JPH11335377A - クエン酸水素マグネシウム水和物およびその製法 - Google Patents

クエン酸水素マグネシウム水和物およびその製法

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JPH11335377A
JPH11335377A JP14250498A JP14250498A JPH11335377A JP H11335377 A JPH11335377 A JP H11335377A JP 14250498 A JP14250498 A JP 14250498A JP 14250498 A JP14250498 A JP 14250498A JP H11335377 A JPH11335377 A JP H11335377A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水に易溶性であって、例えば医薬品原料、工
業薬品原料、マグネシウム強化剤などの原料として優れ
た効果を発揮するクエン酸水素マグネシウム水和物およ
びその製法を提供すること。 【解決手段】 クエン酸の水溶液ないし懸濁液に金属マ
グネシウムまたはマグネシウム塩類を添加して反応させ
た後、当該反応液を10℃以下に冷却し静置することに
より晶析させて得られ、25℃の水100mlに対する溶
解度が20g以上であって、式:C6 6 MgO7 ・x
2 O(x:3から5までの実数)で表されるクエン酸
水素マグネシウム水和物、およびその製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば医薬品原
料、工業薬品原料、マグネシウム強化剤などに用いられ
るクエン酸水素マグネシウム水和物に係り、特に、水に
易溶のクエン酸水素マグネシウム水和物、およびその製
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、クエン酸のマグネシウム塩とし
ては、クエン酸水素マグネシウムC66 MgO7 とク
エン酸マグネシウムC1210Mg3 14が挙げられる。
それらの殆どは水和物として存在し、その分子式や構造
式は非常に複雑であり多岐にわたっている。かかるクエ
ン酸のマグネシウム塩はいずれも、製造段階においてク
エン酸の水溶液または懸濁液中に金属マグネシウムまた
はマグネシウム塩類を添加して中和した時点では透明な
水溶液となっている。この水溶液に加熱や冷却などの工
程を施して結晶を析出させると、その結晶は晶析条件な
どの違いにより、例えば水和数、クエン酸の数、または
マグネシウムの数が様々である種々の構造式をとる。し
かも、それらの殆どは水に対する溶解度が小さく水中で
白濁するため、得られた結晶を再び完全に溶かした水溶
液として使用することは困難である。
【0003】他方、日本薬局方外医薬品規格1997、
USP official Monographなどによれば、大腸検査・手術
における前処置用の内服下剤として、クエン酸水素マグ
ネシウム水和物が液剤(水溶液)の形で使用されてい
る。しかしながら、これらの液剤には経時とともに沈殿
を生じ安定性に欠けるものがある。また、液剤であるた
め、液洩れ防止を考慮した取扱いを講じなければならな
い。そこで、日本薬局方外医薬品の別紙規格として、ク
エン酸水素マグネシウムの散剤が認められている。因み
に、クエン酸のマグネシウム塩を製剤として使用する場
合には水に可溶性の散剤が使用されるが、かかるものと
して例えば非晶質体の無水塩(例えば、特開昭55−1
08814号、特開平5−194205号などの公報参
照)、または結晶体の五水塩(例えば、USP2260
004号、特開平6−228046号などの公報参照)
が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、従来周知
の非晶質体の無水和物や結晶体の五水塩に限らず、比較
的少量の水であっても溶解しやすく、しかも安定なクエ
ン酸水素マグネシウム水和物、およびこれを製造する方
法を見出し、また製剤での経時変化も安定していること
を調べ、本発明を完成するに至ったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、クエン酸の水
溶液ないし懸濁液に金属マグネシウムまたはマグネシウ
ム塩類を添加して反応させた後、当該反応液を10℃以
下に冷却し静置することにより晶析させて得られ、25
℃の水100mlに対する溶解度が20g以上であって、
式:C6 6 MgO7 ・xH2 O(x:3から5までの
実数)で表されるクエン酸水素マグネシウム水和物、お
よびその製法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に係るクエン酸水素マグネ
シウム水和物は、前記したように、クエン酸の水溶液な
いし懸濁液に金属マグネシウムまたはマグネシウム塩類
を添加して反応させ、当該反応液から生成物を晶析させ
て得たものである。本発明に用いられるクエン酸は、ク
エン酸、無水クエン酸、イソクエン酸のみならず、イソ
クエン酸の脱水物であるラクトンをも含んでいる。
【0007】また、本発明に用いられる金属マグネシウ
ムまたはマグネシウム塩類(以下、これらを「マグネシ
ウム原料」という)のうち、マグネシウム塩類は塩基性
の塩類であるか酸性の塩類であるかを問わないが、入手
容易な塩基性の塩類を用いるのが好都合である。かかる
塩基性の塩類としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウム、または酸化マグネシウムなどが挙げられ、そ
のうち炭酸マグネシウムとしては軽質炭酸マグネシウム
や重質炭酸マグネシウムが挙げられる。これらのなかで
は、水とのなじみがよく、クエン酸との反応性が高い点
から水酸化マグネシウムあるいは重質炭酸マグネシウム
を用いることが好ましい。また、水溶液中における反応
であることから、マグネシウム塩類の形態としては、特
に限定しないが例えば20メッシュパス以下の細かい粒
子径を有する粉末であることが、水になじみやすい点で
望ましい。上掲のマグネシウム原料は単独で、または、
2種以上を混合して用いることができる。
【0008】本発明に使用される水としては、できるだ
けマグネシウム以外の塩類を含めないようにし、かつ、
クエン酸水素マグネシウムの純粋な結晶を水から析出さ
せるために、イオン交換水や蒸留水などの精製水を用い
ることが好ましい。
【0009】本発明におけるクエン酸は、水溶液ないし
懸濁液の状態で用いられる。クエン酸を水に添加する
際、水の使用量があまりに少ない場合はクエン酸の水に
対する溶解量が小さくなるので、水の量はクエン酸10
0部(重量部、以下同様)に対して50部以上、好まし
くは75部以上とすることが望ましい。逆に、水の使用
量があまりに多い場合は、マグネシウム原料を加えた際
にクエン酸水素マグネシウムの結晶析出量が少なくなる
ため、水の使用量はクエン酸100部に対し130部以
下とするのが良く、好ましくは100部以下とすること
が望ましい。
【0010】尚、クエン酸の水溶液ないし懸濁液(以
下、懸濁水溶液(I)という) は、クエン酸の全量が水
に溶解した状態であってもよく、クエン酸の一部が懸濁
した状態であってもよく、更には溶解した状態および懸
濁した状態が混在した状態であってもよい。但し、反応
を十分に進行させ、かつ、均質なクエン酸水素マグネシ
ウム水和物を得るためには、クエン酸の全量が完全に水
に溶解している状態であることが好ましい。前記の懸濁
水溶液(I)を調整するにあたり、懸濁水溶液(I)の
液温は、水に対するクエン酸の溶解度を高めるために、
15℃以上とするのがよく、好ましくは25℃程度とす
ることが望ましい。
【0011】続いて、懸濁水溶液(I)にマグネシウム
原料を撹拌しながら添加することにより、クエン酸とマ
グネシウムとの反応が進行してクエン酸水素マグネシウ
ム水和物が生成し、クエン酸水素マグネシウム水和物を
含有した水溶液ないし懸濁液(以下、懸濁水溶液(II)
という)が得られる。
【0012】本発明におけるマグネシウム原料の使用量
は、クエン酸1モル量に対しマグネシウム量として0.
6倍モル量以上、好ましくは0.7倍モル量以上、更に
好ましくは0.75倍モル量以上であることが望まし
い。マグネシウム原料の使用量が0.6倍モル量を下回
ると、マグネシウム量が絶対的に不足してクエン酸水素
マグネシウム水和物の収量が低下したり、クエン酸が単
体で析出したりするので好ましくない。一方、クエン酸
水素マグネシウム水和物の品質を向上させ、更にはクエ
ン酸に対する収量の向上化を図るため、マグネシウム原
料の使用量は、1倍モル量未満、好ましくは0.98倍
モル量以下、更に好ましくは0.95倍モル量以下であ
ることが望ましい。マグネシウム原料の使用量が1倍モ
ル量以上であると、水に対するクエン酸水素マグネシウ
ム水和物の溶解性が極端に小さくなるので好ましくな
い。
【0013】本発明においては、クエン酸の懸濁水溶液
(I)にマグネシウム原料を添加して反応が進行する
と、クエン酸水素マグネシウム水和物の懸濁水溶液(I
I)が得られる。この反応は終始、酸性域で行われる。
更に反応が十分に進行すると、両者はほぼ完全に溶解す
る。この反応にあたって、懸濁水溶液(I)の温度が低
すぎると、クエン酸が完全に溶解せず、その結果反応が
完全に進行しない。従って、反応に際して懸濁水溶液
(I)の温度が15℃を下回っていることは好ましくな
く、好ましいのは20℃以上であり、より好ましくは2
5℃以上である。逆に、懸濁水溶液(I)の温度が高す
ぎると、反応の進行が早くなり過ぎて生成物が均質とな
らず、クエン酸水素マグネシウムの各種水和物やクエン
酸マグネシウム(クエン酸2分子とマグネシウム3原子
からなる)の各種水和物などの沈殿が生成する。これら
の沈殿は水に不溶性である。従って、反応時における懸
濁水溶液(I)の温度は60℃以下であることが好まし
く、より好ましくは50℃以下であり、更に好ましくは
45℃以下である。
【0014】上記の条件でクエン酸の懸濁水溶液(I)
にマグネシウム原料を添加した場合、反応が十分に進行
すると懸濁水溶液(II)の濁りがなくなって、無色〜微
黄色の透明な水溶液(以下、水溶液(I)という)とな
る。この水溶液(I)は、pH値が2.5(29℃)〜
3.3(21℃)であって、酸性域にある。もし、かか
る操作の間に結晶が析出したりあるいは白濁して沈殿が
生成した場合、その結晶または沈殿は単体でなく、目的
としないものを含んだ結晶や沈殿であることが多い。か
かる場合はろ過により除去し、目的とするクエン酸水素
マグネシウム水和物と混合しないようにする必要があ
る。
【0015】本発明では、クエン酸水素マグネシウムの
水溶液(I)から、水に易溶性の結晶を得ることがポイ
ントとなる。そのためには、結晶析出工程および結晶成
長工程からなる晶析工程において、水溶液(I)を10
℃以下に冷却保持することが肝要となる。この低温の水
溶液(I)に種結晶として水溶性のクエン酸水素マグネ
シウム水和物を、クエン酸仕込み量の0.5〜2.0重
量%添加すれば、目的とするクエン酸水素マグネシウム
水和物をより収率よく得ることができる。尚、添加する
種結晶としては水溶性の無水クエン酸マグネシウムでも
構わない。種結晶の添加後に静かに撹拌すると、水溶液
(I)は懸濁液(以下、懸濁液(III) という)となる。
この懸濁液(III) を4〜5℃に冷却保持し、25〜50
時間静置する。この間、撹拌などによる混合は一切行わ
ないことが肝要である。そうして、結晶が十分に成長
し、もはや結晶の析出が認められなくなった時点を晶析
工程の終点とする。
【0016】この間に析出したものは結晶型を有し、白
濁の沈殿は混在していない。かかる結晶を得るための好
ましい晶析温度は10℃以下である。晶析時の溶液温度
が10℃を超えると、次工程で添加する種結晶が溶解し
て用をなさなくなるので好ましくない。但し、溶液温度
は極力低い方がよいが、少なくとも溶液の凍結温度は上
回っている必要がある。因みに、晶析中の懸濁液(III)
を撹拌すると、水不溶性の微結晶や白濁した沈殿が析出
する。それに対し、本発明では、結晶塊を撹拌すること
なく十分に静置した後、母液から分離して結晶を取出し
粉砕し、送風して乾燥する。尚、好ましい乾燥温度は5
0℃以下であり、より好ましくは35℃以下であり、最
も好ましくは25℃以下である。乾燥温度が50℃を超
えると水和数に影響を及ぼし、水に対する結晶の溶解性
を低下させるおそれがある。
【0017】得られた結晶は白〜淡黄色を呈し、低温雰
囲気下であっても5倍量以下と比較的少量の水に溶解す
るクエン酸水素マグネシウム水和物である。このクエン
酸水素マグネシウム水和物の水和数は、反応に使用する
原料の濃度、すなわちクエン酸イオンとマグネシウムイ
オンの反応割合および乾燥温度によって若干異なるが、
クエン酸水素マグネシウム1モルに対して3〜5(実
数)である。
【0018】上記のように得た結晶は、溶液中の溶質の
濃度により、または溶質濃度が一定の場合には冷却温度
や、種結晶として添加されるクエン酸水素マグネシウム
水和物の組成あるいは当該結晶の乾燥温度などにより、
結晶型や水和数などに相違が現れ、その結果、水に対す
る溶解性も異なっている。そこで、本発明における反応
生成物の晶析にあたっては、仕込み全量に対し、0.02
〜0.04重量%の水易溶性のクエン酸水素マグネシウム
水和物を、種結晶として低温の飽和水溶液に添加し3〜
10℃で静置することにより、目的とするクエン酸水素
マグネシウム水和物の結晶を得ることができる。尚、種
結晶の添加量は結晶核を形成するに足る量であればよ
く、できるだけ少ないほうが好ましい。
【0019】かくして得られた本発明のクエン酸水素マ
グネシウム水和物は、晶析時の条件により水和数xが異
なるが、C6 6 MgO7 ・xH2 O(x:3から5ま
での実数)の型を有し、25℃において水100mlに2
0g以上が溶解して安定した状態(pH=3.5〜4.
5)にあり、マグネシウムの含量が8.0〜9.1重量
%(水和物換算)である。
【0020】
【実施例】次に、本発明のクエン酸水素マグネシウム水
和物およびその製法を、下記の実施例および比較例に基
づいて更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例に
限定されるものではない。
【0021】実施例1.クエン酸一水和物210gをイ
オン交換精製水200mlに溶解させ、20〜30℃に保
持した。このとき、クエン酸水溶液が懸濁していること
もある。このときのクエン酸水溶液のpHは0.5〜
0.6であった。このクエン酸水溶液に水酸化マグネシ
ウム45gを撹拌しながら徐々に添加した。水酸化マグ
ネシウムの添加終了後も撹拌を続け十分に反応させた。
水酸化マグネシウムを溶解させた後の反応液のpHは
2.6であった。この反応液をろ過して得たろ液に、水
に易溶性のクエン酸水素マグネシウム水和物の微細結晶
2gを種結晶として添加し均等に懸濁させた。この懸濁
液を5〜10℃の低温下で4日間静置すると、水に易溶
性のクエン酸水素マグネシウム水和物の結晶が析出し成
長した。晶析が十分に完了した5日目に結晶をろ別して
取り出し細砕した。更に、結晶を25±3℃の風で乾燥
して白〜淡黄色の結晶190gを得た。尚、晶析中は溶
液を撹拌しなかった。
【0022】得られた結晶の乾燥減量(1g,150
℃,5時間)を測定すると、24.1重量%であった。
これはクエン酸水素マグネシウム1モルに対し水和数が
3.8の水和物であることを意味している。この結晶は
水に溶け易く、水に溶かした状態でpHが4.1(1g
結晶/50ml水)および3.6(5g結晶/25ml水)
であった。また、結晶中のMg含有率は、日本ジャーレ
ル・アッシュ株式会社製AA−11およびアセチレン−
高圧空気の混合ガスフレームを用いた原子吸光法によ
り、分析線波長285.21nmで測定した。結晶中の
クエン酸水素マグネシウム水和物の含有率は、分子式:
MgHC6 5 7 ・3.8H2 Oとして、 0.05M
−EDTAによる滴定結果から算出して101.12重
量%であった。一方、上記の原子吸光法により求めた結
晶中のMg含有率は8.66重量%であり、これから算
出したクエン酸水素マグネシウム水和物の含有率は10
0.63重量%であった。
【0023】更に、得られた結晶の赤外吸収スペクトル
を、日本分光(株)社製FT/IR−7300を用い、
臭素カリウム錠剤法により測定モード(%T)で求め
た。その結果を図1に示す。また、得られた結晶のX線
回折スペクトルを、以下の条件にしたがって測定した。
その結果を図2に示す。 ・機種 : 回転対陰極型X線回折装置RAD−RVC 理学電機株式会社製 ・ターゲット : 銅 (モノクロメーター) ・電圧および電流 : 40KV, 100mA ・走査速度 : 50°/ min
【0024】実施例2.クエン酸一水和物210gをイ
オン交換精製水200mlに溶解させ、20〜30℃に保
持した。このときのクエン酸水溶液のpHは0.5〜
0.6であった。この水溶液に炭酸マグネシウム87g
(MgO換算で42重量%含有)を撹拌しながら徐々に
加えて反応させた。炭酸マグネシウムの添加終了後も撹
拌を続け十分に反応させた。炭酸マグネシウムを溶解さ
せた後の反応液のpHは3.0であった。この反応液を
ろ過して得たろ液に、水に可溶性のクエン酸水素マグネ
シウム水和物の微細結晶3gを種結晶として添加し均等
に懸濁させた。この懸濁液を5〜10℃の低温下で4日
間静置すると、水に易溶性のクエン酸水素マグネシウム
水和物の結晶が析出し成長した。晶析が十分に完了した
5日目に結晶をろ別して取り出して細砕した。更に、2
5±3℃の風で乾燥して白〜淡黄色の結晶212gを得
た。尚、晶析中は溶液を撹拌していない。この実施例2
により得た結晶も、実施例1と同じく水に溶け易く、水
に溶かした状態でpHが4.2 (1g/50ml水)およ
び3.8 (5g/25ml水)であった。この結晶は乾燥
減量(1g結晶,150℃,5時間)が28.3%重量
であったことから判断して、クエン酸水素マグネシウム
の4.7水和物(x=4.7)である。
【0025】実施例3.クエン酸一水和物210gをイ
オン交換精製水180mlに溶解させた。この水溶液に水
酸化マグネシウム50gを撹拌しながら加え常温下で反
応させた。このときの反応液はpHが0.5から2.7
(25℃)に変化した。この反応液をろ過して得たろ液
に、水に可溶性のクエン酸水素マグネシウム3gを均等
に添加し、5〜10℃の低温下に静置すると結晶が析出
した。この結晶をろ別し25±3℃の風で乾燥して白〜
淡黄色の結晶183gを得た。
【0026】この実施例3により得た結晶は、乾燥減量
(1g,150℃,5時間)が25.1重量%であった
ことから判断して、クエン酸水素マグネシウムの4水和
物(x=4.0)である。得られたクエン酸水素マグネ
シウム水和物の結晶は水に溶け易く、水に溶かした状態
でpHが4.1(1g/50ml水)および3.6(5g
/25ml水)であった。結晶中のクエン酸水素マグネシ
ウム水和物の含有率は、分子式:MgHC6 5 7
4H2 Oとして、 0.05M−EDTAによる滴定結果
から算出して100.14重量%であった。また、実施
例1と同じ原子吸光法により求めたMg含有率は8.4
7重量%であり、これから算出したクエン酸水素マグネ
シウム水和物の含有率は99.72重量%であった。更
に、結晶の赤外吸収スペクトルおよびX線回折スペクト
ルは実施例1と同機種の分析装置を用い同様に測定し
た。これらの結果は図3、 図4に示す。
【0027】比較例1.クエン酸一水和物210g(1
モル量)をイオン交換精製水200mlに溶解させた。2
5℃に保持したクエン酸水溶液に水酸化マグネシウム6
2.5g(クエン酸1モル量に対し1.05倍モル量に
相当する)を撹拌しながら徐々に添加して反応させた。
水酸化マグネシウムを添加した後の反応液は液温が31
℃でpHが3.2であった。この反応液をろ過して得た
ろ液に、水に易溶性のクエン酸マグネシウムの結晶3g
を5〜10℃の低温下で均等に添加して静置した。これ
により、白〜淡黄色の沈殿が析出した。十分に析出した
時点で、沈澱をろ別し25±3℃の風で乾燥して収量2
68gを得た。この比較例1により得た沈澱は、乾燥減
量(1g,150℃,5時間)が27重量%であり、p
Hが3.8(5g/25ml水で懸濁)および4.2(1
g/50ml水)であって、水には殆ど不溶であった。
【0028】比較例2.クエン酸一水和物210gをイ
オン交換精製水200mlに溶解させた。25℃に保持し
たクエン酸水溶液に炭酸マグネシウム96gを撹拌しな
がら徐々に加えて反応させた。このときの反応液は液温
が37℃でpHが2.8であった。この反応液をろ過し
て得たろ液を60〜70℃に加熱し撹拌した。更に、反
応を完結させるため、前記のろ液を攪拌しつつ液温を9
0℃まで上げた。反応が完結したのち、ろ液を50℃に
冷却すると結晶が析出した。析出した結晶をろ別して取
り出し、60℃で乾燥して白〜淡黄色の結晶260gを
得た。この比較例2により得た結晶は、乾燥減量(1
g,50℃,5時間)が23重量%であった。この結晶
1gを50mlの水に添加して撹拌したが殆ど溶解せず、
そのときの水溶液のpHは4.9であった。得られた結
晶のX線回折結果を図5に示す。
【0029】比較例3.クエン酸一水和物234gをイ
オン交換精製水600mlに溶解させた。この水溶液のp
Hは0.6であった。25℃に保持したクエン酸水溶液
を撹拌しながら炭酸マグネシウム110gを徐々に加え
て反応させた。このときの反応液は液温が63℃でpH
が3.5であった。この反応液をろ過して得たろ液を2
5℃で減圧濃縮することにより、反応が完結して結晶が
析出した。析出した結晶をろ別して取り出し、90℃で
乾燥して結晶270gを得た。この比較例3により得た
結晶は、乾燥減量(1g,150g,5時間)が7.5
重量%であった。この結晶1gを水50mlに添加して撹
拌したが、25℃における溶解度は水100mlに対し2
g程度と良くなかった。また、そのときのpHは4.1
であった。得られた結晶のX線回折結果を図6に示す。
【0030】溶解性および安定性試験.実施例1,2,
3および比較例1,2,3で得られた結晶の水に対する
溶解性、安定性、および粉末における経時変化を比較す
ると、表1のようになる。 ここで、表1中の記号※1,※2,※3は以下の評価内容を表している。 ※1 ・・A :水100mlに対し20g以上が溶解(25℃)。 B :水100mlに対し2〜20gが溶解(25℃)。 C :水100mlに対し2g以下で、溶解性悪い(25℃)。 ※2 ・・A : 溶解時の状態で1ケ月以上変化なし。 B : 溶解時の状態で2週間まで変化なし。 C : 溶解しないか、溶解しても直ちに不溶物が析出する。 ※3 ・・良 : 粉末の状態で安定である。
【0031】上述したように、実施例1〜3で得られた
クエン酸水素マグネシウム水和物は、比較例1〜3と比
べて明らかなように、水に対する溶解性が高く、溶解に
必要な水の量が少なくてすむ。また、粉末の状態で安定
であるのは無論のこと、水溶液の状態でも変質せず安定
である。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、クエン酸水素マグ
ネシウムは様々な結晶型をもつもの(非晶質体も含め、
各種水和物など)が存在するが、これまで、水によく溶
けるのは非晶質体無水塩および結晶体五水和物とされて
きた。これに対し、本発明によれば、金属マグネシウム
またはマグネシウム塩類とクエン酸との反応液から、好
適な晶析条件下において析出し成長した結晶が得られ
た。かくして得られた結晶は水和数3〜5(実数)のク
エン酸水素マグネシウム水和物である。これらのクエン
酸水素マグネシウム水和物は水100mlに対し20〜3
0gといった高い溶解度をもち、溶解に必要な水の量も
少なくてすむ。しかも、常温において粉末のみならず水
溶液の状態でも安定である。このように、本発明のクエ
ン酸水素マグネシウム水和物は水易溶性であることから
結晶粉末として提供できるので、医薬品原料、工業薬品
原料、マグネシウム強化剤などの製剤化、例えば錠剤と
して使用するに有用である。
【0033】また、本発明製法によれば、好適な晶析条
件の採用により、水和数3〜5(実数)のクエン酸水素
マグネシウム水和物について、これまでは成し得なかっ
た高い水溶性を付与することができた。加えて、高純度
のクエン酸水素マグネシウム水和物を収率よく簡便に製
造できる。従って、経済性に富む製法を実現できたので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた結晶の赤外吸収スペクト
ルである。
【図2】 実施例1で得られた結晶のX線回折スペクト
ルである。
【図3】 実施例3で得られた結晶の赤外吸収スペクト
ルである。
【図4】 実施例3で得られた結晶のX線回折スペクト
ルである。
【図5】 比較例2で得られた結晶のX線回折スペクト
ルである。
【図6】 比較例3で得られた結晶のX線回折スペクト
ルである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クエン酸の水溶液ないし懸濁液に金属マ
    グネシウムまたはマグネシウム塩類を添加して反応させ
    た後、当該反応液を10℃以下に冷却し静置することに
    より晶析させて得られ、25℃の水100mlに対する溶
    解度が20g以上であって、式:C6 6 MgO7 ・x
    2 O(x:3から5までの実数)で表されるクエン酸
    水素マグネシウム水和物。
  2. 【請求項2】 クエン酸の水溶液ないし懸濁液に金属マ
    グネシウムまたはマグネシウム塩類を添加して反応させ
    た後、当該反応液を10℃以下に冷却し静置することに
    より晶析させることを特徴とする、25℃の水100ml
    に対する溶解度が20g以上であって、式:C6 6
    gO7 ・xH2 O(x:3から5までの実数)で表され
    るクエン酸水素マグネシウム水和物の製法。
  3. 【請求項3】 クエン酸1モル量に対しマグネシウム量
    として0.6倍モル量以上1.0倍モル量未満の金属マ
    グネシウムまたはマグネシウム塩類をクエン酸と反応さ
    せることを特徴とする請求項2に記載のクエン酸水素マ
    グネシウム水和物の製法。
  4. 【請求項4】 クエン酸水素マグネシウム水和物を晶析
    させるにあたり、水溶性の、クエン酸水素マグネシウム
    水和物または無水クエン酸マグネシウムを種結晶として
    用いることを特徴とする請求項2または請求項3に記載
    のクエン酸水素マグネシウム水和物の製法。
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