JPH11323459A - 分散強化型複合材料の製造方法及び分散強化型複合材料 - Google Patents

分散強化型複合材料の製造方法及び分散強化型複合材料

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JPH11323459A
JPH11323459A JP13635498A JP13635498A JPH11323459A JP H11323459 A JPH11323459 A JP H11323459A JP 13635498 A JP13635498 A JP 13635498A JP 13635498 A JP13635498 A JP 13635498A JP H11323459 A JPH11323459 A JP H11323459A
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composite
alloy material
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JP13635498A
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Hideo Nakae
秀雄 中江
Yoshiyuki Maeda
芳之 前田
Hideki Yamaura
秀樹 山浦
Satoaki Kimura
聡朗 木村
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、従来の方法と比較して、低
コストで均質な複合材料を製造することが可能である分
散強化型複合材料の製造方法及び分散強型複合材料を提
供することである。 【解決手段】 処理温度が1000℃の場合、Al粉末
を添加しなくてもAl合金の溶浸が起こる。しかしなが
ら、Al粉末を添加した場合、900℃において溶浸が
起こるため、Al粉末を添加すれば、より低い温度でも
SiCへのAl合金の溶浸が可能になる。以上により、
水ガラスを用いてFeをSiCの表面に付着及び
/又は分散させることにより、より低温条件下でAl合
金を溶浸させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散強化型複合材
料の製造方法及び分散強化型複合材料に関する。詳しく
は、高い耐摩耗性、硬度、高制振性、及び低い熱膨張率
が要求される自動車用動力伝達部品であるプーリーや制
動部品であるブレーキディスク等の部材、又は低い熱膨
張率が要求される電子部品の基板等の部品に適してお
り、且つ軽量で経済的な分散強化型複合材料の製造方法
及び分散強化型複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複合材料とは、例えば金属と高分子材料
といったように、2種類以上の異なる材料を組み合わせ
ることで材料としての機械的性質を人為的に設計してな
るものである。例えば、鉄筋コンクリート等はマトリッ
クス材としてコンクリートと、強化材として鉄筋とを用
い、コンクリートに鉄筋を埋設することによって、強度
的な向上を図っている。
【0003】複合材料の中でも、金属をマトリックスと
する金属基複合材料は、金属のもつ強度及び延性及び靭
性等の基本的属性を有することを特徴とし、係る金属に
様々な材料を組み合せることにより、更なる特性を発現
させるべく各種の金属基複合材料が製造されている。こ
の金属基複合材料は多くの場合、金属マトリックスと粒
子状の粉体、ウイスカ、又は繊維等の補強材料とからな
り、補強材料のもつ剛性や耐摩耗性と、金属マトリック
スのもつ延性及び靱性とを併せ持つことから、これらの
特徴を生かしてさまざまな用途に利用されている。
【0004】上述の金属基複合材料の中には、例えば、
Mg、Fe、Cu、Cr、Zn、又はSi等の元素と、
Al又はTi等の軽金属との合金をマトリックスとして
用いる軽合金複合材料がある。特に、Alは軽量且つ安
価であるため、軽合金マトリックスとしてAlを適用す
ることは、複合材料を軽量化するために最も適する方法
の一つである。
【0005】一般的に軽合金材料をマトリックスとする
複合材料では、軽合金材料のもつ特徴である強度、剛
性、耐摩耗性、熱膨張係数、密度、熱伝導性及び高温下
での強度等の各種特性が向上する。しかし、係る特性が
向上する程度は、特定の成分、容積分率、重量分率、及
び複合材料を製造する際の処理方法によって大きく異な
る。例えば、粒子状、ペレット状、又はウイスカ状のS
iC等の複合素材で強化した複合材料は、複合素材の持
つ剛性及び耐摩耗性と、金属が有する延性及び靱性とを
併せ持つ。そのため、軽合金材料をマトリックスとする
複合材料は、比剛性(例えば、弾性率/密度)、耐摩耗
性、熱伝導性、熱膨張係数、及び高温下での強度及び/
又は比強度(例えば、強度/密度)が軽合金それ自体よ
りも優れたものとなる。
【0006】従来、軽合金材料をマトリックスとする複
合材料の製造に関しては種々の製造プロセスがあり、係
る製造プロセスは粉末冶金法と鋳造法とに主に大別され
る。粉末冶金法の場合、粉末状の金属と、粉末、ウイス
カ、又はチョップドファイバー等の形態の複合素材とを
混合し、その後、常温成形し焼結するか、又はホットプ
レスを行なうことで複合材料を製造する。係る方法によ
り製造され、SiCを用いて強化された複合材料では、
複合素材の最大体積分率は、ウイスカ状の複合素材を用
いる場合は約25体積%であり、粒子状の粉体の場合は
約40体積%である。
【0007】したがって、以上の粉末冶金法による軽合
金材料をマトリックスとする複合材料の製造方法では、
複合素材の含有量に製法上の限界があることから、得ら
れる製品の特性に関する設計の自由度が低い。また、通
常粉末を成形するにあたっては、圧縮操作を行なう必要
があり、密度の均一な成形体を得るためには、製品の大
きさが制限される。さらに、後の工程で機械加工又は複
雑なプレスを行なう必要が生じ、そのような加工を行な
わない場合には、比較的簡単な形状の製品を対象とせざ
るを得ない。
【0008】一方、鋳造法は、液体の金属を型に流し込
むことで、複合材料からなる部材を製造する方法であ
り、この方法を用いると、最終製品が複雑な形状を有す
る部材であっても、これを複合材料からなる部材として
製造することができる。係る鋳造法には、溶融金属にS
iC等の複合素材の粒子状粉体を添加して複合材料を得
る粒子添加法や、複合素材の粒子状粉体の隙間に溶湯状
態の金属を溶浸させることにより複合材料を得る粒子間
溶浸法等がある。製造する部材によっては、複合素材等
の粒子状粉体を用いて、製造する部材を形取った成形体
をあらかじめ製造しておき、係る成形体に溶湯状態の軽
合金を溶浸させることにより複合材料を鋳造することも
できる。
【0009】係る粒子添加法や粒子間溶浸法等に代表さ
れる鋳造法は、軽合金材料をマトリックスとして用いる
複合材料の製造方法にも応用することができる。粒子添
加法は、溶融した金属中に粒子状の粉体を添加する方法
であるため、極めて簡単に複合材料を得ることができ
る。しかし、マトリックスと粒子との間に比重の差があ
るために粒子が偏析してしまうという難点がある。一
方、粒子間溶浸法では、溶湯状態の金属を溶浸させ、複
合素材の粒子を焼結することにより粒子の偏析を防ぐこ
とができる。均質な複合材料を大量に生産するという観
点からすると、粒子添加法よりも粒子間溶浸法が優れて
いるということができる。
【0010】粒子間溶浸法により軽合金材料をマトリッ
クスとする分散強化型複合材料を製造する方法として、
特開平2−236244号等に、窒素雰囲気下で分散強
化型複合材料を製造する例が示されている。特開平2−
236244号には、PRIMAXTM法により分散強
化型複合材料を製造する方法が開示されており、Ni、
Sr、及びSiを含有するAl合金と、AlN(5%の
SiNを含有する)とを含む混合物を窒素雰囲気下、約
1200℃で約10時間保持する製造方法が開示されて
いる。
【0010】また、「セラミックス」(1997年、3
2巻、2号)には、DIMOXTM法を用いて、強化材
であるセラミックスから最終部品に近い成形体を形成
し、係る成形体に金属を流し込むことにより複合材料を
製造する方法が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開平2−23
6244号等に開示された分散強化型複合材料の製造方
法及び分散強化型複合材料には次のような問題があっ
た。一般に、粒子間溶浸法を用いて複合材料を鋳造する
場合、SiC粒子間に溶湯状態のAl合金を溶浸させる
ことにより複合材料を製造する。その際に、Al合金中
にSiC粒子を均等に分散させることができないと、均
質な複合材料を製造することはできない。
【0012】溶湯状態のAl合金中にSiC粒子が均等
に分散しない原因の一つとして、Al合金に対するSi
C粒子の濡れ性が悪い場合が考えられる。濡れとは一般
的に、固体、液体、気体の三相共存の状態において固体
の表面を液体が広がっていく現象のことであり、濡れ性
がよいということは、固体に対する液体の接触角が小さ
くなることであって、液体が固体表面上を広がり易いこ
とを指す。Al合金をマトリックスとする複合材料を製
造する場合、溶融状態であるため液状であるAl合金と
固体であるSiC粒子との濡れ性の善し悪しが均質な複
合材料を生成するための重要な要因となる。濡れ性が悪
いとAl合金がSiC粒子表面上を広がり難く、SiC
粒子表面上でのAl合金の流れが悪くなり、均質な複合
材料を得ることができない。
【0013】この観点から、前述の特開平2−2362
44号等に開示された軽合金複合材料の製造方法では、
均質な複合材料を製造することは容易でなかった。これ
を更に詳述すると、一般に、SiC及びAl合金から製
造される複合材料では、複合材料を製造する際に溶浸さ
せるAl合金は融点に近い温度での濡れ性が悪く、高温
になればなるほど濡れ性は良くなる。したがって、均質
な複合材料を製造するためには、Al合金の融点よりも
可能な限り高い温度とする高温条件下にすることでAl
合金の濡れ性を向上させなければならない。
【0014】前述の特開平2−236244等に示され
た軽合金複合材料の製造方法でも、複合材料を製造する
際に溶浸させる軽合金材料の温度を高温とするようにす
れば、その方法により均質な複合材料を製造することは
可能である。しかしながら、そのように高温条件下で軽
合金材料を溶浸させるためには、当然のことながら炉を
高温にする必要がある。しかし、高温で炉を操業する
と、コストが高騰し、複合材料を生産するコストが極め
て高くなる。その結果として、得られる製品のコスト高
を招き、これが複合材料からなる製品の実用化を妨げる
要因となっていた。
【0015】本発明は、以上の従来技術における問題に
鑑みてなされたものであって、前記の複合材料の製造方
法に応用することができる。本発明の目的は、従来の方
法と比較して、低コストで均質な複合材料を製造するこ
とが可能である複合材料の製造方法及び複合材料を提供
することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】以上の課題を解決するために、本発明者
は、軽合金マトリックスと複合素材の粒子間の濡れを制
御するための方法について鋭意研究を重ねた。その結
果、本発明者は、複合素材の粒子表面に軽合金マトリッ
クスを溶浸させる際に、水ガラス等のバインダを介して
金属酸化物及び/又は金属粉末を係る粒子表面に付着及
び/又は分散させることにより、金属酸化物及び/又は
金属粉末と軽合金材料とが反応し、その際に生成する反
応熱によりバインダもまた軽合金材料と反応することに
よりさらに反応熱が発生するため、これらの反応熱によ
って粒子表面の温度が上昇することにより、軽合金マト
リックスと複合素材の粒子との界面の濡れ性が向上し、
複合素材の粒子間での軽合金マトリックスの流れを改善
できるため、複合素材への軽合金マトリックスの溶浸が
進行し、均質な複合材料を得ることができるという着想
に基づき、金属酸化物及び/又は金属粉末を係る粒子表
面に付着及び/又は分散させることにより、低温条件下
での複合材料の製造を可能にした。
【0017】前記の課題を解決するために提供する本発
明の複合材料の製造方法は、複合素材の表面に金属酸化
物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させ、軽合
金材料を前記複合素材に溶浸させることを特徴とする。
本発明の複合材料の製造方法によれば、複合素材の表面
に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散
させることにより、低温条件下での軽合金材料と複合素
材との濡れ性が向上し、複合素材間での軽合金材料の流
れが改善されることより、低温条件下で複合素材に軽合
金材料を溶浸させることができる。そのため、複合材料
を製造する際に用いる炉の温度を従来の温度よりも低く
することができるため、低コストで均質な複合材料を製
造することができる。
【0018】また、本発明の複合材料の製造方法は、複
合素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及
び/又は分散させ、軽合金材料を前記複合素材に所定時
間所定温度で溶浸させ、さらに溶浸させた前記軽合金材
料を冷却することを特徴とする。本発明の複合材料の製
造方法によれば、複合素材の表面に金属酸化物及び/又
は金属粉末を付着及び/又は分散させることにより、低
温条件下での軽合金材料と複合素材との濡れ性が向上
し、複合素材間での軽合金材料の流れが改善されること
より、低温条件下で複合素材に軽合金材料を溶浸させる
ことができる。そのため、複合材料を製造する際に用い
る炉の温度を従来の温度よりも低くすることができるた
め、低コストで均質な複合材料を製造することができ
る。
【0019】また、本発明の複合材料の製造方法は、複
合素材が粒子状の粉体及び/又は粒子状の粉体を原料と
して形成される成形体であることを特徴とする。これに
より本発明の複合材料の製造方法によれば、複合素材が
粒子状の粉体であることにより、粒子が軽合金材料中に
偏在することなく均等に分散し、粒子への軽合金材料の
溶浸が均等に進行するため、均質な複合材料を得ること
ができる。また、複合素材が粒子状の粉体を原料として
形成される成形体であることにより、複雑な形状を有す
る部材を製造する場合にも軽合金材料間に粒子を均等に
分散させることができ、複合素材に軽合金材料を溶浸さ
せることができるため、均質な複合材料を得ることがで
きる。
【0020】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダと金属酸化物及び/又は金属粉末とを混合させ、
バインダと金属酸化物及び/又は金属粉末とを係る複合
素材の表面に付着及び/又は分散させることを特徴とす
る。本発明にいうバインダとは、第一義的には、金属酸
化物及び/又は金属粉末を複合素材の表面に均一に付着
及び/又は分散させるために使用するものである。これ
により本発明の複合材料の製造方法によれば、バインダ
を用いることにより複合素材の表面に金属酸化物及び/
又は金属粉末が偏在することなく均等に付着及び/又は
分散する。さらに、バインダを用いて複合素材の表面に
金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散さ
せることにより、金属酸化物及び/又は金属粉末が複合
素材の表面から容易に剥がれ落ちるのを防ぐことができ
るため、軽合金材料中に金属酸化物及び/又は金属粉末
が均等に付着及び/又は分散する。以上のことより、複
合素材への軽合金材料の溶浸が均等に進行するため、均
質な複合材料を得ることができる。そのうえ、バインダ
と軽合金材料とが反応することにより、反応熱が発生
し、反応熱によって粒子表面の温度が上昇すると推定さ
れるため、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界
面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マト
リックスの流れを改善できることより、低温条件下で複
合素材に軽合金材料を溶浸させることができる。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。
【0021】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダを用いて複合素材の表面に金属酸化物及び/又は
金属粉末を付着及び/又は分散させることにより成形体
を形成し、前記成形体を用いて軽合金材料の少なくとも
一部分を複合化することを特徴とする。これにより本発
明の複合材料の製造方法によれば、係る成形体を用いる
ことにより、複雑な形状を有する部材を製造する場合に
も、複合素材への軽合金材料の溶浸を均等に進行させる
ことができるため、均質な複合材料を製造することがで
きる。さらに、複合化したい部分にあらかじめ係る成形
体を配置することにより、必要な部分のみを複合化する
ことができる。
【0022】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダの主体がSiO2であることを特徴とする。本発
明の複合材料の製造方法によれば、バインダ中のSiO
2と軽合金材料とが反応することにより、反応熱が発生
し、反応熱によって粒子表面の温度が上昇すると推定さ
れるため、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界
面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マト
リックスの流れを改善できることより、低温条件下で複
合素材に軽合金材料を溶浸させることができる。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。さらに、バインダの
主体がSiO2であるため、複合素材の表面に金属酸化
物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させること
により、低温条件下での軽合金材料と複合素材との濡れ
性が向上し、複合素材間での軽合金材料の流れが改善さ
れることより、低温条件下で複合素材に軽合金材料を溶
浸させることができる。そのため、複合材料を製造する
際に用いる炉の温度を従来の温度よりも低くすることが
できるため、低コストで均質な複合材料を製造すること
ができる。そのうえ、SiO2は複合素材との濡れ性が
高いため、軽合金材料の流れが改善されることにより、
バインダ複合素材への軽合金材料の溶浸が進行するた
め、均質な複合材料を得ることができる。
【0023】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダとして水ガラス又はシリカゾルを用いることを特
徴とする。水ガラス又はシリカゾルは主成分がSiO2
であり、SiO2は複合素材との濡れ性が高いうえ、水
ガラス及びシリカゾルは水を含むことより、水の表面張
力によって複合素材の表面に均等に分散させることがで
き且つ複合素材への吸着性がよい。これにより本発明の
複合材料の製造方法によれば、バインダとして水ガラス
又はシリカゾルを用いることにより、水ガラス又はシリ
カゾルが金属酸化物及び/又は金属粉末を複合素材の表
面に均等に付着及び/又は分散させる役割を果たすこと
により、複合素材への軽合金材料の溶浸が均等に進行す
るため、均質な複合材料を得ることができる。
【0024】また、本発明の複合材料の製造方法は、軽
合金材料がAl合金であり、前記Al合金を複合素材に
溶浸させる温度が800〜1100℃であることを特徴
とする。これにより本発明の複合材料の製造方法によれ
ば、軽合金材料がAl合金であることにより、安価で且
つ軽量で耐腐食性に優れた複合材料を製造することがで
きる。さらに、軽合金材料を複合素材に溶浸させる温度
が800〜1100℃であることにより、複合材料を製
造する際に用いる炉の温度を従来の温度よりも低くする
ことができるため、低コストで複合材料を製造すること
ができる。
【0025】また、本発明の複合材料の製造方法は、金
属酸化物が鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガ
ン、及びバナジウムのうち少なくとも一つ以上から選択
される金属の酸化物であることを特徴とする。これによ
り本発明の複合材料の製造方法によれば、鉄、ニッケ
ル、クロム、コバルト、マンガン、又はバナジウムの酸
化物と軽合金材料とが反応し、その際に生成する反応熱
により粒子表面の温度が上昇することにより、軽合金マ
トリックスと複合素材の粒子との界面の濡れ性が向上
し、複合素材の粒子間での軽合金マトリックスの流れを
改善できるため、複合素材への軽合金マトリックスの溶
浸が進行する。そのため、複合材料を製造する際に用い
る炉の温度を従来の温度よりも低くすることができるた
め、低コストで均質な複合材料を製造することができ
る。
【0026】また、本発明の複合材料の製造方法は、金
属酸化物が酸化鉄及び/又は酸化ニッケルであることを
特徴とする。これにより本発明の複合材料の製造方法に
よれば、酸化鉄及び/又は酸化ニッケルと軽合金材料と
が反応し、その際に生成する反応熱により粒子表面の温
度が上昇することにより、軽合金マトリックスと複合素
材の粒子との界面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間
での軽合金マトリックスの流れを改善できるため、複合
素材への軽合金マトリックスの溶浸が進行する。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。さらに、酸化鉄は安
価であるため、低コストで複合材料を製造することがで
きる。
【0027】また、本発明の複合材料の製造方法は、金
属粉末がNiであることを特徴とする。これにより本発
明の複合材料の製造方法によれば、Niと軽合金材料と
が反応し、その際に生成する反応熱により粒子表面の温
度が上昇することにより、軽合金マトリックスと複合素
材の粒子との界面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間
での軽合金マトリックスの流れを改善できるため、複合
素材への軽合金マトリックスの溶浸が進行する。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。さらに、Niとの複
合化を行なうことにより、靱性が高く、耐熱性及び耐複
合材料に優れた複合材料を製造することができる。
【0028】また、本発明の複合材料の製造方法は、活
性雰囲気下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させるこ
とを特徴とする。本発明にいう活性雰囲気とは、第一義
的には、複合材料を製造する際に、軽合金材料等の原料
と反応する可能性のある活性ガスを含む雰囲気をいう。
本発明の複合材料の製造方法によれば、活性雰囲気を用
いることにより、窒素、あるいはアルゴン等のコストの
高い雰囲気の調整を行なう必要がないため、低コストで
複合材料を製造することができる。
【0029】また、本発明の複合材料の製造方法は、活
性雰囲気が酸素、二酸化炭素、水のうち少なくとも一つ
以上を含む活性雰囲気であることを特徴とする。酸素、
及び水は、活性ガスの一種であり、これらは複合材料を
製造する際に、原料である軽合金材料と反応する可能性
がある。しかしながら、これらの活性ガスの活性雰囲気
中における存在割合が一定以下であれば、軽合金材料の
溶浸に影響を及ぼさないと考えられる。よって、本発明
の複合材料の製造方法によれば、酸素、二酸化炭素、水
のうち少なくとも一つ以上を含む活性雰囲気中で、軽合
金材料を複合素材に溶浸させることにより、窒素、ある
いはアルゴン等のコストの高い雰囲気の調整を行なう必
要がないため、低コストで複合材料を製造することがで
きる。
【0030】また、本発明の複合材料の製造方法は、活
性雰囲気中の酸素の存在割合が5〜50%であることを
特徴とする。活性雰囲気中の酸素が存在割合が5〜50
%であれば、軽合金材料の溶浸に影響を及ぼさないと考
えられる。これにより本発明の複合材料の製造方法によ
れば、活性雰囲気中に酸素が5〜50%存在することに
より、窒素、あるいはアルゴン等のコストの高い雰囲気
の調整を行なう必要がないため、低コストで複合材料を
製造することができる。
【0031】また、本発明の複合材料の製造方法は、軽
合金材料を複合素材に溶浸させる際に、反応系周辺に黒
鉛、グラファイト、木炭、可燃性材料のうち少なくとも
一つ以上を配置させることを特徴とする。これにより本
発明の複合材料の製造方法によれば、軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際に、反応系周辺に黒鉛、グラファイ
ト、木炭、可燃性材料のうち少なくとも一つ以上を配置
させると、反応系内が高温になるため、これらの材料よ
り一酸化炭素、二酸化炭素等のガスが発生することによ
り、活性雰囲気中であっても反応系内の酸素の存在割合
が多くならないように保つことができる。これにより、
活性雰囲気中の酸素による軽合金材料の過度の酸化を防
ぐことができるため、軽合金材料の表面が酸化されてで
きる酸化被膜の過度の形成を抑制することができる。
【0032】また、本発明の複合材料の製造方法は、軽
合金材料を複合素材に溶浸させる際に、反応系周辺に還
元性材料を配置させることを特徴とする。これにより本
発明の複合材料の製造方法によれば、軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際に、反応系周辺に還元性材料を配置
させると、反応系内が高温になるため、還元性材料から
還元性ガス若しくは不活性ガスが発生することにより、
活性雰囲気中であっても反応系内の酸素の存在割合が多
くならないように保つことができる。これにより、活性
雰囲気中の酸素による軽合金材料の過度の酸化を防ぐこ
とができるため、軽合金材料の表面が酸化されてできる
酸化被膜の過度の形成を抑制することができる。
【0033】また、本発明の複合材料の製造方法は、不
活性雰囲気下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させる
ことを特徴とする。これにより本発明の複合材料の製造
方法によれば、不活性雰囲気下で軽合金材料を前記複合
素材に溶浸させることにより、軽合金材料の酸化を防ぐ
ことができる。そのため、軽合金材料と複合素材との接
触面に軽合金材料が酸化されてできる被膜の形成を防止
することができることより、軽合金材料が複合素材に直
接溶浸する面積が増加するため、複合化を促進すること
ができる。
【0034】また、本発明の複合材料の製造方法は、不
活性雰囲気が窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセ
ノンのうち少なくとも一つ以上を含む不活性雰囲気であ
ることを特徴とする。窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、及びキセノンは、一般的に不活性ガスの一種であ
り、高温条件下において軽合金材料及び複合材料と接触
しても反応しない。これにより本発明の複合材料の製造
方法によれば、窒素、アルゴン、ネオン、キセノンのう
ち少なくとも一つ以上を含む不活性雰囲気下で、軽合金
材料を前記複合素材に溶浸させることにより、軽合金材
料の酸化を防ぐことができる。そのため、軽合金材料と
複合素材との接触面に軽合金材料が酸化されてできる被
膜の形成を防止することができることより、軽合金材料
が複合素材に直接溶浸する面積が増加するため、複合化
を促進することができる。
【0035】また、本発明の複合材料の製造方法は、減
圧状態にすることにより不活性雰囲気下にすることを特
徴とする。系内を減圧状態にすると、系内に活性ガスが
ほとんど存在しなくなるため、反応系内を不活性雰囲気
下と同じような状態にすることができる。これにより本
発明の複合材料の製造方法によれば、減圧状態にするこ
とにより不活性雰囲気下とし、係る条件下で軽合金材料
を前記複合素材に溶浸させることにより、軽合金材料の
酸化を防ぐことができる。そのため、軽合金材料と複合
素材との接触面に軽合金材料が酸化されてできる被膜の
形成を防止することができることより、軽合金材料が複
合素材に直接溶浸する面積が増加するため、複合化を促
進することができる。
【0036】また、本発明の複合材料の製造方法は、加
圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させることを特
徴とする。これにより本発明の複合材料の製造方法によ
れば、加圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させる
ことにより、軽合金材料と複合材料との接触が促進され
るため、複合化を促進することができる。さらに、加圧
下で軽合金材料を複合素材に溶浸させることにより、軽
合金材料と複合素材とが共に加圧された状態で複合化が
進行する。そのため、得られる複合材料は加圧された状
態で製造されたものであるので、係る複合材料は分子間
の隙間が少ない。これにより、密度が大きく且つ緊密な
複合材料を得ることができる。
【0037】また、本発明の複合材料は、複合素材の表
面に金属酸化物を付着及び/又は分散させ、軽合金材料
を前記複合素材に溶浸させてなることを特徴とする。こ
れにより本発明の複合材料によれば、複合素材の表面に
金属酸化物を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前
記複合素材に溶浸させて得られるため、係る溶浸の際に
は低温条件下で軽合金材料と複合素材との濡れ性が向上
し、複合素材間での軽合金材料の流れが改善されること
より、生産コストが低く且つ汎用性が高いうえに、極め
て均質な材料として得ることができる。
【0038】また、本発明の複合材料は、複合素材の表
面に金属酸化物を付着及び/又は分散させ、軽合金材料
を前記複合素材に所定時間所定温度で溶浸させ、さらに
溶浸させた前記軽合金材料を冷却させて得られることを
特徴とする。これにより本発明の複合材料によれば、複
合素材の表面に金属酸化物を付着及び/又は分散させ、
軽合金材料を前記複合素材に溶浸させて得られるため、
係る溶浸の際には低温条件下で軽合金材料と複合素材と
の濡れ性が向上し、複合素材間での軽合金材料の流れが
改善されることより、生産コストが低く且つ汎用性が高
いうえに、極めて均質な材料として得ることができる。
【0039】また、本発明の複合材料は、複合素材が粒
子状の粉体及び/又は粒子状の粉体を原料として製造さ
れる成形体であることを特徴とする。これにより本発明
の複合材料によれば、複合素材が粒子状の粉体であるこ
とにより、粒子が軽合金材料中に偏在することなく均等
に分散し粒子への軽合金材料の溶浸が進行するため、軽
合金材料及び複合素材から極めて均質な材料として得る
ことができる。また、複合素材が粒子状の粉体を原料と
して形成される成形体であることにより、複雑な形状を
有する部材を製造する場合にも、複合素材への軽合金材
料の溶浸を均等に進行させることができるため、極めて
均質な材料として得ることができる。
【0040】また、本発明の複合材料は、バインダを用
いて複合素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を
付着及び/又は分散させることにより形成される成形体
を用いて、軽合金材料の少なくとも一部分を複合化して
なることを特徴とする。これにより本発明の複合材料に
よれば、係る成形体を用いることにより、複雑な形状を
有する部材を製造する場合にも、複合素材への軽合金材
料の溶浸を均等に進行させることができるため、極めて
均質な材料として得ることができる。さらに、複合化し
たい部分にあらかじめ係る成形体を配置することによ
り、必要な部分のみを複合化した材料として得ることが
できる。
【0041】また、本発明の複合材料は、軽合金材料が
Al合金であることを特徴とする。これにより本発明の
複合材料によれば、Al合金は安価であるため、軽合金
材料がAl合金であることにより、安価で且つ軽量な材
料として得ることができる。
【0042】また、本発明の複合材料は、金属酸化物が
鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、及びバナ
ジウムのうち少なくとも一つ以上から選択される金属の
酸化物であることを特徴とする。これにより本発明の複
合材料によれば、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マ
ンガン、又はバナジウムの酸化物と軽合金材料とが反応
し、その際に生成する反応熱により粒子表面の温度が上
昇することにより、軽合金マトリックスと複合素材の粒
子との界面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽
合金マトリックスの流れを改善できるため、生産コスト
が低いうえに、極めて均質な材料として得ることができ
る。
【0043】また、本発明の複合材料は、金属酸化物が
酸化鉄及び/又は酸化ニッケルであることを特徴とす
る。これにより本発明の複合材料によれば、酸化鉄及び
/又は酸化ニッケルと軽合金材料とが反応し、その際に
生成する反応熱により粒子表面の温度が上昇することに
より、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界面の
濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マトリッ
クスの流れを改善できるため、生産コストが低く且つ汎
用性が高いうえに、極めて均質な材料として得ることが
でき、さらに、酸化鉄は安価であるため、安価な材料と
して得ることができる。
【0044】また、本発明の複合材料は、金属粉末がN
iであることを特徴とする。これにより本発明の複合材
料によれば、Niと軽合金材料とが反応し、その際に生
成する反応熱により粒子表面の温度が上昇することによ
り、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界面の濡
れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マトリック
スの流れを改善できるため、汎用性が高いうえに、極め
て均質な材料として得ることができる。さらに、本発明
の複合材料は、Niとの複合化を行なうことにより製造
されることより、靱性が高く、耐熱性及び耐複合材料に
優れた材料として得ることができる。
【0045】また、本発明の複合材料は、複合材料の主
体がセラミックスであることを特徴とする。セラミック
スは金属酸化物、炭化物、窒化物等の無機質の固体材料
であり、優れた剛性及び耐摩耗性を有するため、これに
より本発明の複合材料によれば、セラミックスを強化材
に用いることにより、剛性及び耐摩耗性に優れた有する
材料として得ることができる。また、セラミックスは安
価であるため、安価な材料として得ることができる。
【0046】本発明者は、バインダを用いて金属酸化物
及び/又は金属粉末を複合素材に付着及び/又は分散さ
せ、係る複合素材に軽合金材料が溶浸する機構を以下の
ように推定している。
【0047】複合素材の粒子表面に軽合金マトリックス
を溶浸させる過程において、金属酸化物及び/又は金属
粉末を用いて係る粒子表面に付着及び/又は分散させる
ことにより、金属酸化物及び/又は金属粉末と軽合金材
料とが反応し、その際に生成する反応熱により複合素材
の表面の温度が上昇する。複合素材の表面の温度が高く
なるにつれ、軽合金材料と複合素材との間の濡れ性が向
上することにより、複合素材間での軽合金材料の流れを
改善できるため、複合素材への軽合金マトリックスの溶
浸が進行し、軽合金材料と複合素材との間の複合化が促
進されると推定される。
【0048】さらに、バインダとともに金属酸化物及び
/又は金属粉末を複合素材の表面に付着及び/又は分散
させる場合には、金属酸化物及び/又は金属粉末と軽合
金材料とが反応する際に生成する反応熱によってバイン
ダが熱せられた結果、バインダの反応性が高くなるた
め、バインダと軽合金材料とが反応し、その際に生成す
る反応熱により複合素材の表面の温度がさらに上昇す
る。そのため、軽合金材料と複合素材との間の濡れ性が
さらに向上することにより、複合素材間での軽合金材料
の流れをさらに改善できるため、複合素材への軽合金マ
トリックスの溶浸が進行し、軽合金材料と複合素材との
間の複合化が促進されると推定される。
【0049】例えば、約1000℃において、金属酸化
物にFe3O4、NiO、及びNi、バインダに水ガラ
ス(SiO2・nH2O・nNaO2)、軽合金材料に
Siを含有するAl合金、及び複合素材に粒子状の粉体
であるSiCを用いて、複合材料を製造するためにAl
合金を複合素材に溶浸させる場合、Fe3O4、Ni
O、及びNiとAl合金とが接触して、それぞれ次式で
示されるような反応が起こる。 Al + 3/8Fe3O4 = 9/8Fe + 1/2
Al2O3 + 97kcal 2/3Al + NiO = Ni + 1/3Al2O3
+ 75.8kcal 3Al + Ni = Al3Ni + 36kcal 以上の反応により生成する反応熱により、複合素材の表
面の温度が上昇する。複合素材の表面の温度が高くなる
につれ、Al合金とSiCとの間の濡れ性が向上するこ
とにより、SiC間でのAl合金の流れが改善され、S
iCへのAl合金の溶浸が進行するため、均質な複合材
料が得られると推定される。
【0050】さらに、上記の式に示されるように、Fe
3O4、NiO、及びNi等の金属酸化物及び/又は金
属粉末がAl合金と反応する際に生成する反応熱によっ
て、バインダである水ガラスSiO2が熱せられた結
果、SiO2とAl合金とが次式で示されるように反応
する。 4/3 Al + SiO2 = Si + 2/3Al2O
3 + 49.7kcal その際に生成する反応熱により、SiCの表面の温度が
さらに上昇する。そのため、Al合金とSiCとの間の
濡れ性がさらに向上することにより、SiC間でのAl
合金の流れをさらに改善され、SiCへのAl合金の溶
浸が進行するため、均質な複合材料が得られると推定さ
れる。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明では、軽合金材料にAlを
主体とするAl合金を用いる。前述したように、複合素
材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/
又は分散させ、複合素材間に軽合金材料を溶浸させる過
程において、Alは金属酸化物及び/又は金属粉末と反
応し多量の反応熱を発生し、係る反応熱により複合素材
とAlとの濡れ性が向上するため、軽合金材料の粒子表
面での流れが改善されると考えられる。そのため、軽合
金材料にAl合金を用いると、反応系内が従来と比較し
て低温条件下であっても、複合素材へのAl合金の溶浸
が進行するため、複合素材とAl合金との複合化が促進
される。すなわち、炉の温度を従来ほど高くする必要が
ないため、複合材料の製造コストを低減することができ
る。
【0052】Al合金は、主体がAlであればよく、A
l合金中のAlの存在割合は、金属酸化物及び/又は金
属粉末とAl合金とが反応する際に、複合素材とAl合
金との濡れ性を向上させるために十分な量の反応熱が生
成する程度であればよい。また、Al合金は、複合素材
とAl合金との濡れ性の低下を及ぼさない程度であれ
ば、Si、Ca、Zn、Ni、Mn、Mg、Fe、Sn
などの元素を含んでいてもよい。
【0053】Al合金としては、例えば、Siを含むA
l−Si合金が挙げられる。かわりに、純AlにSi、
Ca、Zn、Ni、Mn、Mg、Fe、Snなどを添加
させて共に加熱することにより合金を製造してもよい。
あるいは、Al合金中のAlと前記の元素の量とを調節
するために、Al合金中に適切な量のAlを加えること
により合金を製造してもよいし、又は、Al若しくはA
l合金中に適切な量の元素を加えることにより合金を製
造してもよい。Al合金中のAlの含有量を変えること
により、溶浸する際の時間及び温度を調節することがで
きる。また、用いるAl合金、純Al、及び元素の形状
は塊状であっても粉末状であってもよい。
【0054】金属酸化物及び/又は金属粉末は、前述し
たように、複合素材の表面に付着及び/又は分散させ、
軽合金材料と反応させて多量の反応熱を発生させること
により、複合素材と軽合金材料との濡れ性を向上させ、
均一な複合材料を製造するために用いられる。金属酸化
物は、例えば、軽合金材料であるAl合金が複合素材に
溶浸する際に、Alと反応し自らが還元される結果とし
て発熱するものであればよく、鉄、ニッケル、クロム、
コバルト、マンガン、及びバナジウムのうち少なくとも
一つ以上から選択される金属の酸化物であることが望ま
しい。なかでも、金属酸化物は、安価であることより、
酸化鉄及び/又は酸化ニッケルであるのがより望まし
く、さらには、酸化力が高いFe3O4及び/又NiO
であるのがさらに望ましい。
【0055】金属酸化物の形状は、粉末状であっても、
塊状であってもよい。しかしながら、金属酸化物及び/
又は金属粉末を複合素材の表面に均等に分散させるため
には、粉末状であるのがより好ましい。また、複合素材
中に分散させる金属酸化物の量が多すぎると、軽合金材
料と金属酸化物が反応する際に形成する酸化物の被膜が
軽合金材料を覆ってしまうため、添加する金属酸化物の
量は多すぎないことが望ましい。しかしながら、係る金
属酸化物の量は、軽合金材料との反応によって濡れ性を
向上させるのに十分な量の反応熱を発生させるだけの量
を添加することが必要である。
【0056】金属粉末は、軽合金材料であるAl合金が
複合素材に溶浸する際に、Alと反応する結果として発
熱するものであればよく、例えば、Alとの反応性がよ
いニッケル等が挙げられる。
【0057】また、金属酸化物及び/又は金属粉末にB
aO2等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物
を混合して溶浸に用いてもよい。係る酸化物を添加する
ことにより、複合化をさらに進行させることができる。
【0058】さらに、複合素材の表面に金属酸化物及び
/又は金属粉末を付着及び/又は分散させる際にバイン
ダを用いる。前述したように、バインダは、金属酸化物
及び/又は金属粉末を複合素材の表面に均等に分散及び
/又は吸着させ、定着させる役割を果たす。また、バイ
ンダは、必要な部分のみを複合化してなる部材を製造す
る場合には、複合化する部分を型取った成形体を形成す
る際に金属酸化物及び/又は金属粉末と複合素材とから
成形体を形成するための結合剤としての役割を果たす。
それに加えて、バインダは金属酸化物及び/又は金属粉
末と同様に、均質な複合材料を製造するために寄与する
役割を果たすものであるのが好ましい。金属酸化物及び
/又は金属粉末が軽合金材料と反応する際に発生する反
応熱によって、バインダが熱せられることにより、バイ
ンダが軽合金材料と発熱反応を起こす。その際に生成す
る反応熱により、複合素材の表面の温度がさらに上昇す
る。そのため、軽合金材料と複合素材との間の濡れ性が
さらに向上することにより、複合素材間での軽合金材料
の流れがさらに改善され、複合素材への軽合金材料の溶
浸が進行するため、バインダを用いることによって、よ
り均質な複合材料が得られると推定される。
【0059】バインダとしては、前述したように、金属
酸化物及び/又は金属粉末を複合素材の表面に均等に分
散及び/又は吸着させ、定着させる役割を果たすと同時
に、均質な複合材料を製造するために寄与する役割を果
たすものが望ましい。このようなものとしては、例え
ば、SiO2が挙げられる。SiO2を複合材料の表面
に配置させると軽合金材料と反応して熱を発生するた
め、発生する熱により複合素材の表面温度が上昇し、軽
合金材料と複合素材との間の濡れ性が向上することによ
り、複合素材間での軽合金材料の流れが改善され、より
均質な複合材料を得ることができると考えられている。
これにより、バインダはSiO2を主体とするものが望
ましい。
【0060】さらに、SiO2を含むバインダとして、
水ガラス又はシリカゾルを用いることが望ましい。水ガ
ラス及びシリカゾルはその組成がそれぞれ、SiO2・
nH2O・nNa2O(水ガラスは一般的にNa2O1
molにつきSiO2を2〜4mol含む)、SiO2
・nH2Oで表されるものであり、どちらも主成分がS
iO2である。水ガラス及びシリカゾルは、その主成分
であるSiO2の複合素材との濡れ性が高いうえ、水ガ
ラス及びシリカゾルは水を含むことより、水の表面張力
によって複合素材の表面に均等に分散させることができ
且つ複合素材への吸着性がよい。さらに、水ガラスは、
粘性が高いため、金属酸化物及び/又は金属粉末を複合
素材の表面に強固に定着させることができる。また、水
ガラスの粘性が高すぎる場合には水で希釈して用いても
よい。
【0061】バインダを用いる際には、複合素材の表面
に金属酸化物及び/又は金属粉末を均等且つ十分に付着
及び/又は分散させるために、バインダと金属酸化物及
び/又は金属粉末とを十分混合させることが好ましい。
さらに、バインダが水ガラスやシリカゾルである場合、
バインダ中の水分を飛ばすために、バインダと金属酸化
物及び/又は金属粉末とを十分混合させたのち乾燥さ
せ、仮焼結体を作成することが好ましい。乾燥するため
の温度及び時間は、バインダ中の水分の量によって調節
する。
【0062】複合素材はセラミックス等の多孔性素材か
らなり、好ましくは、SiC、Si3N4、BN、Al
2O3等のセラミックス等の多孔性素材からなる。さら
に、セラミックの中でも、安価であり且つ軽合金材料と
の濡れ性がよいSiCからなるのが好ましい。係る複合
素材は、粒子径が5μm〜10mmのものを使用する。
係る複合素材に軽合金材料を溶浸させることにより、セ
ラミックス等の多孔性素材のもつ剛性や耐摩耗性が付与
された複合材料を製造することができる。
【0063】複合素材の形状は、粒子状の粉体であるの
が望ましい。なぜなら、軽合金材料を溶浸させる際に、
軽合金材料と複合素材との複合化が均等に進行するよう
に、複合素材を軽合金材料中に偏在することなく均等に
分散させることが必要だからである。また、複合素材の
形状が粒子状であることにより表面積が大きくなる。そ
のため、複合素材の粒子表面と軽合金材料との接触面積
が大きくなるため、軽合金材料と複合素材との複合化が
均等に進行する。以上のことから、複合素材の形状は粒
子状の粉体であるのが望ましい。
【0064】あるいは、複合素材は、粒子状の粉体を原
料として形成される成形体であってもよい。なぜなら、
複合素材が成形体であることにより、あらかじめ部材を
型取った成形体を設置しておき成形体間に軽合金材料を
流し込むことができるため、複雑な形状を有する部材を
製造する場合にも、軽合金材料間に粒子を均等に分散さ
せることができるので、複合素材への軽合金材料の溶浸
が進行するため、軽合金材料と複合素材との複合化を均
等に進行させることができるからである。
【0065】さらに、複合素材が成形体であることによ
り、必要な部分のみを複合化することが可能である。こ
の場合、バインダと金属酸化物及び/又は金属粉末とを
混合させることで複合素材の表面にこれらを付着及び/
又は分散させ、必要に応じてこれらを乾燥させたのち、
複合化を行なう部分を型取った成形体を形成し、係る成
形体を複合化したい部分にあらかじめ配置してから軽合
金材料を溶浸させることにより、複合化したい部分のみ
を複合化した部材を製造することができる。以上に示さ
れる成形体を用いた複合材料の製造を、「セラミック
ス」(1997年、32巻、2号)に開示されているD
IMOXTM法や、特開平2−236244号等に開示
されているPRIMEXTM法等を用いて行なうことが
できる。
【0066】また、製造される複合材料の機械的及び/
又は物理的性質(すなわち、密度、弾性率、比弾性率、
強度、比強度等)は、複合素材の配合量を変えることこ
とにより調整することができる。
【0067】軽合金材料を溶浸させる際の反応系の雰囲
気は、活性雰囲気であっても、不活性雰囲気であっても
よい。活性雰囲気を用いる場合、酸素、二酸化炭素、水
等の活性ガスのうち少なくとも一つ以上を含む活性雰囲
気を用いるのが好ましい。例えば、軽合金材料がAl合
金である場合、活性雰囲気中に酸素が存在すると、Al
合金中のAlが酸素と反応し、熱と共にAl2O3が生
成する。発生した反応熱によりAl合金と複合素材との
濡れ性が向上し、Al合金の流れが向上するため、複合
化を進行させることができると考えられる。よって、活
性雰囲気中には酸素が存在していてもよい。
【0068】しかしながら、活性雰囲気中の酸素の存在
割合が多すぎると、軽合金材料と酸素とが反応し、望ま
ない副生成物が多く生成してしまう。例えば、軽合金材
料にAl合金を用いた場合、酸素の存在割合が多すぎる
と、複合素材へのAl合金の溶浸を阻害するほど大量の
Al2O3が生成するため、Al合金と複合素材との複
合化が妨げられる。従って、活性雰囲気中の酸素の存在
割合は多すぎず、一定の範囲内であることが望ましい。
すなわち、活性雰囲気中の酸素の存在割合を一定の割合
以下に保てば、酸化による問題は発生しないと考えられ
る。以上のことから、活性雰囲気中における酸素の存在
割合は、好ましくは5〜50%であり、より好ましくは
10〜30%であり、さらに好ましくは15〜25%で
ある。
【0069】また、活性雰囲気中において水は気体とし
て存在している。活性雰囲気中における水の存在割合が
少なすぎると、反応系内が乾燥することより、静電気等
が原因で火災が発生しやすくなるため、活性雰囲気中に
は少なすぎないことが望ましい。
【0070】しかしながら、活性雰囲気中における水の
存在割合が多すぎると、軽合金材料と水とが反応し、望
まない副生成物が多く生成してしまう。例えば、軽合金
材料にAl合金を用いた場合、水の存在割合が多すぎる
と、Al合金と水とが反応し、副生成物ともに大量の水
素ガスが発生してしまい、発火する危険性が高くなる。
従って、活性雰囲気中の水の存在割合は多すぎず、一定
の範囲内であることが望ましい。以上のことから、活性
雰囲気中における水の存在割合は、好ましくは0.01
%〜5%であり、より好ましくは0.01〜3%であ
り、さらに好ましくは0.01〜1%である。
【0071】また、活性雰囲気中の二酸化炭素の存在割
合が少なすぎると、相対的に、活性雰囲気中の活性ガ
ス、例えば酸素の存在割合が増加するため、軽合金材料
と活性ガスとの反応を促進させてしまい、軽合金材料と
複合素材との溶浸を阻害する恐れがある。また、活性雰
囲気中における二酸化炭素の存在割合が多すぎると、相
対的に、二酸化炭素と軽合金材料との反応が起きること
より、軽合金材料の溶浸を妨げる可能性がある。従っ
て、活性雰囲気中の二酸化炭素の存在割合は少なすぎ
ず、一定の範囲内であることが望ましい。以上のことか
ら、活性雰囲気中における二酸化炭素の存在割合は、好
ましくは0.001%〜5%であり、より好ましくは
0.005〜1%であり、より好ましくは、0.005
〜0.1%である。
【0072】活性雰囲気に含まれる気体はすべて活性ガ
スである必要はなく、むしろ、例えば、窒素、アルゴ
ン、ヘリウム等の不活性ガスを含む方が好ましい。なぜ
なら、活性雰囲気中の存在する活性ガスの割合が多すぎ
ると、活性ガス、例えば酸素と軽合金材料との反応が過
剰に進行し、不必要な副生成物が多く生成するため、軽
合金材料の溶浸を阻害してしまい、その結果として、均
質な複合材料を製造することができなくなる可能性が高
くなるからである。
【0073】また、活性雰囲気下で軽合金材料を複合素
材に溶浸させる際には、加圧下で係る溶浸を行なっても
よい。加圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させる
ことにより、軽合金材料と複合材料とがより密接に接触
するため、複合化を促進することができる。さらに、加
圧下で軽合金材料を複合素材に溶浸させることにより、
軽合金材料と複合素材とが共に加圧された状態で複合化
が進行する。そのため、得られる複合材料は加圧された
状態で製造されたものであるため、係る複合材料は分子
間の隙間が少ない。よって、活性雰囲気下で軽合金材料
を複合素材に加圧下溶浸させることにより、密度が大き
く且つ緊密な複合材料を得ることができる。
【0074】活性雰囲気中で軽合金材料を複合素材に溶
浸させる際に、還元性材料を配置させてもよい。還元性
材料は高温条件下、例えば軽合金材料を溶浸させる際の
温度条件下で活性雰囲気中の酸素により酸化され酸素と
化合した気体を発生するものであり、軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際に還元性材料を反応系内に配置する
ことにより活性雰囲気中の酸素の割合を下げることがで
きるため、軽合金材料の酸化を防止し軽合金材料の表面
に形成される酸化皮膜を少なくすることができる。
【0075】また、活性雰囲気中で軽合金材料を複合素
材に溶浸させる際に、黒鉛、グラファイト、木炭、可燃
性材料のうち少なくとも一つ以上を配置させてもよい。
黒鉛、グラファイト、木炭、及び可燃性材料は、還元性
材料の一種であり、高温条件下、例えば軽合金材料を溶
浸させる際の温度条件下で活性雰囲気中の酸素により酸
化され二酸化炭素や一酸化炭素等に変換される。軽合金
材料を複合素材に溶浸させる際にこれらのうち一つ以上
を反応系内に配置することにより活性雰囲気中の酸素の
割合を下げることができるため、軽合金材料の酸化を防
止し軽合金材料の表面に形成される酸化皮膜を少なくす
ることができる。可燃性材料は、軽合金材料を溶浸させ
る際のような高温条件下で活性雰囲気中の酸素と反応し
二酸化炭素や一酸化炭素を発生する材料であり、例え
ば、建造家屋の廃材、樹脂、又は古タイヤ等の可燃性廃
棄物なども含まれる。
【0076】軽合金材料を溶浸させる際の反応系の雰囲
気に不活性雰囲気を用いる場合、不活性雰囲気が窒素、
アルゴン、ネオン、キセノン、ヘリウムのうち一つ以上
を含む不活性雰囲気であることが好ましい。雰囲気が不
活性雰囲気であることにより、軽合金材料の酸化を防止
することができる。そのため、軽合金材料と複合素材と
の接触面に軽合金材料が酸化されてできる被膜の形成を
防止することができることより、軽合金材料が複合素材
に直接溶浸する面積が増加するため、複合化を促進する
ことができる。
【0077】また、不活性雰囲気下で軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際には、加圧下で係る溶浸を行なって
もよい。加圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させ
ることにより、軽合金材料と複合材料とがより密接に接
触するため、複合化を促進することができる。さらに、
加圧下で軽合金材料を複合素材に溶浸させることによ
り、軽合金材料と複合素材とが共に加圧された状態で複
合化が進行する。そのため、得られる複合材料は加圧さ
れた状態で製造されたものであるため、係る複合材料は
分子間の隙間が少ない。よって、不活性雰囲気下で軽合
金材料を複合素材に加圧下溶浸させることにより、密度
が大きく且つ緊密な複合材料を得ることができる。
【0078】あるいは、軽合金材料を複合素材に溶浸さ
せる際に、減圧状態にすることにより不活性雰囲気下に
することができる。系内を減圧状態にすると、系内に雰
囲気がほとんど存在しなくなるため、系内をより真空状
態に近づけることができる。これにより、系内を周囲の
雰囲気に影響されない状態にすることができるため、反
応系内を不活性雰囲気下と同じような状態にすることが
できる。よって、雰囲気が不活性雰囲気にすることがで
きるため、軽合金材料の酸化を防止することができる。
そのため、軽合金材料と複合素材との接触面に軽合金材
料が酸化されてできる被膜の形成を防止することができ
ることより、軽合金材料が複合素材に直接溶浸する面積
が増加するため、複合化を促進することができる。
【0079】複合材料を製造する場合、バインダと金属
酸化物及び/又は金属粉末とを十分混合させ、必要であ
ればこれらを乾燥させたのち、これらを軽合金材料と共
に反応容器に入れ、炉を所定の最高温度域まで昇温した
のち、係る最高温度域で所定時間保持し、その後炉を放
冷すること等により炉を冷却する。炉を係る最高温度域
で所定時間保持する間に、軽合金材料を複合素材に溶浸
させる。複雑な形状を有する部材を製造する場合や、部
材の一部のみを複合化する場合においては、バインダと
金属酸化物及び/又は金属粉末とを十分混合させたの
ち、適切な形の成形体を形成し、係る形成体を複合化し
たい場所に配置したのちに軽合金材料を溶浸させる。軽
合金材料を複合素材に溶浸させる際には、あらかじめ軽
合金材料を複合素材の近傍に供給しておいてから全体を
一定温度にて加熱することにより軽合金材料を溶浸させ
てもよい。あるいは、溶融した軽合金材料を複合素材間
に流し込むことにより溶浸を行なってもよい。
【0080】軽合金材料を複合素材に溶浸させる際の温
度は、軽合金材料及び/又は複合素材の種類や配合の割
合によっても異なる。しかしながら、より近い温度で溶
浸させれば、炉を操業するためにかかるコストをより低
くすることができる。そのため、軽合金材料を複合素材
に溶浸させる際の温度は、例えば軽合金材料がSiを1
2〜13wt%含むAl合金である場合、800〜11
00℃であるのが好ましい。ここで、係る温度が800
℃未満である場合は、溶浸が効率よく進まない。あるい
は、係る温度が1100℃を越える場合は、反応系内を
高温にするためのコストが過剰となる。
【0081】軽合金材料を複合素材に溶浸させるために
一定温度で保持するために要する時間は、溶浸させる際
の温度、軽合金材料及び/又は複合素材の種類や配合の
割合によっても異なる。しかしながら、一般的に、より
少ない時間で溶浸することができれば、炉を操業するた
めにかかるコストをより低くすることができる。本発明
の製造方法を用いると、1〜2時間で溶浸が完了するこ
とより、炉の操業時間を短縮できるため、製造コストを
低減することができる。
【0082】以上の複合材料の製造方法によると、複合
素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び
/又は分散させることにより、軽合金材料と複合素材と
の反応が進行するとともに、複合素材に対する軽合金材
料の接触角が小さくなり、低温条件下での軽合金材料と
複合素材との濡れ性が向上し、複合素材間での軽合金材
料の流れが改善されるため、複合材料を製造する際に用
いる炉の温度を従来の温度よりも低くすることができる
ため、低コストで均質な複合材料を製造することができ
る。さらに、バインダを用いて複合素材の表面に金属酸
化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させるこ
とにより、軽合金材料と複合素材との反応がさらに進行
するとともに、低温条件下での軽合金材料と複合素材と
の濡れ性がより向上し、複合素材間での軽合金材料の流
れがさらに改善されるため、複合材料を製造する際に用
いる炉の温度を従来の温度よりもさらに低くすることが
できるため、より低コストで均質な複合材料を製造する
ことができる。そのうえ、バインダを用いて複合素材の
表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を係る付着及び/
又は分散させることにより成形体を形成し、係る成形体
を用いることにより、複雑な形状を有する部材を製造す
る場合にも、複合素材への軽合金材料の溶浸を均等に進
行させることができるため、均質な複合材料を製造する
ことができる。さらに、複合化したい部分にあらかじめ
係る成形体を配置することにより、必要な部分のみを複
合化することができる。
【0083】
【実施例1】本発明の一実施例を以下に示す。SiCの
粒子状粉体と、金属酸化物としてFe3O4と、バイン
ダとして水ガラスと、軽合金材料としてSi及びCaを
含むAl合金とを用いて複合材料を製造した。また、A
l合金を溶浸させる際に、Al合金にAl粉末を添加し
た。Al合金は、99.99%のAl、99.99%の
Si、及び99.5%のCaから製作した。製作したA
l合金中の元素の組成を分析した結果を表1に示す。A
l粉末は市販の純Alを用い、Fe3O4もまた市販品
を用いた。SiCの粒子状粉体は、昭和電工(株)から
発売されているグリーンカーボランダム♯36(平均粒
径500μm)のみを使用した。試料容器にはNCタン
マン管(外径15mm、内径11mm、深さ100m
m))、SiC粒子状粉体の乾燥及び仮焼結体の作成に
は電気式マッフル炉(三田村理研工業(株)製MODE
L25PAF)、また、試料の溶浸に用いる溶浸実験装
置には電気抵抗加熱炉(秦電機(株)製ELEPOT)
を使用した。また、本実施例に係る操作はすべて大気中
で行ない、Al合金をSiC粒子に溶浸させる際には黒
鉛るつぼにタンマン管を立てかけた。まず、バインダで
ある水ガラスとFe3O4とを十分混合するために、ア
ルミナボールを用いたボールミルを使用した。ポリエス
テル容器に純水と水ガラスとを4:1の割合で入れ、さ
らにFe3O4を前述の希釈した水ガラスの約15wt
%程入れ、さらにアルミナボールを5〜6個入れたの
ち、ボ−ルミルにより約6時間撹拌を行なうことによ
り、水ガラスとFe3O4とを混合した。次に、用いる
SiC粒子をアセトンで洗浄した後、電気式マッフル炉
に入れ160℃で約2時間乾燥させた。このSiC粒子
に、前述の水ガラス−Fe3O4混合溶液をSiC粒子
が湿る程度加えた後、電気式マッフル炉に入れ70℃で
24時間乾燥を行なうことにより、仮焼結体を作成し
た。乾燥後、仮焼結体を炉から取り出し、細かく砕い
た。アルミナタンマン管に細かく砕いた仮焼結体(2.
5g)を入れたのち、電気抵抗加熱炉に入れ900℃で
約2時間保持することにより焼結体を作成した。アルミ
ナタンマン管内に形成された焼結体の上にAl粉末を加
え、さらにその上に、塊状に切り出したAl合金(7
g)を加えた。試料が加えられたアルミナタンマン管を
黒鉛るつぼに立てかけ、予め所定の処理温度に加熱して
おいた炉の中にアルミナタンマン管を入れた黒鉛るつぼ
を入れ、約1.5時間所定の処理温度に保持した後、炉
を放冷することにより炉内を冷却した。炉を室温まで冷
却した後、アルミナタンマン管の底部を割ることにより
製造された複合材料を取り出し複合材料を得た。
【0084】本実施例では、Al粉末の添加量と、試料
を約1.5時間保持する際の処理温度とを変えて、Si
CへのAl合金の溶浸を検討した。表2に実験条件及び
実験結果を示す。表2に示されるように、処理温度が1
000℃の場合、Al粉末を添加しなくてもAl合金の
溶浸が起こる。しかしながら、Al粉末を添加した場
合、900℃において溶浸が起こるため、Al粉末を添
加すれば、より低い温度でもSiCへのAl合金の溶浸
が可能になる。Fe3O4が存在しない場合、処理温度
が1000℃以上にならないとAlの溶浸が起こらな
い。Al粉末は、粉末であるため、水ガラス及びFe3
O4とより均一に接触する。そのため、Al粉末を添加
することにより、Alと水ガラス、及びAlとFe3O
4との反応がより均等に起こると考えられる。また、A
l粉末を少量添加するだけでも、一旦Alと水ガラス、
及びAlとFe3O4との反応が開始すると、発生する
反応熱により反応が一気に進行することにより、濡れ性
が短時間で向上するため、短時間でAl合金の溶浸が完
了すると推測される。また、Fe3O4が存在しない場
合、処理温度が1000℃以上にならないとAlの溶浸
が起こらないことから、水ガラスを用いてFe3O4を
SiCの表面に付着及び/又は分散させることにより、
より低温条件下でAl合金を溶浸させることができると
考えられる。
【0085】
【発明の効果】以上のように、本発明の複合材料の製造
方法は、複合素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉
末を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前記複合素
材に溶浸させることとしたことより、低温条件下におい
て複合素材に対する軽合金材料の濡れ性が向上し、軽合
金材料の流れが改善されるため、低温条件下で複合材料
を製造することができるため、低コストで複合材料を生
産することができる。
【0086】また、本発明の複合材料は、複合素材の表
面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分
散させ、軽合金材料を前記複合素材に溶浸させてなるこ
とより、低温条件下において複合素材に対する軽合金材
料の濡れ性が向上し、軽合金材料の流れが改善されるこ
とにより、生産コストが低く且つ汎用性が高いうえに、
極めて均質な材料として得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【表1】 本発明の実施例1で用いるために製作された
Al合金の組成を示す表である。
【表2】 本発明の実施例1における実験条件及び実験
結果を示す表である。 231
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】削除
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 分散強化型複合材料の製造方法及び分
散強化型複合材料
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散強化型複合材
料の製造方法及び分散強化型複合材料に関する。詳しく
は、高い耐摩耗性、硬度、高制振性、及び低い熱膨張率
が要求される自動車用動力伝達部品であるプーリーや制
動部品であるブレーキディスク等の部材、又は低い熱膨
張率が要求される電子部品の基板等の部品に適してお
り、且つ軽量で経済的な分散強化型複合材料の製造方法
及び分散強化型複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複合材料とは、例えば金属と高分子材料
といったように、2種類以上の異なる材料を組み合わせ
ることで材料としての機械的性質を人為的に設計してな
るものである。例えば、鉄筋コンクリート等はマトリッ
クス材としてコンクリートと、強化材として鉄筋とを用
い、コンクリートに鉄筋を埋設することによって、強度
的な向上を図っている。
【0003】複合材料の中でも、金属をマトリックスと
する金属基複合材料は、金属のもつ強度及び延性及び靱
性等の基本的属性を有することを特徴とし、係る金属に
様々な材料を組み合せることにより、更なる特性を発現
させるべく各種の金属基複合材料が製造されている。こ
の金属基複合材料は多くの場合、金属マトリックスと粒
子状の粉体、ウイスカ、又は繊維等の補強材料とからな
り、補強材料のもつ剛性や耐摩耗性と、金属マトリック
スのもつ延性及び靭性とを併せ持つことから、これらの
特徴を生かしてさまざまな用途に利用されている。
【0004】上述の金属基複合材料の中には、例えば、
Mg、Fe、Cu、Cr、Zn、又はSi等の元素と、
Al又はTi等の軽金属との合金をマトリックスとして
用いる軽合金複合材料がある。特に、Alは軽量且つ安
価であるため、軽合金マトリックスとしてAlを適用す
ることは、複合材料を軽量化するために最も適する方法
の一つである。
【0005】一般的に軽合金材料をマトリックスとする
複合材料では、軽合金材料のもつ特徴である強度、剛
性、耐摩耗性、熱膨張係数、密度、熱伝導性及び高温下
での強度等の各種特性が向上する。しかし、係る特性が
向上する程度は、特定の成分、容積分率、重量分率、及
び複合材料を製造する際の処理方法によって大きく異な
る。例えば、粒子状、ペレット状、又はウイスカ状のS
iC等の複合素材で強化した複合材料は、複合素材の持
つ剛性及び耐摩耗性と、金属が有する延性及び靭性とを
併せ持つ。そのため、軽合金材料をマトリックスとする
複合材料は、比剛性(例えば、弾性率/密度)、耐摩耗
性、熱伝導性、熱膨張係数、及び高温下での強度及び/
又は比強度(例えば、強度/密度)が軽合金それ自体よ
りも優れたものとなる。
【0006】従来、軽合金材料をマトリックスとする複
合材料の製造に関しては種々の製造プロセスがあり、係
る製造プロセスは粉末冶金法と鋳造法とに主に大別され
る。粉末冶金法の場合、粉末状の金属と、粉末、ウイス
カ、又はチョップドファイバー等の形態の複合素材とを
混合し、その後、常温成形し焼結するか、又はホットプ
レスを行なうことで複合材料を製造する。係る方法によ
り製造され、SiCを用いて強化された複合材料では、
複合素材の最大体積分率は、ウイスカ状の複合素材を用
いる場合は約25体積%であり、粒子状の粉体の場合は
約40体積%である。
【0007】したがって、以上の粉末冶金法による軽合
金材料をマトリックスとする複合材料の製造方法では、
複合素材の含有量に製法上の限界があることから、得ら
れる製品の特性に関する設計の自由度が低い。また、通
常粉末を成形するにあたっては、圧縮操作を行なう必要
があり、密度の均一な成形体を得るためには、製品の大
きさが制限される。さらに、後の工程で機械加工又は複
雑なプレスを行なう必要が生じ、そのような加工を行な
わない場合には、比較的簡単な形状の製品を対象とせざ
るを得ない。
【0008】一方、鋳造法は、液体の金属を型に流し込
むことで、複合材料からなる部材を製造する方法であ
り、この方法を用いると、最終製品が複雑な形状を有す
る部材であっても、これを複合材料からなる部材として
製造することができる。係る鋳造法には、溶融金属にS
iC等の複合素材の粒子状粉体を添加して複合材料を得
る粒子添加法や、複合素材の粒子状粉体の隙間に溶湯状
態の金属を溶浸させることにより複合材料を得る粒子間
溶浸法等がある。製造する部材によっては、複合素材等
の粒子状粉体を用いて、製造する部材を形取った成形体
をあらかじめ製造しておき、係る成形体に溶湯状態の軽
合金を溶浸させることにより複合材料を鋳造することも
できる。
【0009】係る粒子添加法や粒子間溶浸法等に代表さ
れる鋳造法は、軽合金材料をマトリックスとして用いる
複合材料の製造方法にも応用することができる。粒子添
加法は、溶融した金属中に粒子状の粉体を添加する方法
であるため、極めて簡単に複合材料を得ることができ
る。しかし、マトリックスと粒子との間に比重の差があ
るために粒子が偏析してしまうという難点がある。一
方、粒子間溶浸法では、溶湯状態の金属を溶浸させ、複
合素材の粒子を焼結することにより粒子の偏析を防ぐこ
とができる。均質な複合材料を大量に生産するという観
点からすると、粒子添加法よりも粒子間溶浸法が優れて
いるということができる。
【0010】粒子間溶浸法により軽合金材料をマトリッ
クスとする分散強化型複合材料を製造する方法として、
特開平2−236244号等に、窒素雰囲気下で分散強
化型複合材料を製造する例が示されている。特開平2−
236244号には、PRIMAXTM法により分散強
化型複合材料を製造する方法が開示されており、Ni、
Sr、及びSiを含有するAl合金と、AlN(5%の
SiNを含有する)とを含む混合物を窒素雰囲気下、約
1200℃で約10時間保持する製造方法が開示されて
いる。
【0011】また、「セラミックス」(1997年、3
2巻、2号)には、DIMOXTM法を用いて、強化材
であるセラミックスから最終部品に近い成形体を形成
し、係る成形体に金属を流し込むことにより複合材料を
製造する方法が開示されている。
【0012
【発明が解決しようとする課題】前述の特開平2−23
6244号等に開示された分散強化型複合材料の製造方
法及び分散強化型複合材料には次のような問題があっ
た。一般に、粒子間溶浸法を用いて複合材料を鋳造する
場合、SiC粒子間に溶湯状態のAl合金を溶浸させる
ことにより複合材料を製造する。その際に、Al合金中
にSiC粒子を均等に分散させることができないと、均
質な複合材料を製造することはできない。
【0013】溶湯状態のAl合金中にSiC粒子が均等
に分散しない原因の一つとして、Al合金に対するSi
C粒子の濡れ性が悪い場合が考えられる。濡れとは一般
的に、固体、液体、気体の三相共存の状態において固体
の表面を液体が広がっていく現象のことであり、濡れ性
がよいということは、固体に対する液体の接触角が小さ
くなることであって、液体が固体表面上を広がり易いこ
とを指す。Al合金をマトリックスとする複合材料を製
造する場合、溶融状態であるため液状であるAl合金と
固体であるSiC粒子との濡れ性の善し悪しが均質な複
合材料を生成するための重要な要因となる。濡れ性が悪
いとAl合金がSiC粒子表面上を広がり難く、SiC
粒子表面上でのAl合金の流れが悪くなり、均質な複合
材料を得ることができない。
【0014】この観点から、前述の特開平2−2362
44号等に開示された軽合金複合材料の製造方法では、
均質な複合材料を製造することは容易でなかった。これ
を更に詳述すると、一般に、SiC及びAl合金から製
造される複合材料では、複合材料を製造する際に溶浸さ
せるAl合金は融点に近い温度での濡れ性が悪く、高温
になればなるほど濡れ性は良くなる。したがって、均質
な複合材料を製造するためには、Al合金の融点よりも
可能な限り高い温度とする高温条件下にすることでAl
合金の濡れ性を向上させなければならない。
【0015】前述の特開平2−236244等に示され
た軽合金複合材料の製造方法でも、複合材料を製造する
際に溶浸させる軽合金材料の温度を高温とするようにす
れば、その方法により均質な複合材料を製造することは
可能である。しかしながら、そのように高温条件下で軽
合金材料を溶浸させるためには、当然のことながら炉を
高温にする必要がある。しかし、高温で炉を操業する
と、コストが高騰し、複合材料を生産するコストが極め
て高くなる。その結果として、得られる製品のコスト高
を招き、これが複合材料からなる製品の実用化を妨げる
要因となっていた。
【0016】本発明は、以上の従来技術における問題に
鑑みてなされたものであって、前記の複合材料の製造方
法に応用することができる。本発明の目的は、従来の方
法と比較して、低コストで均質な複合材料を製造するこ
とが可能である複合材料の製造方法及び複合材料を提供
することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】以上の課題を解決するために、本発明者
は、軽合金マトリックスと複合素材の粒子間の濡れを制
御するための方法について鋭意研究を重ねた。その結
果、本発明者は、複合素材の粒子表面に軽合金マトリッ
クスを溶浸させる際に、水ガラス等のバインダを介して
金属酸化物及び/又は金属粉末を係る粒子表面に付着及
び/又は分散させることにより、金属酸化物及び/又は
金属粉末と軽合金材料とが反応し、その際に生成する反
応熱によりバインダもまた軽合金材料と反応することに
よりさらに反応熱が発生するため、これらの反応熱によ
って粒子表面の温度が上昇することにより、軽合金マト
リックスと複合素材の粒子との界面の濡れ性が向上し、
複合素材の粒子間での軽合金マトリックスの流れを改善
できるため、複合素材への軽合金マトリックスの溶浸が
進行し、均質な複合材料を得ることができるという着想
に基づき、金属酸化物及び/又は金属粉末を係る粒子表
面に付着及び/又は分散させることにより、低温条件下
での複合材料の製造を可能にした。
【0018】前記の課題を解決するために提供する本発
明の複合材料の製造方法は、複合素材の表面に金属酸化
物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させ、軽合
金材料を前記複合素材に溶浸させることを特徴とする。
本発明の複合材料の製造方法によれば、複合素材の表面
に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散
させることにより、低温条件下での軽合金材料と複合素
材との濡れ性が向上し、複合素材間での軽合金材料の流
れが改善されることより、低温条件下で複合素材に軽合
金材料を溶浸させることができる。そのため、複合材料
を製造する際に用いる炉の温度を従来の温度よりも低く
することができるため、低コストで均質な複合材料を製
造することができる。
【0019】また、本発明の複合材料の製造方法は、複
合素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及
び/又は分散させ、軽合金材料を前記複合素材に所定時
間所定温度で溶浸させ、さらに溶浸させた前記軽合金材
料を冷却することを特徴とする。本発明の複合材料の製
造方法によれば、複合素材の表面に金属酸化物及び/又
は金属粉末を付着及び/又は分散させることにより、低
温条件下での軽合金材料と複合素材との濡れ性が向上
し、複合素材間での軽合金材料の流れが改善されること
より、低温条件下で複合素材に軽合金材料を溶浸させる
ことができる。そのため、複合材料を製造する際に用い
る炉の温度を従来の温度よりも低くすることができるた
め、低コストで均質な複合材料を製造することができ
る。
【0020】また、本発明の複合材料の製造方法は、複
合素材が粒子状の粉体及び/又は粒子状の粉体を原料と
して形成される成形体であることを特徴とする。これに
より本発明の複合材料の製造方法によれば、複合素材が
粒子状の粉体であることにより、粒子が軽合金材料中に
偏在することなく均等に分散し、粒子への軽合金材料の
溶浸が均等に進行するため、均質な複合材料を得ること
ができる。また、複合素材が粒子状の粉体を原料として
形成される成形体であることにより、複雑な形状を有す
る部材を製造する場合にも軽合金材料間に粒子を均等に
分散させることができ、複合素材に軽合金材料を溶浸さ
せることができるため、均質な複合材料を得ることがで
きる。
【0021】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダと金属酸化物及び/又は金属粉末とを混合させ、
バインダと金属酸化物及び/又は金属粉末とを係る複合
素材の表面に付着及び/又は分散させることを特徴とす
る。本発明にいうバインダとは、第一義的には、金属酸
化物及び/又は金属粉末を複合素材の表面に均一に付着
及び/又は分散させるために使用するものである。これ
により本発明の複合材料の製造方法によれば、バインダ
を用いることにより複合素材の表面に金属酸化物及び/
又は金属粉末が偏在することなく均等に付着及び/又は
分散する。さらに、バインダを用いて複合素材の表面に
金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散さ
せることにより、金属酸化物及び/又は金属粉末が複合
素材の表面から容易に剥がれ落ちるのを防ぐことができ
るため、軽合金材料中に金属酸化物及び/又は金属粉末
が均等に付着及び/又は分散する。以上のことより、複
合素材への軽合金材料の溶浸が均等に進行するため、均
質な複合材料を得ることができる。そのうえ、バインダ
と軽合金材料とが反応することにより、反応熱が発生
し、反応熱によって粒子表面の温度が上昇すると推定さ
れるため、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界
面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マト
リックスの流れを改善できることより、低温条件下で複
合素材に軽合金材料を溶浸させることができる。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。
【0022】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダを用いて複合素材の表面に金属酸化物及び/又は
金属粉末を付着及び/又は分散させることにより成形体
を形成し、前記成形体を用いて軽合金材料の少なくとも
一部分を複合化することを特徴とする。これにより本発
明の複合材料の製造方法によれば、係る成形体を用いる
ことにより、複雑な形状を有する部材を製造する場合に
も、複合素材への軽合金材料の溶浸を均等に進行させる
ことができるため、均質な複合材料を製造することがで
きる。さらに、複合化したい部分にあらかじめ係る成形
体を配置することにより、必要な部分のみを複合化する
ことができる。
【0023】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダの主体がSiOであることを特徴とする。本発
明の複合材料の製造方法によれば、バインダ中のSiO
と軽合金材料とが反応することにより、反応熱が発生
し、反応熱によって粒子表面の温度が上昇すると推定さ
れるため、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界
面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マト
リックスの流れを改善できることより、低温条件下で複
合素材に軽合金材料を溶浸させることができる。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。さらに、バインダの
主体がSiOであるため、複合素材の表面に金属酸化
物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させること
により、低温条件下での軽合金材料と複合素材との濡れ
性が向上し、複合素材間での軽合金材料の流れが改善さ
れることより、低温条件下で複合素材に軽合金材料を溶
浸させることができる。そのため、複合材料を製造する
際に用いる炉の温度を従来の温度よりも低くすることが
できるため、低コストで均質な複合材料を製造すること
ができる。そのうえ、SiOは複合素材との濡れ性が
高いため、軽合金材料の流れが改善されることにより、
バインダ複合素材への軽合金材料の溶浸が進行するた
め、均質な複合材料を得ることができる。
【0024】また、本発明の複合材料の製造方法は、バ
インダとして水ガラス又はシリカゾルを用いることを特
徴とする。水ガラス又はシリカゾルは主成分がSiO
であり、SiOは複合素材との濡れ性が高いうえ、水
ガラス及びシリカゾルは水を含むことより、水の表面張
力によって複合素材の表面に均等に分散させることがで
き且つ複合素材への吸着性がよい。これにより本発明の
複合材料の製造方法によれば、バインダとして水ガラス
又はシリカゾルを用いることにより、水ガラス又はシリ
カゾルが金属酸化物及び/又は金属粉末を複合素材の表
面に均等に付着及び/又は分散させる役割を果たすこと
により、複合素材への軽合金材料の溶浸が均等に進行す
るため、均質な複合材料を得ることができる。
【0025】また、本発明の複合材料の製造方法は、軽
合金材料がAl合金であり、前記Al合金を複合素材に
溶浸させる温度が800〜1100℃であることを特徴
とする。これにより本発明の複合材料の製造方法によれ
ば、軽合金材料がAl合金であることにより、安価で且
つ軽量で耐腐食性に優れた複合材料を製造することがで
きる。さらに、軽合金材料を複合素材に溶浸させる温度
が800〜1100℃であることにより、複合材料を製
造する際に用いる炉の温度を従来の温度よりも低くする
ことができるため、低コストで複合材料を製造すること
ができる。
【0026】また、本発明の複合材料の製造方法は、金
属酸化物が鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガ
ン、及びバナジウムのうち少なくとも一つ以上から選択
される金属の酸化物であることを特徴とする。これによ
り本発明の複合材料の製造方法によれば、鉄、ニッケ
ル、クロム、コバルト、マンガン、又はバナジウムの酸
化物と軽合金材料とが反応し、その際に生成する反応熱
により粒子表面の温度が上昇することにより、軽合金マ
トリックスと複合素材の粒子との界面の濡れ性が向上
し、複合素材の粒子間での軽合金マトリックスの流れを
改善できるため、複合素材への軽合金マトリックスの溶
浸が進行する。そのため、複合材料を製造する際に用い
る炉の温度を従来の温度よりも低くすることができるた
め、低コストで均質な複合材料を製造することができ
る。
【0027】また、本発明の複合材料の製造方法は、金
属酸化物が酸化鉄及び/又は酸化ニッケルであることを
特徴とする。これにより本発明の複合材料の製造方法に
よれば、酸化鉄及び/又は酸化ニッケルと軽合金材料と
が反応し、その際に生成する反応熱により粒子表面の温
度が上昇することにより、軽合金マトリックスと複合素
材の粒子との界面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間
での軽合金マトリックスの流れを改善できるため、複合
素材への軽合金マトリックスの溶浸が進行する。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。さらに、酸化鉄は安
価であるため、低コストで複合材料を製造することがで
きる。
【0028】また、本発明の複合材料の製造方法は、金
属粉末がNiであることを特徴とする。これにより本発
明の複合材料の製造方法によれば、Niと軽合金材料と
が反応し、その際に生成する反応熱により粒子表面の温
度が上昇することにより、軽合金マトリックスと複合素
材の粒子との界面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間
での軽合金マトリックスの流れを改善できるため、複合
素材への軽合金マトリックスの溶浸が進行する。そのた
め、複合材料を製造する際に用いる炉の温度を従来の温
度よりも低くすることができるため、低コストで均質な
複合材料を製造することができる。さらに、Niとの複
合化を行なうことにより、靭性が高く、耐熱性及び耐複
合材料に優れた複合材料を製造することができる。
【0029】また、本発明の複合材料の製造方法は、活
性雰囲気下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させるこ
とを特徴とする。本発明にいう活性雰囲気とは、第一義
的には、複合材料を製造する際に、軽合金材料等の原料
と反応する可能性のある活性ガスを含む雰囲気をいう。
本発明の複合材料の製造方法によれば、活性雰囲気を用
いることにより、窒素、あるいはアルゴン等のコストの
高い雰囲気の調整を行なう必要がないため、低コストで
複合材料を製造することができる。
【0030】また、本発明の複合材料の製造方法は、活
性雰囲気が酸素、二酸化炭素、水のうち少なくとも一つ
以上を含む活性雰囲気であることを特徴とする。酸素、
及び水は、活性ガスの一種であり、これらは複合材料を
製造する際に、原料である軽合金材料と反応する可能性
がある。しかしながら、これらの活性ガスの活性雰囲気
中における存在割合が一定以下であれば、軽合金材料の
溶浸に影響を及ぼさないと考えられる。よって、本発明
の複合材料の製造方法によれば、酸素、二酸化炭素、水
のうち少なくとも一つ以上を含む活性雰囲気中で、軽合
金材料を複合素材に溶浸させることにより、窒素、ある
いはアルゴン等のコストの高い雰囲気の調整を行なう必
要がないため、低コストで複合材料を製造することがで
きる。
【0031】また、本発明の複合材料の製造方法は、活
性雰囲気中の酸素の存在割合が5〜50%であることを
特徴とする。活性雰囲気中の酸素が存在割合が5〜50
%であれば、軽合金材料の溶浸に影響を及ぼさないと考
えられる。これにより本発明の複合材料の製造方法によ
れば、活性雰囲気中に酸素が5〜50%存在することに
より、窒素、あるいはアルゴン等のコストの高い雰囲気
の調整を行なう必要がないため、低コストで複合材料を
製造することができる。
【0032】また、本発明の複合材料の製造方法は、軽
合金材料を複合素材に溶浸させる際に、反応系周辺に黒
鉛、グラファイト、木炭、可燃性材料のうち少なくとも
一つ以上を配置させることを特徴とする。これにより本
発明の複合材料の製造方法によれば、軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際に、反応系周辺に黒鉛、グラファイ
ト、木炭、可燃性材料のうち少なくとも一つ以上を配置
させると、反応系内が高温になるため、これらの材料よ
り一酸化炭素、二酸化炭素等のガスが発生することによ
り、活性雰囲気中であっても反応系内の酸素の存在割合
が多くならないように保つことができる。これにより、
活性雰囲気中の酸素による軽合金材料の過度の酸化を防
ぐことができるため、軽合金材料の表面が酸化されてで
きる酸化被膜の過度の形成を抑制することができる。
【0033】また、本発明の複合材料の製造方法は、軽
合金材料を複合素材に溶浸させる際に、反応系周辺に還
元性材料を配置させることを特徴とする。これにより本
発明の複合材料の製造方法によれば、軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際に、反応系周辺に還元性材料を配置
させると、反応系内が高温になるため、還元性材料から
還元性ガス若しくは不活性ガスが発生することにより、
活性雰囲気中であっても反応系内の酸素の存在割合が多
くならないように保つことができる。これにより、活性
雰囲気中の酸素による軽合金材料の過度の酸化を防ぐこ
とができるため、軽合金材料の表面が酸化されてできる
酸化被膜の過度の形成を抑制することができる。
【0034】また、本発明の複合材料の製造方法は、不
活性雰囲気下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させる
ことを特徴とする。これにより本発明の複合材料の製造
方法によれば、不活性雰囲気下で軽合金材料を前記複合
素材に溶浸させることにより、軽合金材料の酸化を防ぐ
ことができる。そのため、軽合金材料と複合素材との接
触面に軽合金材料が酸化されてできる被膜の形成を防止
することができることより、軽合金材料が複合素材に直
接溶浸する面積が増加するため、複合化を促進すること
ができる。
【0035】また、本発明の複合材料の製造方法は、不
活性雰囲気が窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセ
ノンのうち少なくとも一つ以上を含む不活性雰囲気であ
ることを特徴とする。窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、及びキセノンは、一般的に不活性ガスの一種であ
り、高温条件下において軽合金材料及び複合材料と接触
しても反応しない。これにより本発明の複合材料の製造
方法によれば、窒素、アルゴン、ネオン、キセノンのう
ち少なくとも一つ以上を含む不活性雰囲気下で、軽合金
材料を前記複合素材に溶浸させることにより、軽合金材
料の酸化を防ぐことができる。そのため、軽合金材料と
複合素材との接触面に軽合金材料が酸化されてできる被
膜の形成を防止することができることより、軽合金材料
が複合素材に直接溶浸する面積が増加するため、複合化
を促進することができる。
【0036】また、本発明の複合材料の製造方法は、減
圧状態にすることにより不活性雰囲気下にすることを特
徴とする。系内を減圧状態にすると、系内に活性ガスが
ほとんど存在しなくなるため、反応系内を不活性雰囲気
下と同じような状態にすることができる。これにより本
発明の複合材料の製造方法によれば、減圧状態にするこ
とにより不活性雰囲気下とし、係る条件下で軽合金材料
を前記複合素材に溶浸させることにより、軽合金材料の
酸化を防ぐことができる。そのため、軽合金材料と複合
素材との接触面に軽合金材料が酸化されてできる被膜の
形成を防止することができることより、軽合金材料が複
合素材に直接溶浸する面積が増加するため、複合化を促
進することができる。
【0037】また、本発明の複合材料の製造方法は、加
圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させることを特
徴とする。これにより本発明の複合材料の製造方法によ
れば、加圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させる
ことにより、軽合金材料と複合材料との接触が促進され
るため、複合化を促進することができる。さらに、加圧
下で軽合金材料を複合素材に溶浸させることにより、軽
合金材料と複合素材とが共に加圧された状態で複合化が
進行する。そのため、得られる複合材料は加圧された状
態で製造されたものであるので、係る複合材料は分子間
の隙間が少ない。これにより、密度が大きく且つ緊密な
複合材料を得ることができる。
【0038】また、本発明の複合材料は、複合素材の表
面に金属酸化物を付着及び/又は分散させ、軽合金材料
を前記複合素材に溶浸させてなることを特徴とする。こ
れにより本発明の複合材料によれば、複合素材の表面に
金属酸化物を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前
記複合素材に溶浸させて得られるため、係る溶浸の際に
は低温条件下で軽合金材料と複合素材との濡れ性が向上
し、複合素材間での軽合金材料の流れが改善されること
より、生産コストが低く且つ汎用性が高いうえに、極め
て均質な材料として得ることができる。
【0039】また、本発明の複合材料は、複合素材の表
面に金属酸化物を付着及び/又は分散させ、軽合金材料
を前記複合素材に所定時間所定温度で溶浸させ、さらに
溶浸させた前記軽合金材料を冷却させて得られることを
特徴とする。これにより本発明の複合材料によれば、複
合素材の表面に金属酸化物を付着及び/又は分散させ、
軽合金材料を前記複合素材に溶浸させて得られるため、
係る溶浸の際には低温条件下で軽合金材料と複合素材と
の濡れ性が向上し、複合素材間での軽合金材料の流れが
改善されることより、生産コストが低く且つ汎用性が高
いうえに、極めて均質な材料として得ることができる。
【0040】また、本発明の複合材料は、複合素材が粒
子状の粉体及び/又は粒子状の粉体を原料として製造さ
れる成形体であることを特徴とする。これにより本発明
の複合材料によれば、複合素材が粒子状の粉体であるこ
とにより、粒子が軽合金材料中に偏在することなく均等
に分散し粒子への軽合金材料の溶浸が進行するため、軽
合金材料及び複合素材から極めて均質な材料として得る
ことができる。また、複合素材が粒子状の粉体を原料と
して形成される成形体であることにより、複雑な形状を
有する部材を製造する場合にも、複合素材への軽合金材
料の溶浸を均等に進行させることができるため、極めて
均質な材料として得ることができる。
【0041】また、本発明の複合材料は、バインダを用
いて複合素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を
付着及び/又は分散させることにより形成される成形体
を用いて、軽合金材料の少なくとも一部分を複合化して
なることを特徴とする。これにより本発明の複合材料に
よれば、係る成形体を用いることにより、複雑な形状を
有する部材を製造する場合にも、複合素材への軽合金材
料の溶浸を均等に進行させることができるため、極めて
均質な材料として得ることができる。さらに、複合化し
たい部分にあらかじめ係る成形体を配置することによ
り、必要な部分のみを複合化した材料として得ることが
できる。
【0042】また、本発明の複合材料は、軽合金材料が
Al合金であることを特徴とする。これにより本発明の
複合材料によれば、Al合金は安価であるため、軽合金
材料がAl合金であることにより、安価で且つ軽量な材
料として得ることができる。
【0043】また、本発明の複合材料は、金属酸化物が
鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、及びバナ
ジウムのうち少なくとも一つ以上から選択される金属の
酸化物であることを特徴とする。これにより本発明の複
合材料によれば、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、マ
ンガン、又はバナジウムの酸化物と軽合金材料とが反応
し、その際に生成する反応熱により粒子表面の温度が上
昇することにより、軽合金マトリックスと複合素材の粒
子との界面の濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽
合金マトリックスの流れを改善できるため、生産コスト
が低いうえに、極めて均質な材料として得ることができ
る。
【0044】また、本発明の複合材料は、金属酸化物が
酸化鉄及び/又は酸化ニッケルであることを特徴とす
る。これにより本発明の複合材料によれば、酸化鉄及び
/又は酸化ニッケルと軽合金材料とが反応し、その際に
生成する反応熱により粒子表面の温度が上昇することに
より、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界面の
濡れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マトリッ
クスの流れを改善できるため、生産コストが低く且つ汎
用性が高いうえに、極めて均質な材料として得ることが
でき、さらに、酸化鉄は安価であるため、安価な材料と
して得ることができる。
【0045】また、本発明の複合材料は、金属粉末がN
iであることを特徴とする。これにより本発明の複合材
料によれば、Niと軽合金材料とが反応し、その際に生
成する反応熱により粒子表面の温度が上昇することによ
り、軽合金マトリックスと複合素材の粒子との界面の濡
れ性が向上し、複合素材の粒子間での軽合金マトリック
スの流れを改善できるため、汎用性が高いうえに、極め
て均質な材料として得ることができる。さらに、本発明
の複合材料は、Niとの複合化を行なうことにより製造
されることより、靭性が高く、耐熱性及び耐複合材料に
優れた材料として得ることができる。
【0046】また、本発明の複合材料は、複合材料の主
体がセラミックスであることを特徴とする。セラミック
スは金属酸化物、炭化物、窒化物等の無機質の固体材料
であり、優れた剛性及び耐摩耗性を有するため、これに
より本発明の複合材料によれば、セラミックスを強化材
に用いることにより、剛性及び耐摩耗性に優れた有する
材料として得ることができる。また、セラミックスは安
価であるため、安価な材料として得ることができる。
【0047】本発明者は、バインダを用いて金属酸化物
及び/又は金属粉末を複合素材に付着及び/又は分散さ
せ、係る複合素材に軽合金材料が溶浸する機構を以下の
ように推定している。
【0048】複合素材の粒子表面に軽合金マトリックス
を溶浸させる過程において、金属酸化物及び/又は金属
粉末を用いて係る粒子表面に付着及び/又は分散させる
ことにより、金属酸化物及び/又は金属粉末と軽合金材
料とが反応し、その際に生成する反応熱により複合素材
の表面の温度が上昇する。複合素材の表面の温度が高く
なるにつれ、軽合金材料と複合素材との間の濡れ性が向
上することにより、複合素材間での軽合金材料の流れを
改善できるため、複合素材への軽合金マトリックスの溶
浸が進行し、軽合金材料と複合素材との間の複合化が促
進されると推定される。
【0049】さらに、バインダとともに金属酸化物及び
/又は金属粉末を複合素材の表面に付着及び/又は分散
させる場合には、金属酸化物及び/又は金属粉末と軽合
金材料とが反応する際に生成する反応熱によってバイン
ダが熱せられた結果、バインダの反応性が高くなるた
め、バインダと軽合金材料とが反応し、その際に生成す
る反応熱により複合素材の表面の温度がさらに上昇す
る。そのため、軽合金材料と複合素材との間の濡れ性が
さらに向上することにより、複合素材間での軽合金材料
の流れをさらに改善できるため、複合素材への軽合金マ
トリックスの溶浸が進行し、軽合金材料と複合素材との
間の複合化が促進されると推定される。
【0050】例えば、約1000℃において、金属酸化
物にFe、NiO、及びNi、バインダに水ガラ
ス(SiO・nHO・nNaO)、軽合金材料に
Siを含有するAl合金、及び複合素材に粒子状の粉体
であるSiCを用いて、複合材料を製造するためにAl
合金を複合素材に溶浸させる場合、Fe、Ni
O、及びNiとAl合金とが接触して、それぞれ次式で
示されるような反応が起こる。 Al+3/8Fe=9/8Fe+1/2Al
+97kcal 2/3Al+NiO=Ni+1/3Al+75.
8kcal 3Al+Ni=AlNi+36kcal 以上の反応により生成する反応熱により、複合素材の表
面の温度が上昇する。複合素材の表面の温度が高くなる
につれ、Al合金とSiCとの間の濡れ性が向上するこ
とにより、SiC間でのAl合金の流れが改善され、S
iCへのAl合金の溶浸が進行するため、均質な複合材
料が得られると推定される。
【0051】さらに、上記の式に示されるように、Fe
、NiO、及びNi等の金属酸化物及び/又は金
属粉末がAl合金と反応する際に生成する反応熱によっ
て、バインダである水ガラスSiOが熱せられた結
果、SiOとAl合金とが次式で示されるように反応
する。 4/3 Al+SiO=Si+2/3Al+4
9.7kcal その際に生成する反応熱により、SiCの表面の温度が
さらに上昇する。そのため、Al合金とSiCとの間の
濡れ性がさらに向上することにより、SiC間でのAl
合金の流れをさらに改善され、SiCへのAl合金の溶
浸が進行するため、均質な複合材料が得られると推定さ
れる。
【0052
【発明の実施の形態】本発明では、軽合金材料にAlを
主体とするAl合金を用いる。前述したように、複合素
材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/
又は分散させ、複合素材間に軽合金材料を溶浸させる過
程において、Alは金属酸化物及び/又は金属粉末と反
応し多量の反応熱を発生し、係る反応熱により複合素材
とAlとの濡れ性が向上するため、軽合金材料の粒子表
面での流れが改善されると考えられる。そのため、軽合
金材料にAl合金を用いると、反応系内が従来と比較し
て低温条件下であっても、複合素材へのAl合金の溶浸
が進行するため、複合素材とAl合金との複合化が促進
される。すなわち、炉の温度を従来ほど高くする必要が
ないため、複合材料の製造コストを低減することができ
る。
【0053】Al合金は、主体がAlであればよく、A
l合金中のAlの存在割合は、金属酸化物及び/又は金
属粉末とAl合金とが反応する際に、複合素材とAl合
金との濡れ性を向上させるために十分な量の反応熱が生
成する程度であればよい。また、Al合金は、複合素材
とAl合金との濡れ性の低下を及ぼさない程度であれ
ば、Si、Ca、Zn、Ni、Mn、Mg、Fe、Sn
などの元素を含んでいてもよい。
【0054】Al合金としては、例えば、Siを含むA
l−Si合金が挙げられる。かわりに、純AlにSi、
Ca、Zn、Ni、Mn、Mg、Fe、Snなどを添加
させて共に加熱することにより合金を製造してもよい。
あるいは、Al合金中のAlと前記の元素の量とを調節
するために、Al合金中に適切な量のAlを加えること
により合金を製造してもよいし、又は、Al若しくはA
l合金中に適切な量の元素を加えることにより合金を製
造してもよい。Al合金中のAlの含有量を変えること
により、溶浸する際の時間及び温度を調節することがで
きる。また、用いるAl合金、純Al、及び元素の形状
は塊状であっても粉末状であってもよい。
【0055】金属酸化物及び/又は金属粉末は、前述し
たように、複合素材の表面に付着及び/又は分散させ、
軽合金材料と反応させて多量の反応熱を発生させること
により、複合素材と軽合金材料との濡れ性を向上させ、
均一な複合材料を製造するために用いられる。金属酸化
物は、例えば、軽合金材料であるAl合金が複合素材に
溶浸する際に、Alと反応し自らが還元される結果とし
て発熱するものであればよく、鉄、ニッケル、クロム、
コバルト、マンガン、及びバナジウムのうち少なくとも
一つ以上から選択される金属の酸化物であることが望ま
しい。なかでも、金属酸化物は、安価であることより、
酸化鉄及び/又は酸化ニッケルであるのがより望まし
く、さらには、酸化力が高いFe及び/又NiO
であるのがさらに望ましい。
【0056】金属酸化物の形状は、粉末状であっても、
塊状であってもよい。しかしながら、金属酸化物及び/
又は金属粉末を複合素材の表面に均等に分散させるため
には、粉末状であるのがより好ましい。また、複合素材
中に分散させる金属酸化物の量が多すぎると、軽合金材
料と金属酸化物が反応する際に形成する酸化物の被膜が
軽合金材料を覆ってしまうため、添加する金属酸化物の
量は多すぎないことが望ましい。しかしながら、係る金
属酸化物の量は、軽合金材料との反応によって濡れ性を
向上させるのに十分な量の反応熱を発生させるだけの量
を添加することが必要である。
【0057】金属粉末は、軽合金材料であるAl合金が
複合素材に溶浸する際に、Alと反応する結果として発
熱するものであればよく、例えば、Alとの反応性がよ
いニッケル等が挙げられる。
【0058】また、金属酸化物及び/又は金属粉末にB
aO等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物
を混合して溶浸に用いてもよい。係る酸化物を添加する
ことにより、複合化をさらに進行させることができる。
【0059】さらに、複合素材の表面に金属酸化物及び
/又は金属粉末を付着及び/又は分散させる際にバイン
ダを用いる。前述したように、バインダは、金属酸化物
及び/又は金属粉末を複合素材の表面に均等に分散及び
/又は吸着させ、定着させる役割を果たす。また、バイ
ンダは、必要な部分のみを複合化してなる部材を製造す
る場合には、複合化する部分を型取った成形体を形成す
る際に金属酸化物及び/又は金属粉末と複合素材とから
成形体を形成するための結合剤としての役割を果たす。
それに加えて、バインダは金属酸化物及び/又は金属粉
末と同様に、均質な複合材料を製造するために寄与する
役割を果たすものであるのが好ましい。金属酸化物及び
/又は金属粉末が軽合金材料と反応する際に発生する反
応熱によって、バインダが熱せられることにより、バイ
ンダが軽合金材料と発熱反応を起こす。その際に生成す
る反応熱により、複合素材の表面の温度がさらに上昇す
る。そのため、軽合金材料と複合素材との間の濡れ性が
さらに向上することにより、複合素材間での軽合金材料
の流れがさらに改善され、複合素材への軽合金材料の溶
浸が進行するため、バインダを用いることによって、よ
り均質な複合材料が得られると推定される。
【0060】バインダとしては、前述したように、金属
酸化物及び/又は金属粉末を複合素材の表面に均等に分
散及び/又は吸着させ、定着させる役割を果たすと同時
に、均質な複合材料を製造するために寄与する役割を果
たすものが望ましい。このようなものとしては、例え
ば、SiOが挙げられる。SiOを複合材料の表面
に配置させると軽合金材料と反応して熱を発生するた
め、発生する熱により複合素材の表面温度が上昇し、軽
合金材料と複合素材との間の濡れ性が向上することによ
り、複合素材間での軽合金材料の流れが改善され、より
均質な複合材料を得ることができると考えられている。
これにより、バインダはSiOを主体とするものが望
ましい。
【0061】さらに、SiOを含むバインダとして、
水ガラス又はシリカゾルを用いることが望ましい。水ガ
ラス及びシリカゾルはその組成がそれぞれ、SiO
nHO・nNaO(水ガラスは一般的にNaOl
mOlにつきSiOを2〜4mol含む)、SiO
・nHOで表されるものであり、どちらも主成分がS
iOである。水ガラス及びシリカゾルは、その主成分
であるSiOの複合素材との濡れ性が高いうえ、水ガ
ラス及びシリカゾルは水を含むことより、水の表面張力
によって複合素材の表面に均等に分散させることができ
且つ複合素材への吸着性がよい。さらに、水ガラスは、
粘性が高いため、金属酸化物及び/又は金属粉末を複合
素材の表面に強固に定着させることができる。また、水
ガラスの粘性が高すぎる場合には水で希釈して用いても
よい。
【0062】バインダを用いる際には、複合素材の表面
に金属酸化物及び/又は金属粉末を均等且つ十分に付着
及び/又は分散させるために、バインダと金属酸化物及
び/又は金属粉末とを十分混合させることが好ましい。
さらに、バインダが水ガラスやシリカゾルである場合、
バインダ中の水分を飛ばすために、バインダと金属酸化
物及び/又は金属粉末とを十分混合させたのち乾燥さ
せ、仮焼結体を作成することが好ましい。乾燥するため
の温度及び時間は、バインダ中の水分の量によって調節
する。
【0063】複合素材はセラミックス等の多孔性素材か
らなり、好ましくは、SiC、Si、BN、Al
等のセラミックス等の多孔性素材からなる。さら
に、セラミックの中でも、安価であり且つ軽合金材料と
の濡れ性がよいSiCからなるのが好ましい。係る複合
素材は、粒子径が5μm〜10mmのものを使用する。
係る複合素材に軽合金材料を溶浸させることにより、セ
ラミックス等の多孔性素材のもつ剛性や耐摩耗性が付与
された複合材料を製造することができる。
【0064】複合素材の形状は、粒子状の粉体であるの
が望ましい。なぜなら、軽合金材料を溶浸させる際に、
軽合金材料と複合素材との複合化が均等に進行するよう
に、複合素材を軽合金材料中に偏在することなく均等に
分散させることが必要だからである。また、複合素材の
形状が粒子状であることにより表面積が大きくなる。そ
のため、複合素材の粒子表面と軽合金材料との接触面積
が大きくなるため、軽合金材料と複合素材との複合化が
均等に進行する。以上のことから、複合素材の形状は粒
子状の粉体であるのが望ましい。
【0065】あるいは、複合素材は、粒子状の粉体を原
料として形成される成形体であってもよい。なぜなら、
複合素材が成形体であることにより、あらかじめ部材を
型取った成形体を設置しておき成形体間に軽合金材料を
流し込むことができるため、複雑な形状を有する部材を
製造する場合にも、軽合金材料間に粒子を均等に分散さ
せることができるので、複合素材への軽合金材料の溶浸
が進行するため、軽合金材料と複合素材との複合化を均
等に進行させることができるからである。
【0066】さらに、複合素材が成形体であることによ
り、必要な部分のみを複合化することが可能である。こ
の場合、バインダと金属酸化物及び/又は金属粉末とを
混合させることで複合素材の表面にこれらを付着及び/
又は分散させ、必要に応じてこれらを乾燥させたのち、
複合化を行なう部分を型取った成形体を形成し、係る成
形体を複合化したい部分にあらかじめ配置してから軽合
金材料を溶浸させることにより、複合化したい部分のみ
を複合化した部材を製造することができる。以上に示さ
れる成形体を用いた複合材料の製造を、「セラミック
ス」(1997年、32巻、2号)に開示されているD
IMOXTM法や、特開平2−236244号等に開示
されているPRIMEXTM法等を用いて行なうことが
できる。
【0067】また、製造される複合材料の機械的及び/
又は物理的性質(すなわち、密度、弾性率、比弾性率、
強度、比強度等)は、複合素材の配合量を変えることこ
とにより調整することができる。
【0068】軽合金材料を溶浸させる際の反応系の雰囲
気は、活性雰囲気であっても、不活性雰囲気であっても
よい。活性雰囲気を用いる場合、酸素、二酸化炭素、水
等の活性ガスのうち少なくとも一つ以上を含む活性雰囲
気を用いるのが好ましい。例えば、軽合金材料がAl合
金である場合、活性雰囲気中に酸素が存在すると、Al
合金中のAlが酸素と反応し、熱と共にAlが生
成する。発生した反応熱によりAl合金と複合素材との
濡れ性が向上し、Al合金の流れが向上するため、複合
化を進行させることができると考えられる。よって、活
性雰囲気中には酸素が存在していてもよい。
【0069】しかしながら、活性雰囲気中の酸素の存在
割合が多すぎると、軽合金材料と酸素とが反応し、望ま
ない副生成物が多く生成してしまう。例えば、軽合金材
料にAl合金を用いた場合、酸素の存在割合が多すぎる
と、複合素材へのAl合金の溶浸を阻害するほど大量の
Alが生成するため、Al合金と複合素材との複
合化が妨げられる。従って、活性雰囲気中の酸素の存在
割合は多すぎず、一定の範囲内であることが望ましい。
すなわち、活性雰囲気中の酸素の存在割合を一定の割合
以下に保てば、酸化による問題は発生しないと考えられ
る。以上のことから、活性雰囲気中における酸素の存在
割合は、好ましくは5〜50%であり、より好ましくは
10〜30%であり、さらに好ましくは15〜25%で
ある。
【0070】また、活性雰囲気中において水は気体とし
て存在している。活性雰囲気中における水の存在割合が
少なすぎると、反応系内が乾燥することより、静電気等
が原因で火災が発生しやすくなるため、活性雰囲気中に
は少なすぎないことが望ましい。
【0071】しかしながら、活性雰囲気中における水の
存在割合が多すぎると、軽合金材料と水とが反応し、望
まない副生成物が多く生成してしまう。例えば、軽合金
材料にAl合金を用いた場合、水の存在割合が多すぎる
と、Al合金と水とが反応し、副生成物ともに大量の水
素ガスが発生してしまい、発火する危険性が高くなる。
従って、活性雰囲気中の水の存在割合は多すぎず、一定
の範囲内であることが望ましい。以上のことから、活性
雰囲気中における水の存在割合は、好ましくは0.01
%〜5%であり、より好ましくは0.01〜3%であ
り、さらに好ましくは0.01〜1%である。
【0072】また、活性雰囲気中の二酸化炭素の存在割
合が少なすぎると、相対的に、活性雰囲気中の活性ガ
ス、例えば酸素の存在割合が増加するため、軽合金材料
と活性ガスとの反応を促進させてしまい、軽合金材料と
複合素材との溶浸を阻害する恐れがある。また、活性雰
囲気中における二酸化炭素の存在割合が多すぎると、相
対的に、二酸化炭素と軽合金材料との反応が起きること
より、軽合金材料の溶浸を妨げる可能性がある。従っ
て、活性雰囲気中の二酸化炭素の存在割合は少なすぎ
ず、一定の範囲内であることが望ましい。以上のことか
ら、活性雰囲気中における二酸化炭素の存在割合は、好
ましくは0.001%〜5%であり、より好ましくは
0.005〜1%であり、より好ましくは、0.005
〜0.1%である。
【0073】活性雰囲気に含まれる気体はすべて活性ガ
スである必要はなく、むしろ、例えば、窒素、アルゴ
ン、ヘリウム等の不活性ガスを含む方が好ましい。なぜ
なら、活性雰囲気中の存在する活性ガスの割合が多すぎ
ると、活性ガス、例えば酸素と軽合金材料との反応が過
剰に進行し、不必要な副生成物が多く生成するため、軽
合金材料の溶浸を阻害してしまい、その結果として、均
質な複合材料を製造することができなくなる可能性が高
くなるからである。
【0074】また、活性雰囲気下で軽合金材料を複合素
材に溶浸させる際には、加圧下で係る溶浸を行なっても
よい。加圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させる
ことにより、軽合金材料と複合材料とがより密接に接触
するため、複合化を促進することができる。さらに、加
圧下で軽合金材料を複合素材に溶浸させることにより、
軽合金材料と複合素材とが共に加圧された状態で複合化
が進行する。そのため、得られる複合材料は加圧された
状態で製造されたものであるため、係る複合材料は分子
間の隙間が少ない。よって、活性雰囲気下で軽合金材料
を複合素材に加圧下溶浸させることにより、密度が大き
く且つ緊密な複合材料を得ることができる。
【0075】活性雰囲気中で軽合金材料を複合素材に溶
浸させる際に、還元性材料を配置させてもよい。還元性
材料は高温条件下、例えば軽合金材料を溶浸させる際の
温度条件下で活性雰囲気中の酸素により酸化され酸素と
化合した気体を発生するものであり、軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際に還元性材料を反応系内に配置する
ことにより活性雰囲気中の酸素の割合を下げることがで
きるため、軽合金材料の酸化を防止し軽合金材料の表面
に形成される酸化皮膜を少なくすることができる。
【0076】また、活性雰囲気中で軽合金材料を複合素
材に溶浸させる際に、黒鉛、グラファイト木炭、可燃性
材料のうち少なくとも一つ以上を配置させてもよい。黒
鉛、グラファイト、木炭、及び可燃性材料は、還元性材
料の一種であり、高温条件下、例えば軽合金材料を溶浸
させる際の温度条件下で活性雰囲気中の酸素により酸化
され二酸化炭素や一酸化炭素等に変換される。軽合金材
料を複合素材に溶浸させる際にこれらのうち一つ以上を
反応系内に配置することにより活性雰囲気中の酸素の割
合を下げることができるため、軽合金材料の酸化を防止
し軽合金材料の表面に形成される酸化皮膜を少なくする
ことができる。可燃性材料は、軽合金材料を溶浸させる
際のような高温条件下で活性雰囲気中の酸素と反応し二
酸化炭素や一酸化炭素を発生する材料であり、例えば、
建造家屋の廃材、樹脂、又は古タイヤ等の可燃性廃棄物
なども含まれる。
【0077】軽合金材料を溶浸させる際の反応系の雰囲
気に不活性雰囲気を用いる場合、不活性雰囲気が窒素、
アルゴン、ネオン、キセノン、ヘリウムのうち一つ以上
を含む不活性雰囲気であることが好ましい。雰囲気が不
活性雰囲気であることにより、軽合金材料の酸化を防止
することができる。そのため、軽合金材料と複合素材と
の接触面に軽合金材料が酸化されてできる被膜の形成を
防止することができることより、軽合金材料が複合素材
に直接溶浸する面積が増加するため、複合化を促進する
ことができる。
【0078】また、不活性雰囲気下で軽合金材料を複合
素材に溶浸させる際には、加圧下で係る溶浸を行なって
もよい。加圧下で軽合金材料を前記複合素材に溶浸させ
ることにより、軽合金材料と複合材料とがより密接に接
触するため、複合化を促進することができる。さらに、
加圧下で軽合金材料を複合素材に溶浸させることによ
り、軽合金材料と複合素材とが共に加圧された状態で複
合化が進行する。そのため、得られる複合材料は加圧さ
れた状態で製造されたものであるため、係る複合材料は
分子間の隙間が少ない。よって、不活性雰囲気下で軽合
金材料を複合素材に加圧下溶浸させることにより、密度
が大きく且つ緊密な複合材料を得ることができる。
【0079】あるいは、軽合金材料を複合素材に溶浸さ
せる際に、減圧状態にすることにより不活性雰囲気下に
することができる。系内を減圧状態にすると、系内に雰
囲気がほとんど存在しなくなるため、系内をより真空状
態に近づけることができる。これにより、系内を周囲の
雰囲気に影響されない状態にすることができるため、反
応系内を不活性雰囲気下と同じような状態にすることが
できる。よって、雰囲気が不活性雰囲気にすることがで
きるため、軽合金材料の酸化を防止することができる。
そのため、軽合金材料と複合素材との接触面に軽合金材
料が酸化されてできる被膜の形成を防止することができ
ることより、軽合金材料が複合素材に直接溶浸する面積
が増加するため、複合化を促進することができる。
【0080】複合材料を製造する場合、バインダと金属
酸化物及び/又は金属粉末とを十分混合させ、必要であ
ればこれらを乾燥させたのち、これらを軽合金材料と共
に反応容器に入れ、炉を所定の最高温度域まで昇温した
のち、係る最高温度域で所定時間保持し、その後炉を放
冷すること等により炉を冷却する。炉を係る最高温度域
で所定時間保持する間に、軽合金材料を複合素材に溶浸
させる。複雑な形状を有する部材を製造する場合や、部
材の一部のみを複合化する場合においては、バインダと
金属酸化物及び/又は金属粉末とを十分混合させたの
ち、適切な形の成形体を形成し、係る形成体を複合化し
たい場所に配置したのちに軽合金材料を溶浸させる。軽
合金材料を複合素材に溶浸させる際には、あらかじめ軽
合金材料を複合素材の近傍に供給しておいてから全体を
一定温度にて加熱することにより軽合金材料を溶浸させ
てもよい。あるいは、溶融した軽合金材料を複合素材間
に流し込むことにより溶浸を行なってもよい。
【0081】軽合金材料を複合素材に溶浸させる際の温
度は、軽合金材料及び/又は複合素材の種類や配合の割
合によっても異なる。しかしながら、より近い温度で溶
浸させれば、炉を操業するためにかかるコストをより低
くすることができる。そのため、軽合金材料を複合素材
に溶浸させる際の温度は、例えば軽合金材料がSiを1
2〜13wt%含むAl合金である場合、800〜11
00℃であるのが好ましい。ここで、係る温度が800
℃未満である場合は、溶浸が効率よく進まない。あるい
は、係る温度が1100℃を越える場合は、反応系内を
高温にするためのコストが過剰となる。
【0082】軽合金材料を複合素材に溶浸させるために
一定温度で保持するために要する時間は、溶浸させる際
の温度、軽合金材料及び/又は複合素材の種類や配合の
割合によっても異なる。しかしながら、一般的に、より
少ない時間で溶浸することができれば、炉を操業するた
めにかかるコストをより低くすることができる。本発明
の製造方法を用いると、1〜2時間で溶浸が完了するこ
とより、炉の操業時間を短縮できるため、製造コストを
低減することができる。
【0083】以上の複合材料の製造方法によると、複合
素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び
/又は分散させることにより、軽合金材料と複合素材と
の反応が進行するとともに、複合素材に対する軽合金材
料の接触角が小さくなり、低温条件下での軽合金材料と
複合素材との濡れ性が向上し、複合素材間での軽合金材
料の流れが改善されるため、複合材料を製造する際に用
いる炉の温度を従来の温度よりも低くすることができる
ため、低コストで均質な複合材料を製造することができ
る。さらに、バインダを用いて複合素材の表面に金属酸
化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させるこ
とにより、軽合金材料と複合素材との反応がさらに進行
するとともに、低温条件下での軽合金材料と複合素材と
の濡れ性がより向上し、複合素材間での軽合金材料の流
れがさらに改善されるため、複合材料を製造する際に用
いる炉の温度を従来の温度よりもさらに低くすることが
できるため、より低コストで均質な複合材料を製造する
ことができる。そのうえ、バインダを用いて複合素材の
表面に金属酸化物及び/又は金属粉末を係る付着及び/
又は分散させることにより成形体を形成し、係る成形体
を用いることにより、複雑な形状を有する部材を製造す
る場合にも、複合素材への軽合金材料の溶浸を均等に進
行させることができるため、均質な複合材料を製造する
ことができる。さらに、複合化したい部分にあらかじめ
係る成形体を配置することにより、必要な部分のみを複
合化することができる。
【0084
【実施例1】本発明の一実施例を以下に示す。SiCの
粒子状粉体と、金属酸化物としてFeと、バイン
ダとして水ガラスと、軽合金材料としてSi及びCaを
含むAl合金とを用いて複合材料を製造した。また、A
l合金を溶浸させる際に、Al合金にAl粉末を添加し
た。Al合金は、99.99%のAl、99.99%の
Si、及び99.5%のCaから製作した。製作したA
l合金中の元素の組成を分析した結果を表1に示す。A
l粉末は市販の純Alを用い、Feもまた市販品
を用いた。SiCの粒子状粉体は、昭和電工(株)から
発売されているグリーンカーボランダム#36(平均粒
径500μm)のみを使用した。
【0085
表1
【0086】試料容器にはNCタンマン管(外径15m
m、内径11mm、深さ100mm))、SiC粒子状
粉体の乾燥及び仮焼結体の作成には電気式マッフル炉
(三田村理研工業(株)製MODEL25PAF)、ま
た、試料の溶浸に用いる溶浸実験装置には電気抵抗加熱
炉(秦電機(株)製ELEPOT)を使用した。また、
本実施例に係る操作はすべて大気中で行ない、Al合金
をSiC粒子に溶浸させる際には黒鉛るつぼにタンマン
管を立てかけた。まず、バインダである水ガラスとFe
とを十分混合するために、アルミナボールを用い
たボールミルを使用した。ポリエステル容器に純水と水
ガラスとを4:1の割合で入れ、さらにFeを前
述の希釈した水ガラスの約15wt%程入れ、さらにア
ルミナボールを5〜6個入れたのち、ボールミルにより
約6時間攪拌を行なうことにより、水ガラスとFe
とを混合した。次に、用いるSiC粒子をアセトンで
洗浄した後、電気式マッフル炉に入れ160℃で約2時
間乾燥させた。このSiC粒子に、前述の水ガラス−F
混合溶液をSiC粒子が湿る程度加えた後、電
気式マッフル炉に入れ70℃で24時間乾燥を行なうこ
とにより、仮焼結体を作成した。乾燥後、仮焼結体を炉
から取り出し、細かく砕いた。アルミナタンマン管に細
かく砕いた仮焼結体(2.5g)を入れたのち、電気抵
抗加熱炉に入れ900℃で約2時間保持することにより
焼結体を作成した。アルミナタンマン管内に形成された
焼結体の上にAl粉末を加え、さらにその上に、塊状に
切り出したAl合金(7g)を加えた。試料が加えられ
たアルミナタンマン管を黒鉛るつぼに立てかけ、予め所
定の処理温度に加熱しておいた炉の中にアルミナタンマ
ン管を入れた黒鉛るつぼを入れ、約1.5時間所定の処
理温度に保持した後、炉を放冷することにより炉内を冷
却した。炉を室温まで冷却した後、アルミナタンマン管
の底部を割ることにより製造された複合材料を取り出し
複合材料を得た。
【0087】本実施例では、Al粉末の添加量と、試料
を約1.5時間保持する際の処理温度とを変えて、Si
CへのAl合金の溶浸を検討した。表2に実験条件及び
実験結果を示す。
【0088
表2
【0089】表2に示されるように、処理温度が100
0℃の場合、Al粉末を添加しなくてもAl合金の溶浸
が起こる。しかしながら、Al粉末を添加した場合、9
00℃において溶浸が起こるため、Al粉末を添加すれ
ば、より低い温度でもSiCへのAl合金の溶浸が可能
になる。Feが存在しない場合、処理温度が10
00℃以上にならないとAlの溶浸が起こらない。Al
粉末は、粉末であるため、水ガラス及びFeとよ
り均一に接触する。そのため、Al粉末を添加すること
により、Alと水ガラス、及びAlとFeとの反
応がより均等に起こると考えられる。また、Al粉末を
少量添加するだけでも、一旦Alと水ガラス、及びAl
とFeとの反応が開始すると、発生する反応熱に
より反応が一気に進行することにより、濡れ性が短時間
で向上するため、短時間でAl合金の溶浸が完了すると
推測される。また、Feが存在しない場合、処理
温度が1000℃以上にならないとAlの溶浸が起こら
ないことから、水ガラスを用いてFeをSiCの
表面に付着及び/又は分散させることにより、より低温
条件下でAl合金を溶浸させることができると考えられ
る。
【0090
【発明の効果】以上のように、本発明の複合材料の製造
方法は、複合素材の表面に金属酸化物及び/又は金属粉
末を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前記複合素
材に溶浸させることとしたことより、低温条件下におい
て複合素材に対する軽合金材料の濡れ性が向上し、軽合
金材料の流れが改善されるため、低温条件下で複合材料
を製造することができるため、低コストで複合材料を生
産することができる。
【0091】また、本発明の複合材料は、複合素材の表
面に金属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分
散させ、軽合金材料を前記複合素材に溶浸させてなるこ
とより、低温条件下において複合素材に対する軽合金材
料の濡れ性が向上し、軽合金材料の流れが改善されるこ
とにより、生産コストが低く且つ汎用性が高いうえに、
極めて均質な材料として得ることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 聡朗 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合素材の表面に金属酸化物及び/又
    は金属粉末を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前
    記複合素材に溶浸させることを特徴とする複合材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 複合素材の表面に金属酸化物及び/又
    は金属粉末を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前
    記複合素材に所定時間所定温度で溶浸させ、さらに溶浸
    させた前記軽合金材料を冷却することを特徴とする複合
    材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 複合素材が粒子状の粉体及び/又は粒
    子状の粉体を原料として形成される成形体であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 バインダと金属酸化物及び/又は金属
    粉末とを混合させ、バインダと金属酸化物及び/又は金
    属粉末とを係る複合素材の表面に付着及び/又は分散さ
    せることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の
    複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 バインダを用いて複合素材の表面に金
    属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させ
    ることにより成形体を形成し、前記成形体を用いて軽合
    金材料の少なくとも一部分を複合化することを特徴とす
    る請求項1〜4の何れか一に記載の複合材料の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 バインダの主体がSiO2であること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか一に記載の複合材料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 バインダとして水ガラス又はシリカゾ
    ルを用いることを特徴とする請求項1〜6の何れか一に
    記載の複合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 軽合金材料がAl合金であり、前記A
    l合金を複合素材に溶浸させる温度が800〜1100
    ℃であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一に記
    載の複合材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属酸化物が鉄、ニッケル、クロム、
    コバルト、マンガン、及びバナジウムのうち少なくとも
    一つ以上から選択される金属の酸化物であることを特徴
    とする請求項1〜8の何れか一に記載の複合材料の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 金属酸化物が酸化鉄及び/又は酸化ニ
    ッケルであることを特徴とする請求項9に記載の複合材
    料の製造方法。
  11. 【請求項11】 金属粉末がNiであることを特徴とす
    る請求項1〜8の何れか一にに記載の複合材料の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 活性雰囲気下で軽合金材料を前記複合
    素材に溶浸させることを特徴とする請求項1〜11の何
    れか一に記載の複合材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 活性雰囲気が酸素、二酸化炭素、水の
    うち少なくとも一つ以上を含む活性雰囲気であることを
    特徴とする請求項1〜12の何れか一に記載の複合材料
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 活性雰囲気中の酸素の存在割合が5〜
    50%であることを特徴とする請求項13に記載の複合
    材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 軽合金材料を複合素材に溶浸させる際
    に、反応系周辺に黒鉛、グラファイト、木炭、可燃性材
    料のうち少なくとも一つ以上を配置させることを特徴と
    する請求項12〜14の何れか一に記載の複合材料の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 軽合金材料を複合素材に溶浸させる際
    に、反応系周辺に還元性材料を配置させることを特徴と
    する請求項12〜14の何れか一に記載の複合材料の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 不活性雰囲気下で軽合金材料を前記複
    合素材に溶浸させることを特徴とする請求項1〜11の
    何れか一に記載の複合材料の製造方法。
  18. 【請求項18】 不活性雰囲気が窒素、ヘリウム、アル
    ゴン、ネオン、キセノンのうち少なくとも一つ以上を含
    む不活性雰囲気であることを特徴とする請求項17に記
    載の複合材料の製造方法。
  19. 【請求項19】 減圧状態にすることにより不活性雰囲
    気下にすることを特徴とする請求項17に記載の複合材
    料の製造方法。
  20. 【請求項20】 加圧下で軽合金材料を前記複合素材に
    溶浸させることを特徴とする請求項1〜18の何れか一
    に記載の複合材料の製造方法。
  21. 【請求項21】 複合素材の表面に金属酸化物及び/又
    は金属粉末を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前
    記複合素材に溶浸させてなることを特徴とする複合材
    料。
  22. 【請求項22】 複合素材の表面に金属酸化物及び/又
    は金属粉末を付着及び/又は分散させ、軽合金材料を前
    記複合素材に所定時間所定温度で溶浸させ、さらに溶浸
    させた前記軽合金材料を冷却させて得られることを特徴
    とする複合材料。
  23. 【請求項23】 複合素材が粒子状の粉体及び/又は粒
    子状の粉体を原料として形成される成形体であることを
    特徴とする請求項21又は22に記載の複合材料。
  24. 【請求項24】 バインダを用いて複合素材の表面に金
    属酸化物及び/又は金属粉末を付着及び/又は分散させ
    ることにより形成される成形体を用いて、軽合金材料の
    少なくとも一部分を複合化してなることを特徴とする請
    求項21〜23の何れか一に記載の複合材料。
  25. 【請求項25】 軽合金材料がAl合金であることを特
    徴とする請求項21〜24の何れか一に記載の複合材
    料。
  26. 【請求項26】 金属酸化物が鉄、ニッケル、クロム、
    コバルト、マンガン、及びバナジウムのうち少なくとも
    一つ以上から選択される金属の酸化物であることを特徴
    とする請求項21〜25の何れか一に記載の複合材料。
  27. 【請求項27】 金属酸化物が酸化鉄及び/又は酸化ニ
    ッケルであることを特徴とする請求項26に記載の複合
    材料。
  28. 【請求項28】 金属粉末がNiであることを特徴とす
    る請求項21〜25の何れか一にに記載の複合材料の製
    造方法。
  29. 【請求項29】 複合素材の主体がセラミックスである
    ことを特徴とする請求項21〜28の何れか一に記載複
    合材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1217260A1 (de) * 2000-12-21 2002-06-26 Wacker-Chemie GmbH Riemenscheibe mit mikroprofilierter Oberfläche
JP2006526077A (ja) * 2003-05-23 2006-11-16 ケンナメタル インコーポレイテッド 溶浸マトリックスに保持される硬質成分を含む硬質複合材料を有する耐磨耗部材

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