JPH11335117A - 冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造方法 - Google Patents
冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造方法Info
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- JPH11335117A JPH11335117A JP14397398A JP14397398A JPH11335117A JP H11335117 A JPH11335117 A JP H11335117A JP 14397398 A JP14397398 A JP 14397398A JP 14397398 A JP14397398 A JP 14397398A JP H11335117 A JPH11335117 A JP H11335117A
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Abstract
剤として、優れた脱水能力を有するとともに、HFC−
32の分解によるフッ素化合物の発生を長期に渡って抑
えることができ、さらに多くのフロン冷媒に対し広範に
適用可能な冷凍サイクル用乾燥剤及びそのその製造方法
を提供する。 【解決の手段】金属カチオンとして少なくともNaとK
を有するA型ゼオライト及び高純度カオリン系粘土より
なる乾燥剤であって、少なくともジフルオロメタン(H
FC−32)を含むハイドロフルオロカーボン系代替フ
ロン(HFC)を用いたシールドチューブテスト後の前
記乾燥剤中に含まれるフッ素(F)イオン濃度が2.0
×103ppm以下となる冷凍サイクル用乾燥剤及びそ
の製造方法を用いる。
Description
乾燥剤に関するものであり、特に代替フロン冷媒又はそ
の一部としてジフルオロメタン(HFC−32)を使用
する冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造法に関する。
りも低い温度にすることを冷凍といい、これに使用する
機械を冷凍機、その動作流体を冷媒という(大屋正明
著、「熱力学入門I」−熱力学の基礎−、省エネルギー
センター、103頁による)が、そのサイクルを冷凍サ
イクルは、作動流体として用いられる冷媒の圧縮、凝
縮、膨張、蒸発を連続的繰り返し行なうことにより、目
的物から熱を吸収し周囲より低い温度に冷却することを
目的とする一連の状態変化の過程であり、現在、冷凍、
空調用として広く用いられている。
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)やモノクロ
ロジフルオロメタン(HCFC−22)、またはこれら
を含むフロン系混合冷媒が用いられてきたが、これらの
塩素を含むフロン類はオゾン層破壊問題からその削減計
画が進められている。このため、オゾン層を破壊しない
塩素を含まないHFCへの転換が検討されている。
C−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−12
5)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC
−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HF
C−143a)、トリフルオロメタン(HFC−23)
単体、あるいは少なくともこれらを一種類以上含む混合
冷媒が検討されている。また、HFC−32を含む混合
冷媒としては、R410A、R407C、R407Eな
どがある。
油は、共に親水性であることから吸水性が高く、冷凍サ
イクル内に多量の水分が存在した場合、キャピラリー管
内での凍結を引き起こす可能性がある。また、冷凍機油
としてポリオールエステル系油(POE)を用いた場
合、POEの加水分解による酸の発生により、潤滑性能
の低下や腐食による有害なスラッジの発生を引き起こす
可能性がある。
は、脱水能力に優れたゼオライト系乾燥剤を使用する検
討が進められているが、HFC−134a対応カーエア
コンに用いられている従来のHFC−134a用乾燥剤
を、HFC−32単体あるいはHFC−32を含む混合
冷媒に使用した場合、HFC−32はこのHFC−13
4a用乾燥剤で容易に分解し、この際発生したフッ化水
素(HF)によりゼオライト系乾燥剤の構造に欠損部を
生じ、これに伴う脱水能力や成形体物理的強度の低下な
ど乾燥剤の劣化が起こる可能性があった。そこで、HF
C−32分解反応を抑制する方法が検討され、例えば、
特開平6−327968号公報、特開平7−30505
4号公報には乾燥剤に用いられるゼオライト細孔をさら
に小さくする方法が提案されている。
イクル用乾燥剤の耐HFC−32分解性は、HFC−1
34a対応乾燥剤の耐HFC−134a分解性に比べそ
の性能が不十分であり、耐HFC−32分解性をHFC
−134aを用いた冷凍サイクルと同等まで改善した乾
燥剤は実用化されていないのが実状であった。
剤の耐HFC−32分解性は、CFC−12やHFC−
134aあるいはHCFC−22などこれまで広く用い
られてきた冷凍サイクル用乾燥剤の耐HFC−32分解
性に対し改善されているものの、実機冷凍サイクルとし
て使用実績のある乾燥剤とフロン冷媒の組み合わせ、た
とえばCFC−12対応乾燥剤の耐CFC−12分解性
やHFC−134a対応乾燥剤の耐HFC−134a分
解性あるいはHCFC−22対応乾燥剤の耐HCFC−
22分解性などに比べ著しく劣っている。このようにH
FC−32のゼオライト系乾燥剤に対する化学的安定性
が従来のCFC−12やHFC−134aあるいはHC
FC−22に比べ著しく劣っていることから、HFC−
32対応乾燥剤の選定においては、他のフロン冷媒対応
乾燥剤との相対比較ではなく、耐HFC−32分解性に
問題のないことを前提に行なう必要がある。しかしなが
ら、現在のところ耐HFC−32分解性を従来のHCF
C−22やHFC−134aなみに改善された乾燥剤は
見出されていなかった。
な背景、問題点に鑑みてなされたものであり、その目的
は、HFC−32を含む冷凍サイクル用冷媒の乾燥剤と
して、優れた脱水能力を有するとともに、HFC−32
の分解によるフッ素化合物の発生を長期に渡って抑える
ことができ、さらに多くのフロン冷媒に対し広範に適用
可能な冷凍サイクル用乾燥剤及びそのその製造方法を提
供することにある。
改善がゼオライトの細孔径制御に着目し開発が進められ
てきたのであるが、本発明者らは上記課題を解決するた
めに、乾燥剤を製造する際に用いられるバインダーにも
着目し、鋭意検討を重ねた。その結果、HFC−134
a対応乾燥剤及びHCFC−22対応乾燥剤として従来
から用いられているNaとKを含むA型ゼオライトはバ
インダーを含まないゼオライト単独の状態ではHFC−
32をほとんど分解せず、さらにバインダーを用いた場
合、耐HFC分解性に優れるバインダーとして高純度カ
オリン系粘土を選定することで耐HFC−32分解性を
改善することが可能であることを見出した。また、アル
カリ金属珪酸塩水溶液でこのバインダーを用いて成形さ
れた成形体を含浸処理することで、耐HFC−32分解
反応を大幅に改善した冷凍サイクル用ゼオライト系乾燥
剤が製造できることも見出し、本発明を完成するに至っ
た。
なくともNaとKを有するA型ゼオライト及び高純度カ
オリン系粘土よりなる乾燥剤において、少なくともジフ
ルオロメタン(HFC−32)を含むハイドロフルオロ
カーボン系代替フロン(HFC)を用いたシールドチュ
ーブテスト後の前記乾燥剤中に含まれるフッ素イオン濃
度が2.0×103ppm以下となることを特徴とする
冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造方法に関する。
るA型ゼオライトとは、金属カチオンとして少なくとも
NaとKを有するA型ゼオライトであり、以下の一般式 (1−x)[Na2O・xK2O]・[Al2O3]・[2
SiO2]・yH2O (式中、xは0より大きく1未満の実数であり、yは0
〜6の実数である。)で表される結晶性アルミノ珪酸塩
である。
る4、6、8員環構造で構成されている。このうちHF
C−32を吸着する可能性がある細孔は最も直径の大き
い8員環と推定され、これがHFC−32の分子径0.
40nm以下であり、また、他の細孔も含めその細孔径
が水の分子径0.28nmよりも大きければ、水の吸着
による脱水が生じ、かつHFC−32の細孔内への拡散
及び細孔内に存在する活性点でのHFC−32分解反応
が起こりにくい乾燥剤となるのである。
て一般にカチオン交換が広く用いられているが、A型ゼ
オライトの酸素8員環内部のイオン交換サイトをNaイ
オンからさらにイオン半径の大きいKイオンに交換する
ことで、この細孔径を約0.4nmから約0.3nmに
縮小しHFCの細孔内拡散、分解を阻止することが可能
となるものと推定された。
用いられるA型ゼオライトは、少なくともNaとKの原
子数の総和に対するK原子の割合が20%以上(前記し
た、少なくともNaとKを有するA型ゼオライトの一般
式中、xが0.20以上)、さらに30%以上であるこ
とが好ましい。このK原子の割合がカチオン全体の20
%以上であれば、酸素8員環内に存在する金属カチオン
がほぼKとなり、ゼオライト細孔径をHFC−32分子
径以下の0.3nmに保つことが可能となるからであ
る。
あるいはコアドライヤーなど成形体として用いられ、こ
の成形にはバインダーとして粘土が用いられる。本発明
の冷凍サイクル用乾燥剤は、バインダーとして特に高純
度カオリン系粘土が用いられ、これとA型ゼオライトよ
り構成されるものである。また、その大きさとしては、
その用途面より、平均直径1.0〜5.0mmのもの
が、さらに1.5〜2.5mmのものが好ましく用いら
れる。ここで、平均直径とは成形体の長径と短径の平均
値として求められるが、通常複数個の成形体の平均直径
を統計的に処理して求められる。
得られる冷凍サイクル用乾燥剤は耐HFC−32分解性
を従来の乾燥剤に対し改善することが可能となる。
しては、カオリン鉱物、カオリナイト、ハロイサイト、
香港カオリン、朝鮮カオリン、河東カオリン、関白カオ
リン、ジョージアカオリン、インドネシアカオリンなど
の有機物、重金属など不純物含有量の少ないものが好ま
しい。
Alとの原子比はSi/Al=0.9〜1.2であり、
かつ少なくともFe及びTiを含む金属酸化物の合計が
前記乾燥剤全量の1重量%以下であることが好ましい。
この理由は、乾燥剤中の金属類は活性点として基剤に担
持され反応性に富むものと推定され、アルカリ金属以外
の金属酸化物はできるだけないことが望ましいからであ
る。
まれる5配位及び6配位Al原子の合計が乾燥剤中の全
Al原子の合計に対し原子比で1%以下であることが好
ましく、さらに全量4配位Alであることが好ましい。
この理由は、ゼオライト自身のAl原子はほとんど全量
4配位で存在するのに対し、バインダーの結晶は500
〜700℃で分解し様々な配位数となるが、5配位、6
配位Alの反応性はその詳細な機構は明らかではないも
のの、4配位Alに比べ高く、4配位Al原子の割合の
多いバインダーを用いた乾燥剤とすることで、耐HFC
分解性を改善し乾燥剤に有害なHF等の腐食性ガスの発
生を抑制し、冷凍サイクルのトラブル発生の可能性を避
けるためである。
もジフルオロメタン(HFC−32)を含むハイドロフ
ルオロカーボン系代替フロン(HFC)を用いたシール
ドチューブテスト後の前記乾燥剤中に含まれるフッ素イ
オン濃度が2.0×103ppm以下となることを特徴
とするものである。
下に詳しく説明する。
は全量乾燥剤中に存在することから、このフッ素イオン
濃度を測定することでHFC分解性を評価することが可
能となる。ゼオライト系乾燥剤の劣化の程度を評価する
方法として、一般に成形体の物理的強度、高水蒸気分圧
下での水分吸着容量、X線回折による結晶度などが用い
られているが、これらの評価はゼオライト結晶の劣化が
進行して初めて確認される現象であり、劣化初期段階に
おける定性的あるいは定量的評価は困難である。一方、
フッ素イオン濃度は乾燥剤劣化の初期段階つまり低フッ
素イオン濃度域においても分析精度に優れており、また
劣化の進行した状態においても前記成形体の物理的強
度、水分吸着容量、結晶度などとも相関性が強く、信頼
性の高い定量化が可能であり、本明細書においては、主
にフッ素イオン濃度を測定することで評価することとし
た。
対応冷凍サイクル用乾燥剤のうち、冷凍サイクルとして
使用実績のある乾燥剤とフロン冷媒の組み合わせは、H
CFC−22用乾燥剤とHCFC−22、HFC−13
4a用乾燥剤とHFC−134aの2種類であり、本発
明者らがこれらのシールドチューブテストを行なった結
果、それぞれのフッ素イオン濃度は、HCFC−22で
2.0×103ppm、HFC−134aで0.4×1
03ppmとなり、フロン冷媒としてHFC−32を含
まない従来の冷凍サイクルとして実績のある乾燥剤はシ
ールドチューブテストにおいて全て2.0×103pp
m以下であることが確認された。
4aカーエアコン対応乾燥剤として数多くの使用実績が
あり、これまで乾燥剤に起因するトラブルは報告されて
いない。一方、HCFC−22用パッケージエアコンに
主に用いられている乾燥剤は、HCFC−22分解によ
り乾燥剤が劣化し、使用面で支障があることがあった。
この原因としては、用いられた冷凍サイクルから回収し
た乾燥剤のフッ素イオン濃度は5.0×103ppm以
上と高濃度であり、またこの乾燥剤の物理的強度や水分
吸着容量及び結晶度もそれぞれ低下しており、その原因
はHCFC−22分解による乾燥剤の劣化にあり、HC
FC−22用乾燥剤の耐HCFC−22分解性は実機冷
凍サイクルとして限界に近いレベルで使用されたためで
あると推定された。
CFC−22を用いた前記シールドチューブテスト後の
フッ素イオン濃度は2.0×103ppmであることか
ら、HFC−32対応乾燥剤においてもHFC−32あ
るいはHFC−32を含む混合冷媒を用いた同様なシー
ルドチューブテストにおいてフッ素イオン濃度が2.0
×103ppm以下となる乾燥剤を選定することが重要
である。
乾燥剤の冷凍サイクル適合性評価は実機冷凍サイクルを
用いた3000時間以上に及ぶ耐久試験が行われるが、
試験期間が長期間におよぶことやコストがかさむことな
どから、その加速試験も頻繁に用いられている。一般的
なシールドチューブテストはASHRAE(AMERI
CAN SOCIETY OF HEATING, R
EFRIGERATING AND AIR−COND
ITIONING ENGINEERS, INC.)
に準じ、金属片と冷凍機油を同時に仕込んだ状態で、1
00℃以上の高温域でエージングが行われる。従って、
本明細書におけるシールドチューブテストとしてはAS
HRAEに準じて実施されるものを意味している。
に準じシールドチューブテストを数多く実施してきた
が、金属片や冷凍機油の有無によるHFC分解性や乾燥
剤中のフッ素イオン濃度への影響は確認されていない。
また、実際の冷凍サイクルにおける乾燥剤の使用温度は
通常80℃以下となることや条件の統一化を図ることを
目的に、実施例でに示されるシールドチューブテストは
次に示す条件により実施している。
ブ)の中に乾燥剤0.8〜1.5gを仕込み、真空ライ
ンに接続する。
つつ、乾燥剤を350℃で2時間加熱する。(活性化) 3)液体窒素でシールドチューブを冷却しフロン冷媒
2.0〜3.2gを凍結回収する。
媒を充填した状態で切断密閉する。
詰め、温度65±1℃で30±1日のエージングを行な
う。
開封し、乾燥剤を取り出す。
度分析を行なう。
により乾燥剤中のフッ素イオン濃度で行なった。
は、乾燥剤の活性点における触媒反応により進行し、分
解により生じたフッ素イオンは全量乾燥剤に取り込まれ
る。このフッ素イオン濃度の増加に伴いゼオライト乾燥
剤の劣化は進行することから、このフッ素イオン濃度か
ら乾燥剤の劣化の程度を定量化することが可能となる。
フッ素イオン濃度は0.1〜0.2×103ppmであ
り、分解反応の進行とともにフッ素イオン濃度は増加す
る。フッ素イオン濃度が3.0×103ppm以下の劣
化初期段階では、成形体の物理的強度の低下やX線回折
によるゼオライト結晶度の低下及び高水蒸気分圧下での
水分吸着容量の低下などは全く確認されず、5.0×1
03ppmを超える付近からこれらの著しい低下が確認
される。このため物理的強度、結晶度、水分吸着容量を
用いた評価では、実機冷凍サイクルよりかなり高温域か
あるいは長期間のシールドチューブテストを行なわない
限り乾燥剤の劣化を確認することは困難である。
テスト結果から、乾燥剤によるHFCの分解反応速度定
数の温度依存性は、アレニウスの式で関係づけられるこ
とが確認された。この時算出された反応速度定数の温度
依存性を表す活性化エネルギーは、乾燥剤の種類により
大きく異なるため、実機冷凍サイクル運転温度(80℃
以下)と異なる高温度域でシールドチューブテスト(1
00℃以上での加速試験)を行なった場合、HFC分解
性の正しい評価が行なわれない可能性がある。このた
め、実機冷凍サイクル運転温度により近い条件でシール
ドチューブテストを行なうことが望ましいが、低温域で
のシールドチューブテストでは劣化の進行がかなり遅
く、前記物理的強度、結晶度、水分吸着容量を用いた劣
化の定量化は困難である。
の乾燥剤の水分濃度であり、この水分濃度はほぼ飽和状
態まで達していることから、乾燥剤の劣化に伴うこの水
分吸着容量の低下は、劣化初期段階ではほとんど確認さ
れず、劣化末期において初めて確認される。一方、低水
蒸気分圧下での水分吸着容量の低下は劣化初期において
既に発生していることから、たとえ物理的強度などの低
下が確認されない状態であっても、親水性の強いHFC
用冷凍機油からの水分の除去が困難となる。またこの場
合、一旦乾燥剤が吸着した水であっても劣化の進行に伴
い脱着する可能性もあることから、劣化の初期段階から
その進行の程度を把握することが重要となる。
素イオン濃度は、エージング期間に比例し増加すること
が確認された。この反応速度定数を求めることで、実機
冷凍サイクルの長期運転におけるゼオライト系乾燥剤の
劣化を予測することが可能となる。
件により近い条件でシールドチューブテスト及びその際
のフッ素イオン濃度を測定することにより、乾燥剤のH
FC適合性を評価することが可能となる。
間により決定される。分解速度に影響する因子として
は、乾燥剤中の水分濃度、乾燥剤とHFCの重量比、分
解(エージング)温度、また分解時間に影響する因子と
してはエージング時間があり、これらを前記シールドチ
ューブテスト条件に準じた統一条件で行なうことが重要
である。
剤中のフッ素イオン濃度分析は、実施例にも示されるよ
うに、「トリメチルクロロシランを用いるガスクロマト
グラフ法」が用いられる。このフッ素イオン分析法は、
微量フッ素イオンの分析精度に優れかつAlの共存によ
る妨害がほとんどなく、ゼオライト系乾燥剤中のフッ素
イオン濃度分析手法として優れている。
未分解のHFCとして存在するものとHFC分解物とし
て存在するものの二通りがある。従って、HFC分解性
評価においては、未分解のHFCを乾燥剤から除去後、
乾燥剤に残存するHFC分解により生じたフッ素イオン
濃度の分析を行なう必要がある。
し、フッ素を含むHFC分解物は乾燥剤と化学的に強く
結合している。このため乾燥剤に対しより吸着力の強い
水を吸着させる、すなわち水和処理させることでHFC
のみを脱着し、HFC分解によって生じたフッ素イオン
のみを評価することが可能となる。
処理として行われる水和処理は、物理吸着したHFCを
脱着することが目的でありこの水和条件は限定されるも
のではないが、温度25±2℃、相対湿度60〜90%
の条件下で24時間以上保持することで十分達成され
る。
素イオン濃度と乾燥剤の性能劣化との相関性は非常に強
く、フッ素イオン濃度が5.0×103ppm以上の高
濃度に達した後、成形体の物理的強度や水分吸着容量及
び結晶度の著しい低下が確認される。この相関性はほと
んど全ての乾燥剤において同様な傾向を示すこと及びこ
のフッ素イオン濃度が時間に比例して増加することなど
から、フッ素イオン濃度のより低い耐HFC分解性に優
れた冷凍サイクル用乾燥剤の開発が望まれていたのであ
る。
は、金属カチオンとして少なくともNaとKを有するA
型ゼオライトとバインダーとしての高純度カオリン系粘
土とを混練、成形して成形体とした後、得られた成形体
を必要に応じてアルカリ金属珪酸塩水溶液に含浸し、そ
の後乾燥、焼成して冷凍サイクル用乾燥剤を得るもので
ある。
度カオリン系粘土の乾燥剤全量にしめる割合としては、
得られる乾燥剤として強度の高いものを得るために、最
終的に得られる本発明の冷凍サイクル用乾燥剤全量に対
し、A型ゼオライトを乾燥基準で30〜95重量%の範
囲で、また、高純度カオリン系粘土を乾燥基準で10〜
40重量%の範囲で、両者を混練することが好ましい。
なお、その組成としては、A型ゼオライトと高純度カオ
リン系粘土以外の物質を含まないことが望ましいが、A
型ゼオライトと高純度カオリン系粘土との合計が100
重量%としない場合は他のバインダー類あるいはアルミ
ナやシリカゲルを含めることとなる。
オリン系粘土としては、SiとAlの割合が原子比で
0.98〜1.03の範囲にあり、かつNa、K、C
a、Mg、Fe及びTiを含む金属酸化物の含有量の合
計が高純度カオリン系粘土全量の2重量%以下であるバ
インダーであることが好ましく、さらにAl−MASN
MR分析などの分析手段により、5配位と6配位Al原
子の合計が原子比で高純度カオリン系粘土中の全Alの
2%以下であり、示差熱分析において吸熱ピークの頂点
の温度が600±10℃の範囲内にあることが好まし
い。
NaとKを含むA型ゼオライト系乾燥剤を、アルカリ金
属珪酸塩水溶液を用い含浸処理を行なうことで、耐HF
C−32分解性をさらに改善することが可能となる。こ
れは、ゼオライト活性点は細孔内部に存在するのに対
し、バインダー活性点はその表面に存在し、このためア
ルカリ金属の水酸化物による活性点被覆効果は、ゼオラ
イト自身ではなくバインダーに対して有効であるからで
ある。また、高純度カオリン系粘土は600℃程度の高
温にさらされるとメタカオリンとなり固体酸が発生する
が、この固体酸は反応性に富み、化学的に不安定なHF
C−32を容易に分解する。そのため、固体酸の反応性
抑制法として固体酸に存在するプロトン(H+)をアル
カリ金属類でイオン交換することが有効となるからであ
る。
粘土とを用いて成形する方法としては、公知の方法を用
いればよく、撹拌造粒、転動造粒、圧縮成形、押出し成
形などいずれの成形方法を用いた場合にも有効であり、
また、成形される形状としては、高強度、耐摩耗性とい
った物理的強度に優れる球状が好ましいが、柱状または
コアドライヤーに対しても有効である。
体はアルカリ金属珪酸塩水溶液を用いて含浸処理される
が、その処理においては成形体の内部まで完全に含浸さ
れることが重要であり、通常1時間以上の含浸時間によ
り耐HFC分解性改善は十分に達成される。この含浸処
理により成形体はイオン交換される。
水溶液としては、アルカリ金属を有し、塩基性を示す水
溶液であればよいが、少なくともNaとKのいずれかひ
とつを含んでいることが好ましく、例えば、少なくとも
珪酸ナトリウムあるいは珪酸カリウムのいずれかを含む
水溶液が挙げられる。また、この含浸処理に用いられる
アルカリ金属珪酸塩水溶液中のアルカリ金属酸化物の割
合としては、3〜20重量%の範囲であることが好まし
い。
タカオリンとなる600℃以上の焼成の後に行うことが
望ましいが、焼成前に含浸処理を行っても有効である。
これはバインダーのイオン交換容量が小さいのに対し、
アルカリ金属を含む水溶液中に反応性に富むアルカリ金
属イオンが大量に存在するためである。
オン交換されるが、この後、用いられたアルカリ金属珪
酸塩水溶液と成形体とは分離される。分離方法としては
公知の方法を用いればよく、例えば、ろ過、遠心分離な
どあらゆる方法が採用できる。
法としてはこの成形体中の水分が除去できるいかなる公
知の方法も用いることができ、その条件として100〜
200℃で10分以上実施すればよい。
としては、高純度カオリン系粘土が分解する600〜7
00℃で2時間以上行なうことが好ましい。ここで重要
な点としては、バインダーの焼結が完了し、かつゼオラ
イトに対する熱履歴が少ないことであり、この温度範囲
に限定されるものではない。さらに、焼成を600℃未
満の温度で行なった場合焼結不足による強度が低下する
ことがあり、700℃を超えるの温度で行なった場合に
はゼオライト結晶の熱劣化による吸着能力が低下するこ
とがある。
乾燥剤を容易に製造することができる。
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。尚、各評価は以下に示した方法によって実施した。
ー(カルロ・エルバ社製、1500シリーズ)を用い、
0〜1500Kg/cm2の加工圧力範囲で測定した。
−20)で測定し、その平均値を乾燥剤の平均値として
求めた。
分析装置)を用いて測定した。
酸、水、過塩素酸を加えて加熱溶解する。濃縮、放冷
後、加熱した後ろ紙にてろ過し、熱水でよく洗浄する。
そしてろ紙残留物を灰化し放冷後SiO2を秤量して求
めた。
酸、水、過塩素酸を加えて加熱溶解する。濃縮、放冷
後、加熱した後ろ紙にてろ過し、熱水でよく洗浄する。
放冷後、ろ液と洗液をCu−PAN指示薬によるEDT
A直接滴定によりAl濃度を求めた。
分析装置)を用いて測定した。
0)を用い、測定元素Alに対しAl3+を外部標準とし
て測定した。
ステム)を用い、回折像を記録して測定した。
入れ、温度25±1℃で16時間放置後の試料の重量
(W1)を測定する。この試料を電気炉を用い温度32
0±10℃で2時間加熱し、加熱終了後直ちに真空デシ
ケーターに入れ、真空ポンプを稼動し2分間吸引しデシ
ケーター内の圧力が25mmHg以下になったことを確
認後20分間放冷する。放冷後直ちに試料の重量(W
2)を測る。そして、以下の式により水分吸着容量
(%)を求めた。
0)を用い、標準物質を焼成アルミナ、試料容器20P
t−95型ブロック、示差熱電対Pt−(Pt90Rh
10)−Pt、熱中性物質を空気として、加熱速度12
℃/分にて測定した。
成A型ゼオライト(東ソー製)75重量%と高純度カオ
リン系粘土25重量%を転動造粒法を用い成形し、平均
直径2mmの球状の成形体を得た。次に、この成形体
を、アルカリ金属としてNaとKを含むアルカリ金属珪
酸塩水溶液(二酸化珪素(SiO2)10重量%を含
む)中のNa2O及びK2Oの合計の割合が5重量%とな
る水溶液を用い5時間含浸を行い、脱水、乾燥の後、6
30℃で10時間焼成後、冷凍サイクル用乾燥剤を得
た。
参照しながら、次の手順に従ってシールドチューブテス
トを実施した。
ルドチューブ管(1)に乾燥剤(2)を0.8〜1.5
g充填し、このシールドチューブ管(1)を真空ライン
配管(3)に取付ける。
(5)、バルブD(6)を開き、配管内を真空ポンプ
(11)による真空引きを圧力計(10)で確認して1
mmHg以下まで行い、同時にシールドチューブ管
(1)内の乾燥剤(2)を温度350℃で2時間加熱
し、乾燥剤(2)の吸着水の脱水すなわち活性化を行な
う。
バルブD(6)を閉じ、バルブC(7)を開きフロン冷
媒をガスホルダー(9)に充填する。この時の充填量は
シールドチューブ管(1)への充填後の内圧力がほぼ一
定となるようにフロン冷媒2.0〜3.2gとした。
後、バルブB(5)、バルブC(7)を閉じ、バルブD
(6)を開き真空ライン配管(3)内に残った残存フロ
ン冷媒を真空引きにより除去し、圧力が1mmHg以下
になったことを確認後バルブD(6)を閉じる。
窒素で冷却し、バルブA(4)、バルブB(5)を開き
ガスホルダー(9)内のフロンをシールドチューブ管
(1)に凍結回収する。
が上昇しないよう、液体窒素によるHFCの冷却を継続
しつつ、シールドチューブ管(1)上部の切断面(1
2)をガスバーナーで切断する。
製ホルダーに充填し、温度65±1℃以内のオーブンで
30日間エージングを行なう。
ーブ管(1)を液体窒素で冷却しフロンを完全に凍結さ
せた後、開封し乾燥剤(2)を回収する。
イオン分析前処理として、次の水和処理により物理吸着
したHFCの除去を実施した。
モニウム水溶液(未溶解塩化アンモニウム固体が存在)
を入れる。
触しないように、真空デシケーターに目皿を置く。
℃で16時間以上保持する。
空デシケーターの目皿の上に置く。
た真空デシケーターの脱気を10分間以上行なう。この
時、内部の水蒸気分圧が20mmHg以下であることを
確認する。
℃で24時間以上保持する。25℃の飽和塩化アンモニ
ウム水溶液は、水蒸気分圧19mmHg(25℃、相対
湿度80%)となる。
した後(物理吸着したHFCが完全に水に置き換わ
る)、フッ素イオン濃度の分析を行う。
オン分析を「トリメチルクロロシランを用いるガスクロ
マトグラフ法による微量フッ素の定量法」山谷和久、吉
田稔、日本化学会誌、4巻、563〜568頁(198
4年)に従った次に示す処方で実施した。
00gを白金ルツボに精秤する。
3.0gを白金ルツボに加え、ガラス棒で十分に混合す
る。
間熔融する。
lの入ったビーカーに、熔融後の白金ルツボを入れる。
間以上)、塩酸10mlを加え、残りの塩を完全に溶解
する。
の溶液を約90mlまで加熱濃縮する。
のメスフラスコに洗い移し、冷却後水を加えて100m
lとする。
mlを分取する。
加える。
中でTMCSと定量的に反応してTMFS(テトラメチ
ルフロロシラン)を生成する。
Sとイソペンタンのピーク比が1/3〜3倍の範囲を超
えて検量線から外れる場合にはC−7)の溶液を希釈し
使用する。このとき、遠心分離管内の塩酸濃度が4N以
上になるように塩酸を過剰に加える。
ソペンタン30ppmを2ml加えただちに栓をする。
3〜3倍以内に入るようにする。
0分間振とう後、3000rpmで2分間遠心分離す
る。
上層部から3μlをガスクロマトグラフに注入する。
比の検量線から、フッ素イオン濃度を求める。
わち、フッ素イオンをほとんど含まない(200ppm
以下)、新品の微粉砕試料(乾燥剤)1.0gと炭酸ナ
トリウム10g、ほう酸6gを白金ルツボに加え、ガラ
ス棒で十分混合した後C−3)からC−7)の操作を行
なう。この時操作C−5)での塩酸量は20mlとす
る。この溶液を4本の遠心分離管にそれぞれ5mlを分
取し、フッ素標準液(10μg/ml)を0ml(0μ
g)、1ml(10μg)、3ml(30μg)、5m
l(50μg)加え、水を加え10mlとした後、操作
C−9)からC−13)までの操作を行い、TMFSと
イソペンタン面積比の検量線作成する。
TMCS(トリメチルクロロシラン、信越化学工業製)
5ml加え、15分間振とうする。静置後、下層の塩酸
層を共栓付三角フラスコに保管する。
液):メスフラスコ(100ml)にトルエン約90m
lをとり、イソペンタン0.3mlを加え、トルエンで
100mlとする。これをトルエンにて希釈してイソペ
ンタン30ppm(トルエン溶液)を得る。
0μg/ml(和光純薬製、液体クロマトグラフ用)及
びこれを水で希釈して、100μg/ml及び10μg
/mlを得たものを用いた。
マトグラフ装置(日立製作所製、型式:163−605
2)を用いて測定した。(条件としては、ガラスカラ
ム:3mm(I.D.)、充填剤:シリコンOV−3、
キャリアーガス:He、温度:50℃→130℃、流
速:30ml/分、昇温速度:50℃/分、FID検
出)この乾燥剤のシールドチューブテスト後のフッ素イ
オン濃度は、HFC−32単独及びR410A(HFC
−32+HFC−125)においてそれぞれ表1の結果
となった。
イト単独でのHFC−32の分解性を確認するため、H
FC−134a用冷凍サイクル用乾燥剤に用いられてい
るNaとKを含む合成A型ゼオライト、チャバサイト及
びソーダライト(HS)をバインダーを含まない状態で
用い、含浸処理を行わなかったこと以外は実施例1と同
様にプレス成形にて直径3cm程度の成形体とした後粉
砕して径が3〜5mmの破片を得、この破片についてそ
のカチオン組成、細孔径を測定し、さらにシールドチュ
ーブテスト及びその評価を実施し、表2の結果を得た。
ッ素イオン濃度は初期値(100〜200ppm)と変
化なく、HFC−32の分解反応はほとんど起こってい
ないことが確認された。ゼオライト細孔内部に存在する
活性点のHFC−32分解反応性は非常に高く、HFC
−32が細孔内に拡散した場合確実に分解反応性を起こ
すことから、HFC−32は0.3nmの細孔内には拡
散しないと判断される。
に、同じ組成のアルカリ金属珪酸塩水溶液で常温で5時
間含浸処理した後、そのカチオン組成を測定し、さらに
シールドチューブテストを実施し、表3の結果を得た。
尚、参考例4及び5はともに参考例1で得た成形体に処
理を施したものである。
未実施の結果と比較するとフッ素イオン濃度にほとんど
差はなく、含浸によるゼオライト自身の耐HFC分解性
の低減効果は確認されなかった。
の冷媒分解性 カチオンとしてNaとKを原子比1:1の割合で含む合
成A型ゼオライト65重量%と表4、表5に示されるバ
インダー35重量%を混練、圧縮成形し円盤状成形体を
得た。次にこの成形体を2つに分け、一方は乾燥の後6
30℃で10時間焼成を行い、もう一方は実施例1と同
じ組成のアルカリ金属珪酸塩水溶液による含浸を5時間
実施後、乾燥と630℃で10時間焼成を行いサンプル
を得た。得られたサンプルについて、SiとAlのモル
比、重金属の組成、実施例1に従ったHFC−32シー
ルドチューブテスト及びその評価を実施し、含浸処理を
しなかったものの結果を表4に、含浸処理をしたものの
結果を表5に示した。なお、表5においては、表に示さ
れるものを基材とし、含浸処理をしたことを示す。
を用いた場合でも、バインダー種が異なることによりH
FC分解性に差が生じることが確認された。また、同じ
カオリン系粘土でも純度が低い場合、耐HFC−32分
解性が悪い結果となった。また、高純度カオリンは、含
浸処理を行なうことで耐HFC分解性を著しく改善する
ことが可能であったが、他のバインダーに対する改善効
果はほとんど確認されなかった。
4、6で得たものの5配位、6配位Alの存在を前記し
たAl−MASNMRにて測定し、その結果を表4、5
に示した。
れた高純度カオリンは、含浸処理を行うことで5配位、
6配位Alがほとんど消滅することが確認された。これ
らのAlはイオン交換能が大きいことから、5配位、6
配位Alの消滅が耐HFC−32分解性改善に寄与して
いる可能性が高いことが分かる。
造に及ぼすアルカリ金属の影響 実施例1で用いた乾燥剤と、現在市販されているHFC
−32用乾燥剤であるXH−10及びHFC−134a
用乾燥剤であるA−3RGについて、5配位、6配位A
lの存在を前記したAl−MASNMRにて測定し、A
l配位数とシールドチューブテスト後のフッ素イオン濃
度との相関性を確認し、また、表6に示されるように、
これらのカチオン組成もあわせて示した。尚、シールド
チューブテスト及びその評価は、実施例1に従い実施
し、表6の結果を得た。
位、6配位Alがほとんど存在せず、フッ素イオンの濃
度が最も低い結果となったのに対し、他の乾燥剤は5配
位、6配位Alがやや多くフッ素イオン濃度も高い値と
なった。
で得られた剤と、XH−10、XH−10c(以上、ユ
ニオン昭和製)を用い、実施例1に従い、65、10
0、175℃でのシールドチューブテスト及びその評
価、さらに前記した方法で耐圧強度及びX線ピークの測
定をそれぞれ行い、これらのサンプルの乾燥剤中のフッ
素イオン濃度と劣化の程度との相関性を確認し、その結
果を表7に示した。
比較し、他の剤は温度上昇に伴いHFC分解性が著しく
悪化し、フッ素イオン濃度の上昇とともに乾燥剤の耐圧
強度、ゼオライトの結晶度を示すX線ピーク比の著しい
低下が確認された。
剤のHFC−32分解性比較 現在、市販されているHFC対応冷凍サイクル用乾燥剤
のシールドチューブテストを実施例1に従い実施し、そ
の結果を実施例1 の結果もあわせて表8に示した。
0Aを用いたシールドチューブテストにおいて、乾燥剤
中のフッ素イオン濃度が2.0×103ppm以下とな
る乾燥剤は実施例1の剤以外にはなく、現在市販されて
いるHFC対応乾燥剤のHFC分解が進行していること
が確認された。
オライト系乾燥剤によるフロン冷媒分解性の関係を確認
するため、実施例1で得られた剤とHFC−134a用
乾燥剤であるA−3RG(東ソー製)を用い、表9に示
される種々の冷媒のシールドチューブテスト及びその評
価を実施例1と同様に実施し、表9の結果を得た。ま
た、表9に種々の冷媒の分子量、分子径、大気中寿命
(以上は文献値)についても示した。
伴い、フロンの大気寿命は短くなり、乾燥剤による耐フ
ロン分解性は悪化する。HFC−32を用いたシールド
チューブテストは、現在存在するフロン冷媒の中で特に
フッ素イオン濃度が高く、分解率が著しく悪い結果とな
るが、実施例1の剤はHFC−32に対してもフッ素イ
オン濃度が1.0×103ppmと低い値となり、フロ
ン冷媒全般に広範に適用できるものと判断される。
着したHFCを水和処理により脱着させる必要がある
が、この水和時間の妥当性確認のため実施例1で得た剤
を実施例1に示す条件で16時間水和と20日間水和
後、さらに温度350℃で2時間加熱処理を行なった後
のそれぞれのフッ素イオン濃度の分析をエージング温度
65、100、175℃にて行ない、表10の結果を得
た。
素イオン濃度は、20日間水和の値に対し平均数%程度
高い値となったが、水和時間延長に伴う急激なフッ素イ
オン濃度の低下が確認されなかったことから、16時間
の水和処理により物理吸着HFCの脱着はほぼ完了して
いると判断される。
度350℃で2時間加熱することにより、1重量%以下
の濃度まで脱着されることから、水以外の物理吸着物質
はほぼ完全に脱着される。350℃加熱前後でのフッ素
イオン濃度を比較すると、その値に大きな変化がないこ
とから、HFCの分解により発生したフッ素又はフッ素
を含む化合物は、ゼオライト結晶(乾燥剤)と化学的に
強く結合していると判断される。
32対応乾燥剤の性能比較 実施例1で得た剤と、HFC−32対応乾燥剤であるX
H−10c、XH−10について、耐圧強度、水分吸着
容量を前記した方法で実施し、その結果を表11に示し
た。
れた乾燥剤は市販されているHFC−32対応乾燥剤中
最も物理的強度に優れている。
果 カチオンとしてNaとKを原子比1:1の割合で含むA
型ゼオライト75重量%と低純度カオリン系粘土25重
量%を転動造粒法を用い成形し、平均直径2mmのビー
ズ状成形体を得た。この成形体を2つに分け、一方は温
度630℃で10時間焼成を行い、もう一方はアルカリ
金属珪酸塩水溶液中の固形分が15重量%である水溶液
を用い10時間含浸を行い、脱水、乾燥の後、温度63
0℃で10時間焼成を行い、未含浸処理、含浸処理品の
サンプルをそれぞれ得た。この2つのサンプルの細孔容
積を、前記した方法によりそれぞれ測定し、表12の結
果を得た。
の比較的大きい細孔容積は、含浸処理を行なうことで
0.090cc/gから0.010cc/gまで大幅に
減少したが、細孔径100nm未満の小さい細孔の場
合、含浸による細孔容積の変化は確認されなかった。こ
の結果から、含浸による細孔径収縮効果は、細孔径がせ
いぜい100nm程度のものまでであり、ゼオライト自
身のもつ0.3nmの細孔を収縮することは不可能であ
ると判断される。
実施するための試験設備の例である。
フロン冷媒に対し、冷凍サイクル用乾燥剤による分解反
応性が著しく高く、たとえ初期性能に優れた乾燥剤であ
っても、耐HFC−32分解性に劣る乾燥剤を使用した
場合、長期の使用において乾燥剤の劣化を引き起こし、
これに起因する冷凍サイクルのトラブルを招く可能性が
ある。本発明の乾燥剤は、従来の乾燥剤に対しHFC−
32分解性を著しく抑制することが可能であることか
ら、冷凍サイクルの長期安定運転に寄与するものであ
り、さらに、本発明の乾燥剤は多くのフロン冷媒に対し
広範に適用可能であり、産業上有用である。また、本発
明の製造方法によれば、このような優れた乾燥剤を容易
に製造できる。
Claims (7)
- 【請求項1】金属カチオンとして少なくともNaとKを
有するA型ゼオライト及び高純度カオリン系粘土よりな
る乾燥剤であって、少なくともジフルオロメタン(HF
C−32)を含むハイドロフルオロカーボン系代替フロ
ン(HFC)を用いたシールドチューブテスト後の前記
乾燥剤中に含まれるフッ素(F)イオン濃度が2.0×
103ppm以下となることを特徴とする冷凍サイクル
用乾燥剤。 - 【請求項2】乾燥剤中の全金属カチオンにしめるKの割
合が原子比で20%以上であることを特徴とする請求項
1に記載の冷凍サイクル用乾燥剤。 - 【請求項3】SiとAlとの原子比がSi/Al=0.
9〜1.2であり、かつ少なくともFe及びTiを含む
金属酸化物の合計が前記乾燥剤全量の1重量%以下であ
ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍
サイクル用乾燥剤。 - 【請求項4】乾燥剤に含まれる5配位及び6配位Al原
子の合計が乾燥剤中の全Al原子の合計に対し原子比で
1%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の冷凍サイクル用乾燥剤。 - 【請求項5】金属カチオンとして少なくともNaとKを
有するA型ゼオライトと高純度カオリン系粘土を混練、
成形して成形体とした後、必要に応じて前記成形体をア
ルカリ金属珪酸塩水溶液に含浸し、その後乾燥、焼成す
ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷
凍サイクル用乾燥剤の製造方法。 - 【請求項6】高純度カオリン系粘土中のSiとAlとの
原子比がSi/Al=0.98〜1.03であり、かつ
Na、K、Mg、Ca、Fe及びTiを含む金属酸化物
の合計が前記高純度カオリン系粘土全量の2重量%以下
であることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル
用乾燥剤の製造方法。 - 【請求項7】アルカリ金属酸化物が少なくともNaとK
のいずれかひとつを含み、かつアルカリ金属珪酸塩水溶
液中の前記アルカリ金属酸化物の割合が3〜20重量%
である前記アルカリ金属珪酸塩水溶液で含浸することを
特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル用乾燥剤の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14397398A JPH11335117A (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14397398A JPH11335117A (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11335117A true JPH11335117A (ja) | 1999-12-07 |
Family
ID=15351367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14397398A Pending JPH11335117A (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 冷凍サイクル用乾燥剤及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11335117A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6843835B2 (en) | 2001-03-27 | 2005-01-18 | The Procter & Gamble Company | Air cleaning apparatus and method for cleaning air |
JP2005515876A (ja) * | 2002-01-22 | 2005-06-02 | ゼオケム・エルエルシー | モレキュラーシーブ吸着剤ブレンドの製造方法 |
WO2013146549A1 (ja) | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 出光興産株式会社 | 冷媒組成物およびフッ化炭化水素の分解抑制方法 |
-
1998
- 1998-05-26 JP JP14397398A patent/JPH11335117A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6843835B2 (en) | 2001-03-27 | 2005-01-18 | The Procter & Gamble Company | Air cleaning apparatus and method for cleaning air |
US7147692B2 (en) | 2001-03-27 | 2006-12-12 | The Procter & Gamble Company | Air cleaning apparatus and method for cleaning air |
JP2005515876A (ja) * | 2002-01-22 | 2005-06-02 | ゼオケム・エルエルシー | モレキュラーシーブ吸着剤ブレンドの製造方法 |
WO2013146549A1 (ja) | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 出光興産株式会社 | 冷媒組成物およびフッ化炭化水素の分解抑制方法 |
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