JPH11324636A - エンジンのオイルミスト分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイルミスト含有空気中のオイルミストを効
率良く分離することができると共にオイルミスト含有空
気の流通抵抗が少なく，かつ構造簡単な，エンジンのオ
イルミスト分離装置を提供すること。 【解決手段】 エンジンのクランク室内に配設され，ク
ランク室内のオイルミスト含有空気７を導入する入口１
１と，オイルミスト７１を分離する本体ケース１０と，
オイルミスト７１を分離した空気を排出する出口１２
と，捕集した油滴７１０を回収するドレン口１３とを有
するオイルミスト分離装置。上記本体ケース１０は，上
記オイルミスト含有空気７の流れに沿って配設した多数
の振動仕切板２を有する。また，該振動仕切板２は，弾
性材料３１，３２を介して本体ケース１０に振動可能に
取付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は，エンジンのクランク室内に発生
するオイルミスト含有空気中からオイルミストを分離す
る，オイルミスト分離装置に関する。

【０００２】

【従来技術】図７，図８に示すごとく，ディーゼルエン
ジン９は，クランク室９１内に発生したオイルミスト含
有空気からオイルミストを分離して，空気を過給機９４
に吸引させるオイルミスト分離装置８を有する。このオ
イルミスト分離装置８は，クランク室９１内に設けられ
ており，排出パイプ９３を介して過給機に９４接続され
ている。過給機９４は給気管９５を介してエンジン９内
に過給を行なう。即ち，クランク室９１内は，ピストン
とシリンダの間より発生するブローバイガス，クランク
シャフト回転による潤滑油の飛沫などにより，内圧が上
がり，クランク室９１内にオイルミスト含有空気が発生
する。

【０００３】そのため，このオイルミスト含有空気を過
給機９４に吸引させることにより，クランク室９１内の
内圧を調整する。なお，上記オイルミストにより吸気弁
座部の潤滑性を向上させる。

【０００４】従来のオイルミスト分離装置８は，図８に
示すごとく，本体ケース８０内に，天井板から垂下又は
底板に立設することにより，多数の仕切板８５を設けた
ものがある。該仕切板８５は，オイルミスト含有空気７
が上下方向にジグザグ状に流れるように，配置され，本
体ケース８０の天井板又は底板と側板とに，溶接固定し
てある。

【０００５】そして，上記のごとくクランク室９１内に
発生したオイルミスト含有空気７は，オイルミスト分離
装置８の入口８１より本体ケース８０内に入り，上下方
向にジグザグ状に流れながら出口８２へ至る。そして，
この間に，オイルミスト含有空気７は上記多数の仕切板
８５に衝突してオイルミスト含有空気中のオイルミスト
７１が仕切板８５に付着する。この付着したオイルミス
ト７１は次第に大きい粒となり，油滴７１０として，ド
レン口８３より再びクランク室９１内に落下し，潤滑油
として使用される。また，他のオイルミスト分離装置と
しては，オイルミストをスチールウール等の吸着材に捕
捉するものもある（特開昭６０−３４１７号）。

【０００６】

【解決しようとする課題】しかしながら，上記従来の仕
切板式のオイルミスト分離装置は，オイルミストの分離
が充分でない。その理由は，オイルミストは仕切板に一
旦は付着するものの，その粒子は小さいため，オイルミ
スト含有空気によって再び仕切板から離されてオイルミ
スト含有空気中に混入してしまうこと，また，仕切板を
流下して本体ケース底部に落下していく油滴も比較的小
さいため，オイルミスト含有空気によって押し流され，
再びオイルミスト含有空気中に混入されてしまうことが
あるなどによると思われる。

【０００７】そして，オイルミスト７１は過給機９４の
吸引による負圧によって，空気と共に過給機に送られ
る。そのため，クランク室９１内に戻るオイル量が少な
い。それ故，クランク室内におけるオイルの消耗量が大
きく，またオイル劣化の原因ともなっている。また，上
記吸着式のオイルミスト分離装置においては，オイルミ
スト含有空気の流通抵抗が大きいため，吸引圧力損失が
大きく，過給機に負担がかかる。

【０００８】本発明は，かかる従来の問題点に鑑み，オ
イルミスト含有空気中のオイルミストを効率良く分離す
ることができると共にオイルミスト含有空気の流通抵抗
が少なく，かつ構造簡単な，エンジンのオイルミスト分
離装置を提供しようとするものである。

【０００９】

【課題の解決手段】請求項１の発明は，エンジンのクラ
ンク室内に配設され，クランク室内のオイルミスト含有
空気を導入する入口と，オイルミストを分離する本体ケ
ースと，オイルミストを分離した空気を排出する出口
と，捕集した油滴を回収するドレン口とを有するオイル
ミスト分離装置において，上記本体ケースは，上記オイ
ルミスト含有空気の流路に沿って配設した多数の振動仕
切板を有し，また該振動仕切板は弾性材料を介して本体
ケースに振動可能に取付けられていることを特徴とする
エンジンのオイルミスト分離装置にある。

【００１０】本発明において最も注目すべきことは，オ
イルミスト分離装置の本体ケース内に振動仕切板を配置
すると共に，該振動仕切板を弾性材料を介して本体ケー
スに振動可能に取付けたことである。

【００１１】次に，本発明の作用効果につき説明する。
まず，クランク室内で発生したオイルミスト含有空気
は，オイルミスト分離装置の入口より本体ケース内に入
り，多数の振動仕切板の間の間隙を流れて出口に至る。
この間に，オイルミスト含有空気は多数の振動仕切板に
衝突し，また流速が変化する。そのため，オイルミスト
含有空気中のオイルミストは振動仕切板に付着し，付着
したオイルミストは互いに結合して油滴となって本体ケ
ースの底部へ落下し，ドレン口よりクランク室内に落下
する。

【００１２】そして，ここに重要なことは，上記振動仕
切板は，弾性材料を介して本体ケースに振動可能に取付
けられているため，エンジンの振動によって振動仕切板
も大きく振動するということである。

【００１３】そのため，この振動仕切板の振動によっ
て，上記のごとく振動仕切板に付着したオイルミスト
は，付着したままではなく，直ちに振動仕切板を伝って
流下していく。それ故，付着オイルミストは互いに凝集
し合って大きくなり，大きな油滴となって本体ケースの
底部に落下し，ドレン口からクランク室へ回収される。
それ故，一旦付着したオイルミストは，再びオイルミス
ト含有空気中に混入されることが殆どない。

【００１４】また，上記振動仕切板は，弾性材料を介し
て本体ケースに取付けるので構造も簡単である。また，
オイルミスト含有空気は，振動仕切板の間の間隙を流れ
るので，圧力損失もない。したがって，本発明によれ
ば，オイルミスト含有空気中のオイルミストを効率良く
分離することができると共にオイルミスト含有空気の流
通抵抗が少なく，かつ構造簡単な，エンジンのオイルミ
スト分離装置を提供することができる。

【００１５】次に，請求項２の発明のように，上記振動
仕切板の両側面は，本体ケースに取付けられることな
く，自由状態にあることが好ましい。この場合には，振
動仕切板がより大きく振動し，一層効率的にオイルミス
トを分離，回収することができる。

【００１６】次に，請求項３の発明のように，上記弾性
材料としては，ゴム又は合成樹脂を用いることができ
る。この場合には，弾性材料と振動仕切板との結合が容
易である。

【００１７】次に，請求項４の発明のように，上記振動
仕切板は厚み０．１〜１．０ｍｍであることが好まし
い。この場合には，振動仕切板の振動が一層大きいの
で，振動仕切板に付着したオイルミストが振動仕切板を
伝って落下し，大きい油滴となり易い。そのため，オイ
ルミストの分離が一層効果的となる。

【００１８】上記厚みが０．１ｍｍ未満では耐久性に乏
しく，一方１．０ｍｍを越えると振動性が低下する。ま
た，上記振動仕切板としては，ステンレス鋼，アルミニ
ウム板等の金属板がある。この場合には，振動仕切板が
耐久性に優れている。また，振動仕切板としては，ポリ
プロピレン樹脂，ナイロン樹脂等の合成樹脂板を用いる
こともできる。その場合には，オイルミスト分離装置が
軽量となる。

【００１９】

【発明の実施の形態】実施形態例 本発明の実施形態例にかかる，ディーゼルエンジンのオ
イルミスト分離装置につき，図１〜図６を用いて説明す
る。本例のオイルミスト分離装置１は，図１〜図３に示
すごとく，ディーゼルエンジンのクランク室内に配設さ
れ（図７参照），クランク室内のオイルミスト含有空気
７を導入する入口１１と，オイルミストを分離する本体
ケース１０と，オイルミスト７１を分離した空気を排出
する出口１２と，捕集した油滴７１０を回収するドレン
口１３とを有する。

【００２０】上記本体ケース１０は，上記オイルミスト
含有空気７がジグザグ状に流れるように配設した多数の
振動仕切板２を有する。該振動仕切板２はその上端及び
下端が弾性材料３１，３２を介して本体ケース１０に振
動可能に取付けられている。

【００２１】即ち，上記振動仕切板２は，図２に示すご
とく，厚み約０．６ｍｍのステンレス鋼板よりなる。そ
して，該振動仕切板２の上端及び下端には，耐油性ゴム
よりなる角棒状の弾性材料３１，３２が接合されてい
る。また，図３〜図５に示すごとく，本体ケース１０の
天井板１５には，開口部１８１を有する天井吊枠１８を
設ける。また，本体ケース１０の高さの約３分の１の位
置には，上記吊枠１８の下方において，左右の側壁１
７，１７の間に断面コ字状の横枠１９を架設する。

【００２２】また，本体ケース１０の底板１６には，断
面コ字状の底枠１９０を設ける。また，該底枠１９０の
上方において，左右の側壁１７，１７の間には，本体ケ
ース１０の高さの約３分の２の位置に，開口部１８１を
有する中央吊枠１８０を設ける（図３）。そして，上記
天井吊枠１８に振動仕切板２の上端の弾性材料３１をを
嵌合させると共に振動仕切板２の下端の弾性材料３２を
横枠１９内に支承させる（図２〜図５）。

【００２３】また，同様にして，上記中央吊枠１８０と
底枠１９０との間に弾性材料３１，振動仕切板２，弾性
材料３２を装着する（図２〜図５）。このようにして取
付けた振動仕切板２は，図５に示すごとく，本体ケース
１０の側板１７との間に，約１〜２ｍｍの間隙を有す
る。即ち，振動仕切板２の両側面は，側板１７に固定さ
れていない自由状態にある。

【００２４】次に，本例の作用効果につき説明する。ま
ず，クランク室内で発生したオイルミスト含有空気は，
オイルミスト分離装置１の入口１１より本体ケース１０
内に入り，多数の振動仕切板２の間の間隙１００をジグ
ザグ状に流れて出口１２に至る（図１）。この間に，オ
イルミスト含有空気７は多数の振動仕切板２に衝突し，
また流速が変化する。そのため，オイルミスト含有空気
７中のオイルミスト７１は振動仕切板２に付着し，付着
したオイルミストは互いに結合して油滴７１０となって
本体ケース１０の底部へ落下し，ドレン口１３よりクラ
ンク室内に落下する。オイルミストが分離，回収された
空気７５は，出口１２より排出パイプ９３を経て過給機
へ吸引される。

【００２５】そして，ここに重要なことは，上記振動仕
切板２は，弾性材料３１，３２を介して本体ケース１０
に振動可能に取付けられていることである。そのため，
図６に示すごとく，エンジンの振動によって振動仕切板
２も大きく振動するということである。そのため，この
振動仕切板２の振動によって，上記のごとく振動仕切板
２に付着したオイルミスト７１は，付着したままではな
く，直ちに振動仕切板２を伝って流下していく。それ
故，付着オイルミスト７１は互いに凝集し合って大きく
なり，大きな油滴７１０となって本体ケース１０の底板
１６に落下し，ドレン口１３からクランク室へ回収され
る。

【００２６】それ故，一旦付着したオイルミスト７１は
再びオイルミスト含有空気７中に混入されることが殆ど
ない。また，上記オイルミスト分離装置１は，振動仕切
板２を弾性材料３１，３２を介して本体ケース１０に取
付けるので構造も簡単である。また，オイルミスト含有
空気７は，振動仕切板２の間の間隙１００をジグザグ状
に流れるので，圧力損失もない。

【００２７】また，上記振動仕切板２の両側面は，本体
ケース１０に取付けられることなく，自由状態にある
（図５）ので，振動仕切板２がより大きく振動し，一層
効率的にオイルミスト７１を分離，回収することができ
る。

【００２８】したがって，本例によれば，オイルミスト
含有空気７中のオイルミスト７１を効率良く分離するこ
とができる。また，オイルミスト含有空気７の流通抵抗
が少なく，かつ構造簡単な，エンジンのオイルミスト分
離装置を提供することができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明によればオイルミスト含有空気中
のオイルミストを効率良く分離することができると共に
オイルミスト含有空気の流通抵抗が少なく，かつ構造簡
単な，エンジンのオイルミスト分離装置を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施形態例にかかる，エンジンのオイルミスト
分離装置の説明図。

【図２】実施形態例にかかる，弾性材料を取付けた振動
仕切板の斜視図。

【図３】実施形態例にかかる，振動仕切板の取付前にお
ける，本体ケース内部の説明図。

【図４】図１のＡ−Ａ線矢視断面説明図。

【図５】図４の部分拡大図。

【図６】実施形態例にかかる，振動によるオイルミスト
分離の説明図。

【図７】従来例における，エンジン及びオイルミスト分
離装置の説明図。

【図８】従来例における，オイルミスト分離装置の説明
図。

【符号の説明】

１．．．オイルミスト分離装置， １０．．．本体ケース １１．．．入口， １２．．．出口， １３．．．ドレン口， ２．．．振動仕切板， ３１，３２．．．弾性材料， ７．．．オイルミスト含有空気， ７１．．．オイルミスト， ７１０．．．油滴，

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンのクランク室内に配設され，ク
   ランク室内のオイルミスト含有空気を導入する入口と，
   オイルミストを分離する本体ケースと，オイルミストを
   分離した空気を排出する出口と，捕集した油滴を回収す
   るドレン口とを有するオイルミスト分離装置において，
   上記本体ケースは，上記オイルミスト含有空気の流路に
   沿って配設した多数の振動仕切板を有し，また該振動仕
   切板は弾性材料を介して本体ケースに振動可能に取付け
   られていることを特徴とするエンジンのオイルミスト分
   離装置。
2. 【請求項２】 請求項１において，上記振動仕切板の両
   側面は，本体ケースに取付けられることなく，自由状態
   にあることを特徴とするエンジンのオイルミスト分離装
   置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において，上記弾性材料
   は，ゴム又は合成樹脂であることを特徴とするエンジン
   のオイルミスト分離装置。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれか一項において，
   上記振動仕切板は厚み０．１〜１．０ｍｍであることを
   特徴とするエンジンのオイルミスト分離装置。