JPH11322342A - 硫酸第1鉄1水塩の製造法 - Google Patents

硫酸第1鉄1水塩の製造法

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JPH11322342A
JPH11322342A JP15079798A JP15079798A JPH11322342A JP H11322342 A JPH11322342 A JP H11322342A JP 15079798 A JP15079798 A JP 15079798A JP 15079798 A JP15079798 A JP 15079798A JP H11322342 A JPH11322342 A JP H11322342A
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sulfuric acid
ferrous sulfate
iron ore
ore
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JP15079798A
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Shigeyoshi Hayashi
重嘉 林
Sada Kai
貞 甲斐
Masaaki Sakurai
正昭 桜井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄鉱石と硫酸から石炭液化や重質油の水素化
分解など重質炭化水素分解用触媒または触媒原料用に適
した硫酸第1鉄1水塩の製造法を提供すること。 【課題手段】鉄鉱石を70重量%以上の硫酸と140℃
以下の温度で処理して鉱石中のFe23をFeH(SO
42・4H2Oとする第1工程、加水分解してFe2(S
43・H2SO4・8H2Oとした後、金属鉄で還元処
理しFeSO4とする第2工程、蒸発晶析する第3工程
からなる硫酸第1鉄1水塩の製造方法。 【効果】鉄鉱石、硫酸を用い反応経路を適正化すること
により、固液分離性がよく、微粒1次粒子の凝集体であ
る高品質な硫酸第1鉄1水塩を効率的にかつ大量に得る
ことができ、製造コストは設備費、設備関連固定費、比
例費の大巾な低減ができるので安い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】鉄鉱石と硫酸を用いて石炭液化や
重質油の水素化分解など重質炭化水素分解用触媒または
触媒原料用に適した硫酸第1鉄1水塩を効率的に製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硫酸第1鉄は鉄と硫酸の反応により比較
的容易に製造されており、通常、工業的には鉄製品の硫
酸洗滌により発生する廃酸を原料とし屑鉄等で還元した
後、晶析、分離によるか、または酸化チタン製造の際に
副生品として得られている。
【0003】特に前者は1水塩または7水塩として製造
されているが、最近、洗滌液として硫酸の代わりに塩酸
を使用する傾向が増えており、50万トンともいわれる
全生産量の1割程度の生産量になっている。また、後者
は酸化チタンからの鉄の分離が目的であるため7水塩と
して製造されてきたが、昨今、酸化チタン製造法は硫酸
に代えて塩酸を用いる方法が主流となっており、今後副
生量の増加は見込めない。硫酸鉄溶液から晶析によって
硫酸第1鉄1水塩を得るには2通りの方法があり、50
〜100℃の高温度域で硫酸第1鉄1水塩を得る方法
(直接1水塩晶析法)と従来の鉄鋼の酸洗廃液または酸
化チタン製造時のごとく5〜10℃の低温度域で晶析し
て副生品の7水塩を得て、これを脱水乾燥し1水塩を得
る方法(7水塩脱水乾燥法)である。
【0004】従来の技術には特願昭60−50255
(硫酸第1鉄1水塩の製造方法)、特願昭60−144
17(硫酸第1鉄の精製方法)、特願昭58−4326
1(硫酸第1鉄の製造法)、特願平1−239101
(ステンレス鋼酸洗廃硫酸の再生方法)、特願平1−2
04776(ステンレス鋼の硫酸酸洗廃液より高純度硫
酸鉄を回収する方法)、特願昭53−63403(含チ
タン硫酸鉄溶液からの脱チタン法)などがある。
【0005】これらは、硫酸酸洗廃液や酸化チタンの副
生品あるいは他の鉄源を用いる場合硫酸溶解液を予備濃
縮又は硫酸を添加した後、冷却して硫酸第1鉄を得てい
るが、生産性が低く収率アップのため通常、溶解度を下
げるため5〜10℃に冷却せざるを得ないためブライン
を要し、冷凍機の投資が必要で多数の冷却槽を要し運転
費も大となる。しかも設備コスト的な制約があるため、
短時間で行うので小さな結晶になりやすくモザイク集合
物となりやすいので、結晶間に夾雑物が包含されやすく
固液分離性がわるい。
【0006】従って製品中に不純物が多く持ち込まれる
ので、洗滌を強化したり有機溶剤等による再結晶化や晶
析母液の分離、洗滌が容易な様に晶析物の結晶形を大き
くするような条件の選定と装置工夫が必要である。しか
も脱結晶水の負荷が大きいため乾燥機数が多くなるばか
りか塊状の乾燥物となるので粉砕と分級の負荷が増大す
る。その上環境対策面では10重量%程度の希薄硫酸廃
水となるので、高濃度硫酸としての回収は難しく中和し
て廃棄処理するには大きな処理費用を要するなど多くの
問題があり、これらは結局、製造コストの高騰を招いて
いる。
【0007】また、特願昭58−43261は硫酸溶解
の容易な転炉OGダストを有効利用としている限定され
たまれな製造ケースであろう。ところが製鋼用鉄鉱石は
Fe23が主成分であり、硫酸への溶解は簡単に起こら
ない。このため鉱石の溶解性を高め、かつ生産性の高
い、できれば連続溶解の可能な方法を見出す必要があ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、硫酸鉄の異分野
への利用として国内外を問わず、石炭液化や重質油分解
など重質炭化水素の水素化分解触媒または触媒用原料と
しての用途がひらかれつつある。ちなみに石炭3万トン
/日の石炭液化プラントの場合、硫酸鉄1水塩としての
使用量は2.6万トン/月から3.8万トン/月とな
り、従来の製造方法では低コストでの供給不可能であ
る。
【0009】本発明者等は係る状況下において、前記、
従来技術の種々問題点を補うべく鋭意研究の結果、従来
の製造方法では低コストでの供給は不可能という最大の
問題点を解決し、製鋼用鉄鉱石を硫酸処理して得られる
硫酸鉄溶液から微粒の結晶集合体であって、一方、遠心
分離と水洗滌によって容易に母液の硫酸残量の少ない1
水塩を得る晶析条件を見出し、しかも本発明法が従来の
7水塩脱水乾燥法に比し設備費で1/4、比例費で1/
2、総コストで1/3という低コストで、大量かつ安定
な供給を可能とする硫酸第1鉄1水塩の製造方法を提供
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】硫酸鉄は晶析条件によっ
て結晶水が異なり、それぞれ1水塩、4水塩または7水
塩として晶出するが重質炭化水素の水素化分解は高温高
圧の水素化で行われるので硫酸鉄をその触媒として用い
る場合、熱エネルギー節約のために結晶水の少ない1水
塩の方が好ましい。また1水塩はシャーベット状の7水
塩に比べて取り扱いが容易である。また触媒用原料とし
て用いる場合、例えば特願平7−149718のように
高温下で流動反応して硫化する場合でも1水塩の方が好
ましい。この製造にあたってはまず大量に安定した品質
の鉄原料の選択が重要である。
【0011】いうまでもなく、硫酸第1鉄1水塩は触媒
および触媒原料として用いられる場合、反応物との接触
面積を大きくするために1水塩の比表面積はできるだけ
大きいことが求められる。硫酸第1鉄1水塩粒子は凝集
した結晶(1次粒子)の凝集体であるから、個々の結晶
粒子はできるだけ小さいことが望ましい。
【0012】本発明は例えば鉄鋼用鉄鉱石を原料として
硫酸第1鉄1水塩を製造するもので、鉄鉱石を硫酸処理
する第1工程、加水分解、還元反応を行う第2工程、蒸
発晶析、分離を行う第3工程からなる製造法である。
【0013】特に本発明の第3工程の特徴は蒸発晶析で
あるため多重効用缶等を利用した濃縮が可能であり、運
転費も減少でき、しかも多結晶の凝集成長が支配的とな
るため夾雑物を含まないので品質がよい。この凝集粒子
形成については晶析条件にもよるが急速蒸発晶析によ
り、微粒の1次粒子の凝集成長した生成物取得が可能で
ある。
【0014】そのため固液の分離性、および洗滌による
遊離の酸の除去等は容易である。例えば、遠心分離など
によっても簡単で母液の分離が可能であり、少量の水の
スプレー洗滌によって固体中の遊離の酸の濃度は簡単に
下げられる。
【0015】従って、1水塩の取得(乾燥)については
付着水の除去程度でよく負荷は小さく、しかも簡単な風
乾程度でよい。粉砕、分級については簡単な解砕、粒径
調整でよい。従って、製造工程が従来の7水塩脱水乾燥
法では鉄鉱石溶解→スクラップ鉄溶解→冷却晶析→遠心
分離→脱水乾燥→粉砕→分級を経て1水塩を得ることに
なるのに対し、本発明では鉄鉱石溶解→スクラップ鉄溶
解→硫酸添加→蒸発濃縮→遠心分離→乾燥→解砕→粒径
調整を経て1水塩が得られる。また、環境対策でも本発
明の廃水は硫酸濃度が20重量%以上なので、そのまま
リサイクル使用するかまたは濃縮をせずに高濃度硫酸と
して回収が可能である。
【0016】本発明の第1工程では濃度が70〜100
重量%(以下、%は重量%を示す)硫酸に1mm以下に
粉砕した鉄鉱石を加え、80〜140℃で30〜120
分間撹拌する。この時、鉄鉱石あたりの硫酸量はその組
成によって変わるが重量比で4以下で良く、望ましくは
2〜2.4、温度は105〜120℃、時間は60分程
度である。この条件では鉄鉱石は処理時間の経過と共に
泥状化し、スラリー粘性を高め、次第に構造破壊が認め
られ、さらに時間の経過と共に灰白色〜白色の半固化状
となり、鉄鉱石中のFe23はFeH(SO42・4H
2O、FeOはFeSO4となることを見出した。また走
査型電子顕微鏡観察を写真1に示すが、Fe23を主成
分とする緻密構造の鉄鉱石が構造組み替えをしながらポ
ーラスで網目状の水溶性タイプに進行していることがわ
かる。
【0017】特に、このFeH(SO42・4H2Oへ
の反応の完結は硫酸量の依存性が強く、硫酸量が不十分
であると加水分解・還元反応の際、Fe2(SO43
2SO4・8H2Oを経由するFeSO4の生成反応が阻
害されることと、しかも一定濃度の遊離の酸濃度が保た
れないと逆反応物であるFe23およびコロイダル状の
Fe(OH)3、FeO(OH)の生成が見られるよう
になる。このように不溶解生成物が多くなると分離工程
の負荷の増大を招き、製造コストの高騰につながること
になる。一方、硫酸が過剰の場合はその原単位が増大す
るばかりでなく、それを中和して遊離の硫酸濃度を一定
に維持するために消費する鉄の量が多くなり、それも製
造原価を高めることになる。
【0018】従って、かかる望ましくない状況を防止、
抑制するために第2工程では温度50〜100℃、遊離
の酸濃度は5%以上であれば良いが、一方あまり高濃度
過ぎると還元反応中に溶解度が下がり硫酸第1鉄が析出
してくるので操作上やりにくい。従って、望ましくは温
度65〜80℃、遊離の酸濃度は10%程度が良い。
【0019】次に第2工程の還元反応の効率は還元剤の
種類、形態、接触の方法、温度、時間などの条件に大き
く依存する。また溶解した鉄のうち、3価の鉄イオンは
2価の鉄イオンに還元する必要があるが、安価でかつ少
ない還元剤で効率よく行うことが求められる。すなわ
ち、還元剤としてはスクラップ鉄、鉄粉や還元鉄が使わ
れ、これらは容易に硫酸に溶解して硫酸鉄になるが、ス
クラップ鉄の価格は鉄鉱石(鉄分あたり)に比べて高
く、また大量のスクラップ鉄を集めるのはむつかしいの
で、その量をできるだけ減す必要がある。就中、Fe+
Fe23+3H2SO4→3FeSO4+3H2Oの基本式
に従うものとすると、理論的には3価の鉄の還元には等
原子比の鉄(0価)を必要とする。しかし、実質的には
水素の発生があり、還元ロスを考えねばならない。還元
剤の物理的性状や環境条件から適正な還元効率を設定す
る必要があるが、この種の還元反応では3価の鉄の2価
の鉄への還元が進行すれば良く、遊離の酸の完全な中和
は必要でない。
【0020】種々の還元剤を用いて検討したが、粉末冶
金用鉄粉のケースでは、加水分解温度65℃、遊離の酸
濃度5%、還元効率78%の条件では3価の鉄の2価の
鉄への転換収率88.6%であり、同じ条件下で遊離の
酸濃度10%では、転換収率96.3%であった。一方
加水分解温度100℃、遊離の酸濃度5%、還元効率
(鉄鉱石中の3価鉄量を還元剤中の鉄の2倍量で除した
百分率)78%の条件では転換収率92.1%であり、
同じ条件下で遊離の酸濃度10%では、転換収率95.
5%であった。
【0021】すなわち、この還元反応の安定性は温度よ
りも遊離の酸濃度に強く依存することから、遊離の酸濃
度は10%が望ましいと言える。また、用いる還元剤は
キリコ、ダライコ、還元鉄等のスクラップ鉄、転炉OG
ダスト等安価でかつ多量に集荷できるものが望ましい。
【0022】上記本発明の製造法は鉄鉱石の硫酸処理の
第1工程と加水分解、還元反応の第2工程とを同時に行
ってもよい。例えば、予めよく混合した鉄鉱石と還元用
鉄粉を硫酸中に加え、撹拌しながら120℃、60分保
つ。この場合は鉄鉱石と硫酸の反応物であるFeH(S
42・4H2Oと還元用鉄粉が高分散しているので、
加水分解後の還元反応効率がよい。具体的な数値で示す
と、たとえば鉄鉱石50g、硫酸110g、還元用鉄粉
15g、水430gを用いて、第1工程と第2工程を別
々に行った場合、鉄鉱石中の鉄の溶解率は85%、3価
の鉄の2価の鉄への転換収率95%であったが、硫酸処
理の第1工程、加水分解、還元反応の第2工程を同時処
理したものは同様にして95%および91〜96%であ
った。
【0023】すなわち、別々に行った場合はFeH(S
42・4H2Oの加水分解の時、逆反応によりFe2
3を生じやすいが、同時処理の場合は高分散化した還元
用鉄粉が加水分解反応および還元反応の同時進行に効果
的であることがわかった。
【0024】第3工程の特徴は50℃〜100℃の高温
域で晶析、分離である。特に、第1図に示す破線Bより
右側ゾーンであればFeSO4・H2Oの取得が可能であ
り、最大の利点としては高品質で固液分離性の良いFe
SO4・H2Oが得られることであって、母液の分離が良
く、分離後の粗硫酸第1鉄1水塩中の遊離の酸の除去
が、簡単なスプレー洗滌などで行えることである。たと
えば晶析液(FeSO4・H2O 23.7%、遊離の酸
濃度10%)を80℃で遊離の酸濃度17.9%まで蒸
発晶析した後、2,000rpm×5分間遠心分離し、
収率86.1%でFeSO4・H2Oを得た。この粗硫酸
第1鉄1水塩中には重量で9.1%の遊離の酸が含まれ
ていたが、粗硫酸第1鉄1水塩と等量の水でスプレー洗
滌することにより遊離の酸は0.9%まで低下した。一
方、常温での晶析、分離および通常の5〜10℃の冷却
法では固液分離の負荷が増大する一方、洗滌を強化して
も最終硫酸鉄中の遊離の酸は3%以下にはならないこと
がわかった。
【0025】以上、本発明は鉄鉱石を硫酸処理する第1
工程、加水分解、還元反応を行う第2工程、蒸発晶析、
分離を行う第3工程からなる製造法であって、鉄鉱石の
種類を問わないこと、しかも硫酸処理、加水分解、還元
反応において{FeH(SO42・4H2O、Fe2(S
43・H2SO4・8H2Oを経由することにより}逆
反応を防止し、第1硫酸鉄を効率よく選択的に生成せし
めること、しかも第3工程の晶析を50〜100℃の高
温域で行うことによってあるから結晶成長がはやく、夾
雑物も包含されにくく、従って固液分離性も良くし分離
後の洗滌が容易であること等の従来の製造法にない利点
を有する。
【0026】通常、鉄鉱石を原料とする場合、硫酸化合
物を生成する成分が多いほど製造コストは高くなるの
で、これらの含有率の低い鉄鉱石を選択することが必要
であり、加水分解、還元反応後の不溶解物、および晶析
後の濃縮母液をリサイクル使用する限り、アルミナ、C
aO、MgO、TiO2等が蓄積してくるのは避けられ
ない。
【0027】これに対して本発明はかかるリサイクル液
については重力沈降または遠心分離による比重差分離お
よび磁粒選鉱などにより鉄源の回収設備を設けることに
よって硫酸第1鉄1水塩が高収率で得られる特徴を有し
ている。
【0028】本発明のプロセスを図2に従って具体的に
述べる。先ずニーダー槽1に1mm以下に粉砕した鉄鉱
石2、濃硫酸3および回収硫酸からなる70重量%濃度
以上の硫酸、回収した鉄4を供給し、温度105〜12
0℃でペースト化状になるまで混合を継続する。鉄鉱石
は通常、60〜90分でその構造が破壊され、5マイク
ロメートル程度の鱗片状格子の連鎖した集落物となり原
料鉄鉱石の形骸を残した灰白色状ペーストとなる。鉄鉱
石中のFe23はFeH(SO42・4H2O、FeO
はFeSO4に変わる。
【0029】次いで内容物を加水分解槽5移送し回収硫
酸および水6を投入してFeSO4濃度をほぼ20重量
%、遊離の酸濃度をほぼ10重量%、温度60〜80℃
で15〜60分撹拌するとするとFeH(SO42・4
2Oは加水分解されFe2(SO43・H2SO4・8H
2Oになる。
【0030】次に溶解液を還元槽7に移し、60〜80
℃で還元剤8を加え硫酸第1鉄溶液を得る。不溶解物を
含むスラリー9は分離機または沈殿槽10にかけ、不溶
解物12と分ける。得られた分離液と還元終了後の上澄
液と合わせて晶析原液11とし、例えば多重効用の蒸発
晶析缶より構成される1段目蒸発晶析缶13へ送入す
る。1段目蒸発晶析缶13では缶内を80℃に保ち硫酸
濃度を液濃度基準でほぼ30重量%まで濃縮した後、2
段目蒸発晶析缶19へ移送し、65℃に保ち硫酸濃度を
液濃度基準でほぼ50重量%まで濃縮する。晶出したF
eSO4・H2Oスラリー14を分離機15にかけ、含酸
FeSO4・H2Oを水16で洗滌して1%以下の遊離の
酸を含むFeSO4・H2O17を得る。
【0031】晶析物は高温での晶析であるため平均径
0.3マイクロメートルの多結晶が凝集成長した50〜
150マイクロメートルの2次粒子となって、固液分離
性に優れ、しかも夾雑物を含まぬ良品質の1水塩とな
る。1段蒸発晶析缶13および2段蒸発晶析缶19での
濃縮は蒸発負荷を軽減するため、硫酸を添加するなどの
溶解度を下げる方法を併用すればさらに有効である。晶
析物を取り除いた分離液21は濃度調整後ニーダー槽1
に循環し、再び溶解に供する。ただし、安定した硫酸第
1鉄1水塩の品質を維持するため循環ライン22などよ
り必要に応じ1部または全量を抜き出して、処理槽23
で比重差分離または磁気分離を行って鉄分24とシリカ
等を主成分とする夾雑物25の分別を行い、回収した鉄
分24はニーダー槽1に循環する。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れらの例に限定されるものではない。また、原料、生成
物の解析に用いた機器は以下の通りである。 粒度分布測定:セイシン企業製LMS−24型マイクロ
ンサイザー 走査型電子顕微鏡:日立製作所製S−900およびS−
2700 X線回折:RIGAKU社製RINT−2000組成分
析:セイコー電子工業製SPS1200VR型によるI
CP発光法およびDu Pont社製902H型水分計
【0033】実施例1 下記第1表に示すインド産鉱石51.2g、濃硫酸12
3gを加えて撹拌しながら120℃に維持すると、緻密
構造の鉄鉱石は次第に形態を変え、図3、a,bの走査
型電子顕微鏡写真に示すように、構造組み替えをしなが
らポーラスで網目状の中間品へ進行した。60分間保
ち、FeH(SO42・4H2OおよびFeSO4・H2
Oを主成分とするペーストを得た。次いで加水分解する
ため回収水、水を370gおよび回収硫酸44gを加え
60〜80℃、15〜30分保ちFeH(SO42・4
2OをFe2(SO43・H2SO4・8H2Oとした。
次に還元剤として鉄粉16gを60分かけて少量ずつ加
え、3価の鉄を2価の鉄に還元した。この液より不溶解
物を分離したものを晶析用母液をとし、65℃に保ち遊
離の酸濃度18.4%まで蒸発晶析を行い、晶析物を遠
心分離することによって123.2gのFeSO4・H2
Oを得た。これをほぼ等重量の水を用いスプレーして洗
滌し、同伴する遊離の酸の除去を行った。 ◇
【表1】
【0034】本製造法による各工程の収率は下記の通り
である。 (溶解、還元工程) 還元設定効率:78.0% 晶析母液2価鉄収率:90.0% 不溶解率:7.6% (晶析工程) FeSO4・H2O取得率:90.8% 不明ロス:0% (洗浄工程) FeSO4・H2O取得率:96.3% 遊離の酸含有率:0.92%
【0035】洗滌、乾燥後の生成物はX線回折の結果、
全て1水塩でありしかも結晶子サイズは54.2ナノメ
ートルであった。また走査型電子顕微鏡観察を写真2に
示すが、1次粒子は150ナノメートル程度であり、2
次粒子は多結晶体の凝集成長したものと考えられ、粒度
分布測定の結果、50%平均粒径は121マイクロメー
トルであった。組成分析についてはFe:32.53
%、SO4:55.91%、結晶水:10.48%、遊
離の酸:0.92%、付着水:0.15%であった。
【0036】実施例2 インド産鉱石40.0g、濃硫酸104g、回収水、水
を387gおよび回収硫酸46g、還元剤として鉄粉2
3gを用いること以外、実施例1と同様に行った。晶析
液は遊離の酸濃度21.1%まで蒸発晶析を行い、12
2.4gのFeSO4・H2Oを得た。 (溶解、還元工程) 還元設定効率:43% 晶析母液2価鉄収率:90.7% 不溶解率:6.2%(晶析工程) FeSO4・H2O取得率:89.5% 不明ロス:3.1% (洗浄工程) FeSO4・H2O取得率:92.5% 遊離の酸含有率:0.90%
【0037】洗滌、乾燥後の生成物はX線回折の結果、
全て1水塩であり結晶子サイズは57.7ナノメートル
であった。また走査型電子顕微鏡観察結果は1次粒子は
150ナノメートル程度であり、2次粒子は多結晶体の
凝集成長したものと考えられ、粒度分布測定の結果、5
0%平均粒径は88マイクロメートルであった。
【0038】比較例 西オーストラリア産イルメナイト鉱石を硫酸溶解した液
から酸化チタンを製造する際、5〜10℃まて冷却晶析
して得られたスラリーを遠心分離、洗滌し乾燥して硫酸
鉄の7水塩を得た。次いで、110〜150℃で流動乾
燥し1水塩を得た。1水塩の組成分析はFe:31.6
9%、SO4:55.34%、結晶水:10.44%、
Mn:1.14%、Ti:0.08%、遊離の酸:1.
06%、付着水:0.25%であった。
【0039】
【発明の効果】以上説明した本発明の効果を列記すると
下記のとおりである。 (1)反応経路の適正化により、鉄鉱石の完結溶解、加
水分解、還元および晶析が標準化され、硫酸第1鉄1水
塩が効率的にかつ大量に製造できる。 (2)晶析はブライン冷却が不要、低圧スチームを用い
る蒸発濃縮である。 (3)微粒1次粒子の凝集体であるため固液分離性がよ
く、しかも乾燥は付着水の除去でよく高品質な硫酸第1
鉄1水塩である。 (4)従って設備費、設備関連固定費、比例費の大巾な
低減ができるので製造コストが安い。
【図面の簡単な説明】
【図1】硫酸鉄の溶解度曲線(水和物形態ー温度ー硫酸
濃度)の関係を示したグラフ。
【図2】本発明の硫酸鉄製造工程を示した系統図。
【図3】aは実施例1の鉄鉱石硫酸処理中間品の走査型
電顕写真。bは該中間品の拡大走査型電顕写真。
【図4】本発明の製造法による硫酸鉄の走査型電顕写
真。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄鉱石を濃度が70重量%以上で、かつ
    鉄鉱石あたり重量比で4以下の硫酸と140℃以下の温
    度で処理して鉱石中のFe23をFeH(SO42・4
    2Oとする第1工程、次いでこれを加水分解してFe2
    (SO43・H2SO4・8H2Oとした後、金属鉄で還
    元処理しFeSO4とする第2工程、蒸発晶析する第3
    工程からなることを特徴とする硫酸第1鉄1水塩の製造
    方法。
JP15079798A 1998-05-15 1998-05-15 硫酸第1鉄1水塩の製造法 Withdrawn JPH11322342A (ja)

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