JPH1132779A - 蛋白質の遺伝子クローニング法 - Google Patents

蛋白質の遺伝子クローニング法

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JPH1132779A
JPH1132779A JP9214074A JP21407497A JPH1132779A JP H1132779 A JPH1132779 A JP H1132779A JP 9214074 A JP9214074 A JP 9214074A JP 21407497 A JP21407497 A JP 21407497A JP H1132779 A JPH1132779 A JP H1132779A
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JP
Japan
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protein
membrane
cdna
cloning
bound
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JP9214074A
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Yoshikazu Ichihara
慶和 市原
Akira Awaya
昭 粟屋
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FUNAKOSHI KK
Fujita Health University
Original Assignee
FUNAKOSHI KK
Fujita Health University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜蛋白質および分泌蛋白質のcDNAを効率よく
クローニングする新しい方法の提供。 【解決手段】 膜蛋白質の膜結合ドメインを除いた発現
ベクター、もしくは分泌蛋白の発現ベクターのC-末端側
にcDNAを挿入できるようにマルチクローニングサイト(M
CS)を導入した真核細胞発現ベクターを用いる方法であ
る。当該遺伝子のMCSに膜結合ドメインを含むcDNAが挿
入されると、分泌型に改変された膜蛋白質、もしくは分
泌蛋白質はcDNAにコードされた膜蛋白とキメラ膜蛋白質
として発現し、真核細胞の細胞膜上にトラップされ、そ
の細胞集団を単離し、プラスミドを抽出し、膜蛋白質お
よび分泌蛋白質のcDNAを単離できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はcDNAの単離法に
関する。更に詳細には新規な膜結合性蛋白もしくは分泌
蛋白のcDNAを選択的に単離するための新しい方法及
びこの方法に使用する新規なベクター並びにこれらの手
法・ツールを用いることにより得られた新規な膜結合性
蛋白もしくは分泌蛋白に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞膜表面にはイオン、細胞増殖因子、
臭いなどの外界のシグナルを受け取るための各種レセプ
ター分子、細胞相互の認識と選別に必要な細胞接着分子
をはじめ、多くの膜結合性蛋白が存在している。これら
の分子のあるものはレセプター型チロシンキナーゼのよ
うに外界の情報を受け取り、速やかに細胞内、とりわけ
核内のDNAに伝え、適切な遺伝子の発現を誘導する情
報伝達カスケードの受信アンテナとして働く。またある
分子はそれぞれの細胞に特異的に発現し、他の細胞に認
識されるためのマーカーとしての役割を担っている。こ
れらの膜蛋白質には従来報告されているもの以外に、多
数の未知の分子が存在している。特に脳神経系の発達過
程においては、レセプター分子のみならず、リガンド分
子も膜結合型であるような例が次々と発見されている。
このような神経系における細胞間接着を介したシグナル
伝達は、神経細胞の分化や成長維持、突起伸展のガイダ
ンス等に重要であるとされている。これらの未だ未知で
ある神経系の発達や分化のしくみを明らかにするため、
あるいは広く心臓血管系、呼吸器系、内分泌系、造血
系、免疫リンパ系、消化器系など各組織細胞の発生、増
殖、分化、発達、老化のしくみを明らかにするために、
DNAプローブが存在しない未知の膜蛋白質のcDNA
を網羅的にクローニングする方法が求められている。
【0003】従来のcDNA単離法はDNAプローブを
用いて相同配列を有する遺伝子をコロニーあるいはプラ
ークハイブリダイゼーションで単離したり、特異抗体を
用いて大腸菌で発現している蛋白を検知する事による方
法がほとんどであった。また近年ゲノムプロジェクトに
代表されるように、ヒト、マウス、ショウジョウバエな
どの代表的な生物種に関して、各臓器、各発生段階にお
けるcDNAライブラリーを作製して、その全cDNA
について3’側の一部の塩基配列を解析するExpression
Sequence Tag(EST) という方法が用いられてきてい
る。さらに膜蛋白質のcDNAを特異的に単離する方法
はあるが、個々の蛋白に対する特異抗体が必要なこと
と、それを用いてポリゾームを単離した後、cDNAラ
イブラリーを作製するという複雑な操作が必要である。
【0004】これに対し近年、分泌型蛋白質、および膜
結合型蛋白質の5’領域のシグナルペプチドを含むcD
NAを単離するためのベクターが報告された(Science,
261,600、1993)。この方法はN−末端側のシグナルペプ
チド部分を欠失したIL2レセプターアルファを有する
ベクターでcDNAライブラリーを作製し、これをCO
S細胞にトランスフェクトし、分泌蛋白、およびI型膜
蛋白質のシグナルペプチド部分を含む領域をコードする
cDNAが融合蛋白質として発現したCOS細胞はその
細胞膜上にIL2レセプターアルファを表出するので、
分泌型およびI型膜蛋白のcDNAの一部を単離するこ
とができるというものである。この方法によるとシグナ
ルペプチドを含む短いcDNAであれば単離可能である
が、膜結合ドメインを有したcDNAの場合はIL2レ
セプター部分が細胞質側になり、IL2レセプターの特
異抗体で検出できない。またシグナルペプチドを持たな
いII型膜蛋白質のような遺伝子の単離は不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は未だ未知である脳神経系、心臓血管系、、呼吸器系、
内分泌系、造血系、免疫リンパ系、消化器系等の発達や
分化のしくみを明らかにするため、DNAプローブが存
在しない未知の膜蛋白質のcDNAを網羅的にクローニ
ングするための新しい方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】膜蛋白質の多くは、細胞
膜外機能ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、さらに細胞
内ドメインからなる。膜貫通ドメインに共通の特徴は、
約20ー30残基の主に疎水性アミノ酸からなるドメイ
ンと、その両側がチャージを持ったアミノ酸、2残基ほ
どによって挟まれていることである。そこで、分泌蛋白
質をマーカーとして、そのC−末端側に膜タンパクのc
DNAをつないでキメラ蛋白として培養細胞で発現させ
ると、分泌蛋白部分を細胞膜表面にトラップすることが
出来ると考えた。しかる後に当該分泌蛋白に特異的な抗
体を用いて、マーカーとなる分泌蛋白を膜上に表出して
いる細胞を集め、プラスミドを回収する事により、目的
とする膜結合型もしくはシグナルペプチドをコードする
cDNAを単離できる。当該分泌蛋白cDNAの代わり
に、膜ドメインをコードする塩基配列部分から3’側を
欠失した可溶化膜蛋白cDNAも用いることができる。
この部分に代わりに膜貫通ドメインを含まないcDNA
が挿入されたとしても、マーカーとなる蛋白は分泌型と
なり、細胞膜上にトラップされないので膜結合ドメイン
を有するcDNAと区別することができる。
【0007】本発明者等は上記の考えにもとずき、膜タ
ンパクのcDNAを網羅的にクローニングするための方
法を考案し、そのためのベクター群、および特異的なプ
ライマー群を作出することにより本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は膜結合蛋白質の遺伝子ある
いはcDNAをクローニングする方法において、既知の分泌
蛋白質cDNAの3’側、もしくは膜結合型蛋白質のす
べての膜貫通部分からC−末端側を除いたcDNAの
3’側にマルチクローニングサイト(MCS)を導入し
たベクターを用いてcDNAライブラリーを作製し、し
かるのちCOS細胞等のほ乳類培養細胞、酵母、枯草
菌、昆虫細胞等の真核細胞にトランスフェクションし
て、各生物種のそれぞれにふさわしいプロモーターによ
り融合蛋白として発現させた上で、細胞膜上に融合膜蛋
白として発現した細胞集団を、N−末端側の蛋白に対す
る特異抗体を用いて濃縮、単離し、プラスミドを回収
し、得られたプラスミドを大腸菌にトランスフェクトす
ることによりcDNAのクローニングを達成することを
特徴とする膜結合蛋白質および分泌蛋白質の遺伝子クロ
ーニング方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は特殊な真核細胞発現ベク
ターを利用することにより可能となる。本ベクターはpC
I-neoを改変して作製されている。以下にその詳細につ
いて記述する。pCI-neoはサイトメガロウイルスのエン
ハンサー/プロモーター, intron, Multi cloning site
(MCS), SV40 late poly(A) site, f1 ori, Neo, Amp,
E.coli ori の各部分からなる。
【0010】まずpCI-neoをBamHIで消化してしかる後、
T4DNA合成酵素、T4DNAリガーゼ処理をしてBamHIサイト
をつぶす(pCIneodBam)。同様の方法でBstXIサイトもつ
ぶす(pCIneodBamdBst)。次いで、pCIdBamdBstの一本鎖D
NAをヘルパーファージKO7とE.coli MV1184を用いて単離
する。これに燐酸化した74merの一本鎖合成DNA (pCIBNX74): (配列番号1) TCCAAACTCATCAATGTATCTTATCATGTCTGCTCGAGGCTAGCGGATCC
AGTACTCTAGCCTTAAGAGCTGTA をアニールさせ、E.coli DNAリガーゼ、T4 DNA合成酵素
で2本鎖DNAにした後、MV1184に導入してクローンを単
離する。この操作により、T7からT3にいたる領域を欠失
させ、かわりにBamHI,NheI,XhoIサイトに置き換える(pC
IneoBNX)。本ベクターのBamHI, NheIサイトCMVプロモー
ターに対して正方向にマーカーとなる分泌蛋白もしくは
分泌型に改変した膜蛋白のcDNAを挿入する(図1)。
【0011】一方、マーカー蛋白としてはマウスIL2レ
セプターアルファcDNAを用いる。ただし、本発明におい
ては何らIL2レセプターに限定されるものではく、分泌
型蛋白もしくは膜結合型蛋白を分泌型に改変してあるも
のならどのようなものでも差し支えない。
【0012】まずマウスIL2レセプターアルファcDNAを2
種類のプライマー(MIL2RAdBX11: (配列番号2)GGGAGA
TCTGCCACCATGGAGCCACGCTTGCTGATGTTGG; MIL2RA3PBSSNH
E:(配列番号3) GGGCTAGCGCGCTTGTGAGCACAAATGTCTCCG
TCA)を用いてPCRで増殖する。このことによりN-末端側
のBstXIサイトをつぶしBglIIサイトを導入、C-末端側に
BssHII-NheIサイトを導入できる。またIL2レセプターア
ルファ本来の膜貫通ドメインは欠失させることができ
る。IL2レセプターアルファとして残っている領域はN-
末端の開始コドンのメチオニンから211残基目のトレオ
ニンまでである。得られたDNAをNheI,BglIIで消化し、
一本鎖DNAが得られるpUC119の改変ベクターのBglII/Nhe
Iサイトにクローニングする。次いで一本鎖DNAを上記の
方法で単離し、変異導入用プライマー(MIL2RAdBX2:(配
列番号4) GGAATCTTCATGTTTCCAAGGAGGAGGCTCCCTGC)で
BstXIサイトをつぶす。
【0013】次いで、本改変IL2レセプターアルファcDN
AのNheIサイトにトリプレットの終始コドン 5'Ter: pCTAGATAACTGAG/3'Ter: pCTAGCTCAGTTAT を挿入する。このときBssHII側のNheIサイトがつぶれた
クローンを選択する。次いでBssHIIサイトにT3プロモー
ター配列,MCS,T7プロモーター配列を導入するために、
リン酸化後、アニールした合成DNA T3BXST7(配列番号5): CGCGCAATTAACCCTCACTAAAGGGG
GATCCTCTAGAGTCGACCCTATAGTGAGTCGTATTACG T7SXBT3(配列番号6): CGCGCGTAATACGACTCACTATAGGG
TCGACTCTAGAGGATCCCCCTTTAGTGAGGGTTAATTG をライゲーションした。最後にできた分泌型IL2レセプ
ターアルファcDNAをBglII/NheIで消化、断片を上記で作
製したpCIneoBNXのBamHI/NheIサイトに挿入する。図1
は以上に説明したpCIneomIL2R alpha M-BXES, pCIneomI
L2R alpha M-SEXBの作製方法を示したものであり、図2
は作成されたベクターの塩基配列である。
【0014】cDNAライブラリー作製はcDNAがCMVプロモ
ーターにたいしてsense方向に挿入されるようにストラ
タジーンのcDNA作製キットを用いたが、本来どのような
作り方でも良い。ただし3'-側のpoly(A)配列は逆方向に
挿入されるとpoly(T)すなわちポリフェニルアラニンと
なり、疎水性ドメインとなって膜上にトラップされるよ
うになる。このような人工産物を作らないようにプライ
マーを工夫する必要がある。本発明においては一本鎖cD
NAを作製するプライマーに以下のような逆方向の終始コ
ドンを導入し、反対向きに挿入されたcDNAクローンはす
ぐにターミネーションにあたり、融合蛋白質を作らない
ように工夫した。
【0015】(1)Name: (gA)10XBNSTer(T)18VN74(配列
番号7) 5'GAGAGAGAGAGAGAGAGAGACTCGAGGATCCGCTAGCGTCGACTGACT
AGATAATTTTTTTTTTTTTTTTTTVN mRNAのpoly(A)から5’側にのばすためのプライマー
で、mRNAの比較的3’側に膜結合ドメインが存在する場
合及びGPI-アンカー型のcDNAの単離に向いている。 (2)Name: (gA)10XBNSTerNNNNNN60(配列番号8) 5'GAGAGAGAGAGAGAGAGAGACTCGAGGATCCGCTAGCGTCGACTGACT
AGATAANNNNNN 標準的なcDNAライブラリー作製に用いるが、mRNAの比較
的上流に膜結合ドメインがある膜蛋白質のcDNA、分泌型
蛋白質のシグナルペプチド領域を含むcDNAの単離に向い
ている。 (3)Name: (gA)10XBNSTerAATAAA60(配列番号9) 5'GAGAGAGAGAGAGAGAGAGACTCGAGGATCCGCTAGCGTCGACTGACT
AGATAATTTATT poly(A)付加シグナルの6merをプライマーに利用するも
のである。長いpoly(A)配列の合成を回避できるので使
用するメリットがある。 (4)Name: (gA)10XBNSTereTNNNNNN67(配列番号10) 5'GAGAGAGAGAGAGAGAGAGACTCGAGGATCCGCTAGCGTCGACTGACT
AGTTAATCAGCTANNNNNN (2)で用いるランダム6merプライマーには正方向の終始
コドンははいっていない。これを加えて両方向に終始コ
ドンがはいったプライマーであり、主にできるだけC-末
端に余分なペプチドがつかないようにする目的に用い
る。
【0016】ここにあげたプライマーの配列は一本鎖cD
NA作製時に使うことを主な目的にデザインされている
が、最大の特徴は、本来cDNAの下流側(3’側)になる
べき上記のプライマー側が逆方向に挿入された場合はす
ぐに終始コドンにあたるように工夫してある点である。
生物学的に意味のあるcDNAを単離するためには本発明の
技術を用いることが必要である。上記のプライマー以外
に、それぞれの遺伝子ファミリーに共通の塩基配列もし
くはアミノ酸配列から予測される塩基配列をプライマー
としてcDNAライブラリーを作製することにより、種々の
生物種の各臓器、各発生段階に特異的に発現するような
遺伝子ファミリーを単離することができる。
【0017】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を詳細に説明する
が、以下の実施例は本発明にもとずいて行った例のほん
の一部を示したものであって、本発明は何らこれらに限
定されるものではない。
【0018】実施例1 I型膜蛋白質であるマウスN-カドヘリンcDNAを本ベクタ
ーのXbaIサイトに挿入した。膜貫通ドメインを含む2種
類(pCIAmNcadM1+: 813bp-3053bp; pCIAmNcadM2+: 2442b
p-3053bp)と含まない1種類(pCIAmNcadM-: 2571bp-30
53bp)の融合遺伝子を作製した。COS細胞にこれらを導入
して、発現させ、FITC-抗マウスIL2Rアルファー抗体で
細胞膜表面のマウスIL2Rアルファーを染め、蛍光顕微鏡
とFACSで検出すると、膜ドメインのある2種類はIL2Rア
ルファーを表出したが、膜ドメインがないものはしなか
った。このことから本発明がI型膜蛋白質の膜ドメイン
を含むcDNAを単離するのに有効であることが結論づけら
れた。
【0019】実施例2 膜結合型蛋白質がII型膜蛋白質であるウシInvariant Ch
ain cDNAを本ベクターのXbaIサイトに挿入した。膜貫通
ドメインを含む1種類(pCIAbIcM+: 190bp-765bp)と含ま
ない1種類(pCIAbIcM-: 298bp-765bp)を作製した。COS
細胞にこれらを導入して、発現させ、FITC-抗マウスIL2
Rアルファー抗体で細胞膜表面のマウスIL2Rアルファー
を染め、蛍光顕微鏡とFACSで検出すると、膜ドメインの
あるものはIL2Rアルファーを表出したが、膜ドメインが
ないものはしなかった。このことから本発明がII型膜蛋
白質の膜ドメインを含むcDNAを単離するのに有効である
ことが結論づけられた。
【0020】実施例3 膜結合型蛋白質がP450型に属する膜蛋白質であるラット
P450d cDNAおよびマウスNADPH-P450 oxidoreductaseを
それぞれ本ベクターのXbaIサイトに挿入した。膜結合ド
メインを含むもの(pCIArP450M+: Ala2-Lys513; pCIAmNA
DPHORM+: 122bp-2066bp)と含まないもの(pCIArP450M-:
Ser443-Lys513; pCIAmNADPHORM-: 209bp-2066bp)を作製
した。COS細胞にこれらを導入して、発現させ、FITC-抗
マウスIL2Rアルファー抗体で細胞膜表面のマウスIL2Rア
ルファーを染め、蛍光顕微鏡とFACSで検出すると、NADP
H-P450 oxidoreductaseの膜ドメインのあるものはIL2R
アルファーを表出したが、膜ドメインがあってもP450d
は細胞の表面に検出できなかった。このことからNADPH-
P450 oxidoreductaseのように本来粗面小胞体にとどま
るべきP450型膜蛋白質および類似蛋白についても本発明
が有効であるものがあると結論づけられた。
【0021】実施例4 N-末端のシグナルペプチドが膜貫通ドメインになりうる
分泌型蛋白質であるヒトガストリンcDNAを本ベクターの
XbaIサイトに挿入した。シグナルペプチドを含む1種類
(pCIAhGastSP+: 190bp-765bp)と含まない1種類(pCIAhG
astSP-: 298bp-765bp)を作製した。COS細胞にこれらを
導入して、発現させ、FITC-抗マウスIL2Rアルファー抗
体で細胞膜表面のマウスIL2Rアルファーを染め、蛍光顕
微鏡とFACSで検出すると、シグナルペプチドのあるもの
はIL2Rアルファーを検出できたが、シグナルペプチドが
ないものは検出できなかった。このことから本発明が分
泌型蛋白質のシグナルペプチドが膜結合ドメインの代わ
りになり、本発明がシグナルペプチドを含むcDNAを単離
するのに有効であることが結論づけられた。
【0022】実施例5 膜結合型蛋白質がGPI-アンカー型膜蛋白質であるマウス
Thy1.2 cDNAを本ベクターのXbaIサイトに挿入した。GPI
-アンカー付加シグナルと考えられているC-末端疎水性
領域を含む2種類(pCIAmThyM1+: Gln1-Leu143; pCIAmThy
M2+: Asn94-Leu143)と含まない1種類(pCIAmThyM-: Gln
1-Cys112)を作製した。COS細胞にこれらを導入して、発
現させ、FITC-抗マウスIL2Rアルファー抗体で細胞膜表
面のマウスIL2Rアルファーを染め、蛍光顕微鏡とFACSで
検出すると、C-末端疎水性領域のあるものはIL2Rアルフ
ァーを表出したが、C-末端疎水性領域がないものはしな
かった。またこれらのキメラ蛋白の細胞膜との結合はph
osphatidylinositol-specific phospholipase Cで阻害
されることからGPI-アンカー型であると結論される。以
上のことから本発明がGPI-アンカー型膜蛋白質のC-末端
疎水性領域を含むcDNAを単離するのに有効であることが
結論づけられた。
【0023】実施例6 膜結合型蛋白質が複数回膜貫通型に属する膜蛋白質であ
るラット・ニコチン依存性アセチルコリンレセプターal
pha 7 cDNAを本ベクターのXbaIサイトに挿入した。膜貫
通ドメインを含む2種類(pCIArAR7M1234+: Asp219-Ala50
2; pCIArAR7M4+: Glu459-Ala502)を作製した。COS細胞
にこれらを導入して、発現させ、FITC-抗マウスIL2Rア
ルファー抗体で細胞膜表面のマウスIL2Rアルファーを染
め、蛍光顕微鏡とFACSで検出すると、いずれもIL2Rアル
ファーを細胞膜表面に表出した。このことから本発明が
複数回膜貫通型に属する膜蛋白の膜結合ドメインを含む
cDNAを単離するのに有効であることが結論づけられた。
【0024】実施例7 マウス胎生期13日胚の脳のcDNAライブラリーをオリゴd
(T)プライマー:TerXNBS(T)18VN60:5'-GGGTGATGACTAGAT
AACTCGAGCTAGCGGATCCGTCGACTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN(配
列番号11)を用いて作製した。2本鎖cDNAはコーディ
ングの方向をセンス方向にベクターに入れるために、5-
methyl dCTPを用いるストラタジーンのcDNA合成キット
を使用した。アダプターにBamHIを用いた以外は仕様書
通りの操作を行った。作製したcDNAライブラリーはE. c
oli XL1Blue MRF'にトランスフェクトして増殖し、COS
細胞に導入した。作製したcDNAとのキメラIL2レセプタ
ーを発現している細胞集団の精製にはどのような方法を
用いても良いが、主に(1)蛍光標識-抗IL2レセプター
抗体とセルソーターを用いる方法(2)抗IL2レセプタ
ー抗体を用いたパニング法(3)ビオチン標識-抗IL2レ
セプター抗体とアビジン-マグネティックビーズを用い
る方法が考えられる。以下は(3)のマグネティックビ
ーズを用いる方法で細胞集団の単離を行った例である。
単離された細胞からプラスミドDNAを抽出し、大腸菌に
トランスフォームすることによりクローニングを行っ
た。各クローンのプラスミドを単離し、蛍光T3プライマ
ーを用いて塩基配列の決定をした結果、Expression Seq
uence Tag(EST)として報告されている機能不明のcDNA
以外にも、3’末端側に疎水領域を有する全く新しいク
ローンも得られた。このことから本発明がすでに構造の
明らかになっているcDNAばかりでなく、未知のcDNAの単
離にも有用に機能することが示された。
【0025】
【発明の効果】本法を用いれば、I型、II型、P-450型、
GPI-アンカー型などの膜結合蛋白質のcDNAはもとより、
全く新しい膜結合様式を有するような膜結合蛋白質のcD
NAも単離できる可能性が高い。また従来は特異抗体がな
いと困難であった粗面小胞体および細胞膜に局在する蛋
白のcDNAも容易に網羅的に単離できる。
【0026】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:74 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCCAAACTCA TCAATGTATC TTATCATGTC TGCTCGAGGC TAGCGGATCC AGTACTCTAG CCTTAAGAGC TGTA
【0027】配列番号:2 配列の長さ:40 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GGGAGATCTG CCACCATGGA GCCACGCTTG CTGATGTTGG
【0028】配列番号:3 配列の長さ:36 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GGGCTAGCGC GCTTGTGAGC ACAAATGTCT CCGTCA
【0029】配列番号:4 配列の長さ:35 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGAATCTTCA TGTTTCCAAG GAGGAGGCTC CCTGC
【0030】配列番号:5 配列の長さ:64 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CGCGCAATTA ACCCTCACTA AAGGGGGATC CTCTAGAGTC GACCCTATAG TGAGTCGTAT TACG
【0031】配列番号:6 配列の長さ:64 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CGCGCGTAAT ACGACTCACT ATAGGGTCGA CTCTAGAGGA TCCCCCTTTA GTGAGGGTTA ATTG
【0032】配列番号:7 配列の長さ:74 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GAGAGAGAGA GAGAGAGAGA CTCGAGGATC CGCTAGCGTC GACTGACTAG ATAATTTTTT TTTTTTTTTT TTVN
【0033】配列番号:8 配列の長さ:60 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GAGAGAGAGA GAGAGAGAGA CTCGAGGATC CGCTAGCGTC GACTGACTAG ATAANNNNNN
【0034】配列番号:9 配列の長さ:60 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GAGAGAGAGA GAGAGAGAGA CTCGAGGATC CGCTAGCGTC GACTGACTAG ATAATTTATT
【0035】配列番号:10 配列の長さ:67 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GAGAGAGAGA GAGAGAGAGA CTCGAGGATC CGCTAGCGTC GACTGACTAG TTAATCAGCT ANNNNNN
【0036】配列番号:11 配列の長さ:60 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 特長を表す記号:プライマー 配列 GGGTGATGAC TAGATAACTC GAGCTAGCGG ATCCGTCGAC TTTTTTTTTT TTTTTTTTVN
【図面の簡単な説明】
【図1】pCIneomIL2R alpha M-BXES, pCIneomIL2R alph
a M-SEXBの作製方法
【図2】pCIneomIL2R alpha M-BXS, pCIneomIL2R alpha
M-SXB, pCIneomIL2R alpha M-BXES, pCIneomIL2R alp
ha M-SEXB のMCS近傍の塩基配列

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜結合蛋白質の遺伝子あるいはcDNA
    をクローニングする方法において、既知の分泌蛋白質c
    DNAの3’側、もしくは膜結合型蛋白質のすべての膜
    貫通部分からC−末端側を除いたcDNAの3’側にマ
    ルチクローニングサイト(MCS)を導入したベクター
    を用いてcDNAライブラリーを作製し、しかるのち真
    核細胞にトランスフェクションして、各生物種のそれぞ
    れにふさわしいプロモーターにより融合蛋白として発現
    させた上で、細胞膜上に融合膜蛋白として発現した細胞
    集団を、N−末端側の蛋白に対する特異抗体を用いて濃
    縮、単離し、プラスミドを回収し、得られたプラスミド
    を大腸菌にトランスフェクトすることによりcDNAの
    クローニングを達成することを特徴とする膜結合蛋白質
    および分泌蛋白質の遺伝子クローニング方法。
  2. 【請求項2】 既知の分泌型蛋白もしくは膜結合型蛋白
    がIL2レセプターである請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 ベクターが、サイトメガロウイルスのエ
    ンハンサー/プロモーター, intron, Multi cloning sit
    e(MCS), SV40 late poly(A) site, f1 ori,Neo, Amp,
    E.coli ori の各部分からなるpCI−neoのMCS
    をT7/T3プロモーターとともに除き、かわりにマウ
    スIL2−レセプターアルファーのシグナルペプチドか
    ら膜貫通ドメインの直前までをいれ、IL2−レセプタ
    ーの3’側にT3,T7プロモーターにはさまれたMC
    S(BamHI, XbaI, EcoRI, Sal
    I)を導入し、ついでその下流に終始コドンを導入して
    得られるたものである請求項1または2の膜結合型蛋白
    質および分泌蛋白質の遺伝子クローニング方法。
  4. 【請求項4】 膜結合型蛋白質がI型膜蛋白質、II型膜
    蛋白質またはP450型に属する膜蛋白質である請求項
    1、2または3の遺伝子クローニング方法。
  5. 【請求項5】 N−末端のシグナルペプチドが膜貫通ド
    メインになりうる分泌型蛋白質である請求項1、2また
    は3の遺伝子クローニング方法。
  6. 【請求項6】 膜結合型蛋白質がGPI−アンカー型膜
    蛋白質である請求項1、2または3の遺伝子クローニン
    グ方法。
  7. 【請求項7】 膜結合型蛋白質が複数回膜貫通型に属す
    る膜蛋白質である請求項1、2もしくは3の遺伝子クロ
    ーニング方法。
  8. 【請求項8】 膜結合蛋白質が上記以外の新しい機構で
    膜上にトラップされる膜蛋白質である請求項1、2また
    は3の遺伝子クローニング方法。
  9. 【請求項9】 cDNAが逆方向に挿入された場合融合
    蛋白質を合成できないように終始コドンが入れてある請
    求項1、2もしくは3の遺伝子クローニング方法に用い
    る一本鎖cDNA合成用のプライマー。
  10. 【請求項10】 配列番号7〜10のいずれか1つの配
    列のプライマー。
  11. 【請求項11】 サイトメガロウイルスのエンハンサー
    /プロモーター, intron, Multi cloning site(MCS), SV
    40 late poly(A) site, f1 ori, Neo, Amp,E.coli ori
    の各部分からなるpCI−neoのMCSがT7/T3
    プロモーターとともに除かれ、かわりにマウスIL2
    −レセプターアルファーのシグナルペプチドから膜貫通
    ドメインの直前までが挿入され、IL2−レセプターの
    3’側にT3,T7プロモーターにはさまれたMCS
    (BamHI, XbaI,EcoRI, SalI)
    を導入され、その下流に終始コドンが3回、それぞれの
    frameに導入されてなるベクター。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8のいずれか1項の方法に
    より得られるcDNAによりコードされた蛋白質。
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