JPH11323502A - 加工性と靭性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその鋳片 - Google Patents

加工性と靭性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその鋳片

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JPH11323502A
JPH11323502A JP10127991A JP12799198A JPH11323502A JP H11323502 A JPH11323502 A JP H11323502A JP 10127991 A JP10127991 A JP 10127991A JP 12799198 A JP12799198 A JP 12799198A JP H11323502 A JPH11323502 A JP H11323502A
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toughness
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JP10127991A
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Inventor
Shinji Tsuge
信二 柘植
Hiroshi Fujimura
浩志 藤村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造工程中で脆性破断を生ずることがなく、所
定の形状に加工することができる加工性と靱性に優れた
フェライト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】質量%で、C:0.015%以下、Si:
0.01〜1.0%、Mn:1.0%以下、P:0.0
4%以下、S:0.02%以下、Cr:16〜32%、
Ti:0.003〜0.3%、Al:0.001〜0.
15%、N:0.003〜0.015%、O(酸素):
0.001〜0.006%、残部はFeおよび不可避的
不純物の化学組成で、鋼中に大きさが0.3〜5μmの
Al系介在物とTi系介在物の複合介在物が分散した鋼
であり、その鋳片は等軸晶組織部の粒径が3mm以下、
等軸晶率が40%以上である。この鋼は、所定量以下の
V、Cu、Ni、Mo、Nb、MgおよびCaのいずれ
か1種または2種以上を含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性と靱性に優
れたフェライト系ステンレス鋼に関する。より詳しく
は、耐食性や耐候性が必要とされる温水器や貯水槽用、
自動車排気系用さらには金属屋根用の材料として使用さ
れる高耐食ステンレス鋼であって、プレス成形や曲げ加
工などの成形加工における加工特性(加工性)と耐衝撃
破壊特性(靱性)に優れたフェライト系ステンレス鋼と
その鋳片に関する。
【0002】
【従来の技術】CrとMoを多量に含有する高純度フェ
ライト系ステンレス鋼は、耐食性が良好であり、SUS
434、同436L、同444、同447J1などの鋼
がJISに規格化されている。このようなフェライト系
ステンレス鋼は、CrとMoの含有量が多いほど硬質で
伸びが小さく、最終製品(鋼材)の加工性および靱性を
確保することが困難であるという問題を有している。ま
た、同時にこのような鋼の製品を製造する工程において
は、靱性不足のために鋳片の脆性割れ、熱延鋼帯の脆性
破断などを惹起し、最終製品の歩留まりが大きく低下す
るという問題も有している。
【0003】上記の問題を回避する手段としては、鋼中
のC、N、SおよびO(酸素)などの不純物元素を低減
することに精力が注がれ、高純度鋼が溶製されるように
なってきた。現状では、AODやVODと呼ばれる脱炭
精錬炉によって30%Cr鋼でさえ、CおよびNの含有
量が50ppm以下、Sの含有量が10ppm以下、O
(酸素)の含有量が20ppm以下の鋼が量産できるよ
うになっている。
【0004】高純度化されると、フェライト系ステンレ
ス鋼中の非金属介在物量が減少し、靱性が改善される。
また、鋼が軟質化し、伸びが向上する。ところが、この
ような高純度化は、一方でリジング特性と呼ばれる加工
性の劣化を招くという問題がある。
【0005】ここで、リジングとは、鋼板をプレス成形
したときに見られる畝状のシワである。この畝状のシワ
は、無垢で使用されることの多いステンレス鋼の成形品
の美観を損ねる。このため、発生したリジングは、研磨
するなどして除去する必要があるが、この場合成形品の
製造コストが高くなる。
【0006】フェライト系ステンレス鋼の薄板における
上記のリジングは、粗大な柱状組織を有する鋳片を熱間
圧延した場合、その粗大鋳造組織が十分微細化されずに
最終製品である鋼板に「コロニー」として残存してしま
うことに起因して発生する。なお、「コロニー」とは、
見かけは微細な結晶組織に見えるが、実は結晶方位の類
似した結晶粒群が領域をなして分布している状態をい
い、この結晶粒群がプレス成形などで塑性変形を受ける
と単結晶のように変形し、大きな畝状のシワとなるもの
を意味する。
【0007】リジングの発生を防止するには、凝固組織
の微細化と熱間加工工程での再結晶による方法がある。
このうち、後者の方法では、熱間での強圧下、低温圧下
と引き続く焼鈍を行うことになる。しかし、Cr含有量
の多いフェライト系ステンレス鋼は、耐酸化性が良好な
ためにスケールが薄く、工具との焼付による表面疵が発
生しやすい。また、本質的に熱間での再結晶が起こりに
くいために、組織を微細化することが困難である。
【0008】一方、前者の凝固組織の微細化技術として
は、例えばTiNの核作用による方法(鉄と鋼、第66
年(1980)第6号、110頁参照)や、溶鋼の電磁
誘導攪拌による方法(鉄と鋼、第66年(1980)第
6号、38頁参照)がある。
【0009】しかし、TiNにより鋳片の組織を微細な
等軸晶にする方法は、例えば0.4質量%程度のTiや
0.016質量%程度のNを鋼に含有させてTiNを溶
鋼中に多量に分散析出させることが必要である。しか
も、溶鋼過熱度ΔTを40℃以下に下げるなどの条件を
組み合わせなければ微細(具体的には3mm以下の粒
径)な等軸晶組織が安定して得られない。
【0010】さらに、多量のTiとTiNは、鋼の靱性
を損ない、本発明が対象とするCrやMoを多く含有す
るフェライト系ステンレス鋼の問題点を大きくするため
逆効果である。また、溶鋼過熱度ΔTを小さく制御する
ことは、必ずしも容易なことではなく、一旦溶鋼過熱度
ΔTが小さくなりすぎた時には鋳造できないため、再昇
熱作業を必要とするなどの大きな問題を引き起こす。
【0011】電磁誘導攪拌による方法の場合には、溶鋼
過熱度ΔTが高くても、凝固途中の鋳片に対して攪拌位
置を適正化することによって40〜60%の等軸晶組織
を安定して確保することが可能である。しかし、微細な
等軸晶組織を得るには、やはり溶鋼過熱度ΔTを25℃
未満の低い値に制御する必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、連続鋳造し
た鋳片を熱間加工、焼鈍、冷間加工、焼鈍などの工程に
より最終製品を製造する過程において脆性割れの問題を
惹起することが少なく、かつ最終製品の加工性、靱性が
優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することにあ
る。具体的には、連続鋳造組織の40%を超える部分が
微細な等軸晶になり、熱間加工により製造された中間製
品の靱性が良好であり、最終冷間加工製品の加工性と靱
性が優れるフェライト系ステンレス鋼を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の加工性と靱性に優れたフェライト系ステンレス
鋼、および下記(2)の加工性と靱性に優れたフェライ
ト系ステンレス鋼の鋳片にある。
【0014】(1)質量%で、C:0.015%以下、
Si:0.01〜1.0%、Mn:1.0%以下、P:
0.04%以下、S:0.02%以下、Cr:16〜3
2%、Ti:0.003〜0.3%、Al:0.001
〜0.15%、N:0.003〜0.015%、O(酸
素):0.001〜0.006%、V:0.15%以
下、Cu:0.6%以下、Ni:3%以下、Mo:5%
以下、Nb:0.4%以下、Mg:0.003%以下、
Ca:0.003%以下、残部はFeおよび不可避的不
純物の化学組成で、鋼中に大きさが0.3〜5μmのA
l系介在物とTi系介在物の複合介在物が分散した加工
性と靱性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【0015】(2)質量%で、C:0.015%以下、
Si:0.01〜1.0%、Mn:1.0%以下、P:
0.04%以下、S:0.02%以下、Cr:16〜3
2%、Ti:0.003〜0.3%、Al:0.001
〜0.15%、N:0.003〜0.015%、O(酸
素):0.001〜0.006%、V:0.15%以
下、Cu:0.6%以下、Ni:3%以下、Mo:5%
以下、Nb:0.4%以下、Mg:0.003%以下、
Ca:0.003%以下、残部はFeおよび不可避的不
純物の化学組成で、鋼中に大きさが0.3〜5μmのA
l系介在物とTi系介在物の複合介在物が分散してお
り、かつ等軸晶組織部の粒径が3mm以下、等軸晶率が
40%以上である加工性と靱性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼の鋳片。
【0016】なお、Al系介在物とTi系介在物の複合
介在物とは、Al系介在物の周りをTi系介在物が囲む
構成の介在物を指す。以下、簡単のため、上記のAl系
介在物とTi系介在物の複合介在物をAl−Ti系複合
介在物ということもある。
【0017】上記の本発明は、下記の知見に基づいて完
成させた。すなわち、発明者らは、連続鋳造したフェラ
イト系ステンレス鋼の化学組成、鋼中非金属介在物の析
出形態(内部構造、分散形態)および鋳片の組織につい
て詳細に調査、研究を行った。その結果、先ず下記〜
の知見を得た。
【0018】TiとNの含有量が比較的少ないフェラ
イト系ステンレス鋼では、溶鋼過熱度ΔTに関係なく、
微細で高い等軸晶率の鋳造組織とすることができる場合
がある。しかし、全く等軸晶が生成せず、粗大な柱状晶
組織となる場合もある。
【0019】0.2%を超える量のTiを含有する鋼
では、安定して高い等軸晶率が得られる。ただし、等軸
晶の粒径は、必ずしも小さいものではなく、3mmを超
えるものが存在する場合もある。この場合、鋼材の靱性
に乏しく、肉厚が5mm程度の鋼材での衝撃遷移温度は
室温を大きく上回る場合がほとんどである。
【0020】主成分がTiとNで、その他にO(酸
素)、S、Cを含むTi系介在物は、溶鋼中に分散する
Al系介在物を核として不均一核生成する。したがっ
て、溶鋼中のAl系介在物を制御することによってTi
系介在物の析出温度、換言すればTi系介在物の析出形
態を制御することができる。
【0021】析出形態を適切な大きさ、析出時期を適
切に制御したAl−Ti系複合介在物は、鋼の凝固時に
結晶核生成サイトになるので、高い率で微細な等軸晶を
形成させることが可能である。
【0022】そこで、次に、上記の微細な等軸晶組織を
有する鋳片における析出形態を制御したTi系介在物、
つまりAl−Ti系複合介在物を構造分析した。
【0023】すなわち、連続鋳造した厚さ200mm、
幅1050mmの鋳片の先端より10mの位置から、表
皮下20、50および80mmの面を観察面とするため
の小型の試験片を採取し、鏡面に仕上げた。ただし、仕
上げ研磨は、水溶性介在物の消失や研磨材であるアルミ
ナ砥粒の残留を防止するために、アルコール中でダイヤ
モンド砥粒(粒径0.25μm)により行った。次い
で、この観察面に存在する介在物を、高分解能オージェ
電子分光装置(以下、オージェ分光法という)、エネル
ギー分散型X線分光装置(以下、EDX法という)ある
いは通常のEPMAを用いて調査した。
【0024】なお、おもに、C、Nなどの軽元素の同定
はオージェ分光法、Mg以上の原子量の元素の同定はE
DX法に依った。その結果、下記〜の事項が明らか
になった。
【0025】等軸晶の粒径が3mm以下の鋳片に存在
するTi系介在物は、Al系介在物と複合して析出して
いる。このTi系介在物の核となっているAl系介在物
は、Ti系介在物が0.3〜5μmであるのに対し、
0.1〜0.5μmと非常に微細である。
【0026】また、等軸晶の粒径は、鋳片の表皮から
の深さが深くなるのに従って大きくなる傾向を示し、8
0mm程度のところでほぼ最大値を示す。この粒径の変
化に対応してAl−Ti系複合介在物の大きさも変化し
ている。
【0027】Ti系介在物生成の核として存在するA
l系介在物には、Al、O、Ca、Mg、TiやSなど
が含まれている。なお、このAl系介在物中でのAl、
O、Mg、Ca、TiやSの含有率は、特に定まったも
のではないが、AlとOは必ず含まれており、その他の
元素は検出限界以下であることもある。また、Al系介
在物を覆うように析出したTi系介在物は、主成分がT
iとNで、その他にO、S、Cを含むものであるが、T
iとN以外のその他元素は検出限界以下であることもあ
った。
【0028】図1に、上記のAl−Ti系複合介在物の
構造を示す。また、図2に等軸晶粒径が3mm以下の鋳
片に存在するAl−Ti系複合介在物のEDX法による
分析結果の一例を示す。
【0029】なお、上記と同様の方法で等軸晶率が10
%と低い鋳片の粗大な柱状晶組織部を観察した結果、T
i系介在物が認められた。しかし、その核は、上記のよ
うなAl系介在物ではなく、他の酸化物(例えば、Si
2 やCaOなど)であるか、または上記のようなAl
系介在物であるが、複合介在物としての寸法(長径)が
0.3μm未満のものが主体であった。
【0030】また、等軸晶率が100%と高い鋳片につ
いて、粒径が3mmを超える等軸晶組織部を観察した結
果、Al−Ti系複合介在物が認められた。しかし、大
きさが5μmを超えるものが多く存在し、平均粒径がお
よそ3μm前後の粗大な析出形態を示すものであった。
【0031】そこで更に、図1に示すようなAl−Ti
系複合介在物を分散させることができる各成分の範囲に
ついて調査した。その結果、下記およびの事項が判
明した。
【0032】N、TiおよびAlの含有量をそれぞ
れ、N:0.005質量%以上、Ti:0.03質量%
以上、Al:0.003〜0.03質量%とすれば、粒
径が0.3〜5μmのAl−Ti系複合介在物が鋼中に
安定して分散する。
【0033】しかし、N:0.003質量%以上、T
i:0.003質量%以上、Al:0.001〜0.1
5質量%と、Tiの含有量を大幅に少なくする一方、A
lの含有量を大幅に多くしても、粒径が0.3〜5μm
のAl−Ti系複合介在物を鋼中に分散させることがで
き、しかも、この場合には、鋳片の等軸晶組織部の粒径
が3mm以下になるとともに、等軸晶率がほぼ40%以
上になる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「質
量%」を意味する。
【0035】(A)鋼の化学組成 C:Cは、フェライト系ステンレス鋼の加工性と靱性を
劣化させる元素であり、その含有量は少なければ少ない
ほどよい。しかし、過度の低減は、鋼の精錬コストの上
昇を招いて経済性が損なわれる。このため、経済性を考
慮してC含有量は、0.015%以下とした。好ましい
上限は、0.010%である。
【0036】Si:Siは、溶鋼の脱酸剤として添加す
るが、その含有量が0.01%未満では十分な脱酸効果
が得られない。しかし、その含有量が1.0%超となる
過剰な添加は靱性を劣化させる。このため、Si含有量
は、0.01〜1.0%とした。好ましい範囲は、0.
05〜0.5%である。
【0037】Mn:Mnは、添加しなくてもよい。添加
する場合、上記のSiと同様に、溶鋼の脱酸に寄与する
が、その効果を確実に得るためには、0.1%以上含有
させるのが望ましい。しかし、その含有量が1.0%超
となる過剰な添加は靱性を劣化させる。このため、Mn
含有量の上限は、1.0%とした。
【0038】P:Pは、鋼中に不可避的に含まれ、靱性
と耐食性を劣化させる元素であるので、その含有量は低
ければ低いほど好ましい。しかし、0.04%以下であ
れば特に問題ないので、その上限を0.04%とした。
【0039】S:Sは、上記のPと同様に、鋼中に不可
避的に含まれ、耐食性を劣化させる元素であるので、そ
の含有量は低ければ低いほど好ましい。しかし、0.0
2%以下であれば特に問題ないので、その上限を0.0
2%とした。好ましい上限は0.008%である。
【0040】Cr:Crは、フェライト系ステンレス鋼
の耐食性を担う最も重要な元素であり、その含有量は1
6%以上が必要である。しかし、その含有量が32%を
超えると靱性の確保が困難になる。このため、Cr含有
量は、16〜32%とした。
【0041】Ti:Tiは、Al−Ti系複合介在物を
形成させて、連続鋳造したフェライト系ステンレス鋼の
鋳造組織を微細にし、加工性を高めるのに必須の元素で
ある。また、Tiは、鋼中のN、Cと結合して窒化物、
炭化物や炭窒化物を形成し、基地に固溶するC、Nを低
減してフェライト系ステンレス鋼の加工性、耐食性、靱
性を向上させる作用も有する。しかし、その含有量が
0.003%未満では、連続鋳造した鋳片の等軸晶組織
部の粒径が3mm以下という所望の微細組織が得られな
い。一方、0.3%を超えて過剰に含有させると、熱間
加工後の中間製品の靱性を劣化させ、製造が困難にな
る。したがって、Ti含有量は、0.003〜0.3%
とした。
【0042】なお、後述するように、鋳片における等軸
晶組織の微細化やAl−Ti系複合介在物の凝集粗大化
防止による靱性の改善のためには、Tiを適正量のAl
と複合して含有させることが重要である。Tiによる上
記の作用が最も顕著に発現されるTi含有量の範囲は、
0.03〜0.2%である。
【0043】Al:Alは、溶鋼の脱酸剤として添加さ
れるが、本発明においては、上記のTiと同様に、Al
−Ti系複合介在物を形成させて、連続鋳造したフェラ
イト系ステンレス鋼の鋳造組織を微細で等軸晶率の高い
組織とし、成形性を高めるために必須の元素である。し
かし、その含有量が0.001%未満では、Al系介在
物の溶鋼中での析出量が少なく、この場合には、Al系
介在物を核として生成するTi系介在物の生成量が少な
い。そのために、結晶核生成サイトが少ないので、鋳片
組織は粗大な柱状晶組織となってしまう。そして、上記
の鋳片から各種の鋼材を製造する場合、その最終製品の
加工性が極めて劣る。
【0044】一方、Alの含有量が0.15%を超え、
Alの脱酸作用が大きすぎる場合には、鋼中のO(酸
素)含有量が0.001%未満となる。この場合には、
Ti系介在物の核となる酸化物系介在物が形成なされな
くなるので、均一に分散した細かいAl−Ti系複合介
在物が形成されない。そのために、鋳造組織が粗大な柱
状晶組織となり、最終製品の加工性がやはり極めて劣
る。したがって、Al含有量は、0.001〜0.15
%とした。なお、Alによる上記の作用が最も顕著に発
現されるAl含有量の範囲は、0.003〜0.03%
である。
【0045】N:Nは、Al系介在物を核として不均一
核生成したTi系介在物、つまりAl系介在物がTi系
介在物(主成分はTiとN)で覆われたAl−Ti系複
合介在物を形成させて、連続鋳造したフェライト系ステ
ンレス鋼の鋳造組織を微細で高い等軸晶率の組織とし、
成形性を高めるのに必須の元素である。しかし、その含
有量が0.003%未満では所望の効果が得られない。
一方、0.015%を超えて含有させると靱性の著しい
低下を招く。したがって、N含有量は、0.003〜
0.015%とした。好ましい範囲は、0.003〜
0.01%である。
【0046】O(酸素):Oは、表面疵の原因となる介
在物を形成するので、その含有量は低くするのが好まし
く、特に0.006%を超えると靱性や成形性の著しい
低下をきたす。しかし、その含有量が0.001%未満
では、Al系介在物が溶鋼中に分散析出しないので、所
望のAl−Ti系複合介在物の形成がなされず、鋳片の
鋳造組織が粗大な柱状晶組織となってしまう。そして、
上記の鋳片から各種の鋼材を製造する場合、その最終製
品の加工性は極めて劣る。したがって、O含有量は、
0.001〜0.006%とした。
【0047】V:Vは、添加しなくてもよいが、ステン
レス鋼にはVが不純物としてある程度含有されており、
靱性を劣化させる元素である。そして、その含有量が
0.15%を超えると靱性が損なわれる。このため、V
の含有量は、0.15%以下とした。
【0048】Cu:Cuは、添加しなくてもよい。添加
すれば、耐食性が向上するので、この効果を得たい場合
には添加することができる。しかし、その含有量が0.
1%未満では十分な効果が得られず、0.6%を超えて
含有させると靱性が損なわれる。このため、添加する場
合のCu含有量は、0.1〜0.6%とするのが望まし
い。
【0049】Ni:Niは、添加しなくてもよい。添加
すれば、靱性が向上するので、この効果を得たい場合に
は添加することができる。しかし、その含有量が0.1
%未満では十分な効果が得られず、3%を超えて含有さ
せると鋼が硬質化し、靱性および延性が損なわれる。こ
のため、添加する場合のNi含有量は、0.1〜3%と
するのが望ましい。
【0050】Mo:Moは、添加しなくてもよい。添加
すれば、耐食性が向上するので、この効果を得たい場合
には添加することができる。しかし、その含有量が0.
2%未満では十分な効果が得られず、5%を超えて含有
させると金属間化合物の析出が促進されて靱性が損なわ
れる。このため、添加する場合のMo含有量は、0.2
〜5%とするのが望ましい。
【0051】Nb:Nbは、添加しなくてもよい。添加
すれば、加工性と耐食性が向上するので、これらの効果
を得たい場合には添加することができる。しかし、その
含有量が0.1%未満では十分な効果が得られず、0.
4%を超えて含有させると靱性が損なわれる。このた
め、添加する場合のNb含有量は、0.1〜0.4%と
するのが望ましい。
【0052】Ca:Caは、添加しなくてもよい。添加
すれば、Al−Ti系複合介在物中に入り、連続鋳造し
たフェライト系ステンレス鋼の鋳造組織を微細で高い等
軸晶率の組織とし、成形性を高める作用がある。この作
用が得られるCaの含有量は、不純物として混入(鋼の
精錬時にスラグから混入)する量(例えば、0.000
1%未満)であってもよい。勿論、Caは、積極的に添
加したものであってもよい。
【0053】しかし、その含有量が0.003%を超え
る場合には、Al−Ti系複合介在物の核となるAl系
介在物の形成がなされず、Ca系介在物に変える作用が
あるので、上記の組織微細化作用が失われる。このた
め、Ca含有量は、積極的な添加の有無に関係なく、
0.003%以下とした。なお、本発明のフェライト系
ステンレス鋼により良好な耐食性と靱性を兼ね備えさせ
るためには、Caの含有量を0.0005%以下とする
のが好ましい。
【0054】Mg:Mgは、添加しなくてもよい。添加
すれば、上記のCaと同様に、Al−Ti系複合介在物
中に入り、連続鋳造したフェライト系ステンレス鋼の鋳
造組織を微細で高い等軸晶率の組織とし、成形性を高め
る作用がある。この作用が得られるMgの含有量は、不
純物として混入(鋼の精錬時にスラグ、耐火物などから
混入)する量(例えば、0.0001%未満)であって
もよい。勿論、Mgは、積極的に添加したものであって
もよい。
【0055】しかし、その含有量が0.003%を超え
る場合には、Al−Ti系複合介在物の核となるAl系
介在物の形成がなされず、Mg系介在物に変える作用が
あるので、上記の組織微細化作用が失われる。このた
め、Mg含有量は、積極的な添加の有無に関係なく、
0.003%以下とした。なお、本発明のフェライト系
ステンレス鋼により良好な耐食性と靱性を兼ね備えさせ
るためには、Mgの含有量を0.0005%以下とする
のが好ましい。
【0056】(B)Al−Ti系複合介在物 上記の化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼の加
工性と靱性を高めるためには、その大きさ(寸法(長
径))が0.3〜5μmのAl−Ti系複合介在物を鋼
中に分散させておくことが重要である。
【0057】本発明のフェライト系ステンレス鋼では、
Al系介在物がTi系介在物で覆われたAl−Ti系複
合介在物は、鋳片の等軸晶化に不可欠の介在物である。
【0058】この複合介在物を構成する必須元素は、A
l系介在物ではAlとOであり、Ti系介在物ではTi
とNである。その他の構成元素としては、Al系介在物
にはCa、Mg、Ti、Sなどを含んでいてもよく、T
i系介在物にはO、S、Cなどを含んでいてもよい。A
l系介在物にCaとMgのうちのいずれか一方または両
方が含まれる場合には、鋳片の等軸晶化が一層促進され
る。
【0059】フェライト系ステンレス鋼では、耐酸化性
などを高めるために酸化物、窒化物を形成する能力の高
いZr、Y、Ta、LaおよびCeなどの希土類元素を
添加する場合があるが、鋼がこのような元素を含有する
場合、必ずAl−Ti系複合介在物の中にそれらの元素
が認められることが多い。いずれの場合も、本発明の要
旨とするAl−Ti系複合介在物の作用を妨げるもので
はない。
【0060】Al−Ti系複合介在物を核として等軸晶
を形成させるためには、この複合介在物の大きさが0.
3μm以上あることが必要である。この場合、等軸晶率
は、ほぼ40%以上確保することが可能である。ただ
し、0.3μm未満の介在物が同時に含まれている場合
もあるが、この場合でも0.3μm以上のAl−Ti系
複合介在物が存在すれば何ら問題ない。
【0061】鋼中に分散する上記のAl−Ti系複合介
在物の分布量は、検鏡面にて10個/mm2 以上とする
ことが好ましい。鋳片の組織は、Al−Ti系複合介在
物が多ければ多いほど微細になるので、Al−Ti系複
合介在物の鋼中における分布量は、前述のAl含有量、
Ti含有量によって定まる量まで許容できる。
【0062】Al−Ti系複合介在物をこのように分散
させたフェライト系ステンレス鋼の靱性を確保するため
には、鋼の化学組成を本発明で規定する範囲内とするこ
とに加えて、Al−Ti系介在物の大きさを5μm以下
とすることが必要である。この介在物の大きさが5μm
を超えると、熱間加工で製造した肉厚が5mm程度の中
間製品の衝撃遷移温度が室温を大きく上回り、常法での
製品の製造が困難となる。
【0063】鋳片の鋳造組織は、粒径が3mm以下の等
軸晶組織が鋳片横断面の面積率で40%以上存在するこ
とが望ましく、そのためには、Al−Ti系複合介在物
の平均粒径を3μm以下とするのがよい。この平均粒径
が大きければ等軸晶組織の粒径は大きくなる。
【0064】ここで、複合介在物の大きさは、先に述べ
た鋳片の検鏡面より介在物を抽出したレプリカについて
透過型電子顕微鏡で測定したものである。その他の測定
として検鏡面を軽く腐食し、走査型電子顕微鏡での直接
測定も可能である。この場合には、測定面積を数mm平
方に拡大することができる。測定面積をどんどん拡大し
て行けば、存在する介在物の最大寸法は大きくなる可能
性があるが、ここでの介在物の大きさは、測定面積1m
2 程度で求められる大きさと定義する。
【0065】以上の理由から、本発明で用いる鋳片は、
3mm以下の粒径で40%以上の等軸晶率の組織とし、
これより製造される鋼材の加工性と靱性を良好とするた
めに、Al−Ti系複合介在物の大きさを0.3〜5μ
mと規定した。なお、鋳片に存在するAl−Ti系複合
介在物は、その後の熱間圧延加工などの加工では、その
大きさと形状はほとんど変化しない。
【0066】上記したようなAl−Ti系複合介在物の
形態は、基本的には、鋼中のN、Ti、OおよびAlの
含有量によって決定される。しかし、Al−Ti系複合
介在物のフェライト系ステンレス鋼中の分散形態を適正
化するためには、鋼が前記(A)項で述べた化学組成を
有しているだけでは十分でない場合があるので、例え
ば、通常の方法によって溶製した後、AODやVODと
いった2次精錬炉で脱C、脱Nを行い、次いで、酸化し
たCrを還元するためにSiまたはAlを添加し、さら
にO(酸素)含有量を充分低めた後でAlとTiを添加
し、非酸化性環境で連続鋳造するのがよい。
【0067】以下、実施例により、本発明を説明する。
【0068】
【実施例】表1に示す化学組成を有する15種類のフェ
ライト系ステンレス鋼を各々60〜240トン溶製し、
厚さが200mm、幅が1050mmの鋳片に連続鋳造
した。なお、No. 10を除く他の鋼は、通常の方法で溶
製した後、2次精錬炉で脱C、脱Nを行い、次いで、酸
化したCrを還元するためにSiまたはAlを添加し、
さらにO(酸素)含有量を充分低めた後にAlとTiま
たはTiのみを添加し、連続鋳造した。一方、No. 10
の鋼は、通常の方法で溶製した後、2次精錬炉で脱C、
脱Nを行い、酸化したCrを還元するためにAlを添加
し、次いで、O(酸素)含有量を十分低めた後にTiを
添加し、更にCaも添加して、連続鋳造した。
【0069】なお、表1中、No. 1〜10は化学組成が
本発明で規定する範囲内である本発明例の鋼、No. 11
〜15は化学成分のいずれかが本発明で規定する範囲か
ら外れる化学組成を有する比較例の鋼である。
【0070】
【表1】
【0071】これらの鋼からなる鋳片の鋳造方向に垂直
な断面の幅中央部(厚さ200mm、長さ100mm)
を王水(硝酸と塩酸の体積比が1:3)で腐食してその
組織を観察した。そして、3/8厚さ部(表皮下75m
m)の結晶粒径を切片法により求めた。この時、求めら
れた平均切片長さLより、平均粒径dを、式『d=1.
12L』により求めた。また、等軸晶率は、等軸晶粒と
柱状晶粒の面積比率より求めた。
【0072】これら鋳片は、通常の方法で1150〜1
280℃に加熱して熱間圧延し、4.5mm厚の鋼板に
仕上げた。
【0073】上記の4.5mm厚の鋼板から切り出した
試験片を、アルコール中でダイヤモンド砥粒研磨仕上げ
し、鋼板断面の1/4板厚部に相当する部位を走査型電
子顕微鏡で観察し、複合構造をもつ介在物であることを
EDX法により組成を分析して確認し、Al−Ti系複
合介在物の大きさと個数の分布を調査した。EDX法の
分析範囲は、各試料当たり0.5mm×2mmの視野と
し、Al−Ti系複合介在物の平均粒径と最大粒径およ
び個数を求めた。
【0074】さらに、4.5mm厚の鋼板は、常法によ
り焼鈍と酸洗を加え、焼鈍酸洗鋼板とした。そして、こ
の焼鈍酸洗鋼板より衝撃特性を測定するためのサブサイ
ズシャルピー試験片を圧延直角方向より採取し、破壊面
進行方向が圧延方向となるように衝撃試験を行って、延
性−脆性遷移温度(vTs)を測定した。
【0075】上記の4.5mm厚の焼鈍酸洗鋼板は、表
裏面を研磨して表面粗度を調整した後、1.2mm厚に
まで冷間圧延した。次いで、この冷間圧延した鋼板を、
燃焼ガス中で930〜1030℃の温度で20〜30秒
間均熱焼鈍した。焼鈍に際しての昇温速度と降温速度
は、いずれも10〜20℃/秒の範囲とした。
【0076】上記のようにして得られた1.2mm厚の
焼鈍鋼板から、圧延方向に対して90度方向にJIS
Z 2201に規定される13B号の引張試験片を採取
し、評点間距離50mmで室温の引張試験を行い、破断
伸び(%)を測定した。
【0077】また、上記の1.2mm厚の焼鈍鋼板から
圧延方向と平行に、JIS Z 2201に規定される
5号引張試験片を採取し、その平行部を鏡面仕上げした
後、常温で引張変形させて耐リジング性を評価した。す
なわち、評点間距離50mmが60mmに変形したとき
(つまり20%引張変形)、表面粗度計を用いて引張方
向に垂直に走査して表面に発生したうねりの高さ(μ
m)を調査し、表2に示す基準に従って耐リジング性の
評価を行った。なお、本発明が目標とする耐リジング性
は、表2に示す指標のうち、AとBである。
【0078】
【表2】
【0079】以上の各調査結果を、表3にまとめて示し
た。
【0080】
【表3】
【0081】表3から明らかなように、化学組成が本発
明で規定する範囲内にあり、かつ平均粒径0.3〜5μ
mの大きさのAl−Ti系複合介在物が鋼中に分散して
いる本発明例の鋼(No. 1〜9)では、その鋳片の等軸
晶率が45%以上であり、等軸晶粒径も3.0mm以下
と微細であった。図3は、No. 3の鋼からなる鋳片の鋳
造組織を示すもので、図の左右方向が鋳片の厚さ方向で
ある。
【0082】また、これら本発明例の鋼の鋳片から製造
された4.5mm厚の熱間圧延焼鈍酸洗板の衝撃遷移温
度(vTs)は、いずれも45℃以下であり、常法の表
面研磨、冷間圧延の製造において脆性割れを生ずること
がなかった。さらに、最終製品の1.2mm厚の焼鈍鋼
板は、いずれも26.5%以上の高い伸びを示し、しか
も耐リジング性の指標はいずれもAまたはBで優れてい
た。
【0083】これに対して、化学組成は本発明で規定す
る範囲内であるが、Al−Ti系複合介在物が鋼中に分
散していない鋼(No. 10)では、その鋳片の等軸晶率
が5%と低く、等軸晶粒径も4.3mmと粗大であっ
た。図4は、その鋳造組織を示すもので、図の左右方向
が鋳片の厚さ方向である。このため、この鋳片から製造
された最終製品の1.2mm厚の焼鈍鋼板の伸びは2
5.2%と低く、しかも耐リジング性の指標もDと劣っ
ていた。
【0084】一方、化学成分(Ti、Al、N、O)の
うちのいずれか1つ以上の含有量が本発明で規定する範
囲から外れる比較例の鋼(No. 11〜15)のうち、N
o. 11〜14の鋼は、Al−Ti系複合介在物が鋼中
に分散しておらず、鋳片の等軸晶率が5〜35%と低
く、かつ等軸晶粒径も3.2〜5.4mmと大きく、上
記のNo. 10の鋼の場合と同様に、鋳片の鋳造組織が粗
大であり、しかも最終製品の1.2mm厚の焼鈍鋼板の
伸びは22.7〜25.8%と低くかった。このため、
耐リジング性は、指標がCまたはDで劣っていた。
【0085】なお、No. 14の鋼の鋳片から製造された
4.5mm厚の焼鈍酸洗鋼板は、衝撃遷移温度(vT
s)が75℃と極めて高くて靱性が低く、表面研削作業
中に脆性割れが激しく発生し、鋼板が破断した。
【0086】また、No. 15の鋼は、鋼中にAl−Ti
系複合介在物が分散し、かつ鋳片の等軸晶率も90%と
高いものの、等軸晶粒径の平均粒径が3.8mmと大き
く、鋳片の鋳造組織がやや粗大であり、しかも5μmを
超える大きなAl−Ti系複合介在物が存在していた。
このため、耐リジング性は、指標がCで劣っており、し
かも4.5mm厚の焼鈍酸洗鋼板の衝撃遷移温度(vT
s)が60℃と高くて靱性が低く、靱性が低いために表
面研削作業中に脆性割れが発生した。
【0087】
【発明の効果】本発明のフェライト系ステンレス鋼は、
その鋳片の組織に占める微細な等軸晶の割合が多いの
で、製造工程の厚肉の中間製品の靱性が良好で、最終製
品の加工性と靱性が優れる。このため、鋼材の製造工程
での脆性破断トラブルが回避できるし、製品歩留まりも
向上する。したがって、本発明によれば、脆性割れやリ
ジングなどのない高い加工性と靱性を備えた製品を比較
的安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al−Ti系複合介在物の概要を示す図であ
る。
【図2】等軸晶粒径が3mm以下の鋳片に存在するAl
−Ti系複合介在物のEDX法による分析結果の一例を
示す図である。
【図3】実施例におけるNo. 3の鋼の鋳片の鋳造組織を
示す図で、図の左右方向が鋳片の厚さ方向である。
【図4】実施例におけるNo. 10の鋼の鋳片の鋳造組織
を示す図で、図の左右方向が鋳片の厚さ方向である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.015%以下、Si:
    0.01〜1.0%、Mn:1.0%以下、P:0.0
    4%以下、S:0.02%以下、Cr:16〜32%、
    Ti:0.003〜0.3%、Al:0.001〜0.
    15%、N:0.003〜0.015%、O(酸素):
    0.001〜0.006%、V:0.15%以下、C
    u:0.6%以下、Ni:3%以下、Mo:5%以下、
    Nb:0.4%以下、Mg:0.003%以下、Ca:
    0.003%以下、残部はFeおよび不可避的不純物の
    化学組成で、鋼中に大きさが0.3〜5μmのAl系介
    在物とTi系介在物の複合介在物が分散している加工性
    と靱性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】質量%で、C:0.015%以下、Si:
    0.01〜1.0%、Mn:1.0%以下、P:0.0
    4%以下、S:0.02%以下、Cr:16〜32%、
    Ti:0.003〜0.3%、Al:0.001〜0.
    15%、N:0.003〜0.015%、O(酸素):
    0.001〜0.006%、V:0.15%以下、C
    u:0.6%以下、Ni:3%以下、Mo:5%以下、
    Nb:0.4%以下、Mg:0.003%以下、Ca:
    0.003%以下、残部はFeおよび不可避的不純物の
    化学組成で、鋼中に大きさが0.3〜5μmのAl系介
    在物とTi系介在物の複合介在物が分散しており、かつ
    等軸晶組織部の粒径が3mm以下、等軸晶率が40%以
    上である加工性と靱性に優れたフェライト系ステンレス
    鋼の鋳片。
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