JPH11330094A - 電界効果トランジスタ、電界効果トランジスタの製造方法、および半導体基板 - Google Patents

電界効果トランジスタ、電界効果トランジスタの製造方法、および半導体基板

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JPH11330094A
JPH11330094A JP12898198A JP12898198A JPH11330094A JP H11330094 A JPH11330094 A JP H11330094A JP 12898198 A JP12898198 A JP 12898198A JP 12898198 A JP12898198 A JP 12898198A JP H11330094 A JPH11330094 A JP H11330094A
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operation layer
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semiconductor substrate
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JP12898198A
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English (en)
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Shigeru Nakajima
成 中島
Toru Yamada
亨 山田
Masateru Yanagisawa
昌輝 柳沢
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドレインコンダクタンスの周波数分散が低減
された電界効果トランジスタ、その製造方法、および半
導体基板を提供する。 【解決手段】 電界効果トランジスタは、キャリア捕獲
準位の密度が深部に比べて低い低準位部分6を主面の表
層に有する半絶縁性GaAs化合物半導体基板2と、半
導体基板2の主面に離間して設けられたソース領域24
およびドレイン領域24と、ソース領域24およびドレ
イン領域24の間にあり、半導体基板2の低準位部分6
内に設けられた動作層22と、動作層22上に設けられ
たゲート電極26と、を備える。このため、ドレインコ
ンダクタンスの周波数分散が低減された電界効果トラン
ジスタが得られる。低準位部分6は、保護膜で基板表面
を覆った熱処理、または基板表面のプラズマ処理によっ
て形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界効果トランジ
スタ、その製造方法、および半導体基板に関し、特にド
レインコンダクタンスの周波数分散が低減された電界効
果トランジスタ、その電界効果トランジスタの製造方
法、およびそのための半導体基板に関する。
【0002】
【従来の技術】GaAs(ヒ化ガリウム)に代表される
III−V族化合物半導体は、電子移動度がSi(シリ
コン)に比較して大きい。このため、この半導体を採用
して半導体デバイスを作製すれば、優れた高周波特性が
達成される。このような半導体を使用して実用化されて
いる半導体デバイスには、電界効果トランジスタ(ME
S−FET:Metal Semiconductor Field Effect Trans
istor)がある。このトランジスタは、半導体基板の表
面とショットキー接合を形成するゲート電極を制御電極
として、ソース・ドレイン間の電流を制御している。
【0003】この電界効果トランジスタは、半絶縁性基
板の表層に形成された動作層と、この両側にキャリア濃
度の高いn+層とが分離されて設けられている。また、
このn+層上には、合金化されたAuGe/Niのオー
ミック電極が形成されている。更に、動作層上には、G
aAsとショットキー接合を形成する金属を用いてゲー
ト電極が形成されている。動作層およびn+層は、いず
れもGaAs基板に対してドナー不純物となる元素をイ
オン注入法によって導入して、導入された不純物を活性
化して形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような電界効果ト
ランジスタでは、ドレインコンダクタンスの周波数分散
と総称される現象が見られる。この周波数分散とは、電
界効果トランジスタのドレインコンダクタンスが周波数
特性を持つことをいい、特に低い周波数領域でのドレイ
ンコンダクタンスにおいて大きな周波数依存性が見られ
る。
【0005】ドレインコンダクタンスは、電界効果トラ
ンジスタを使用した回路の電圧増幅度を決める重要な因
子であるため、このコンダクタンスが周波数分散を持つ
と、回路の振る舞いが動作周波数によって変動してしま
う。つまり、低い周波数における増幅度と高い周波数に
おける増幅度が異なる値になってしまう。このため、ラ
ンダムパルスを増幅するような場合、正しくパルスを増
幅できなくなる。例えば、データとして「0」が継続し
た後に「1」に遷移する場合と、データとして「0」と
「1」が交互に繰り返す場合とでは、電界効果トランジ
スタの応答特性が異なるため、PCM通信では、ビット
エラーが発生してしまう。
【0006】そこで、本発明の目的は、ドレインコンダ
クタンスの周波数分散が低減された電界効果トランジス
タ、そのような電界効果トランジスタの製造方法、およ
びドレインコンダクタンスの周波数分散が低減される電
界効果トランジスタの製造にに好適な半導体基板を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電界効果トラン
ジスタは、(1)III−V族化合物半導体から成り、キ
ャリア捕獲準位の密度が深部に比べて低い低準位部分を
主面の表層に有する半導体基体と、(2)半導体基体の主
面に離間して設けられたソース領域およびドレイン領域
と、(3)ソース領域およびドレイン領域の間にあり、半
導体基体の低準位部分内に設けられた動作層と、(4)動
作層上に設けられたゲート電極と、を備える。
【0008】このように、半導体基体が備える低準位部
分内に動作層を形成するようにすれば、ドレイン領域か
らソース領域へ向かうキャリアが捕獲準位密度の低い部
分を移動するので、キャリア捕獲準位から受けるドレイ
ンコンダクタンスへの影響が低減される。
【0009】本発明の電界効果トランジスタでは、直流
ドレインコンダクタンス値に対する周波数1MHzにお
ける交流ドレインコンダクタンス値の比が1.2以下で
あるようにしてもよい。
【0010】このように、直流コンダクタンス値に対す
る交流コンダクタンス値の比が1.2以下であれば、電
界効果トランジスタの低周波における動作と高周波にお
ける動作との差が縮小される。
【0011】本発明の電界効果トランジスタでは、半導
体基体は、半絶縁性GaAs基板であるようにしてもよ
い。
【0012】このように、化合物半導体基板として最も
多く使用されている半絶縁性GaAs基板にも、本発明
は適用可能である。
【0013】本発明の電界効果トランジスタでは、低準
位部分におけるキャリア捕獲準位の密度は、1.0×1
16cmー3以下であるようにしてもよい。
【0014】このように、低準位部分の捕獲準位の密度
が1.0×1016cmー3以下であれば、ドレインコンダ
クタンスの周波数分散を低減するために好適である。
【0015】本発明の電界効果トランジスタの製造方法
は、半絶縁性III−V族化合物半導体から成る半導体
基体の主面に設けられた動作層上にゲート電極を有する
電界効果トランジスタの製造方法であって、(1)半導体
基体の主面上に保護膜を形成する保護膜工程と、(2)保
護膜が設けられた半導体基体を加熱する熱処理工程と、
(3)保護膜を除去した後に、半導体基体の主面に動作層
を形成するための不純物を導入する動作層形成工程と、
(4)半導体基体を加熱して動作層を低準位部分に形成す
るアニール工程と、を備える。
【0016】このように、半導体基体の主面上に保護膜
を形成して、この保護膜と半導体基体を共に加熱するの
で、半導体基体の深部に比べてキャリア捕獲準位の密度
が低減された低準位部分が半導体基体の表層に形成され
る。半導体基体の主面に動作層を形成するための不純物
を導入し、半導体基体を加熱するので、低準位部分内に
動作層が形成される。
【0017】本発明の電界効果トランジスタの製造方法
では、熱処理工程における熱処理温度は、アニール工程
におけるアニール温度と略同一、またはアニール工程に
おけるアニール温度よりも高いようにしてもよい。
【0018】このように、熱処理温度がアニール温度と
略同一値に、またはより高くすれば、キャリア捕獲準位
の原因となる、過剰Asに基づく欠陥を外部拡散するこ
とができる。
【0019】本発明の電界効果トランジスタの製造方法
は、半絶縁性III−V族化合物半導体から成る半導体
基体の主面に設けられた動作層上にゲート電極を有する
電界効果トランジスタの製造方法であって、(1)半導体
基体の主面に動作層を形成するための不純物を導入する
動作層形成工程と、(2)半導体基体の主面をガスプラズ
マにさらすプラズマ工程と、(3)プラズマ工程の後に、
半導体基体を加熱して低準位部分内に動作層を形成する
アニール工程と、を備える。
【0020】このように、半導体基体の主面をガスプラ
ズマに晒してプラズマ処理を施すと、半導体基体の深部
に比べてキャリア捕獲準位の密度が低い低準位部分が半
導体基体の表層に形成される。プラズマ処理の後に半導
体基体を加熱すれば、半導体基体の主面に動作層を形成
するために導入された不純物が活性化されて低準位部分
に動作層を形成可能である。
【0021】本発明の電界効果トランジスタの製造方法
では、動作層形成工程およびプラズマ工程は、連続した
工程であるようにしてもよい。
【0022】この両工程を引き続いた工程として行え
ば、動作層形成領域のみにプラズマ処理が施されるの
で、基体の他の領域はプラズマ処理による付随する作用
を受けることがない。
【0023】本発明の電界効果トランジスタの製造方法
では、動作層形成工程に先だって、プラズマ工程が行わ
れるようにしてもよく、またプラズマ工程に先だって、
動作層形成工程が行われるようにしてもよい。
【0024】このように、低準位部分の形成および動作
層のための不純物の導入の順序を問わないので、製造プ
ロセスに柔軟に対応可能である。
【0025】本発明の半導体基板は、III−V族化合
物半導体から成る半導体基板であって、(1)第1の面お
よびこの第1の面に対向する第2の面と、(2)深部にお
けるキャリア捕獲準位の密度に比べてキャリア捕獲準位
の密度が低く、第1の面の表層にある低準位部分と、を
備える。
【0026】このように、電界効果トランジスタが形成
されるべき第1の面の表層に低準位部分を備えているの
で、この低準位部分を製造プロセスにおいて形成する必
要がない。
【0027】本発明の半導体基板では、III−V族化
合物半導体は、半絶縁性GaAs半導体であるようにし
てもよい。
【0028】このように、化合物半導体として最も多く
使用されている半絶縁性GaAsにも、本発明は適用可
能である。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明について図面を参照しなが
ら説明する。図面において同一の部分には同一の符号を
付して、その説明を省略する。
【0030】図1(a)〜図(c)および図2(a)〜
図2(d)は、本発明の第1の実施の形態である電界効
果トランジスタの主な製造工程を示す工程断面図であ
る。以下、これらの図面を参照して、半導体基体として
半絶縁性GaAs基板を使用し、この基板上にn型電界
効果トランジスタを形成する場合について説明する。な
お、他のIII−V族化合物半導体基板に適用すること
もでき、またSi基板上にGaAs等のIII−V族化
合物半導体層を形成した場合も適用できる。
【0031】まず、半絶縁性GaAs基板2(以下、基
板という)の表層にキャリア捕獲準位の密度が低い低準
位部分を形成する(低準位形成工程)。低準位形成工程
は、基板2上に第1の保護膜4を形成する保護膜工程
と、この保護膜4を形成した後に基板2および保護膜4
に共に熱処理を施す熱処理工程とを有する。図1(a)
を参照すると、基板2の全面に第1の保護膜4を堆積し
て、この後に、熱処理工程を施すと、基板2の表層に低
準位部分が形成される。なお、本実施の形態では、n導
電型電界効果トランジスタに本発明を適用する場合を説
明しているので、キャリア捕獲準位は、電子捕獲準位を
意味する。
【0032】このような保護膜4は、熱処理工程に際し
て、As原子が基板2から解離することを防止しつつ、
且つ結晶中に存在する過剰なAsを基板表層の部分につ
いて低減する作用を有している。過剰なAsは、ドレイ
ンコンダクタンスに影響を与える捕獲準位を形成すると
考えられている。このため、このような保護膜4を基板
2の表面に形成して熱処理すれば、基板表層の過剰なA
sの密度が低減されるので、電子捕獲準位の密度が低い
低準位領域6が基板2の表層に形成される。図1(a)
では、低準位領域6は、基板全面の表層に所定の厚さで
層状に形成される。
【0033】保護膜4を例示すれば、シリコンおよび窒
素を含む窒化シリコン化合物、例えばシリコン窒化膜
(SiN)が好適である。これに限られるものではな
く、SiON、SiO2等でもよい。これらの保護膜4
は、プラズマCVD(CVD:化学的気相成長)法、熱
CVD法によって形成されることが好ましい。熱処理温
度としては、800℃程度が好ましい。また、この温度
を含み、熱処理中に基板からAsが解離することを防止
しつつ、格子間の過剰なAsが保護膜4中に侵出するこ
とが可能とする温度範囲でもよい。なお、熱処理工程に
おける熱処理温度と後述のアニール工程におけるアニー
ル温度は略同一値であるようにしてもよい。このよう
に、熱処理温度が、アニール温度と略同一値、またはア
ニール温度より高くなれば、キャリア捕獲準位の原因と
なる、過剰Asに基づく欠陥を基板の表層外に拡散でき
る。
【0034】低準位形成工程の後に、第1の保護膜4を
剥離して、基板2の表面を露出させる。
【0035】次いで、GaAs半導体基板上に動作層を
形成するための不純物導入を行う(動作層形成工程)。
図1(b)を参照すると、基板2にレジストを塗布して
フォトリソグラフィ技術によってイオン注入用のマスク
8を形成する。マスク材8は、動作層を形成すべき領域
を含む部分に開口部を有している。このマスク材8をマ
スクにして不純物イオンをイオン注入10によって導入
すると、動作層となるべき領域に動作層不純物層12を
形成できる。イオン注入が終了した後、マスク材8は剥
離される。
【0036】イオン注入の条件について詳述する。不純
物元素は、例えばSiを使用することが好ましく、イオ
ン化されたSi+を加速エネルギ10keVでイオン注
入を行う。ドーズ量は、作製する電界効果トランジスタ
の閾値に依存するが、例示すれば、8.0×1012cm
-2程度が回路特性上の理由から好ましい。また、注入す
るイオンとして、29SiF+ 3を採用することが好まし
い。このようなイオン種を採用すれば、実際にSiが持
つ加速エネルギを等価的に小さくできる。つまり、この
場合には、30keV×29/86の値は約10keV
となり、この値が実効的な加速エネルギとなる。このた
め、加速エネルギを十分に安定して制御できるエネルギ
範囲でイオン注入装置を使用できるので、形成される動
作層不純物層の深さの制御性も増す。なお、以下、特に
断らない限り加速エネルギと記載するものは、実効的な
加速エネルギも含む。
【0037】動作層形成工程におけるイオン注入の加速
エネルギは、低準位部分6の深さと関連して決定される
ことが好ましい。つまり、低準位部分6内に動作層(図
2(a)の22)が形成されるように、低準位形成工程
における熱処理条件と動作層形成工程におけるイオン注
入条件とを好適に組み合わせる必要がある。この低準位
領域6内に動作層が形成されるように、動作層を薄層化
して且つ浅く形成すれば、電子捕獲準位の影響を受けに
くい電界効果トランジスタが形成される。
【0038】図5は、活性層の不純物プロファイルであ
る。図5を参照すると、イオン注入によって形成された
不純物のプロファイルを示しており、横軸は基板2の表
面から基板深部へ向けて測った距離、縦軸は注入された
不純物の濃度を対数目盛で示している。不純物プロファ
イルは、例えば近似的にガウス分布で表され、プロジェ
クション・レンジ(平均飛程距離、Rp:Projection Ra
nge)において不純物濃度の最大値を示し、その前後で
減少する。濃度の最大値は、電界効果トランジスタのド
レイン電流を確保するために、1017〜1018cm-3
ある。10keVの加速エネルギでイオン注入した場
合、イオン注入のRpは約0.01μmであり、分布の
半値幅は0.008μm程度である。30keVでSi
イオンをイオン注入した場合のプロジェクション・レン
ジおよび半値幅は、それぞれ0.026μmおよび0.
017μmである。したがって、プロジェクション・レ
ンジで両者を比較すれば1/3となり、半値幅で両者を
比較すれば1/2となるので、低エネルギでイオン注入
することによって、不純物層の薄層化が図れる。なお、
動作層20は、例えば不純物濃度が最大値の1/10に
ある深さは、数十nmの領域である。この値が、不純物
濃度で決定される動作層の深さである。
【0039】次いで、基板表層にn+層不純物層を形成
するための不純物の導入を行う(n+層形成工程)。図
1(c)を参照すると、動作層形成工程と同様にして、
基板2上にイオン注入用のマスク14を形成する。マス
ク材14は、n+層を形成すべき領域を含む部分に開口
部を有している。このマスク材14をマスクにして不純
物イオンをイオン注入16によって導入すると、n+
となるべき領域にn+層不純物層18を形成できる。図
1(c)の例では、n+層不純物層18は動作層不純物
層12の両端に配置される。
【0040】イオン注入の条件について詳述すれば、不
純物元素としては、例えばSiを使用することが好まし
く、そしてイオン化されたSi+の加速エネルギおよび
ドーズ量としては、それぞれ100keVおよび4.0
×1013cm-2程度が回路特性上の理由から好ましい。
【0041】なお、動作層不純物層8の形成に先立って
+層不純物層14を行うようにしてもよい。
【0042】この後、動作層不純物層8およびn+層不
純物層14の不純物を活性化し、また基板2の表層の結
晶性を回復するためのアニールを行う(アニール工
程)。不純物の活性化は、基板2を加熱してGaサイト
にSiを置換させることによって行う。図2(a)を参
照すると、アニール工程の際には、蒸気圧の高いAsが
基板2から抜けることを防止するために、基板2の表面
に第2の保護膜20を形成するキャップアニール法を採
用している。アニール工程によって、動作層不純物層1
2の不純物が活性化されて動作層22が形成され、また
+層不純物層18の不純物が活性化されてn+層24が
形成される。このアニール工程によって、基板2の表層
にn+層24および動作層22が形成され、この動作層
22の深さはn+層24の深さよりも浅い。また、動作
層22は、低準位部分6内の基板2の表層に形成されて
いる。
【0043】このような第2の保護膜20は、アニール
温度においてAs原子が基板から解離することを防止し
つつ、且つ不純物であるSi原子のGaサイトへの置換
を促進し活性化率を向上させるために結晶中のGaを引
き抜く作用を備える。また、この膜20は、結晶中に存
在する過剰なAsを基板表層の部分について低減する作
用を有していていてもよい。このような保護膜20を基
板2の表面に形成してアニールすれば、基板表層におい
て格子間の過剰なAsが保護膜20中に侵出する。この
ため、過剰なAsの低密度が促進されるので、電子捕獲
準位の密度の低い低準位部分6において捕獲準位の低密
度化が更に図られると共に、低準位部分6が基板の深部
に向けて拡がる。
【0044】第2の保護膜20を例示すれば、シリコン
および窒素を含む窒化シリコン化合物、例えばシリコン
窒化膜(SiN)が好適である。アニール温度として
は、800℃程度が好ましい。また、この温度を含み、
アニール中に基板からAsが解離することを防止しつ
つ、不純物層12,18の活性化を行うことができる温
度範囲であってもよい。なお、アニールの熱処理条件の
下では、イオン注入によって導入された不純物のプロフ
ァイルは、実質的に変化しない。したがって、上記のよ
うに、低準位部分6内に動作層を形成するよう、動作層
不純物層を浅く形成可能なイオン注入条件を設定するこ
とが好適である。このように、低準位部分6内に動作層
22が形成されるように形成すれば、電子捕獲準位の影
響を受けにくい電界効果トランジスタが形成される。
【0045】なお、アニール工程は、基板2の表面に第
2の保護膜20を形成することなく砒素雰囲気中でアニ
ールを行うキャップレスアニール法を採用することもで
きるが、アニールを行う雰囲気中の砒素濃度を基板中の
砒素濃度よりも小さくする条件で行う必要がある。この
ため、詳細な処理条件は、熱処理温度、同時に処理する
基板の枚数、等に依存する。したがって、キャップアニ
ール法が簡便である。
【0046】次に、n+層18上にオーミック電極を形
成する(オーミック形成工程)。オーミック電極は、例
えばリフトオフ法を用いて形成する。基板2にレジスト
を塗布してフォトリソグラフィ技術によってオーミック
電極形成用のマスク26を形成する。マスク材26は、
オーミック電極(図2(c)の32)を形成すべき領域
に開口部を有している。このマスク材26をマスクにし
て、基板2側から順にAuGe層、Ni層からなるオー
ミック金属層30を積層する。これらの層の形成は、例
えば蒸着法を使用することが好ましい。図2(b)は、
このようにオーミック金属層30を堆積した後のウエハ
断面を示している。この金属層30の形成後、レジスト
剥離液によってレジストを剥離すると、レジストに開口
部を設けた部分にのみ上記の電極層(図2(c)の3
2)が残る。
【0047】この後に、オーミック電極層32と基板2
とを合金化するためにアロイを行う。アロイの熱処理条
件は、例えば温度450℃、時間1分の条件で行うこと
が好ましい。アロイを行うことによって、GaAs半導
体とオーミック金属との合金化が起こるので、基板表層
のn+層に対して良好なオーミック接合を有するオーミ
ック電極32を形成できる。
【0048】続いて、基板2上にゲート電極26を形成
する(ゲート形成工程)。ゲート電極26は、例えばリ
フトオフ法を用いて形成する。基板2にレジストを塗布
してフォトリソグラフィ技術によってゲート電極形成用
のマスクを形成する。マスク材(図示せず)は、ゲート
電極26を形成すべき領域に開口部を有している。この
マスク材をマスクにして、基板2側から順にTi層、P
t層、Au層を積層する。これらの層の形成は、例えば
蒸着法使用することが好ましい。このような方法によれ
ば、基板のGaAsに対してTiの良好なショットキー
接合を形成できる。これらの層の形成後、レジスト剥離
液によってレジストを剥離すると、レジストに開口部を
設けた部分にのみ上記の電極層が残る。図2(c)は、
このようにゲート電極26を形成した後のウエハ断面を
示している。
【0049】この後、基板2の全面に層間絶縁膜34を
堆積する。この絶縁膜34上にソースn+層24、ドレ
インn+層24、およびゲート電極26、等を相互に配
線して接続するための配線36を形成する(配線形成工
程)。オーミック電極32に達する開口部、例えばコン
タクト孔、を層間絶縁膜34に形成した後に、配線メタ
ルを堆積しパターン形成して配線メタル層を形成すれ
ば、オーミック電極32に対して電気的に接続された配
線36を形成できる。図2(d)は、このように配線3
6を形成した後のウエハ断面を示している。
【0050】以上、このような工程中において、保護膜
4を基板2上に形成して、この保護膜4を基板2と共に
加熱するので、キャリア捕獲準位の密度が低減された低
準位部分6が基板2の表層に形成される。また、動作層
22を形成するための不純物を導入し基板2を加熱する
ので、低準位部分6内に動作層22が形成される。この
ため、ドレインコンダクタンスの周波数分散が低減され
た電界効果トランジスタが製造できる。
【0051】(第2の実施の形態)図3(a)〜図3
(d)は、本発明の第2の実施の形態である電界効果ト
ランジスタの主な製造工程を示す工程断面図である。図
面において、第2の実施の形態と同一の部分には同一の
符号を付してその説明を省略する。以下、これらの図面
を参照して、半導体基体として半絶縁性GaAs基板上
にn型電界効果トランジスタを形成する場合について説
明する。他のIII−V族化合物半導体基板に適用する
こともでき、またSi基板上にGaAs等のIII−V
族化合物半導体層を形成した場合も適用できる。
【0052】まず、GaAs半導体基板上に動作層を形
成するための不純物導入を行う(動作層形成工程)。図
3(a)を参照すると、半絶縁性GaAs半導体基板
(以下、基板という)2にレジストを塗布してフォトリ
ソグラフィ技術によってイオン注入用のマスク8を形成
する。マスク材8は、動作層を形成すべき領域を含む部
分に開口部を有している。このマスク材8をマスクにし
て不純物イオンをイオン注入10によって導入すると、
動作層となるべき領域に動作層不純物層12を形成でき
る。イオン注入が終了した後、マスク材8は剥離され
る。
【0053】イオン注入の条件については、第1の実施
の形態と同一の条件を採用することができるが、この条
件に限られることはなく、作製する電界効果トランジス
タの閾値に依存して決定される。本実施の形態では、第
1の実施の形態と同一の条件を採用した場合について説
明する。つまり、加速エネルギは30keV、ドーズ量
は5.0×1012cm-2程度の条件でSi+のイオン注
入を行うことが回路特性上の理由から好ましい。このよ
うな条件を採用すれば、第1の実施の形態と同様に、図
4に示すような不純物プロファイルを有する活性層を形
成できる。このため、詳細な説明を省略する。
【0054】次いで、基板表層にn+層不純物層を形成
するための不純物の導入を行う(n+層形成工程)。図
3(b)を参照すると、動作層形成工程と同様にして、
基板2上にイオン注入用のマスク14を形成する。マス
ク材14は、n+層を形成すべき領域を含む部分に開口
部を有している。このマスク材14をマスクにして不純
物イオンをイオン注入16によって導入すると、n+
となるべき領域にn+層不純物層18が形成される。図
1(b)の例では、n+層不純物層18は動作層不純物
層12の両端に配置される。イオン注入の条件は、第1
の実施の形態と同様に、加速エネルギが120keV、
ドーズ量が2.0×1013cm-2程度の条件で不純物元
素Si+のイオン注入を行うことが、回路特性上の理由
から好ましいが、これに限られるものではない。このよ
うなイオン注入の条件によってしきい値Vth=−0.
5Vの電界効果トランジスタを作製するために好適であ
る。イオン注入が終了した後、マスク材14は剥離され
る。
【0055】なお、動作層不純物層8の形成に先立って
+層不純物層14を行うようにしてもよい。
【0056】動作層不純物層8およびn+層不純物層1
4の形成に引き続いて、基板2の表面にガスプラズマの
照射を行う(プラズマ工程)。図3(c)を参照する
と、基板2の全面にガスプラズマ38の照射を行ってい
る。ガスプラズマ38は基板に照射されると、基板2内
にある過剰なAsが基板2の表面から解離して、ガスプ
ラズマ38を構成する粒子と結合する。このため、基板
2の表面近傍にある過剰なAsの濃度を低減できるの
で、過剰なAsに基づく深い準位の濃度が基板2の表層
において減少する。つまり、ドレインコンダクタンスの
周波数分散に原因となる深い準位の密度が基板2の表層
において低くなる。
【0057】ガスプラズマ38としては、H2、Ar、
2等、またはこれらのガスとフッ素系ガス、例えばS
6、CF4、等との混合ガスを使用できる。H2プラズ
マの場合の条件を例示すれば、 パワー密度:0.1〜0.5W・cm-2、 ガス圧 :10〜39Pa、 時間 :0.5〜3分、 が好適な条件である。なお、基板2の全面に対してガス
プラズマ38の照射を行ったが、フォトリソグラフィ技
術を用いてマスクを形成して、基板2の一部分に選択し
てこの照射38を行うようにしてもよい。
【0058】上記のように、本実施の形態では、動作層
不純物層等のイオン注入を行った後に、プラズマ工程を
行う場合を説明したが、プラズマ工程は動作層工程およ
びn+層形成工程の少なくともいずれかの工程の前に配
置されてもよい。このように、低準位部分の形成と動作
層のための不純物の導入等との順序を問わないので、製
造プロセスに柔軟に対応可能である。
【0059】なお、動作層形成工程およびプラズマ工程
は、連続した工程であるようにしてもよい。これらの工
程は、引き続いて行われる一連の工程とすることができ
る。例えば、動作層形成用のマスク材8を形成して動作
層のイオン注入10を行い、引き続いてプラズマ処理3
8を施して、この後にマスク材8を剥離するようにして
もよい。また、プラズマ工程においてフォトリソグラフ
ィによるマスク形成ステップを設けて、動作層形成領域
に開口部を有するマスク材を形成して、これをマスクに
してプラズマ処理38、引き続き動作層形成用のイオン
注入10を行って、この後にマスク材を剥離するように
してもよい。このようにすれば、動作層形成領域にのみ
プラズマ処理38が施されるので、基体の他の領域がプ
ラズマ処理による付随する作用、例えば比抵抗が下がる
等の作用、を受けることがないのでさらに好ましい。
【0060】この後、動作層不純物層8およびn+層不
純物層14の不純物を活性化し、また基板2の表層の結
晶性を回復するためのアニールを行う(アニール工
程)。図3(d)は、第1の実施の形態における図2
(a)に対応する。図3(d)および図2(a)からの
分かるように、アニール工程は、低準位部分6が低準位
部分40と示されている点を除いて、第1の実施の形態
と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0061】この工程に引き続いて、ゲート形成工程、
オーミック形成工程、および配線形成工程が行われる。
これらの工程は、第1の実施の形態と同じなので、その
説明を省略する。
【0062】以上、このような工程を経ることによっ
て、基板2の主面をガスプラズマ38に晒してプラズマ
処理を施すと、キャリア捕獲準位の密度が低減された低
準位部分40が基板2の表層に形成される。また、基板
2の主面に動作層22を形成するために不純物を導入し
て、ガスプラズマ38による処理の後に基板2を加熱す
れば、不純物が活性化されて低準位部分40に動作層2
2を形成可能である。このため、ドレインコンダクタン
スの周波数分散が低減された電界効果トランジスタが製
造できる。
【0063】なお、第1の実施の形態の保護膜工程およ
び熱処理工程と、第2の実施の形態のプラズマ工程と
は、電界効果トランジスタの製造工程と分離して行うよ
うにしてもよい。これらの場合には、保護膜工程および
熱処理工程並びにプラズマ工程は、電界効果トランジス
タの製造工程に先立って行われる基板2に対する前処理
工程となる。これらの前処理工程を経た半導体基板に対
して、従来の電界効果トランジスタの製造方法を適用し
てもよい。
【0064】上述の前処理工程が行われた半導体基板
は、III−V族化合物半導体から成る半導体基板であ
って、第1の面およびこの第1の面に対向する第2の面
と、深部におけるキャリア捕獲準位の密度に比べてキャ
リア捕獲準位の密度が低く、第1の面の表層にある低準
位部分と、を備えている。このような基板においては、
第1の面に電界効果トランジスタを形成することが好適
である。この際、すでに、この第1の面(主面)に低準
位部分を備えているので、製造プロセスにおいて低準位
部分を形成する必要がない。この基板を用いれば、トラ
ンジスタの製造プロセスを変更することなくドレインコ
ンダクタンスの周波数分散が低減された電界効果トラン
ジスタが提供される。また、本発明は、化合物半導体と
して最も多く使用されている半絶縁性GaAsにも適用
可能である。
【0065】以上、第1の実施の形態および第2の実施
の形態において詳細に説明した製造工程に基づいて、ド
レインコンダクタンスの周波数分散が低減された電界効
果トランジスタが作製される。このトランジスタは、多
くの化合物半導体において電子移動度が正孔移動度に比
べて大きいため、n導電型トランジスタであることが好
ましい。このとき、キャリア捕獲準位は、電子捕獲準位
となる。
【0066】このような電界効果トランジスタの構造を
図2(d)および図4を参照して説明する。図4は、上
記の製造工程を経て完成した電界効果トランジスタの平
面図であり、図4のA−A’断面が図2(d)の断面図
となっている。なお、図4において、基板内の表層に形
成されるn型動作層22を一点鎖線、n+層24を破線
で示した。
【0067】これらの図面によれば、電界効果トランジ
スタは、キャリア捕獲準位の密度が深部に比べて低い低
準位部分6、40を主面の表層に有する基板2と、基板
2の主面に離間して設けられたソース領域24およびド
レイン領域24と、ソース領域24およびドレイン領域
24の間にあり、基板2の低準位部分6,40内に設け
られた動作層22と、動作層22上に設けられたゲート
電極26と、を備える。動作層22は、n+層24と同
一の導電型であり、基板表層に離れて設けられたn+
24の間に設けられ、またそれぞれのn+層24に達し
て、これらの層24に接触して又は一部重なって形成さ
れている。ゲート電極26は、この離間して設けられた
一対のn+層24に挟まれて動作層22上に設けられて
いるので、基板上面から見たときに動作層22を二分す
る。このため、一方のn+層24(ソース拡散層)から
動作層22を経由して他方のn+層24(ドレイン拡散
層)に至るキャリアは、必ずゲート電極26と重なる動
作層22の部分を通過する。つまり、ゲート電極26に
加えられる電圧によって動作層23内に伸びる空乏層の
深さが変わりチャネル断面積が変化するので、この電圧
によってドレイン電流が制御される。
【0068】このように、基板2は深部におけるキャリ
ア捕獲準位の密度と比べてキャリア捕獲準位の密度が低
い低準位部分6、40を表層に有し、また動作層22は
低準位部分6、40内に形成されている。このために
は、上記の説明からも分かるように、低準位部分6,4
0の層の厚さおよび動作層22の深さが、好適に決定さ
れる必要がある。
【0069】このような構造の電界効果トランジスタで
は、基板2の表層に形成された低準位部分6、40内に
動作層22を形成しているので、捕獲準位の捕獲キャリ
アからドレインコンダクタンスが受ける影響が小さくで
きる。このため、ドレインコンダクタンスの周波数分散
が低減される。つまり、基板2が備える低準位部分6,
40内に動作層22を形成するようにすれば、ドレイン
拡散層24からソース拡散層24へ向かうキャリアが捕
獲準位密度の低い部分6,40を移動するので、捕獲準
位から受けるドレインコンダクタンスの影響が低減され
る。
【0070】図6(a)〜図6(d)は、動作層の不純
物プロファイル50と、基板内の本発明に係わる処理を
行った後のキャリア捕獲準位のプロファイル52,5
4,56,58と、の関係を示した模式図である。これ
らの各模式図では、横軸は基板表面から基板深部に向け
て測った距離を示し、縦軸は動作層の不純物濃度および
キャリア捕獲準位の密度を示し、各図面の各座標軸は任
意単位系である。なお、各図面に示されたDは、低準位
部分の領域を示す。
【0071】図6(a)は、第1の実施の形態および第
2の実施の形態における処理を行った場合に得られるキ
ャリア捕獲準位の好適な分布52を示している。一般に
は、通常の方法で製造された基板では、キャリア捕獲準
位は基板の深部に向かって一様に分布していて、その密
度は少なくとも1.3×1013cm-3程度である。一
方、図6(a)によれば、キャリア捕獲準位の密度は、
動作層が形成される基板表面近傍の領域Dでは1.0×
1013cm-3以下となったが、基板の深部では1.3×
1013cm-3のままであった。低準位部分の領域Dの境
界において密度が急峻に、例えばステップ状または階段
状に変化している。領域D内に形成された動作層50を
有する電界効果トランジスタは、過剰砒素に起因する深
い準位による影響が緩和、抑制されるので、ドレインコ
ンダクタンスの周波数依存性が低減される。なお、領域
Dでは、キャリア捕獲準位の密度が基板深部より低く、
且つ平坦である。これは、この領域の密度が測定限界以
下であることを示している。
【0072】図6(b)は、キャリア捕獲準位の別の好
適な分布54を示している。図6(b)によれば、キャ
リア捕獲準位の密度は、基板表面のごく近傍のある深さ
までは測定限界値以下であり、この領域より深くなる
と、基板深部の密度に至るまで漸増する。密度の増加の
割合は、基板表面から基板深部に至る方向に関して、表
面における変化の値から連続的に減少する。これは、基
板表面に近いほど本発明に係わる処理の影響を大きく受
けることに起因する。
【0073】キャリア捕獲準位の密度の分布は、図6
(a)および図(b)に示したものに限られるものでは
ない。例えば、図6(c)に示すように、キャリア捕獲
準位の分布56は、基板表面の極近傍のある深さまでは
測定限界値以下であり、この領域より深くなると、基板
深部の密度に至るまで一定の変化率で漸増するようなも
のでもよい。また、図6(d)に示すように、キャリア
捕獲準位の分布58は、基板表面の極近傍のある深さま
では測定限界値以下であり、この領域より深くなると、
一定の変化率で漸増して、基板深部の密度に至る領域で
変化率が漸減するようなものでもよい。
【0074】つまり、いずれの分布であっても、不純物
濃度で決定される動作層50の厚さの範囲において、基
板深部の値に対して十分に小さい値であれば、ドレイン
コンダクタンスに与える影響を十分に小さくできる。ま
た、低準位部分におけるキャリア捕獲準位の密度は、
1.0×1016cmー3以下であれば、ドレインコンダク
タンスの周波数分散を低減するために好適である。な
お、このようなキャリア捕獲準位の濃度は、DLTS法
にて測定した。
【0075】図6(a)〜図6(d)の各図面におい
て、動作層を越えて更に基板深部へ向かうと十分な濃度
の深い準位が存在するので、[浅いアクセプタ濃度]−
[浅いドナー濃度]の値は[深い準位の濃度]の値より
小さくできるので、素子間の電気的な分離は十分に行わ
れる。
【0076】図7は、電界効果トランジスタのドレイン
電圧Vdに対するドレイン電流Idの特性を模式的に示
した特性図であり、横軸はドレイン電圧を示し、縦軸は
ドレイン電流を示す。図7では、直流および交流におけ
る電界効果トランジスタのドレイン電流特性を示した模
式的に示している。ドレインコンダクタンスgdは、ド
レイン電流の飽和特性領域におけるドレイン電圧の変化
に対するドレイン電流の傾き(単位のドレイン電圧変化
に対するドレイン電流の変化の割合)であり、図7によ
れば高周波におけるドレイン電流の飽和特性は、直流に
おける飽和特性と比べて悪化する。つまり、ドレインコ
ンダクタンスの交流における値は、図7に示したように
直流の値に比べて大きい。
【0077】実際の電界効果トランジスタでは、ドレイ
ン電圧の周波数を数Hz〜数百kHzの範囲で走査し
て、ドレインコンダクタンスを測定する。ドレインコン
ダクタンス特性の周波数依存性は、この特性に影響を与
えるキャリア捕獲準位のライフタイムに依存する。測定
実験においては多くの場合、数十Hz〜数kHzの辺り
で、ドレインコンダクタンスに変化が現れる。このた
め、この特性において高周波における測定とは、この変
化が現れる周波数より高い周波数である数十kHz程度
以上、例えば100kHzをいう。
【0078】電界効果トランジスタのドレインコンダク
タンスの測定方法について説明する。図8は、電界効果
トランジスタのドレインコンダクタンスを測定するため
の接続図である。図8を参照すると、n型電界効果トラ
ンジスタのソース端子はグランドに接続され、ドレイン
端子は負荷抵抗の一端に接続され、ゲート端子はゲート
電圧源Vgに接続されている。負荷抵抗の他端は、ドレ
イン電圧源Vdに接続されている。ドレイン電圧源Vd
は、交流電圧△Vdをドレイン端子に印加し、ゲート電
圧源Vg直流電圧源である。負荷抵抗の値はRであっ
て、本測定では数Ω〜数十Ω程度のものを使用する。
【0079】図8に示した測定系において、ドレインコ
ンダクタンスを求める手順を示す。Vbを固定値部分、
またVi(t)を振幅Viおよび周波数fで時間的に変
化する部分として、Vd(t)=Vb+Vi(t)とな
る交流電圧をドレイン端子に与えて、負荷抵抗Rの両端
に現れる電圧Vo+△Vo(△Voは交流成分)を測定
する。ドレインコンダクタンス値は、交流電圧変化に基
づく電流変化分を△Idとすると、△Id/△Vdで表
される。△Vdは交流電圧の変化に基づくドレイン電圧
変化分であり、△Vo=R×△Idであるから、コンダ
クタンス値は△Vo/(R×△Vd)となる。
【0080】ここで交流コンダクタンスの測定条件は、 交流周波数 :1MHz ドレイン電圧源 :2.0V ドレイン電圧振幅値 :200mV ゲート電圧バイアス値:0.5V 負荷抵抗 :50Ω である。
【0081】このような測定条件の下に、室温T=29
8K(25℃)を含む複数の温度において、ドレインコ
ンダクタンスの測定を行った。室温T=298K(25
℃)における測定結果を例示として説明する。上記の好
適な実施条件の下では、直流ドレインコンダクタンス値
に対する周波数1MHzの交流ドレインコンダクタンス
値の特性比が1.2以下が達成された。このような特性
は従来の技術では得られなかったものである。このよう
に、特性値の比が1.2以下であれば、電界効果トラン
ジスタの低周波における動作と高周波における動作との
差が縮小される。特に、ロジック回路においては、マー
ク率に対するアイパターンのクロスポイントの変動を1
0%以下に抑えることが可能となるので好適である。
【0082】なお、このような測定条件の下に複数の温
度、例えば室温T=298K(25℃)およびT=77
K(窒素温度)において、ドレインコンダクタンスの測
定を行った。
【0083】図9は、T=T1、T2(T1>T2)におい
て測定したドレインコンダクタンスの周波数依存性を模
式的に示した特性図である。横軸には周波数を対数目盛
で示し、縦軸にはドレインコンダクタンスを示す。図9
を参照すると、T=T1の特性曲線においては、直流で
の測定値gd(DC)とすると、周波数が高くなるにつ
れてgdが直流値から大きくなる。ある程度の高い周波
数になると、周波数依存性は小さくなり、そしてほぼ一
定になっている。このgdの傾向は、T=T2の特性曲線
がT=T1の特性曲線に比べて高周波数側に移動してい
る点を除いて、T=T2においてもほぼ同様である。本
願では、周波数20Hz〜20kHzにおいてドレイン
コンダクタンスが大きく変化した。
【0084】図9に示した特性から、ドレインコンダク
タンスに寄与しているキャリア捕獲準位の活性化エネル
ギを求めることができる。例えば、T=T1、T2それぞ
れの特性曲線の変曲点における値を対数目盛の縦軸に、
1/Tを横軸に描いて、アウレニウスプロットすればよ
い。これらの測定値が、右下がりの直線、つまりexp
(−△E/kT)で表されると仮定して統計的な処理を
行うと、その直線の傾きから△Eが求められる。
【0085】このように電界効果トランジスタにドレイ
ンコンダクタンスの周波数分散が現れるのは、以下のよ
うに考えられている。化合物半導体基板中には様々な電
子捕獲準位が存在する。これらの捕獲準位の振る舞いを
統計的にとらえる。捕獲準位に電子が捕獲されると、捕
獲準位の状態はそのライフタイムで緩和して伝導帯に電
子を放出する。このような捕獲準位を有する基板に形成
されたデバイスが、捕獲準位のライフタイムに相当する
動作周波数で動作すると、捕獲準位の影響を顕著に受け
る。このような捕獲準位は、例えばGaAs基板ではラ
イフタイムがミリ秒程度のものも存在し、数kHz程度
の動作周波数を境にしてその低周波数側と高周波数側に
おいてデバイス特性に大きな差が生じる。これがドレイ
ンコンダクタンスの周波数分散となっていると考えられ
ている。
【0086】以上、第1実施の形態および第2の実施の
形態において図面を用いながら説明したように、基板の
表層に存在する低準位部分内に動作層が形成されるよう
にしたので、動作層を走行するキャリアが捕獲準位に捕
らえられ確率が低くなる。
【0087】このため、ドレインコンダクタンスの周波
数分散が低減される。このように周波数分散が低減でき
ると、ドレインコンダクタンスが回路の電圧増幅度を決
定する重要な因子であるため、この回路の電圧増幅度の
動作周波数による変動を小さくできる。
【0088】したがって、本発明の電界効果トランジス
タは、幅広い周波数を含む信号を取り扱う回路に好適で
ある。例えば、従来の電界効果トランジスタを使用した
PCM通信の回路においては、長時間データ0の伝送が
連続した後にデータ1に遷移する場合の回路の応答特性
と、データ0とデータ1とが繰り返される場合の回路の
応答特性とが大きく異なっていた。しかし、本発明の電
界効果トランジスタを使用した回路では、応答特性の差
を縮小することができるので、PCM通信におけるビッ
トエラーを低減できる。
【0089】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係わる電界効果トランジスタは、選択的に深い準位の濃
度が低減された基板の表層に動作層を形成するようにし
たので、動作層を走行するキャリアが深い準位に影響を
受け難くできる。このため、ドレインコンダクタンスの
周波数分散が低減される。したがって、広い周波数範囲
にわたって分散が小さいドレインコンダクタンスを有
し、動作周波数範囲において特性の変動が低減された電
界効果トランジスタが提供される。このような電界効果
トランジスタは、周波数を幅広く含む信号を取り扱う回
路に好適である。
【0090】また、本発明に係わる電界効果トランジス
タの製造方法は、保護膜工程および熱処理工程並びにプ
ラズマ工程を設けて、選択的に深い準位の濃度が低減さ
れた基板の表層に動作層を形成するようにした。このた
め、ドレインコンダクタンスの周波数分散が低減された
電界効果トランジスタを製造できる。
【0091】更に、本発明に係わる半導体基板は基板表
層に低準位部分を有するので、従来の電界効果トランジ
スタの製造方法に対して使用すれば、ドレインコンダク
タンス特性の周波数分散が低減された電界効果トランジ
スタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜図1(c)は、第1の実施の形態
に係わる電界効果トランジスタを製造工程を示す工程断
面図である。
【図2】図2(a)〜図2(d)は、第1の実施の形態
に係わる電界効果トランジスタを製造工程を示す工程断
面図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、第2の実施の形態
に係わる電界効果トランジスタを製造工程を示す工程断
面図である。
【図4】図4は、本発明に係わる電界効果トランジスタ
の平面図である。
【図5】図5は、動作層の不純物プロファイルである。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、動作層の不純物プ
ロファイルとキャリア捕獲準位のプロファイルとの関係
を示した模式図である。
【図7】図7は、電界効果トランジスタのドレイン電圧
Vdに対するドレイン電流Idの特性を模式的に示した
特性図である。
【図8】図8は、電界効果トランジスタのドレインコン
ダクタンスを測定するための接続図である。
【図9】図9は、測定したドレインコンダクタンスの周
波数依存性を模式的に示した特性図である。
【符号の説明】
2…基板、4…第1の保護膜、6…低準位部分(低準位
領域)、8…マスク材、10…動作層イオン注入、12
…動作層不純物層、14…マスク材、16…n+層イオ
ン注入、18…n+層不純物層、20…保護膜、22…
動作層、24…n+層、26…ゲート電極、28…マス
ク材、30…オーミック金属、32…オーミック電極、
34…層間絶縁膜、36…配線、38…ガスプラズマ、
40…低準位部分(低準位領域)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 III−V族化合物半導体から成り、キ
    ャリア捕獲準位の密度が深部に比べて低い低準位部分を
    主面の表層に有する半導体基体と、 前記半導体基体の主面に離間して設けられたソース領域
    およびドレイン領域と、 前記ソース領域および前記ドレイン領域の間にあり、前
    記半導体基体の低準位部分内に設けられた動作層と、 前記動作層上に設けられたゲート電極と、を備えること
    を特徴とする電界効果トランジスタ。
  2. 【請求項2】 直流ドレインコンダクタンス値に対する
    周波数1MHzにおける交流ドレインコンダクタンス値
    の比が1.2以下である、ことを特徴とする請求項1に
    記載の電界効果トランジスタ。
  3. 【請求項3】 前記半導体基体は、半絶縁性GaAs基
    板である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の電界効果トランジスタ。
  4. 【請求項4】 前記低準位部分におけるキャリア捕獲準
    位の密度は、1.0×1016cmー3以下である、ことを
    特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電界
    効果トランジスタ。
  5. 【請求項5】 半絶縁性III−V族化合物半導体から
    成る半導体基体の主面に設けられた動作層上にゲート電
    極を有する電界効果トランジスタの製造方法であって、 前記半導体基体の主面上に保護膜を形成する保護膜工程
    と、 前記保護膜が設けられた前記半導体基体を加熱する熱処
    理工程と、 前記保護膜を除去した後に、前記半導体基体の主面に前
    記動作層を形成するための不純物を導入する動作層形成
    工程と、 前記半導体基体を加熱して前記動作層を前記低準位部分
    に形成するアニール工程と、 を備えることを特徴とする電界効果トランジスタの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記熱処理工程における熱処理温度は、
    前記アニール工程におけるアニール温度と略同一、また
    は前記アニール工程におけるアニール温度よりも高い、
    ことを特徴とする請求項5に記載の電界効果トランジス
    タの製造方法。
  7. 【請求項7】 半絶縁性III−V族化合物半導体から
    成る半導体基体の主面に設けられた動作層上にゲート電
    極を有する電界効果トランジスタの製造方法であって、 前記半導体基体の主面に前記動作層を形成するための不
    純物を導入する動作層形成工程と、 前記半導体基体の主面をガスプラズマにさらすプラズマ
    工程と、 前記プラズマ工程の後に、前記半導体基体を加熱して前
    記動作層を前記低準位部分内に形成するアニール工程
    と、を備えることを特徴とする電界効果トランジスタの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記動作層形成工程および前記プラズマ
    工程は、連続した工程である、ことを特徴とする請求項
    7に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記動作層形成工程に先だって、前記プ
    ラズマ工程が行われる、ことを特徴とする請求項7に記
    載の電界効果トランジスタの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記プラズマ工程に先だって、前記動
    作層形成工程が行われる、ことを特徴とする請求項7に
    記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  11. 【請求項11】 III−V族化合物半導体から成る半
    導体基板であって、 第1の面および前記第1の面に対向する第2の面と、 深部におけるキャリア捕獲準位の密度に比べてキャリア
    捕獲準位の密度が低く、前記第1の面の表層に設けられ
    た低準位部分と、を備える半導体基板。
  12. 【請求項12】 前記III−V族化合物半導体は、半
    絶縁性GaAs半導体である、ことを特徴とする請求項
    11に記載の半導体基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011504032A (ja) * 2007-11-12 2011-01-27 アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド 無線周波数送信機

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