JPH11323999A - スライドバケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バケット本体をアームの先端側で左，右方向
にスライドさせるときに、作業者にかかる負担を軽減で
き、全体の作業効率を高める。 【解決手段】 スライドバケット９の本体を構成するバ
ケット本体１５の底板１５Ａには、左，右方向に沿って
平行に延びるガイド溝１５Ｄ，１５Ｅを設ける。また、
バケット本体１５の底板１５Ａにはスライド体１７を配
置し、このスライド体１７のロアプレート１９にはガイ
ド溝１５Ｄ，１５Ｅに嵌合する一対のスライドバー１９
Ｃを設ける。また、スライド体１７には第１リンク２７
の基端側をピン結合し、この第１リンク２７のアーム部
２７Ａ1 とバケット本体１５の底板１５Ａとの間には第
２リンク３０をピン結合する。そして、スライド体１７
と第１リンク２７との間にはシリンダ装置２４を伸縮可
能に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベ
ル等の建設機械に設けられ、土砂等の掘削作業を行うの
に用いて好適なスライドバケットに関し、特に、アーム
の先端側でバケット本体左，右方向にスライドさせる構
成としたスライドバケットに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、油圧ショベルでは、作業装置の
アーム先端側にバケットを回動可能に設け、このバケッ
トにより土砂等の掘削作業を行っている。また、このバ
ケットは、略Ｕ字状に湾曲した底板およびこの底板の
左，右両側に設けられた側板とからなるバケット本体
と、このバケット本体の底板に設けられ、アームの先端
側にピン結合される左，右のブラケット等によって構成
されている。

【０００３】ところで、この種の従来技術によるバケッ
トでは、例えば道路等に配管埋設用の溝を掘削するとき
に、バケットの横幅（左，右方向の幅）よりも大きい幅
広の溝を掘削しようとすると、油圧ショベル（車両）を
何度も前進、後進させつつ横方向に徐々にずらすことに
よって、掘削すべき溝の幅を徐々に拡大させる必要があ
る。

【０００４】また、狭い作業現場において溝を掘削する
場合には、車両の走行位置を横方向に徐々にずらすこと
が難しくなることが多く、場合によっては、バケット自
体を横幅の大きいものと交換せざるを得なくなり、この
ようなバケットの交換作業が作業者にとって大きな負担
になり、作業性が低下してしまう。

【０００５】一方、例えば実開昭６０−４５７５９号公
報等（以下、他の従来技術という）には、バケット本体
を、ボルト等を用いることによってブラケット（アー
ム）に対し左，右方向にスライド可能に取付ける構成と
したものが開示されている。

【０００６】そして、この他の従来技術にあっては、例
えば配管埋設用の溝を掘削するときに、バケット本体を
アームに対して左方向にスライドさせたり、あるいは右
方向にスライドさせたりして掘削作業を行うことによ
り、狭い作業現場等においても前記溝の幅をバケットを
交換することなく拡大することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した他
の従来技術による油圧ショベルでは、アームに対してバ
ケット本体を左，右方向にスライドさせるときに、作業
者が手作業によってボルト等を脱着し、この状態でバケ
ット本体をアームに対して左，右方向にスライドさせる
必要がある。

【０００８】このため、従来技術では、ブラケットをバ
ケット本体に対してスライドさせるときに、多大な労力
と時間とを費やすことになり、作業者の負担が増大し作
業性が低下するという問題がある。また、このようなバ
ケット本体のスライド調整時には掘削作業を一時的に中
断せざるを得なくなり、全体の作業効率が低下するとい
う問題がある。

【０００９】本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み
なされたもので、本発明は、バケット本体をアームの先
端側で左，右方向にスライドさせるときに、作業者にか
かる負担を軽減でき、全体の作業効率を向上できるよう
にしたスライドバケットを提供することを目的としてい
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明が採用するスライドバケットは、バケット
本体と、前記バケット本体をアームの先端側に取付ける
ための左，右一対のブラケットと、前記アームに対する
バケット本体の取付位置を左，右方向で調整するため前
記各ブラケットと前記バケット本体との間に設けられ前
記各ブラケットをバケット本体の左，右方向に相対的に
スライドさせるスライド機構とからなっている。

【００１１】そして、請求項１の発明が採用する構成の
特徴は、スライド機構は、各ブラケットに一体に設けら
れ、バケット本体が左，右方向にスライド可能に取付け
られたスライド体と、前記スライド体とバケット本体と
の間に設けられ、駆動力によりバケット本体に対してス
ライド体を左，右方向にスライドさせるスライド体駆動
手段とから構成したことにある。

【００１２】このように構成したことにより、バケット
本体をスライド機構のスライド体に対してスライドさせ
るときには、スライド体駆動手段による駆動力をスライ
ド体へと伝えることにより、バケット本体をスライド体
に対して左，右方向にスライドさせることができる。

【００１３】また、請求項２の発明が採用する構成の特
徴は、スライド機構は、各ブラケットに一体に設けら
れ、バケット本体が左，右方向にスライド可能に取付け
られたスライド体と、前記スライド体に設けられ、外部
からの駆動信号により駆動力を発生するアクチュエータ
と、前記スライド体とバケット本体との間に設けられ、
前記アクチュエータからの駆動力によって前記バケット
本体をスライド体に対してスライドさせる駆動力伝達手
段とから構成している。

【００１４】このように構成したことにより、バケット
本体をスライド体に対して左，右方向にスライドさせる
ときには、スライド機構のアクチュエータを外部からの
駆動信号によって駆動させる。そして、アクチュエータ
の駆動力が駆動力伝達手段によってスライド体へと伝え
られることにより、スライド体に対してバケット本体を
左，右方向にスライドさせることができる。

【００１５】また、請求項３の発明では、駆動力伝達手
段は、基端側がスライド体に回動可能にピン結合された
第１リンクと、基端側が前記第１リンクの先端側に回動
可能にピン結合され先端側がバケット本体に回動可能に
ピン結合された第２リンクとからなり、アクチュエータ
は前記第１リンクに駆動力としての回動力を与える構成
としている。

【００１６】このように構成したことにより、第１リン
クをアクチュエータによってスライド体に対して回動さ
せたときには、第２リンクを第１リンクの回動に追従し
て回動させることができる。そして、このときにアクチ
ュエータからの回動力は、第１リンクおよび第２リンク
によりバケット本体に伝えられ、スライド体に対するバ
ケット本体のスライド動作へと変換できる。

【００１７】さらに、請求項４の発明では、アクチュエ
ータは、スライド体と第１リンクとの間に伸縮可能に設
けられたシリンダ装置により構成している。

【００１８】このように構成したことにより、スライド
体をスライドさせたときの移動量をシリンダ装置のスト
ローク量よりも大きく設定できる。

【００１９】また、請求項５の発明では、スライド体と
バケット本体との間には、前記バケット本体の左，右方
向に沿って互いに平行に延び、バケット本体をスライド
体に対してスライド可能に保持する複数のガイド部を設
けている。

【００２０】このように構成したことにより、バケット
本体をスライド体に対して複数のガイド部で左，右方向
に円滑にスライドさせることができる。そして、これら
のガイド部はバケット本体をスライド体に対して抜止め
状態に保持することができ、バケット本体の脱落等を防
止できる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
スライドバケットを油圧ショベルに適用した場合を例に
挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。

【００２２】ここで、図１ないし図１５は本発明の実施
の形態を示している。図中、１は油圧ショベルの下部走
行体、２はこの下部走行体１上に旋回可能に搭載された
上部旋回体で、この上部旋回体２は、運転室を画成する
キャブボックス３、エンジン等が収容される機械室を画
成する建屋カバー４およびカウンタウエイト５等を備え
ている。

【００２３】６は上部旋回体２の前部中央に設けられた
作業装置で、この作業装置６は、ブーム７、アーム８、
バックホウ式のスライドバケット９（以下、バケット９
という）、ブームシリンダ１０、アームシリンダ１１お
よびバケットシリンダ１２等によって構成されている。

【００２４】ここで、バケット９は、後述のバケット本
体１５、スライド機構１６およびブラケット２２等によ
って構成されている。また、バケットシリンダ１２は、
そのロッド先端側が一対のリンク１３，１４にピン結合
され、このリンク１３，１４のうち一方のリンク１３は
アーム８の先端側にピン結合され、他方のリンク１４は
各ブラケット２２にピン結合されている。

【００２５】１５はバケット本体で、このバケット本体
１５は、図２ないし図９に示す如く略Ｕ字状に湾曲した
底板１５Ａと、この底板１５Ａの左，右両側に溶接によ
り接合された左，右の側板１５Ｂ，１５Ｂと、前記底板
１５Ａの下端側に設けられた複数の爪１５Ｃ，１５Ｃ，
…によって形成されている。

【００２６】ここで、バケット本体１５の底板１５Ａ上
部は平坦な厚肉部１５Ａ1 として形成され、この厚肉部
１５Ａ1 には、左，右方向に沿って互いに平行に延びた
断面略台形状をなす２個のガイド溝１５Ｄ，１５Ｅが形
成されている。

【００２７】１６はバケット本体１５と各ブラケット２
２との間に設けられたスライド機構で、このスライド機
構１６は、後述のスライド体１７およびスライド体駆動
装置２３等によって構成され、バケット本体１５を各ブ
ラケット２２に対して左，右方向へと相対的にスライド
させる構成となっている。

【００２８】１７はバケット本体１５の底板１５Ａ側に
設けられたスライド体を示し、このスライド体１７は、
アッパープレート１８、ロアプレート１９および左，右
のサイドプレート２０，２１によって前，後両端が開口
した箱状体として形成されている。

【００２９】ここで、スライド体１７のアッパープレー
ト１８には、図７に示すようにその前，後の幅方向中間
寄りに位置して、後述の連結ピン２９が挿通されるボス
部１８Ａが下向きに突設されると共に、前部側に位置し
て後述するシリンダ装置２４用の連結ピン２５が挿通さ
れるボス部１８Ｂが下向きに突設されている。また、こ
れと同様にロアプレート１９についても、前記ボス部１
８Ａ，１８Ｂと対応した位置にそれぞれボス部１９Ａ，
１９Ｂが上向きに突設されている。

【００３０】また、このスライド体１７のロアプレート
１９には前，後に離間して一対のスライドバー１９Ｃ，
１９Ｃが一体に設けられている。そして、これらの各ス
ライドバー１９Ｃは、図７、図１０に示す如くバケット
本体１５のガイド溝１５Ｄ，１５Ｅに対応して断面略台
形状に形成され、左，右方向に沿って互いに平行に細長
く延びている。

【００３１】また、各スライドバー１９Ｃは、バケット
本体１５のガイド溝１５Ｄ，１５Ｅと共にガイド部を構
成し、ガイド溝１５Ｄ，１５Ｅに係合した状態でバケッ
ト本体１５をスライド体１７に対して左，右方向にスラ
イド可能にガイドすると共に、バケット本体１５をスラ
イド体１７に対して抜止め状態（吊り下げた状態）に保
持する構成となっている。

【００３２】なお、スライド体１７のサイドプレート２
１には略長円形状の挿通穴２１Ａが穿設され、この挿通
穴２１Ａには、シリンダ装置２４用の給排配管（図示せ
ず）が挿通される。

【００３３】２２，２２はスライド体１７のアッパープ
レート１８に固着された左，右のブラケットで、このブ
ラケット２２は、アーム８の先端側およびリンク１４に
それぞれ回動可能にピン連結されるものである。

【００３４】２３はバケット本体１５とスライド体１７
との間に設けられたスライド体駆動手段としてスライド
体駆動装置で、このスライド体駆動装置２３は、後述の
シリンダ装置２４およびリンク機構２６等によって構成
されている。

【００３５】２４はバケット本体１５とスライド体１７
との間に設けられたアクチュエータとしてのシリンダ装
置で、このシリンダ装置２４は、油圧シリンダからなり
チューブ２４Ａと、このチューブ２４Ａから伸縮するロ
ッド２４Ｂ等とによって構成されている。また、シリン
ダ装置２４のチューブ２４Ａ外周側には、その長さ方向
途中に位置して直方体状のホルダ２４Ｃが嵌着され、こ
のホルダ２４Ｃにはピン２４Ｄ，２４Ｄが上，下に突設
されている。

【００３６】そして、シリンダ装置２４は、チューブ２
４Ａ側がホルダ２４Ｃの各ピン２４Ｄにより後述する第
１リンク２７側の各軸受板２８に回動可能にピン結合さ
れ、ロッド２４Ｂの突出端側が連結ピン２５によってス
ライド体１７のボス部１８Ｂ，１９Ｂに回動可能に連結
されている。また、この連結ピン２５は、その一端側に
設けたストッパプレート２４Ａがスライド体１７のアッ
パープレート１８に締結されることにより、アッパープ
レート１８に対して廻止めされている。

【００３７】そして、シリンダ装置２４は、後述するよ
うに駆動信号としての圧油が外部から給排されることに
よってバケット本体１５とスライド体１７との間で伸縮
動作を行い、第１リンク２７に対して駆動力としての回
動力を与える構成となっている。

【００３８】２６はバケット本体１５とスライド体１７
との間に設けられた駆動力伝達手段としてのリンク機構
で、このリンク機構２６は、後述する第１リンク２７お
よび第２リンク３０によって構成されている。そして、
リンク機構２６は、シリンダ装置２４からの回動力をバ
ケット本体１５のスライド動作へと変換することによっ
て、バケット本体１５をスライド体１７の各スライドバ
ー１９Ｃに沿って左，右方向に相対的にスライドさせる
構成となっている。

【００３９】２７は基端側がスライド体１７に回動可能
にピン結合された第１リンクで、この第１リンク２７
は、上，下に離間して配設され略三角形状の板状体とし
て形成されたリンクプレート２７Ａ，２７Ａと、この各
リンクプレート２７Ａの基端側に一体に設けられたリン
クボス２７Ｂとによって構成され、前記リンクプレート
２７Ａはその先端側がアーム部２７Ａ1 となってスライ
ド体１７の後側開口から外部に向けて延びている。

【００４０】また、第１リンク２７の各リンクプレート
２７Ａには、図１４に示すようにリンクボス２７Ｂから
寸法Ｌ1 だけ離れた位置に切欠穴２７Ｃが設けられ、こ
の切欠穴２７Ｃには図７に示すように軸受板２８が取付
けられると共に、軸受板２８の内周側にはシリンダ装置
２４のピン２４Ｄが挿嵌されている。一方、各リンクプ
レート２７Ａのアーム部２７Ａ1 には、図１４に示すよ
うに寸法Ｌ2 （Ｌ2 ＞Ｌ1 ）だけ離れた位置にピン穴２
７Ｄが形成され、このピン穴２７Ｄには後述の連結ピン
３１が挿通されている。

【００４１】そして、第１リンク２７は、リンクボス２
７Ｂが連結ピン２９によってスライド体１７のボス部１
８Ａ，１９Ａに回動可能に連結され、この連結ピン２９
は、その一端側に設けたストッパプレート２８Ａがスラ
イド体１７のアッパープレート１８に締結されることに
より、アッパープレート１８に対して廻止めされてい
る。

【００４２】３０は基端側が第１リンク２７のアーム部
２７Ａ1 に回動可能にピン結合された第２リンクで、こ
の第２リンク３０は、図５ないし図７に示す如く上，下
に離間して配設され、細長の板状体として形成されたリ
ンクプレート３０Ａと、リンクプレート３０Ａの両端側
に一体に設けられたリンクボス３０Ｂ，３０Ｃとによっ
て構成されている。

【００４３】そして、第２リンク３０は、一方のリンク
ボス３０Ｂが第１リンク２７のリンクボス２７Ｂに連結
ピン３１を用いてピン結合され、他方のリンクボス３０
Ｃはバケット本体１５の厚肉部１５Ａ1 に対し、その
左，右の幅方向の右側寄りの位置で連結ピン３２により
ピン結合されている。

【００４４】３３，３３，…はスライド体１７のアッパ
ープレート１８と各ブラケット２２との接合強度を高め
るための補強梁で、これらの各補強梁３３は、図４に示
すようにスライド体１７の前後方向に一定間隔をもって
配設され、その両端側が各ブラケット２２の側面に溶接
されている。

【００４５】そして、各補強梁３３は図７に示すように
逆Ｖ字状をなして形成され、その下端側はアッパープレ
ート１８に溶接されている。また、アッパープレート１
８上には各ブラケット２２の左，右方向の外側位置に補
強梁３３とほぼ同様の補強梁３４，３４，…が設けられ
ている。

【００４６】本実施の形態による油圧ショベルは、上述
の如き構成を有するもので、例えば道路等に配管埋設用
の溝を掘削するときには、バケットシリンダ１２を伸縮
させ、アーム８の先端側でバケット９をリンク１３，１
４によって回動させることにより土砂、岩石等を掘り起
す。

【００４７】ここで、配管の口径等に応じて掘削すべき
溝をバケット９の横幅（底板１５Ａの幅寸法）よりも幅
広に形成する場合には、キャブボックス３内に設けたス
イッチ（図示せず）等を作業者が遠隔操作することによ
り、スライド体駆動装置２３の一部を構成するシリンダ
装置２４に外部からの圧油を給排し、例えばロッド２４
Ｂを図６中に実線で示すように最大ストローク位置まで
伸長させる。

【００４８】この結果、リンク機構２６は、第１リンク
２７がシリンダ装置２４からの回動力によって連結ピン
２９を中心として矢示Ａ方向に回動し、これに追従して
第２リンク３０も相対的に回動される。そして、バケッ
ト本体１５は、これらの第１，第２リンク２７，３０の
動きに追従して、各スライドバー１９Ｃによりスライド
体１７に対して矢示Ｂ方向へと左側にスライドする。

【００４９】これによりバケット本体１５を、図５中に
実線で示すように、スライド体１７の中心線Ｏ−Ｏに対
し寸法δだけ左側に偏心させた状態に位置決めすること
ができ、この状態でバケット９を回動させることによっ
て、バケット本体１５の偏心量（寸法δ）だけ溝幅を左
側に幅広に形成することができる。

【００５０】一方、シリンダ装置２４のロッド２４Ｂを
最小ストローク位置まで縮小させて、チューブ２４Ａを
図６中に一点鎖線で示す如くロッド２４Ｂの突出端側に
接近させると、リンク機構２６は、第１リンク２７が連
結ピン２９を中心として矢示Ｃ方向へと回動し、これに
追従して第２リンク３０も相対的に回動する。そして、
バケット本体１５は、これらの第１，第２リンク２７，
３０の動きに追従して、各スライドバー１９Ｃによりバ
ケット本体１５に対して矢示Ｄ方向へと右側にスライド
する。

【００５１】これによりバケット本体１５を、図５中に
一点鎖線で示すように、スライド体１７の中心線Ｏ−Ｏ
に対し寸法δだけ右側に偏心させた状態で位置決めする
ことができ、この状態でバケット９を回動させることに
より、バケット本体１５の偏心量（寸法δ）だけ溝幅を
右側に幅広に形成することができる。

【００５２】また、シリンダ装置２４のロッド２４Ｂを
最大、最小するトークの中間位置に保持したときには、
バケット本体１５の中心をスライド体１７の中心線Ｏ−
Ｏに対して一致させることができ、通常の溝掘削等に好
適に用いることができる。

【００５３】かくして、本実施の形態によれば、溝等の
掘削作業時に作業者はキャブボックス３内でスイッチ操
作を行うことによって、バケット本体１５をアーム８側
のスライド体１７に対して自動的にスライドさせること
ができ、このようなバケット本体１５をスライドさせる
ときに要する作業者の労力を前述した他の従来技術に比
較して軽減することができる。また、他の従来技術で述
べたようにバケット本体１５をスライドするためにわざ
わざ掘削作業を一時的に中断する必要がなくなり、全体
の作業効率を高めることができる。

【００５４】さらに、シリンダ装置２４を第１，第２リ
ンク２７，３０からなるリンク機構２６によってバケッ
ト本体１５に連結する構成としたから、図１４に示した
第１リンク２７の寸法Ｌ1 ，Ｌ2 の関係による比率Ｒ
（Ｒ＝Ｌ2 ／Ｌ1 ）によって、バケット本体１５をスラ
イドさせるときの移動量を、シリンダ装置２４のロッド
２４Ｂのストローク量よりもほぼ比率Ｒ分だけ大きく設
定することができ、これによってシリンダ装置２４の小
型化、軽量化を図ることができる。

【００５５】また、スライド体１７のスライドバー１９
Ｃを断面略台形状に形成し、この各スライドバー１９Ｃ
をバケット本体１５のガイド溝１５Ｄ，１５Ｅに嵌合す
る構成としたから、バケット本体１５をスライド体１７
に対してスライド可能でかつ抜止め状態に保持すること
ができ、バケット本体１５の脱落を防止でき、スライド
バケットとしての信頼性を高めることができる。

【００５６】なお、実施の形態では、スライド体駆動装
置をシリンダ装置とリンク機構とによって構成するもの
として述べたが、本発明はこれに限らず、例えばリンク
機構を廃止して、スライド体駆動装置をシリンダ装置の
みによって構成してもよい。

【００５７】そして、この場合には、例えばシリンダ装
置のロッド側をスライド体にピン結合し、チューブ側を
バケット本体にピン結合することにより、シリンダ装置
の伸縮動作に伴ってバケット本体をスライド体に対して
左，右方向にスライドさせることが可能になる。

【００５８】また、実施の形態では、第１リンク２７を
作動するアクチュエータをシリンダ装置２４によって構
成するものとして述べたが、これに替えて、例えばこの
アクチュエータを、油圧モータまたは電動モータ等から
なるロータリアクチュエータによって構成してもよい。

【００５９】さらに、実施の形態では、シリンダ装置２
４からの駆動力をバケット本体１５に伝達する駆動力伝
達手段を、第１リンク２７および第２リンク３０からな
るリンク機構２６によって構成するものとして述べた
が、これに替えて、駆動力伝達手段を、例えばカム機構
等で構成してもよく、シリンダ装置２４等のアクチュエ
ータから付与される駆動力（回動力）をバケット本体１
５のスライド動作に変換して伝える構成であれば、種々
の駆動力伝達機構を採用できるものである。

【００６０】また、実施の形態では、バケットとしてバ
ックホウ式のバケット９を例に挙げて説明したが、これ
に替えて、ボトムダンプ式のローダバケット等の他のバ
ケットに適用してもよい。

【００６１】

【発明の効果】以上詳述した通り、請求項１の発明によ
れば、スライド機構をスライド体およびスライド体駆動
手段によって構成し、このスライド体駆動手段からの駆
動力をバケット本体に伝えることにより、バケット本体
をスライド体に対して相対的に左，右方向にスライドさ
せる構成としたので、例えば当該スライドバケットを油
圧ショベルに用いて、道路等に配管用の溝を掘削すると
きには、作業者はスライド体駆動手段を遠隔操作するこ
とによってバケット本体をスライド体に対して自動的に
スライドさせることができ、このようなバケット本体を
スライドさせるときに要する作業者の労力を大幅に軽減
することができる。また、他の従来技術で述べたように
バケット本体をスライドするために、わざわざ掘削作業
を完全に中断する必要がなくなり、全体の作業効率を高
めることができる。

【００６２】また、請求項２の発明のように、アクチュ
エータからの駆動力を駆動力伝達手段によってバケット
本体に伝えることにより、バケット本体をスライド体に
対して相対的に左，右方向にスライドさせる構成とした
場合でも、請求項１の発明とほぼ同様の効果を得ること
ができる。

【００６３】また、請求項３の発明では、駆動力伝達手
段を、スライド体側にピン結合した第１リンクと、バケ
ット本体側にピン結合した第２リンクとによって構成
し、第１リンクをアクチュエータによって回動させる構
成としたので、アクチュエータからの駆動力（回動力）
を第１リンクおよび第２リンクによってスライド体に効
率よく伝えることができ、駆動力伝達手段の信頼性を高
めることができると共に、これらの２個のリンクによっ
て駆動力伝達手段の構造を簡略化することができる。

【００６４】さらに、請求項４の発明では、アクチュエ
ータをシリンダ装置によって構成し、このシリンダ装置
をスライド体と第１リンクとの間で伸縮させる構成とし
たので、バケット本体をスライドさせるときの移動量
を、シリンダ装置のストローク量よりも大きく設定で
き、シリンダ装置の小型化、軽量化を図ることができ
る。

【００６５】また、請求項５の発明では、スライド体と
バケット本体との間に複数のガイド部を設け、これらの
ガイド部によってバケット本体をバケット本体に対して
スライド可能に保持する構成としたので、バケット本体
の脱落をガイド部によって防止でき、当該スライドバケ
ットの信頼性等を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態によるスライドバケットが
設けられた油圧ショベルを示す外観図である。

【図２】図１中のスライドバケットを拡大して示す正面
図である。

【図３】スライドバケットを示す図２の背面図である。

【図４】スライドバケットを示す図３の平面図である。

【図５】スライドバケットを示す図３の左側面図であ
る。

【図６】スライド機構等を拡大して示す図３中の矢示VI
−VI方向からみた断面図である。

【図７】スライド機構のシリンダ装置等を拡大して示す
図６中の矢示 VII−VII 方向からみた断面図である。

【図８】バケット本体を単体で示す正面図である。

【図９】バケット本体を示す図８の平面図である。

【図１０】図２中のスライド体をブラケットと共に示す
正面図である。

【図１１】スライド体をブラケットと共に示す図１０の
平面図である。

【図１２】シリンダ装置を単体で示す正面図である。

【図１３】シリンダ装置を示す図１２の平面図である。

【図１４】図６中に示す第１リンクを単体で示す拡大図
である。

【図１５】第１リンクを示す図１４中の矢示XV−XV方向
からみた断面図である。

【符号の説明】

８ アーム ９ スライドバケット １５ バケット本体 １５Ａ 底板 １５Ｂ 側板 １５Ｄ，１５Ｅ ガイド溝（ガイド部） １６ スライド機構 １７ スライド体 １８ アッパープレート １９ ロアプレート １９Ｃ スライドバー（ガイド部） ２２ ブラケット ２３ スライド体駆動装置（スライド体駆動手段） ２４ シリンダ装置（アクチュエータ） ２６ リンク機構（駆動力伝達手段） ２７ 第１リンク ３０ 第２リンク

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バケット本体と、前記バケット本体をア
   ームの先端側に取付けるための左，右一対のブラケット
   と、前記アームに対するバケット本体の取付位置を左，
   右方向で調整するため前記各ブラケットと前記バケット
   本体との間に設けられ前記各ブラケットをバケット本体
   の左，右方向に相対的にスライドさせるスライド機構と
   からなるスライドバケットにおいて、 前記スライド機構は、前記各ブラケットに一体に設けら
   れ、前記バケット本体が左，右方向にスライド可能に取
   付けられたスライド体と、前記スライド体とバケット本
   体との間に設けられ、駆動力によりバケット本体に対し
   てスライド体を左，右方向にスライドさせるスライド体
   駆動手段とから構成したことを特徴とするスライドバケ
   ット。
2. 【請求項２】 バケット本体と、前記バケット本体をア
   ームの先端側に取付けるための左，右一対のブラケット
   と、前記アームに対するバケット本体の取付位置を左，
   右方向で調整するため前記各ブラケットと前記バケット
   本体との間に設けられ前記各ブラケットをバケット本体
   の左，右方向に相対的にスライドさせるスライド機構と
   からなるスライドバケットにおいて、 前記スライド機構は、前記各ブラケットに一体に設けら
   れ、前記バケット本体が左，右方向にスライド可能に取
   付けられたスライド体と、前記スライド体に設けられ、
   外部からの駆動信号により駆動力を発生するアクチュエ
   ータと、前記スライド体とバケット本体との間に設けら
   れ、前記アクチュエータからの駆動力によって前記バケ
   ット本体をスライド体に対してスライドさせる駆動力伝
   達手段とから構成したことを特徴とするスライドバケッ
   ト。
3. 【請求項３】 前記駆動力伝達手段は、基端側が前記ス
   ライド体に回動可能にピン結合された第１リンクと、基
   端側が前記第１リンクの先端側に回動可能にピン結合さ
   れ、先端側が前記バケット本体に回動可能にピン結合さ
   れた第２リンクとからなり、前記アクチュエータは前記
   第１リンクに駆動力としての回動力を与える構成として
   なる請求項２に記載のスライドバケット。
4. 【請求項４】 前記アクチュエータは、前記スライド体
   と第１リンクとの間に伸縮可能に設けられたシリンダ装
   置により構成してなる請求項３に記載のスライドバケッ
   ト。
5. 【請求項５】 前記スライド体とバケット本体との間に
   は、前記バケット本体の左，右方向に沿って互いに平行
   に延び、前記バケット本体をスライド体に対してスライ
   ド可能に保持する複数のガイド部を設けてなる請求項
   １，２，３または４に記載のスライドバケット。