を図る場合、記録層組成
をGe−Sb−Te3元組成図(図5)において、Ge
Te−Sb2Te3ライン上の組成(或いはライン上の組
成にSbを適量添加した組成)のうちGeTeに近い側
の組成を用いることが好ましい。従来、このような組成
を用いると、記録の繰り返し特性が悪化するという新た
な問題が生じていたが、結晶化促進層7、8を設けるこ
とで、上述の通りこれが回避され、比較的GeTe側の
組成を用いても、書き換え記録の高速化と良好な繰り返
し特性との両立が可能となる。
【0035】また、記録層の組成としては、((GeT
e)1-x(Sb2Te3x1-ySby(ただし、1/13
≦x≦1/3、0≦y≦2/3)により示される組成が
好ましい。この組成は、具体的には、図5に示す点A
(Ge41.4Sb6.9Te51.7)、点B(Ge22.2Sb
22.2Te55.6)、点C(Ge18.2Sb36.4Te45.5)、
点D(Ge38.7Sb12.9Te48.4)で囲まれる範囲であ
る。この範囲の組成を有する記録層は、従来の構成で
は、必ずしも高線速での使用が可能ではなかったが、本
発明により、高線速での使用が可能になった範囲でもあ
る。
【0036】記録層3中にはAr、Kr等のスパッタガ
ス成分やH、C、H2O等が不純物として含まれること
があり、また、種々の目的のために記録層3の主成分G
e−Sb−Te材料に他の物質を微量(例えば約10a
t%以下)添加する場合もあり得るが、これらの構成を
本発明で排除するものではない。
【0037】記録層3の膜厚は1nm以上25nm以下
であることが好ましい。これは膜厚が1nm未満の場合
には記録材料が層状になりにくいためであり、25nm
を超える場合には記録層面内での熱拡散が大きくなるた
め、高密度で記録を行った際に隣接消去が生じ易くなる
ためである。
【0038】反射層5は、Au、Ag、Cu、Al、C
r、Ni等の金属、或いは適宜選択された金属の合金よ
り形成する。
【0039】光吸収補正層9は、媒体でのアモルファス
部の吸収率をAa、結晶部の吸収率をAcとしたとき、
Ac/Aaを1より大きいある一定の範囲に保つとい
う、いわゆる吸収補正を可能にするために設けられる層
である。
【0040】光吸収補正層9を形成することにより、A
c/Aa≦1である媒体においても、Ac/Aa>1と
することができる。光吸収補正層9の具体的な構成につ
いては後述する。
【0041】Ac/Aa>1を実現する方法としてはい
くつか挙げられる。まず、アモルファス状態の反射率R
aが結晶状態の反射率Rcより高い構成とする方法が挙
げられる。この場合、例えばアモルファス状態と結晶状
態との間の反射率差|Ra−Rc|を大きくとった場合
でも、Ac/Aaの値を大きくすることができる。この
ため、Ac/Aa値を大きい値とすることができる。す
なわち、より高速の条件下での書き換えを行う場合で
も、マーク歪みを抑制することが可能となる。
【0042】また、アモルファス状態での反射率が結晶
状態の反射率より低い場合でもAc/Aa>1を実現す
ることができる。このような方法としては、媒体に透過
を生じさせ、記録層がアモルファス状態であるときの媒
体の透過率をTa、結晶状態での媒体の透過率をTcと
したとき、0<Tc<Taとする方法が挙げられる。
【0043】また、別の方法として、記録層がアモルフ
ァス状態であるときの記録層以外の層における吸収率を
A’a、記録層が結晶状態であるときの記録層以外の層
におけるを吸収率A’cとしたとき、0<A’c<A’
aとする方法が挙げられる。具体的には、媒体中に吸収
を生じる層を設け、この層での光吸収が、記録層がアモ
ルファス状態であるときAa2、結晶状態であるときA
2としたとき、0<Ac2<Aa2を満たす構成とする
ことが挙げられる。
【0044】Rc<Raの反射率構成を持つ媒体は、既
述のようにAc/Aa>1となる構成を設計しやすいと
いう大きな利点がある。しかし、アモルファス部と結晶
部の反射率の和が、Rc>Raの反射率構成を有する媒
体に比べて概して大きくなるため、信号再生時のノイズ
が増加しやすいという不利な点もある。一方、Rc>R
aの反射率構成の場合、このような欠点は生じにくい
が、反射率差|Rc−Ra|を大きくしたい場合には比
較的不利である。
【0045】上記で述べた3つの構成、すなわち「Ra
>Rcの構成」、「Ra<Rcかつ0<Tc<Taの構
成」、「Ra<Rcかつ0<Ac2<Aa2の構成」の例
をそれぞれ図1、図2、図3に示す。
【0046】図1の構成における光吸収補正層9は、R
a>Rcを容易に可能とする役割をもっている。このと
きの光吸収補正層は、ある程度のレーザー光を反射、或
いは吸収するが、残りは透過させなければならない。
【0047】Ra>Rcを効果的に達成するためには、
光吸収補正層9をなす材料の使用レーザー波長域での光
学定数n−ikの屈折率n及び吸収係数kが、n<2か
つk>2、或いは、n>2かつk<2を満たす範囲内で
あることが好ましい。ここで、n<2かつk>2を満た
す材料としては、Au、AgおよびCuから選ばれる少
なくとも1種を含む材料が挙げられる。あるいは、この
材料に加えて、Al、CrまたはNiを含む材料を用い
てもよい。一方、n>2かつk<2を満たす材料として
は、Si、Ge、Cr、S、SeおよびTeから選ばれ
る少なくとも1種を含む材料が挙げられる。
【0048】さらに具体的には、膜厚の薄いAu、A
g、Cu等の金属、或いはSi、Ge、Teを主成分と
する半導体または誘電体、或いはAuCr、CuNi、
SiCr等のこれらの適当な混合物を用いることができ
る。金属としては、Au、AgまたはCuを主成分とす
る金属を用いることが好ましい。この場合、熱伝導率等
を調整するために、Al、Cr、Ni等の金属を、好ま
しくは30%以下の範囲で添加してもよい。
【0049】なお、図1に示した構成の場合、光吸収補
正層9は、記録層3と基板1との間のいずれかの場所に
設けることが好ましい。ただし、記録マーク間の熱干渉
を抑制し、クロス消去特性を良好に保つためには、光吸
収補正層9が、記録層3からある程度離れた位置、例え
ば基板1のすぐ上の位置等に設けることがより好まし
い。
【0050】図1に示した媒体の好ましい構成例を以下
に例示する。光吸収補正層9は、膜厚5〜30nmのn
<2かつk>2を満たす材料、または膜厚5〜30nm
のn>2かつk<2を満たす材料である。保護層2は、
膜厚60〜120nmのZnS−SiO2である。第1
の結晶化促進層7は、膜厚1〜40nmのSiC−Si
Nである。あるいは、結晶化促進層7として、膜厚1〜
40nmのAlCrN、SiCrN、GeCrNまたは
GeNiNを用いてもよい。記録層3は、膜厚5〜25
nmの上記に例示した好ましい範囲の組成を有するGe
SbTeである。第2の結晶化促進層8は、膜厚10〜
80nmのSiC−SiNである。あるいは、結晶化促
進層8として、AlCrN、SiCrN、GeCrNま
たはGeNiNを用いてもよい。反射層5は、膜厚20
〜120nmのAuまたはAgを主成分とする材料であ
る。
【0051】図2の構成での光吸収補正層9は、その膜
厚を薄くすることにより透過を生じさせた層であり、0
<Tc<Taを実現している。
【0052】0<Tc<Taを効果的に達成するために
は、光吸収補正層9をなす材料の使用レーザー波長域で
の光学定数n−ikの屈折率n及び吸収係数kが、n<
3かつk<6を満たす範囲内であることが好ましい。
【0053】このような材料としては、Au、Ag、C
u、Al、Cr、Ni、SiおよびGeから選ばれる少
なくとも1種を含む材料が挙げられる。具体的には、上
記と同様に、膜厚の薄いAu、Ag、Cu、Al、C
r、Ni等の金属、或いはSi、Ge等を主成分とする
半導体または誘電体(特に記録再生消去に適用するレー
ザー光に対して所定の透過率を有するような膜厚を備え
た金属、半導体または誘電体)、或いはこれらの適当な
混合物を用いることができる。
【0054】さらに具体的には、Au、AgもしくはC
uを主成分とする金属、またはGeもしくはSiを主成
分とする半導体または誘電体を用いることが好ましい。
【0055】光吸収補正層9の膜厚は、材料に応じて定
められる上限値以下とすることが好ましい。例えばAu
を用いた場合、その膜厚は約20nmより薄くすること
が好ましい。
【0056】なお、図2に示した構成の場合、光吸収補
正層9は、レーザ光入射の方向と反対側の最も上の位置
に設けることが好ましい。
【0057】図2に示した媒体の好ましい構成例を以下
に例示する。保護層2は、膜厚100〜160nmのZ
nS−SiO2である。第1の結晶化促進層7は、膜厚
1〜40nmのSiC−SiNである。あるいは、結晶
化促進層7として、膜厚1〜40nmのAlCrN、S
iCrN、GeCrNまたはGeNiNを用いてもよ
い。記録層3は、膜厚5〜25nmの上記に例示した好
ましい範囲の組成を有するGeSbTeである。第2の
結晶化促進層8は、膜厚60〜140nmのSiC−S
iNである。あるいは、結晶化促進層8として、AlC
rN、SiCrN、GeCrNまたはGeNiNを用い
てもよい。光吸収補正層9は、膜厚1〜20nmのn<
3かつk<6を満たす材料である。
【0058】また、図2に示した構成では、放熱効果が
低下するおそれがあるため、図2の光吸収補正層9上
に、さらにAlN、TaN、InO、SnO(ただし、
価数は問わない)等の透明誘電体層を積層してもよい。
【0059】図3の構成での光吸収補正層9は、この層
で光吸収を行うことによりAc/Aa>1を可能とする
層であり、使用するレーザー波長域において、適度な光
吸収を有する層を設ける。この光吸収補正層は、記録層
がアモルファス状態であるときの吸収率Aa2が、記録
層が結晶状態であるときの吸収率Ac2よりも大きい層
(0<Ac2<Aa2)として形成される。
【0060】0<Ac2<Aa2を効果的に達成するため
には、光吸収補正層9をなす材料の使用レーザー波長域
での光学定数n−ikの屈折率n及び吸収係数kが、n
>2かつk>2を満たす範囲内であることが好ましい。
【0061】このような材料としては、Ge、Si、C
r、Se、SおよびTeから選ばれる少なくとも1種を
含む材料が挙げられる。具体的には、Ge、Si、C
r、Se、SおよびTeから選ばれる少なくとも1種を
主成分とする半導体または誘電体が好ましい。このよう
な材料としては、例えば、GeCr、SiTa、Si
W、PbS、PbTe等が挙げられる。
【0062】なお、図3に示した構成の場合、光吸収補
正層9は、反射層5の手前の位置にに設けることが好ま
しい。
【0063】図3に示した媒体の好ましい構成例を以下
に例示する。保護層2は、膜厚100〜160nmのZ
nS−SiO2である。第1の結晶化促進層7は、膜厚
1〜40nmのSiC−SiNである。あるいは、結晶
化促進層7として、膜厚1〜40nmのAlCrN、S
iCrN、GeCrNまたはGeNiNを用いてもよ
い。記録層3は、膜厚5〜25nmの上記に例示した好
ましい範囲の組成を有するGeSbTeである。第2の
結晶化促進層8は、膜厚10〜80nmのSiC−Si
Nである。あるいは、結晶化促進層8として、AlCr
N、SiCrN、GeCrNまたはGeNiNを用いて
もよい。光吸収補正層9は、膜厚5〜50nmのn>2
かつk>2を満たす材料である。反射層5は、膜厚20
〜120nmのAuまたはAgを主成分とする材料であ
る。
【0064】上記各構成例では、保護層を追加して設け
てもよい。例えば、図1〜図3の構成例における保護層
2を第1の保護層として、さらに第2の保護層4を追加
した例を、図6〜図8に示す。図6に示した構成は、図
1の構成例において、第2の結晶化促進層8と反射層5
との間に第2の保護層4を形成した例である。図7に示
した構成は、図2の構成例において、第2の結晶化促進
層8と光吸収補正層9との間に第2の保護層4を形成し
た例である。図8に示した構成は、図3に示した構成例
において、第2の結晶化促進層8と光吸収補正層9との
間に第2の保護層4を形成した例である。
【0065】次に、これらの光学情報記録媒体の製造方
法について述べる。上記光学情報記録媒体を構成する多
層膜を作製する方法としては、スパッタリング法、真空
蒸着法、CVD法等のいわゆる気相堆積法が可能であ
る。ここでは、一例として、図9に、スパッタリング法
を用いるときの成膜装置の概略を示す。
【0066】真空容器10には排気口16を通して真空
ポンプ(図示省略)を接続してあり、真空容器内を高真
空に保つことができるようになっている。ガス供給口1
5からは、一定流量の希ガス、窒素、酸素、またはこれ
らの混合ガスを供給することができるようになってい
る。図中11は基板であり、基板の自公転を行うための
駆動装置12に取り付けられている。図中13はスパッ
タターゲットであり、陰極14に接続されている。陰極
14は、図示は省略したが、スイッチを通して直流電源
または高周波電源に接続されている。また、真空容器1
0を接地することにより、真空容器10及び基板11は
陽極に保たれている。
【0067】各層を成膜する際の成膜ガスとしては、希
ガスを含むガスを用いる。希ガスにはAr、Kr等が単
独または必要に応じて混合して用いられる。記録層3、
及び保護層2の成膜ガスに、微量の窒素または酸素を混
合することがあるが、これは、繰り返し記録時での記録
層の物質移動を抑制する効果があるためである。なお、
記録層3を成膜する際は、例えばGe−Sb−Teター
ゲットが用いられる。
【0068】結晶化促進層7、8として窒化物を用いる
場合、反応性スパッタリング法により成膜すると良好な
膜質の膜が得られる。例えば、結晶化促進層としてGe
CrNを用いる場合、GeCrまたはGeCrとNとを
含む材料をターゲットとし、成膜ガスとして希ガスと窒
素の混合ガスを用いる。或いはN2O、NO2、NO、N
2等の窒素原子を含むガスや、これらの適当な組み合わ
せの混合ガスと希ガスとの混合ガスを用いてもよい。ま
た、膜が硬質である場合や膜応力が大きい場合等、必要
に応じて微量の酸素を成膜ガス中に混合することによ
り、良好な膜質の層を得ることができる場合がある。
【0069】次に、以上のようにして形成した光学情報
記録媒体の記録再生消去方法について述べる。信号の記
録再生消去には、例えば、レーザー光源と、対物レンズ
を搭載した光ヘッドと、レーザー光を照射する位置を所
定の位置へと導くための駆動装置、トラック方向及び膜
面に垂直な方向の位置を制御するためのトラッキング制
御装置及びフォーカシング制御装置と、レーザーパワー
を変調するためのレーザー駆動装置、媒体を回転させる
ための回転制御装置とを用いる。
【0070】信号の記録または消去は、まず媒体を回転
制御装置を用いて回転させ、光学系によりレーザー光を
微小スポットに絞りこんで、媒体へレーザー光を照射す
ることにより行う。レーザーの照射により記録層のうち
の局所的な一部分がアモルファス状態へと可逆的に変化
しうるアモルファス状態生成パワーレベルをP1、同じ
くレーザーの照射により結晶状態へと可逆的に変化しう
る結晶状態生成パワーレベルをP2とし(通常、P1>P
2)、レーザーパワーをP1とP2の間で変調させること
で記録マークを形成、或いは記録マークを消去し、情報
の記録、消去、及び上書き記録を行った。ここではP1
のパワーを照射する部分は、パルスの列で形成する、い
わゆるマルチパルスとした。但し、マルチパルスを用い
ないパルスで構成してもよいが、本発明の書き換えの高
速化及び繰り返し特性の向上を達成するためには、マル
チパルスを適用することが好ましい。
【0071】また、前記P1、P2のいずれのパワーレベ
ルよりも低く、そのパワーレベルでのレーザー照射によ
って記録マークの光学的な状態が影響を受けず、レーザ
ー照射によって媒体から記録マークの再生のために十分
な反射率が得られるパワーレベルを再生パワーレベルP
3とし、P3のパワーのレーザービームを照射することに
より得られる媒体からの信号を検出器で読みとり、情報
信号の再生を行った。なお、レーザ光の波長は、780
nm以下の範囲が好ましい。
【0072】また、光学情報記録媒体に記録再生する際
のレーザビームの走査線速度は4m/s以上であること
が好ましい。本発明においては、高速消去特性および繰
り返し特性が向上し、より高い転送レートが得られる光
学情報記録媒体が可能になるため、レーザビームの走査
線速度をより大きくしたほうが本発明の特徴を顕著に発
揮することができる。レーザビームの走査線速度は8m
/s以上であることがより好ましい。
【0073】ただし、非常に高密度での記録が可能にな
った場合は、線速度をさほど速くしなくとも高い転送レ
ートが得られる。例えば、青色波長での記録再生を行う
場合は、赤色波長での記録再生と比較して、非常に高密
度での記録が可能となるため、同じ距離を再生した場合
に得られる情報量が大きくなり、転送レートが高くな
る。このような場合は、必ずしも8m/s以上の線速度
を適用する必要はない。
【0074】
【実施例】本発明の実施の一例を以下に示すが、本発明
は以下の実施例により制限されるものではない。
【0075】まず、図1と同様の構成で、基板1を厚さ
0.6mm、直径120mmのディスク状ポリカーボネ
ート樹脂、保護層2をZnSにSiO2を20mol%
混合した材料、記録層3をGe21Sb25Te54、結晶化
促進層7、8をSiC−SiN、光吸収補正層9をAu
とした場合の記録媒体を(1)とする。なお、記録媒体
(1)の各層の膜厚は、記録層3を12nm、保護層2
を80nm、結晶化促進層7、8をそれぞれ10nm、
50nm、反射層5を40nm、光吸収補正層9を10
nmとした。
【0076】比較例として、記録媒体(1)における結
晶化促進層7、8のそれぞれの膜厚10nm及び50n
mはそのままで、保護層2と同じ材料で置き換えた他は
記録媒体(1)と同様の構成を有する構成(すなわち、
記録層3を保護層と同じ材料の層で挟持し、基板1と保
護層2との間に光吸収補正層9を備えた構成)を記録媒
体(2)とし、記録媒体(1)における光吸収補正層9
の膜厚10nmはそのままにし、保護層2と同じ材料で
置き換えた他は記録媒体(1)と同様の構成を有する構
成(すなわち、記録層3を結晶化促進層7及び8で挟持
し、結晶化促進層7と基板1との間は保護層2のみを備
えた構成)を記録媒体(3)とし、記録媒体(1)にお
ける結晶化促進層8のみ膜厚50nmはそのままで、保
護層2と同じ材料で置き換えた構成(すなわち、記録層
3を結晶化促進層7と保護層と同じ材料の層とで挟持し
た構成)を記録媒体(4)とし、記録媒体(4)で、さ
らに光吸収補正層9の膜厚10nmはそのままにし、保
護層2と同じ材料で置き換えた構成(すなわち、記録層
3を結晶化促進層7と保護層と同じ材料の層で挟持し、
結晶化促進層7と基板との間を保護層2のみとした構
成)を記録媒体(5)とし、記録媒体(1)における結
晶化促進層7のみ膜厚10nmはそのままにし、保護層
2と同じ材料で置き換えた構成(すなわち、記録層3を
保護層と同じ材料の層と結晶化促進層8とで挟持した構
成)を記録媒体(6)とし、記録媒体(6)で、さらに
光吸収補正層9の膜厚を10nmはそのままにし、保護
層2と同じ材料で置き換えた構成(すなわち、記録層3
を保護層2と結晶化促進層8とで挟持し、記録層3と基
板1との間を保護層2のみとした構成)を記録媒体
(7)とした。
【0077】記録層3及び保護層2を成膜する際は、A
rに窒素を2.5%混合したガスを、全圧がそれぞれ
1.0mTorr、0.5mTorrとなるように一定
の流量で供給し、陰極にそれぞれDC1.27W/cm
2、RF5.10W/cm2のパワーを投入して行った。
反射層5を成膜する際は、Arガスを全圧3.0mTo
rrになるように供給し、DC4.45W/cm2のパ
ワーを投入して行った。
【0078】結晶化促進層7、8(GeCrN層)を成
膜する際はターゲット材料をGeCrとし、GeCrN
膜中に含有されるCr含有量の、Ge含有量とCr含有
量の和に対する比率が20%となるようにした。スパッ
タガスはArと窒素との混合ガス、スパッタガス圧は1
0mTorr、スパッタガス中の窒素分圧は40%、ス
パッタパワー密度は6.37W/cm2で全て共通とし
た。
【0079】以上により作製した記録媒体(1)〜
(7)を用いて、光学情報の記録試験を実施した。
【0080】記録の信号方式はEFM変調方式とし、用
いたレーザー光の波長は650nm、対物レンズの開口
数は0.60である。最短ビット長は0.28μm、即
ち最短マーク長は0.41μm、ディスク回転速度は線
速6m/s、及び12m/sで測定を行った。トラック
ピッチは1.20μm、即ち0.60μmごとに溝部と
ランド部が交互に形成される基板を用いた。
【0081】特性の評価は、高線速でのオーバーライト
消去率、及び記録の繰り返し特性について行った。
【0082】高速消去特性の評価は、EFM信号方式で
の3T長さのマークを設定レーザーパワーで記録した
後、11T長さのマークでオーバーライトしたときの消
去率を測定することにより行った。オーバーライト消去
率が30dB以上得られたものを○、30dBに満たな
かったものを×として示した。
【0083】記録の繰り返し特性は、EFM信号方式に
より最短マーク長が0.41μmとなる場合について3
Tから11Tの長さのランダムマークを溝部に記録し、
マークの前端間及び後端間のジッター値をウィンドウ幅
Tで割った値(以下ジッター値)の、繰り返し記録後で
の増加分を評価することにより行った。10万回の繰り
返し記録後で、10回記録時のジッター値と比較して、
前端間、後端間ジッター値の増加分の平均が3%以下で
あるものを○、3%より大きかったものを×として示し
た。(1)〜(7)の媒体を評価した結果を(表1)に
示す。
【0084】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――― 線速 6m/s 線速 12m/s 媒体番号 ―――――――――――――――――――――― 繰り返し オーハ゛ーライト 繰り返し オーハ゛ーライト 特性 消去率 特性 消去率 ―――――――――――――――――――――――――――― (1) ○ ○ ○ ○ (2) × ○ × × (3) ○ ○ ○ × (4) ○ ○ ○ × (5) ○ ○ ○ × (6) × ○ × ○ (7) × ○ × × ――――――――――――――――――――――――――――
【0085】(表1)の結果より、結晶化促進層を記録
層の上下に有しない記録媒体(2)、結晶化促進層を記
録層の反射層側にのみ有する記録媒体(6)及び(7)
では繰り返し特性が悪く、結晶化促進層を記録層の上下
に有する構成、または結晶化促進層を記録層の基板側に
のみ有する構成では良好な繰り返し特性が得られてい
る。
【0086】また、光吸収補正層9を有する記録媒体
(1)、(2)、(4)及び(6)の内、記録層3の反
射層5側の結晶化促進層8を有しない記録媒体(2)及
び(4)では12m/sの高線速におけるオーバーライ
ト消去率が劣り、記録層3の反射層5側にのみ結晶化促
進層8を備えた記録媒体(6)では12m/sの高線速
におけるオーバーライト消去率は良好ではあるが、繰り
返し特性に劣る。
【0087】さらに、記録層3の上下に結晶化促進層
7、8を備えるが光吸収補正層9を有しない記録媒体
(3)、及び記録層3の基板1側にのみ結晶化促進層7
を備えるが光吸収補正層9を有しない記録媒体(5)で
は、12m/sの高線速側ではオーバーライト消去率が
落ちている。
【0088】結局、記録層3の上下に結晶化促進層7、
8と光吸収補正層9とをともに有する本発明の記録媒体
(1)では、高速消去が可能となり、繰り返し特性も良
好であることがわかる。
【0089】次に、図2と同様の構成で各層の膜厚は、
保護層2を110nm、結晶化促進層7、8をそれぞれ
10nm、120nm、記録層3を8nm、光吸収補正
層9を10nmとし、各層の材料及び製法を記録媒体
(1)と同様にした記録媒体を(8)とする。
【0090】比較例として、記録媒体(8)における結
晶化促進層7、8のそれぞれの膜厚10nm及び120
nmはそのままで、適用する材料を保護層2と同じ材料
で置き換えた構成(すなわち、記録層3を保護層と同じ
材料の層で挟持した構成)を記録媒体(9)、記録媒体
(8)における光吸収補正層9を50nmの上記反射層
5で置き換えた構成(すなわち、記録層3を結晶化促進
層7、8で挟持し、結晶化促進層8を記録層3と反射層
5とで挟持した構成)を記録媒体(10)とする。
【0091】さらに、図3と同様の構成で各層の膜厚
は、保護層2を130nm、結晶化促進層7、8をそれ
ぞれ10nm、40nm、記録層3を12nm、反射層
5を40nm、光吸収補正層9を30nmのSiWと
し、光吸収層以外の各層に用いる材料を記録媒体(1)
と同様にした記録媒体を(11)とした。
【0092】比較例として、媒体(11)における結晶
化促進層7、8のそれぞれの膜厚10nm及び40nm
はそのままで、適用する材料を保護層2と同じ材料で置
き換えた構成(すなわち、記録層3を保護層と同じ材料
の層で挟持した構成)を記録媒体(12)、媒体(1
1)における光吸収補正層9の膜厚40nmはそのまま
で、用いる材料を保護層2と同じ材料で置き換えた構成
(すなわち、結晶化促進層8と反射層5との間に保護層
と同じ材料の層を挟持した構成)を記録媒体(13)と
する。
【0093】以上の媒体(8)〜(13)について特性
評価を行った結果を(表2)に示す。(表2)からも、
本発明の記録媒体(8)及び(11)が高速消去特性、
良好な繰り返しの特性が得られることがわかる。
【0094】 (表2) ―――――――――――――――――――――――――――― 線速 6m/s 線速 12m/s 媒体番号 ―――――――――――――――――――――― 繰り返し オーハ゛ーライト 繰り返し オーハ゛ーライト 特性 消去率 特性 消去率 ―――――――――――――――――――――――――――― (8) ○ ○ ○ ○ (9) × ○ × × (10) ○ ○ ○ × (11) ○ ○ ○ ○ (12) × ○ × × (13) ○ ○ ○ × ――――――――――――――――――――――――――――
【0095】この結果は、図1の構成における傾向と同
様であることから、図2または図3に示した層構成にお
いても、記録層を介して一対の結晶化促進層を密着させ
ると共に、光吸収補正層を形成してAc>Aaとした構
成により、線速に依らず繰り返し特性及びオーバーライ
ト消去率に優れた光情報記録媒体が提供できることが確
認された。
【0096】別の実施例として、媒体(1)と同様の層
構成、材料を有し、記録層の組成のみ、Ge30.1Sb
17.3Te52.6とした媒体を記録媒体(14)とする。
【0097】比較例として、記録層の組成のみをGe
14.3Sb28.6Te57.1とした点を除いては媒体(14)
と全く同じ構成、材料を有する媒体を記録媒体(15)
とする。
【0098】別の比較例として、媒体(1)と同様の層
構成を有するが、結晶化促進層7,8をすべて保護層の
材料で置き換え、記録層の組成をGe30.1Sb17.3Te
52.6およびGe14.3Sb28.6Te57.1とした媒体を、そ
れぞれ記録媒体(16)、記録媒体(17)とする。
【0099】これら媒体の評価を、記録の繰り返し特
性、高線速でのオーバーライト消去率および耐環境試験
特性について行った。繰り返し特性および高線速でのオ
ーバーライト特性の評価基準については、既述の方法と
同様とした。
【0100】耐環境試験の評価は、以下の方法で行っ
た。まず、オーバーライト特性の評価時と同じ条件を用
いて、線速12m/sで3Tの長さのマークを記録し、
このときの3T信号の前端および後端間のジッター値
(記録マークの前端間および後端間のずれ量をウィンド
ウ幅で割った値)を測定した。次に媒体を90℃、相対
湿度25%の高温条件に保持することにより、加速試験
を行った。この後、記録したマークのジッター値を再度
測定し、加速試験前に比べて加速試験後のジッター値の
増加分が、前端間、後端間のいずれも2%以下である場
合を○、前端間、後端間のジッター値のいずれかが2%
以上増加していた場合を×とする。
【0101】表3に、媒体(14)〜(17)を評価し
た結果を示す。また、既述の媒体(1)について、同様
の耐環境試験を行った結果も併せて示す。
【0102】 (表3) ――――――――――――――――――――――――――――――――― 線速 6m/s 線速 12m/s 媒体番号 ――――――――――――――――――――― 耐環境 繰り返し オーハ゛ーライト 繰り返し オーハ゛ーライト 特性 特性 消去率 特性 消去率 ――――――――――――――――――――――――――――――――― (14) ○ ○ ○ ○ ○ (15) ○ ○ ○ ○ × (16) × ○ × × ○ (17) × ○ × ○ × (1) ○ ○ ○ ○ ○ ―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0103】表3によると、Ge量が比較的少なく、か
つGeTe−Sb2Te3で結ばれるライン上の組成であ
る、Ge14.3Sb28.6Te57.1の組成を用いている、媒
体(15)および媒体(17)は、オーバーライト消去
率は良好であるものの、十分な耐環境試験特性が得られ
ない。これに対して、媒体(1)、媒体(14)および
媒体(16)の組成を用いた場合、アモルファスが熱的
に安定するため、十分な耐環境試験特性を得ることがで
きる。
【0104】また、媒体(16)では、結晶化促進層を
有しないため、繰り返し特性および高線速での消去率が
良好ではないが、結晶化促進層を両側に有し、また吸収
補正層9も有する、媒体(1)および媒体(14)で
は、繰り返し特性、高線速での消去率および耐環境試験
特性のすべてにおいて、良好な特性を示すことが可能と
なる。
【0105】表3の結果より、従来、高線速条件で高い
消去率が得られなかった記録層組成であっても、記録層
の両側に結晶化促進層を設けるとともに、光吸収補正層
を形成してAc>Aaとした構成を用いることにより、
記録の繰り返し特性およびオーバーライト消去率に優れ
た光学情報記録媒体を提供できることが確認できた。
【0106】さらに別の実施例として、図6〜図8に示
した構成と同様となるように、記録媒体を作製した。
【0107】図6と同様の構成で、基板1を厚さ0.6
mm、直径120mmのディスク状ポリカーボネート樹
脂、保護層2、4をZnSにSiO2を20mol%混
合した材料、記録層3をGe30.0Sb18.0Te52.0、反
射層5をAlCr、結晶化促進層7、8をSiCrN、
光吸収補正層9をAgPdとした場合の媒体を記録媒体
(18)とする。なお、記録媒体(18)の各層の膜厚
は、光吸収補正層9を5nm、保護層2を80nm、結
晶化促進層7を5nm、記録層3を9nm、結晶化促進
層8を5nm、保護層4を40nm、反射層5を80n
mとした。
【0108】また、図7と同様の構成で、記録層3をG
29.4Sb19.1Te51.5、結晶化促進層7、8をAlN
iN、光吸収補正層9をAuPdとした点を除いては、
記録媒体(18)と同じ材料を用いて構成した媒体を、
記録媒体(19)とする。なお、記録媒体(19)の各
層の膜厚は、保護層2を120nm、結晶化促進層7を
5nm、記録層3を10nm、結晶化促進層8を5n
m、保護層4を120nm、光吸収補正層9を10nm
とした。
【0109】また、図8と同様の構成で、結晶化促進層
7、8をGeCrN、光吸収補正層9をSiTa、反射
層5をAlとした点を除いては、記録媒体(18)と同
じ材料を用いて構成した媒体を、記録媒体(20)とす
る。なお、記録媒体(20)の各層の膜厚は、保護層2
を130nm、結晶化促進層7を2nm、記録層3を9
nm、結晶化促進層8を2nm、保護層4を40nm、
光吸収補正層9を30nm、反射層5を80nmとし
た。
【0110】これら媒体(18)〜(20)の評価を、
記録の繰り返し特性、高線速でのオーバーライト特性、
耐環境試験特性について行った。評価の方法は、媒体
(14)〜(17)と同様とした。その結果、媒体(1
8)〜(20)についての評価結果は、いずれの項目に
ついても○に相当するものであった。
【0111】
【発明の効果】以上述べたように、光学特性が可逆的に
変化する記録層の両側に接して結晶化促進層を設け、A
c>Aaとすることにより、信号の書き換えの高速化が
可能であり、記録マークの熱的安定性、記録の繰り返し
特性にも優れた光情報記録媒体が得られ、当該光情報記
録媒体の性能を遺憾なく発揮できる記録再生消去方法と
が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における層構成の例を示す断面図
【図2】 本発明における層構成の別の例を示す断面図
【図3】 本発明における層構成のさらに別の例を示す
断面図
【図4】 オーバーライト歪みを説明するための模式図
【図5】 記録層の好ましい組成範囲を示すための3元
組成図
【図6】 本発明における層構成の別の例を示す断面図
【図7】 本発明における層構成のまた別の例を示す断
面図
【図8】 本発明における層構成のさらに別の例を示す
断面図
【図9】 成膜装置の一例を模式的に示す図
【図10】 従来の層構成の一例を示す図
【図11】 従来の層構成の他の例を示す図
【符号の説明】
1 基板 2 (第1の)保護層 3 記録層 4 (第2の)保護層 5 反射層 7 (第1の)結晶化促進層 8 (第2の)結晶化促進層 9 光吸収補正層 10 真空容器 11 基板 12 基板駆動装置 13 ターゲット 14 陰極 15 ガス供給口 16 排気口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 7/00 631 G11B 7/00 636A 636 B41M 5/26 X

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶状態とアモルファス状態との間を可
    逆的に変化する記録層を含み、前記記録層に所定波長の
    レーザ光を入射することにより、前記記録層を前記結晶
    状態および前記アモルファス状態から選ばれるいずれか
    一方から他方へと変化させる光学情報記録媒体であっ
    て、 前記記録層が前記結晶状態であるときの前記記録層にお
    ける前記レーザ光の吸収率Acが、前記記録層が前記ア
    モルファス状態であるときの前記記録層における前記レ
    ーザ光の吸収率Aaよりも大きく、 前記記録層の両側に接して、前記記録層の前記アモルフ
    ァス状態から前記結晶状態への変化を促進する結晶化促
    進層が設けられていることを特徴とする光学情報記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 記録層が結晶状態であるときの光学情報
    記録媒体における前記所定波長のレーザ光の反射率Rc
    が、前記記録層がアモルファス状態であるときの前記光
    学情報記録媒体における前記所定波長のレーザ光の反射
    率Raよりも小さい請求項1に記載の光学情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 光吸収補正層をさらに含み、前記レーザ
    光の前記所定波長における前記光吸収補正層の屈折率が
    2よりも小さく、前記レーザ光の前記所定波長における
    前記光吸収補正層の吸収係数が2よりも大きい請求項2
    に記載の光学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 光吸収補正層が、Au、Ag、Cu、A
    l、CrおよびNiから選ばれる少なくとも1種を含む
    請求項3に記載の光学情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 光吸収補正層をさらに含み、前記レーザ
    光の前記所定波長における前記光吸収補正層の屈折率が
    2よりも大きく、前記レーザ光の前記所定波長における
    前記光吸収補正層の吸収係数が2よりも小さい請求項2
    に記載の光学情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 光吸収補正層が、Si、Ge、Cr、
    S、SeおよびTeから選ばれる少なくとも1種を含む
    請求項5に記載の光学情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 記録層が結晶状態であるときの光学情報
    記録媒体における所定波長のレーザ光の透過率Tcが、
    前記記録層がアモルファス状態であるときの前記光学情
    報記録媒体における前記所定波長のレーザ光の透過率T
    aよりも小さい請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 光吸収補正層をさらに含み、前記レーザ
    光の前記所定波長における前記光吸収補正層の屈折率が
    3よりも小さく、前記レーザ光の前記所定波長における
    前記光吸収補正層の吸収係数が6よりも小さい請求項7
    に記載の光学情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 光吸収補正層が、Au、Ag、Cu、A
    l、Cr、Ni、SiおよびGeから選ばれる少なくと
    も1種を含む請求項8に記載の光学情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 光吸収補正層をさらに含み、前記光吸
    収補正層の膜厚が20nm以下である請求項7に記載の
    光学情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 記録層が結晶状態であるときの前記記
    録層以外の層における所定波長のレーザ光の吸収率A’
    cが、前記記録層がアモルファス状態であるときの前記
    記録層以外の層における前記所定波長のレーザ光の吸収
    率A’aよりも小さい請求項1に記載の光学情報記録媒
    体。
  12. 【請求項12】 光吸収補正層をさらに含み、前記レー
    ザ光の前記所定波長における前記光吸収補正層の屈折率
    が2よりも大きく、前記レーザ光の前記所定波長におけ
    る前記光吸収補正層の吸収係数が2よりも大きい請求項
    11に記載の光学情報記録媒体。
  13. 【請求項13】 光吸収補正層が、Ge、Si、Cr、
    Se、SおよびTeから選ばれる少なくとも1種を含む
    請求項12に記載の光学情報記録媒体。
  14. 【請求項14】 記録層が、Te、SeおよびSbから
    選ばれる少なくとも1つを含む相変化材料からなる請求
    項1に記載の光学情報記録媒体。
  15. 【請求項15】 記録層が、Te、SbおよびGeを含
    む相変化材料からなる請求項1に記載の光学情報記録媒
    体。
  16. 【請求項16】 結晶化促進層が、窒化物、酸化物およ
    び炭化物から選ばれる少なくとも1つを主成分とする材
    料からなる請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  17. 【請求項17】 結晶化促進層が、Sを主成分として含
    まない請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  18. 【請求項18】 結晶化促進層が、GeおよびNを含む
    請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  19. 【請求項19】 結晶化促進層が、ZnおよびSを含
    み、前記結晶化促進層におけるSに対するZnの原子比
    が1よりも大きい請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  20. 【請求項20】 結晶化促進層が、Zn、S、Siおよ
    びOを主成分として含み、前記結晶化促進層におけるS
    iに対するOの原子比が2よりも大きい請求項1に記載
    の光学情報記録媒体。
  21. 【請求項21】 記録層の膜厚が1nm以上25nm以
    下である請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  22. 【請求項22】 結晶化促進層の膜厚が1nm以上であ
    る請求項1に記載の光学情報記録媒体。
  23. 【請求項23】 記録層の組成が、((GeTe)1-x
    (Sb2Te3x1-ySby(ただし、1/13≦x≦
    1/3、0≦y≦2/3)により示される請求項1に記
    載の光学情報記録媒体。
  24. 【請求項24】 少なくとも一方の結晶化促進層に接し
    て保護層が設けられている請求項1に記載の光学情報記
    録媒体。
  25. 【請求項25】 光吸収補正層をさらに含み、前記光吸
    収補正層がない状態では前記Acが前記Aa以下である
    が、前記光吸収補正層が存在することにより、前記Ac
    が前記Aaより大きくなる請求項1に記載の光学情報記
    録媒体。
  26. 【請求項26】 結晶状態とアモルファス状態との間を
    可逆的に変化する記録層を含み、前記記録層に所定波長
    のレーザ光を入射することにより、前記記録層が前記結
    晶状態および前記アモルファス状態から選ばれるいずれ
    か一方から他方へと変化し、 前記記録層が前記結晶状態であるときの前記レーザ光の
    前記記録層における吸収率Acが、前記記録層が前記ア
    モルファス状態であるときの前記レーザ光の前記記録層
    における吸収率Aaよりも大きく、 前記記録層の両側に接して結晶化促進層を設けた光学情
    報記録媒体、を用いた光学情報の記録再生方法であっ
    て、 光学系により微小スポットに絞り込んだレーザー光の照
    射により前記記録層のうちの局所的な一部分が結晶状態
    からアモルファス状態へと可逆的に変化し得るアモルフ
    ァス状態生成パワーレベルをP1、前記レーザー光の照
    射により前記記録層の局所的な一部がアモルファス状態
    から結晶状態へと可逆的に変化し得る結晶状態生成パワ
    ーレベルをP2、前記P1および前記P2のいずれのパワ
    ーレベルよりも低く、前記レーザー光の照射によって前
    記記録層の光学的状態が影響を受けず、かつその照射に
    よって光学情報の再生のために十分な反射が得られる再
    生パワーレベルをP3としたとき、 前記レーザー光のパワーレベルを前記P1と前記P2との
    間で変調させることにより光学情報の記録、消去または
    上書きを行い、前記P3のパワーレベルの前記レーザー
    光を照射することにより光学情報の再生を行うことを特
    徴とする光学情報の記録再生方法。
  27. 【請求項27】 光学情報記録媒体上におけるレーザー
    光の走査の線速度を4m/s以上とする請求項26に記
    載の光学情報の記録再生方法。
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