JPH1132966A - 食器洗浄機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 すすぎ水貯留槽内のすすぎ水を必要時にのみ
昇温させ、もってエネルギ消費の低減等を実現した食器
洗浄機を提供する。 【解決手段】 食器洗浄機内に食器等がセットされたラ
ックが挿入され、洗浄作業者が始動スイッチをＯＮする
と、洗浄工程が開始されて、洗浄ポンプ１１により洗浄
水貯留槽９内の洗浄水７が下部洗浄ノズル２５および上
部洗浄ノズル２３に圧送される。この際、ＥＣＵ４１
は、すすぎ水１３の温度Ｔｒと第２すすぎ水温目標値Ｔ
rt2との偏差を無くすように、第２シースヒータ２０へ
の通電制御を行う。その結果、すすぎ水１３の温度Ｔｒ
が急速に上昇して、洗浄工程およびその後の休止時間が
経過するまでに第２すすぎ水温目標値Ｔrt2に等しくな
り、良好なすすぎが実現される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、食器洗浄の省力化
等に供される食器洗浄機に係り、詳しくは、すすぎ水を
加熱するためのエネルギの低減等を図る技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、レストラン等の厨房を始め、一般
家庭の台所等においても、食器洗浄作業の省力化や効率
化を図るために、大小様々な食器洗浄機が設置されてい
る。食器洗浄機は、通常、洗浄工程とすすぎ工程を１サ
イクルとして食器洗浄作業を行うもので、トレー上に汚
れた食器をセットして装置内に配置すれば、ごく短時間
で多数の食器の洗浄、すすぎ、および余熱乾燥が自動的
に行われる。食器洗浄機では、洗浄工程において洗剤等
を溶かし込んだ中温（例えば、６５℃程度）の温水が洗
浄水として用いられ、すすぎ工程においては洗剤の残留
等を防ぐために比較的高温（例えば、８５℃程度）の温
水がすすぎ水として用いられることが多い。そのため、
食器洗浄機の筐体には、洗浄水を貯留する洗浄水貯留槽
と、すすぎ水を貯留するすすぎ水貯留槽とが内蔵される
と共に、両貯留槽には電気ヒータ等の加熱装置が付設さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述した食器洗浄機に
は、すすぎ水に比較的高温の温水を使用する都合上、エ
ネルギ消費が多くなる等の不具合が避けられなかった。
例えば、すすぎ水の設定温度を８５℃とした場合、室温
が２０℃のときの温度差は６５℃と大きくなり、すすぎ
水貯留槽の壁面からは多量の熱エネルギーが外部に放出
される。これにより、すすぎ水貯留槽内のすすぎ水を設
定温度に保つためには、電気ヒータ等への通電時間を多
くする必要が生じて電気エネルギの消費量が増大する
他、食器洗浄機の周囲温度も上昇して空調負荷等を増大
させる要因にもなっていた。

【０００４】本発明は、上記状況に鑑みなされたもの
で、すすぎ水貯留槽内のすすぎ水を必要時にのみ昇温さ
せ、もってエネルギ消費の低減等を実現した食器洗浄機
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、請求項１の発明
では、洗浄工程とすすぎ工程とを含むサイクルで食器洗
浄作業を行うと共に、すすぎ工程では加熱されたすすぎ
水を用いる食器洗浄機において、前記すすぎ水を貯留す
るすすぎ水貯留槽と、このすすぎ水貯留槽内のすすぎ水
を加熱するすすぎ水加熱装置と、このすすぎ水加熱装置
により前記洗浄工程中にすすぎ水を昇温させるすすぎ水
温制御手段とを備えたものを提案する。

【０００６】この発明では、例えば、すすぎ水温制御手
段は、主電源が投入されているときにはすすぎ水の温度
を比較的低く保っておき、洗浄開始スイッチ等がＯＮ状
態になると、すすぎ工程で比較的高温のすすぎ水を得る
べく、洗浄工程の開始時点からすすぎ水加熱装置を用い
てすすぎ水を急速に昇温させる。

【０００７】また、請求項２の発明では、前記すすぎ水
温制御手段は、食器洗浄作業開始前にはすすぎ水貯留槽
内のすすぎ水の目標温度を第１所定温度とし、前記洗浄
工程開始後には当該目標温度を第１所定温度より高い第
２所定温度とするものを提案する。

【０００８】この発明では、すすぎ水温制御手段は、単
に洗浄工程開始時に目標温度を高めるだけで、すすぎ水
の昇温を行う。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づき詳細に説明する。

【００１０】図１は本発明に係る業務用食器洗浄機の概
略構成図であり、図中の符号１は箱形の基台を示してい
る。基台１には、その上部に箱形のフード３が載置され
ており、フード３の内部には水密構造の洗浄室５が形成
されている。また、基台１の内部には、洗浄水７を貯留
する洗浄水貯留槽９、洗浄水貯留槽９内の洗浄水７を洗
浄室５側に送給する洗浄ポンプ１１、すすぎ水１３を貯
留するすすぎ水貯留槽１５、すすぎ水貯留槽１５内のす
すぎ水１３を洗浄室５側に送出するすすぎポンプ１７等
が配設されている。図中、１９，２０は洗浄水７やすす
ぎ水１３の加熱を行う第１，第２シースヒータであり、
第１シースヒータ１９は洗浄水貯留槽９内に配設され、
第２シースヒータ２０はすすぎ水貯留槽１５内に配設さ
れている。また、２１は図示しない湯沸器からの給湯配
管であり、２２は給湯配管２１に介装された電磁遮断弁
である。

【００１１】一方、洗浄室５内には、上部洗浄ノズル２
３と下部洗浄ノズル２５とが配設されており、更に、上
部洗浄ノズル２３の直下には上部すすぎノズル２７が取
り付けられ、下部洗浄ノズル２５の直上には下部すすぎ
ノズル２９が取り付けられている。両洗浄ノズル２３，
２５と両すすぎノズル２７、２９とは、いずれも水平方
向に延設されており、長手方向の中間部を中心として水
平面内を回転する。さらに、上部洗浄ノズル２３と上部
すすぎノズル２７とには、斜め下方に向けて洗浄水やす
すぎ水を噴出する噴射孔（図示せず）がそれぞれ形成さ
れている。同様に、下部洗浄ノズル２５と下部すすぎノ
ズル２９とにも、斜め上方に向けてそれぞれ洗浄水やす
すぎ水を噴出する噴射孔（図示せず）が形成されてい
る。尚、洗浄室５内には、上部すすぎノズル２７と下部
すすぎノズル２９との間に、洗浄を行うべき食器類がラ
ックに積まれた状態でセットされる。

【００１２】前述した洗浄ポンプ１１と下部洗浄ノズル
２５とは、給水管３１によって接続されており、上部洗
浄ノズル２３と給水管３１とは、給水管３１の上端から
分岐して洗浄室５の端を上方に立ち上がる給水管３３
と、洗浄室５の上端に沿って中央に至る給水管３５とに
より接続されている。また、上部すすぎノズル２７と下
部すすぎノズル２９とは、すすぎポンプ１７に接続して
基台１および洗浄室５の端を上方に立ち上がる給水管３
７と、この給水管３７の上端から分岐した給水管３９と
により接続されている。給水管３９の上端は、洗浄室５
の端部を上方に向けて延設され、ここで屈曲して上部す
すぎノズル２７に接続し、給水管３９の下端は、洗浄室
５の端部を下方に向けて延設され、ここで屈曲して下部
すすぎノズル２９に接続している。

【００１３】基台１の下部には、ＣＰＵを始め、入出力
インタフェースやＲＯＭ、ＲＡＭ等から構成された、電
子制御ユニット（以下、ＥＣＵと記す）４１が設置され
ている。ＥＣＵ４１は、内蔵した制御プログラムや図示
しないスイッチ類等からの入力信号に基づき、洗浄ポン
プ１１やすすぎポンプ１７、第１，第２シースヒータ１
９，２０等の駆動制御を行う。尚、ＥＣＵ４１の入力イ
ンタフェースには、洗浄水貯留槽９内の洗浄水７の温度
を検出する第１水温センサ４３、すすぎ水貯留槽１５内
のすすぎ水１３の温度を検出する第２水温センサ４５、
浄水貯留槽９内の洗浄水７の水位を検出する第１水位セ
ンサ４７、すすぎ水貯留槽１５内のすすぎ水１３の水位
を検出する第２水位センサ４９等が接続している。

【００１４】次に、本実施形態における洗浄工程とすす
ぎ工程とを簡単に説明する。

【００１５】食器洗浄作業にあたって、洗浄作業者は、
先ず、上部すすぎノズル２７と下部すすぎノズル２９と
の間に食器等がセットされたラックを挿入する。しかる
後、洗浄作業者が洗浄開始スイッチ（図示せず）をＯＮ
状態にすると洗浄工程が開始され、ＥＣＵ４１の指令に
より洗浄ポンプ１１が起動し、洗浄水貯留槽９内の洗浄
水７が吸引されて給水管３１に吐出される。洗浄ポンプ
１１から吐出された洗浄水は、給水管３１を介して下部
洗浄ノズル２５に圧送され、さらに給水管３３、３５を
介して上部洗浄ノズル２３に圧送される。圧送された洗
浄水は、下部洗浄ノズル２５の噴射孔から斜め上方に噴
射され、上部洗浄ノズル２３の噴射孔から斜め下方に噴
射される。このとき、上部洗浄ノズル２５および下部洗
浄ノズル２７は、洗浄水を噴射する際の反動により回転
する。これにより、ラック内の食器には高圧の洗浄水が
万遍なく吹き付けられ、食器に付着した汚れ等が洗い流
される。所定時間（本実施形態では、９６秒）に亘る洗
浄工程が終了すると、ＥＣＵ４１は洗浄ポンプ１１を停
止させる。尚、洗浄水貯留槽９内の洗浄水７には洗浄機
用の洗剤が溶かし込まれているが、洗剤の濃度は図示し
ない濃度センサにより適宜検出されており、これが所定
濃度以下に低下した場合には、図示しない洗剤供給装置
から洗浄水７に自動的に洗剤が補給される。

【００１６】洗浄ポンプ１１の停止後に所定の休止時間
（本実施形態では、４秒）が経過するとすすぎ工程が開
始され、ＥＣＵ４１の指令によりすすぎポンプ１７が起
動し、すすぎ水貯留槽１５内のすすぎ水１３が吸引され
て給水管３７に吐出される。吐出されたすすぎ水は、給
水管３９を介して上部すすぎノズル２７および下部すす
ぎノズル２９に圧送される。圧送されたすすぎ水は、上
部すすぎノズル２７の噴射孔から斜め下方に向けて噴射
され、下部すすぎノズル２９の噴射孔から斜め上方に向
けて噴射される。このときも、上述の洗浄ノズル２３、
２５と同様、すすぎノズル２７、２９はすすぎ水を噴射
する際の反動により回転する。これにより、高圧のすす
ぎ水が食器の隅々まで吹きかけられ、食器に付着した洗
剤が洗い流される。所定時間（本実施形態では、１０
秒）に亘るすすぎ工程が終了すると、ＥＣＵ４１はすす
ぎポンプ１７を停止させる。すすぎ工程が終了すると、
ラックが洗浄作業者により洗浄室５外に搬出され、ラッ
ク内の食器はすすぎ工程の余熱により乾燥する。

【００１７】以下、図２のタイムチャートを用いて、本
実施形態での水温制御を説明する。

【００１８】食器洗浄機の主電源が投入されると、ＥＣ
Ｕ４１は、第１，第２水位センサ４７，４９の検出信号
に基づいて、すすぎポンプ１７を駆動すると共に、給湯
配管２１の電磁遮断弁２２を開放する。これにより、湯
沸器からの温湯（６０℃程度）がすすぎ水貯留槽１５に
供給され、更に洗浄水貯留槽９にはすすぎ水貯留槽１５
内の温湯が供給される。この作業は、例えば、食器洗浄
作業の終了時に洗浄水貯留槽９内の汚濁した洗浄水７が
廃却されるため、翌日の運転開始にあたって洗浄水貯留
槽９の水位を復帰させるために行われる。

【００１９】両貯留槽９，１５の水位が予め設定された
値になると、ＥＣＵ４１は、すすぎポンプ１７を停止さ
せ、電磁遮断弁２２も閉鎖し、洗浄水貯留槽９内の洗浄
水７とすすぎ水貯留槽１５内のすすぎ水１３との水温制
御を開始する。すなわち、第１，第２水温センサ４３，
４５の検出信号に基づき、洗浄水７の温度Ｔｗが洗浄水
温目標値Ｔwt（本実施形態では、６６℃±２℃）とな
り、すすぎ水１３の温度Ｔｒが第１すすぎ水温目標値Ｔ
rt1（本実施形態では、６６℃±２℃）となるように、
図２に示したように、第１，第２シースヒータ１９，２
０への通電制御を行う。この際、洗浄水温目標値Ｔwtお
よび第１すすぎ水温目標値Ｔrt1と室温（例えば、２０
℃）との温度差が比較的小さい（４６℃±２℃）ため、
洗浄水貯留槽９やすすぎ水貯留槽１５の壁面から外部へ
の熱エネルギーの放出は比較的小さく抑えられる。

【００２０】さて、食器洗浄機内に食器等がセットされ
たラックが挿入され、洗浄作業者が始動スイッチをＯＮ
すると、前述したように洗浄工程が開始されて、洗浄ポ
ンプ１１により洗浄水貯留槽９内の洗浄水７が下部洗浄
ノズル２５および上部洗浄ノズル２３に圧送される。こ
のとき同時に、ＥＣＵ４１は、すすぎ水１３の温度Ｔｒ
と第２すすぎ水温目標値Ｔrt2（本実施形態では、８４
℃±２℃）との偏差を無くすように、第２シースヒータ
２０への通電制御を行う。その結果、図２に示したよう
に、洗浄工程およびその後の休止時間が経過（本実施形
態では、１００秒）するまでに、すすぎ水１３の温度Ｔ
ｒが急速に上昇して第２すすぎ水温目標値Ｔrt2に等し
くなり、良好なすすぎが実現されるのである。尚、すす
ぎ工程が終了すると、ＥＣＵ４１は、再びすすぎ水１３
の温度Ｔｒが第１すすぎ水温目標値Ｔrt1（本実施形態
では、６６℃±２℃）となるように、第２シースヒータ
２０への通電制御を行う。

【００２１】このように、本実施形態の食器洗浄機で
は、洗浄工程の開始時点からすすぎ水の昇温を行うよう
にしたため、主電源投入後に長時間に亘って食器洗浄作
業が開始されない場合等には、すすぎ水の温度が比較的
低く保たれ、すすぎ水貯留槽の外壁からの熱エネルギの
放出が抑制できた。また、食器洗浄機の周囲温度が低く
なるため、厨房における空調負荷等を小さくすることも
できた。

【００２２】以上で具体的実施形態の説明を終えるが、
本発明の態様はこれに限られるものではなく、例えば、
上記実施形態では、洗浄工程の開始時点ですすぎ水温の
設定値を変更するようにしたが、洗浄工程開始後に所定
時間が経過した時点で設定値の変更を行うようにしても
よい。また、上記実施形態では、すすぎ水の加熱装置と
して単一のシースヒータを用いるようにしたが、昇温専
用の大容量ヒータを別途設けるようにしてもよい。ま
た、上述した各設定値の具体的値や食器洗浄機の具体的
構成等についても、仕様や設計上の要求に応じて適宜変
更可能である。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、少なくとも洗浄工程と
すすぎ工程とを含むサイクルで食器洗浄作業を行うと共
に、すすぎ工程で比較的高温のすすぎ水を用いる食器洗
浄機において、前記すすぎ水を貯留するすすぎ水貯留槽
と、このすすぎ水貯留槽内のすすぎ水を加熱するすすぎ
水加熱装置と、このすすぎ水加熱装置により前記洗浄工
程中にすすぎ水を昇温させるすすぎ水温制御手段とを備
えるようにしたため、食器洗浄作業時以外にはすすぎ水
の温度が比較的低くなり、すすぎ水貯留槽の外壁等から
の熱エネルギの放出に起因するエネルギ消費や空調負荷
等の増大を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る食器洗浄機の一実施形態を示す概
略構成図である。

【図２】実施形態の作用を説明するためのタイムチャー
トである。

【符号の説明】

９ 洗浄水貯留槽 １３ すすぎ水 １５ すすぎ水貯留槽 １９ 第１シースヒータ ２０ 第２シースヒータ ４１ 電子制御ユニット ４５ 第１水温センサ ４５ 第２水温センサ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗浄工程とすすぎ工程とを含むサイクル
   で食器洗浄作業を行うと共に、すすぎ工程では加熱され
   たすすぎ水を用いる食器洗浄機において、 前記すすぎ水を貯留するすすぎ水貯留槽と、 このすすぎ水貯留槽内のすすぎ水を加熱するすすぎ水加
   熱装置と、 このすすぎ水加熱装置により前記洗浄工程中にすすぎ水
   を昇温させるすすぎ水温制御手段とを備えたことを特徴
   とする食器洗浄機。
2. 【請求項２】 前記すすぎ水温制御手段は、食器洗浄作
   業開始前にはすすぎ水貯留槽内のすすぎ水の目標温度を
   第１所定温度とし、前記洗浄工程開始後には当該目標温
   度を第１所定温度より高い第２所定温度とすることを特
   徴とする、請求項１記載の食器洗浄機。