JPH11334078A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法

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JPH11334078A
JPH11334078A JP14476898A JP14476898A JPH11334078A JP H11334078 A JPH11334078 A JP H11334078A JP 14476898 A JP14476898 A JP 14476898A JP 14476898 A JP14476898 A JP 14476898A JP H11334078 A JPH11334078 A JP H11334078A
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ink
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ink jet
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JP14476898A
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Takeshi Ikegame
健 池亀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録ヘッドにおけるインク流
路および液室に対する親水化処理を、より短時間で、し
かも熱変形等の不都合がない状態で、行うことのできる
インクジェット記録ヘッドの製造方法の提供を課題とす
る。 【解決手段】 インクジェット記録ヘッドは、インクを
吐出するためのインク吐出口9を有するオリフィスプレ
ート4と一体に形成された天板2と、この天板2と接合
し、その接合部位にインク吐出口9に連通するインク流
路8と、このインク流路8に供給するインクを収容する
液室7とを形成するヒータボード1を含む。誘電体バリ
ア放電エキシマランプからの紫外線を照射することで、
インク流路8および液室7の内壁面に対し親水性を付与
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドおよびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録ヘッドの
オリフィス(インク吐出口)から記録液(以下、インク
ともいう)を吐出することで記録を行うインクジェット
記録装置は、低騒音、高速記録などの点で優れた記録装
置として知られている。
【0003】特開平3−101952号公報等の文献に
は、一般的なインクジェット記録ヘッドの内部構造が開
示されている。
【0004】図1はかかる一般的なインクジェット記録
ヘッドの概略断面図であり、図2は図1に示したインク
ジェット記録ヘッドのインク流路等の要部を拡大して示
す概略斜視図である。
【0005】図1および図2に示すように、インクジェ
ット記録ヘッドは、インク吐出圧発生素子(不図示)を
設けた基板(以下、ヒータボードという)1と、このヒ
ータボード1と接合された状態でヒータボード1との間
でインクを収容する液室7およびインク流路8を構成す
る凹凸部を有する天板2とから概略構成されている。天
板2とオリフィスプレート4とは同一の金型内で一体に
同時成形するなどして一体化されており、そのオリフィ
スプレート4は、インク流路8に連通し、かつ、インク
を吐出するためのインク吐出口9を有している。上記ヒ
ータボード1はSi基板と、この基板上に成膜技術によ
り形成されたインク吐出圧発生素子としてのヒータ部
(不図示)およびこれに電気信号を供給するためのAl
等からなる配線部とから概略構成されている。
【0006】このようなヒータボード1は支持基板(以
下、ベースプレートという)3上に接着剤で固定され、
上記天板2は、ヒータボード1のヒータ部(不図示)お
よびAl配線部と、天板2のインク流路8とが位置決め
された上で、ヒータボード1上に接着剤で固定されてい
る。オリフィスプレート4は、ベースプレート3の前端
面に前垂れのように配置されている。また、上記天板2
の上部にはインク供給部材5が配設されている。インク
流路8にインクを供給する液室7には、天板2の内部に
形成されたインク供給口6およびインク供給部材5内の
流路を介してインクタンクからインクが適宜供給される
ようになっている。
【0007】このような構成のインクジェット記録ヘッ
ドにおいては、インク流路8や液室7の内壁面の物理的
性質(物理特性)はオリフィスプレート4からインクを
常時安定して吐出させる上で極めて重要である。すなわ
ち、液室7およびインク流路8の内壁面が親水性でない
場合、あるいは、その内壁面にカーボン等のゴミが付着
している場合には、インク充填時やインク吐出時におい
てインク流路8等への気泡の侵入や巻き込みが起こり、
インク吐出量が変わることがある。この場合には、イン
ク滴が飛翔しない不吐出の場合と同様に印字品位が低下
して所期の目的の印字ができないという問題が生じる。
【0008】以上説明したように、従来のインクジェッ
ト記録ヘッドにおいては、液室7およびインク流路8の
内壁面が親水性でない場合、安定なインク吐出を行えな
くなる。しかも、この傾向はノズル密度を上げて高精細
な記録を行う場合や高周波数で駆動する高速記録を行う
場合に非常に顕著に現れるため、インクジェット記録ヘ
ッドの性能を向上させる上で大きな問題となっている。
【0009】そこで、インクジェット記録ヘッドの製造
時に液室7およびインク流路8に対して親水化処理を施
すことにより、インク流路8等への気泡の侵入や巻き込
みの発生を抑制し、インクの供給を円滑にするための提
案が従来より知られている。
【0010】例えば、酸処理などによる親水化処理を施
す方法としては特開昭61−141565号公報等があ
り、プラズマ放電による親水化処理を施す方法としては
特開平8−39814号等がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
酸処理等による親水化処理の場合では、実際の処理工程
の後に水洗工程、乾燥工程等を行う必要もある他、廃液
処理等の環境対策を行う必要もある。すなわち、処理時
間および工程時間の短縮、環境対策等の処置が求められ
る。
【0012】一方、上述の低圧水銀ランプを用いたプラ
ズマ放電による親水化処理の場合には、上述の酸処理等
による親水化処理に対して求められる環境対策に関して
は問題はないものの、低圧水銀ランプの性質上、使用す
るまでの時間および親水化処理に要する時間が長いこ
と、さらに長時間の照射による天板の熱変形も懸念され
るため、製造工程においては照射時間の短縮化を図る必
要がある。
【0013】本発明は、インクジェット記録ヘッドにお
けるインク流路および液室に対する親水化処理を、より
短時間で、しかも熱変形等の不都合がない状態で、行う
ことのできるインクジェット記録ヘッドの製造方法の提
供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、インクを吐出するためのインク吐出口
と、該インク吐出口に連通するインク流路と、該インク
流路に供給するインクを収容する液室とを備えたインク
ジェット記録ヘッドの製造方法において、前記インク流
路および前記液室に対し誘電体バリア放電エキシマラン
プを用いて親水性を付与する工程を含むことを特徴とす
る。
【0015】かかる構成によれば、前記インク流路およ
び液室の内壁面にエキシマランプからの照射光により励
起酸素原子が生成することから、その内壁面が親水化さ
れる。
【0016】ここで、前記親水性を付与する工程は、発
光中心波長が172nmの誘電体バリア放電エキシマラ
ンプを用いてもよく、前記インク流路および前記液室の
部位に照射量制御マスクを用いてもよい。また、前記イ
ンク流路および前記液室の部位に発光中心波長が172
nm付近で励起する親水化補助剤を付与してもよい。
【0017】また、本発明は、インクを吐出するための
インク吐出口と、該インク吐出口に連通するインク流路
と、該インク流路に供給するインクを収容する液室とを
備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、前記インク
流路および前記液室の内面は誘電体バリア放電エキシマ
ランプを用いた親水化処理が施されたものであることを
特徴とする。
【0018】ここで、前記インク流路に備えられインク
を吐出するために利用されるエネルギを発生する吐出エ
ネルギ発生体をさらに含み、該吐出エネルギ発生体は、
インクを吐出するために利用される熱エネルギを発生す
る熱エネルギ発生素子を含んでもよく、該熱エネルギ発
生素子は、インクに膜沸騰を生じさせるに十分な熱エネ
ルギを発生する電気熱変換素子であってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明のイ
ンクジェット記録ヘッドの一実施形態を説明する。
【0020】(実施形態1)図3は、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの製造方法の一実施形態における親水
化処理工程を受ける天板を示す概略断面図である。
【0021】本実施形態におけるヘッドの基本的構造
は、図1および図2に示した一般的なインクジェット記
録ヘッドの構造とは、親水化処理に誘電体バリア放電エ
キシマランプを用いた点以外は略同一である。本実施形
態において用いられる誘電体バリア放電エキシマランプ
の発光中心波長としては172nmあるいは185nm
が好ましいが、これに限定されない。
【0022】当該エキシマランプによる照射の対象は少
なくとも図1および図2に示した天板2の液室7および
インク流路8の内壁面である。ただし、上記液室7およ
びインク流路8はヒータボード1と天板2との接合部位
に形成されるため、上記エキシマランプによる親水化処
理はヒータボード1と天板2とを接合させる前に、それ
ぞれの部材に対して個別に行う必要がある。接合後に上
記エキシマランプによる親水化処理を行おうとしても、
流路が狭く、流路および液室の内壁面全体に均等に親水
性を付与することは困難であるからである。
【0023】また、上記エキシマランプによる親水化処
理に適した上記天板およびヒータボードの形成材料は特
に限定されない。天板としては、耐インク性に優れたポ
リサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、
ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリプロピレンなどの樹脂を好適に用いることがで
きる。また、ヒータボードは例えばSi基板を主体とし
た部材であり、その最上層はその下部に形成されたヒー
タ部および配線部を保護するTa2 N等で形成されてい
るが、このような材料層も上記エキシマランプによる親
水化処理を受けることができる。
【0024】次に、上記親水化処理におけるエキシマラ
ンプによる照射条件の一例を説明する。
【0025】まず、エキシマランプの照射面から照射対
象物までの距離(以下、照射距離という)は好ましくは
0〜20mmの範囲とされ、より好ましくは0.5〜5
mmの範囲とされる。また、エキシマランプの照度は上
記照射距離が1mmの場合であれば好ましくは5〜15
mW/cm2 の範囲とされ、より好ましくは9〜12m
W/cm2 の範囲とされる。さらに、上記エキシマラン
プの照射時間は、上記照射距離が1mmで、上記照度が
10mW/cm2 である場合、好ましくは5〜3600
秒の範囲とされ、より好ましくは20〜60秒の範囲と
される。
【0026】(実施形態2)図4は、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの製造方法の他の実施形態における親
水化処理工程を受ける天板および親水化補助剤の使用を
示す概略断面図である。
【0027】本実施形態の特徴は、親水化処理に親水化
を促進する補助剤を用いる点にある。すなわち、本実施
形態では、天板およびヒータボードのうち被照射部位に
は必要に応じて上記エキシマランプの発光中心波長付近
で励起する親水化補助剤を付与しておくことも可能であ
る。この親水化補助剤の付与により照射時間の短縮を図
れることから、結果的に上記天板等の部材の熱変形を未
然に防止することが可能となる。上記親水化補助剤とし
ては、例えば水や、172nm付近で励起するホウ素化
合物、アルミニウム化合物の水溶液などが好適に用いら
れる。また、被照射面と親水化補助剤との密着性を向上
させるために、アルコール等の溶媒を親水化補助剤に添
加してもよい。なお、この親水化補助剤の塗布方法とし
ては含浸、転写、浸漬などの方法でよく、エキシマラン
プの照射面から離れた天板の部分に親水化補助剤を使用
するのであれば、天板の全面に使用しなくてもよい。
【0028】(実施形態3)図5は、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドの製造方法のさらに他の実施形態にお
ける親水化処理工程における天板およびマスクを示す概
略断面図である。
【0029】本実施形態の特徴は、上記エキシマランプ
による照射に際しマスクを用いる点にある。すなわち、
本実施形態では、上記エキシマランプの照射に際し、被
照射部位の近傍で親水化処理を要しない部位(以下、非
照射部位という)に対応させて上記エキシマ照射光が透
過しない材料で形成されたマスクを設けるか、あるいは
被照射部位に対応させて上記エキシマ照射光の照射量を
制御するマスクを設けておくことができる。このマスク
は被照射部位に接触させて用いてもよく、また被対象物
としての天板等の全領域に対して使用してなくもよい。
なお、上記マスクの材料としては、上記エキシマランプ
からの紫外線を全く透過しない材料に限らず、紫外線を
透過しても被対象物としての天板等の表面における照射
量を制御できる材料であれば、いずれも使用でき、例え
ばSiO2 、微細パターニングしたクロム膜などを好適
に用いることができる。
【0030】上述のような工程を踏んで製造されたイン
クジェット記録ヘッドは、例えば図6に示すようにイン
クタンク等と一体化されてヘッドカートリッジを構成す
ることができる。
【0031】図6において符号60は上述の記録ヘッド
(記録ヘッド本体)に隣接して配設されるサブインクタ
ンクである。このサブインクタンク60および上記記録
ヘッド本体は蓋体30によって支持されており、カート
リッジ本体100内に内蔵されたインクタンクは上記サ
ブインクタンク60に適宜インクを供給する構成となっ
ている。なお、110はカートリッジ本体100の蓋体
である。
【0032】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0033】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0034】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0035】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0036】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0037】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0038】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0039】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0040】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0041】
【実施例】以下、本発明のインクジェット記録ヘッドの
製造方法の実施例を説明する。
【0042】(実施例1〜8)図3を参照して説明す
る。
【0043】まず、天板2のオリフィスプレート4の外
表面4aに対して撥水剤としてサイトップ(旭硝子
(株)製)を用いて撥水処理を行った。次に、天板2の
うち少なくとも液室7およびインク流路8の内壁面に対
して、図3の下側に配した発光中心波長172nmのエ
キシマランプ(HOYA−SCHOTT株式会社製)を
用いて親水化処理を施した。このエキシマランプの照射
時における照射距離を1mmとしたところ、被対象物と
しての天板の液室およびインク流路の内壁面の照度は1
0mW/cm2 であった。なお、このエキシマランプに
よる照射時には、予めオリフィスプレート4の外表面4
aにポリエチレンテレフタレート(PET)からなるテ
ープを貼っておき、その外表面の撥水性等の低下を防止
した。
【0044】上記照射時間をそれぞれ5秒間、10秒
間、20秒間、30秒間、60秒間、300秒間、60
0秒間および3600秒間とした(実施例1、2、3、
4、5、6、7および8)。なお、各実施例1〜8の天
板については、10サンプルずつ作製した。
【0045】(比較例1)上記実施例1〜8において用
いられたエキシマランプに代えて従来の低圧水銀ランプ
を用いて600秒間照射した以外は、上記実施例と同様
にした。なお、低圧水銀ランプは上記エキシマランプと
照度密度設定を合わせるため、照射距離をエキシマラン
プの場合の照度と等しくなる20mmとした。なお、比
較例1の天板についても、10サンプル作製した。
【0046】(接触角の評価)上記実施例1〜8および
比較例1の各10サンプルの天板について接触角を測定
し比較した。その結果、実施例1〜8および比較例1の
接触角は等しく、ほぼ同等の濡れ性が得られた。また、
親水化処理時間では実施例1〜8は比較例1よりも1/
30も短縮することができた。
【0047】(印字評価)上記実施例1〜8および比較
例1の各10サンプルの天板を用いてそれぞれ記録ヘッ
ドを作製し、それぞれについて印字評価を行った。な
お、同一条件で作製した記録ヘッドは10個用意した。
【0048】印字状態の良悪の判断は、ドットの着弾点
のずれ量の測定および目視による検査の双方で行った。
比較例1の天板を用いて作製した記録ヘッドには、10
サンプル中1サンプルの記録ヘッドに不吐出状態が観察
されたが、実施例1〜8の各10サンプルの天板を用い
て作製した記録ヘッドではいずれにおいても不吐出等の
不都合は観察されず、良好な印字状態であることを確認
した。
【0049】(天板表面の観察)上記印字評価の終了後
に、各記録ヘッドを分解して取り出した天板について表
面SEM観察を行った。その結果、上記実施例1〜8お
よび比較例1の各10サンプルの天板にも表面粗さの点
でほぼ同等であった。
【0050】しかし、上記比較例1の天板のうち不吐出
状態となった記録ヘッドに用いられていた天板について
はインク流路の後端の微細部に熱変形が生じていた。こ
れ以外の天板については全く熱変形がないことを確認し
た。
【0051】また、上述したように、エキシマランプを
1時間照射した実施例8の天板についても熱変形が生じ
ていなかったことから、十分に親水化処理に用いること
ができることを確認した。
【0052】なお、上記のように発光中心波長が172
nmのエキシマランプを用いたが、このほかに発光中心
波長185nm等のエキシマランプも用いることができ
る。ただし、前者のエキシマランプの照射の場合には、
後者のエキシマランプの照射よりも多くの励起酸素原子
を生成することができるので、親水化処理の能力が高い
ものと考えられる。
【0053】(実施例9)図4を参照して説明する。
【0054】本実施例9では、発光中心波長172nm
のエキシマランプを用いた親水化処理において、液室7
およびインク流路8の内壁面に親水化補助剤として水を
滴下した以外は、実施例1〜8と同様にして天板に対し
て親水化処理を施した。なお、エキシマランプの照射時
における照射距離を20mmとし、照射時間を30秒間
とした。この実施例9の天板についても、10サンプル
作製した。
【0055】(実施例10)先の実施例1〜8における
エキシマランプの照射距離を20mmとし、照射時間を
30秒間とした以外は、実施例1と同様にして天板に対
して親水化処理を施した。この実施例10の天板につい
ても、10サンプル作製した。
【0056】(接触角の評価)上記実施例1〜8および
実施例10の各10サンプルについて接触角を測定し比
較した。その結果、実施例1〜8の天板に比べて実施例
10の天板では、接触角の減少が見られ、表面濡れ性が
若干低下していることを確認した。この結果から、天板
とエキシマランプとの間の照射距離が長くなると、濡れ
性が低下することがわかった。
【0057】また、上記実施例1〜8および実施例9の
各10サンプルについて接触角を測定し比較した。その
結果、いずれのサンプルにおいても接触角は等しく、ほ
ぼ同様の表面濡れ性が得られた。この結果から、親水化
補助剤を用いることによって、照射距離が20mmで
も、親水化補助剤を用いず照射距離が1mmの場合と同
様の効果が得られることがわかった。
【0058】(天板表面の観察)上記実施例1〜8およ
び実施例10の各10サンプルの天板について表面SE
M観察を行った。その結果、いずれの場合も表面粗さは
ほぼ同等であり、微細部の熱変形もないことを確認し
た。
【0059】(実施例11)図5を参照して説明する。
【0060】本実施例11では、発光中心波長172n
mのエキシマランプを用いた親水化処理において、エキ
シマランプの照射量を制御するためのマスクをエキシマ
ランプから15mm離して設置し、エキシマランプの照
射時における照射距離を20mmとし、照射時間を12
0秒間とした以外は、先の実施例1〜8と同様に天板に
対して親水化処理を施した。なお、この実施例11の天
板についても、10サンプル作製した。
【0061】なお、上記マスクはインク流路等、エキシ
マランプの光源に近い部分に対する照射量をより少なく
するために用いている。
【0062】(接触角の評価)上記実施例1〜8および
実施例11の各10サンプルの天板について接触角を測
定し比較した。その結果、実施例1〜8および実施例1
1の接触角は等しく、ほぼ同等の濡れ性が得られた。
【0063】(天板表面の観察)上記実施例1〜8およ
び実施例11の各10サンプルの天板について表面SE
M観察を行った。その結果、いずれの場合も表面粗さは
ほぼ同等であり、微細部の熱変形もないことを確認し
た。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
インク流路および前記液室に対し誘電体バリア放電エキ
シマランプを用いて親水性を付与するようにしたので、
より短時間で、しかも熱変形等の不都合がない状態で、
インクジェット記録ヘッドにおけるインク流路および液
室に対する親水化処理を行うことができる。
【0065】かかる親水化処理を施して製造されたイン
クジェット記録ヘッドは、親水化処理によるインク流路
および液室等の熱変形がなく、親水化処理がインク流路
および液室内に均等に施されるため、流路抵抗が小さく
リフィルに要する時間も短くなり、インク吐出特性に優
れ、高精細記録および高速記録に適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な記録ヘッドの内部構造を示す概略断面
図である。
【図2】図1に示した記録ヘッドのインク流路等の要部
を拡大して示す概略斜視図である。
【図3】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法
の一実施形態における親水化処理工程を受ける天板を示
す概略断面図である。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法
の他の実施形態における親水化処理工程を受ける天板お
よび親水化補助剤の使用を示す概略断面図である。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法
のさらに他の実施形態における親水化処理工程における
天板およびマスクを示す概略断面図である。
【図6】インクジェット記録ヘッドとインクタンク等と
を一体化して構成したヘッドカートリッジを示す概略斜
視図である。
【符号の説明】
1 ヒータボード 2 天板 3 支持基板 4 オリフィスプレート 5 インク供給部材 6 インク供給口 7 液室 8 インク流路 9 インク吐出口 10 親水化補助剤 11 照射量制御マスク 30 蓋体 60 サブインクタンク 100 カートリッジ本体 110 蓋体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するためのインク吐出口
    と、該インク吐出口に連通するインク流路と、該インク
    流路に供給するインクを収容する液室とを備えたインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法において、 前記インク流路および前記液室に対し誘電体バリア放電
    エキシマランプを用いて親水性を付与する工程を含むこ
    とを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記親水性を付与する工程は、発光中心
    波長が172nmの誘電体バリア放電エキシマランプを
    用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記親水性を付与する工程は、前記イン
    ク流路および前記液室の部位に照射量制御マスクを用い
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジ
    ェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記親水性を付与する工程において、前
    記インク流路および前記液室の部位に発光中心波長が1
    72nm付近で励起する親水化補助剤を付与することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 インクを吐出するためのインク吐出口
    と、該インク吐出口に連通するインク流路と、該インク
    流路に供給するインクを収容する液室とを備えたインク
    ジェット記録ヘッドにおいて、 前記インク流路および前記液室の内面は誘電体バリア放
    電エキシマランプを用いた親水化処理が施されたもので
    あることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記インク流路に備えられインクを吐出
    するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ
    発生体をさらに含み、該吐出エネルギ発生体は、インク
    を吐出するために利用される熱エネルギを発生する熱エ
    ネルギ発生素子を含むことを特徴とする請求項5記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記熱エネルギ発生素子は、インクに膜
    沸騰を生じさせるに十分な熱エネルギを発生する電気熱
    変換素子であることを特徴とする請求項6記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003145548A (ja) * 2001-11-16 2003-05-20 Towa Corp 樹脂成形用金型のクリーニング方法及び装置
US6866366B2 (en) 2002-04-23 2005-03-15 Hitachi, Ltd. Inkjet printer and printer head

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JP2003145548A (ja) * 2001-11-16 2003-05-20 Towa Corp 樹脂成形用金型のクリーニング方法及び装置
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