JPH11333511A - 板状金属材料の通電加熱方法および通電加熱装置 - Google Patents

板状金属材料の通電加熱方法および通電加熱装置

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JPH11333511A
JPH11333511A JP15999698A JP15999698A JPH11333511A JP H11333511 A JPH11333511 A JP H11333511A JP 15999698 A JP15999698 A JP 15999698A JP 15999698 A JP15999698 A JP 15999698A JP H11333511 A JPH11333511 A JP H11333511A
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Yoshiaki Hirota
芳明 広田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 板状金属材料の幅方向に流れる電流路を制御
し、長さ、幅、厚みによらず効率よく連続的に所要の温
度パターンで加熱する。 【解決手段】 移動する板状金属材料1の幅方向両端部
に、板状金属材料1の進行方向における接触長さを変更
自在の電極2、3を設置する。電極2、3から板状金属
材料1の幅方向に電流を通じて通電加熱する際、板状金
属材料1の移動速度、厚み、幅、材質、加熱温度に応じ
て前記接触長さを変更するとともに、通電電流、印加電
圧を調整して所定の温度に加熱する。板状金属材料1が
その中を通過できるリング状磁性コア14、20に交流
電流を流すコイル15、16、21、22を1巻き以上
巻いたものを電極2、3の近傍に設け、電流路を制御し
ながら通電すると、より均一な加熱が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば鉄やアルミ
ニウム、銅、またはそれらの合金のスラブや厚板、薄板
などの板状金属材料を所要温度に連続的に効率よく通電
加熱できる通電加熱方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属材料を加熱する場合、加熱・
保温はガス加熱による輻射や電気ヒーターによる間接加
熱がほとんどであった。しかし、これらの加熱方法は間
接的に金属材料を表面から加熱するため、表面のみ温度
が上がって内部伝熱律速となり、急速な加熱ができない
という問題があり、板厚や板幅などが変わるときには、
生産性に大きく制約を与えていた。
【0003】この問題を解決するため、通電加熱を採用
することが提唱されている。例えば、特開昭61−82
954号公報には、鋼板に通電ロールを介して直接通電
し、鋼板自体を発熱体として高温化することが、また、
特開平1−142032号公報や特開平1−18778
9号公報には、環状トランスを貫通する金属帯板通路の
前後に通電ロールを設けて金属帯板を加熱する方法が記
載されている。このように金属帯板に直接電流を流し、
ジュール熱で加熱する場合は、ガスや電気の間接加熱と
比べて単位時間当たりの加熱能力が高く、板厚や板幅の
変更に伴う生産性低下という問題をなくすことができる
とともに、設備がコンパクトにできる点で優れている。
【0004】上記のように進行方向に電極ロールを設
け、比較的板厚の薄い金属材料が続けて供給される場合
には、連続的に通電加熱できるため生産性が良いが、ス
ラブや厚板などのように長さが決められた金属材料の場
合、先端と後端部分はどうしても通電ロールからはず
れ、加熱できない部分が生じ、歩留り落ちが生じてしま
うという問題がある。また、例えば厚板材などでは幅が
大きく変化するとともに、幅自体が広いため通電ロール
の胴長も長くなってしまい、ロールがたわみやすくなる
ことに加え通電電流密度が大きくなるため、被加熱材と
通電ロールの間でスパークが発生しやすいという問題も
ある。
【0005】このような有限長材の先端部と後端部の加
熱不足やスパーク発生の問題に対し、例えば特開昭61
−268620号公報などにみられるように電極を被加
熱材の先端と後端に密着させ、材料全体をバッチ的に加
熱する方法や、特開昭63−264030号公報のよう
に被加熱材の先端と後端にダミー材をつけて加熱する方
法などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
のように電極を被加熱材の先端と後端に密着させ材料全
体を材料毎に加熱する方法では、例えば厚鋼板などの場
合のように材料の長さが数m〜20数mまで大きく変わ
る材料などでは、電極も材料の長さに合わせて大きく変
化させなければならず、設備・スペース上の問題があっ
た。また、全長にわたって加熱を行うと設備容量を大き
くする必要があるとともに、加熱時間が長大になること
から、熱放散の影響が大きくなり加熱効率が低下してし
まうという問題が生じる。
【0007】また、ダミー材をつけて加熱する方法で
は、ダミー材の着脱工程、時間の増加、ダミー材そのも
のの材料代等が余分に必要となり、無駄が多い。
【0008】そこで、本発明は、上記の課題を有利に解
決するために、被加熱材の幅方向に流れる電流路が制御
でき、長さ、幅、厚みによらず板状の被加熱金属材料を
効率よく連続的に所要の温度パターンで加熱できる板状
金属材料の通電加熱方法および装置を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記の通
りである。
【0010】(1) 移動する板状金属材料の幅方向両
端部に電極を設置し、該電極から電流を通じて通電加熱
する方法において、板状金属材料の移動速度、厚み、
幅、材質、加熱温度に応じて前記電極の板状金属材料の
進行方向における接触長さを変更するとともに、通電電
流、印加電圧を調整し、板状金属材料を所定の温度に加
熱することを特徴とする板状金属材料の通電加熱方法。
【0011】(2) 移動する板状金属材料の幅方向両
端部に、板状金属材料の進行方向における接触長さが変
更自在な電極を設置したことを特徴とする板状金属材料
の通電加熱装置。
【0012】(3) 板状金属材料がその中を通過でき
るリング状磁性コアに交流電流を流すコイルを1巻き以
上巻くとともに、該リング状磁性コアの片面側の近傍
で、かつ前記板状金属材料の幅方向両端部に、板状金属
材料の進行方向における接触長さが変更自在な電極を設
け、該電極より交流電流を通じてジュール熱により前記
板状金属材料を加熱することを特徴とする板状金属材料
の通電加熱装置。
【0013】(4) 板状金属材料がその中を通過でき
る二つのリング状磁性コアのうち少なくとも一つを板状
金属材料の進行方向に移動可能とし、各リング状磁性コ
アに交流電流を流すコイルを1巻き以上巻くとともに、
二つのリング状磁性コアの間の近傍で、かつ前記板状金
属材料の幅方向両端部に、板状金属材料の進行方向にお
ける接触長さが変更自在な電極を設け、該電極より交流
電流を通じてジュール熱により前記板状金属材料を加熱
することを特徴とする板状金属材料の通電加熱装置。
【0014】(5) 前記(2)〜(4)のいずれかの
通電加熱装置において、前記電極が板状金属材料の進行
方向に複数に分割されているとともに、該電極が板状金
属材料の移動とともに移動循環しながら接触して通電す
ることを特徴とする板状金属材料の通電加熱装置。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。
【0016】図1は、本発明による板状金属材料の加熱
を説明する図である。移動する板状金属材料1の幅方向
両端部に電極2、3を設置する。電極2、3は電源4と
接続されて電流を移動する板状金属材料1の板幅方向に
流し、ジュール熱により加熱する。板状金属材料1があ
る長さを持った材料の場合、通常の通電ロールを進行方
向に1組以上設けて通電するのでは、板状金属材料1の
先端と尾端に通電ロールから外れる部分が生じ、加熱さ
れないことになるが、本発明では電極2、3を幅方向に
設置することにより、板状金属材料の先端から尾端ま
で、未加熱の領域が生じない加熱が可能となる。
【0017】本発明では、さらに板状金属材料1に通電
する電流量を増やさなければならない場合、例えば板状
金属材料1の厚みが厚くなったり、幅が広くなったり、
あるいは加熱温度を上げなければならなくなったりし
て、電極2、3に流す電流が増える場合を考慮し、電極
の接触長さを変更自在とした。すなわち、板状金属材料
1の進行方向における電極の接触長さが一定のまま電流
量を増すと電極の電流密度が増し、電極2、3と板状金
属材料1との間でスパークが発生したり、溶着しやすく
なったりすることから、電極2、3の電流密度を下げる
ために、本発明では、図1に示すように板状金属材料1
の進行方向において電極2′、3′を増加させることに
より、電流密度を調整可能とした。電極の接触長さを変
更することにより、所定の電流密度を保つようにすれ
ば、スパークや溶着の問題も起こさずに、板状金属材料
1を所定の温度に加熱することができる。さらに、電極
の接触長さを変更することにより、電流量を増やさなけ
ればならないときでも板状金属材料1の搬送速度を落と
すことなく加熱が可能となる。材料サイズによらず搬送
速度を一定にできれば、前後行程の能力差をあまり考慮
しなくて済み、生産計画の策定が楽になる。電極の電流
密度を下げる方法としては、単純に電極を幅方向に広げ
るだけでも良いのであるが、電流はできるだけ最短のル
ートを通って流れようとするため、幅方向の接触面積を
増やしても、電極のエッジ近傍の電流密度が高くなるだ
けで電極全体の電流密度を下げる効果は少なく、板状金
属材料の進行方向に電極接触面積を増やした方が効果的
である。
【0018】また、電極の接触長さを変更する別の理由
としては、加熱温度の制御性がある。すなわち、電極を
板幅方向に設置した場合には、図2に示すように電流は
対抗する電極2、3間を直線的に流れるだけではなく、
電極2、3から放射状に広がろうとする。そのため、電
極2、3の近傍の電流密度が高く板幅中央付近の電流密
度が低くなり、エッジ部分のみが高温になろうとする。
それに対し、図3に示すように板状金属材料1の進行方
向に電極2、3の接触長さを調整すると、対抗する電極
2、3に直線的に流れる電流の割合を調整することによ
り、エッジのみが高温になるという問題を解消すること
ができる。通常、板材はエッジ側から冷却が進むため、
それを補うようにエッジ側をやや高めに加熱制御する
と、エッジ部の温度降下の影響を小さくして均一な加熱
が可能となる。
【0019】電極の接触長さを増減するには、例えば図
4、図5、図6に示すような通電加熱用電極を用いれば
よい。図4は、接触長さが変更自在な通電加熱用電極の
例を示す側面図、図5は電極の構造を示す平面図、図6
は電極の側面図である。通電加熱用電極の構造として
は、例えば図6に示すように、チェーン11のようなエ
ンドレスの移動材に絶縁層13を介して小幅の電極10
を設けて図4に示す回転移動電極5を構成する。電流
は、図5に示す電線12を介して供給される。電極10
は、銅や銅合金等の低抵抗の金属を用いれば良く、耐ス
パーク性、耐溶着性等を改善するため、セラミックスや
サーメット等で表面をコーティングしてもよい。このよ
うな構成の回転移動電極5を図4に示すようにギア6、
7、8で弛まないように張り、板状金属材料1と接触さ
せ、板状金属材料1の移動に同期移動させながら通電す
る。このとき、ギア6、8間にある電極と板状金属材料
1との接触が不安定にならないように、エアシリンダー
や油圧シリンダー等で圧下が加えられるようにしたロー
ラー9等で電極に圧力を加えるのが望ましい。このよう
に構成した回転移動電極5は、ギア6、8を前後に移動
させることで接触長さを変えることが可能である。ギア
7は、ギア6、8の移動により回転移動電極5が弛まな
いように、適当なテンションになるように上下に動かせ
ばよい。板状金属材料1の下面側も同様で、回転移動電
極5′をギア6′、7′、8′で調整しながら通電すれ
ばよい。
【0020】上記のように板状金属材料1の幅、厚み、
加熱温度が変わり、電極の接触長さも変化すると板状金
属材料1のインピーダンスも変わることから、インピー
ダンス変化に応じた電圧、電流を設定し、所定の温度に
加熱すれば良い。
【0021】以上は、板状金属材料の幅方向両端部に単
純に電極を設置しただけの場合について説明したが、さ
らに厳密に温度制御性が要求される場合の通電加熱につ
いて以下説明する。先に説明したように、電流は電極か
ら放射状に広がろうとする。そのため、この放射状に広
がろうとする電流を抑制すれば、電極部の過加熱を防止
することができる。その手段の例を図7に示し、図8に
図7中のA−A断面を示す。
【0022】移動する板状金属材料1は、図8に示すよ
うな磁気特性に優れた珪素鋼板等でできた二つのリング
状磁性コア14、20の開口部を通過する。二つのリン
グ状磁性コア14、20の間には、電源17に導電部材
で接続された電極2、3の対を配置する。電極2、3
は、必要に応じて電極2′、3′のように接触長さを変
更できるようになっている。その機構としては、図4に
示したような機構にすれば良い。
【0023】リング状磁性コア14、20がない場合、
電極2、3からでた電流は、図2に示したように放射状
に広がって流れようとするため、板状金属材料1の断面
内の電流密度は電極2、3の近傍が最も高く、温度が高
くなる。電極2、3から離れると電流密度は極端に小さ
くなり、温度上昇量も小さくなり温度分布の不均一が生
じる。また、板状金属材料1の長手方向に広がって電流
が流れるため、板状金属材料1が接触している搬送ロー
ルにも迷走電流が流れ、ロールのベアリング等を焼損し
てしまう等の問題が生じる。
【0024】そのため、本発明の通電加熱装置では、電
極2、3から放射状に広がろうとする電流を効果的に制
御して均一な温度分布が得られるようにするため、電極
2、3間に流す通電電流を交流とし、磁気特性に優れた
珪素鋼板等からなるリング状磁性コア14、20を電極
2、3の前後に置いて、リング状磁性コア14、20の
中の板状金属材料1を流れる交流電流により、電磁誘導
でリング状磁性コア14、20に磁束を発生させ、リン
グ状磁性コア14、20の中を通過しようとする電流と
逆位相の電流を板状金属材料1に誘起させることによ
り、リング状磁性コア14、20の外に流れようとする
電流を制限する。電流路を定めることができれば、電流
密度の不均一から生じる温度の不均一が解消できるとと
もに、板状金属材料1を通じて迷走電流がラインに流れ
るという問題もなくなる。
【0025】しかし、リング状磁性コア14、20を置
いただけでは電流制限の効果が小さく、リング状磁性コ
ア14、20の外に流れ出る電流を完全には阻止できな
い。そこで、リング状磁性コア14、20にコイル1
5、16、21、22を1巻き以上巻き、電源18、1
9、23、24より電流を流し、強制的にリング状磁性
コア14、20に磁束を発生させることにより、板状金
属材料1内にリング状磁性コア14、20で発生した磁
束による誘起電流が発生し、この誘起電流と電極2、3
からの電流との相互作用により電極幅方向の電流パター
ンを変化させることができる。
【0026】図9〜14は、有限要素法により、電極と
リング状磁性コア近傍の通電状態を計算した結果を模式
的に示す図である。
【0027】図9、10は、リング状磁性コア14、2
0を設置しないで、電極2、3間で通電を行った場合の
例を示す。図中の矢印は、電流のベクトルを示す。図9
は、電極2、3から流れた電流の向きと大きさを模式化
して示したものである。電極3から流れた電流は、直進
するものもあるが放射状に広がって流れるものもあり、
電流密度としては、電極近傍が極めて高くなる。これを
温度分布に直して示したのが図10である。図10は、
発熱量が電流の2乗に比例することから、電流の2乗に
応じたコンター図を示す。図10のコンターは、電極近
傍のみ密集し温度差が大きくついている様子を示す。
【0028】それに対し、電極2、3間で電流を通じ、
リング状磁性コア20の両端側にコイル21、22を巻
き、電流を流してリング状磁性コア20内に磁束を発生
させたときの様子を示すのが図11〜14である。
【0029】図11は、リング状磁性コア20内に発生
した磁束のベクトルを示す断面図である。この例の場
合、右側の磁束は時計回りの方向に、左側の磁束は反時
計回りの方向に発生している。リング状磁性コア20に
発生した磁束により、板状金属材料1には図12、図1
3に示す誘導電流が発生する。
【0030】図12は、電極2、3から出た電流とリン
グ状磁性コア20に発生した磁束によって作られる誘導
電流とで作られる電流分布の実部の様子を示す。電流
は、リング状磁性コア20を境に電極3から電極2に向
かう割合が増え、リング状磁性コア20の外に発生する
電流は極めて小さくなる。また、図13は電流虚部の分
布を示す。リング状磁性コア20を設けないで通電した
ときの電流分布と比べると、電極2、3間の電流の向き
は一致するが、リング状磁性コア20部では全く逆向き
の電流が発生する。そのため、電極3からでた電流は、
リング状磁性コア20部では打ち消されることになり、
リング状磁性コア20の外には電流が流れにくくなり、
電極2、3間方向に電流が流れるようになる。この時の
発熱分布を計算したものを図14に示す。
【0031】図14のリング状磁性コア20から上側の
部分は、コンターも広く分布し、温度が均一化されてい
るのがわかる。このように、幅方向電極2、3間で板状
金属材料1を均一に加熱するためには、電極から放射状
にでる電流を打ち消すように電流を制御すればよい。特
に、均一性を狙う場合には、リング状磁性コア20の両
サイドに図8に示すコイル21、22のように対称的に
巻くのが望ましい。
【0032】また、逆に局部的に加熱する場合には、リ
ング状磁性コア20に巻いたコイル15、16、21、
22により発生させる磁場分布を変化させればよい。す
なわち、リング状磁性コア20から板状金属材料1に発
生させる誘導電流の大きさと向きを変えれば、電極電流
と誘導電流との相互作用で生じるトータルの電流の大き
さ、向きが変わるため、それによって生じる温度分布も
変えることができる。また、リング状磁性コア14、2
0に巻くコイル15、16、21、22の巻き数を変化
させることによって磁場を変化させることもできる。現
実的には、厚み、幅、温度など負荷の状況に応じてコイ
ル15、16、21、22に複数のタップを設け、タッ
プを切り替えることにより磁場の強さを変化させること
ができる。タップの切り替えは、加熱する板状金属材料
1の厚み、幅、種類により電極2、3に流す電流量が大
きく変化することから、それに応じて切り替えれば良い
し、あるいは局部的に温度を高めたい場合には温度分布
を測定し、所要の加熱パターンが得られるようにタップ
を切り替えれば良い。
【0033】図12〜14には、リング状磁性コア20
が一つの場合を示したが、図7に示したように電極2、
3の外にもう一つのリング状磁性コア14を設けた場合
でも同様の効果が得られる。特に、板状金属材料1の進
行方向にも流れる電流を阻止するためには、リング状磁
性コア14を設けると効果的である。
【0034】図7において、板状金属材料1の厚み等が
変わり、電流量を変化させ電極の接触長さも変える必要
がある場合には、リング状磁性コア14またはリング状
磁性コア20を板状金属材料1の進行方向に移動させ、
電極2、3の接触長さを増減させれば良い。電極の接触
長さを変化させる方法は前述した通りであり、リング状
磁性コア14、20を動かす方法について説明する。こ
こでは、リング状磁性コア20を動かす例を説明する。
図8に示すように、リング状磁性コア20の両端には電
源23、24にそれぞれ接続されたコイル21、22が
巻かれている。コイル21、22の巻かれたリング状磁
性コア20は、車輪28、29を有する台車25の上に
設置される。図示されていないが、車輪28、29の奥
行き方向にも各々車輪があり、全部で4輪構成とする。
車輪28には、モーター27がギア26を介して接続さ
れる。リング状磁性コア20の移動は、モーター27を
回し、車輪を動かして行えば良い。
【0035】
【実施例】幅200mm、厚さ15mmの鋼板を常温か
ら850℃まで加熱した例について説明する。用いた電
源は交流単相50Hz、20V、30000Aで、電
圧、電流をサイリスタ制御した。電極には銅を用い、鋼
板のエッジから5mmの範囲で長さ100mmの銅電極
に上下からエアシリンダで0.5kg/mm2 の圧力を
加え、鋼板を摺らせながら接触通電した。
【0036】鋼板は、速度3cm/minで送り、加熱
した。発明の効果を確認するため、電極の接触長さを3
00mmとし、通電電流量10000Aで通電加熱した
本発明例1、電極の接触長さを100mmとし、前後に
断面積が100mmで、両端に交流電流を流すコイルを
2T巻いた電磁鋼板製のリング状コアを設置し、通電電
流量10000Aで通電加熱した本発明例2、電極の接
触長さを300mmとし、両端に交流電流を流すコイル
を2T巻いた電磁鋼板製のリング状コアを設置し、通電
電流量20000Aで通電加熱した本発明例3、比較例
として、電極の接触長さを100mmとし、リング状磁
性コアを設置しないで通電電流量10000Aで通電加
熱した比較例4、電極の接触長さを100mmとし、リ
ング状磁性コアを設置しないで通電電流量15000A
で通電加熱した比較例5について、幅方向の平均昇温温
度と最大温度差、通電状態、電極部の損耗状態について
比較を行った。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】リング状磁性コアを設置せず、通電電流量
が同じで、電極の接触長さが異なる本発明例1と比較例
4を比較すると、比較例4では、電極近傍のみ発熱した
結果、平均昇温量は220℃で、幅方向最大温度差は3
20℃にも達した。それに対し、本発明例1では、電極
の接触長さが長くなったことにより、対抗する電極へ流
れる電流量も増えた結果、平均昇温量は250℃、最大
温度差は70℃まで改善された。
【0039】次に、リング状磁性コアを設置し通電した
本発明例2では、比較例4と比べてさらに電流路がせば
められたことから、平均昇温量は1060℃まで上昇
し、最大温度差は30℃にまで改善された。
【0040】電流密度については、比較例5は、電流量
を15000Aまで上げただけで、電極部から溶断して
しまったのに対し、本発明例3では、20000Aを通
電したにも関わらず昇温状態は良好であり、安定した通
電が可能であった。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、電気による内部加熱で
連続して安定的に、効率よく有限長の板状金属材料を加
熱できるため、生産性を向上させることができるととも
に、設備を大幅にコンパクトにすることが可能である。
また、加熱温度を均一にすることができるため、温度偏
差による材質ばらつきを抑制する高品質な加熱が可能で
ある。また、被加熱材のサイズや品種、温度等が変わ
り、大電流通電が必要とされる場合でも、電流密度を上
げることなく、スパークや溶着等の問題もなく通電加熱
できることや、搬送速度や加熱速度を自在に変更できる
ことから、操業の柔軟性を大きく高めることが可能とな
る。さらに通電加熱であるため、雰囲気を高温にする必
要がなく、耐火物などの設備費が不要になるほか、ロー
ル等の搬送設備やバーナー等の加熱設備に要する修繕費
を大幅に減らすことが可能であり、操業トラブルが生じ
た場合でも、熱慣性がほとんどないことから、簡単に電
源の入り切りができ、対応が速やかにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板状金属材料の進行方向における接触長さが変
更自在な電極を幅方向両端部に設けた本発明の通電加熱
装置を示す平面図である。
【図2】電極の接触長さが短い場合の電流の広がりを示
す平面図である。
【図3】電極の接触長さが長いと電流の流れが改善され
ることを示す平面図である。
【図4】電極の接触長さが変更自在な電極の構成を示す
側面図である。
【図5】移動回転電極の構成を示す平面図である。
【図6】移動回転電極の構成を示す側面図である。
【図7】板状金属材料の進行方向における接触長さが変
更自在な幅方向電極対と移動可能なリング状磁性コアを
設けた本発明の通電加熱装置を示す平面図である。
【図8】移動可能なリング状磁性コアを示す断面図であ
る。
【図9】リング状磁性コアを用いない場合の電流の流れ
を示す平面図である。
【図10】リング状磁性コアを用いない場合の温度分布
を示す平面図である。
【図11】リング状磁性コア内に発生させる磁場分布の
様子を示す正面図である。
【図12】リング状磁性コア内に発生させた磁場により
板状金属材料内を流れる電流の実部の様子を示す平面図
である。
【図13】リング状磁性コア内に発生させた磁場により
板状金属材料内を流れる電流の虚部の様子を示す平面図
である。
【図14】リング状磁性コア内に発生させた磁場による
板状金属材料の温度分布を示す平面図である。
【符号の説明】
1 板状金属材料 2、2′ 電極 3、3′ 電極 4 電源 5、5′ 回転移動電極 6、6′ ギア 7、7′ ギア 8、8′ ギア 9、9′ ローラー 10 電極 11 チェーン 12 電線 13 絶縁層 14 リング状磁性コア 15 コイル 16 コイル 17 電源 18 電源 19 電源 20 リング状磁性コア 21 コイル 22 コイル 23 電源 24 電源 25 台車 26 ギア 27 モーター 28 車輪 29 車輪

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動する板状金属材料の幅方向両端部に
    電極を設置し、該電極から電流を通じて通電加熱する方
    法において、板状金属材料の移動速度、厚み、幅、材
    質、加熱温度に応じて前記電極の板状金属材料の進行方
    向における接触長さを変更するとともに、通電電流、印
    加電圧を調整し、板状金属材料を所定の温度に加熱する
    ことを特徴とする板状金属材料の通電加熱方法。
  2. 【請求項2】 移動する板状金属材料の幅方向両端部
    に、板状金属材料の進行方向における接触長さが変更自
    在な電極を設置したことを特徴とする板状金属材料の通
    電加熱装置。
  3. 【請求項3】 板状金属材料がその中を通過できるリン
    グ状磁性コアに交流電流を流すコイルを1巻き以上巻く
    とともに、該リング状磁性コアの片面側の近傍で、かつ
    前記板状金属材料の幅方向両端部に、板状金属材料の進
    行方向における接触長さが変更自在な電極を設け、該電
    極より交流電流を通じてジュール熱により前記板状金属
    材料を加熱することを特徴とする板状金属材料の通電加
    熱装置。
  4. 【請求項4】 板状金属材料がその中を通過できる二つ
    のリング状磁性コアのうち少なくとも一つを板状金属材
    料の進行方向に移動可能とし、各リング状磁性コアに交
    流電流を流すコイルを1巻き以上巻くとともに、二つの
    リング状磁性コアの間の近傍で、かつ前記板状金属材料
    の幅方向両端部に、板状金属材料の進行方向における接
    触長さが変更自在な電極を設け、該電極より交流電流を
    通じてジュール熱により前記板状金属材料を加熱するこ
    とを特徴とする板状金属材料の通電加熱装置。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか記載の通電加熱
    装置において、前記電極が板状金属材料の進行方向に複
    数に分割されているとともに、該電極が板状金属材料の
    移動とともに移動循環しながら接触して通電することを
    特徴とする板状金属材料の通電加熱装置。
JP15999698A 1998-05-26 1998-05-26 板状金属材料の通電加熱方法および通電加熱装置 Withdrawn JPH11333511A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113186374A (zh) * 2021-04-30 2021-07-30 华中科技大学 一种高温紧邻金属热处理装置及方法

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