JPH11325999A - 熱式フローセンサ、流体測定方法 - Google Patents

熱式フローセンサ、流体測定方法

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JPH11325999A
JPH11325999A JP10133282A JP13328298A JPH11325999A JP H11325999 A JPH11325999 A JP H11325999A JP 10133282 A JP10133282 A JP 10133282A JP 13328298 A JP13328298 A JP 13328298A JP H11325999 A JPH11325999 A JP H11325999A
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JP
Japan
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heating element
fluid
flow
thermal
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JP10133282A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Horiguchi
浩幸 堀口
Shinji Hirano
真司 平野
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Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低流速域での流体の流速や流量を正しく測定
し得るようにする。 【解決手段】 流体を流す流路1に少なくとも一つの発
熱体3,4を含む検出素子3,4を配設した熱式フロー
センサにおいて、検出素子3,4を保持する基板2を検
出素子3,4よりも重力方向において上側に配設した。
これにより、流路1内の流体は、発熱体3,4を発熱さ
せるとこの発熱体3,4の近傍から順に熱せられるが、
基板2の遮蔽作用によって自然対流の発生を抑制するこ
とにより、低流速域での流体の流速や流量を正しく測定
し得るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ガス、プロパ
ンガス等の流体の流速及び流量を測定する熱式フローセ
ンサ、流体測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、美観上、或いは小型化を図るため
にフルイディック型流量計が開発されているが、フルイ
デイック流体素子のみでは低流量域が測定できないの
で、低流量域用として熱式フローセンサが併用されてい
る。熱式フローセンサは、マイクロマシーニング技術に
より半導体基板に流体を流すための堀を設け、この堀の
上に微小な橋、或いは膜を形成し、これらの橋或いは膜
の上に発熱体を含む検出素子を配設した構成である。こ
の場合、検出素子の配置及び測定には下記のような方式
がある。
【0003】第一に、流体を流す流路の上流側と下流側
とに発熱体を配置し、これらの発熱体を加熱し、流体の
流れにより変化する発熱体の電圧差を求める方式、第二
に、一つの発熱体と、その上流側及び下流側とに配置さ
れた温度検出素子とを流路に設け、発熱体を加熱し、流
体の流れにより変化する上流側及び下流側における温度
の違いを温度検出素子により求める方式、第三に、一つ
の発熱体を流路に設け、この発熱体を加熱し、流体の流
れにより変化する発熱体の電圧変化を求める方式等があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ガス流量計
等に用いられる熱式フローセンサは、安全性の点から数
リットル/hr程度の低流量域の測定が必要である。しか
も、圧力損失を大きくすることができないので流路を狭
めて流速を上げるには限界があり、1cm/sec 程度の微
流速を検出する必要がある。しかしながら、熱式フロー
センサにおいて微流速を測定するために感度を上げる
と、発熱体を加熱したときに生ずる自然対流の影響によ
る流れまで検出してしまい測定値に狂いが生ずる。
【0005】本発明は、自然対流の影響を少なくし、微
流速での測定精度を高めうる熱式フローセンサを提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の熱式フロ
ーセンサは、流体を流す流路に少なくとも一つの発熱体
を含む検出素子を配設した熱式フローセンサにおいて、
前記検出素子を保持する基板が前記検出素子よりも重力
方向において上側に配設されている。
【0007】したがって、流路内の流体は、発熱体を発
熱させるとこの発熱体の近傍から順に熱せられが、基板
の遮蔽作用によって自然対流の発生を抑制することが可
能となる。
【0008】請求項2記載の熱式フローセンサは、流体
を流す流路に、発熱体、温度検出素子等の検出素子のう
ち少なくとも一つの発熱体を含む複数の前記検出素子を
前記流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配置した熱
式フローセンサにおいて、複数の前記検出素子は、互い
に重力方向とは直交する方向に所定の間隔を開けて配置
されているとともに、それぞれ長手方向が重力方向に向
けて延出されている。
【0009】したがって、流路内の流体は、発熱体を発
熱させるとこの発熱体の近傍から順に熱せられるため自
然対流が発生するが、自然対流による熱は自然対流を発
生させた自己の検出素子にのみそれぞれ等しく作用し隣
接する検出素子には影響を与えないため、自然対流が発
生しても隣接する検出素子の出力に与える影響は僅かで
ある。
【0010】請求項3記載の流体測定方法は、流体を流
す流路に少なくとも一つの発熱体を含む検出素子を配設
した熱式フローセンサを用い、前記発熱体を環境温度よ
り高い一定の温度になるように駆動し、前記流路に自然
対流が発生する前記発熱体の配置構造に基づいて予め決
められた補正データにより前記検出素子の出力を補正し
て流体の流速又は流量を測定する。
【0011】したがって、発熱体を環境温度より高い一
定の温度に高めると、自然対流は環境温度の変化に拘ら
ず一定の流速をもつ。このときの検出素子の出力は補正
データに基づいて補正される。
【0012】請求項4記載の熱式フローセンサは、流体
を流す流路に少なくとも一つの発熱体を含む検出素子を
配設した熱式フローセンサにおいて、前記発熱体を環境
温度より高い一定の温度になるように駆動する駆動手段
と、前記流路に自然対流が発生する前記発熱体の配置構
造に基づいて予め前記検出素子の出力を補正するための
補正データが記憶されている補正データ記憶手段と、前
記補正データ記憶手段に記憶された補正データに基づい
て前記検出素子の出力を補正する補正実行手段とを備え
る。
【0013】したがって、発熱体を環境温度より高い一
定の温度に高めると、自然対流は環境温度の変化に拘ら
ず一定の流速をもつ。このときの検出素子の出力は補正
データに基づいて補正される。
【0014】請求項5記載の流体測定方法は、流体を流
す流路に、発熱体、温度検出素子等の検出素子のうち少
なくとも一つの発熱体を含む複数の前記検出素子を前記
流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配設した熱式フ
ローセンサを用い、前記発熱体を駆動し始めた時刻を基
準として、前記発熱体の最も早い熱時定数の3倍の時間
内での前記検出素子の出力を読み取ることにより流体の
流量又は流速を測定する。
【0015】したがって、流路の上流側と下流側との検
出素子の間に自然対流による熱が移動する以前に流体の
流速或いは流量を測定することが可能となる。
【0016】請求項6記載の熱式フローセンサは、流体
を流す流路に、発熱体、温度検出素子等の検出素子のう
ち少なくとも一つの発熱体を含む複数の前記検出素子を
前記流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配設した熱
式フローセンサにおいて、前記発熱体を駆動し始めた時
刻を認識する駆動開始時刻認識手段と、前記発熱体を駆
動し始めた時刻からの経過時間を測定する時計手段と、
前記発熱体の最も早い熱時定数の3倍の時間内での前記
検出素子の出力を読み取る読取手段とを備える。
【0017】したがって、流路の上流側と下流側との検
出素子の間に自然対流による熱が移動する以前に流体の
流速或いは流量を測定することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の第一の形態を図1
に基づいて説明する。図1は流路1を流体の流れ方向A
に沿って断面にした縦断側面図である。図中、1は矩形
状の流路である。この流路1の天井面には基板2が固定
され、この基板2の下面にはそれぞれ検出素子としての
発熱体3,4が流体の流れ方向Aに沿って所定の間隔を
開けて支持されている。なお、発熱体3,4は、Pt、
Pt膜、pn接合半導体、パーマロイ、ドープしたSi
等により形成することができる。本実施の形態ではpt
膜を使用している。
【0019】このような構成において、発熱体3,4を
通電により加熱すると、上流側の発熱体3は流体により
熱が奪われ、下流側の発熱体4は上流側の発熱体3から
熱を奪った後の流体に触れるため、発熱体3,4の電圧
に差が生ずる。この差は流体の流速に比例するため、発
熱体3,4の電圧差により流体の流速が求められる。ま
た、求められた流速から単位時間当たりの流量を求める
ことができる。
【0020】ここで、自然流体の影響が顕著に表れる流
体が流れない場合を考える。発熱体3,4に熱せられた
流体は発熱体3,4の近傍から順に熱せられる。このと
きに、発熱体3,4が流体の流れと直交する方向(紙面
に対して垂直な方向)に長いものとして、発熱体3,4
を中心に半円筒形の温度分布で高温領域5,6が形成さ
れるが、高温加熱による上昇気流、すなわち自然対流の
発生を基板2の遮蔽作用によって抑制することができ
る。流体に流れがある場合でも、基板2により自然対流
の発生を抑制することができるので、微流速から高速の
範囲まて流体の流速を正確に測定することができる。
【0021】次に、本発明の実施の第二の形態を図2に
基づいて説明する。前実施の形態と同一部分は同一符号
を用いて説明する。図2は流路1を流体の流れ方向Aに
沿って断面にした縦断側面図である。流路1の中央には
基板2が固定的に設けられ、この基板2の下面には一つ
の発熱体3と、この発熱体3の上流側と下流側とに配置
された検出素子としての温度検出素子7,8とが流体の
流れ方向Aに沿って所定の間隔を開けて支持されてい
る。本実施の形態においても、発熱体3は、Pt、Pt
膜、pn接合半導体、パーマロイ、ドープしたSi等に
より形成することができる。温度検出素子7,8は、P
t、Pt膜、pn接合半導体、パーマロイ、ドープした
Si、サーモパイル等により形成することができる。
【0022】このような構成において、発熱体3を通電
により加熱した状態で流体を流すと、発熱体3は流体に
より熱が奪われ、下流側の温度検出素子8は発熱体3か
ら熱を奪った後の流体に触れるため、温度検出素子7,
8の出力に差が生ずる。この差は流体の流速に比例する
ため、温度検出素子7,8の出力差により流体の流速が
求められる。
【0023】本実施の形態においても、前実施の形態と
同様に、流体が流れない場合を考えると、発熱体3に熱
せられた流体は発熱体3の近傍から順に熱せられる。こ
のときに、発熱体3が流体の流れと直交する方向(紙面
に対して垂直な方向)に長いものとして、発熱体3を中
心に半円筒形の温度分布で高温領域5が形成されるが、
高温加熱による上昇気流、すなわち自然対流の発生を基
板2の遮蔽作用によって抑制することができる。流体に
流れがある場合でも、基板2により自然対流の発生を抑
制することができるので、微流速から高速の範囲まで流
体の流速を正確に測定することができる。
【0024】また、本実施の形態においては、ハーゲン
・ポアズイユの法則で知られているように、発熱体3と
温度検出素子7,8とが流体の流量が最大となる流路1
の中央に設けられているので、検出感度を高めることが
できる。このことは、図1に示す発熱体3,4を基板2
とともに流路1の中央に置いても同様である。
【0025】但し、図2の構成において、発熱体3の温
度を高くすると、高温領域5が拡大し基板2の外側から
はみ出して上昇(自然対流の発生)する可能性がある。
そこで、自然対流の防止を第一に考えるならば、発熱体
3と温度検出素子7,8とを下面に支持する基板2を流
路1の天井面に配設することが望ましい。
【0026】次に、本発明の実施の第三の形態を図3に
基づいて説明する。図1において説明した部分と同一部
分は同一符号を用い説明も省略する。図3(a)は流路
1を流体の流れ方向Aに沿って断面にした縦断側面図、
同図(b)は流路1を流体の流れ方向Aと直交する方向
で断面にした縦断正面図である。
【0027】流路1の天井面の中央には基板2が真下に
向けて垂直に吊り下げられた状態で支持されている。そ
して、複数の発熱体3,4が互いに重力方向とは直交す
る方向(流体の流れ方向A)に沿って所定の間隔を開け
て配置されているとともに、それぞれ長手方向が重力方
向に向けて延出された状態で基板2に支持されている。
【0028】このような構成において、流路1内の流体
は、発熱体3,4を発熱させるとこの発熱体3,4の近
傍から順に熱せられる。図3(b)では一方の発熱体3
しか図示してないが、発熱体3により熱せられた高温領
域5は、矢印イに示すように発熱体3及び基板2に沿っ
上昇し、その分周囲の流体が矢印ロ及びハに示すように
発熱体3の周囲に回り込み、上昇した流体は基板2や流
路1の壁面に熱を奪われて矢印ニのように下方に向か
う。すなわち自然対流が発生する。同様の現象が発熱体
4の周囲でも発生する。しかし、自然対流による熱は、
自然対流を発生させた自己の発熱体3,4に等しく作用
し隣接する相手側の発熱体3,4には影響を与えない。
これは、隣接する発熱体3,4が自然対流の方向とは直
交する方向に配置されているためである。したがって、
自然対流が発生しても隣接する発熱体3,4が出力する
電圧差に与える影響は僅かである。これにより、流体の
流速や流量を正確に測定することがでかる。
【0029】このことは、図2に示した温度検出素子7
と発熱体3と温度検出素子8とを、互いに重力方向とは
直交する方向(流体の流れ方向A)に沿って所定の間隔
を開けて配置されているとともに、それぞれ長手方向が
重力方向に向けて延出された状態で基板2により支持し
ても得られる。
【0030】次に、本発明の実施の第四の形態について
説明する。前実施の形態で説明した部分と同一部分は同
一符号を用い説明も省略する。本実施の形態は、流体を
流す流路に少なくとも一つの発熱体を含む検出素子を配
設した熱式フローセンサを前提にしている。
【0031】前提にする熱式フローセンサは、図1に示
すように二つの発熱体3,4を検出素子として流路1に
配置した第一の方式の熱式フローセンサ、図2に示すよ
うに温度検出素子7と発熱体3と温度検出素子8とを検
出素子として流路1に配置した第二の方式の熱式フロー
センサ、一つの発熱体3のみを流路1に配置した第三の
方式の熱式フローセンサを含むものである。この場合、
第一及び第二の方式の熱式フローセンサの測定原理は前
実施の形態で述べた通りである。第三の方式の熱式フロ
ーセンサは、従来の技術で述べたように、流体の流れに
より変化する発熱体の出力を求める方式である。
【0032】本実施の形態は、前述した第一、第二の、
第三の何れの方式の熱式フローセンサであれ、図1ない
し図3に示すような検出素子の配置構成がとれない場合
を想定して自然対流の発生による影響を少なくするため
に、発熱体を環境温度より高い一定の温度になるように
駆動する駆動手段(図示せず)と、流路1に自然対流が
発生する発熱体の配置構造に基づいて予め検出素子の出
力を補正するための補正データが記憶されている補正デ
ータ記憶手段(図示せず)と、この補正データ記憶手段
に記憶された補正データに基づいて検出素子の出力を補
正する補正実行手段(図示せず)とを備える。
【0033】したがって、発熱体を環境温度より高い一
定の温度に高めると、自然対流は環境温度の変化に拘ら
ず一定の流速をもつ。このときの検出素子の出力は補正
データに基づいて補正される。これにより、自然対流が
発生しても流体の流速或いは流量を正確に測定すること
ができる。
【0034】ここで、補正データの一つの構築例につい
て説明する。例えば、図1に示した熱式フローセンサは
前述のように自然流体の影響がないとされる構造であ
る。この図1に示す流路1全体を90°向きを変えた構
造を考えた場合、複数の検出素子(発熱体3,4)は重
力方向(自然対流が発生する方向)に配置され、流体の
流れに対して下流側に配置された検出素子(発熱体4)
の出力は、上流側の検出素子(発熱体3)の熱により発
生した自然対流の影響を受けることになる。
【0035】そこで、自然対流が発生しない構造の熱式
フローセンサの検出素子の出力と、自然対流の影響があ
る構造の熱式フローセンサの検出素子の出力とを予め測
定して補正データを作成し、これをテーブルとして記憶
する。具体的には、図4のグラフに示すように、上流側
と下流側との検出素子(発熱体3,4)の出力の差(検
出素子が発熱体の場合は電圧差)Vdu(V)を縦軸に
とり、横軸に例えば流量をとると、差のデータは、自然
対流が発生しない構造の値(●印で示す)と、自然対流
の影響がある構造の値(□印で示す)とで異なるので、
その違いを補正データとして、自然対流の影響がある構
造の測定値を補正することにより、低流量域での流体の
流量又は流速を正確に測定することができる。また、図
4に示す補正データによれば、100リットル/hr以上
の領域については自然対流の影響が少ないので無視でき
る。
【0036】さらに、本発明の実施の第五の形態につい
て説明する。前実施の形態において説明した部分と同一
部分については同一符号を用い説明も省略する。本実施
の形態は、流体を流す流路に、発熱体、温度検出素子等
の検出素子のうち少なくとも一つの発熱体を含む複数の
検出素子を流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配設
した熱式フローセンサを前提にしている。
【0037】前提にする熱式フローセンサは、図1に示
すように二つの発熱体3,4を検出素子として流路1に
配置した第一の方式の熱式フローセンサ、図2に示すよ
うに温度検出素子7と発熱体3と温度検出素子8とを検
出素子として流路1に配置した第二の方式の熱式フロー
センサを含むものである。この場合、第一及び第二の方
式の熱式フローセンサの測定原理は前実施の形態で述べ
た通りである。
【0038】本実施の形態は、図1ないし図3に示すよ
うな検出素子の配置構成がとれない場合を想定して自然
対流の発生による影響を少なくするために、発熱体を駆
動し始めた時刻を認識する駆動開始時刻認識手段(図示
せず)と、発熱体を駆動し始めた時刻からの経過時間を
測定する時計手段(図示せず)と、発熱体の最も早い熱
時定数の3倍の時間内での検出素子の出力を読み取る読
取手段(図示せず)とを備える。駆動開始時刻認識手段
は、駆動回路(図示せず)により発熱体に電圧を印加し
たときにタイマをセットする等の手段により実現可能で
あり、時計手段はタイマをセットした時刻からタイマを
カウントする等の手段により実現可能であり、読取手段
はタイマが所定のカウントに達した状態をCPUが認識
したときに検出素子の出力を一時的に保存する手段によ
り実現可能であり、何れもマイクロコンピュータの機能
により実現できる。
【0039】このような構成により、流路1の上流側と
下流側との検出素子の間に自然対流による熱が伝搬する
以前に流体の流速或いは流量を測定することができる。
【0040】以下、具体的に説明する。前述したよう
に、自然対流の発生を抑制した図1の構成において、二
つの発熱体3,4に一定電流をパルス的に印加して発熱
体を駆動したときの、駆動開始時刻から時間tに対する
発熱体3,4の挙動を測定例を図5にグラフとして示
す。図5は流体が流れていないときの発熱体3,4の電
圧と時間との関係を測定した測定結果で、◆印は上流側
の発熱体3の電圧Vu、□印は下流側の発熱体4の電圧
Vdである。前述したように、特に図1に示す構造では
自然対流は殆ど発生しないと思われる。このとき、図5
から明らかなように、二つの発熱体3,4の電圧Vu,
Vdは、駆動開始時刻から50〜60msで定常状態にな
っていることが分かる。この定常状態は自然対流を無視
してよい理想状態である。
【0041】この理想状態での発熱体3,4の立ち上り
の熱的挙動のメカニズムを検討するために、図5の上流
側及び下流側の発熱体3,4が定常状態になつたときの
電圧値をそれぞれEu,Edとし、Eu−Vu(t),
Ed−Vd(t)と時間tとの関係を算出した。その算
出結果を図6にグラフとして示す。図6は電圧と時間と
の関係を示す測定結果で、◆印は上流側の発熱体3に対
応する電圧Eu−Vu(t)の値、□印は下流側の発熱
体4に対応する電圧Ed−Vd(t)の値である。
【0042】図6から明らかなように、Eu−Vu
(t),Ed−Vd(t)の値は、10ms付近で初期の
直線の傾きから緩やかな傾きの直線に変化していること
が分かる。これは、発熱体3,4の熱の移動プロセスと
して時期的に早い過程と遅い過程とが存在することを意
味する。すなわち、発熱体3,4を駆動してから10ms
位までは、上流側及び下流側の発熱体3,4からの熱の
移動は同じ傾きを示すことから、電流印加により発熱体
3,4が発する熱が発熱体3,4自身の低温部や基板2
に移動するプロセスが主であると解釈できる。20ms以
降では、基板2等の固体に比べ熱伝導率の小さい流体へ
の加熱がプロセスが主となり、直線が緩やかになると解
釈できる。10〜20msの間は両プロセスが拮抗する期
間である。
【0043】なお、20ms以後、Eu−Vu(t)とE
d−Vd(t)2直線の差が顕著になるが、これは上流
側の発熱体3と下流側の発熱体4の抵抗値が僅かに異な
ることに起因している。
【0044】この例では、発熱体の熱の移動メカニズム
を明確にするために、二つの発熱体3,4を上流側と下
流側とに配置した図1の構造を例に説明したので、Eu
−Vu(t),Ed−Vd(t)の値の変化を示す直線
の違いが強調され、二つの発熱体3,4の熱の移動メカ
ニズムが存在することが明確になったが、図2に示すよ
うに、一つの発熱体3の上流側と下流側とに温度検出素
子7,8を配設し、発熱体3の駆動開始時刻からの温度
検出素子7,8の出力を観測しても、上記のような熱の
移動メカニズムが存在することは同様である。
【0045】以上の考察から、二つの発熱体3,4を用
いた構造では両者の最も早い熱時定数(一つの発熱体3
を用いた構造ではその発熱体3の最も早い熱時定数)、
すなわち、発熱体3,4がそれ自身や基板2との熱の授
受で決まる熱時定数(図6では約8.5ms)の3倍程度
の期間内で測定すれば、自然対流の影響を受けずに流体
の流量や流速を正しく測定し得るものと結論することが
できる。
【0046】この結論を検証するものとして、流体の流
れがない状態での上流側及び下流側の発熱体3,4の電
圧差Vdu(V)と駆動開始時刻からの経過時間との関
係を測定した結果を図7に示す。□印は自然対流が発生
しないように発熱体3,4を配置した場合の測定結果、
◆印は自然対流が発生するように発熱体3,4を配置し
た場合の測定結果である。この図7の結果から明らかな
ように、発熱体3,4の駆動開始時刻から20msを少し
経過したあたりから、自然対流が発生しない構造と自然
対流が発生する構造との出力差が表れる。よって、発熱
体3,4の最も早い熱時定数の3倍の時間内での発熱体
3,4の出力により流体の流量や流速を測定することが
妥当であると考えられる。
【0047】したがって、二つの発熱体3,4を流路1
に配置する場合、或いは一つの発熱体3とその上流側及
び下流側に位置する温度検出素子7,8とを流路1に配
置する場合に、自然対流の発生に関して留意することな
く様々な向きで自由に配置することができ、設計上自由
度を増すことができる。
【0048】
【発明の効果】請求項1記載の熱式フローセンサは、流
体を流す流路に少なくとも一つの発熱体を含む検出素子
を配設した熱式フローセンサにおいて、前記検出素子を
保持する基板が前記検出素子よりも重力方向において上
側に配設されているので、流路内の流体は、発熱体を発
熱させるとこの発熱体の近傍から順に熱せられるが、基
板の遮蔽作用によって自然対流の発生を抑制することが
できるため、低流速域での流体の流速や流量を正しく測
定することができる。
【0049】請求項2記載の熱式フローセンサは、流体
を流す流路に、発熱体、温度検出素子等の検出素子のう
ち少なくとも一つの発熱体を含む複数の前記検出素子を
前記流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配置した熱
式フローセンサにおいて、複数の前記検出素子は、互い
に重力方向とは直交する方向に所定の間隔を開けて配置
されているとともに、それぞれ長手方向が重力方向に向
けて延出されているので、流路内の流体は、発熱体を発
熱させるとこの発熱体の近傍から順に熱せられるため自
然対流が発生するが、自然対流による熱は自然対流を発
生させた自己の検出素子にのみそれぞれ等しく作用し隣
接する検出素子には影響を与えないため、自然対流が発
生しても隣接する検出素子の出力に与える影響は僅かで
ある。したがって、低流速域での流体の流速や流量を正
しく測定することができる。
【0050】請求項3記載の流体測定方法は、流体を流
す流路に少なくとも一つの発熱体を含む検出素子を配設
した熱式フローセンサを用い、前記発熱体を環境温度よ
り高い一定の温度になるように駆動し、前記流路に自然
対流が発生する前記発熱体の配置構造に基づいて予め決
められた補正データにより前記検出素子の出力を補正し
て流体の流速又は流量を測定するので、発熱体を環境温
度より高い一定の温度に高めると、自然対流は環境温度
の変化に拘らず一定の流速をもつ。このときの検出素子
の出力は補正データに基づいて補正することができるた
め、低流速域での流体の流速や流量を正しく測定するこ
とができる。
【0051】請求項4記載の熱式フローセンサは、流体
を流す流路に少なくとも一つの発熱体を含む検出素子を
配設した熱式フローセンサにおいて、前記発熱体を環境
温度より高い一定の温度になるように駆動する駆動手段
と、前記流路に自然対流が発生する前記発熱体の配置構
造に基づいて予め前記検出素子の出力を補正するための
補正データが記憶されている補正データ記憶手段と、前
記補正データ記憶手段に記憶された補正データに基づい
て前記検出素子の出力を補正する補正実行手段とを備え
るので、発熱体を環境温度より高い一定の温度に高める
と、自然対流は環境温度の変化に拘らず一定の流速をも
つ。このときの検出素子の出力は補正データに基づいて
補正することができるため、低流速域での流体の流速や
流量を正しく測定することができる。
【0052】請求項5記載の流体測定方法は、流体を流
す流路に、発熱体、温度検出素子等の検出素子のうち少
なくとも一つの発熱体を含む複数の前記検出素子を前記
流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配設した熱式フ
ローセンサを用い、前記発熱体を駆動し始めた時刻を基
準として、前記発熱体の最も早い熱時定数の3倍の時間
内での前記検出素子の出力を読み取ることにより流体の
流量又は流速を測定するので、流路の上流側と下流側と
の検出素子の間に自然対流による熱が移動する以前に、
低流速域における流体の流速或いは流量を正しく測定す
ることができる。
【0053】請求項6記載の熱式フローセンサは、流体
を流す流路に、発熱体、温度検出素子等の検出素子のう
ち少なくとも一つの発熱体を含む複数の前記検出素子を
前記流体の流れる方向に所定の間隔を開けて配設した熱
式フローセンサにおいて、前記発熱体を駆動し始めた時
刻を認識する駆動開始時刻認識手段と、前記発熱体を駆
動し始めた時刻からの経過時間を測定する時計手段と、
前記発熱体の最も早い熱時定数の3倍の時間内での前記
検出素子の出力を読み取る読取手段とを備えるので、流
路の上流側と下流側との検出素子の間に自然対流による
熱が移動する以前に、低流速域における流体の流速或い
は流量を正しく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第一の形態における熱式フロー
センサの縦断側面図である。
【図2】本発明の実施の第二の形態における熱式フロー
センサの縦断側面図である。
【図3】本発明の実施の第三の形態における熱式フロー
センサを示すもので、(a)は縦断側面図、(b)は縦
断正面図である。
【図4】本発明の実施の第四の形態における補正データ
の一例となるグラフである。
【図5】本発明の実施の第五の形態における発熱体の電
圧が定常状態に達する過程での発熱体の電圧の変化を示
すグラフである。
【図6】発熱体の熱の移動メカニズムを示すグラフであ
る。
【図7】流体の流れがない状態での上流側及び下流側の
発熱体の電圧差と駆動開始時刻からの経過時間との関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 流路 2 基板 3,4 発熱体、検出素子 7,8 温度検出素子、検出素子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体を流す流路に少なくとも一つの発熱
    体を含む検出素子を配設した熱式フローセンサにおい
    て、 前記検出素子を保持する基板が前記検出素子よりも重力
    方向において上側に配設されていることを特徴とする熱
    式フローセンサ。
  2. 【請求項2】 流体を流す流路に、発熱体、温度検出素
    子等の検出素子のうち少なくとも一つの発熱体を含む複
    数の前記検出素子を前記流体の流れる方向に所定の間隔
    を開けて配置した熱式フローセンサにおいて、 複数の前記検出素子は、互いに重力方向とは直交する方
    向に所定の間隔を開けて配置されているとともに、それ
    ぞれ長手方向が重力方向に向けて延出されていることを
    特徴とする熱式フローセンサ。
  3. 【請求項3】 流体を流す流路に少なくとも一つの発熱
    体を含む検出素子を配設した熱式フローセンサを用い、
    前記発熱体を環境温度より高い一定の温度になるように
    駆動し、前記流路に自然対流が発生する前記発熱体の配
    置構造に基づいて予め決められた補正データにより前記
    検出素子の出力を補正して流体の流速又は流量を測定す
    ることを特徴とする流体測定方法。
  4. 【請求項4】 流体を流す流路に少なくとも一つの発熱
    体を含む検出素子を配設した熱式フローセンサにおい
    て、 前記発熱体を環境温度より高い一定の温度になるように
    駆動する駆動手段と、前記流路に自然対流が発生する前
    記発熱体の配置構造に基づいて予め前記検出素子の出力
    を補正するための補正データが記憶されている補正デー
    タ記憶手段と、前記補正データ記憶手段に記憶された補
    正データに基づいて前記検出素子の出力を補正する補正
    実行手段とを備えることを特徴とする熱式フローセン
    サ。
  5. 【請求項5】 流体を流す流路に、発熱体、温度検出素
    子等の検出素子のうち少なくとも一つの発熱体を含む複
    数の前記検出素子を前記流体の流れる方向に所定の間隔
    を開けて配設した熱式フローセンサを用い、前記発熱体
    を駆動し始めた時刻を基準として、前記発熱体の最も早
    い熱時定数の3倍の時間内での前記検出素子の出力を読
    み取ることにより流体の流量又は流速を測定することを
    特徴とする流体測定方法。
  6. 【請求項6】 流体を流す流路に、発熱体、温度検出素
    子等の検出素子のうち少なくとも一つの発熱体を含む複
    数の前記検出素子を前記流体の流れる方向に所定の間隔
    を開けて配設した熱式フローセンサにおいて、 前記発熱体を駆動し始めた時刻を認識する駆動開始時刻
    認識手段と、前記発熱体を駆動し始めた時刻からの経過
    時間を測定する時計手段と、前記発熱体の最も早い熱時
    定数の3倍の時間内での前記検出素子の出力を読み取る
    読取手段とを備えることを特徴とする熱式フローセン
    サ。
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