JPH11335898A - メッキ方法及びメッキ装置 - Google Patents

メッキ方法及びメッキ装置

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JPH11335898A
JPH11335898A JP13826998A JP13826998A JPH11335898A JP H11335898 A JPH11335898 A JP H11335898A JP 13826998 A JP13826998 A JP 13826998A JP 13826998 A JP13826998 A JP 13826998A JP H11335898 A JPH11335898 A JP H11335898A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被メッキ物をメッキ浴中でより均一にかつ迅
速にメッキ処理し、生産性を向上させることができるメ
ッキ方法及びメッキ装置を提供すること。 【解決手段】 メッキ方法は、被メッキ物を収容ないし
保持した器具1を、メッキ浴槽2内で小さいストローク
かつ短いサイクルで上下方向に振動ないし揺動させるこ
とを特徴とする。メッキ装置は、機枠5には、当該機枠
5に設置されたメッキ浴槽4を挟むように所定ストロー
クで上下方向へスライド自在な一対の支持ベース6,6
を設け、前記各支持ベース6,6には、被メッキ物を収
容ないし保持する器具1を取り付けた状態で前記メッキ
浴槽4内へ収容される保持枠2を懸架支持させ、各伝達
機構7を介して前記各支持ベース6,6を同調して上下
方向へ振動ないし揺動させる駆動機構8を設けたことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は一般的にはメッキ
方法及びメッキ装置に関するものであり、さらに具体的
には、電解メッキ又は無電解メッキにおいて、被メッキ
物が保持ないし収容された器具を上下方向に揺動させる
メッキ方法と、そのメッキ方法を円滑に実施するのに適
するメッキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、内部に比較的小さな被メッキ物
を多数収容したバレルを、電解又は無電解のメッキ浴中
で一分間に一方向へ5〜10回程度回転させたり、ある
いは、所定角度ずつ正逆交互に回転させることにより、
メッキ処理中に被メッキ物相互の界面張力による過剰な
付着を防止し、被メッキ物へより均一なメッキ層を形成
することは公知である。また、同様な目的のために、比
較的小さな多数の被メッキ物を吊り下げ治具等の器具に
吊り下げ状に保持させ、この器具を電解又は無電解のメ
ッキ浴中で上下方向に50〜100mmのストローク,5
〜15回/minのサイクルで上下方向に揺動させるこ
とも公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被メッ
キ物が多数収容されたバレルをメッキ浴中で前述のよう
に回転させ、あるいは、多数の被メッキ物を保持させた
器具をメッキ浴中で前述の要領で上下方向へ揺動させる
のでは、被メッキ物相互の過剰な付着を防止することは
困難であるので、多数の被メッキ物を均一にかつより迅
速にメッキ処理することができず、生産性の向上が望ま
れていた。また、メッキ浴中で多数の被メッキ物をメッ
キ処理する際、メッキ液中の成分の反応やイオンの作用
等により、メッキ液中にガスが発生することがある。そ
して、多数の被メッキ物を収容ないし保持させたバレル
その他の器具を、前述の要領でメッキ浴中で回転させた
り上下方向へ揺動させるのでは、前述のように発生した
ガスの微細な気泡が被メッキ物群の中に残り易く、残留
した微細な気泡によって被メッキ物相互の間でメッキむ
らが生じたり、製品表面に微細な気泡状の模様が表れた
りすることがあり、生産性を低下させることが少なくな
かった。
【0004】この発明の目的は、比較的小さな多数の被
メッキ物を器具へ収容ないし保持させ、前記被メッキ物
をメッキ浴中でメッキ処理する際に、これらの被メッキ
物をより均一にかつより迅速にメッキ処理することがで
き、生産性をはるかに向上させることができるメッキ方
法を提供することにある。この発明の他の目的は、被メ
ッキ物をメッキ浴中で処理する際成分相互の反応等でガ
スによる微細な気泡が発生した場合でも、被メッキ物群
の中又は被メッキ物相互間から迅速に前記気泡を大気中
に脱出させ、微細な気泡による悪影響を防止することが
できるメッキ方法を提供することにある。この発明のさ
らに他の目的は、前述のような課題を解決することがで
きるメッキ方法を、より円滑に実施することができるメ
ッキ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明によるメッキ方
法は、前述の課題を達成するため以下のように構成した
ものである。すなわち、請求項1に記載のメッキ方法
は、被メッキ物を収容ないし保持した器具1を、メッキ
浴槽4内において小さいストロークかつ短いサイクルで
上下方向に振動ないし揺動させることを特徴としてい
る。
【0006】請求項2に記載のメッキ方法は、請求項1
に記載のメッキ方法において、前記器具1を1〜8mmの
ストローク,80〜800回/minのサイクルで上下
方向に振動ないし揺動させることを特徴としている。
【0007】請求項3に記載のメッキ方法は、請求項1
又は2に記載のメッキ方法において、前記器具1がバレ
ルであり、当該器具1を上下方向に振動ないし揺動させ
ながら一方向に又は所定角度ずつ正逆に回転させること
を特徴としている。
【0008】この発明によるメッキ装置は、前述の課題
を解決するため以下のように構成したものである。すな
わち、請求項4に記載のメッキ装置は、機枠5には、当
該機枠5に設置されたメッキ浴槽4を挟むように、所定
ストロークで上下方向へスライド自在な一対の支持ベー
ス6,6を設置し、前記各支持ベース6,6には、被メ
ッキ物を収容ないし保持する器具1を取り付けた状態で
前記メッキ浴槽4内へ収容される保持枠2を懸架支持さ
せ、振動ないし揺動の各伝達機構7を介して前記各支持
ベース6,6を同調して上下方向へ振動ないし揺動させ
る駆動機構8を設けたことを特徴としている。
【0009】請求項5に記載のメッキ装置は、請求項4
に記載のメッキ装置において、前記各支持ベース6,6
には一対の垂直なスライドバー60,60をそれぞれ取
り付け、前記各対のスライドバー60,60は、前記機
枠5の相対する側部へ取り付けられた上下各一対の水平
フレーム51,52へ各スライドガイド51a,52a
を介してそれぞれスライド自在に貫通保持させ、前記各
支持ベース6,6を、前記各スライドバー60,60に
装着されたコイルバネ61により、上方へ付勢された状
態でぞれぞれ対応する上部の水平フレーム51へ支持さ
せることを特徴としている。
【0010】請求項6に記載のメッキ装置は、請求項4
又は5に記載のメッキ装置において、前記駆動機構8
が、中空の出力軸81を有するモータ80と、前記出力
軸81へ装着され、前記モータ80の回転を上下方向へ
の振動ないし揺動に変換する変換手段83を介して前記
各伝達機構7へ連結された伝動軸82とを備えているこ
とを特徴としている。
【0011】請求項7に記載のメッキ装置は、請求項6
に記載のメッキ装置において、前記モータ80はインバ
ータその他の変速手段80aを有していることを特徴と
している。
【0012】請求項8に記載のメッキ装置は、請求項4
〜7のいずれかに記載のメッキ装置において、前記器具
1がバレルであり、前記保持枠2には前記器具1を一方
向に又は正逆方向へ回転させる回転伝達手段30が設置
されていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発
明によるメッキ装置とメッキ方法の実施形態を詳しく説
明する。 第1実施形態 図1〜図3を参照しながら、この発明によるメッキ装置
とメッキ方法の第1実施形態を説明する。図1はこの発
明の第1実施形態によるメッキ装置の縦断正面図、図2
は図1のメッキ装置の側面図、図3は図1のメッキ装置
の平面図である。
【0014】主として角パイプ材を組み合わせた機枠5
の上段部50には、メッキ浴槽4が取替えできるように
載置されている。前記機枠5には、上段部50の上に載
置されたメッキ浴槽4を挟むように、所定ストロークで
上下方向へスライド自在な一対の水平な支持ベース6,
6が設置されている。各支持ベース6,6には、比較的
小さな図示しない被メッキ物を多数収容ないし保持する
器具1を取り付けた状態で前記メッキ浴槽4内へ収容さ
れる保持枠2が懸架支持されている。前記機枠5には、
それぞれ振動ないし揺動の伝達機構7を介して、前記各
支持ベース6,6を同調して上下方向へ振動ないし揺動
させる駆動機構8が設けられている。
【0015】この実施形態において、前記各支持ベース
6,6はそれぞれ所定の厚みを有する金属板で構成され
ており、各支持ベース6,6の下面には、一対の垂直な
スライドバー60,60がそれぞれ取り付けられてい
る。他方、機枠5は前記のように載置されるメッキ浴槽
4を挟む両側に、図2のようにそれぞれ上方に伸びた各
一対の支柱53,53を有しており、各対の支柱53,
53には水平な上下一対の水平フレーム51,52がそ
れぞれ固定されている。前記各支持ベース6,6の各ス
ライドバー60,60は、前記各対の水平フレーム5
1,52へ各スライドガイド51a,52aを介してス
ライド自在に貫通保持されている。前記各支持ベース
6,6は、前記各スライドバー60,60に装着された
それぞれのコイルバネ61により、上方へ付勢された状
態でぞれぞれ対応する上部の水平フレーム51へ支持さ
れている。
【0016】前記各対のスライドバー60,60は、そ
れぞれ同時に上下方向へ振動ないし揺動し得るように、
下方の水平フレーム52から突出した下端部が水平バー
62によって連結され、各水平バー62にはそれぞれリ
ンクからなる伝達機構7の上端が連結されている。前記
駆動機構8は、機枠5の下段部54へ設置されたモータ
80と、このモータ80の中空の出力軸81へ両端が突
出するように装着され、軸受84,84へ回転自在に保
持されている伝動軸82とから構成されており、この伝
動軸82の両端部は、前記モータ80の回転を上下方向
の振動ないし揺動に変換する変換手段83を介して、前
記各伝達機構7の下部へ連結されている。この実施形態
において、前記モータ80はインバータからなる変速手
段80aを備えおり、モータ80の周波数を選択するこ
とによりその回転数を変更し、各伝達手段7及び各対の
スライドバー60,60を介して、それぞれの支持ベー
ス6,6へ加えられる振動ないし揺動のサイクルを変更
し得るように構成されれいる。
【0017】この実施形態において、器具1が取り付け
られた保持枠2は、一対の垂直な支持板20,20と、
これらの支持板20,20の下端部相互を連結した連結
バー21,21と、支持板20,20の上端部相互を連
結した棒状の把手22とから構成され、各支持板20,
20の表側には、保持枠2を前記支持ベース6,6へ懸
架支持させるための水平な懸垂バー23,23が固定さ
れている。前記支持ベース6,6相互の両端部には、図
2及び図3で示すようにそれぞれ溝状の支承具63,6
3が取り付けられており、相互の支承具63,63に
は、前記懸垂バー23,23を懸架支持するため架橋状
に支持バー64,65が取り付けられている。前記保持
枠2は、前記各懸垂バー23,23を前記支持ベース
6,6に取り付けられている各支持バー64,65上に
載せ、各懸垂バー23,23を図3の各クリップ具66
により各支持バー64,65へクリップすることによ
り、水平方向及び上下方向へ動かないように支持ベース
6,6へ懸架支持される。
【0018】この実施形態のメッキ装置において、多数
の被メッキ物を収容ないし保持する器具1はバレルであ
り、このバレルは、六角筒状の硬質プラスチック製の胴
部10と、この胴部10の両端を塞ぐ硬質プラスチック
製の円形の端板11,12とから構成されている。胴部
10は六角筒状の一つの辺面が着脱可能な図示しない蓋
になっており、この蓋を含む胴部10の各辺面の図示し
ない窓には網が張られている。胴部10の各辺面壁は、
このような網に代えて多孔板で構成することができる。
【0019】前記器具1は、運転中一方向へ連続して回
転し、又は正逆方向へ所定角度ずつ交互に回転されるよ
うに構成されており、前記保持枠2の下方の部分におい
て、軸13により各支持板20,20へ回転自在に取り
付けられている。前記保持枠2の一方の支持板20の内
側には、当該支持板20と平行するように、器具1の一
方の歯車状の端板11を含む歯車列からな回転伝達手段
30が設置されており、前記器具1は、支持板20,2
0間の比較的上部に設置された棚上のモータ3により、
前記回転伝達手段30を介して回転されるようになって
いる。モータ3はコンバータ等の変速手段31を有し、
必要に応じてその回転数を変化させることができるよう
に構成してある。
【0020】この実施形態の装置は電解メッキ用の装置
であって、支持ベース6,6へ架橋状に取り付けられた
一方の支持バー64は銅板などの導電バーであり、一方
の懸垂バー23の心部23a(図2,図3)も導電バー
から構成されている。導電バーからなる一方の支持バー
64からは、前記一方の懸垂バー23の心部23aを通
じて器具1の胴部10の軸心部の電極(カソード)へ通
電されるように構成されている。
【0021】前記実施形態のメッキ装置の作用を、以下
メッキ方法の実施形態と併せて説明する。前記器具1の
胴部10の蓋を開け、内部に図示しない小さな被メッキ
物を適量投入し、機枠5の上端部50へ載置されたメッ
キ浴槽4内に前記器具1がメッキ浴の液面下に没する状
態で、保持枠2を前述の要領で支持ベース6,6へ懸架
支持させる。次いで、各電極に通電し、モータ3により
器具1を5〜20回/minで回転させながら、モータ
80により、前記保持枠2とともに前記器具1を上下方
向に小さなストロークかつ短いサイクルで振動ないし揺
動させる。
【0022】器具1を上下方向へ振動ないし揺動させる
ストローク及びサイクルは、被メッキ物の大きさや形状
等によって異なるが、1〜8mmのストローク,80〜8
00回(上下往復で1回)/minのサイクルであるの
が好ましい。前述の範囲内において、被メッキ物が短小
である場合ば振動ないし揺動のストロークを小さく設定
するとともに、振動ないし揺動のサイクルを短く(振動
数ないし揺動数を多く)設定する。被メッキ物の平面形
状が比較的長いか又は大きい場合は、前述の範囲内にお
いて振動ないし揺動のストロークを大きく設定するとと
もに、そのサイクルを長く設定する。多くの場合、振動
ないし揺動のストロークが1mm未満では振動ないし揺動
の効果が小さく生産性の向上がさ程期待できない。振動
数ないし揺動数が80回/min未満の場合でも同様で
ある。また、ストロークが8mmを超えると被メッキ物が
変形し易くなって歩留りが低下する。振動数ないし揺動
数が800回/minを超える場合も同様である。振動
ないし揺動の実用上好適なストロークの範囲は2〜6mm
であり、振動数ないし揺動数のそれは100〜600回
/minである。
【0023】器具1の回転速度は、5〜20回/min
の範囲内において、被メッキ物が短小である場合には回
転数を大きく設定し、被メッキ物が比較的長くあるいは
比較的大きい場合には回転数を小さく設定する。器具1
の回転数が20回/minを超えると、被メッキ物が変
形し易くなって歩留りが低下するおそれがある。
【0024】それぞれ同一の形状及び大きさの被メッキ
物を同量使用し、器具1を10回/minの速度で回転
させながら、器具1を保持具2とともに振幅ストローク
=3mm、300回/minの速度で振動ないし揺動させ
た場合と、器具1を10回/minの速度で回転させな
がら、器具1を振動ないし揺動させななかった場合と
で、メッキ皮膜状態がほぼ同じ程度になるまで電解メッ
キ処理を行い、両者のメッキ処理に要した時間を比較し
たところ、前者は後者に比較して35%前後メッキ処理
時間が短縮された。
【0025】前記実施形態のメッキ方法によれば、被メ
ッキ物を収容ないし保持した器具1を、メッキ浴槽2内
で小さいストロークかつ短いサイクルで上下方向に振動
ないし揺動させるので、一方では被メッキ物相互が完全
に離れるのを防止することができるとともに、他方で
は、被メッキ物相互が過剰に付着し合うのを防止するこ
とができる。したがって、多数の被メッキ物をより均一
にかつより迅速にメッキ処理することができ、生産性を
はるかに向上させることができる。また、器具1の前記
のような振動ないし揺動により、メッキ浴中で発生した
ガスの微細な気泡が被メッキ物群から脱出し、前記気泡
の大気への解放が著しく促進されるため、微細な気泡の
浴中への残留による被メッキ物相互の間のメッキむら
や、製品表面への微細な気泡状の模様の表れを防止する
ことができ、歩留りや生産性が向上する。
【0026】前記実施形態のメッキ装置によれば、第1
に、機枠5には当該機枠5に設置されたメッキ浴槽4を
挟むように位置し、所定ストロークで上下方向へスライ
ド自在な一対の支持ベース6,6を設置し、前記各支持
ベース6,6には、被メッキ物を収容ないし保持する器
具1を取り付けた状態で前記メッキ浴槽4内へ収容され
る保持枠2を懸架支持させ、振動ないし揺動の各伝達機
構7を介して前記各支持ベース6,6を同調して上下方
向へ振動ないし揺動させる駆動機構8を設けたので、前
記保持枠2へ保持させた状態で、器具1を上下方向へ円
滑に振動ないし揺動させることができる。第2に、前記
各支持ベース6,6には一対の垂直なスライドバー6
0,60をそれぞれ取り付け、前記各対のスライドバー
60,60を、前記機枠5の相対する側部へ取り付けら
れた上下各一対の水平フレーム51,52へ各スライド
ガイド51a,52aを介してそれぞれスライド自在に
貫通保持させ、前記各支持ベース6,6を、前記各スラ
イドバー60,60に装着されたコイルバネ61によ
り、上方へ付勢された状態でぞれぞれ対応する上部の水
平フレーム51へ支持させたので、駆動機構8による振
動ないし揺動が、器具1に対してより柔らかく伝達さ
れ、振動ないし揺動のサイクルが短くても被メッキ物の
変形を防止することができる。第3に、前記駆動機構8
は、中空の出力軸81を有するモータ80と、前記出力
軸81へ装着され、前記モータ80の回転を上下方向へ
の振動ないし揺動に変換する変換手段83を介して前記
各伝達機構7へ連結された伝動軸82とを備えており、
対の支持ベース6,6に加える振動ないし揺動を同調さ
せる機構が非常に簡単になる。第4に、前記モータ80
にはインバータその他の変速手段80aが備えられてい
るので、運転中又は被メッキ物が交換された場合、容易
に振動ないし揺動の速度を変速することができる。第5
に、前記器具1はバレルとし、前記保持枠2には前記器
具1を一方向又は正逆方向へ回転させる回転伝達手段3
0を設置したので、器具1を回転させながら上下方向へ
振動ないし揺動させることができる。
【0027】第2実施形態 図4はこの発明に係るメッキ装置の第2実施形態を示す
保持枠の概略平面図であり、器具をバレルとした場合に
おいて、保持枠に対する器具の取付状態の変形形態であ
る。この実施形態では、バレルからなる器具1の両側の
端板11,12には、それらの各端板11,12におい
てそれぞれ対称的に偏心した位置から突出するように軸
13が取り付けられており、軸13の両端部が保持枠2
を構成する一対の支持板20,20へ回転自在に取り付
けられている。この実施形態の装置においては、バレル
構造の器具1は複雑な変形状態で回転するので、被メッ
キ物相互の過度を付着をよりよく防止することができ
る。この実施形態のメッキ装置の他の構成や作用,効果
は、第1実施形態のメッキ装置とほぼ同様であるのでそ
れらの説明は省略する。
【0028】第3実施形態 図5はこの発明による第3実施形態のメッキ装置を示す
側面図である。この実施形態のメッキ装置は、第1実施
形態のメッキ装置における振動ないし揺動の伝達機構7
が変形した形態であって、リンク構造の各伝達機構7
は、中央部に選択可能な複数のピン孔70aを有するリ
ング板70と、リンク板70の中央部を支点ピン72で
支持する支持片71と、リンク板70の先端部へ一端が
軸着された連結板73とから構成されている。前記連結
板73の他端部は、各対のスライドバー60,60の下
端相互を連結した水平バー62へそれぞれ連結されてい
る。前記リンク板70の基端部は、回転を振動又は揺動
に変換する変換手段83を介して伝動軸82へ連結され
ている。この実施形態のメッキ装置は、リンク板70に
形成されたピン孔70aを適宜選択し、支点ピン72で
リンク板70を支持する支持片71の位置を変更するこ
とによって、支持ベース6,6の振動ないし揺動の振幅
(ストローク)の大きさを変更することができる。第3
実施形態のメッキ装置の他の構成や作用,効果は、第1
実施形態のメッキ装置とほぼ同様であるのでそれらの説
明は省略する。
【0029】その他の実施形態 前記各実施形態では、被メッキ物を保持ないし収容する
器具1をバレルとしているが、例えば吊り下げメッキ方
式のように、被メッキ物を所定の器具に吊り下げた状態
で保持させ、これをメッキ浴中で振動ないし揺動させる
ように構成することもできる。
【0030】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係るメッキ方法
によれば、被メッキ物を収容ないし保持した器具1を、
メッキ浴槽2内で小さいストロークかつ短いサイクルで
上下方向に振動ないし揺動させるので、一方では被メッ
キ物相互が完全に離れるのを防止することができるとと
もに、他方では、被メッキ物相互が過剰に付着し合うの
を防止することができる。したがって、多数の被メッキ
物をより均一にかつより迅速にメッキ処理することがで
き、生産性をはるかに向上させることができる。また、
器具1の前記のような振動ないし揺動により、メッキ浴
中で発生したガスの微細な気泡が被メッキ物群から脱出
し、前記気泡の大気中への解放が著しく促進されるた
め、微細な気泡の浴中への残留による被メッキ物相互の
間のメッキむらや、製品表面への微細な気泡状の模様の
表れを防止することができ、歩留りや生産性が向上す
る。
【0031】請求項2に記載の発明に係るメッキ方法に
よれば、前記器具1を1〜8mmのストローク,80〜8
00回/minのサイクルで上下方向に振動ないし揺動
させるので、前記効果をさらによく達成することができ
る。
【0032】請求項3に記載の発明に係るメッキ方法に
よれば、前記器具1をバレル構造とし、当該器具1を上
下方向に振動ないし揺動させながら一方向又は所定角度
ずつ正逆に回転させるので、メッキ浴中での被メッキ物
相互の過度の付着をより一層よく防止することができ
る。
【0033】請求項4に記載の発明に係るメッキ装置に
よれば、機枠5には当該機枠5に設置されたメッキ浴槽
4を挟むように位置し、所定ストロークで上下方向へス
ライド自在な一対の支持ベース6,6を設置し、前記各
支持ベース6,6には、被メッキ物を収容ないし保持す
る器具1を取り付けた状態で前記メッキ浴槽4内へ収容
される保持枠2を懸架支持させ、振動ないし揺動の各伝
達機構7を介して前記各支持ベース6,6を同調して上
下方向へ振動ないし揺動させる駆動機構8を設けたの
で、前記保持枠2へ保持させた状態で、器具1を上下方
向へ振動ないし揺動させて、請求項1に記載のメッキ方
法を円滑に実施することができる。
【0034】請求項5に記載の発明に係るメッキ装置に
よれば、前記各支持ベース6,6には一対の垂直なスラ
イドバー60,60をそれぞれ取り付け、前記各対のス
ライドバー60,60を、前記機枠5の相対する側部へ
取り付けられた上下各一対の水平フレーム51,52へ
各スライドガイド51a,52aを介してそれぞれスラ
イド自在に貫通保持させ、前記各支持ベース6,6を、
前記各スライドバー60,60に装着されたコイルバネ
61により、上方へ付勢された状態でぞれぞれ対応する
上部の水平フレーム51へ支持させたので、駆動機構8
による振動ないし揺動が、器具1に対してより柔らかく
伝達され、振動ないし揺動のサイクルが短くても被メッ
キ物の変形を防止することができる。
【0035】請求項6に記載の発明に係るメッキ装置に
よれば、前記駆動機構8は、中空の出力軸81を有する
モータ80と、前記出力軸81へ装着され、前記モータ
80の回転を上下方向への振動ないし揺動に変換する変
換手段83を介して前記各伝達機構7へ連結された伝動
軸82とを備えており、対の支持ベース6,6に加える
振動ないし揺動を同調させる機構が非常に簡単になる。
【0036】請求項7に記載の発明に係るメッキ装置に
よれば、モータ80にはインバータその他の変速手段8
0aが備えられているので、運転中又は被メッキ物が交
換された場合、容易に振動ないし揺動の速度を変速する
ことができる。
【0037】請求項8に記載の発明に係るメッキ装置に
よれば、器具1はバレル構造であって、前記保持枠2に
は前記器具1を一方向又は正逆方向へ回転させる回転伝
達手段30を設置したので、器具1を回転させながら上
下方向へ振動ないし揺動させることにより、請求項3に
記載のメッキ方法を円滑に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る第1実施形態のメッキ装置の縦
断正面図である。
【図2】図1のメッキ装置の側面図である。
【図3】図1のメッキ装置の平面図である。
【図4】この発明に係るメッキ装置の第2実施形態を示
す保持枠の概略平面図である。
【図5】この発明に係る第3実施形態のメッキ装置を示
す側面図である。
【符号の説明】
1 器具 10 胴部 11,12 端板 13 軸 2 保持枠 20 支持板 21 連結棒 22 把手 23 懸垂バー 23a 心部 3 モータ 30 回転伝達手段 31 変速手段 4 メッキ浴槽 5 機枠 50 上段部 51,52 水平フレーム 51a,52a スライドガイド 53 支柱 54 下段部 6 支持ベース 60,60 スライドバー 61 コイルバネ 62 水平バー 63 支承具 64,65 支持バー 66 クリップ具 7 振動(揺動)の伝達機構 70 リンク板 70a ピン孔 71 支持片 72 支点ピン 73 連結板 8 駆動機構 80 モータ 80a 変速手段 81 出力軸 82 伝動軸 83 変換手段 84 軸受

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被メッキ物を収容ないし保持した器具1
    を、メッキ浴槽4内において小さいストロークかつ短い
    サイクルで上下方向に振動ないし揺動させることを特徴
    とする、メッキ方法。
  2. 【請求項2】 前記器具1を1〜8mmのストローク,8
    0〜800回/minのサイクルで上下方向に振動ない
    し揺動させることを特徴とする、請求項1に記載のメッ
    キ方法。
  3. 【請求項3】 前記器具1がバレルであり、当該器具1
    を上下方向に振動ないし揺動させながら一方向に又は所
    定角度ずつ正逆に回転させることを特徴とする、請求項
    1又は2に記載のメッキ方法。
  4. 【請求項4】 機枠5には、当該機枠5に設置されたメ
    ッキ浴槽4を挟むように位置し、かつ所定ストロークで
    上下方向へスライド自在な一対の支持ベース6,6が設
    置され、 前記各支持ベース6,6には、被メッキ物を収容ないし
    保持する器具1を取り付けた状態で前記メッキ浴槽4内
    へ収容される保持枠2が懸架支持され、 振動ないし揺動の各伝達機構7を介して前記各支持ベー
    ス6,6を同調して上下方向へ振動ないし揺動させる駆
    動機構8を設けたことを特徴とする、メッキ装置。
  5. 【請求項5】 前記各支持ベース6,6には一対の垂直
    なスライドバー60,60がそれぞれ取り付けられ、 前記各対のスライドバー60,60は、前記機枠5の相
    対する側部へ取り付けられた上下各一対の水平フレーム
    51,52へ各スライドガイド51a,52aを介して
    それぞれ上下方向へスライド自在に貫通保持され、 前記各支持ベース6,6は、前記各スライドバー60,
    60に装着されたコイルバネ61により、上方へ付勢さ
    れた状態でぞれぞれ対応する上部の水平フレーム51へ
    支持されていることを特徴とする、 請求項4に記載のメッキ装置。
  6. 【請求項6】 前記駆動機構8は、中空の出力軸81を
    有するモータ80と、前記出力軸81へ装着され、前記
    モータ80の回転を上下方向への振動ないし揺動に変換
    する変換手段83を介して前記各伝達機構7へ連結され
    た伝動軸82とを備えていることを特徴とする、請求項
    4又は5に記載のメッキ装置。
  7. 【請求項7】 前記モータ80にはインバータその他の
    変速手段80aを備えている、請求項6に記載のメッキ
    装置。
  8. 【請求項8】 前記器具1はバレルであり、前記保持枠
    2には前記器具1を一方向に又は正逆方向へ交互に回転
    させる回転伝達手段30が設置されている、請求項4〜
    7のいずれかに記載のメッキ装置。
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