JPH11329352A - メタルハライドランプおよび照明装置 - Google Patents

メタルハライドランプおよび照明装置

Info

Publication number
JPH11329352A
JPH11329352A JP13369398A JP13369398A JPH11329352A JP H11329352 A JPH11329352 A JP H11329352A JP 13369398 A JP13369398 A JP 13369398A JP 13369398 A JP13369398 A JP 13369398A JP H11329352 A JPH11329352 A JP H11329352A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lamp
metal halide
substance
voltage
arc tube
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP13369398A
Other languages
English (en)
Inventor
Shingo Tosaka
真吾 東坂
Atsunori Okada
淳典 岡田
Takuma Hashimoto
拓磨 橋本
Kazuhiko Sakai
和彦 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP13369398A priority Critical patent/JPH11329352A/ja
Publication of JPH11329352A publication Critical patent/JPH11329352A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水銀の封入量を少量ないしゼロにするととも
に電力損失の増大を抑制する。 【解決手段】 発光管11および外管12により構成さ
れるメタルハライドランプに対して、発光管11の内部
に、アルゴンガスを4kPa、NdI3 を20mgそし
てCsIを8mg封入するとともに、水銀の封入量をゼ
ロにした上に、添加物質としての沃化ガリウム(GaI
3 )を15mg封入する。或は、発光管11の内部に、
アルゴンガスを4kPa、NdI3 を20mg、CsI
を8mgそして水銀を少量の5mgを封入するととも
に、添加物質としての沃化ジルコニウム(ZrI4 )を
10mg封入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透光性材料により
なる発光管を備え、この発光管内に希ガスおよび金属ハ
ロゲン化物等が封入されてなるメタルハライドランプ、
およびこのメタルハライドランプを具備した照明装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】まず、一般的なメタルハライドランプお
よび安定器について簡単に述べる(電気学会発行照明工
学より一部抜粋)。発光管両端の電極間に電圧を印加す
ることにより生じる電界で加速された電子が希ガスの原
子に衝突し、これを電離する過程の繰り返しにより希ガ
スの放電が生じる。この希ガス放電による熱で発光管内
に封入されている水銀と金属ハロゲン化物が蒸発する。
蒸発した金属ハロゲン化物は放電空間中で中間生成物や
金属原子、ハロゲンに解離し、解離した金属原子が励起
されることにより発光を得る。メタルハライドランプに
用いる一般的な金属ハロゲン化物は、所望の分光分布が
得られること、発光管や電極と反応しにくいこと、最冷
点温度で発光に必要な100Paから数万Paの蒸気圧
が得られることなどの理由で選択されている。メタルハ
ライドランプの最冷点温度は多種多様の品種があるため
一概にはいえないが、選択された金属ハロゲン化物を効
率よく動作させるために通常500℃から800℃前後
に設計されている。
【0003】メタルハライドランプの放電はいわゆる高
圧アーク放電などと呼ばれる放電であり、その電気特性
は水銀蒸気圧に大きく依存する。なぜなら発光物質であ
る金属ハロゲン化物の点灯中の圧力が100Paから数
万Pa程度なのに対して水銀の圧力が1〜十数気圧にも
なるからである。高圧アーク放電では電子と気体原子は
熱平衡状態にあり、気体原子同士の衝突による熱励起や
熱電離が行われる。ランプ電流が増加して電子密度が増
大すると、準安定状態からの電離が起こりやすくなるた
め、陽光柱の電界強度が小さくなる。従ってランプ電流
が増えるとランプ電圧が低下することになる。これを放
電ランプの負特性という。放電ランプを電源に直接接続
して始動させると、この負特性のためにランプ電流は無
限に増大してランプや回路を破壊してしまう。このラン
プ電流を制限する働きをするのが安定器である。一般的
な点灯方式である交流点灯の場合、安定器は抵抗、イン
ダクタンス、キャパシタンスにより構成される。これら
の電気素子により安定器では、(電流)2×インピーダ
ンスの電力損失が発生する。
【0004】以上のように、水銀は従来のメタルハライ
ドランプの放電を維持するために必要不可欠な物質にな
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、環境保
護等の理由から低水銀ないし無水銀化が望まれる。
【0006】この要望に応えるべく水銀量を減らすと、
点灯時の放電空間中での粒子密度が低くなり、ランプ電
圧が小さいランプになってしまう。このランプに所定の
電力を加えようとすると、所定の水銀を加えたランプよ
りも大きなランプ電流が流れることになり、電力損失が
増大してしまう他、ランプの他の特性や構成部品にも影
響を与える。例えば、電極は大きな電流に耐えるために
大きくしなければならない。電極が大きくなると熱容量
が増大するために、ランプ始動時の熱電子放出量が少な
くなり、その結果、始動電圧の上昇を引き起こしてしま
う。安定器や配線も大電流に耐えるために大型にする必
要がある。
【0007】また、ランプ電圧を補正する方法として、
電極間の距離を長くすることによって粒子の衝突を増や
す方法が知られているが、始動電圧が上昇する欠点があ
る。また、光学設計の面からも無制限に電極間距離を長
くできず、実用上問題のない程度の電極間距離の変更で
はランプ電圧の上昇効果は不十分である。
【0008】一方、近年では無電極ランプの開発も盛ん
に行われている。これは、発光管の周囲に巻かれた誘導
コイルに高周波電流を流して電磁界を発生させ、この電
磁界により発光管内の放電ガスを励起・発光させるラン
プであるが、封入物質として金属ハロゲン化物とアルゴ
ンに加えて水銀が用いられているものがある。
【0009】この場合も、水銀の封入量を減らすと、先
に述べた一般のメタルハライドランプと同様に放電空間
中での粒子密度が低くなってしまう。このため放電空間
中の抵抗成分が小さくなり電位傾度(=ランプ電圧)が
小さくなってしまう。無電極ランプには電極が存在しな
いためにランプ電圧を直接測定することはできない。し
かし、誘導コイルと無電極ランプ内で発生した放電は電
気的にある誘導結合係数のトランスで結ばれた電気回路
と見なすことができるために、一般のランプでいうラン
プ電圧は誘導コイルの両端に発生する電圧である「コイ
ル両端電圧」で同義的に表すことができる。つまり、水
銀量を減らした無電極ランプでは一般のランプにおける
ランプ電圧に相当するコイル両端電圧が小さいランプに
なってしまう。
【0010】この様な誘導コイル両端電圧が低い無電極
ランプに所定の電力を加えようとすると、所定の水銀を
加えたランプよりも大きな高周波電流を供給する必要が
生じる。このために電力損失が増大してしまう。なお、
封入物質として水銀を含まない無電極ランプも検討され
ているが、始動電圧が高くなるために高電圧を発生する
始動回路を具備する必要があるなど別の問題点を抱えて
いる。
【0011】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、水銀の封入量が少量ないしゼロでも電力損
失の増大を抑制し得るメタルハライドランプおよびこの
メタルハライドランプを具備した照明装置を提供するも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1記載のメタルハライドランプは、透光性材料
によりなる発光管を備え、この発光管内には、少なくと
も一種類以上の希ガス、少なくとも一種類以上の発光物
質としての金属ハロゲン化物およびランプ電圧を昇圧補
正するための少なくとも一種類以上の添加物質が封入さ
れているものである。
【0013】この構成では、発光管内に水銀が含まれて
いないのでランプ電圧が低下するようになるが、ランプ
電圧を昇圧する添加物質が発光管内に含まれているの
で、ランプ電圧の低下分が補正されるようになる。この
ように、水銀に代る添加物質を発光管内に封入すれば、
水銀の封入量がゼロでも、ランプ電圧の低下に伴うラン
プ電流の増大が抑制されて電力損失の増大が抑制される
ようになる。
【0014】なお、前記発光管内には水銀がさらに封入
され、前記添加物質は、前記水銀の量が所定量よりも少
ないために所定電圧よりも低くなるランプ電圧を昇圧補
正するものでもよい(請求項2)。この場合には、従来
では所定量の水銀が発光管内に封入されていたのでラン
プ電圧が所定電圧になるのに対して、発光管内に封入さ
れる水銀の封入量が少量に低減されるので、この低減さ
れる分量に応じてランプ電圧が低下するようになるが、
水銀の量が所定量よりも少ないために所定電圧よりも低
くなるランプ電圧が添加物質によって昇圧されるので、
ランプ電圧の低下分が補正されるようになる。これによ
り、水銀の封入量が従来の量よりも少量でも、ランプ電
圧の低下に伴うランプ電流の増大が抑制されて電力損失
の増大が抑制されるようになる。
【0015】また、前記発光管内には、10mg以下ま
たは前記発光管の内容積が1cc以下である場合には1
0mg/cc以下の水銀が封入されている構成でもよい
(請求項3)。この構成によれば、水銀の封入量が従来
の量よりも少量でも電力損失の増大が抑制されるように
なる。
【0016】また、前記発光管を内部に収納する外管を
備えた構成でもよい(請求項4)。この構成でも、水銀
の封入量が少量ないしゼロでも電力損失の増大が抑制さ
れるようになる。
【0017】請求項5記載のメタルハライドランプは、
透光性材料によりなる発光管およびこの発光管の外周に
設けられた点灯用の誘導コイルを備え、前記発光管内に
は、少なくとも一種類以上の希ガス、少なくとも一種類
以上の発光物質としての金属ハロゲン化物、水銀および
この水銀の量が所定量よりも少ないために所定電圧より
も低くなる前記誘導コイルの両端電圧を昇圧補正するた
めの少なくとも一種類以上の添加物質が封入されている
ものである。
【0018】この構成では、従来では所定量の水銀が発
光管内に封入されていたので誘導コイルの両端電圧が所
定電圧になるのに対して、発光管内に封入される水銀の
封入量が少量に低減されるので、この低減される分量に
応じて誘導コイルの両端電圧が低下するようになるが、
水銀の量が所定量よりも少ないために所定電圧よりも低
くなる誘導コイルの両端電圧が添加物質によって昇圧さ
れるので、両端電圧の低下分が補正されるようになる。
これにより、水銀の封入量が従来の量よりも少量でも、
電力損失の増大が抑制されるようになる。
【0019】また、前記添加物質が400℃で13.3
kPa以上の蒸気圧特性を有するようにすれば(請求項
6)、放電空間中の粒子密度が高まってランプ電流が低
減するようになる。これにより、電力損失の増大が抑制
されるようになる。また、前記添加物質を金属ハロゲン
化物にすれば(請求項7)、添加物質としての金属ハロ
ゲン化物が発光管近傍でハロゲンサイクルによって化学
的に安定なハロゲン化物に戻るようになる。これによ
り、添加物質による発光管の浸食が防止されるようにな
る。
【0020】また、前記添加物質としての金属ハロゲン
化物は複数のハロゲンにより構成されるものでもよい
(請求項8)。ここで、金属をM、ハロゲンをX、価数
をnとして表される金属ハロゲン化物MXnは、解離す
れば、MXn,MX(n-1) ,MX(n-2) ,…,MX,
M,Xに分解される。これらの物質の存在する割合は、
系の状態が最も安定する割合に可逆的に変化して最終的
に落ち着く。例えば、価数が1である沃化インジウム
(InI)はInI,In,Iの3種類の物質になるの
に対して、同じインジウム化合物でも価数が3の3沃化
インジウム(InI3 )はInI3 ,InI2 ,In
I,In,Iの5種類の物質になり、これらの物質は1
つの系の中に存在するようになる。つまり、InIは3
つの物質が系の安定する割合で存在するのに対して、I
nI3 は5つの物質が1つの系の安定する割合に変化す
るために、必然的に金属単体であるInの割合が少なく
なる。金属原子単体以外の原子団は、電離もしくは励起
電圧が金属原子単体よりも高いために電離もしくは励起
されにくい。つまり、添加物質から解離した金属原子の
存在割合が小さいために非弾性衝突による電離や励起が
少なくなり、ランプ電流の増大が防止されるので、添加
物質本来の効果であるランプ電流低減効果が損われな
い。また添加物質の封入による不要な発光も少なくな
る。また、前記添加物質またはこの添加物質が解離され
て生成される物質は、前記発光物質としての金属ハロゲ
ン化物に含まれる金属よりも電離電圧が高いものでもよ
い(請求項9)。この場合には、添加物質が解離して金
属原子になったとしても、この金属原子は発光物質とし
ての金属ハロゲン化物に含まれる金属よりも電離電圧が
高いので、添加物質から解離した金属原子の非弾性衝突
による電離が起こり難くなり、ランプ電流の増大が防止
されるようになる。
【0021】また、前記添加物質またはこの添加物質が
解離されて生成される物質は、前記発光物質としての金
属ハロゲン化物に含まれる金属よりも励起電圧が高いも
のでもよい(請求項10)。この場合には、添加物質が
解離して金属原子になったとしても、この金属原子は、
発光物質としての金属ハロゲン化物に含まれる金属より
も励起電圧が高く励起され難いので、発光が生じ難くな
って、発光物質の発光に対する添加物質の発光の影響が
小さくなる。これにより、当該ハロゲンランプの光色が
設計当初の光色からほとんどずれなくなり、ほぼ設計通
りの光色が得られるようになる。
【0022】また、前記添加物質またはこの添加物質が
解離されて生成される物質は、前記発光物質としての金
属ハロゲン化物に含まれる金属よりも380〜780n
mの可視域での発光が生じ難いものでもよい(請求項1
1)。この場合には、添加物質が解離して金属原子にな
り励起・発光しても、発光物質による可視域の発光に対
する添加物質の発光の影響が小さくなる。これにより、
当該ハロゲンランプの光色が設計当初の光色からほとん
どずれなくなり、ほぼ設計通りの光色が得られるように
なる。
【0023】さらに、前記希ガスは、Xe、Kr、N
e、Arまたはこれらの混合物によりなるものでもよく
(請求項12)、前記透光性材料は石英または透光性セ
ラミックスであってもよく(請求項13)、また、前記
添加物質は、Al、B、Ga、Ge、Hf、Sb、S
i、Sn、Te、TiおよびZrのうち、少なくとも1
種類以上の金属を含むものでもよく(請求項14)、こ
れらいずれの場合にも、電力損失の増大が抑制されるよ
うになる。
【0024】請求項15記載の発明の照明装置は、上記
メタルハライドランプと、このメタルハライドランブを
点灯させる点灯装置とを備えたものである。
【0025】この構成によれば、上記同様、水銀の封入
量が少量ないしゼロでも電力損失の増大が抑制されるよ
うになる。
【0026】なお、上記いずれの場合においても、ラン
プ電流の増大が抑制されるので、ランプ電極を大型化す
る必要がなくなり、始動性が損われなくなる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。ただし、各実施形態における電気特性の測定
にあたっては、同一条件となるように全て同じ安定器を
用いて測定を行った。また、説明内の物性データについ
ては、"Smithells Metals ReferenceBook Seventh Edit
ion", Edited by E. A. Brandes and G. B. Brook, But
terworth-Heinemann LTD, (1992)、理科年表(1988
年度版)および "ATOMIC SPECTRA AND THE VECTOR MODE
L", Chris Cand1er, HILGER & WATTS LTD, (1928)を引
用した。
【0028】図1は、本発明のメタルハライドランプに
係る第1実施形態を示す構成図で、以下この図を用いて
第1実施形態について説明すると、本メタルハライドラ
ンプ(ランプ10)は、発光管11および外管12によ
り構成されている。
【0029】この発光管11は透光性の石英ガラスによ
り内径が10mmの円筒状に形成され、両側の各々に封
着部111が設けられている。これら封着部111内に
は、80mm離間した電極112がそれぞれ封着されて
おり、さらに一端が電極112に他端が電極導入線11
3に接続されている金属箔導体114がそれぞれ収納さ
れている。また、封着部111から電極112周囲の外
表面は、例えば酸化ジルコニウムなどによりなる保温膜
(図中斜線部分)で覆われている。
【0030】そして、この発光管11は、両電極導入線
113がそれぞれ外管12に溶着されたステム121に
接続した両発光管支柱122に接続されて、外管12内
に収納保持されている。また、一方(図では上方)の発
光管支柱122にはBaゲッター123およびZr−A
lゲッター124が取り付けられており、口金125
は、ステム121、発光管支柱122、電極導入線11
3および金属箔導体114を介して電極112と電気的
に接続されている。
【0031】このようにして構成されたランプ10は、
始動時に印可するパルスの発生器を内蔵した安定器(図
示せず)などを介して商用電源(図示せず)に接続され
る。従って、一実施形態としての照明装置は、ランプ1
0およびこのランプ10を点灯させる点灯装置としての
発生器を内蔵した安定器により構成される。
【0032】次に、ランプ10の発光管11内に封入さ
れる封入物(希ガス、発光物質および添加物質)の詳細
について、従来のメタルハライドランプ(ランプA)の
ものと比較しつつ説明する。
【0033】まず、ランプAの発光管内には、アルゴン
ガスが4kPa、NdI3 が20mg、CsIが8mg
そして水銀が25mg封入されている。なお、ランプA
は、正確な比較のために封入物以外はランプ10と同様
に構成されている。
【0034】これに対して、ランプ10の発光管11内
には、ランプAと同様にアルゴンガスが4kPa、Nd
3 が20mgそしてCsIが8mg封入されている
他、水銀の封入量がゼロにされた上に、添加物質として
の沃化ガリウム(GaI3 )が15mg封入されてい
る。この封入された添加物質GaI3 は、400℃では
310kPa、500℃では1580kPaとなる蒸気
圧特性を有している。
【0035】このように水銀の封入量をゼロにするとラ
ンプ電圧が低下してランプ電流が増大することとなる
が、ランプ10は、添加物質GaI3 が封入されている
ので、ランプ電圧があまり低下せずにランプ電流がほと
んど増大しないランプ電圧およびランプ電流の特性を有
するものとなっている。すなわち、ランプ10は、次の
(表1)に示すようなランプ電圧およびランプ電流の特
性を有している。
【0036】
【表1】 ただし、ランプBは、ランプ10の添加物質による電力
損失の増大抑制の効果がどの程度であるかを確認するた
めに別途用意されたものであり、ランプAの水銀封入量
をランプ10と同様にゼロにしたもので、これ以外はラ
ンプAと同一に構成されている。また、入力電力はいず
れも400Wになっている。ここで、既に明らかではあ
るが、(表1)を用いてランプ10の添加物質による電
力損失の増大抑制の効果について説明すると、まず、ラ
ンプAに対して水銀の封入量をゼロにすれば、ランプB
の欄に示されるように、ランプ電圧が130Vから43
Vに低下してランプ電流が3.5Aから10.7Aに増
大することが分る。これに対して添加物質GaI3 を1
5mg封入すれば、ランプ電圧が43Vから117Vに
昇圧補正されてランプ電流が10.7Aから3.8Aに
低減されるのが分る。このランプ電流の低減に応じて、
安定器や配線等の装置部品で発生する電力損失の増大が
抑制されることになる。
【0037】このようにランプ電流が低減されるのは、
蒸発した添加物質GaI3 により放電空間内の粒子数が
増加して粒子同士の衝突回数が増加するとともに、添加
物質GaI3 が解離して発生した沃素により放電空間が
規制されるからである。
【0038】以上、第1実施形態によれば、水銀の封入
量がゼロでも電力損失の増大を抑制することが可能にな
る。
【0039】次に、本発明のメタルハライドランプの第
2実施形態について説明すると、本メタルハライドラン
プ(ランプ20)は、ランプ10と同様に発光管11お
よび外管12により構成されている他、ランプ10とは
異なる封入物が発光管11内に封入されている。
【0040】すなわち、ランプ20の発光管11内に
は、ランプ10と同様にアルゴンガスが4kPa、Nd
3 が20mgそしてCsIが8mg封入されている
他、水銀が5mg封入されているとともに、ランプ10
とは異なる添加物質としての沃化ジルコニウム(ZrI
4 )が10mg封入されている。この封入された添加物
質ZrI4 は、400℃では36kPa、500℃では
590kPaとなる蒸気圧特性を有している。
【0041】このように、上記ランプAよりも水銀の封
入量を低減するとランプ電圧が低下してランプ電流が増
大することとなるが、ランプ20は、添加物質ZrI4
が封入されているので、ランプ電圧があまり低下せずに
ランプ電流がほとんど増大しないランプ電圧およびラン
プ電流の特性を有するものとなっている。すなわち、ラ
ンプ20は、次の(表2)に示すようなランプ電圧およ
びランプ電流の特性を有している。
【0042】
【表2】 ただし、ランプCは、ランプ20の添加物質による電力
損失の増大抑制の効果がどの程度であるかを確認するた
めに別途用意されたものであり、ランプAの水銀封入量
をランプ20と同様に5mgに低減したもので、これ以
外はランプAと同一に構成されている。また、入力電力
はいずれも400Wになっている。ここで、(表2)を
用いてランプ20の添加物質による電力損失の増大抑制
の効果について説明すると、まず、ランプAに対して水
銀の封入量を25mgから5mgに低減すれば、ランプ
Cの欄に示されるように、ランプ電圧が130Vから8
0Vに低下(40%低下)してランプ電流が3.5Aか
ら5.9Aに増大することが分る。これに対して添加物
質ZrI4 を10mg封入すれば、ランプ電圧が80V
から127Vに昇圧補正されてランプ電流が5.9Aか
ら3.7Aに低減されることが分る。このランプ電流の
低減に応じて、安定器や配線等の装置部品で発生する電
力損失の増大が抑制されることになる。
【0043】このようにランプ電流が低減されるのは、
蒸発した添加物質ZrI4 により放電空間内の粒子数が
増加して粒子同士の衝突回数が増加するとともに、添加
物質ZrI4 が解離して発生した沃素により放電空間が
規制されるからである。
【0044】以上、第2実施形態によれば、水銀の封入
量が従来の量より少量でも電力損失の増大を抑制するこ
とが可能になる。
【0045】なお、第2実施形態では、発光管11内に
400℃で36kPaの蒸気圧特性を有する添加物質を
封入して電力損失の増大を抑制する構成になっている
が、発光管11内に400℃で13.3kPa以上の蒸
気圧特性を有する添加物質を封入すれば、放電空間中に
おける粒子密度が高まってランプ電流が低減し、これに
より電力損失の増大が抑制されることが確められてい
る。
【0046】次に、本発明のメタルハライドランプの第
3実施形態について、本発明のメタルハライドランプの
第4実施形態とともに説明する。
【0047】第3実施形態のメタルハライドランプ(ラ
ンプ30)は、ランプ20と同様に発光管11および外
管12により構成されている他、ランプ20とは異なる
封入物が発光管11内に封入されている。すなわち、こ
の発光管11内には、ランプ20と同様にアルゴンガス
が4kPa、NdI3 が20mg、CsIが8mgそし
て水銀が5mg封入されている他、ランプ20とは異な
る添加物質としての沃化チタン(TiI2 )が封入され
ている。
【0048】他方、第4実施形態のメタルハライドラン
プ(ランプ40)は、ランプ20と同様に発光管11お
よび外管12により構成されている他、ランプ20とは
異なる封入物が発光管11内に封入されている。すなわ
ち、この発光管11内には、ランプ20と同様にアルゴ
ンガスが4kPa、NdI3 が20mg、CsIが8m
gそして水銀が5mg封入されている他、ランプ20と
は異なる添加物質としての沃化チタン(TiI4 )が1
0mg封入されている。この封入された添加物質TiI
4 は、400℃では150kPa、500℃では560
kPaとなる蒸気圧特性を有している。
【0049】なお、TiI2 とTiI4 との蒸気圧特性
が異なるため、ランプ30の発光管11内には、蒸発量
がランプ40のTiI4 と同じになる量のTiI2 が封
入されている。
【0050】このように、上記ランプAよりも水銀の封
入量を低減するとランプ電圧が低下してランプ電流が増
大することとなるが、ランプ30,40は、それぞれ添
加物質TiI2 ,TiI4 が封入されているので、ラン
プ電圧が昇圧補正されてランプ電流の増大が低減された
ランプ電圧およびランプ電流の特性を有するものとなっ
ている。すなわち、ランプ30,40は、次の(表3)
に示すようなランプ電圧およびランプ電流の特性を有し
ている。なお、ランプAのランプ電圧およびランプ電流
の特性については(表2)を参照されたい。また、入力
電力はいずれも400Wになっている。
【0051】
【表3】 ここで、(表3)用いてランプ30,40の添加物質に
よる電力損失の増大抑制の効果について説明すると、ラ
ンプAに対して水銀の封入量を25mgから5mgに低
減すれば、ランプCの欄に示されるように、ランプ電圧
が130Vから80Vに低下してランプ電流が3.5A
から5.9Aに増大する。これは既に説明した通りであ
る。一方、これに対して添加物質TiI2 ,TiI4
封入すれば、それぞれ、ランプ電圧が80Vから98
V,110Vに昇圧補正されてランプ電流が5.9Aか
ら4.9A,3.8Aに低減される。これにより、電力
損失の増大が抑制される。
【0052】ところで、ランプ電流の低減効果は、ラン
プ30よりもランプ40の方が大きくなっている。これ
は、TiI4 の方がTiI2 よりも沃素の価数が多く、
解離後に原子団種がより多くなる反面、金属原子単体の
存在割合がより小さくなるからであり、これにより、非
弾性衝突による電離や励起がより少なくなって、ランプ
電流の増大がより効果的に防止されるからである。
【0053】以上、第3および第4実施形態によれば、
水銀の封入量が従来の量よりも少量でも電力損失の増大
を抑制することが可能になる。
【0054】また、第4実施形態によれば、第3実施形
態よりも、より好適にランプ電流の増大を抑制して電力
損失の増大をより好適に抑制することが可能になる。
【0055】次に、本発明のメタルハライドランプの第
5実施形態について説明すると、本メタルハライドラン
プ(ランプ50)は、ランプ20と同様に発光管11お
よび外管12により構成されている他、ランプ20とは
異なる封入物が発光管11内に封入されている。
【0056】すなわち、ランプ50の発光管11内に
は、ランプ20と同様にアルゴンガスが4kPa、Nd
3 が20mg、CsIが8mgそして水銀が5mg封
入されている他、ランプ20とは異なる添加物質として
の沃化テルビウム(TeI4 )が8mg封入されてい
る。この封入された添加物質TeI4 は、400℃では
1290kPa、500℃では9070kPaとなる蒸
気圧特性を有している。
【0057】このように、上記ランプAよりも水銀の封
入量を低減するとランプ電圧が低下してランプ電流が増
大することとなるが、ランプ50は、添加物質TeI4
が封入されているので、ランプ電圧があまり低下せずに
ランプ電流がほとんど増大しないランプ電圧およびラン
プ電流の特性を有するものとなっている。すなわち、ラ
ンプ50は、次の(表4)に示すようなランプ電圧およ
びランプ電流の特性を有している。なお、入力電力はい
ずれも400Wになっている。
【0058】
【表4】 ここで、(表4)用いてランプ50の添加物質による電
力損失の増大抑制の効果について説明すると、ランプA
に対して水銀の封入量を25mgから5mgに低減すれ
ば、ランプCの欄に示されるように、ランプ電圧が13
0Vから80Vに低下してランプ電流が3.5Aから
5.9Aに増大する。これに対して添加物質TeI4
8mg封入すれば、ランプ電圧が80Vから114Vに
昇圧補正されてランプ電流が5.9Aから3.8Aに
(約35%)低減される。これにより電力損失の増大が
抑制される。
【0059】また、添加物質TeI4 に含まれるTe
は、次の(表5)に示すように、発光物質としてのNd
3 およびCsIにそれぞれ含まれるNdおよびCsの
双方よりも電離電圧が高くなる特性を有している。
【0060】
【表5】 このため、添加物質TeI4 が解離して金属原子Teに
なったとしても、電離電圧が高いので金属原子Teの非
弾性衝突による電離が起こり難くなり、ランプ電流の増
大が防止されることになる。
【0061】以上、第5実施形態によれば、水銀の封入
量が従来の量よりも少量でも電力損失の増大を抑制する
ことが可能になる。
【0062】次に、本発明のメタルハライドランプの第
6実施形態について、本発明のメタルハライドランプの
第7実施形態とともに説明する。
【0063】第6実施形態のメタルハライドランプ(ラ
ンプ60)および第7実施形態のメタルハライドランプ
(ランプ70)は、ともにランプ20と同様に発光管1
1および外管12により構成されている他、ランプ20
とは異なる封入物が発光管11内に封入されている。
【0064】次に、各発光管11内に封入される封入物
について、従来のメタルハライドランプ(ランプD)の
ものと比較しつつ詳述する。
【0065】まず、従来のランプDの発光管内には、ア
ルゴンガスが4kPa、沃化ナトリウム(NaI)が2
5mg、沃化タリウム(TlI)が12mg、沃化イン
ジウム(InI)が2mgそして水銀が5mg封入され
ている。なお、ランプDは、正確な比較のために封入物
以外はランプ20と同様に構成されたものとなってい
る。また、ランプDは、ランプAよりも少量の5mgの
水銀しか封入されていないので、ランプAよりもランプ
電圧がかなり低下してランプ電流が増大する特性を有す
るものとなる。
【0066】これに対して、ランプ60の発光管11内
には、ランプDと同様にアルゴンガスが4kPa、Na
Iが25mg、TlIが12mg、InIが2mgそし
て水銀が5mg封入されている他、添加物質としての沃
化シリコン(SiI4 )が12mg封入されている。こ
の封入された添加物質SiI4 は、400℃では420
kPa、500℃では1160kPaとなる蒸気圧特性
を有している。
【0067】また、ランプ70の発光管11内には、ラ
ンプDと同様にアルゴンガスが4kPa、NaIが25
mg、TlIが12mg、InIが2mgそして水銀が
5mg封入されている他、添加物質としての沃化アルミ
ニウム(AlI3 )が5mg封入されている。この封入
された添加物質AlI3 は、400℃では130kP
a、500℃では510kPaとなる蒸気圧特性を有し
ている。
【0068】上記のように、上記ランプAよりも水銀の
封入量が少量でも、ランプ60,70は、添加物質Si
4 ,AlI3 がそれぞれ封入されているので、ランプ
電圧が昇圧補正されてランプ電流の増大が低減されたラ
ンプ電圧およびランプ電流の特性を有するものとなって
いる。すなわち、ランプ60,70は、次の(表6)に
示すようなランプ電圧およびランプ電流の特性を有して
いる。なお、入力電力はいずれも400Wになってい
る。
【0069】
【表6】 ここで、(表6)を用いてランプ60,70の添加物質
による電力損失の増大抑制の効果について説明すると、
ランプDに対して添加物質SiI4 ,AlI3を封入す
れば、それぞれ、ランプ電圧が68Vから101V,1
15Vに昇圧補正されてランプ電流が6.2Aから4.
4A,3.9Aに低減される。これにより電力損失の増
大が抑制される。
【0070】また、ランプ60の添加物質SiI4 に含
まれる金属原子Siの励起電圧は、次の(表7)に示す
ように、NaI、TlIおよびInIにそれぞれ含まれ
るNa,TlおよびInの各励起電圧よりも高くなって
いる一方、ランプ70の添加物質AlI3 に含まれる金
属原子Alの励起電圧は、金属原子NaおよびInの各
励起電圧よりも高く、金属原子Tlよりも低くなってい
る。
【0071】
【表7】 この(表7)および上記(表6)から、ランプ70のよ
うに、添加物質AlI 3 に含まれる金属原子Alの励起
電圧が金属原子Tlよりも低くなっていると、色温度が
4930Kから7850Kに大幅に変動してしまう一
方、ランプ60のように、添加物質SiI4 に含まれる
金属原子Siの励起電圧が、Na,TlおよびInの各
励起電圧よりも高くなっていると、色温度が4930K
から4710Kの僅かな変動幅に抑えられることが分
る。
【0072】このように僅かな変動幅に抑えられるの
は、添加物質SiI4 が解離して金属原子Siになった
としても、金属原子Siは、発光物質としての金属ハロ
ゲン化物に含まれる金属よりも励起電圧が高く励起され
難くいことから、ほとんど発光しなくなって、発光物質
の発光に対する添加物質SiI4 の発光の影響が小さく
なるからである。これにより、ランプ60の光色が設計
当初の光色からほとんどずれなくなり、ほぼ設計通りの
光色が得られることになる。
【0073】また、添加物質AlI3 の場合に色温度が
大幅に変動してしまうのは、タリウムやインジウムの励
起に用いられるエネルギーの一部が、これらの励起電圧
に近い励起電圧を有するアルミニウムの励起に費やされ
ることにより、インジウムによる450nmの発光およ
びタリウムによる535nmの発光の強度が弱まるとと
もにアルミニウムによる395nm付近の発光が生じる
からである。
【0074】以上、第6および第7実施形態によれば、
水銀の封入量が従来の量よりも少量でも電力損失の増大
を抑制することが可能になる。
【0075】また、第6実施形態によれば、添加物質に
よる発光が生じ難いので、発光物質による光がランプの
発光の大部分を占めることとなり、設計当初の光色を維
持し得る効果が得られる。
【0076】次に、本発明のメタルハライドランプの第
8実施形態について説明すると、本メタルハライドラン
プ(ランプ80)は、ランプ20と同様に発光管11お
よび外管12により構成されている他、ランプ20とは
異なる封入物が発光管11内に封入されている。
【0077】すなわち、ランプ80の発光管11内に
は、ランプDと同様にアルゴンガスが4kPa、NaI
が25mg、TlIが12mg、InIが2mgそして
水銀が5mg封入されている他、添加物質としての沃化
アンチモン(SbI3 )が5mg封入されている。この
封入された添加物質SbI3 は、400℃では100k
Pa、500℃では450kPaとなる蒸気圧特性を有
している。
【0078】このように、上記ランプAよりも水銀の封
入量が少量でも、ランプ80は、添加物質SbI3 が封
入されているので、ランプ電圧が昇圧補正されてランプ
電流の増大が低減されたランプ電圧およびランプ電流の
特性を有するものとなっている。すなわち、ランプ80
は、次の(表8)に示すようなランプ電圧およびランプ
電流の特性を有している。なお、入力電力はいずれも4
00Wになっている。
【0079】
【表8】 ここで、(表8)用いてランプ80の添加物質による電
力損失の増大抑制の効果について説明すると、ランプD
に対して添加物質SbI3 を封入すれば、ランプ電圧が
68Vから125Vに昇圧補正されてランプ電流が6.
2Aから3.8Aに低減(約40%低減)される。これ
により電力損失の増大が抑制される。また、添加物質S
bI3 が解離した金属原子Sbは、励起・発光してもほ
とんど380nm以下の紫外域で発光するので、発光物
質による可視領(380〜780nm)の分光分布に影
響を与えない。これにより、(表8)に示すように、色
温度が4930Kから5040Kの僅かな変動幅に抑え
られる。
【0080】以上、第8実施形態によれば、水銀の封入
量が従来の量よりも少量でも電力損失の増大を抑制する
ことが可能になる。
【0081】また、添加物質の解離した金属原子が発光
物質による可視領域の分光分布に影響を与えないので、
設計当初の光色を維持し得る効果が得られる。
【0082】図2は、本発明の照明装置に係る第1実施
形態を示す構成図で、以下この図を用いて、本照明装置
に具備される本発明のメタルハライドランプに係る第9
実施形態とともに説明する。
【0083】本照明装置は、いわゆる無電極放電ランプ
であって透光性の石英ガラスにより直径が40mmで高
さが20mmの円筒状に形成された発光管21、この発
光管21の外周に5ターン巻回された点灯用の誘導コイ
ル22、この誘導コイル22および発光管21と後段の
高周波回路24との間の整合用のマッチング回路23、
誘導コイル22に対して高周波電力を供給して高周波電
磁界を発生させるための高周波回路24、および交流電
力を直流電力に変換して高周波回路24に供給するため
の電源回路25により構成されている。
【0084】次に、本メタルハライドランプ(ランプ9
0)としての発光管21内に封入される封入物(アルゴ
ンガス、発光物質および水銀)の詳細について、従来の
メタルハライドランプ(ランプE)のものと比較しつつ
説明する。
【0085】まず、ランプE内には、アルゴンガスが4
kPa、NdI3 が20mg、CsIが8mgそして水
銀が25mg封入されている。なお、ランプEは、正確
な比較のために封入物以外はランプ90と同様に構成さ
れる。
【0086】これに対して、ランプ90としての発光管
21内には、ランプEと同様にアルゴンガスが4kP
a、NdI3 が20mgそしてCsIが8mg封入され
ている他、水銀の封入量が25mgから5mgに低減さ
れた上に、添加物質としての沃化ハフニウム(HfI
4 )が10mg封入されている。この封入された添加物
質HfI4 は、400℃では110kPa、500℃で
は1460kPaとなる蒸気圧特性を有している。
【0087】このように、ランプEよりも水銀の封入量
を低減するとランプ電圧に相当する誘導コイル22の両
端電圧(コイル両端電圧)が低下することになるが、ラ
ンプ90は、添加物質HfI4 が封入されているので、
コイル両端電圧があまり低下しない特性を有するものと
なっている。すなわち、ランプ90は、次の(表9)に
示すようなコイル両端電圧の特性を有している。
【0088】
【表9】 ただし、ランプFは、ランプ90の添加物質による電力
損失の増大抑制の効果がどの程度であるかを確認するた
めに別途用意されたものであり、ランプEの水銀封入量
をランプ90と同様に5mgに低減したもので、これ以
外はランプEと同一に構成されている。また、入力電力
はいずれも300Wになっている。ここで、(表9)を
用いてランプ90の添加物質による電力損失の増大抑制
の効果について説明すると、まず、ランプEに対して水
銀の封入量を25mgから5mgに低減すれば、ランプ
Fの欄に示されるように、コイル両端電圧が1.2kV
から0.7kVに低下(40%低下)することが分る。
これに対して添加物質HfI4 を10mg封入すれば、
既に説明した添加物質の作用によって、コイル両端電圧
が0.7kVから1.0kVに昇圧され、ランプEのレ
ベルまでほぼ補正される。これにより電力損失の増大が
抑制される。以上、本発明の照明装置に係る第1実施形
態および本発明のメタルハライドランプに係る第9実施
形態によれば、水銀の封入量が従来の量よりも少量で
も、ランプ電圧に相当するコイル両端電圧の低下を抑制
して、誘導コイル22、マッチング回路23や配線等の
装置部品で発生する電力損失の増大を抑制する効果が得
られる。
【0089】なお、上記第2〜第9実施形態のメタルハ
ライドランプは、10mg以下の水銀が封入されている
が、これに限らず、発光管の内容積が1cc以下である
場合には10mg/cc以下の水銀が封入されているも
のでもよい。
【0090】また、上記第1〜第9実施形態のメタルハ
ライドランプでは、希ガスとしてアルゴンガスが使用さ
れているが、これ以外の例えばXe、Kr、Ne、Ar
またはこれらの混合物によりなる希ガスでも上記同様の
効果が確認されている。
【0091】また、上記第1〜第9実施形態のメタルハ
ライドランプでは、透光性の石英ガラスによりなる発光
管が使用されるが、これに限らず、例えば透光性セラミ
ックスによりなる発光管が使用される構成でもよい。
【0092】さらに、添加物質は、上記第1〜第9実施
形態のものに限らず、Al、B、Ga、Ge、Hf、S
b、Si、Sn、Te、TiおよびZrのうち、少なく
とも1種類以上の金属を含む添加物質でも上記同様の効
果が確認されている。
【0093】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、請求項
1記載の発明によれば、水銀の封入量がゼロでも電力損
失の増大を抑制することが可能になる。
【0094】請求項2〜6、8および12〜15記載の
発明によれば、水銀の封入量が従来の量よりも少量でも
電力損失の増大を抑制することが可能になる。
【0095】請求項7記載の発明によれば、電力損失の
増大の抑制が可能になる他、添加物質に含まれる金属に
よる発光管の浸食を防止することが可能になる。
【0096】請求項9記載の発明によれば、より好適に
ランプ電流の増大を防止して、電力損失の増大をより好
適に抑制することが可能になる。
【0097】請求項10記載の発明によれば、電力損失
の増大の抑制が可能になる他、添加物質が解離した金属
原子による発光を生じ難くすることが可能になる。
【0098】請求項11記載の発明によれば、電力損失
の増大の抑制が可能になる他、発光物質による可視領域
の発光に対して、添加物質が解離した金属原子による発
光の影響を小さくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメタルハライドランプに係る第1実施
形態を示す構成図である。
【図2】本発明の照明装置に係る第1実施形態を示す構
成図である。
【符号の説明】
11,21 発光管 12 外管 22 誘導コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01J 65/04 H01J 65/04 A (72)発明者 酒井 和彦 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性材料によりなる発光管を備え、こ
    の発光管内には、少なくとも一種類以上の希ガス、少な
    くとも一種類以上の発光物質としての金属ハロゲン化物
    およびランプ電圧を昇圧補正するための少なくとも一種
    類以上の添加物質が封入されていることを特徴とするメ
    タルハライドランプ。
  2. 【請求項2】 前記発光管内には水銀がさらに封入さ
    れ、前記添加物質は、前記水銀の量が所定量よりも少な
    いために所定電圧よりも低くなるランプ電圧を昇圧補正
    することを特徴とする請求項1記載のメタルハライドラ
    ンプ。
  3. 【請求項3】 前記発光管内には、10mg以下または
    前記発光管の内容積が1cc以下である場合には10m
    g/cc以下の水銀が封入されていることを特徴とする
    請求項1または2記載のメタルハライドランプ。
  4. 【請求項4】 前記発光管を内部に収納する外管を備え
    たことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメ
    タルハライドランプ。
  5. 【請求項5】 透光性材料によりなる発光管およびこの
    発光管の外周に設けられた点灯用の誘導コイルを備え、
    前記発光管内には、少なくとも一種類以上の希ガス、少
    なくとも一種類以上の発光物質としての金属ハロゲン化
    物、水銀およびこの水銀の量が所定量よりも少ないため
    に所定電圧よりも低くなる前記誘導コイルの両端電圧を
    昇圧補正するための少なくとも一種類以上の添加物質が
    封入されていることを特徴とするメタルハライドラン
    プ。
  6. 【請求項6】 前記添加物質は、400℃で13.3k
    Pa以上の蒸気圧特性を有することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかにメタルハライドランプ。
  7. 【請求項7】 前記添加物質は金属ハロゲン化物である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のメタ
    ルハライドランプ。
  8. 【請求項8】 前記添加物質としての金属ハロゲン化物
    は複数のハロゲンにより構成されることを特徴とする請
    求項7記載のメタルハライドランプ。
  9. 【請求項9】 前記添加物質またはこの添加物質が解離
    されて生成される物質は、前記発光物質としての金属ハ
    ロゲン化物に含まれる金属よりも電離電圧が高いことを
    特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のメタルハラ
    イドランプ。
  10. 【請求項10】 前記添加物質またはこの添加物質が解
    離されて生成される物質は、前記発光物質としての金属
    ハロゲン化物に含まれる金属よりも励起電圧が高いこと
    を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のメタルハ
    ライドランプ。
  11. 【請求項11】 前記添加物質またはこの添加物質が解
    離されて生成される物質は、前記発光物質としての金属
    ハロゲン化物に含まれる金属よりも380〜780nm
    の可視域での発光が生じ難いことを特徴とする請求項1
    〜8のいずれかに記載のメタルハライドランプ。
  12. 【請求項12】 前記希ガスは、Xe、Kr、Ne、A
    rまたはこれらの混合物によりなることを特徴とする請
    求項1〜11のいずれかに記載のメタルハライドラン
    プ。
  13. 【請求項13】 前記透光性材料は石英または透光性セ
    ラミックスであることを特徴とする請求項1〜12のい
    ずれかに記載のメタルハライドランプ。
  14. 【請求項14】 前記添加物質は、Al、B、Ga、G
    e、Hf、Sb、Si、Sn、Te、TiおよびZrの
    うち、少なくとも1種類以上の金属を含むことを特徴と
    する請求項1〜13のいずれかに記載のメタルハライド
    ランプ。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載のメ
    タルハライドランプと、このメタルハライドランブを点
    灯させる点灯装置とを備えたことを特徴とする照明装
    置。
JP13369398A 1998-05-15 1998-05-15 メタルハライドランプおよび照明装置 Withdrawn JPH11329352A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13369398A JPH11329352A (ja) 1998-05-15 1998-05-15 メタルハライドランプおよび照明装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13369398A JPH11329352A (ja) 1998-05-15 1998-05-15 メタルハライドランプおよび照明装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11329352A true JPH11329352A (ja) 1999-11-30

Family

ID=15110678

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13369398A Withdrawn JPH11329352A (ja) 1998-05-15 1998-05-15 メタルハライドランプおよび照明装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11329352A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001210490A (ja) * 2000-01-26 2001-08-03 Matsushita Electric Works Ltd 放電灯点灯装置
JP2005517269A (ja) * 2002-02-06 2005-06-09 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 無水銀高圧ガス放電ランプ
JP2008524809A (ja) * 2004-12-20 2008-07-10 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 水銀非含有、ナトリウム非含有の組成物およびそれを組み込む放射線源

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001210490A (ja) * 2000-01-26 2001-08-03 Matsushita Electric Works Ltd 放電灯点灯装置
JP2005517269A (ja) * 2002-02-06 2005-06-09 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 無水銀高圧ガス放電ランプ
JP2008524809A (ja) * 2004-12-20 2008-07-10 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 水銀非含有、ナトリウム非含有の組成物およびそれを組み込む放射線源

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6069456A (en) Mercury-free metal halide lamp
JP2009218212A (ja) 水銀を含まないハロゲン化金属高圧放電ランプ
US4491766A (en) High pressure electric discharge lamp employing a metal spiral with positive potential
JPS61190850A (ja) 容量性安定器を備えたデユアルカソ−ド・ビ−ムモ−ドけい光ランプ
KR100292020B1 (ko) 방전램프
US20080093993A1 (en) Quartz Metal Halide Lamp With Improved Lumen Maintenance
JPH11329352A (ja) メタルハライドランプおよび照明装置
US3577029A (en) High-pressure electric discharge device containing mercury, halogen, scandium and samarium
JPH02267849A (ja) 窒素を含むグロー放電ランプ
US7679290B2 (en) Metal halide lamp with light-transmitting ceramic arc tube
JPH06111772A (ja) 高圧放電灯
US5049785A (en) Two contact, AC-operated negative glow fluorescent lamp
JP3959940B2 (ja) メタルハライドランプ
JPS58119151A (ja) 低圧希ガス放電灯装置
US3824423A (en) Electric discharge lamp
JPH11329351A (ja) メタルハライドランプおよび照明装置
US4639639A (en) High-pressure sodium vapor lamp and ternary amalgam therefor
GB1594683A (en) Low pressure mercury-vapour discharge lamp
JPH07296781A (ja) 高圧放電ランプ
US5006762A (en) Negative glow fluorescent lamp having discharge barrier
US7583030B2 (en) Dopant-free tungsten electrodes in metal halide lamps
US5059864A (en) Negative glow lamp
JP3241611B2 (ja) メタルハライドランプ
JPS61126756A (ja) メタルハライドランプ
JPH04280058A (ja) アノード探針をもつグロー放電ランプ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050802