JPH11325662A - 電子式膨張弁の動作不良調整装置 - Google Patents

電子式膨張弁の動作不良調整装置

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JPH11325662A
JPH11325662A JP10133445A JP13344598A JPH11325662A JP H11325662 A JPH11325662 A JP H11325662A JP 10133445 A JP10133445 A JP 10133445A JP 13344598 A JP13344598 A JP 13344598A JP H11325662 A JPH11325662 A JP H11325662A
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expansion valve
electronic expansion
malfunction
motor
drive current
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JP10133445A
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Shogo Sakashita
省吾 坂下
Tatsuo Ono
達生 小野
Tomohiko Kasai
智彦 河西
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子式膨張弁の動作不良を精度良く検知した
り、電子式膨張弁に発生した動作不良を解消することの
できる電子式膨張弁の動作不良調整装置を提供するこ
と。 【解決手段】 この動作不良調整装置は、直流モータに
よって弁開度調節可能で冷媒回路に用いられる電子式膨
張弁32の動作不良を調整する装置であって、電子式膨
張弁32に開度指令信号を出力する開度指令信号出力手
段39と、電子式膨張弁32前後の冷媒圧力を検出する
圧力検出器33、34と、圧力検出器33、34で検出
された電子式膨張弁32前後の圧力差および開度指令信
号出力手段39からの開度指令信号に基づいて電子式膨
張弁32の動作不良を検知する動作不良検知手段40と
を備えて構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒回路に取り付
けられて冷媒の絞り状態を調整する電子式膨張弁の動作
不良を検知したり解消したりする動作不良調整装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図12に電子式膨張弁の断面図を示す。
図において、1は電子式膨張弁を駆動する直流モータの
一例であるステッピングモータ、2はステッピングモー
タのコイル、3はステッピングモータのリード線、4は
永久磁石、5はローター、6はねじ部、7はニードル、
8はシート面を表している。
【0003】図12の電子式膨張弁の動作原理は、まず
リード線3からステッピングモータ1の駆動パルスが送
信されると、コイル2で発生する磁界と永久磁石4の作
用によってローター5が回転する。ローター5が回転す
ると、ねじ部6の作用によりローター5と直結されたニ
ードル7が上下し、ニードル7の先端とシート面8の隙
間を調整して冷媒の流量、すなわち絞り状態を制御す
る。
【0004】次に、図13に電子式膨張弁の駆動回路の
構成図を示す。図において、1は電子式膨張弁のステッ
ピングモータ、9はクロックパルス発生装置、10は分
配回路、11は励磁回路、12は直流電源、14、1
5、16、17はそれぞれφ1相、φ2相、φ3相、φ
4相のパルスを送信するための伝送線を表す。ここで、
図13の分配回路10で生成されるパルス波形を図14
に示す。図において、18は図13のクロックパルス発
生装置9から分配回路10ヘ送られるクロックパルスを
表し、19、20、21、22はそれぞれ分配回路10
で生成されるφ1相、φ2相、φ3相、φ4相のパルス
波形を表している。
【0005】図13に示した電子式膨張弁の駆動回路の
基本的な動作としては、まずクロックパルス発生装置9
からのクロックパルスが分配回路10に送信される。そ
こで、図14のようにコイルの励磁順番が決められ、そ
の信号が伝送線14、15、16、17を経て励磁回路
11に送られる。そこで、直流電源12からの直流電流
を用いて実際にステッピングモータ1を駆動するための
パルス波形が、図15のように生成され、これによって
ステッピングモータ1を駆動するようになっている。
【0006】続いて、電子式膨張弁が室内機の冷媒絞り
装置として用いられた場合の冷媒回路図を図16に示
す。図において、23は室外機、24は室内機、25は
室外熱交換器、26は室外送風ファン、27は圧縮機、
28は四方弁、29はアキュムレータ、30は室内熱交
換器、31は室内送風ファン、32は電子式膨張弁を表
しており、いずれも汎用周知の部品である。
【0007】ここで、図16における冷媒の動作につい
て説明する。まず、図中の実線矢印で示す冷房運転時の
冷媒の流れについて説明する。圧縮機27から吐出され
た高温・高圧のガス冷媒は、四方弁28を経て室外熱交
換器25へ流れ、ここで放熱・凝縮して高温の液冷媒と
なる。この高温の液冷媒はそのまま室内機24へと向か
い、電子式膨張弁32で減圧されて低温低圧の二相冷媒
となり、室内熱交換器30で吸熱・蒸発することでその
ほとんどがガス状となる。この低圧ガス冷媒は室外機2
3へ向かい、四方弁28を経てアキュムレータ29に入
り、一部未蒸発であった液冷媒が分離されたのち、ガス
冷媒のみ圧縮機27に戻る。
【0008】次に、図16中に点線矢印で示す暖房運転
時の冷媒の流れについて説明する。四方弁28の流路は
予め室内熱交換器30側へ切り換えられている。そこ
で、圧縮機27から吐出された高温・高圧のガス冷媒
は、四方弁28を経て室内機24へと向かい、室内熱交
換器30で放熱・凝縮して高圧の液冷媒となる。この高
圧の液冷媒は、電子式膨張弁32により減圧されて低温
・低圧の二相冷媒となり、そのまま室外機23へ向か
う。この二相冷媒は、室外熱交換器25でその液部のほ
とんどが吸熱・蒸発し、四方弁28を経てアキュムレー
タ29に入り、一部未蒸発であった液冷媒が分離された
のち、ガス冷媒のみ圧縮機27に戻る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に冷媒
回路内には、冷媒配管のロー付け時に発生する酸化スケ
ール、水分、HFC系冷媒で使用する潤滑油が加水分解
して生成されるスラッジなど、様々な異物が存在する。
こうした異物Dが、図17のように電子式膨張弁のねじ
部6、ニードル7、シート面8などに付着すると、ニー
ドル7が回転する際の摩擦が増加し、ニードル7が回転
しなくなるか、または回転しにくくなり、意図した通り
の弁開度が得られなくなる。
【0010】ここで、図16に示した従来の冷媒回路に
おいて、まず冷房運転時に電子式膨張弁32が動作不良
を起こした場合のことを考える。電子式膨張弁32が所
定の開度よりも小さい開度のままで動作不能となった場
合、圧縮機27から吐出され室外熱交換器25で熱交換
した高温の液冷媒は電子式膨張弁32で塞き止められる
ため、高圧の過昇または低圧の過低下という不具合を生
じるおそれがある。しかしながら、この高圧の過昇とい
う現象の原因としては、室外送風ファン26の能力不足
や、冷媒回路内の冷媒の過充填などが考えられる。一
方、低圧の過低下という現象の原因としては、室内送風
ファン30の能力不足や、冷媒回路内の冷媒不足などが
考えられる。そのため、これらの不具合が電子式膨張弁
32の動作不良によるものであったとしても、それが電
子式膨張弁32が原因であると判定するのは一般に困難
である。
【0011】また、電子式膨張弁32が全開もしくは所
定の開度よりも大きい開度のままで動作不能となった場
合、電子式膨張弁32による冷媒の絞り効果が得られな
くなる。従って、圧縮機27から吐出されて室外熱交換
器25で熱交換した高温の液冷媒は電子式膨張弁32で
十分に減圧されないまま室内熱交換器30に入る。その
ため、室内熱交換器30における冷媒の蒸発温度が上昇
して室内機24から冷風が得られなくなるおそれがあ
る。ところが、この室内熱交換器30における冷媒の蒸
発温度の上昇という現象の原因としては、室外熱交換器
25と比べて室内熱交換器30の能力が過大であること
や、圧縮機27の能力不足などが考えられるため、電子
式膨張弁32が所定の開度よりも小さい開度で動作不能
となった場合と同様に、これらの不具合が電子式膨張弁
32の動作不良によるものであったとしても、それが電
子式膨張弁32が原因であると判定するのは一般に困難
である。
【0012】次に、図16に示した従来の冷媒回路にお
いて、暖房運転時に電子式膨張弁32が動作不良を起こ
した場合のことを考える。電子式膨張弁32が所定の開
度よりも小さい開度のままで動作不能となった場合、圧
縮機27から吐出され室外熱交換器25で熱交換した高
温の液冷媒は電子式膨張弁32で塞き止められるため、
高圧の過昇または低圧の過低下という不具合を生じるお
それがある。しかし、この高圧の過昇という現象の原因
としては、室内送風ファン31の能力不足や、冷媒回路
内への冷媒の過充填などが考えられる。一方、低圧の過
低下という現象の原因としては、室外送風ファン26の
能力不足や、冷媒回路内の冷媒不足などが考えられる。
そのため、これらの不具合が電子式膨張弁32の動作不
良によるものであったとしても、それが電子式膨張弁3
2が原因であると判定するのは一般に困難である。
【0013】また、電子式膨張弁32が所定の開度より
も大きい開度のままで動作不能となった場合、電子式膨
張弁32による冷媒の絞り効果が得られなくなるため、
室内熱交換器30における冷媒の凝縮温度が低下し、室
内機24から温風が得られなくなるおそれがある。とこ
ろが、この室内熱交換器30における冷媒の凝縮温度の
低下という現象の原因としては、室外熱交換器25と比
べて室内熱交換器30の能力が過大であることや、圧縮
機27の能力不足などが考えられる。従って、電子式膨
張弁32が所定の開度よりも小さい開度で動作不能とな
った場合と同様、これらの不具合が電子式膨張弁32の
動作不良によるものであったとしても、それが電子式膨
張弁32が原因であると判定するのは一般に困難であ
る。
【0014】一方、前述した電子式膨張弁32のニード
ル7の駆動不良に対する方策としては、一般に電子式膨
張弁を部品交換するしかない。しかし、電子式膨張弁は
冷媒回路内に組み込まれた部品であるため、交換するに
は一旦冷媒を冷媒回路から抜き取っておく必要があり、
補修に手間ひまがかかるという問題がある。
【0015】また一般に、電子式膨張弁を用いる際は、
電子式膨張弁のニードルが駆動可能な最低トルクに余裕
を持たせたトルクで駆動されているため、最低駆動トル
クでニードルを駆動する場合と比べてステッピングモー
タのコイル電流が大きくなる。このコイル電流の増大に
伴って消費電力が大きくなるため、経済性に欠けるとい
う問題がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前述した従来技術の問題
点を解消するために、第1の発明に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置は、直流モータによって弁開度調節可
能で冷媒回路に用いられる電子式膨張弁の動作不良を調
整する装置において、電子式膨張弁に開度指令信号を出
力する開度指令信号出力手段と、電子式膨張弁前後の冷
媒圧力を検出する圧力検出器と、圧力検出器で検出され
た電子式膨張弁前後の圧力差および開度指令信号出力手
段からの開度指令信号に基づいて電子式膨張弁の動作不
良を検知する動作不良検知手段とを備えて成るものであ
る。
【0017】また、第2の発明に係る電子式膨張弁の動
作不良調整装置は、直流モータによって弁開度調節可能
で冷媒回路に用いられる電子式膨張弁の動作不良を調整
する装置において、電子式膨張弁に開度指令信号を出力
する開度指令信号出力手段と、電子式膨張弁前後の冷媒
温度を検出する温度検出器と、温度検出器で検出された
電子式膨張弁前後の温度差および開度指令信号出力手段
からの開度指令信号に基づいて電子式膨張弁の動作不良
を検知する動作不良検知手段とを備えて成るものであ
る。
【0018】そして、第3の発明に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置は、第1または第2の発明の動作不良
検知手段により電子式膨張弁の動作不良が検知されたと
き、電子式膨張弁の直流モータの駆動トルクを上昇させ
るモータトルク上昇手段を備えて成るものである。
【0019】更に、第4の発明に係る電子式膨張弁の動
作不良調整装置は、第3の発明のモータトルク上昇手段
が電子式膨張弁の直流モータの駆動電流を変更する駆動
電流変更手段で構成され、動作不良検知手段により電子
式膨張弁の動作不良が検知されたとき、駆動電流変更手
段が直流モータの駆動電流を大きくするようにしたもの
である。
【0020】また、第5の発明に係る電子式膨張弁の動
作不良調整装置は、第3の発明の直流モータがステッピ
ングモータで構成され、モータトルク上昇手段がステッ
ピングモータの磁界回転速度を変更する磁界回転速度変
更手段で構成されるとともに、動作不良検知手段により
電子式膨張弁の動作不良が検知されたとき、磁界回転速
度変更手段がステッピングモータの磁界回転速度を低下
させるようにしたものである。
【0021】そして、第6の発明に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置は、第4の発明の動作不良検知手段に
よる電子式膨張弁の動作不良が検知されない範囲で、駆
動電流変更手段により最も小さくされた直流モータの駆
動電流を、直流モータが駆動可能となる最低駆動電流と
して決定し、最低駆動電流で電子式膨張弁を動作させる
最低駆動電流決定手段を備えて成るものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
図面を参照して詳しく説明する。
【0023】発明の実施の形態1.図1は本発明の実施
の形態1に係る電子式膨張弁の動作不良調整装置を備え
た冷媒回路図である。図1の冷媒回路は、図16に示し
た従来の冷媒回路と比べ、電子式膨張弁32前後でそれ
ぞれの冷媒圧力を検出する圧力検出器33および圧力検
出器34と、電子式膨張弁32に開度指令信号を出力す
る開度指令信号出力手段39と、電子式膨張弁32の動
作不良を検知する動作不良検知手段40と、動作不良の
旨を表示する表示手段41とからなる動作不良調整装置
を新たに設けたものである。その他の冷媒回路の構成要
素、冷媒の流れ、および電子式膨張弁に動作不良が発生
した場合の冷媒回路の不具合は従来技術で述べたものと
同様である。この発明の実施の形態では、図1における
圧力検出器33および圧力検出器34で検出された冷媒
の圧力検出値と、開度指令信号出力手段39からの開度
指令信号とに基づいて、動作不良検知手段40が電子式
膨張弁32の動作不良を判定するようになっている。
【0024】次に、その判定方法を説明する。いま、開
度指令信号出力手段39から指令出力される電子式膨張
弁32の開度をLで表し、圧力検出器33で検出される
圧力検出値と圧力検出器34で検出される圧力検出値の
差の絶対値をΔPで表すと、正常に動作している場合の
電子式膨張弁32の開度LとΔPとの関係は図2のよう
になり、開度Lが大きくなるにつれてΔPは小さくな
る。ここで、電子式膨張弁32の所定の開度をLA
し、開度LA のときのΔPをΔPA とし、開度LA より
も大きな所定の開度をLB とし、開度LB のときのΔP
をΔPB として表すと、電子式膨張弁32を開度LA
ら開度LB に変化させた場合、許容誤差PG を考慮する
とΔPの変化量は少なくともΔPB −ΔPA −PG以上
になるはずである。よって、電子式膨張弁32の開度が
A からLB に変化しても、ΔPの変化量がΔPB −Δ
A −PG 未満の場合は、動作不良検知手段40により
電子式膨張弁32が動作不良を起こしていると判定さ
れ、表示手段41により動作不良判定の内容が表示され
る。
【0025】前記した判定方法によれば、電子式膨張弁
32の開度指令信号および電子式膨張弁32前後の冷媒
圧力のみから電子式膨張弁32の動作不良を判定できる
ので、それ以外の冷媒回路の構成要素による不具合の可
能性を排除できる。従って、冷媒回路で不具合が発生し
た場合、それが電子式膨張弁32の動作不良によるもの
かどうかを判定することが容易となる。また、電子式膨
張弁32前後の冷媒圧力を検出する圧力検出器33およ
び圧力検出器34として高精度の圧力センサを用いるこ
とにより、電子式膨張弁32の動作不良を精度良く検知
することが可能となる。
【0026】発明の実施の形態2.図3は本発明の実施
の形態2に係る電子式膨張弁の動作不良調整装置を備え
た冷媒回路図である。図3の冷媒回路は、図16に示し
た従来の冷媒回路と比べ、電子式膨張弁32前後でそれ
ぞれの冷媒温度を検出する温度検出器35および温度検
出器36と、電子式膨張弁32に開度指令信号を出力す
る開度指令信号出力手段39と、電子式膨張弁32の動
作不良を検知する動作不良検知手段42と、動作不良の
旨を表示する表示手段41とからなる動作不良調整装置
を新たに設けたものである。その他の冷媒回路の構成要
素、冷媒の流れ、および電子式膨張弁に動作不良が発生
した場合の冷媒回路の不具合は従来技術で述べたものと
同様である。この発明の実施の形態による動作不良調整
装置では、図3における温度検出器35および温度検出
器36で検出された温度検出値と、開度指令信号出力手
段39からの開度指令信号とに基づいて、動作不良検知
手段42が電子式膨張弁32の動作不良を判定するよう
になっている。
【0027】次に、その判定方法を説明する。いま、開
度指令信号出力手段39から指令出力される電子式膨張
弁32の開度をLで表し、温度検出器35で検出される
温度検出値と温度検出器36で検出される温度検出値の
差の絶対値をΔTで表すと、正常に動作している場合の
電子式膨張弁32の開度LとΔTとの関係は図4のよう
になり、開度Lが大きくなるにつれΔTは大きくなる。
ここで、電子式膨張弁32の所定の開度をLA とし、開
度LA のときのΔTをΔTA とし、開度LA よりも大き
な所定の開度をLB とし、開度LB のときのΔTをΔT
B として表すと、電子式膨張弁32を開度LA から開度
B に変化させた場合、許答誤差TG を考慮するとΔT
の変化量は少なくともΔTA −ΔTB −TG 以上になる
はずである。よって、電子式膨張弁32の開度がLA
らLB に変化しても、ΔTの変化量がΔTA −ΔTB
G 未満の場合は、動作不良検知手段42により電子式
膨張弁32が動作不良を起こしていると判定され、表示
手段41により動作不良判定の内容が表示される。
【0028】前記した判定方法によれば、電子式膨張弁
32の開度指令信号および電子式膨張弁32前後の冷媒
温度のみから電子式膨張弁32の動作不良を判定できる
ので、発明の実施の形態1の判定方法と同様、それ以外
の冷媒回路の構成要素による不具合の可能性を排除でき
る。従って、冷媒回路で不具合が発生した場合、それが
電子式膨張弁の動作不良によるものかどうかを判定する
ことが容易となる。また、発明の実施の形態1において
圧力検出器として圧力センサを用いた場合と比べ、この
発明の実施の形態では温度検出器として、一般に圧力セ
ンサよりも安価なサーミスタを用いることができるので
低コストですむ。また、圧力センサのようにあらかじめ
冷媒回路内に組み込んでおく必要はなく、必要に応じて
サーミスタを冷媒配管上に後付けできるという長所があ
る。
【0029】発明の実施の形態3.図5は図13に示し
た従来の駆動回路に、電子式膨張弁のステッピングモー
タ1の駆動電流を変更させるための駆動電流変更手段3
7(モータトルク上昇手段43の一例である)を加えた
ものである。電子式膨張弁のステッピングモータ1のト
ルクτは、図6に示すように、コイルに流れる電流Iが
増加するとともに増加する。ここで、電子式膨張弁が正
常に動作している時にステッピングモータ1のコイルに
印加される所定の電流をIA とし、その時のステッピン
グモータ1のトルクをτA とする。また、電流IA より
も大きい所定の電流をIB とし、その時のステッピング
モータ1のトルクをτB とする。
【0030】いま、所定の電流IA で動作していた電子
式膨張弁において、図17のようにニードル7の摺動部
に異物Dが付着してニードル7が駆動不能となった場合
を考える。このとき、発明の実施の形態1または発明の
実施の形態2の方法によってニードルの駆動不能が検知
されると、駆動電流変更手段37は、図7のように、コ
イルの電流IA を電流IB まで上昇させる。これによ
り、ステッピングモータ1の駆動トルクτA がトルクτ
B まで上昇する。そこで、異物の付着による摩擦の増加
に打ち勝つだけのトルクτB をニードルに与えることに
より、異物が付着していない場合と同様、意図通りの弁
開度を得ることができる。
【0031】一般に、電流の大きさを変化させるのは簡
単な回路ですむため、この発明の実施の形態による方法
で電子式膨張弁のステッピングモータ1のトルクτの上
昇を容易に、かつ、低コストで行うことが可能となる。
【0032】発明の実施の形態4.図8は図13に示し
た従来の駆動回路に、電子式膨張弁のステッピングモー
タ1の磁界回転速度を変更するための磁界回転速度変更
手段38(モータトルク上昇手段43の別例である)を
加えたものである。電子式膨張弁のステッピングモータ
1のトルクτは、図9に示すように、コイルの磁界回転
速度Sが減少するとともに増加する。そこで、電子式膨
張弁が正常に動作している時のステッピングモータ1の
所定の磁界回転速度をSA とし、その時のステッピング
モータ1のトルクをτA とする。また、磁界回転速度S
A よりも小さい所定の磁界回転速度をSB とし、その時
のステッピングモータ1のトルクをτB とする。
【0033】いま、所定の磁界回転速度SA で動作して
いた電子式膨張弁において、図17のようにニードル7
の摺動部に異物Dが付着してニードル7が駆動不能とな
った場合を考える。このとき、発明の実施の形態1また
は発明の実施の形態2の方法によりニードルの駆動不能
が検知されると、磁界回転速度変更手段38は、図10
のように、ステッピングモータ1を駆動するクロックパ
ルスの周期を長くして磁界回転速度SA を所定の磁界回
転速度SB まで低下させる。これにより、ステッピング
モータ1の駆動トルクτA がトルクτB まで上昇する。
このトルクτBは異物の付着による摩擦の増加に打ち勝
つだけのトルクであり、トルクτB をニードルに与える
ことにより、異物が付着していない場合と同様、意図通
りの弁開度を得ることができる。
【0034】一般に、ステッピングモータの磁界回転速
度Sを変えても消費電力が増加することはないので、こ
の発明の実施の形態の方法によれば、電子式膨張弁のス
テッピングモータ1のトルクτの上昇を消費電力を増加
させることなく行うことが可能となる。
【0035】発明の実施の形態5.この発明の実施の形
態では、直流モータが駆動可能となる最低駆動電流を決
定し出力する最低駆動電流決定手段の機能について説明
する。図11は最低駆動電流決定手段44により電子式
膨張弁の最小駆動電流を求めるためのフローチャートで
ある。そこで、フローチャートの流れに沿って処理手順
を説明するが、図中S1、S2、・・・は最低駆動電流
決定手段44による処理ステップをそれぞれ表してい
る。
【0036】図11のS1では、まず所定の電流値で電
子式膨張弁のステッピングモータに駆動パルスを送信す
る。次に、S2において、発明の実施の形態1または発
明の実施の形態2の方法により電子式膨張弁が動作不良
を起こしているかを判定する。動作不良を起こしている
と判定した場合(YES)、S3で電子式膨張弁のコイ
ル電流IをΔIだけ上昇させることにより、電子式膨張
弁のステッピングモータの駆動トルクτを上昇させる。
一方、S2で動作不良を起こしていないと判定した場合
(NO)はS4に進む。ここで、判定回数がまだ所定回
数に達していない場合(NO)には、S5で電子式膨張
弁のコイル電流IをΔI/2だけ低下させることによ
り、ステッピングモータの駆動トルクτを低下させる。
他方、S4で判定回数が所定回数に達していると判断し
た場合(YES)は、S6でその電流値をステッピング
モータの最小駆動電流として決定する。ここで、上昇さ
せる電流Iを低下させる電流Iの2倍とすることによ
り、最小駆動電流の誤差範囲を±ΔI未満に抑えること
ができる。
【0037】以上の判定方法により求めたステッピング
モータの最小駆動電流で、電子式膨張弁を動作させるこ
とにより、電子式膨張弁の消費電力を低減することがで
きる。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、第1の発明に係る
電子式膨張弁の動作不良調整装置によれば、圧力検出器
で検出された電子式膨張弁前後の圧力差、および開度指
令信号出力手段からの開度指令信号を、電子式膨張弁の
動作不良を判定する判断材料としているので、電子式膨
張弁の動作不良を精度良く検知することが可能となる。
従って、冷媒回路で不具合が発生した場合、それが電子
式膨張弁の動作不良によるものかどうかを判定すること
が容易となる。
【0039】また、第2の発明に係る電子式膨張弁の動
作不良調整装置によれば、温度検出器で検出された電子
式膨張弁前後の温度差、および開度指令信号出力手段か
らの開度指令信号を、電子式膨張弁の動作不良を判定す
る判断材料としているので、電子式膨張弁の動作不良を
容易に低コストで、しかも精度よく検知することが可能
となる。従って、冷媒回路で不具合が発生した場合、そ
れが電子式膨張弁の動作不良によるものかどうかを判定
することが容易となる。
【0040】そして、第3の発明に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置によれば、動作不良検知手段により電
子式膨張弁の動作不良が検知されたとき、電子式膨張弁
の直流モータのトルクを上昇させるようにしたので、電
子式膨張弁の動作不良を解消することができる。これに
より、電子式膨張弁の不具合に対して冷媒回路から電子
式膨張弁を交換すること以外の手段が持てるため、電子
式膨張弁の動作不良に対するサービス性が向上する。
【0041】更に、第4の発明に係る電子式膨張弁の動
作不良調整装置によれば、動作不良検知手段により電子
式膨張弁の動作不良が検知されたとき、駆動電流変更手
段が直流モータの駆動電流を大きくすることにより直流
モータの駆動トルクを上昇させるようにしたので、駆動
トルクの上昇を容易に行うことができる。
【0042】また、第5の発明に係る電子式膨張弁の動
作不良調整装置によれば、電子式膨張弁を駆動するステ
ッピングモータの、例えば駆動パルスの周期を長めに変
更して磁界回転速度を低下させることにより、ステッピ
ングモータの駆動トルクを上昇させるようにしたので、
消費電力を増大させることなく、ステッピングモータの
駆動トルクを上昇させることができる。
【0043】そして、第6の発明に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置によれば、動作不良が検知されない範
囲で最も小さくされた直流モータの駆動電流を最低駆動
電流とし、この最低駆動電流で電子式膨張弁を動作させ
るようにしたので、電子式膨張弁の消費電力をおさえる
ことができ、電子式膨張弁の平常使用時における経済性
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置を備えた冷媒回路図である。
【図2】 電子式膨張弁の開度と電子式膨張弁前後の冷
媒圧力差の関係を示す特性図である。
【図3】 本発明の実施の形態2に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置を備えた冷媒回路図である。
【図4】 電子式膨張弁の開度と電子式膨張弁前後の冷
媒温度差の関係を示す特性図である。
【図5】 本発明の実施の形態3に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置を説明する構成図である。
【図6】 電子式膨張弁のステッピングモータのコイル
電流とトルクの関係を示す特性図である。
【図7】 電子式膨張弁のステッピングモータの駆動パ
ルスを示す説明図である。
【図8】 本発明の実施の形態4に係る電子式膨張弁の
動作不良調整装置を説明する構成図である。
【図9】 電子式膨張弁のステッピングモータの磁界回
転速度とトルクの関係を示す特性図である。
【図10】 電子式膨張弁のステッピングモータの駆動
パルスを示す説明図である。
【図11】 本発明の実施の形態5に係る電子式膨張弁
の動作不良調整装置の動作を説明するフローチャートで
ある。
【図12】 従来の電子式膨張弁を示す断面図である。
【図13】 従来の電子式膨張弁の駆動回路を示す構成
図である。
【図14】 従来の電子式膨張弁のステッピングモータ
における各相の励磁順を示す説明図である。
【図15】 従来の電子式膨張弁のステッピングモータ
の駆動パルスを示す説明図である。
【図16】 従来の電子式膨張弁を用いた冷媒回路を説
明する冷媒回路図である。
【図17】 従来の電子式膨張弁の摺動部に異物が付着
した場合を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 ステッピングモータ、7 ニードル、8 シート
面、25 室外熱交換器、27 圧縮機、30 室内熱
交換器、32 電子式膨張弁、33 圧力検出器、34
圧力検出器、35 温度検出器、36 温度検出器、
37 駆動電流変更手段、38 磁界回転速度変更手
段、39 開度指令信号出力手段、40 動作不良検知
手段、42 動作不良検知手段、43 モータトルク上
昇手段、44最低駆動電流決定手段。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流モータによって弁開度調節可能で冷
    媒回路に用いられる電子式膨張弁の動作不良を調整する
    装置において、前記電子式膨張弁に開度指令信号を出力
    する開度指令信号出力手段と、前記電子式膨張弁前後の
    冷媒圧力を検出する圧力検出器と、前記圧力検出器で検
    出された前記電子式膨張弁前後の圧力差および前記開度
    指令信号出力手段からの開度指令信号に基づいて前記電
    子式膨張弁の動作不良を検知する動作不良検知手段とを
    備えて成ることを特徴とする電子式膨張弁の動作不良調
    整装置。
  2. 【請求項2】 直流モータによって弁開度調節可能で冷
    媒回路に用いられる電子式膨張弁の動作不良を調整する
    装置において、前記電子式膨張弁に開度指令信号を出力
    する開度指令信号出力手段と、前記電子式膨張弁前後の
    冷媒温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器で検
    出された前記電子式膨張弁前後の温度差および前記開度
    指令信号出力手段からの開度指令信号に基づいて前記電
    子式膨張弁の動作不良を検知する動作不良検知手段とを
    備えて成ることを特徴とする電子式膨張弁の動作不良調
    整装置。
  3. 【請求項3】 動作不良検知手段により電子式膨張弁の
    動作不良が検知されたとき、前記電子式膨張弁の直流モ
    ータの駆動トルクを上昇させるモータトルク上昇手段を
    備えて成ることを特徴とする請求項第1項または第2項
    に記載の電子式膨張弁の動作不良調整装置。
  4. 【請求項4】 モータトルク上昇手段が電子式膨張弁の
    直流モータの駆動電流を変更する駆動電流変更手段で構
    成され、動作不良検知手段により電子式膨張弁の動作不
    良が検知されたとき、前記駆動電流変更手段が前記直流
    モータの駆動電流を大きくするようにしたことを特徴と
    する請求項第3項に記載の電子式膨張弁の動作不良調整
    装置。
  5. 【請求項5】 直流モータがステッピングモータで構成
    され、モータトルク上昇手段が前記ステッピングモータ
    の磁界回転速度を変更する磁界回転速度変更手段で構成
    されるとともに、動作不良検知手段により前記電子式膨
    張弁の動作不良が検知されたとき、前記磁界回転速度変
    更手段が前記ステッピングモータの磁界回転速度を低下
    させるようにしたことを特徴とする請求項第3項に記載
    の電子式膨張弁の動作不良調整装置。
  6. 【請求項6】 動作不良検知手段による電子式膨張弁の
    動作不良が検知されない範囲で、駆動電流変更手段によ
    り最も小さくされた直流モータの駆動電流を、前記直流
    モータが駆動可能となる最低駆動電流として決定し、前
    記最低駆動電流で前記電子式膨張弁を動作させる最低駆
    動電流決定手段を備えて成ることを特徴とする請求項第
    4項に記載の電子式膨張弁の動作不良調整装置。
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