JPH11321635A - 案内軌道車両用懸架装置 - Google Patents

案内軌道車両用懸架装置

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JPH11321635A
JPH11321635A JP12592498A JP12592498A JPH11321635A JP H11321635 A JPH11321635 A JP H11321635A JP 12592498 A JP12592498 A JP 12592498A JP 12592498 A JP12592498 A JP 12592498A JP H11321635 A JPH11321635 A JP H11321635A
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JP12592498A
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Hiroyuki Mochitome
裕之 持留
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、案内軌道がもたらす衝撃的な横方向
の振動を、ローリングの収れんに影響を与えずに効果的
に吸収できるようにした案内軌道車両用懸架装置を提供
する。 【解決手段】本発明の案内軌道車両用懸架装置は、車幅
方向に並ぶ平行リンク部材11,11間に、同リンク部
材とともに車幅方向の動きを規制するばね力をもたらせ
るラーメン構造50を構成する横梁51を設け、台車1
と車体3との間に車幅方向にずれるときの衝撃力を減衰
するオイルダンパ60を設け、さらに台車1と車体3と
の間の相対ずれ量を規制するストッパ機構70を設け
て、平行リンク部材11,11によるローリングを収れ
んさせる機能とは独立して、台車1に加わる横方向の衝
撃的な振動の減衰を行えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、案内軌道によって
車輪が操舵される案内軌道車両を懸架する案内軌道車両
用懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両には、案内車輪を用いた操舵機構を
採用して、無人で、予め設置してある案内軌道に沿って
路面を走行させる、案内軌道車両と呼ばれる車両があ
る。こうした案内軌道車両に用いられる懸架装置には、
従来、図13〜図15に示されるような台車1に、上下
方向、ロール方向、進行方向、横方向の振動成分に対す
る対策を施した台車装置2が用いられている。
【0003】すなわち、車体3を支える台車1には、例
えば両側を車幅方向両側に配置させて略コ状に組んだ台
車枠4が用いてある。この台車枠4の両側部をなす部材
の下部には、車幅方向に延びる車軸本体5が連結された
一対の車軸支持体5aが固定してある。これら車軸本体
5の各端部に、それぞれ車輪7(通常はタイヤ)が車輪
支持部材、例えば左右方向の操舵を可能とするナックル
(図示しない)、車軸7aを介して、回転自在に取り付
けてある。そして、この台車枠4の上面には、懸架用弾
性部材、例えば懸架用空気ばね8を介して車体3が取り
付けられ、車輪7により台車1および車体3の重量を受
ける(荷担)構造にしてある。なお、懸架用空気ばね8
には、図示しない空気源装置から圧縮空気を受けて、車
体3の静的な高さが適当な一定値になるように制御され
る構造が用いてある。そして、リンクやロッドを用いた
連結構造で、台車1/車体3間を移動自在に連結してあ
る。
【0004】案内軌道車両では、この連結構造を用い
て、加わる移動を吸収することが行われている(懸架用
空気ばね8以外)。その1つは、例えば平行リンク機構
10によって台車1と車体3との間を上下方向に移動自
在に連結する構造を用いて、振動の吸収を行うものであ
る。
【0005】同構造について説明すれば、上下に移動自
在に連結する構造は、例えば台車枠4の進行方向後側と
なる車体3の下面、詳しくは車体3の車幅方向両側の下
面部分に、一対のブラケット9を立ち下げて固定し、こ
れら各ブラケット9と台車枠4の車幅方向両側部との間
をそれぞれ平行リンク機構10で連結して、車体3の車
幅方向両側を独立して懸架してある。
【0006】具体的には、左右両側の平行リンク機構1
0は、ブラケット9の上側部(根元側)と車体枠4の両
側を形成する部材との間に延びる平行リンク部材11
と、ブラケット9の下部(先端側)と例えば車軸支持体
5aの下部(先端側)との間に延びる平行リンク部材1
2とを有している。そして、下部側の平行リンク部材1
2の一端部は、ブラケット9の下部に例えばピン構造で
上下方向に回動自在に連結され、他端部は車軸支持体5
aに球面ブッシュ(図示しない)を用いて、上下および
左右方向に回転自在に連結してある。上部側の平行リン
ク部材11の一端部は、図16、図17および図18
(b)に示されるように例えばゴムブッシュ14、球面
ブッシュ15を用いて台車枠4の両側部分をなす部分に
上下および左右方向に回動自在に連結してある。また平
行リンク部材11の他端部は、他端部間を連結している
例えば断面円形のトーションバー16と一緒に、ブラケ
ット9の上側部に上下方向に回動自在に連結してある。
すなわち、トーションバー16は、車両進行方向に対し
直交する方向、具体的には車幅方向(水平方向)に配置
されていて、これらの両端部に平行リンク部材11の他
端部が例えばスプライン構造などで連結してある。この
固定部を挟むトーションバー16の両端部分は、ゴムブ
ッシュ20を介し、軸受ケース17、軸受カバー18を
用いて、押えボルト19により、ブラケット9の上側部
分に回転自在に取り付けてあり、台車3の車幅方向両側
をそれぞれ独立して上下方向に移動可能に支えてある。
【0007】この支持構造のトーションバー16によ
り、ローリングを収れんするスタビライザ機能、また各
ブッシュにより振動を吸収する機能を得ている。また他
の構造として台車1と車体3との間には、例えば一対の
平行リンク機構10の機能を補う機構、具体的には台車
1からの振動をある程度吸収し、また台車1と車体3と
の相対変位を規制するものとして、ラテラルロッド機構
22が組み付けてある。同機構22は、図13、図15
および図19に示されるように例えば台車枠4の正面側
に車幅方向に沿って配置されたラテラルロッド23から
構成される。同ラテラルロッド23は、例えば鋼製の軸
部材で構成されていて、その一端に形成されている目玉
部23a(一端部)が、台車枠4の左右方向片側の部分
に設置された軸受24に回転自在に支持してある軸部2
5に、ゴムブッシュ26を介して回転自在に支持してあ
る。またラテラルロッド23の他端に形成されている目
玉部23b(他端部)が、車体3の車幅方向他側の下面
部に設置された軸受27に回転自在にしてある軸部28
に、ゴムブッシュ29を介して回転自在に支持してあ
り、この台車1/車体3との間を連結するラテラルロッ
ド23により、台車1と車体3との間の相対変位量を規
制するようにしている。と同時に各ブッシュにより振動
の吸収が行えるようにしている。
【0008】案内軌道車両は、こうした振動の吸収構造
を用いて、乗り心地に影響を及ぼす、各成分の振動を吸
収することが行われている。すなわち、例えば図20
(a)に示す案内軌道車両の一部平面図、図20(b)
に示す同案内軌道車両の正面図を用い、車両における進
行方向の振動をX方向とし、進行方向に対して直交する
方向、すなわち横方向の振動をY方向とし、車両の上下
方向の振動をZ方向とし、車両の重心点(P点)を中心
に二点鎖線に示されるように回転する振動、すなわちロ
ーリングをθ方向の振動として図示すれば、ローリング
はつぎのようにして収れんされる。
【0009】ローリングは、風、車両旋回時の遠心力に
よりθ方向に車体3が振動するものである。具体的に
は、一般に懸架用空気ばね8はばね定数が低いので、車
体3は、風、車両旋回時の遠心力を受けると、ローリン
グを起こす。このローリング状態としては、各平行リン
ク機構10の台車枠4側における支持点が水平を保ち、
ブラケット9側における支持点が、車体3に固定された
ブラケット9と共に、交互に上下方向に振動する。
【0010】この振動のときは、懸架用空気ばね8は有
効でなく、各平行リンク部材11をつないでいるトーシ
ョンバー16のばね力がローリングを収れんする。すな
わち、上部側で並ぶ各平行リンク部材11間を一体的に
結合しているトーションバー16は、ローリングを受け
ると左右両側から曲げとねじり作用を受ける。この曲げ
およびねじり剛性の反力がローリング状態から正規位置
へ戻す作用力となって、ローリングを次第に静止状態に
収れんさせる。
【0011】上下方向(Z方向)の振動は、懸架用空気
ばね8によって収れんされる。懸架用空気ばね8のばね
定数は十分に小さいので、走行中における台車1からの
比較的高周波成分の多い振動は十分に吸収される。
【0012】また案内軌道車両の進行方向(X方向)の
振動は、図14、図16、図17および図18に示され
るように平行リンク機構10の各平行リンク部材11、
12の各支持点に介在されているゴムブッシュ14,2
0が緩衝材として作用して、振動を吸収する。
【0013】さらに案内軌道車両の横方向、すなわちY
方向の振動は、図19に示されるようにラテラルロッド
23の各支持点をなす軸受24,27内のゴムブッシュ
26,29によって吸収される(ラテラルロッド21自
体は、鋼製のロッドであり、剛性が高いので、振動の吸
収材とはなり得ない)。
【0014】ところで、案内軌道車両では、予め路面の
左右に設置してある案内軌道30にならって車輪7の向
きを変える操舵機構31が組み付けことが行われてい
る。この操舵機構31には、図13〜図15に示される
ように例えば台車枠4の前方端に、車幅方向に延び両端
に案内輪32を有する案内杆33を、回動部、例えば回
動アーム34、連結板35を介して、車幅方向に移動自
在に据え付け、連結板35の変位を車輪7に伝える案内
装置37が用いられている。この案内装置37には、例
えば連結板35と左右車輪7の一方のナックル(図示し
ない)から前方へ延びるてこ杆36との間をタイロッド
39で回動自在に連結する構造と、左右車輪7の両ナッ
クルから後方へ延びるてこ杆40間をタイロッド41で
回動自在に連結する構造とを組み合わせた構造が用いて
ある。なお、各タイロッド端は、ピンなどの回動自在な
連結構造で相手側の部材に固定してある。
【0015】こうした操舵機構31は、案内輪32が、
案内軌道車両の走行中、カーブに敷設してある案内軌道
30の部分に押されると、案内杆33が横方向へ変位し
て、同変位が連結板35、タイロッド39を経て、てこ
杆36へ伝わり、同てこ杆36の支点を案内杆33と同
方向に動かし、右側の車輪7を案内杆33と同方向の向
きを変える。と同時にてこ杆36に伝わる変位が、タイ
ロッド41から左側の車輪7のてこ杆40に伝わり、左
側の車輪7も同方向に同じ角度だけ向きを変える。すな
わち、案内杆33の左右への変位量に比例して、左右車
輪7の舵取りが行われる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、案内軌道車
両において横方向振動の最大の起振力は、車両が操舵さ
れる際、案内輪32を介して伝播される案内杆33から
の衝撃な負荷である。すなわち、案内軌道30に沿って
走行している案内軌道車両が、例えばカーブにさしかか
るようになると、まず、案内輪32が案内軌道30に接
触する。ついで、案内軌道30からの押圧力を受け、こ
の押圧力が案内杆33に伝えられ、台車枠4、ラテラル
ロッド21などを介して車体3に伝播する、という経路
をたどる。
【0017】この押圧力が、車両が走行中においては衝
撃的な大きな負荷として作用する。しかも、案内輪32
と案内軌道30とは間欠的に頻度高く接触するので、か
なり衝撃的な振動が車体3に伝播するという挙動を示
す。
【0018】ところが、横方向の振動を吸収するラテラ
ルロッド23のゴムブッシュ26は、こうした案内輪3
2、案内杆33からの衝撃的な大きな振動は十分でな
く、あまり振動が吸収できない。
【0019】このため、衝撃的な振動が車体3上の乗客
に伝播し、乗り心地を著しく悪くしている。しかも、案
内軌道車両は、案内輪32と案内軌道42との接触が避
けられない。そのうえ、横方向の振動吸収のために、ロ
ーリングを収れんさせる機能を損なってはならないの
で、こうした事情を考慮した技術、すなわち乗り心地を
良くするために車両の横方向(Y方向)の振動を吸収す
る技術が待たれている。
【0020】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、案内軌道がもたらす衝撃
的な横方向の振動を、ローリングの収れんに影響を与え
ずに効果的に吸収できるようにした案内軌道車両用懸架
装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載した案内軌道車両用懸架装置は、車体
を弾性支持し、該車体との間が、車幅方向両側から、進
行方向前後方向に延びる平行リンク部材によって上下方
向に移動自在に連結され、案内軌道が設置された路面を
移動する台車と、台車の車輪の向きを前記案内軌道にな
らって変える操舵機構とを有して構成される台車装置を
有し、車幅方向に並ぶ平行リンク部材間に、同リンク部
材とともに車幅方向の動きを規制するばね力をもたらせ
るラーメン構造を構成する横梁を設け、車体と前記台車
との間に両者が車幅方向にずれるときの衝撃力を減衰す
るダンパを設け、さらに車体と台車との間に車幅方向に
ずれる車体と車体との相対ずれ量を規制するストッパ機
構を設けて、車体のローリングを収れん可能とする平行
リンク部材を利用して、同平行リンク部材によるローリ
ングを収れんさせる機能とは独立して、効果的に台車に
加わる横方向の衝撃的な振動の減衰を行えるようにした
ことにある。
【0022】請求項2に記載の案内軌道車両用懸架装置
は、ローリングを収れんさせるトーションバの機能を損
なわないですむようにするために、横方向からの衝撃的
な振動を吸収できるよう、横梁に、主断面二次モーメン
トが異なり、かつ少なくとも曲げ剛性が高い側の断面が
中央付近で細くなるように形成された部材で、同部材の
曲げ剛性の高い側を平行リンク部材がなす平面に一致さ
せて配置した梁部材を用いたことにある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図12
に示す一実施形態にもとづいて説明する。但し、図面に
おいて、先の上述した「従来の技術」と同じ部分には同
一符号ヲ付してその説明を省略し、この項では異なる部
分(発明の要部)について説明する。
【0024】本実施形態は、車幅方向(横方向:Y方
向)からの衝撃的な振動を吸収するべく、台車1と車体
3との車両進行方向(X方向)の相対位置を規制する左
右の平行リンク機構10の上側で、車幅方向(平面方
向)に並んでいる平行リンク部材11、11に、Y方向
(車両進行方向に水平直角な方向)の動きを規制するば
ね作用をもたらせて振動を逃がすラーメン構造50、そ
の衝撃的な振動を減衰するオイルダンパ60(本願のダ
ンパに相当)、さらには過大な変位を規制するストッパ
機構70を採用した点で異なる。
【0025】ラーメン構造50は、図1および図4に示
されるようにトーションバー16と同一水平面に配置さ
れている上側の平行リンク部材11,11間で、台車1
との連結部に近い地点に、平行リンク部材11と直交す
る方向に横梁51に架設して構成され、同横梁51の追
加によって、リンク部材11とともに車幅方向の動きを
規制するばね力をもたらせるようにしてある。
【0026】具体的には、横梁51は、主断面二次モー
メントが異なる断面をもつ部材、例えば断面形状が長方
形をなした帯板状の梁部材が用いられる。そして、横梁
51は、曲げ剛性が高い側である長辺が車両の進行方向
に一致するようように水平に配置され、端部を溶接など
にで各リンク部材11に固定してある。これにより、横
梁51は、平行リンク部材11がなす平面に、曲げ剛性
の強い方を一致させて配置される。また横梁51のう
ち、曲げ剛性が高い側の断面は、中央付近でくびれて細
くなっていて、同部分のねじり剛性を低下させて、トー
ションバー16に影響を与えずに、Y方向の振動を吸収
するのに適した曲げ剛性、すなわちばね作用を与えるラ
ーメン構造を構成している。なお、横梁51は、上側の
平行リンク部材11、11間(車幅方向)でなく、下側
の平行リンク部材11,11間(車幅方向)に設けて
も、あるいは両方の平行リンク部材11,11間(車幅
方向)に設けても、同様なばね作用が得られる。
【0027】オイルダンパ60は、図3、図7および図
8に示されるようにラテラルロッドの代わりに台車枠4
の前部に設けてある。このオイルダンパ60から延びる
一方の軸端部は、ラテラルロッドのときと同様、図9に
示されるようにゴムブッシュ61を介して、台車枠4に
取り付けてある軸受62に回動自在に支持されている。
また他方の軸端部も同様に、ゴムブッシュ63を介し
て、車体3に取り付けてある軸受64に回転自在に支持
されており、オイルダンパ60の伸縮変位から、台車1
と車体3とがY方向にずれるときの衝撃力を減衰するよ
うにしてある。なお、オイルダンパ60は一般的に高周
波の振動に対しては剛に働き、低周波の振動になる程、
マイルドに効くために、ここでは特に案内軌道車両のY
方向振動の周波数に適合した周波数特性をもつオイルダ
ンパ60が選定してある。
【0028】ストッパ機構70は、図1、図3および図
10に示されるように例えば車幅方向に延びている車軸
本体5と対応する車体3の下面に例えば板状に形成され
たストッパ71をボルトなどで固定し、車軸本体5の上
面に、ストッパ71を車幅方向両側から挟むように一対
のストッパ受72をボルトなどで固定して構成してあ
る。そして、ストッパ71と両ストッパ受72との間に
は、それぞれ隙間が形成されていて、異常な横荷重が加
わると、両者が当接して、過大なY方向の変位(相対ず
れ量)を規制できるようにしてある。なお、同隙間は、
上下、左右方向とも十分な隙間量が確保してある。また
ストッパ受72のストッパ面(ストッパ71と当接する
面)には、それぞれゴムまたはゴム状の緩衝材73が取
り付けられていて、当接の衝撃を吸収できる構造にもし
てある。
【0029】しかして、このように構成された案内軌道
車両の懸架装置において、今、例えば案内軌道車両がカ
ーブにさしかかり、案内輪32が案内軌道30と接触し
て、案内杆33が案内軌道42から衝撃(起振力)を受
けたとする。
【0030】このとき、この衝撃力の一部は、車輪7、
7の弾性変形により吸収されるものの、大部分は台車1
から、両者間を連結している各部を通して、車体3へ伝
播されるようとする。
【0031】ここで、連結部の一つである懸架用空気ば
ねは、Y方向(横方向)の力に対して殆ど抵抗力が無
く、振動の吸収は期待できない。また下側の平行リンク
部材12も曲げ剛性が小さいので、振動の吸収ができな
い。しかも、両リンク部材12の軸受部内のゴムブッシ
ュ15,20の変形による振動の吸収も期待できない。
【0032】この振動吸収が難しいとされる台車1から
の衝撃的な振動が、本発明に係る横梁51およびオイル
ダンパ60を含む平行リンク機構10で緩衝および吸収
される。
【0033】すなわち、図11に示されるように上側の
平行リンク部材11,11は、台車1との連結部に近い
部分で、同リンク部材11,11間の同一平面となるよ
う横梁51を固定して、トーションバー16と共にラー
メン構造を構成しているので、上部側の平行リンク部材
11,11の曲げ剛性は適当に高い。
【0034】このことは、図11中の一点鎖線に示すよ
うに案内杆33から加わる衝撃的な横荷重、すなわちY
方向の力に対し、上側の平行リンク部材11,11およ
び横梁51は一体的に弾性変形を起こし、その負荷を受
け止め吸収する。
【0035】またこのとき衝撃的な横荷重は、オイルダ
ンパ60に加わり、同オイルダンパ60の収縮変位に
て、衝撃力が減衰されていく。なお、このとき加わる横
荷重が過大であるときは、ストッパ71がストッパ受7
2と当接して、過大な変位を規制する。
【0036】したがって、このように行われる振動の吸
収、減衰の相乗効果により、車体3上における乗客の乗
り心地は良好を著しく改善できる。しかも、各上側の平
行リンク部材11,11は、独立して上下方向に変位が
可能なので、車体3のローリング(図20中、θ方向の
振動)に伴い、ブラケット9,9が交互に上下方向に相
対変位すると、図12(a)に示す静止状態から同図
(b)に示すように変位して、トーションバー16の反
力でローリングを収れんさせるので、ローリングの収れ
んを損なうことはない。むろん、このとき平行リンク部
材11,11に固定されている横梁51も図12に示さ
れるように変形して、収れんを助ける。特に横梁51の
相対変位は、静止点(台車側の支持点)に近くで行われ
ので、ブラケット9,9側の相対変位に比較して小さ
く、また横梁51は、曲げ剛性が十分に小さくなるよう
に配置した板状を用いているので、ローリング(θ方向
の振動)に影響を与えるものではない。加えて、横梁5
1は、中央の曲げモーメントが発生しない部分を細くし
て、ねじり剛性を小さくしてあるので、車体3がローリ
ングする際、横梁51のねじり応力が発生しても、実質
的にローリングによるトーションバー16への影響はな
い。このことはY方向のばね剛性とトーションバー16
のねじり剛性を各々独立に設計できるともいえ、乗り心
地の向上に多大に貢献する。
【0037】なお、上述した一実施形態では横梁に帯板
を用い、ダンパにオイルダンパを用いた例を挙げたが、
それ以外の形状の梁部材、異なる種類のダンパを用いて
もよい。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、台車/車体間を支持する車幅方向に並ぶ平
行リンク部材間に横梁を付加して、車幅方向に適切なば
ね剛性を与える構造、同方向の衝撃を減衰するダンパ、
過大な変位を規制するストッパ機構の採用により、ロー
リングの収れんをもたらすトーションバー影響を与えず
に、案内軌道がもたらす衝撃的な横方向の振動を効果的
に吸収できる。
【0039】したがって、車体上の乗り心地を良好にす
ることができる。特に車幅方向にばね剛性を与える構造
とダンパによる減衰構造の相乗効果により、著しく乗り
心地を改善することができる。
【0040】しかも、主断面二次モーメントが異なり、
かつ少なくとも曲げ剛性が高い側の断面が中央付近で細
くなるように形成された横梁を用い、同部材の曲げ剛性
の高い側を平行リンク部材がなす平面に一致させて配置
したので、横梁の中央の曲げモーメントが発生しない部
分はねじり剛性も小さくなる。つまり、簡単な構造で、
横梁がローリングを収れんさせるトーションバの機能に
影響を与えずにすむようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る案内軌道車両用懸架
装置の平面図。
【図2】同懸架装置の側面図。
【図3】同懸架装置の正面図。
【図4】横梁が装着された上部側の平行リンク部材を示
す平面図。
【図5】同平行リンク部材の側面図。
【図6】(a)は、図5中のA―A線に沿う断面図。
(b)は、図5中のB―B線に沿う断面図。
【図7】オイルダンパ回りを拡大して示す平面図。
【図8】同オイルダンパ回りの側面図。
【図9】(a)は、図8中のC―C線に沿う断面図。
(b)は、図8中のD―D線に沿う断面図
【図10】ストッパおよびストッパ受回りの構造を説明
するための図。
【図11】ラーメン構造をなす平行リンク部材の作用を
説明するための平面図。
【図12】同平行リンク部材のローリング時の挙動を説
明するための図。
【図13】従来の案内軌道車両用懸架装置を説明するた
めの平面図。
【図14】同懸架装置の側面図。
【図15】同懸架装置の正面図。
【図16】上部側の平行リンク部材を示す平面図。
【図17】同平行リンク部材の側面図。
【図18】(a)は、図17中のE―E線に沿う断面
図。(b)は、図17中のF―F線に沿う断面図。
【図19】ラテラルロッド回りの構造を説明するための
図。
【図20】車体に生じる振動を説明するための図。
【符号の説明】
1…台車 3…車体 11…上側の平行リンク部材 12…上側の平行リンク部材 30…案内軌道 31…操舵機構 51…横梁 60…オイルダンパ 70…ストッパ機構 71…ストッパ 72…ストッパ受。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体を弾性支持し、該車体との間が、車
    幅方向両側から、進行方向前後方向に延びる平行リンク
    部材によって上下方向に移動自在に連結され、案内軌道
    が設置された路面を移動する台車と、前記台車の車輪の
    向きを前記案内軌道にならって変える操舵機構とを有し
    て構成される台車装置と、 前記車幅方向に並ぶ平行リンク部材間に設けられ、同リ
    ンク部材とともに車幅方向の動きを規制するばね力をも
    たらせるラーメン構造を構成する横梁と、 前記車体と前記台車との間に設けられ両者が車幅方向に
    ずれるときの衝撃力を減衰するダンパと、 前記車体と台車との間に設けられ前記車幅方向にずれる
    前記車体と前記車体との相対ずれ量を規制するストッパ
    機構とを具備したことを特徴とする案内軌道車両用懸架
    装置。
  2. 【請求項2】 前記横梁は、主断面二次モーメントが異
    なり、かつ少なくとも曲げ剛性が高い側の断面が中央付
    近で細くなるように形成された部材を、同部材の曲げ剛
    性の高い側を平行リンク部材がなす平面に一致させて配
    置したものであることを特徴とする請求項1に記載の案
    内軌道車両用懸架装置。
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